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発明の名称 変性ブタジエンゴム組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−114939(P2001−114939A)
公開日 平成13年4月24日(2001.4.24)
出願番号 特願平11−292170
出願日 平成11年10月14日(1999.10.14)
代理人 【識別番号】100065226
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
【テーマコード(参考)】
4J002
4J028
4J100
【Fターム(参考)】
4J002 AC111 DJ016 EX027 EX077 EX087 FD016 FD147 GM01 GN01 
4J028 AA01A AB00A AC47A BA00A BA01B BB00A BB01B BC16B CA32C EA01 EB13 EC01 FA02
4J100 AS02P BA77H CA01 CA14 DA01 DA09 FA09 HA37 HA61 HB30 HC78 HC79 HD08 HE05 HE14 JA29
発明者 八木 則子 / 村岡 清繁 / 井上 篤司 / 中島 哲司
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (A)コバルト化合物、(B)有機アルミニウム化合物、および(C)水からなる触媒を用いて、共役二重結合を有するブタジエンを重合して得られたブタジエンゴムを、下記一般式(1)および/または(2)
k(R′O)lSi (1)
m(R′O)nSiH (2)
(式中、RおよびR′は、各々、同一もしくは異なる炭素数1〜20の炭化水素基であり、kは0〜3の整数、lは1〜4の整数、mは0〜2の整数、nは1〜3の整数であって、k+l=4、m+n=3である。)で表されるアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物を用いて変性した、繰返し単位の80%以上がシス−1,4構造であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20〜80、重量平均分子量が20,000〜1,000,000、変性剤に起因するケイ素含有量が10ppm以上であることを特徴とする変性ブタジエンゴムゴム10〜80重量%を含むゴム成分100重量部に対して、シリカ5〜100重量部、およびシランカップリング剤をシリカ重量に対して0〜15重量%含有する変性ブタジエンゴム組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性を低下させることなく、転がり摩擦抵抗特性(燃費特性)、ウエットスキッド特性やウエットオンアイス特性(雪氷上性能)、耐摩耗性にとくに優れた変性ブタジエンゴム組成物に関する物である。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車タイヤゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)およびスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などが使用されている。
【0003】近年、自動車の低燃費化の要求と、水上、雪上および氷上における走行安全性の要求が高まり、自動車のタイヤトレッドゴムとして、転がり抵抗が少なく、水上、雪上および氷上における路面グリップの大きな材料の開発が望まれるようになってきた。
【0004】しかし、BRのように反発弾性の大きな(転がり抵抗の小さな)ゴムは、ウェットスキッド抵抗が小さく、SBRのように反発弾性が小さな(転がり抵抗が大きな)ゴムは、ウェットスキッド抵抗も大きいという特性があり、これらはお互いに二律背反の関係にあった。そこで、これらの特性値をいかにバランス良く保持させ、両方の特性値を改善させるかが課題であった。
【0005】このような問題を解決する手段として、リチウム系触媒により、低シス共役ジエン系ゴムを変性剤により、化学変性する方法が数多く提案されている。たとえば,低シスBRをベンゾフェノン化合物で変性する方法が、特開昭58−162604号公報、特開昭59−117514号公報に提案されており、自動車タイヤの転がり抵抗が小さく、ウェットスキッド抵抗が大きくなるという改善効果が認められている。
【0006】また、リチウム触媒で製造した低シスBRを、ケイ素またはスズ化合物と特定のアミノシラン化合物で反応させて、変性ジエン系重合体ゴムを製造する方法が特開平1−284503号公報に開示されており、反発弾性が高く、低温でのJIS硬度が高く、加工性に優れることが述べられている。
【0007】しかしながら、低シスBRは、高シスBRと比較して、耐摩耗性と反発弾性が不十分であり、変性によっても、この問題点は解決することができない。
【0008】また、リチウム触媒により得られた低シスBRは、重合体の末端が活性化された状態にあり(リビング状態)、変性剤との反応が容易であるが、コバルト、チタン、ニッケル系の触媒により製造された高シスBRは、反応性に乏しく、変性剤との反応が困難である。そのために、これまで、高シス−1,4構造を有するゴムに関する変性方法の提案は、あまり行われていなかった。
【0009】一方、近年、低発熱化充填材としてシリカを使用する方法が多数報告されているが、シリカはその表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり、これらの問題を解決するために、各種シランカップリング剤が開発されている。しかし、これらのシランカップリング剤はコストがかかる割に、ゴム組成物の作業性および加工性を高水準なものとするには、なお不十分であった。
【0010】前記問題を解決する一つの手法として、特開昭62−50346号公報、特開昭62−6568号公報、特開昭63−175001号公報などに記載されているように、ポリマーの末端をあらかじめシリカと反応しやすい官能基アルコキシシラン変性を行う方法や、特開平8−53576号公報の末端エポキシ基変性などがある。
【0011】しかし、これらの公報に記載されているようにポリマーの末端にこれらの官能基を付加した程度では、加工性および性能面どちらにおいても充分な効果は得られなかった。そこで我々は、シリカと反応しやすい官能基をあらかじめブタジエンゴムの二重結合部分に付加させ、官能基を数多くもつ変性ブタジエンゴムを用いることにより、加工性と性能を両立することを考えた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記課題を鑑みて、高シス−1,4構造を含有するブタジエンゴムを、アルコキシ基を含有するケイ素化合物により変性することにより、加工性を低下させることなく耐摩耗性、転がり抵抗、ウェットグリップ性能の改善された変性ブタジエンゴム組成物を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの諸問題も改善すべく鋭意検討した結果、高シス−1,4構造含有ブタジエンゴムを、アルコキシ基を含有するケイ素化合物により変性した変性ブタジエンゴムは、シリカとの反応性が高くなり、耐摩耗性、転がり抵抗特性、グリップ性能に優れた特性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち本発明は、(A)コバルト化合物、(B)有機アルミニウム化合物、および(C)水からなる触媒を用いて、共役二重結合を有するブタジエンを重合して得られたブタジエンゴムを、下記一般式(1)および/または(2)
k(R′O)lSi (1)
m(R′O)nSiH (2)
(式中、RおよびR′は、各々、同一もしくは異なる炭素数1〜20の炭化水素基であり、kは0〜3の整数、lは1〜4の整数、mは0〜2の整数、nは1〜3の整数であって、k+l=4、m+n=3である。)で表されるアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物を用いて変性した繰返し単位の80%以上がシス−1,4構造であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が20〜80、重量平均分子量が20,000〜1,000,000、変性剤に起因するケイ素含有量が10ppm以上であることを特徴とする変性ブタジエンゴム10〜80重量%を含むゴム成分100重量部に対して、シリカ5〜100重量部、およびシランカップリング剤をシリカ重量に対して0〜15重量%含有する変性ブタジエンゴム組成物に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳しく説明する。
【0016】本発明で使用される共役二重結合を有するブタジエンとは、ブタジエンゴムの原料モノマーとして用いられるものである。
【0017】本発明において使用される触媒の(A)成分であるコバルト化合物としては、有機カルボン酸コバルト、有機スルホン酸コバルト、β−ジケトンコバルト錯化合物、ハロゲン化コバルトの第三級アミン錯化合物などが用いられる。具体例としては、2−エチルヘキサン酸コバルト(コバルトオクトエート)、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、マロン酸コバルト、オクタン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、酢酸コバルト、安息香酸コバルト、蓚酸コバルト、サリチル酸コバルト、ドデシルベンゼンスルホン酸コバルト、ビス(アセト酢酸エチル)コバルト、ビス(アセチルアセトナート)コバルト、トリス(アセチルアセトナート)コバルト、ジクロロ−ビス(ピリジン)コバルトなどがあげられる。これらの中で、有機カルボン酸コバルト、とくに2−エチルヘキサン酸コバルト(コバルトオクトエート)、オクタン酸コバルト、オクテン酸コバルト、ナフテン酸コバルトが好ましい。
【0018】本発明において用いられる触媒(B)成分である有機アルミニウム化合物としては、一般式AlR2X(ただし、Rはアルキル基、Xはハロゲン)で表されるものであり、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、ジヘキシルアルミニウムモノクロリド、ジエチルアルミニウムモノブロマイドなどがあげられる。これらの中で、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリドが好適に使用される。
【0019】本発明で使用される重合溶媒としては、不活性な芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素であり、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどである。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】前記コバルト化合物の使用量は、前記ブタジエン1モルに対して、1×10-7〜1×10-3モルが好ましい。コバルト化合物の添加量がこれらの範囲外の場合、重合活性が低下する傾向がある。
【0021】前記有機アルミニウム化合物の使用量は、前記ブタジエン1モルに対して、1×10-6〜1×10-1モルが好ましい。アルミニウム化合物の添加量がこれらの範囲外の場合、コバルト化合物と同様に重合活性が低下する傾向がある。
【0022】また、アルミニウムとコバルトの使用モル数の比は、重合活性の観点から10〜1000、好ましくは50〜500の範囲であることが望ましい。
【0023】前記水の使用量は、前記ブタジエン1モルに対して、1×10-6〜1×10-1モルが好ましい。水の添加量が1×10-6モル未満では、触媒活性向上の効果が小さく、1×10-1モルをこえると、活性が低下する傾向がある。
【0024】触媒成分の添加順序はとくに制限はないが、有機アルミニウム化合物と水を予め反応させておくことが望ましい。
【0025】ブタジエンゴムの変性方法としては、ブタジエンゴム製造後、ただちに変性反応を行ってもよいし、前記変性剤とブタジエンゴムを有機溶媒中で接触・変性反応させることによって行ってもよい。その他の方法としては押し出し混練り機などにより直接混練り変性することも可能である。
【0026】ブタジエンゴムをブタジエンゴム製造後、ただちに変性する場合、すなわち、ブタジエンの重合を行ってブタジエンゴムを得た重合系で連続して変性を行う場合、変性は前記ブタジエンゴムを得た重合系に直接変性剤を添加して行えばよい。
【0027】ブタジエンゴムを有機溶媒中で変性する場合、変性反応に使用する有機溶剤としては、それ自身がブタジエンゴムと反応しないものであれば自由に使用できる。通常はブタジエンゴムの重合溶媒と同じものや、塩化メチレンやテトラヒドロフランなども使用することができる。
【0028】変性反応が遅い場合には、反応速度を大きくするために、ハロゲン化アルミニウムやハロゲン化アルキルを触媒として使用することができる。ハロゲン化アルミニウムとしては塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウムなどがあげられる。ハロゲン化アルキルとしては臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチルなどの炭素原子数1〜6のアルキルのハロゲン化物があげられ、とくに塩化アルミニウム、臭化エチルが好適に用いられる。
【0029】また、触媒の添加量は、ブタジエンゴム100gに対して0.01〜100ミリモルであることが好ましい。0.01ミリモル未満の場合、反応性が低下して時間がかかり、100ミリモルをこえる場合、ポリマー中に残存する触媒の量が多くなって、ゴム物性に悪影響を与える傾向がある。
【0030】変性を行う温度は、0〜100℃、好ましくは室温〜70℃である。温度が低すぎると、変性反応が進行しにくく、温度が高すぎると、ブタジエンゴムがゲル化するので好ましくない。
【0031】変性反応時間はとくに制限はないが、通常は1分〜3時間の範囲が好ましい。変性時間が短すぎると、反応が充分に進行せず、時間が長すぎると、ブタジエンゴムがゲル化するおそれがあるので好ましくない。
【0032】ブタジエンゴムを変性する変性剤としては、下記一般式(1)および/または(2)で表される分子中にアルコキシ基を含有するケイ素化合物である。
k(R′O)lSi (1)
m(R′O)nSiH (2)
(式中、RおよびR′は、各々、同一もしくは異なる炭素数1〜20の炭化水素基であり、kは0〜3の整数、lは1〜4の整数、mは0〜2の整数、nは1〜3の整数であって、k+l=4、m+n=3である。)
【0033】具体的にはテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、トリメチルブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、トリエチルブトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシシラン、トリブトキシシラン、メチルジブトキシシラン、ジメチルブトキシシラン、エチルジブトキシシラン、ジエチルブトキシシランなどがあげられる。これらの化合物の中で、とくにテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシシランが好適に使用される。これら変性剤は、1種類単独、または数種類、組み合わせて使用することもできる。
【0034】前記変性剤の使用量は、ブタジエンゴム100gに対して、0.01〜150ミリモルが好ましく、1.0〜100ミリモルがより好ましい。変性剤の使用量が少ないと、ブタジエンゴム中に導入されるアルコキシ基を含有するケイ素化合物の変性量が少なくなり、満足すべき変性効果が現れない。一方、変性剤の使用量が多すぎると、変性ブタジエンゴム中に未反応変性剤が残存し、その除去に手間がかかり、変性剤の無駄にもなり、さらに顕著な物性の改善効果が現れにくい。
【0035】前記変性剤は、主鎖の二重結合および(または)1,2−ビニル基および(または)末端に結合していると考えられる。
【0036】前記変性ブタジエンゴムは、その繰り返し単位の80%以上、さらには85%以上がシス1,4−構造であることが好ましい。80%未満では、耐摩耗性などの物性が低下する傾向がある。
【0037】また、前記変性ブタジエンゴムは、そのGPC(ゲルパーミエーション法)による重量平均分子量(Mw)が20,000〜1,000,000、さらには100,000〜1,000,000であることが好ましい。重量平均分子量が20,000未満になると、充分な強度が得られず、1,000,000をこえると、加工性が低下するため好ましくない。また、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1〜3であることが好ましい。さらに同様の理由から、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、20〜80であることが好ましい。
【0038】変性ブタジエンゴムの同定は、分析手段、たとえば構成元素(ケイ素を包含)の元素分析、赤外吸収分光測定などで行うことができる。本発明では後述する方法(ケイ素の元素分析)で変性ブタジエンゴムの同定を行った。
【0039】変性ブタジエンゴムのケイ素含有量としては、10ppm以上、さらには10〜5,000ppmが好ましい。ケイ素含有量が10ppm未満となると、ブタジエンゴムの変性効果が得られず、5,000ppmをこえると、混練り中ゴムのゲル化が促進され、加工性がわるくなる傾向がある。
【0040】前記変性ブタジエンゴムは単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、変性ブタジエンゴムは、他の合成ゴムもしくは天然ゴムとブレンドして配合して用いてもよく、変性ブタジエンゴムを用いることによる効果を充分に得る点から、全ゴム成分中での変性ブタジエンゴムの量は、10〜80重量%、好ましくは15〜75重量%である。また、必要ならばプロセスオイルで油展の形で用いてもよい。
【0041】前記他の合成ゴムとしては、たとえば未変性のジエン系ゴムであるスチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴムや、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどがあげられる。
【0042】なお、ゴム成分中の前記変性ブタジエンゴムの含有量は、ゴム成分中10〜80重量%であることが好ましい。10重量%未満の場合、物性の改善効果が小さく、80重量%をこえる場合、同様に変性ゴムを添加しているにもかかわらず物性の改善効果が小さくなる傾向がある。
【0043】つぎに、本発明の変性ブタジエンゴム組成物は、シリカを含有する。かかるシリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は50〜300m2/gであることが好ましい。シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g未満では分散性改良効果や補強効果が小さくなり、300m2/gを越えると分散性がわるく、発熱性が増大するために好ましくない。
【0044】本発明の変性ブタジエンゴム組成物に使用できるシリカとしては、とくに制限はないが、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などがあげられ、湿式法シリカが好ましい。湿式法シリカの好適例としては、デグサ社製Ultrasil VN3、日本シリカ社製ニップシールVN3 AQなどがあげられる。
【0045】かかるシリカの配合量は、前記ゴム成分100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜85重量部、さらに好ましくは20〜65重量部である。シリカの配合量が5重量部未満では、補強効果が小さく、100重量部をこえると作業性が悪化するために好ましくない。低発熱性、作業性の面から、シリカの配合量は20〜65重量部が好ましい。
【0046】本発明の変性ブタジエンゴム組成物は、シランカップリング剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤はシリカとゴム成分の結合を強め、耐摩耗性を向上させる作用を有している。前記シランカップリング剤としては、従来からシリカ充填剤と併用される任意のシランカップリング剤とすることができる。具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどがあげられる。カップリング剤添加効果とコストの両立からビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが好ましい。
【0047】シランカップリング剤の配合量は、前記シリカ重量に対して0〜15重量%が好ましい。シランカップリング剤の配合量が15重量%をこえると、コストが上がる割にカップリング効果が得られず好ましくない。分散効果、カップリング効果の面から、シランカップリング剤の配合量は0.5〜12重量%であることが望ましい。
【0048】さらに本発明の変性ブタジエンゴム組成物は、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜200m2/gで圧縮ジブチルフタレート吸油量(24M4DBP吸油量)が30〜150ml/100gの範囲であるカーボンブラックを含んでいてもよい。窒素吸着比表面積(N2SA)および圧縮ジブチルフタレート吸油量(24M4DBP吸油量)が各々の下限値より小さい場合には、分散性改良効果や補強効果が小さく、また上限値をこえる場合には、分散性が悪く、発熱性が増大するため好ましくない。使用できるカーボンブラックの例としては,HAF、ISAF、SAFなどがあげられるが、とくに限定されるものではない。
【0049】なお、本発明の変性ブタジエンゴム組成物においては、前記ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤、カーボンブラック以外に、必要に応じて、硬化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤などの通常のゴム工業で使用される配合剤を適宜配合することができ、タイヤ、ホース、ベルトその他の各種工業用品などの機械的特性および耐摩耗性が要求されるゴム組成物として適用される。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが,これらは本発明の目的を限定するものではない。
【0051】アルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物で変性した変性ブタジエンゴムの製造方法について説明する。
【0052】製造例1(ポリマー1)
内部を充分窒素置換した1.5Lのステンレス製オートクレーブに、1,3−ブタジエンを27.9重量%含有するベンゼン−C4留分混合溶液1L(ベンゼン26.9重量%とシス−2−ブテンを主成分とするC4留分を45.2重量%含む)を仕込み、ついで、蒸留水2ミリモル、ジエチルアルミニウムモノクロリド(n−ヘキサン溶液)2.9ミリモルを加えて、攪拌を行う。つぎにシクロオクタジエン4.24ミリモルを添加し、オートクレーブの昇温を開始する。内温が58.5℃に到達してから、主触媒として、コバルトオクトエート(ベンゼン溶液)0.0087ミリモルを注入することによって、1,3−ブタジエンの重合を開始し、60℃で30分間、重合反応を行った。
【0053】重合反応終了後、未反応ガスを系外に排出し、トルエン500ミリリットルを加えることにより、未変性ポリブタジエンのトルエン溶液にし、さらにメタノール500ミリリットルを加えて10分間、内容物を充分攪拌した。攪拌停止後、オートクレーブの内容物を全量、別容器に移し、未変性ポリブタジエンを濾過・分離した。この分離したポリマーを800ミリリットルのトルエンに溶解させた後、800ミリリットルのメタノールを加えてポリマーを析出させ、濾過・分離する操作を3回繰り返した。つぎに、未変性ポリマーに対して、酸化防止剤として、Irganox 1010(テトラキス−(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンを0.11phr、老化防止剤として、トリスノニルフェニルホスファイト0.45phrを添加して練り込み、100℃で1.5時間、真空乾燥させることによって、未変性ポリブタジエン(ポリマー1)を製造した。
【0054】この未変性ポリブタジエンに対して、ムーニー粘度、1,4−構造量、ケイ素含有量を測定し、得られた結果を表1に示す。
【0055】製造例2(ポリマー2)
内部を充分窒素置換した1.5Lのステンレス製オートクレーブに、1,3−ブタジエンを27.9重量%含有するベンゼン−C4留分混合溶液1L(ベンゼン26.9重量%とシス−2−ブテンを主成分とするC4留分を45.2重量%含む)を仕込み、ついで蒸留水2ミリモル、ジエチルアルミニウムモノクロリド(n−ヘキサン溶液)2.9ミリモルを加えて攪拌を行う。つぎにシクロオクタジエン4.24ミリモルを添加し、オートクレーブの昇温を開始する。内温が58.5℃に到達してから、主触媒としてコバルトオクトエート(ベンゼン溶液)0.0087ミリモルを注入することによって、1,3−ブタジエンの重合を開始し、60℃で30分間、重合反応を行った。
【0056】30分の重合反応後、直ちに同温度で、変性剤としてテトラメトキシシランをゴム100gに対して2.0ミリモルを添加し、120分間、変性反応を行った。
【0057】変性反応終了後、未反応ガスを系外に排出し、トルエン500ミリリットルを加えることにより、変性ポリブタジエンのトルエン溶液にし、さらにメタノール500ミリリットルを加えて10分間、内容物を充分攪拌した。攪拌停止後、オートクレーブの内容物を全量、別容器に移し、変性ポリブタジエンを濾過・分離した。この分離したポリマーを800ミリリットルのトルエンに溶解させた後、800ミリリットルのメタノールを加えてポリマーを析出させ、濾過・分離する操作を3回繰り返した。つぎに、変性ポリマーに対して、酸化防止剤として、Irganox 1010(テトラキス−(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンを0.11phr、老化防止剤として、トリスノニルフェニルホスファイト0.45phrを添加して練り込み、100℃で1.5時間、真空乾燥させることによって、変性ポリブタジエン(ポリマー2)を製造した。
【0058】この変性ポリブタジエンに対して、ムーニー粘度、シス−1,4−構造量、ケイ素含有量を測定し、得られた結果を表1に記載する。
【0059】製造例3(ポリマー3)
変性剤をメチルトリエトキシシランに代えた以外は製造例2(ポリマー2)と同様にして、変性ポリブタジエン(ポリマー3)を製造した。この変性ポリブタジエンのムーニー粘度、シス−1,4−構造量、ケイ素含有量を測定し、得られた結果を表1に記載する。
【0060】製造例4(ポリマー4)
変性剤をテトラエトキシシランに代えた以外は製造例2(ポリマー2)と同様にして、変性ポリブタジエン(ポリマー4)を製造した。この変性ポリブタジエンのムーニー粘度、シス−1,4−構造量、ケイ素含有量を測定し、得られた結果を表1に記載する。
【0061】製造例5(ポリマー5)
変性剤をテトラメトキシシランの添加量を3.0ミリモルに代えた以外は製造例2(ポリマー2)と同様にして、変性ポリブタジエン(ポリマー5)を製造した。この変性ポリブタジエンのムーニー粘度、シス−1,4−構造量、ケイ素含有量を測定し、得られた結果を表1に記載する。
【0062】
【表1】

【0063】実施例1〜5および比較例1〜2下記の表2に示す基本配合割合とし、60ccのバンバリータイプのプラストミルを用いて表3に示す配合内容で混練りし(加硫剤はロールを用いて混練りした)、150℃で30分間プレス加硫して各種ゴム組成物を調製した。
【0064】各種薬品の説明天然ゴム:NR RSS#3シリカ:Ultrasil VN3(デグッサ製)
チッ素吸着比表面積(N2SA)210m2/gシランカップリング剤:Si69(デグッサ製)
(化学名:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
加硫促進剤A:ノクセラー NS(大内新興化学(株)製)
(化学名:N−第三−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド)
加硫促進剤B:ノクセラー D(大内新興化学(株)製)
(化学名:N,N′−ジフェニル・グアニジン)
【0065】なお、前記実施例において得られたゴム状ポリマーのムーニー粘度、シス−1,4構造量、ケイ素含有量、分子量および分子量分布は下記の方法により測定した。
【0066】(1)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)
JIS K6300に従い実施した。100℃で1分予熱した後、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)として表示した。
【0067】(2)シス−1,4構造量赤外吸収スペクトル分析法により、0.4重量%の二硫化炭素溶液を用いて、ゴムのミクロ構造として、シス−1,4構造量を算出した。
【0068】(3)ケイ素含有量白金るつぼに試料約1g採取し、硫酸を加えた後、ホットプレート上で加熱、溶解、分解させ、乾固する。それを、ブンゼンバーナーで加熱し、炭化させた後、電気炉で灰化させ、炭酸ナトリウムを添加する。再び電気炉中でアルカリ溶融させた後、純水を加え、ホットプレート上で加熱溶出させた試料を適当な濃度に希釈し、ICP測定により変性ブタジエンゴム中のケイ素元素含有量を求めた。
【0069】(4)重量平均分子量と分子量分布ポリスチレンを標準物質、テトラヒドロフランを溶媒として、温度40℃で、ゲル透過クロマトグラフィー(東ソー(株)製、GPC)により得られた分子量分布曲線から求めた検量線を用いて計算した重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求めた。分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)として、算出した。
【0070】また、ゴム組成物の引張強度(M300)、転がり抵抗指数、ランボーン摩耗指数およびウェットスキッド指数を以下の方法により測定した。その結果を表3に示す。
【0071】(引張試験)JIS K6251に準拠して測定し、300%のモジュラスで示した。数値が大きいほど反発弾性に優れる。
【0072】(転がり抵抗指数)粘弾性試験粘弾性スペクトロメーターVES(岩本製作所製)を用いて、測定温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件で各配合のtanδを測定し、比較例1のtanδを100とし、下記計算式で指数表示した。指数が大きいほど、転がり抵抗特性が優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100【0073】(ランボーン摩耗指数)ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%、試験時間5分間の測定条件で各配合の容積損失を計算し、比較例1の損失量を100として、下記計算式で指数表示した。指数が大きい方ほど耐摩耗性が優れることを示す。
(摩耗指数)=(比較例1の損失量)/(各配合の損失量)×100【0074】(ウェットスキッド指数)スタンレー社製のポータブルスキッドテスターを用いてASTM E303−83の方法に従って測定し、以下の計算式で指数表示した。指数が大きいほど、ウェットスキッド性能が優れることを示す。
(ウェットスキッド指数)=(各配合の数値)/(比較例1の数値)×100【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【発明の効果】本発明によれば、高シス−1,4構造含有ブタジエンゴムを、アルコキシ基を含有するケイ素化合物により変性した変性ブタジエンゴムを使用するため、シリカとの反応性が高くなり、耐摩耗性、転がり抵抗特性、グリップ性能に優れた特性を有する。




 

 


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