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発明の名称 防汚性施釉製品及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−192866(P2001−192866A)
公開日 平成13年7月17日(2001.7.17)
出願番号 特願2000−197(P2000−197)
出願日 平成12年1月5日(2000.1.5)
代理人
発明者 吉田 篤史 / 伊藤 正昭 / 石橋 弘孝 / 一木 智康 / 安藤 正美 / 早川 信
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 陶磁器素地表面又は金属基材表面に、MgO含有量が0.7重量%以下である釉薬からなる表面釉薬層が形成されていることを特徴とする防汚性施釉製品。
【請求項2】 陶磁器素地表面又は金属基材表面に、MgO含有量が0.4重量%以下である釉薬からなる表面釉薬層が形成されていることを特徴とする防汚性施釉製品。
【請求項3】 前記層表面の表面粗さRaが触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により100nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防汚性施釉製品。
【請求項4】 前記層表面の表面粗さRaが触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により70nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防汚性施釉製品。
【請求項5】 前記層表面の表面粗さRaが触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により40nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防汚性施釉製品。
【請求項6】 前記施釉製品は、陶磁器であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項7】 前記施釉製品は、琺瑯製品であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項8】 前記施釉製品は、施釉セメント建材であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項9】 前記施釉製品は、衛生陶器であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項10】 前記施釉製品は、タイルであることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項11】 前記施釉製品は、食器であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項12】 前記施釉製品は、碍子であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項13】 前記施釉製品は、便器であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項14】 前記施釉製品は、洗面器であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項15】 前記施釉製品は、便器タンクであることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項16】 前記施釉製品は、手洗器であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項17】 前記施釉製品は、便器のサナであることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項18】 前記施釉製品は、浴槽であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項19】 前記施釉製品は、キッチン部材であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項20】 前記施釉製品は、浴室部材であることを特徴とする請求項1〜5に記載の防汚性施釉製品。
【請求項21】 MgO含有量が0.7重量%以下である釉薬を陶磁器成形素地表面又は金属基材表面の必要な部分に施釉する工程、800〜1300℃の温度で焼成する工程を含む防汚性施釉製品の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大便器、小便器、洗面器、便器タンク、手洗器、便器のサナなどの衛生陶器、タイル、食器、茶碗、カップ、碍子、キッチン部材、浴室用建材等の陶磁器、浴槽、洗面器、キッチン部材、浴室用建材等の琺瑯製品、施釉セメント建材に代表される流水環境(雨水環境含む)で使用される、防汚性に優れた施釉製品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】衛生陶器等の施釉製品の表面が美観を有し、かつ清浄であることは衛生上および美観上重要である。さらにそのような状態が長期にわたり保たれることは好ましいことである。衛生陶器等の施釉製品は、使用しているうちに便、皮脂等の油性汚れ、水垢、石鹸滓等の水性汚れが付着する。施釉製品を衛生的に清浄に保ち、美観を保つために、界面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワシやブラシに付けて強くこすることが行われている。すなわち、洗剤による化学的洗浄力およびタワシやブラシでこすることによる物理的洗浄力により、表面の汚れを除去する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の汚れのうち、水垢等の水性汚れ対策には、古くから衛生陶器表面にフルオロアルキルシランの(縮)重合硬化物層を形成する方法が知られているが、便器、洗面器等の強い水流を伴う環境、酸、アルカリ等の洗剤による化学的洗浄を伴う環境、タワシやブラシでこすることによる物理的洗浄を伴う環境では耐摩耗性等耐久性が充分でなく、長期に亘る効果を発揮できなかった。そこで、本発明は、耐摩耗性を有し、かつ水垢等の水性汚れの除去しやすい施釉製品を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を解決すべく、陶磁器素地表面にMgO含有量が0.7重量%以下、好ましくは0.4重量%以下である釉薬からなる表面釉薬層が形成されていることを特徴とする防汚性施釉製品を提供する。表面釉薬層中のMgO含有量が0.7重量%以下、好ましくは0.4重量%以下であることで、水垢除去性が向上する。また、耐摩耗性も従来釉薬組成に基づき形成される釉薬層と同等であるため非常に優れており、上記機能の長期維持性も発揮可能である。
【0005】本発明の好ましい態様においては、前記層表面の表面粗さRaが触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により100nm以下、好ましくは70nm以下、さらに好ましくは40nm以下であるようにする。そうすることにより、汚れが層表面に固着しにくくなるので、さらに水性汚れに対する防汚性が増す。
【0006】本発明の施釉製品の一作製方法においては、MgO含有量が0.7重量%以下、好ましくは0.4重量%以下である釉薬を陶磁器成形素地表面の必要な部分に施釉する工程、800〜1300℃の温度で焼成する工程を含むようにする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の具体的態様について図に基づいて説明する。本発明の一実施態様においては、図1に示されるように陶器素地1上に着色性の釉薬層2が形成されている。釉薬層2は、主成分は非晶質成分からなり、その他に乳濁剤、顔料等の結晶質成分が少量含有されている。非晶質成分は、SiO2等の4価金属酸化物成分、Al2O3等の3価金属酸化物成分、CaO、MgO、ZnO等の2価金属酸化物成分、Na2O、K2O、Li2O等の1価金属酸化物成分からなり、そのうち、MgOは0〜0.7重量%含有されている。その他の成分の好ましい値は、SiO2が55〜80重量%、CaOが7〜17重量%、ZnOが3〜15重量%、K2Oが1〜4重量%、Na2Oが0.5〜2.5重量%である。
【0008】図1の施釉製品の製法は、例えば、陶器成形素地上に、上記組成になるように調製された釉薬原料を適用し、焼成することにより得ることができる。ここで、釉薬原料とは、珪砂、長石、石灰石等の天然粒子の混合及び/又はフリット釉薬等の非晶質釉薬と、必要に応じて乳濁剤や顔料を含んでなるものをいう。
【0009】ここで、釉薬原料として下記のいずれかを利用すると、表面粗さRaを100nm以下としやすく好ましい。
(1)非晶質原料に、必要に応じて顔料及び/又は乳濁剤を添加した原料(2)珪砂、長石、石灰等の天然鉱物の混合物1重量部に対して非晶質原料を1〜100重量部配合したものに、必要に応じて顔料及び/又は乳濁剤を添加した原料(3)レーザー回折式粒度測定装置等によって測定される50%粒径が6μm未満の微細な天然鉱物の混合物に、必要に応じて顔料及び/又は乳濁剤を添加した原料【0010】図1において、陶器素地1とは、以下に限定されるものではないが、例えば、大便器、小便器、洗面器、便器タンク、手洗器、便器のサナなどの衛生陶器、タイル、食器、茶碗、カップ、碍子、キッチン部材、浴室用建材等である。
【0011】上記図1では、MgO含有量が0.7重量%以下、好ましくは0.4重量%以下である釉薬層を施釉製品表面に形成することにより、製品表面に付着する水垢を除去することが容易となる。
【0012】図1では、基材が陶器素地の場合を例示したが、基材はその他金属基材や磁器基材でもよい。従って、施釉製品は、以下に限定されるものではないが、例えば、大便器、小便器、洗面器、便器タンク、手洗器、便器のサナなどの衛生陶器、タイル、食器、茶碗、カップ、碍子、キッチン部材、浴室用建材等の陶磁器のみではなく、浴槽、洗面器、キッチン部材、浴室用建材等の琺瑯製品、施釉セメント建材等でもよい。
【0013】
【実施例】
【表1】

【0014】(比較例)表1の組成からなる釉薬原料2Kgと水1Kg及び球石4Kgを容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約18時間粉砕した。レーザー回折粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が、6.2μmであった。ここで得られた釉薬スラリーを釉薬Aとする。次にケイ砂、長石、粘土等を原料として調整した衛生陶器素地泥ショウを用いて、70×150mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に釉薬Aをスプレーコーティングした後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。得られた試料について、下記水垢試験を行い、喫水部にできた水垢の落とし易さを評価した。水垢試験は図2に示すように60゜ほど傾けた試料に1時間に1回、1分間試料上部から水道水を流し1週間経過させた試料で、その試料の喫水部にできた水垢をナイロンたわしに研磨剤入りトイレ用洗剤(トイレマジックリン(花王))をつけたもので80N/m2の力で20回こすり、水垢が除去されるか否かで評価した。その結果、得られた試料では水垢の残存が確認され、水垢は完全には除去できなかった。
【0015】(実施例)表1からMgOをのぞいた組成からなる釉薬基材を、電気炉を用いて1300〜1500℃にて溶融し、水中で急冷してガラスフリットを得た。これをスタンプミルにより粉砕し、得られた粉末2Kgと水1.2Kg及び球石4Kgを容積6リットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約36時間粉砕した。レーザー回折粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬スラリーの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、50%平均粒径(D50)が、6.1μmであった。ここで得られた釉薬スラリーを釉薬Bとする。次にケイ砂、長石、粘土等を原料として調整した衛生陶器素地泥ショウを用いて、70×150mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に釉薬Bをスプレーコーティングした後、1100〜1200℃で焼成することにより試料を得た。得られた試料について、下記水垢試験を行い、喫水部にできた水垢の落とし易さを評価した。水垢試験は図2に示すように60゜ほど傾けた試料に1時間に1回、1分間試料上部から水道水を流し1週間経過させた試料で、その試料の喫水部にできた水垢をナイロンたわしに研磨剤入りトイレ用洗剤(トイレマジックリン(花王))をつけたもので80N/m2の力でこすり、20回こすり、水垢が除去されるか否かで評価した。その結果、得られた試料では20回こすることで水垢を完全に落とすことができた。
【0016】
【表2】

【0017】各々の試料の水垢の落とし易さの評価結果を表2に示す。このように、MgO含有量が0.7重量%以下、好ましくは0.4重量%以下である釉薬を用いることで、実使用時に発生する水垢を除去することが容易となる。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、耐摩耗性を有し、かつ水垢等の水性汚れの除去しやすい施釉製品を提供することが可能になる。




 

 


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