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発明の名称 銅薄膜形成用有機銅錯体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−140075(P2001−140075A)
公開日 平成13年5月22日(2001.5.22)
出願番号 特願平11−327849
出願日 平成11年11月18日(1999.11.18)
代理人
発明者 角田 巧 / 高井 勉
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 下記一般式(I)
【化1】

で表される有機金属化学蒸着法による銅薄膜形成用有機銅錯体(式中R1、R2は炭素原子数1〜8のアルキル基または、炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基、R3は、水素原子、フッ素原子あるいは炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基、Ra,Rb,Rc,Rd,Reは、独立して水素原子あるいは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R4、R5、R6、R7は水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルキニル基あるいは炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。またR4とR6の両者により、メチレン基−(CH2n− (nは1〜8)による環状構造も表す。)。
【請求項2】 R3が、水素原子であることを特徴とする、請求項1記載の有機銅錯体。
【請求項3】 R1及びR2が、CF3であることを特徴とする、請求項2記載の有機銅錯体。
【請求項4】 Ra、Rb、Rc、Rd、Re、R4、R5、R6が全て水素原子で、且つR7がメチル基であることを特徴とする、請求項3記載の有機銅錯体。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体の配線等の銅薄膜を有機金属化学蒸着法(以下、MOCVDと称す)により形成する場合において、蒸着原料として用いるのに適した有機銅錯体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記の各種銅薄膜をMOCVD法により形成するに際して、蒸着原料として、下記式(II)で表される(トリメチルビニルシラン)(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(I)[以下、Cu(hfac)(tmvs)と称す]からなる有機銅錯体が用いられ、MOCVD法により、銅膜が形成されることは、良く知られている(特開平5−59551号公報)。
【0003】
【化2】

【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、MOCVD法に蒸着原料として従来用いられている上記式(II)で示される有機銅錯体Cu(hfac)(tmvs)は、熱安定性が悪いため、気化させる際の加熱温度に対して、気化容器内で徐々に分解反応が起こる。そのため、気化速度が経時的に不均一となる問題を有したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、MOCVD法により銅薄膜を作製するに当たって、気化の際の熱安定性に優れた有機銅錯体を見出すべく研究を行った結果、一般式(I)で表される銅薄膜形成用有機銅錯体を見い出した。
【0006】
【化3】

(式中R1、R2は炭素原子数1〜8のアルキル基または、炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基、R3は、水素原子、フッ素原子あるいは炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基、Ra,Rb,Rc,Rd,Reは、独立して水素原子あるいは、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。R4、R5、R6、R7は水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルキニル基あるいは炭素原子数1〜8のパーフルオロアルキル基を表す。またR4とR6の両者により、メチレン基−(CH2n− (nは1〜8)による環状構造も表す。)
【0007】上記一般式(I)のうち、R1およびR2がCF3基で、R3、R4、R5、R6、Ra、Rb、Rc、Rd、Reが何れも水素原子であり、且つ、R7がメチル基の有機銅錯体は、((2,3−η2)−5−メチル−2−ノルボルネン)(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(I)と呼ぶことができる[下記 式(III)あるいは式(IV)]。この有機銅錯体の合成に用いる5−メチル−2−ノルボルネンが、エンド体[式(V)或いはエキソ体[式(VI)]によって、生成する有機銅錯体も式(III)或いは式(IV)で示される物が得られる。また、用いる5−メチル−2−ノルボルネンが、エンド体[式(V)]及びエキソ体[式(VI)]の混合物を用いる場合、生成する有機銅錯体も式(III)と式(IV)の混合物が得られる。これらの有機銅錯体は、何れも新規物質である。
【0008】
【化4】

【0009】
【化5】

【0010】
【化6】

【0011】
【化7】

【0012】この新規有機銅錯体((2,3−η2)−5−メチル−2−ノルボルネン)(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(I)[以下、Cu(hfac))(men)と称す]は、室温付近で黄色の液体であり、優れた熱安定性を示す。
【0013】また、上記一般式(I)のうち、R1およびR2がCF3基で、R3、R4、R5、R6が水素原子、R7がビニル基の有機銅錯体は、((2,3−η2)−5−ビニル−2−ノルボルネン)(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(I)と呼ぶことができる[(下記の 式(VII)或いは式(VIII))]。
【0014】
【化8】

【0015】
【化9】

【0016】同様に、上記一般式(I)のうち、R1およびR2がCF3基で、R3、R5、R6が水素原子、R4、R7がメチル基の有機銅錯体は、((2,3−η2)−5,6−ジメチル−2−ノルボルネン)(1,1,1,5,−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(I)と呼ぶことができる[下記の式(IX)]。
【0017】
【化10】

【0018】従来知られている有機銅錯体Cu(hfac)(tmvs)[式(II)]は、80℃においては2〜3分で分解が起こり、Cuの析出が見られると同時に色調も黄色から黒緑色に変質してくる。それに対し、本発明の有機銅錯体であるCu(hfac)(men)では、80℃の温度下においては黄色液体のまま変化が見られず熱的に安定であることが分かる。
【0019】
【実施例】本発明の有機銅錯体は、次のようにして合成することができる。すなわち、酸化銅(I)、ノルボルネン系化合物及びアセチルアセトン系化合物を反応させる。生成物の精製は、常法のカラムクロマトグラフィーにより実施できるが、以下では、具体例を挙げて、本発明の有機銅錯体の製造方法について説明する。
【0020】実施例1本例では、一般式(I)において、R1およびR2がCF3基で、R3、R4、R5、R6、Ra、Rb、Rc、Rd、Reが何れも水素原子であり、且つ、R7がメチル基である有機銅錯体Cu(hfac)(men)の合成を例示する。反応はすべてアルゴン雰囲気下で行う。100ccの二口フラスコに乾燥し、アルゴン置換した塩化メチレン50mlを入れ、それに酸化銅(I)2.91g(20.3mmol)を懸濁させた。その懸濁液に5−メチル−2−ノルボルネン[エキソ体 式(V)とエンド体 式(VI)の混合物]2.20g(20.3mmol)を添加し、30分間室温で攪拌した。その後、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン4.23g(20.3mmol)を滴下した。滴下後、3時間室温で攪拌した。反応後、未反応の酸化銅をアルゴン下濾別し、黄緑色溶液を得た。この溶液を濃縮することにより、粗体である黄緑色液体の化合物を得た。該化合物をアルゴン雰囲気下、常法であるカラムクロマトグラフィーにより、黄色の液体である本発明の有機銅錯体Cu(hfac)(men)[エキソ体 式(VI)とエンド体 式(VII)の混合物]4.99g(13.2mmol 収率65%)を得た。
【0021】この有機銅錯体の同定は、NMR及び元素分析により行った。
(1)1H−NMR(CDCl3):エンド体、エキソ体有機銅錯体混合物δ0.47−1.09(m 4H)、 1.20−2.10(m 4H)、2.76−3.12(m 2H)、 5.21−5.36(m 2H)、 6.06(s1H)
【0022】(2)元素分析:C131362Cu測定値:C 40.7%、H 3.40%、Cu 16%理論値:C 41.2%、H 3.46%、Cu 16.8%融点:10℃【0023】また、本発明の有機銅錯体をガラスアンプル管に減圧下封入し、それを80℃で1時間加熱したところ、黄色のままで、目視による変質は全く確認されなかった。一方、比較のため、式(II)で表される従来型有機銅錯体Cu(hfac)(tmvs)について同様に80℃で加熱したところ2〜3分で、液色が黄色から黒色に変色し、またその後、銅がガラス壁に析出した。このことは、本発明の有機銅錯体が、気化の際に加えられる熱に対する安定性が優れていることを示している。
【0024】
【発明の効果】本発明の有機銅錯体は、室温付近で液体であり、且つ、熱安定性に優れているので、MOCVD法による均一且つ緻密な銅薄膜成膜原料として極めて有用であり、半導体装置の配線材料等として有用な銅薄膜の製造に有効に利用することができる。




 

 


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