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発明の名称 ダマスコンまたはダマセノンの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−247504(P2001−247504A)
公開日 平成13年9月11日(2001.9.11)
出願番号 特願2000−60171(P2000−60171)
出願日 平成12年3月6日(2000.3.6)
代理人 【識別番号】100070792
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 幸男
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006 AA02 AB14 AC11 AC12 AC44 BA25 BA48 
4H039 CA62 CC20
発明者 渡邉 和紀
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 式(I)
【化1】

(式中、点線は、下記のいずれかであることを示す。
(1)6員環中の1位、2位または3位のいずれかに一つの炭素−炭素二重結合が存在し、さらに2位にメチル基を有する。
(2)6員環中に炭素−炭素二重結合が存在せず、2位にメチレン基を有する。
(3)6員環中の1位と3位に、または2位と4位に二つの炭素−炭素二重結合が存在し、さらに2位にメチル基を有する。
(4)6員環中の3位に一つの炭素−炭素二重結合が存在し、さらに2位にメチレン基を有する。)で表わされる化合物をパラジウム錯体と接触処理することを特徴とする式(II)
【化2】

(式中の点線は、式(I)中の点線と同義である)で表わされるダマスコンまたはダマセノンの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下記式(II)で表わされるダマスコンまたはダマセノンの製造方法に関する。
【化3】

(式中、点線は、式(I)中の点線と同義である)
ダマスコンおよびダマセノンは、フルーツ様ないしフラワー様の香気香味を有し、食品用および化粧品用の調合香料の素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】ダマスコンには、α−ダマスコン〔1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン;式(II)において6員環中の2位に一つの炭素−炭素二重結合(以下、「C=C」と略記する)を有し、さらに2位にメチル基を有する化合物〕、β−ダマスコン〔1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン;式(II)において6員環中の1位に一つのC=Cを有し、さらに2位にメチル基を有する化合物〕、γ−ダマスコン〔1−(2−メチレン−6,6−ジメチルシクロヘキシル)−2−ブテン−1−オン;式(II)において6員環中にC=Cが存在せず2位にメチレン基を有する化合物〕、およびδ−ダマスコン〔1−(2,6,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン;式(II)において6員環中の3位に一つのC=Cを有し、さらに2位にメチル基を有する化合物〕が含まれる。
【0003】ダマスコンを合成する方法としては、シクロシトラール〔2,6,6−トリメチル−1−(または2−または3−)−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド〕を原料とする方法、シトラールから合成されるプソイドケトンを環化する方法、シトラールから合成されるシクロゲラニル誘導体を経由する方法などが知られている。これらのうち、シクロシトラールを原料とする方法としては、いくつかの方法が知られており、その反応経路を図示すると以下のとおりである。
【0004】
【化4】

【0005】(上記の反応経路図の各化合物中の点線は、前記式(I)中の点線の定義(1)または(2)と同じである)
すなわち、シクロシトラールIII(上記α−,β−およびδ−ダマスコンに対応するα−,β−およびδ−シクロシトラール)を出発原料とし、ダマスコンIIaを調製する方法としては、下記の方法が知られている。
【0006】第1の方法(特公昭46−43799)
【化5】

シクロシトラールIIIを有機金属プロピン化合物ME−C≡C−CH3(ME=LiまたはMgBr)と反応させ、得られた生成物を加水分解してデヒドロダマスコール〔1−(2,6,6−トリメチル−2−(または1−または3−)シクロヘキセニル)−2−ブチン−1−オール〕Iaを得〔反応(1)〕、Iaを酸化剤の存在下に酸化し〔反応(2)〕、得られたケトンIVを部分水素化し、酸触媒にて異性化する〔反応(3)〕。
【0007】第2の方法(特開平4−279536)
【化6】

第1の方法と同様にシクロシトラールIIIからデヒドロダマスコールIaを調製し〔反応(1)〕、Iaを還元剤の存在下に部分水素化してダマスコールVを得〔反応(4)〕、Vを酸化剤の存在下に酸化する〔反応(5)〕。
【0008】第3の方法(特公昭46−43799)
【化7】

シクロシトラールIIIを有機金属プロペン化合物ME−CH=CH−CH3(ME=LiまたはMgBr)と反応させ、反応生成物を加水分解してダマスコールVを得〔反応(6)〕、Vを酸化剤を用いて酸化する〔反応(5)〕。
【0009】第4の方法(特開昭50−69047)
シクロシトラールIIIをME−CH2−CH=CH2(ME=LiまたはMgBr)と反応させ、反応生成物を加水分解して化合物VIを得〔反応(7)〕、VIを酸化して対応するケトンVIIを得〔反応(8)〕、VIIをアルカリ触媒存在下に異性化する〔反応(9)〕。
【0010】ダマセノンには、α−ダマセノン〔1−(2,6,6−トリメチル−2,4−シクロヘキサジエニル)−2−ブテン−1−オン;式(II)において6員環中の2位と4位に二つのC=Cが存在し、さらに2位にメチル基を有する化合物〕、β−ダマセノン〔1−(2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエニル)−1,2−ブテン−1−オン;式(II)において6員環中の1位と3位に二つのC=Cが存在し、さらに2位にメチル基を有する化合物〕およびγ−ダマセノン〔1−(6,6−ジメチル−2−メチレン−3−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン;式(II)において6員環中の3位に一つのC=Cが存在し、さらに2位にメチレン基を有する化合物〕が含まれる。ダマセノンは、各ダマセノン異性体に対応する1−カルバルデヒド化合物から合成することができる。例えば、β−ダマセノンに対応する1−カルバルデヒド化合物であるサフラナール〔2,6,6−トリメチル−1,3−ヘキサジエニル−1−カルバルデヒド〕を出発原料として、上記第1の方法に準じてβ−ダマセノンを合成する方法が知られている(特公昭46−43799)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】シクロシトラールからダマスコンを調製する上記第1、第2および第4の方法は、いずれも工程数が多く、不利である。また、第1および第2の方法には酸化工程と還元工程が含まれ、エネルギー消費面で無駄である。酸化工程では多量の二酸化マンガンや重クロム酸塩が用いられるため廃棄物の問題がある。上記第3の方法は、他の方法と比較して、工程数が一つ少いものの原料の入手に難があり、決して有利とはいえない。
【0012】サフラナールまたはその他の対応する1−カルバルデヒド化合物からダマセノンを合成する方法も、工程数が多く不利である。本発明の目的は、上記従来の方法と比較して、酸化・還元工程が省かれ、工程数が削減された工業的に有利な方法によってダマスコンおよびダマセノンを合成する方法を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、シクロシトラールIIIからダマスコンIIaを合成する方法について検討を重ねた結果、デヒドロダマスコールIaをパラジウム錯体と接触処理すると一工程でダマスコンIIaが得られることを見出した。このプロセスは、前記第1の方法において、デヒドロダマスコールIaを酸化し、得られたケトンを部分水素化し、次いで異性化する三工程によってダマスコンIIaを調製するプロセス、および前記第2の方法においてデヒドロダマスコールIaを部分水素化し、次いで酸化する二工程によってダマスコンIIaを調製するプロセスと比較すると著しく有利である。
【0014】さらに、本発明者らは、デヒドロダマセノールをパラジウム錯体と接触処理すると一工程でダマセノンIIbが得られることを見出した。このプロセスは、シクロシトラールIIIに対応するサフラナールから前記第1の方法と実質的に同様な方法によりダマセノンを得る従来のプロセスに比較して工程数が少なく著しく有利である。
【0015】かくして、本発明によれば、 式(I)
【化8】

(式中、点線は、前に定義したとおりである)で表わされる化合物をパラジウム錯体と接触処理することを特徴とする式(II)
【0016】
【化9】

(式中の点線は、式(I)中の点線と同義である)で表わされるダマスコンまたはダマセノンの製造方法が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の方法において、出発原料として用いる式(I)で表わされる化合物は、式(I)中の1−ヒドロキシ−2−ブチン−1−イール基〔−CH(OH)−C≡C−CH3〕に代えてホルミル基〔−CHO〕を有する1−カルバルデヒド化合物に有機金属プロペンME−CH=CH−CH3(ME=LiまたはMgBr)を付加し、得られた付加物を加水分解することによって製造される次の化合物(1)〜(4)である。
【0018】(1)デヒドロ−α−(またはβ−またはδ−)ダマスコール〔1−(2,6,6−トリメチル−2−(または1−または3−)シクロヘキセニル)−2−ブチン−1−オール;式(I)において6員環中の2位、1位または3位のいずれかに一つのC=Cを有し、さらに2位にメチル基を有する化合物〕;
(2)デヒドロ−γ−ダマスコール〔1−(2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキシル)−2−ブチン−1−オール;式(I)において6員環中にC=Cが存在せず、2位にメチレン基を有する化合物〕;
【0019】(3)デヒドロ−β−(またはα−)ダマセノール〔1−(2,6,6−トリメチル−1,3−(または2,4−)シクロヘキサジエニル)−2−ブチン−1−オール;式(I)において1位と3位に、または2位と4位に二つのC=Cを有し、さらに2位にメチル基を有する化合物〕;
(4)デヒドロ−γ−ダマセノール〔1−(6,6−ジメチル−2−メチレン−3−シクロヘキセニル)−2−ブチン−1−オール;式(I)において6員環中の3位に一つのC=Cを有し、さらに2位にメチレン基を有する化合物〕。
【0020】α−またはβ−シクロシトラールIIIからデヒドロ−α−(またはβ−)ダマスコールIaを調製する方法の具体例は、特公昭46−43799号公報および特開平4−279536号公報に記載されている。本発明の方法において用いるパラジウム錯体としては、酸化数0〜+IVの化合物が知られているが、酸化数0および2のものが好ましく用いられる。パラジウム錯体の具体例としては、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、トリストリフェニルホスフィンカルボニルパラジウム、テトラキストリブチルホスフィンパラジウム、酢酸パラジウム、トリフェニルホスフィン酢酸パラジウム、塩化パラジウムなどが挙げられる。
【0021】パラジウム錯体の使用量は、式(I)で表わされる化合物に基づき、通常0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲である。反応溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトンなどのケトン、ジエチルエーテルなどのエーテル、アセトニトリルのようなシアノ化合物などが用いられるが、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。
【0022】反応は、通常昇温下に行われ、25〜200℃の範囲、好ましくは40〜100℃の範囲で行われる。反応時間は20分間〜48時間、好ましくは1〜24時間の範囲で選ばれる。本発明の反応は、所望により、パラジウム錯体に加えて、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエタンなどの有機リン化合物、およびトリエチルアミン、炭酸ナトリウムなどの塩基の共存下に行うことができる。
【0023】本発明方法により調製される式(II)で表わされる化合物には次の7種の化合物が含まれ、これらの化合物は、果実様ないし花様の香気香味を有し、食品用および化粧品用の調合香料の素材として有用である。α−ダマスコン〔1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン〕、β−ダマスコン〔1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン〕、γ−ダマスコン〔1−(2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキシル)−2−ブテン−1−オン〕、δ−ダマスコン〔1−(2,6,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン〕、α−ダマセノン〔1−(2,6,6−トリメチル−2,4−シクロヘキサジエニル)−2−ブテン−1−オン〕、β−ダマセノン〔1−(2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエニル)−2−ブテン−1−オン〕およびγ−ダマセノン〔1−(6,6−ジメチル−2−メチレン−3−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン〕。
【0024】
【実施例】以下、実施例について本発明の合成方法を具体的に説明する。
実施例1(β−ダマスコンの合成1)
特公昭46−43799号公報の実施例4と同様な方法によりβ−シクロシトラール〔2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド〕からデヒドロ−β−ダマスコール〔1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2−ブチン−1−オール〕を合成した。このデヒドロ−β−ダマスコール100mg(0.53mmol)をトルエン2mlに溶解し、酢酸パラジウム5モル%およびトリフェニルホスフィン35モル%を加えた混合物を80℃で5時間攪拌した。反応による色の変化は認められなかった。反応液を冷却後、酢酸エチル10mlを加え、不溶物をろ過し、溶媒を減圧下に留去した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:10)で精製して標記化合物を得た(収率49%)。
【0025】実施例2(β−ダマスコンの合成2)
反応温度を80℃から110℃に変え、かつ反応時間を3時間に変えた他は実施例1と同様にβ−ダマスコンの合成を行った。反応液は赤黒色に着色した。反応温度が高いためにパラジウム黒が生成したものと推定される。実施例1と同様に精製して標記化合物を得た(収率20%)。
【0026】実施例3(α−ダマスコンの合成)
デヒドロ−β−ダマスコール〔1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル−2−ブチン−1−オール〕に代えて、デヒドロ−α−ダマスコール〔1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル−2−ブチン−1−オール〕を用いた他は実施例1と同様な方法によりα−ダマスコンを合成し、精製した。標記物質が収率40%にて得られた。
【0027】実施例4(β−ダマセノンの合成)
特公昭46−43799号公報の参考例12と同様な方法により、サフラナール〔2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエン−1−カルバルデヒド〕から、デヒドロ−β−ダマセノール〔1−(2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエニル)−2−ブチン−1−オール〕を合成した。このデヒドロ−β−ダマセノール100mg(0.53mmol)をトルエン2mlに溶解し、酢酸パラジウム5モル%およびトリフェニルホスフィン10モル%を加えた混合物を80℃で5時間攪拌した。反応による色の変化は見られなかった。反応液を冷却後、酢酸エチル10mlを加え、不純物をろ過し、溶媒を減圧下に留去した。残さをシリガゲルクロマトグラフィー(シリカゲル10g、酢酸エチル:n−ヘキサン1:10)で精製して標記化合物を得た(収率38%)。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法によれば、デヒドロ−α−(またはβ−またはδ−)ダマスコール〔1−(2,6,6−トリメチル−2−(または1−または3−)シクロヘキセニル)−2−ブチン−1−オール〕またはデヒドロ−γ−ダマスコール〔1−(2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキシル)−2−ブチン−1−オール〕から一工程で、それぞれα−(またはβ−またはδ−)ダマスコンまたはγ−ダマスコンが得られる。従って、デヒドロダマスコールを酸化し、得られたケトンを部分的水素化し、さらに異性化する三工程によって、または、デヒドロダマスコールを部分的水素化し、次いで酸化する二工程によって、α−(またはβ−またはδ−)ダマスコンを調製する従来法と比較して、本発明の方法は、工程数が減縮され、また、酸化および還元の両工程を別工程として行わなくてよい点で工業的に著しく有利である。
【0029】さらに、本発明によれば、デヒドロ−β−(またはα−)ダマセノール〔1−(2,6,6−トリメチル−1,3−(または2,4−)シクロヘキサジエニル)−2−ブチン−1−オール〕またはデヒドロ−γ−ダマセノール〔1−(6,6−ジメチル−2−メチレン−3−シクロヘキセニル)−2−ブチン−1−オール〕から、それぞれ一工程でβ−(またはα−)ダマセノンまたはγ−ダマセノンが得られる。この方法は、サフラナールを出発物質として、上記ダマスコンを製造する場合と同様な反応によりダマセノンを得る従来法と比較して著しく有利である。




 

 


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