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表面修飾方法、および、表面修飾部材 - 東陶機器株式会社
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発明の名称 表面修飾方法、および、表面修飾部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−214150(P2001−214150A)
公開日 平成13年8月7日(2001.8.7)
出願番号 特願2000−35580(P2000−35580)
出願日 平成12年2月14日(2000.2.14)
代理人
発明者 勝川 由美子 / 下吹越 光秀 / 渡部 俊也 / 橋本 和仁
要約 目的
微量の機能性材料で、耐久的な効果を発現させる表面修飾方法、および、その方法を用いた表面修飾部材を提供することを目的とする。

構成
特許請求の範囲
【請求項1】表面に光半導体を含む被覆層をもうけた基材を準備する第1のステップと、所定の官能基を持つ分子1の雰囲気中に前記基材を曝露する第2のステップと、前記光半導体を励起可能な電磁波を照射することにより、前記光半導体と前記所定の官能基とを化学的に結合させる第3のステップと、を有する表面修飾方法。
【請求項2】表面に光半導体を含む被覆層をもうけた基材を準備する第1のステップと、所定の化合物2の雰囲気中に前記基材を曝露する第2のステップと、前記光半導体を励起可能な電磁波を照射することにより、前記光半導体と前記所定の化合物2を化学的に結合させる第3のステップと、前記化合物2と所定の官能基を持つ分子1を化学反応させる第4のステップと、を有する表面修飾方法。
【請求項3】前記光半導体は、酸化チタンであることを特徴とする請求項1または2に記載の表面修飾方法。
【請求項4】前記被覆層は、更にシリカ及び/又はシリコーンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面修飾方法。
【請求項5】前記電磁波は、紫外線であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面修飾方法。
【請求項6】前記所定の官能基を持つ分子1は、反応性シリコーン、反応性フッ素化合物、芳香族化合物、チオール基を持つ化合物からなる群から選択される一種以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面修飾方法。
【請求項7】前記所定の化合物2は、反応性シリコーン、反応性フッ素化合物、水及び/又は水酸基からなる群から選択される一種以上の化合物であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の表面修飾方法。
【請求項8】請求項1〜7のいずれか一項に記載の表面修飾方法を用いて、基材上に修飾層を形成したことを特徴とする表面修飾部材。
【請求項9】前記基材が、ガラス、金属、セメント、壁紙、石膏ボード、石材、セラミックス、樹脂の群より選択される一つであることを特徴とする請求項8に記載の表面修飾部材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス、金属、セメント、壁紙、石膏ボード、石材、セラミックスもしくは樹脂等の表面に形成した光半導体の光励起反応を利用して、機能性の官能基を結合させることにより有用な機能性表面を形成する技術である。特に好適には、水と油に対する表面の親和性を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】建材等の防汚性、易洗浄性を向上させるために表面を改質することが検討されているが、防汚性などを発現させるための水と油に対する親和性の最適な組み合わせは、用途によって様々である。そこで、防汚性を発現するために表面の水や油に対する接触角の制御が行われており、そのための各種塗料が開発されているが、従来の塗料では、水か油のどちらか一方の接触角はある程度制御できるものの、これらを任意に制御する技術は、未だ確立されていない。例えば、易洗浄性が最も高いと考えられる、親水かつ撥油の表面を形成する技術も未確立である。
【0003】例えば、特開昭61−91042号には、「ガラス表面上に所定の厚さで表面に微細な凹凸を有するシリカ、チタニア等の無機酸化物の薄膜を形成したことを特徴とする防曇ガラス」が開示されている。この態様はそれ以前に知られていた表面に親水性界面活性剤を塗布する方法や、セルロース系エステルからなる親水性樹脂で表面を被覆する方法と比較すると優れた親水性を呈するとともに長期に親水性を維持し防曇機能を長期間発揮するものの、一旦汚れ等に起因する疎水基が吸着して表面が疎水化すると、表面性状を元の状態に戻す術がないために、親水性が回復せず、防曇機能を失ってしまう。
【0004】本出願人は、先に、半導体光触媒の光励起作用により物品の表面を高度に親水化する方法を提案した(WO96/29375号)。この方法に従えば、物品の表面はアナタ−ゼ型酸化チタンのような半導体光触媒のコ−ティングによって被覆される。このアナタ−ゼ型酸化チタンからなる光触媒性コ−ティングに紫外線を照射することにより光触媒を充分な照度で充分な時間にわたり光励起すると、光触媒性コ−ティングの表面は水との接触角が約0度になる程度に高度に親水化される。
【0005】防汚性のために様々な親水性や撥水性の塗料が開発されているが、これらの塗料は、各塗料固有の接触角しか実現できず、また、数μmの膜を形成するため、多量の材料が必要となる。また、防曇性を出すための界面活性剤などは表面に薄く塗布するだけであるが、表面と結合しないので耐久的な効果の発現は期待できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、微量の機能性材料で、表面に配向性高く機能層を形成し、耐久的な効果を発現させる表面修飾方法、および、表面修飾部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために第一の発明では、表面に光半導体を含む被覆層をもうけた基材を準備する第1のステップと、所定の官能基を持つ分子1の雰囲気中に前記基材を曝露する第2のステップと、前記光半導体を励起可能な電磁波を照射することにより、前記光半導体と前記所定の官能基とを化学的に結合させる第3のステップと、を有する表面修飾方法を提供する。
【0008】本発明のメカニズムは詳細には解明されていないが、およそ次のようなものであると考えられる。
【0009】光半導体は、バンドギャップエネルギーより大きなエネルギーを有する電磁波が入射することにより、表面が親水性を呈する。適切な光照射条件ではこの親水性の程度は著しく高度であり、接触角度で約0度に達する。
【0010】この親水化の過程は以下のようなものである事が分かっている。光半導体表面に、大気中で紫外線が照射されると、最表面の酸素が、励起反応で生じた正孔により酸化され、脱離する。ここに生じる酸素欠損に大気中の水分子が結合し、親水化部分を作る。この親水化部分は数十ナノメーターサイズのドメインの格子状に形成され、このドメイン構造によって2次元毛細管現象が起こり、巨視的に親水性の表面が形成されるのである。
【0011】本発明では、上記の反応の際に、水分子の代わりに適切な所定の官能基を持つ分子1を反応させることにより、親水性だけでなく、選択した官能基の機能により、撥水性や撥油性、抗菌性、帯電防止性等の様々な性質を表面に耐久的に付加することができるようにするものである。
【0012】本発明によれば、分子1中の反応基が、光半導体の酸素欠損と結合するため、反応基と機能性官能基を両端に有するような分子を用いることにより、機能性官能基を表面に効率よく出し、目的とする機能を高く発現させる事が出来る。
【0013】また、反応時間、UV強度などの反応条件を制御する事により、反応物質は単分子から数分子の薄層で結合させる事が可能であり、機能層の透明性が確保できる。これにより、下地の色等の意匠を損なうことなく、機能を付与する事が出来る。薄層である事から、反応物質が少量で済み、コストが低く出来るという利点もある。
【0014】さらに、半導体光触媒層の表面形状に微細な凹凸をつけるなどして、比表面積を大きくすることにより、機能層の効果を高めることが可能である。
【0015】本発明の、第2のステップと第3のステップの各工程は、それぞれが段階的に相前後して行われても、それぞれが平行してほぼ同時に行われても良い。いずれにしても、前記光半導体を励起可能な電磁波を照射する際に、前記光半導体と前記所定の官能基とが化学的に結合でき得る程度に前記基材の周囲に前記分子1の雰囲気が形成されていれば、本発明の目的とする前述の効果を奏するものと解される。従って、このようなメカニズムを鑑みれば、第2のステップと第3のステップとを略同時に行い、前記分子1の雰囲気中に前記基材を十分に曝露する方がより効果的で好ましい態様であると考えられる。
【0016】上記課題を解決するために第二の発明では、表面に光半導体を含む被覆層をもうけた基材を準備する第1のステップと、所定の化合物2の雰囲気中に前記基材を曝露する第2のステップと、前記光半導体を励起可能な電磁波を照射することにより、前記光半導体と前記所定の化合物2を化学的に結合させる第3のステップと、前記化合物2と所定の官能基を持つ分子1を化学反応させる第4のステップと、を有する表面修飾方法を提供する。
【0017】本発明によれば、光半導体層及び所定の官能基を持つ分子1との結合を起こしやすい所定の化合物2を光励起により化学的に結合させた後に、所定の官能基を持つ分子1を所定の化合物2と化学反応させることにより、親水性だけでなく、選択した官能基の機能により、撥水性や撥油性、抗菌性、帯電防止性等の様々な性質を表面に耐久的に付加することができる。
【0018】分子1と光半導体を含む被覆層の間に化合物2を介在させる事により、分子1の基材表面への反応の促進、分子1の基材表面での安定性向上、という二つの効果が得られる。
【0019】反応の促進の効果は、分子1が光半導体と直接結合しにくい場合に、両末端に、光半導体と結合し易い官能基と分子1と結合し易い官能基を有する化合物を利用して、基材最表面に分子1を結合させるものである。
【0020】安定性向上の効果は、分子1が酸化チタンに分解される場合に有効である。これは、酸化チタンとの間に、より安定な保護層を導入し、紫外線が照射される環境で使用する際に、分子1が分解される事を防ぐものである。
【0021】本発明の、第2のステップと第3のステップの各工程は、それぞれが段階的に相前後して行われても、それぞれが平行してほぼ同時に行われても良い。いずれにしても、前記光半導体を励起可能な電磁波を照射する際に、前記光半導体と前記所定の化合物とが化学的に結合でき得る程度に前記基材の周囲に前記化合物2の雰囲気が形成されていれば、本発明の目的とする前述の効果を奏するものと解される。従って、このようなメカニズムを鑑みれば、第2のステップと第3のステップとを略同時に行い、前記化合物2の雰囲気中に前記基材を十分に曝露する方がより効果的で好ましい態様であると考えられる。
【0022】上記課題を解決するために第三の発明では、前記光半導体が酸化チタンである第一の発明又は第二の発明に記載の表面修飾方法を提供する。
【0023】酸化チタンは安定で実用的とされている唯一の光触媒であり、工業的に広く使用されているために、形状等の種類も豊富な上、安価である。また、酸化チタンは可視光を吸収しないので、適切な粒径の物を用いる事により、透明な塗膜が形成出来、下地の意匠を損なう事なく表面に機能を付与する事が可能である。
【0024】酸化チタンよりもバンドギャップの小さいCdSe等の光半導体は、可視光を吸収するために着色してしまい、また、水中で光が照射されると溶出する自己溶出現象が見られるが、酸化チタン化学的安定性が高く、水中の光照射に対しても安定である。
【0025】酸化チタン等の光触媒は、励起波長より短い波長の紫外線が入射することにより、表面が親水性を呈する。適切な光照射条件ではこの親水性の程度は著しく高度であり、接触角度で約0度に達する。
【0026】この親水化の過程は以下のようなものである事が分かっている。もともと酸化チタンの表面は、酸素原子とチタン原子のみからなる疎水表面である。ここに、大気中で紫外線が照射されると、酸化チタン最表面の酸素が光励起反応で生じた正孔により酸化され、脱離する。この時生じる酸素欠損に大気中の水分子が結合し、親水化部分を作る。この親水化部分は数十ナノメーターサイズのドメインの格子状に形成され、このドメイン構造によって2次元毛細管現象が起こり、巨視的に親水性の表面が形成されるのである。
【0027】上記課題を解決するために第四の発明では、前記被覆層は更にシリカ及び/又はシリコーンを含む、第一の発明乃至第三の発明のいずれかに記載の表面修飾方法を提供する。
【0028】シリカ、シリコーンは、化学的に安定で、下地との密着性、耐熱性、耐寒性、耐候性等に優れた膜を形成する事が可能であり、透明性が高く、下地の意匠を損なう事なく、被覆層を形成する事が出来る。用途や下地に応じて、多種多様な塗料が安価に市販されている。
【0029】シリカ、シリコーンを構成するシロキサン結合は、酸化チタンの光触媒活性によって切断される事がないため、これをバインダー成分として使用する事により、酸化チタンを含有する被覆層の安定性を高める事ができる。
【0030】上記課題を解決するために第五の発明では、前記電磁波は紫外線である、第一の発明乃至第四の発明のいずれかに記載の表面修飾方法を提供する。
【0031】紫外線は、酸化チタンを励起させる事が出来る電磁波である。紫外線は、低コストで、簡便に大面積に照射する事が出来る。他の電磁波では、x線、γ線なども酸化チタンの励起が可能であるが、これらを用いるとエネルギーの無駄が多く、装置も煩雑で高価である。
【0032】上記課題を解決するために第六の発明では、前記所定の官能基を持つ分子1は反応性シリコーン、反応性フッ素化合物、芳香族化合物、チオール基を持つ化合物からなる群から選択される一種以上の化合物である、第一の発明乃至第五の発明のいずれかに記載の表面修飾方法を提供する。
【0033】これらの化合物は、化学的に安定であり、酸化チタンの光触媒活性によって分解されにくい。また、工業的に、様々な官能基を付加する技術が確立しているため、酸化チタンと反応させるための官能基と、撥水性などの機能を発現する官能基を有する化合物を合成する事が可能である。
【0034】上記課題を解決するために第七の発明では、前記所定の化合物2は、反応性シリコーン、反応性フッ素化合物、水及び/又は水酸基からなる群から選択される一種以上の化合物である、第二の発明乃至第六の発明のいずれかに記載の表面修飾方法を提供する。
【0035】上に示した化合物は、化学的に安定であり、酸化チタンによって分解されにくい。また、反応性シリコーン、反応性フッ素化合物は両末端に反応基と機能を発現する官能基を有する様々な化合物が工業的に生産されている。
【0036】上記課題を解決するために第八の発明では、第一の発明乃至第七の発明のいずれかに記載の表面修飾方法を用いて、基材上に修飾層を形成したことを特徴とする表面修飾部材を提供する。
【0037】用途に応じて防汚効果、抗菌効果、帯電防止効果等を、意匠を損なわずに、低コストで耐久的に付与する事により、部材の付加価値を高める事が出来る。
【0038】上記課題を解決するために第九の発明では、前記基材が、ガラス、金属、セメント、壁紙、石膏ボード、石材、セラミックス、樹脂の群より選択される一つであることを特徴とする第八の発明に記載の表面修飾部材を提供する。
【0039】ガラス、金属、セメント、壁紙、石膏ボード、石材、セラミックス、樹脂は、建材、交通機関、電化製品、各種設備部材、雑貨等に幅広く用いるられているが、本発明を用いると、これらの製品表面に、用途に応じて防汚効果、帯電防止効果等を、意匠を損なわずに、低コストで耐久的に付与する事が出来る。
【0040】
【発明の実施の形態】前記各発明において、光半導体とは、その結晶の伝導帯と価電子帯との間のエネルギ−ギャップよりも大きなエネルギ−(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したときに、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成しうる物質をいい、例えば、アナタ−ゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化第二鉄、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン等の酸化物が好適に利用できる。
【0041】前記各発明において、光半導体よりなる被覆層とは、光半導体のほかに、製膜のためのバインダー成分、及び/または、光励起による化学結合を促進するために反応物質を吸着しやすくする成分などを含んでなることができる。具体的には、光半導体のほかに、シリカ、シリコーン、ポリシラザン、アルミナなどの無機成分やフッ素樹脂、アクリル樹脂などの有機樹脂成分を含むことが可能である。
【0042】前記各発明において、光半導体を励起可能な電磁波とは、光半導体結晶の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギーを与えることが可能な電磁波であり、該電磁波の照射により光半導体の価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成しうるものである。具体的には、バンドギャップが3.2eVのアナターゼ型酸化チタンの場合には390nm以下の波長を持つ紫外線を利用することが可能である。
【0043】図1に、前記各発明による表面修飾部材の一実施例を示す。図1に示すように、光半導体表面に光励起反応により所定の官能基を持つ分子1が化学結合するため、これにより耐久性のある機能性表面が形成される。
【0044】図2に、前記各発明による表面修飾部材の別の実施例を示す。図2に示すように、所定の化合物2を光励起により化学的に結合させた後に、所定の官能基を持つ分子1を所定の化合物2と化学反応させることにより、所定の化合物2からなる層に所定の官能基を持つ分子1が化学結合し、これにより耐久性のある機能性表面が形成される。
【0045】前記各発明において、光半導体よりなる被覆層と光励起により化学的に結合させられる物質として、所定の官能基を持つ分子1、又は所定の化合物2が用いられる。これらの、光半導体層と直接に化学結合をする物質を、本明細書においては反応物質と称する。
【0046】反応物質を光半導体と接触させる方法の1つに気相法がある。この方法は、沸点が低く、蒸気圧が高くなりやすい反応物質の利用に適している。これは、反応槽内部に、光半導体膜を形成した基材と容器に入れた反応物質を同封し、内部を反応物質の蒸気で満たしながら、反応槽外部から、光半導体表面に励起電磁波を照射して、光励起反応により表面を修飾する方法である。この時、加熱により反応物質の蒸気圧を増加させたり、反応物質を同封せずに外部から導入することも可能である。
【0047】また、反応物質を光半導体と接触させる別の方法に、反応物質を液相系または固相系で結合させる方法がある。この方法は融点及び沸点が高く、室温付近では固体であったり、また液体であっても蒸気圧の低い反応物質に適している。
【0048】この方法の利用においては、基材上に形成した光半導体表面に反応物質を塗布し、ここに励起電磁波を照射し、光触媒表面に反応物質を化学結合させる。その後に未反応の反応物質を水、アルコールなどで洗浄して除去する。
【0049】この時、反応物質は固体でも差し支えないが、固体の反応物質を使う場合は、加熱による溶融や、溶媒への溶解、分散などの手法で、一度液状にしてから塗布する事により光半導体への塗布を容易にして、扱いやすくする事も出来る。また、反応物質が液体であっても、結合反応速度を制御するために、水、アルコール等の溶媒での希釈により、濃度を調節してから塗布する事なども可能である。
【0050】これらの方法は反応物質と光触媒層を接触させる例として示したもので、実際の表面修飾方法としてこれらの例に制限されるものではない。
【0051】前記各発明において、例えば撥水性表面を形成するためには、反応物質としてベンズアルデヒド、p-トリフルオロメチルベンズアルデヒド、フェノール、安息香酸などの芳香族化合物やフッ化アルキルシリコーンなどが好適に利用できる。
【0052】また、前記各発明の別の態様においては、反応物質としてカルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーンなどの反応性シリコーン、カルボキシル変性フッ素化合物、カルビノール変性フッ素化合物、フェノール変性フッ素化合物、アルコキシ変性フッ素化合物などの反応性フッ素化合物、チオール基を持つ化合物などが好適に利用できる。
【0053】前記各発明において、反応物質の蒸気圧、塗布量や励起電磁波強度、照射時間などを適切に選択する事により、反応物質の光半導体表面への結合量を制御し、目的の修飾表面を得る事が出来る。例えば、疎水性を有する反応物質を表面に結合させる場合、その結合量によって接触角を制御出来る。
【0054】また、複数の機能を併せ持った表面を形成する場合には、複数の反応物質を混合して結合させたり、同一の表面に対して複数回にわけて別個の反応物質を結合させる操作を行う事も可能である。
【0055】前記各発明において、目的とする修飾表面を効率よく得るためには、励起電磁波の照射時は、水分子やその他の光半導体表面と反応する物質を含まない、乾燥空気、窒素、不活性ガスなどの環境で行うことが好ましい。
【0056】前記各発明が適用可能な基材としては、撥水効果や撥油効果を期待する場合には、その材質はガラス、プラスチック等が好適に利用できる。適用可能な基材を用途でいえば、車両用後方確認ミラ−、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズ、車両用後方確認カメラレンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の窓ガラス;自動車、オ−トバイ、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノ−モ−ビル、ロ−プウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の風防ガラス;防護用ゴ−グル、スポ−ツ用ゴ−グル、防護用マスクのシ−ルド、スポ−ツ用マスクのシ−ルド、ヘルメットのシ−ルド、冷凍食品陳列ケ−スのガラス、中華饅頭等の保温食品の陳列ケ−スのガラス;計測機器のカバ−、車両用後方確認カメラレンズのカバ−、レ−ザ−歯科治療器等の集束レンズ、車間距離センサ−等のレ−ザ−光検知用センサ−のカバ−、赤外線センサ−のカバ−;カメラ用フィルタ−、及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シ−ト、シ−ル、ワッペン等が挙げられる。
【0057】前記各発明が適用可能な基材としては、帯電防止効果を期待する場合には、その材質は、例えば、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、木、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積層体が好適に利用できる。適用可能な基材を用途でいえば、ブラウン管、磁気記録メディア、光記録メディア、光磁気記録メディア、オ−ディオテ−プ、ビデオテ−プ、アナログレコ−ド、家庭用電気製品のハウジングや部品や外装及び塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装及び塗装、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバ−及び塗装、及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シ−ト、シ−ル、ワッペン等が挙げられる。
【0058】
【実施例】(実施例1)ガラス板上にエチルシリケート(コルコート製、エチルシリケート40)をディップコートで形成し、500℃で熱処理した上に、固形分量10%のブルッカイト型酸化チタンゾル(昭和電工製、NTB−1)をスピンコートで製膜し、150℃で乾燥した。その後、520℃、30分で熱処理することにより、ガラス板上に光半導体膜を形成したサンプルを作製した。コーティング後の光半導体膜厚は、約0.2μmである。
【0059】実験槽の中にサンプルとベンズアルデヒドを満たした容器を入れ、密閉した後に窒素ガスで置換した。その後、1時間放置して、実験槽内部にベンズアルデヒドの蒸気を飽和させ、365±10nmの紫外線を強度50mW/cm2で1時間照射してサンプル#1を得た。比較のために同様の雰囲気中で、紫外線を照射せずに1時間放置しただけのサンプル#2も作製した。#1,#2のサンプルについて、初期の接触角、ベンズアルデヒド蒸気中での処理後、サンプルを水洗した後の水との接触角を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】初期の接触角は#1,#2とも50゜程度であるが、ベンズアルデヒド雰囲気中での紫外線処理により#1は82゜に接触角が増加したのに対し、紫外線を照射しなかった#2では、接触角は55゜に増加しただけであった。これらのサンプルを水洗したところ、#1の接触角は80゜になり、#2の接触角は53゜になった。これらの結果から、ベンズアルデヒド雰囲気中での紫外線の照射により明らかに撥水性が向上することがわかった。また、ベンズアルデヒドは水溶性であるのに、水洗では落ちない程度の安定な結合をしていることがわかった。
【0062】実験に用いたベンズアルデヒド試薬についてPTFE透過法、及び、♯1、♯2のサンプルについて入射角80°のRAS法(高感度反射測定法)で測定したIRスペクトルを図3に示す。紫外線を照射し、撥水化が見られたサンプル♯1では、ベンズアルデヒドに由来するピークがはっきり確認でき、IRからも表面にベンスアルデヒドにが存在している事が確認された。一方、紫外線を照射せず、撥水化の見られなかったサンプル♯2では、ベンズアルデヒドに由来するピークは殆どみられず、極少量のベンズアルデヒドしかサンプルの表面に存在していない事が確認された。これにより、紫外線の照射により、多量のベンズアルデヒド試薬が酸化チタンの表面に結合した事が分かった。
【0063】(実施例2)ガラス板上にエチルシリケート(コルコート製、エチルシリケート40)をディップコートで形成し、500℃で熱処理した上に、固形分量10%のブルッカイト型酸化チタンゾル(昭和電工製、NTB−1)をスピンコートで製膜し、150℃で乾燥した。その後、520℃、30分で熱処理することにより、ガラス板上に光半導体膜を形成したサンプル#3を作製した。コーティング後の光半導体膜厚は、約0.2μmである。
【0064】実験槽の中にサンプル#3を入れ、フッ化アルキルシリコーン、n−C81724Si(C253(東レダウコーニング製 AY43−158E)を入れたバブラー、窒素ボンベをシリコンチューブで接続した。流量約1L/minで、窒素バブリングしながら、実験槽内部を30分置換した後、そのままバブリングを続けながら365±10nmの紫外線を強度15mW/cm2で1時間照射してサンプル#4を得た。比較のために同様の雰囲気中で、紫外線を照射せずに1時間放置しただけのサンプル#5も作製した。#3、#4、#5のサンプルについて、処理後の水及びオレイン酸との接触角を測定した結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】サンプル#3の水との接触角が35゜であるのに対して、フッ化アルキルシリコーンを吸着させただけのサンプル#5の水との接触角も105゜になった。その時、紫外線により反応させたサンプル#4の水との接触角は122゜になり、吸着しただけのサンプル#5に比べてより高い撥水性を示した。また、オレイン酸との接触角は、サンプル#3が10゜でサンプル#5が17゜であるのに対して、サンプル#4では41゜に増加し、紫外線照射による反応で化学結合させることにより高度の撥油化が達成されることがわかった。
【0067】#4、#5のサンプルについてXPSを測定した結果を図4、図5に示す。紫外線を照射したサンプル#4では、表面近傍でF濃度が大幅に高くなっているのに対し、照射しなかったサンプル#5では、わずかに高くなっているにすぎなかった。これは、サンプル#4では多量の試薬が酸化チタン表面に結合しているのに対し、サンプル#5では少量の試薬が吸着しているだけであるためだと考えられ、ここでも、紫外線の照射により試薬の結合が促進されている事が確認された。
【0068】(実施例3)ガラス板上にエチルシリケート(コルコート製、エチルシリケート40)をディップコートで形成し、500℃で熱処理した上に、固形分量10%のブルッカイト型酸化チタンゾル(昭和電工製、NTB−1)をスピンコートで製膜し、150℃で乾燥した。その後、520℃、30分で熱処理することにより、ガラス板上に光半導体膜を形成したサンプル#6を作製した。コーティング後の光半導体膜厚は、約0.2μmである。
【0069】実験槽の中にサンプル#6を入れ、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを入れたバブラー、窒素ボンベをシリコンチューブで接続した。流量約1L/minで、窒素バブリングしながら、実験槽内部を30分置換した後、そのままバブリングを続けながら365±10nmの紫外線を強度15mW/cm2及び40mW/cm2で1時間照射してサンプル#7、#8を得た。#6、#7、#8のサンプルについて、初期と、処理後、8ヶ月間暗所保存後の、水の接触角を測定した結果を表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを用いた場合、紫外線を照射したサンプル#7、#8はいずれも100°以上に撥水化し、8ヶ月間暗所に保管しても、そのままの撥水性を維持した。この事から、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドによる撥水化は暗所での安定性が高く、少なくとも8ヶ月間は全く劣化しないことが分かった。
【0072】実験に用いた4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド試薬を金蒸着膜の上にフローコートしたサンプル及び、♯7のサンプルについてRAS法でIRを測定した結果を図6に示す。♯7のサンプルのIRスペクトルでは、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド試薬と比較すると、CF3対称伸縮振動(1335cm-1)、パラ2置換体の芳香環のCH面内変角振動(1100〜1200cm-1)など、分子(長)軸に並行な振動モードに由来するピークの強度が強調されている。RAS法は偏光測定であり、分子振動のうち、振動方向が膜面に垂直な振動に由来するピーク強度が強調される測定法であることから、このサンプルでは芳香環の平面が膜面に垂直に立った方向に配向していると考えられ、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド分子は、図1に示した様にアルデヒド基の部分で酸化チタン膜に結合して、撥水基であるCF3が表面に表れているものと思われる。この高い配向性のために、試薬の撥水特性が、効率よく酸化チタン膜に付与されていることが分かる。
【0073】サンプル#7、#8に1ヶ月紫外線を照射した場合の、接触角変化を表4に示す。紫外線強度は、蛍光灯を点灯した室内程度の0.5μW/cm2と、日当たりの良い窓際程度の80μW/cm2とした。
【0074】
【表4】

【0075】サンプル#7、#8ともに、照射紫外線強度0.5mW/cm2の条件では撥水性の劣化が見られず、蛍光灯を点灯した室内程度の紫外線に対しては安定であると思われる。一方、照射紫外線強度80μW/cm2の条件では、サンプル#8は安定であったが、サンプル#7は、撥水性を失ったという相違が見られた。ここから、酸化チタンに付与した撥水性を安定にするためには、用いる反応物質に応じて、反応時の紫外線強度を適切に設定する必要があり、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドの場合は、反応時の紫外線強度は15mW/cm2より40mW/cm2の方が、紫外線に対する安定性の高い撥水表面が得られる事が分かった。
【0076】(実施例4)反応時の紫外線強度や反応時間と、反応後の接触角の関係を調べるために以下の様な実験を行なった。
【0077】ガラス板上にエチルシリケート(コルコート製、エチルシリケート40)をディップコートで形成し、500℃で熱処理した上に、固形分量10%のブルッカイト型酸化チタンゾル(昭和電工製、NTB−1)をスピンコートで製膜し、150℃で乾燥した。その後、520℃、30分で熱処理することにより、ガラス板上に光半導体膜を形成したサンプル#6を作製した。コーティング後の光半導体膜厚は、約0.2μmである。
【0078】実験槽の中にサンプル#6を入れ、4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを入れたミゼットインピンジャー、窒素ボンベをシリコンチューブで接続した。流量約1L/minで、窒素バブリングしながら、実験槽内部を30分置換した。その後、紫外線強度を0mW/cm2、5mW/cm2、20mW/cm2、40mW/cm2、100mW/cm2、反応時間を30分、60分、90分、120分として反応を行ない、反応条件と水の接触角との関係を調べた。反応直後の、サンプル表面と水の接触角を表5及び図7に示す。
【0079】
【表5】

【0080】この系で水の接触角が90度以上になるよう十分に撥水化させるためには、紫外線強度20mW/cm2では90分以上、40mW/cm2及び100mW/cm2では60分以上反応させる必要がある事が分かった。一方、紫外線強度や反応時間が不十分な場合は、十分な撥水性が得られない事が分かった。今回の条件では、紫外線強度が5mW/cm2以下では75度までしか撥水化せず、また20mW/cm2では60分以下、40mW/cm2及び100mW/cm2では30分以下など、反応時間が短すぎる場合は、撥水化が90度よりも低くなる事が分かった。
【0081】実施例3では、細かい気泡が出るバブラーを使用したが、ここでは目詰まりを起こりにくくする目的で、大きな気泡が出るミゼットインピンジャーを使用した。この点以外は全て同様の装置を用いて、実験を行なった。流量でバブリングしても、ミゼットインピンジャーを用いたた場合は、バブラーを用いた場合よりも4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドの蒸気圧は低くなる。よって、本実施例では、反応後の水の接触角が90度から95度程度と、実施例3の場合の100度以上に対して、やや低くなったと考えられる。よって、反応物質の特性を十分に発揮する表面改質を行なうためには、反応物質の蒸気圧や、反応時の紫外線強度を十分に高くする必要がある事が分かる。




 

 


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