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発明の名称 調湿建材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−130946(P2001−130946A)
公開日 平成13年5月15日(2001.5.15)
出願番号 特願平11−311961
出願日 平成11年11月2日(1999.11.2)
代理人
発明者 西岡 憲一朗 / 浜里 剛 / 澤邊 則彦 / 長井 正明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】珪藻土30〜75重量部、消石灰20〜40重量部、珪砂1〜10重量部、石膏1〜10重量部、パルプ1〜10重量部、繊維0.1〜3重量部を含むスラリーから抄造成形した後、養生して製造した事を特徴とする調湿建材。
【請求項2】更に全体の10重量部以下のパーライトを添加した事を特徴とする請求項1に記載の調湿建材。
【請求項3】更に全体の30重量部以下のポルトランドセメントを添加した事を特徴とする、請求項1または2に記載の調湿建材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸放湿性能に優れていることから、建造物の壁材等に好適に使用される調湿材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】夏場に高温多湿となる日本においては、構造的には通風性に配慮すると共に、材質的には木材、土壁等調湿性を有する材料を使用した家屋が伝統的に利用されてきた。しかし、近年、民生用の空調機器が発達するに連れ、建築物の気密性を向上させることが要求されるようになり、それを可能にする新建材の開発も進み、各種新建材が多用されるようになった。開発されたこれ等の新建材は、気密性、耐火性更には遮音性能に優れたものであり、特に夏場における空調機器使用下ではその性能を発揮するが、調湿機能が十分でなく、空調を使用しない季節における建材表面での結露が新たな問題となっているのである。
【0003】当然のことながら、建材の調湿性能を改善する試みは多数為されている。また、多数の市販品も既に存在する。例えば、特開平10−81556号公報には、珪酸カルシウムをマトリックスとし、ゼオライト、セピオライト、珪藻土等の無機鉱物を調湿材としたものに、繊維を加えた原料を、プレス脱水成形して製造した珪酸カルシウム系成形体が開示されている。該材料は、高い強度・靭性を保つと共に、調湿容量の向上を狙ったものであるが、確かに調湿容量は向上しているものの、後述するように成分として含まれる調湿材の機能を未だ活かしきった使い方とはなっておらず、調湿容量の点で更なる改良を必要とするものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、吸放湿速度、吸湿容量共に優れていることは勿論のこと、製造時の成形性、更には施工時の加工性にも優れた、調湿建材及びその製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、珪藻土を調湿材として含み、珪藻土の本来有する特性を殺さない製法で成形し、且つ成形体の養生時に珪酸カルシウムを形成させる事で調湿容量が大幅に改善され、且つ強度面でも優れた調湿材が得られる事を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、珪藻土30〜75重量部、消石灰20〜40重量部、珪砂1〜10重量部、石膏1〜10重量部、パルプ1〜10重量部、繊維0.1〜3重量部を含むスラリーから抄造成形した後、養生して製造した事を特徴とする調湿建材に関する。以下に、本発明を詳しく説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の調湿材は、一般の調湿材がプレス成型されるのに対し、抄造で成型される事を一つの特徴としている。抄造での成型を可能にするために、抄造前の原料がある程度の粘性を有している事が要求されるが、本発明では、石膏を必須成分として添加する事で粘性を付与している。石膏量は、重量比で全体の1〜10%とする。1%より少ないと添加効果が十分に発揮せず、抄造が困難になるだけでなく、強度的に、珪藻土の多量の添加が困難となり、十分な調湿能力を持った調湿建材が得られない。一方、石膏量が10%より大であると膨張により爆裂を起こす事が在り好ましくない。石膏は、天然品、合成品を問わず、2水、半水、無水物の何れもが使用可能である。
【0007】珪藻土は、本発明の調湿建材において、調湿性能発現の主要な担い手として働く成分であり、また、本発明成形体のマトリックスである珪酸カルシウム形成用原料としての機能も有している。珪藻土含有量が大である程、調湿性能は高くなるが、マトリックス量が低下し、成形体の強度低下にも繋がることから、過剰の添加は避ける事になる。本発明では、珪藻土の添加量はSiO2含有量78%の場合、重量比で全体の30〜75%、好ましくは40〜70%とすることにより、調湿性、強度共に十分な調湿材を得ることが出来る。珪藻土は、産状・産地により成分組成が多少変動する。変動の大きいものは添加量を補正する事により使用出来るが、SiO2含有量70%以上のものを使用するのが好ましい。
【0008】本発明において、消石灰は、成形後のオートクレーブによる養生過程で、珪砂の大部分及び珪藻土、更にはポルトランドセメントを添加した場合にはその一部をSi源として、トバモライト(5CaO・6SiO2・nH2O)形態の珪酸カルシウムを形成する。トバモライトにおけるCa/Si原子比は5/6であり、CaO/SiO2のモル比は、理論的には、0.83近くの値に設定する必要が在る筈であるが、CaOに比してSiO2の反応性が低い事から、Si量が過剰になる様に設定される。珪酸カルシウムの存在量は、Ca源である消石灰の添加量によって決まる事になるが、消石灰の添加量は20〜40重量%、好ましくは25〜35重量%とする。消石灰の量が多過ぎると、調湿材として働く珪藻土残存量が少なくなり、十分な調湿能を有する調湿材が得られず、逆に消石灰量が少な過ぎると、マトリックスとして働く珪酸カルシウム生成量が少なくなり、建材として十分な強度を有するものが得られない事になる。
【0009】珪酸カルシウムのSi源の一つとして添加される珪砂は、珪藻土より消石灰との反応性が高く、且つ、生成トバモライト型珪酸カルシウムは、結晶生成の核となり得ることから、トバモライト型珪酸カルシウムの生成を確実なものにする事に大きな意味があり、添加量は大きくなくて良い。本発明においては、1〜10重量部の珪砂を添加する。なお、添加した珪砂はほぼ全量がオートクレーブ養生後は、珪酸カルシウムに変換されるものと考えられる。
【0010】本発明の調湿材は、上記無機成分の他に、パルプ及び繊維を構成成分として含んでいるが、パルプ、繊維は、成形体の強度及び靭性向上に大きな役割を果たす。パルプは、セピオライト、ワラストナイト等の繊維状無機物、レーヨン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル等の有機繊維が使用できるが、長さ:3〜12mm、太さ:10〜150μmのものを使用する。長さ、太さが適当でないと、繊維に期待する特性が十分に発現しなかったり、或は、繊維添加に特異的なダマ形成を引き起こし、逆に特性低下を招く。
【0011】一方、本発明で使用するパルプは、木材パルプ、竹パルプ、ボロパルプ、リンターパルプ等各種のものが使用可能であるが、生産量の90%を占める木材パルプが、当然、最も好ましいものである。また、バージンパルプを使用する必要はなく、故紙から製造した回収パルプも特性的には何等問題無く、コストの面も勘案すると最も好ましい材料である。本発明で使用するパルプの繊維長は、1〜12mm、好ましくは3〜6mmの範囲のものを使用することにより、無機材料との混合性に優れているだけでなく、特性的に優れた建材ボードを得ることが可能となる。繊維及びパルプの添加量は夫々、全体の0.1〜3重量%及び1〜10重量%とする。少ないと添加効果が十分発揮せず、多すぎると分散性低下に起因する強度低下に繋がるからである。
【0012】本発明の調湿材には、ポルトランドセメントを添加する事が出来る。ポルトランドセメントは、珪酸カルシウム形成のCa源、Si源となるだけでなく、その添加により成形体の初期強度が向上し、抄造成形が容易になるだけでなく、製品の曲げ強度の向上を図る事が出来る。ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントの使用が好ましいが、ポルトランドセメントの添加量が多すぎると、製品の比重が大となるだけでなく、釘打ち、鋸引き等の加工性が悪くなる事から、その添加量は30%以下とするのが好ましい。
【0013】本発明の調湿建材には、パーライトを添加することもできる。パーライト添加は、成形体の軽量化に非常に効果のある方法であるが、従来のプレス成形では成形時にパーライトの構造が機械的に破壊され、添加効果が十分に発現した成形体を得る事が出来なかった。本発明では、抄造で成形される事から、パーライトの特性を殺さない成形が可能となり、嵩比重0.7のものを得る事が出来る。
【0014】パーライトは、粒径0.6mm以下のものの使用が混合性、強度面から好ましい。また、その添加量は、添加量を増やせばより高い軽量化が可能となるが、過度の添加は強度の低下に繋がるため、全体の10重量%以下とするのが好ましい。
【0015】本発明の調湿材は、製造の最終段階で、サンディングマシンで研削して成形体の厚みを調整して製品とするが、その際に発生する微粉体(ダスト)を原料として再利用することが出来る。ダストの添加は、コスト低減に有効であるが、過剰の添加は強度低下に繋がるため、添加量は全体の10重量%以下とするのが好ましい。
【0016】珪酸カルシウムを構成成分として含む調湿建材の一般的な製造方法は、予め調製した珪酸カルシウムを出発原料として仕込む方法であるが、この方法では、反応器であるオートクレーブからの取り出しを可能にするために回転式オートクレーブを使用して生成させた粒子状珪酸カルシウムが使用されることになる。粒子状の珪酸カルシウムでは、粒子同志の摩擦力のみにより互いの結合を保持しているため、SBRラテックス等の結合剤を添加する必要がある。それに対し、本発明の調湿材では、成形後に静置式オートクレーブ内で珪酸カルシウムに変換する事により、余分な成分である結合剤の添加なしに高強度の調湿材を得る事が出来る。
【0017】上記、珪砂、珪藻土、消石灰、石膏、繊維及びはパルプの所定量に、更に必要に応じて研削ダスト、パーライトを加えた原料を水と攪拌・混合して濃度2〜5重量%のスラリーを調製する。成形は、該スラリーの抄造によって行うが、丸網等、公知の各種抄造法が使用可能である。抄造後の生板は、ロール絞りを掛けた後、切断して1〜2mm厚さの成形体生板を得る。該成形体生板は、所定枚数重ねて成形体原板を得る。養生は、該成形体原板をオートクレーブ中で150〜200℃の条件下で処理して行われるが、この工程で、トバモライトタイプの珪酸カルシウムマトリックスが形成される。 養生後の硬化体は、100〜150℃で0.5〜1時間乾燥して、最終硬化体を得るが、硬化体は、更に、所定厚さに研削し、且つ所定サイズにトリミングし、最終製品を得る。また、最終製品には、透湿性の塗料、クロスを用いる事により、表面の化粧仕上げをすることも可能である。
【0018】以下に、具体的例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
【実施例】水に、叩解バージンパルプ2.7重量部、叩解再生紙1.3重量部及び未叩解バージンパルプ0.9重量部よりなるパルプ類、及び、3mm長さのレーヨン0.8重量部を加え、固形分濃度2重量%の懸濁液としたものに、珪砂5重量部、珪藻土45重量部、石膏5重量部、消石灰30重量,セピオライト1.1重量部、パーライト2.7重量部及び研削ダスト5.5重量部を添加した後,攪拌混合して、抄造用の懸濁液を得た。
【0019】成形は、丸網ロールを有するオーバーフロー式抄造機を使用し、抄造法で行った。抄いた後の成形体生板はメーキングロールを使用して5kgf/cm2の絞り圧で脱水し、厚み約15mmの成形体原板を得た。該成形体原板は、長さ2420mmに切断し、7枚を重ね10kgf/cm2の低圧でプレスし、厚さ約12mmの成形体を得た。
【0020】成形体は、オートクレーブ中180℃、湿度100%で5時間養生して硬化体を得た。硬化体はオートクレー部より取り出し、110℃で35分乾燥した後、表面の研磨及びトリミングを行い、幅900mm×長さ2420mm×厚さ9.5mmの最終製品を得た。XRDでトバモライト態の珪酸カルシウムの存在が確認される。
【0021】最終製品については、機械的特性の評価を行った。評価項目と、測定法及び結果を表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】調湿特性については、次の方法で測定した。測定は、約300mm角のテストピース3枚を使用して行った。20℃、相対湿度60%の雰囲気下に3日間放置した試料を、20℃、相対湿度90%の環境下に移し、24時間の重量変化(増加)を測定して吸湿特性を調べた。次に、再度、20℃、相対湿度60%の雰囲気下に移し、24時間の重量変化(減少)を測定した。同様の測定は、市販の半合成壁材(珪藻土系2種、アルミノ珪酸塩系1種)及び天然材である桧についても行った。結果を図1に示す。
【0024】本件発明の調湿性能は、吸・放湿速度、吸・放湿量の両面で市販品より格段に優れている事が分かる。また、特開平10−81556号公報には、珪藻土を45重量%添加してプレス脱水成形した製造した調湿材の例が開示されているが、開始時・終了時の湿度条件、吸湿時間等の測定条件が異なっており厳密な比較は出来ないものの大凡の比較は可能である。例えば、特開平10−81556号公報と同じ吸湿開始15時間経過時点における吸湿量は220g/m2であり、この値は、特開平10−81556号公報に示された、珪藻土を45重量%含んだ調湿材の示す吸湿量165g/m2に比してかなり高い値である。
【0025】共通サンプルである桧については、本発明の測定法における58g/m2の吸湿値に比して、特開平10−81556号公報記載の測定法においては、108g/m2と、非常に高く計測されることから、上述の含珪藻土調湿材についても、同一条件下で測定された調湿量の差異は、上に示されたものより更に大きくなる筈であり、この点からも本発明の調湿材の優れた調湿特性が確認される。
【0026】また、強度的には、運搬時に掛かる負荷に十分耐える曲げ強度を有している事は勿論のこと、鋸引きの可能な硬さ、及び釘打ちを可能にするに十分な釘引抜抵抗値を示し、内装材としての加工性にも優れた特性を有している。
【0027】
【発明の効果】本発明の調湿材は、高い吸放湿速度、吸放湿容量を示すのは勿論の事、機械的特性にも優れている。木材同様の加工特性も有しており、軽量化も可能である。すなわち、調湿建材として優れた特性を有するものであり、建設分野におけるその用途は広い。




 

 


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