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発明の名称 寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む混合物からなる膜及びその製造法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−131311(P2001−131311A)
公開日 平成13年5月15日(2001.5.15)
出願番号 特願平11−318453
出願日 平成11年11月9日(1999.11.9)
代理人
発明者 吉川 正和 / 村上 章 / 奥下 洋司
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む混合物からなる膜。
【請求項2】 寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む混合物に必要に応じて水を加えてシート状ゲルとした後、該シート状ゲルに荷重を加えながら乾燥することにより製造される請求項1記載の寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む混合物からなる膜の製造法。
【請求項3】 請求項2記載のシート状ゲルに多孔性材料及び/又は吸水性材料を積層し、得られた積層物に0.01〜2kgf/cm2の荷重を加えながら、0〜40℃で乾燥した後、積層した多孔性材料及び/又は吸水性材料を取り除くことにより製造される請求項1記載の寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む膜の製造法。
【請求項4】 寒天及び/又はアガロースを含有する化合物、ポリオキシエチレンを含む混合物からなる膜の片面あるいは両面に多孔性材料及び/又は吸水性材料とを積層した積層膜。
【請求項5】 寒天及び/又はアガロースを含有する化合物、ポリオキシエチレンとを含む混合物に必要に応じて水を加えて得たシート状ゲルの片面あるいは両面に多孔性材料及び/又は吸水性材料とを積層し、得られた積層物に0.01〜2kgf/cm2の荷重を加えながら、0〜40℃で乾燥することにより製造される請求項4記載の積層膜の製造法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物からなる膜及びその製造法に関する。この膜は厚みのバラツキが小さく、表面平滑性の良好な膜で、分離膜用材料など機能材料としての利用が期待されている。
【0002】
【従来の技術】寒天は、テングサを乾燥して熱湯で浸出し冷却凝固した、いわゆる「ところてん」を凍結乾燥したものであり、主成分はD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースのα1,3結合及びβ1,4結合の繰り返し単位からなるが、一部に、β1,3結合及びα1,4結合の繰返し単位やD−ガラクトースにピルビン酸がアセタール結合した単位や硫酸エステル化ガラクタン単位を含むものである。一方、アガロースは寒天の約70%を占める多糖類であり、1,3位で結合されたβ−D−ガラクトースと1,4位で結合された3,6−アンヒドロ−α−L−ガラクトースとの交互結合からなり、分子中に多数の遊離水酸基を有するゲルの状態になり易い中性多糖類である。一般に、寒天やアガロースはゲルとして利用されることが多く、特に、ゲルになり易いアガロースは、生体物質の分離を目的とした電気泳動用ゲルや植物育成用培地などに多く利用されている。また、分子中に多くの遊離水酸基を有するため、水酸基の水素結合相互作用を利用した新規材料や機能材料としての用途も開発が進められている。一方、寒天及びアガロースは安全性が高く、廃棄する場合にも環境に悪影響を及ぼすことが無いため、この点からも注目されている材料である。
【0003】一般に、寒天及び/又はアガロースに水を加えて加熱すると均一な水溶液が得られ、これを約40℃以下の温度に冷却するとゲルになることが知られている。寒天のゲルは、例えば、食品用途(特開平8−70808号公報など)、医薬品・化粧品用途(特開平9−202713号公報など)、植物や菌体用培地の用途(特開平5−227992号公報など)、金属及びセラミック成形用助剤の用途などに利用されている。
【0004】一方、アガロースのゲルは、酵素・抗体・レセプターなどのタンパク質、核酸、糖類などの生体物質の分離を目的とした高性能電気泳動用ゲルや生化学反応における反応物質供給用媒体などに利用されている。
【0005】上記のように寒天やアガロースをゲルとして利用する用途は数多く知られているが、シート、フィルムあるいは膜(本願では、シート、フィルム、膜などを総称して「膜」と記載することがある。)の状態にして、工業的に利用される例は、ほとんど知られていない。この原因の一つは、寒天及び/又はアガロースから厚みのバラツキが小さい、膜の表面や内部に大きなボイドが発生しない、表面平滑性が良好などの特徴を有する膜を製造することが難しい点にあった。従来、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物から厚みのバラツキが小さく、表面平滑性の良好な膜を製造する方法に関する提案は見あたらない。膜の製造を目的としたもので無いが、特開平5−9208号公報に、エチレン性二重結合を有する単量体を重合する場合の重合容器内壁面に付着させる重合体スケール防止剤として、重合容器内壁面に寒天及びアガロースからなる群より選択された少なくとも一種の化合物から塗膜を形成させるという技術が開示されている。この塗膜の製造方法は、寒天及び/又はアガロースを含む組成物の0.1〜1%の溶液を、この溶液がゲル状態にならない温度、通常、40℃以上の温度に加熱した重合容器内壁面の金属に塗布し、ゲル状態とならない40℃以上の温度を保ちながら乾燥する方法を提案している。
【0006】この提案は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物から膜を製造する方法に利用できるが、膜表面に窪みができ、凹凸があったり、膜の厚みにバラツキがあったり、膜の表面や内部に数mmの大きさのボイドがあったり、また、生成した塗膜が金属表面に接着して、剥がすことが難しかったりなどして、良好な膜を得ることが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物から、膜厚のバラツキが小さく、表面平滑性の良好な膜及びその製造法の提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物からなる膜厚のバラツキが小さく、表面平滑性の良好な、すなわち、膜表面に窪みなどの凹凸が少なく、膜の表面や内部に特性に影響を与えるようなボイド、例えば、径が数mm以上のボイドの無い膜及びその製造法について鋭意検討を重ねた結果、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物にポリオキシエチレンを加えた水溶液をつくり、この水溶液から寒天ゲル及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含むシート状ゲルをつくり、このシート状ゲルに特定範囲の荷重を加えながら、特定の温度範囲で乾燥、脱水することにより目的とする膜が得られることを見出し、本発明に到達した。なお、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物がゲル生成に必要な水分を含んでいる場合は、特に、水溶液としないで、そのままシート状ゲルを生成させて荷重を加え、乾燥することで膜を製造できることもある。
【0009】すなわち、本発明の第1の発明は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む混合物からなる膜である。
【0010】本発明の第2の発明は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む混合物に必要に応じて水を加えてシート状ゲルとした後、該シート状ゲルに荷重を加えながら乾燥することにより寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む混合物からなる膜の製造法である。
【0011】本発明の第3の発明は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物、ポリオキシエチレンを含む混合物からなる膜の片面あるいは両面に多孔性材料及び/又は吸水性材料とを積層した積層膜である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、詳細に本発明を説明する。本発明で使用される寒天及び/又はアガロースを含有する化合物は種々のタイプのものが市販されているが、いずれのタイプのものでも何らの制約なく用いることができる。寒天及びアガロースを含有する化合物はそれぞれ単独で使用しても良いし、両者を任意の割合で混合したものを使用することができる。寒天の主成分はD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースのα1,3結合及びβ1,4結合の繰り返し単位からなるが、一部に、β1,3結合及びα1,4結合の繰返し単位やD−ガラクトースにピルビン酸がアセタール結合した単位や硫酸エステル化ガラクタン単位などを含んでいても良い。
【0013】アガロースは1,3位で結合されたβ−D−ガラクトースと1,4位で結合された3,6−アンヒドロ−α−L−ガラクトースとの交互結合からなり、分子中に多数の遊離水酸基を有し、ゲルを生成し易い中性多糖類である。また、寒天の約70%を占める多糖類であり、寒天から分離して得ることもできる。本発明の寒天やアガロースを含有する化合物は、寒天やアガロースがそれぞれ40〜100重量%、好ましくは、60〜100重量%含有されている化合物である。上記の構成成分以外としては、公知の単糖類、植物性粘液質多糖類、動物性粘液質多糖類、デンプン類やその誘導体やセルロース誘導体などが挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の天然高分子や合成高分子が含まれていても良い。
【0014】また、ポリオキシエチレンは市販のポリオキシエチレンであれば特に制限されないが、室温で固体のポリオキシエチレンが好ましく、さらに数平均分子量が1,000〜500,000のポリオキシエチレンが好ましい。数平均分子量が1,000未満であると寒天及び/又はアガロースからブリードアウトすることがあり、均一な混合物を得ることが難しく、数平均分子量が500,000をこえるとゲルを調製する場合の溶液の粘度が高くなり、シート作成などの作業性が難しくなる。ポリオキシエチレンと寒天及び/又はアガロースを含有する化合物との混合比率はゲルが生成する範囲であればなんら制限されず、通常、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物100重量部に対して、ポリオキシエチレン0.1〜1,000重量部、好ましくは、1〜400重量部である。
【0015】本発明の膜は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシメチレンとを、通常、水などの溶媒に溶解し、ゲルの状態にしてから製造される。寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシメチレンとからのゲルの調製は、溶媒として水が好ましく用いられる。使用される水の種類は特に制限されず、水道水、イオン交換水、蒸留水など通常入手可能な水であれば使用できる。寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシメチレンとは、同時に水に加えても良いし、どちらか一方を水溶液としてから、残りの一方をその水溶液に加えても良い。
【0016】また、ゲルを効率良くつくるため、この水に他の適当な溶剤を混合しても良い。水に混合される溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族低級アルコール類、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類あるいはアセトニトリルなどの水溶性の有機溶剤を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を水に混合して使用することができる。水とこれらの溶剤とからなる溶液を使用する場合、溶液中の水以外の溶剤の割合は、0より多く20重量%以下、好ましくは0より多く10重量%以下である。溶剤の割合が20重量%を越えると溶液を冷却した時、寒天及び/又はアガロースが析出することがあり、均一な状態のゲルが得られないことがある。
【0017】寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシメチレンと必要により加えられた水とからなる混合物の溶液は、液温50℃より高い温度、好ましくは60℃以上に加熱することにより得られる。50℃以下では、寒天及び/又はアガロースの溶解に著しく長時間を要し、実用的ではない。溶液中の寒天及び/又はアガロースの濃度は、溶液を40℃以下に冷却した場合、ゲル状態となる濃度であれば特に制約はないが、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。濃度が0.01重量%未満の場合、得られるゲルの強度が低くなりすぎることがあり、均一な状態でゲルに荷重を加えることが難しくなる。また、濃度が10重量%を越えると、溶液調製時に不溶物が生成したり、溶液の粘度が高くなりすぎて、膜製造の作業性が悪くなったり、表面平滑性の良い膜を得ることが難しくなったりすることがある。
【0018】膜製造にあたっては、ゲルの状態となった寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物をシート状にして使用することが好ましい。シート状の寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物とからなるゲルを調製する方法は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物とを水などに溶解して得た溶液をシャーレ、バットなどの底がフラットな容器に入れ、冷却して造る方法が簡便な方法である。冷却する温度は、0〜40℃、好ましくは0〜30℃である。冷却する温度が40℃を越えると、ゲルを造るのに長時間を要し実用的でない。また、0℃未満では溶液中の水が凍結することがあり、膜製造に適した良好なゲルが得られないことがある。シート状ゲルの厚さは、シートを製造する容器の底面積とその容器に入れる溶液の量によって調節される。膜製造に使用されるシート状ゲルの厚さは得ようとする膜の厚さによって異なるが、一般的には、厚さ0.1〜10mmのシート状ゲルが、膜製造の作業性が容易となるので、好ましい。
【0019】寒天及び/又はアガロースを含有する膜の製造法の一例を以下に示す。得られたシート状ゲルから製造しようとする膜の寸法(縦×横の大きさ)とほぼ同じ寸法のシート状ゲルを切り出す。切り出されたシート状ゲルに、そのまま所定量の荷重を加えるか、あるいは、切り出されたシート状ゲルの片面又は両面にシート状ゲルと同面積以上の多孔材料を積層した後、所定量の荷重を加えるか、あるいは、シート状ゲルの片面又は両面に多孔材料を積層した後、さらに、その片面又は両面に吸水性材料を積層し、これに所定量の荷重を加えて、0〜40℃の温度で保持し、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物から得たシート状ゲルから水分を除去、乾燥することにより、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物を含む膜は製造される。多孔材料や吸水性材料はシート状ゲルの片面又は両面のいずれに使用しても良いが、どちらかと言えば、水分が効率良く除去できる、両面に使用した方が良い。
【0020】以上の方法で得た膜は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物を含む膜単独でも使用できるし、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物を含む膜と多孔材料及び/又は吸水性材料と積層された積層膜として使用することもできる。また、得られた寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンを含む混合物を含む膜は、上記の特定条件下で製造するため、均一な状態で脱水、乾燥ができ、膜厚のバラツキは小さく、膜表面や内部に特性に影響を与えるような大きなボイドは存在しない、表面平滑性の良い膜である。このような膜は、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物からも得られるが、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物にポリオキシエチレンを加えた方が、より容易に製造することができる。この理由は明確となっていないが、ポリオキシエチレンを加えた方がより安定した、作業性の良いゲルが生成するためと考えられる。
【0021】上記で使用する多孔材料は膜状多孔体で膜の表面から裏面まで連通した孔を有するものが好ましく使用される。孔の径や空孔率に特に制約は無いが、孔径は0.5mmより小さくほうがよく、空孔率は5%以上、好ましくは、30%以上のものが良い。これら多孔材料の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリテトラフロロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの高分子多孔フィルムがある。これらは特別に調製する必要はなく、市販の高分子多孔フィルムが使用できる。なお、水や水蒸気を透過させる特性を有する材料であれば、特に、多孔材料で無い、空孔率0%の高分子フィルムを使用することも可能である。また、寒天及び/又はアガロースを含有する膜を単独で得ようとする場合、シート状ゲルとの接着性の小さい多孔材料を積層することが好ましく、これらの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフロロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどの疎水性高分子が挙げられる。
【0022】シート状ゲルやシート状ゲルと多孔材料とを積層したものの片面あるいは両面に積層する吸水性材料は、上記多孔材料を透過してきた水分や水蒸気を吸収してゲルの乾燥を促進するために使用される。従って、吸水性を有する多孔材料が好ましく用いられる。これら吸水性を有する多孔材料の具体例としては、ろ紙などの紙類、セルロース、酢酸セルロース、ナイロンなどの親水性高分子が挙げられる。これらの親水性高分子は、織物、不織布などの形状で使用されることが多い。これら吸水性を有する多孔材料は、吸湿状態により、適宜交換することにより脱水が促進され、ゲルの乾燥をより効率的に行うことができる。
【0023】上記のシート状ゲル、シート状ゲルと多孔材料及び/又は吸水性材料とからなる積層物に加える荷重は、できるだけシート面に垂直な方向から、シートのほぼ全面に均一に加えることが好ましい。荷重はシートの片面又は両面のいずれから加えても、問題はないが、出来るだけシート面に均一に加えることが好ましい。加える荷重が部分的であったり、不均一であったりすると、得られる膜の厚さにバラツキが発生して好ましくない。加える荷重はゲルの含水率、寒天及び/又はアガロース、ポリオキシエチレンの種類などによって異なるが、一般的には、0.01〜2kgf/cm2である。加える荷重が上記の範囲を外れる場合、得られる膜の厚さにバラツキが発生したり、膜表面に窪みができたり、膜の表面や内部にボイドが発生することがある。
【0024】荷重を加えながらシート状ゲルを乾燥、脱水する温度は、0〜40℃である。温度が0℃未満であると、ゲル中の水分が凍ることがあり、良好な膜を得ることが難しくなる。また、40℃を越えた場合、ゲルが溶解し、表面平滑性の良好な膜を得ることが難しくなったり、膜の表面や内部にボイドが発生したりして、良好な膜を得ることが難しくなる。
【0025】荷重を加えながらシート状ゲルを乾燥する時間は、加える荷重や乾燥する温度によって適宜選択されるが、一般的には、数時間から数週間である。
【0026】本発明の効果が阻害されない範囲で、本発明の膜に熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防腐剤、防かび剤、殺菌剤などを添加することができる。
【0027】本発明の膜は、分子中に多数存在する水酸基に基づく強固な分子間水素結合を有する分子構造のポリマー膜であり、ガスバリヤー材料や分離膜などの機能材料としての利用が期待される。分離膜としては、例えば、本発明の膜でポリオキシエチレンの配合比率が0.1〜75重量%の膜は、エーテルとアルコールの混合溶液からアルコールを選択的に透過し、エーテルとアルコールとを効率的に分離することができる膜である。この膜は、特に、メチル−t−ブチルエーテルとメタノールとの混合溶液の分離に有効である。これらエーテルとアルコールの混合溶液を分離する場合、膜の上流側を液体状態、下流側を蒸気状態として使用すると効率的に分離できる。また、寒天及び/又はアガロースを含有する化合物とポリオキシエチレンとを含む膜と各種の有機材料や無機材料との複合化による新規材料の開発も期待されている。
【0028】以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0029】実施例1200mlの三角フラスコに粉末アガロース(日本バイオ・ラボラトリーズ社製、アガローススタンダードLow−mr、Gel Strength≧1000g/cm2(1.0% gel))0.4g、ポリオキシエチレン(ナカライテクス社製、POE=20000、分子量15000〜25000)0.4g及び殺菌剤としてアジ化ナトリウム8mgを入れ、これにイオン交換水を加えて全量を40gにした。これを60℃に加熱して均一な水溶液を調製した。この水溶液全量を底が平滑な14cm×15cm四方のバットに入れ、水平状態を保ちつつ室温で24時間保持することにより、シート状のアガロースとポリオキエチレンからなるゲルを調製した。一方、水平な台の上に別のバットを準備し、このバットに底から14cm×15cm四方のろ紙(アドバンテック製、No.2)、14cm×15cm四方のポリテトラフロロエチレン製多孔フィルム(アドバンテック製、平均孔径0.1μm)、先に調製したシート状アガロースとポリオキエチレンからなるゲル、ポリテトラフロロエチレン製多孔フィルム、ろ紙の順に層状に重ね、その上からほぼ同じ寸法の21.9kgの重しを置き圧縮した(荷重は約0.104kgf/cm2)。ろ紙を1〜2日おきに新品と交換しながら、この状態で室温で15日間乾燥した。その後、ポリテトラフロロエチレン製多孔フィルム及びろ紙を取り外し、アガロースとポリオキエチレンからなる膜を得た。この膜は無色の透明性を有するフィルム状の表面平滑性の良い膜であり、膜厚は23〜29μmで、厚みのバラツキの小さい膜であった。なお、膜厚は厚み計(DIGITAL MICROMETER M-30、Sony Magnescale Inc.製)を使用し、膜の任意の5点を測定し、その最大と最小の膜厚を、実施例、比較例に記載した。
【0030】実施例2実施例1の粉末状アガロースにかえて粉末状寒天(和光純薬工業製)0.4gを用いた以外は実施例1と同様に実施した。得られた膜は無色の透明性を有するフィルム状の表面平滑性の良い膜であり、膜厚は25〜31μmで、バラツキの小さい膜であった。
【0031】実施例3実施例1の粉末状アガロースにかえて粉末状アガロース(日本バイオ・ラボラトリーズ社製、アガローススタンダード、Gel Strength≧1000g/cm2(1.0% gel))0.2gと粉末状寒天(和光純薬工業製)0.2を用いた以外は実施例1と同様に実施した。得られた膜は無色の透明性を有するフィルム状の表面平滑性の良い膜であり、膜厚は28〜31μmで、厚みのバラツキが小さい膜であった。
【0032】実施例4水溶液を調製するのに、200mlの三角フラスコに粉末アガロース(日本バイオ・ラボラトリーズ社製、アガローススタンダードLow−mr、Gel Strength≧1000g/cm2(1.0% gel))0.1g、ポリオキシエチレン(ナカライテクス社製、POE=6000、分子量7300〜9000)0.05g及び殺菌剤としてアジ化ナトリウム4mgを入れ、これにイオン交換水を加えて全量を20gにしたこと、及び、シート状のアガロースとポリオキシエチレンとからなるゲルに重しを置き圧縮しながら乾燥する時間を7日とした以外は実施例1と同様に実施した。得られた膜は無色の透明性を有するフィルム状の表面平滑性の良い膜であり、膜厚は10〜12μmで、厚みのバラツキが小さい膜であった。
【0033】実施例5水溶液を調製するのに、実施例1で使用した粉末アガロースの使用量を1gとした以外は、実施例1と同様に実施した。得られた膜は無色の透明性を有するフィルム状の表面平滑性の良い膜で、膜厚は48〜55μmで、厚みのバラツキの小さい膜であった。
【0034】実施例6シート状ゲルに荷重をを加える重しの重量を21.9kgから100kgに変更し(荷重は0.476kgf/cm2)、乾燥時間を15日から5日に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。得られた膜は無色の透明性を有するフィルム状の表面平滑性の良い膜であり、膜厚は28〜31μmで厚みのバラツキが小さい膜であった。
【0035】実施例7シート状のアガロースとポリオキシエチレンとからなるゲルの両面に積層する高分子多孔フィルムがポリプロピレン製多孔フィルム(宇部興産社製、空孔率43%、平均孔径0.1〜0.2μm)である以外は実施例1と同様に実施した。得られた膜は無色の透明性を有するフィルム状の表面平滑性の良い膜で、膜厚は26〜29μmで厚みのバラツキが小さい膜であった。
【0036】実施例8実施例1で調製したシート状ゲルの両面に酢酸セルロース製多孔フィルム(アドバンテック、東洋濾紙社製、平均孔径0.1μm)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。得られた膜はアガロースとポリオキシエチレンとからなる膜と酢酸セルロース製多孔フィルムが接着しており、膜表面に窪みが観察されない、表面平滑性の良い積層膜であった。
【0037】比較例1実施例1で調製したシート状ゲルの乾燥温度を−10℃とした以外は実施例1と同様に実施した。得られた膜は透明性が悪く、膜表面に窪みが5,6箇所あり、そのため膜厚にバラツキは大きいものであった。また、膜の内部に径1mm以上の孔が数個観察された。
【0038】比較例2実施例1で調製したシート状ゲルの乾燥温度を45℃とした以外は実施例1と同様に実施した。乾燥温度が40℃をこえるために、ゲルが部分的に溶液となってシートの外にはみ出し、均一に荷重できなかった。そのため、膜表面に大きな窪みが数カ所あり、膜厚のバラツキは大きいものであった。
【0039】
【発明の効果】寒天及び/又はアガロースからなる化合物及びポリオキシエチレンを含む混合物と必要に応じて水を加えて作成したシート状ゲルに、0.01〜2kgf/cm2の荷重を加えながら、0〜40どで乾燥することにより、従来、製造困難であった厚みのバラツキの小さい、表面平滑性の良好な寒天及び/又はアガロースを含有する膜を得ることができる、この膜は分離膜など機能材料用途で有望であり、安全性が高く、廃棄問題の少ない材料である。




 

 


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