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発明の名称 高温構造体用締結構造要素
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−72475(P2001−72475A)
公開日 平成13年3月21日(2001.3.21)
出願番号 特願平11−245226
出願日 平成11年8月31日(1999.8.31)
代理人
発明者 梶井 紳二 / 松永 賢二 / 布上 俊彦 / 石川 敏弘
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (a)Si、M、C及びOからなる非晶質物質、(b)β−SiC、MC及びCの結晶質微粒子と、SiO2及びMO2の非晶質物質との集合体(MはTi又はZrを示す)、又は(c)上記(a)の非晶質物質と上記(b)の集合体との混合物を含有する無機質繊維と、この無機質繊維の間隙を充填するように存在する、(d)Si及びO、場合によりMからなる非晶質物質、(e)結晶質のSiO2及び/又はMO2からなる結晶質物質、又は(f)上記(d)の非晶質物質と上記(e)の結晶質物質との混合物を含有し、かつ100nm以下の粒径のMCからなる結晶質微粒子が分散した無機物質とからなり、上記無機質繊維の含有量が80体積%以上で、上記の無機質繊維と上記の無機物質、及び無機質繊維同士との境界層として1〜200nmの非晶質及び/又は結晶質の炭素からなる層が存在することを特徴とする無機繊維結合型セラミックスで作られたボルトおよび/またはナットからなる高温構造体用締結構造要素。
【請求項2】 無機繊維結合型セラミックスが2方向強化材である請求項1記載の高温構造体用締結構造要素。
【請求項3】 ボルトのネジきり方向が無機繊維結合型セラミックスの繊維積層方向に垂直な方向である請求項2記載の高温構造体用締結構造要素。
【請求項4】 ナットのネジきり方向が無機繊維結合型セラミックスの繊維積層方向に平行な方向である請求項2記載の高温構造体用締結構造要素。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高い強度及び極めて高い破壊靭性を有し、さらに1000℃以上の空気中でも優れた力学的特性を発現するSiC系複合材料で作られたボルトおよび/またはナットによる高温構造体用締結構造要素に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】金属は、1000℃以上の高温では急激な強度低下をきたすことから、金属製ボルト及びナットによる締結構造物の使用温度は、一般的に1000℃以下である。
【0003】セラミックスは、耐熱性、耐食性、耐摩耗性にすぐれていることから、従来の金属あるいはプラスチックでは使用できない過酷な環境下で用いられる材料として注目されている。しかし、セラミックスは機械加工が困難な上、一般に破壊靭性が低いことから、機械加工により導入された表面欠陥の存在により容易に破壊することが多い。従って、満足な破壊応力を得ることが困難である。この問題点を解消する目的で、粒子分散あるいは各種セラミックス繊維によって強化されたセラミックス複合材料(CMC)の研究開発が盛んに行なわれている。
【0004】これらの中でも、セラミックス連続長繊維で強化されたCMCが力学的特性の面で最も優れている。高い破壊靭性および優れた耐熱性を特徴とする炭素繊維強化炭素基(C/C)複合材料製ボルト、ナットが実用部品として知られているが、空気中では500℃程度から酸化が始まる為、表面に耐酸化性の厚い被膜層を設けない限り、高温の空気中では長時間の使用には耐えられない。
【0005】他方、特開平9−52776号には、下記(a)、(b)又は(c)から構成される無機質繊維と、この無機質繊維の間隙に存在する下記(d)、(e)又は(f)から構成される無機物質とからなる無機繊維結合型セラミックス及びその製造方法が開示されている。(a)Si、M、C及びOからなる非晶質物質、(b)β−SiC、MC及びCの結晶質微粒子と、SiO2及びMO2の非晶質物質との集合体(MはTi又はZrを示す)、又は(c)上記(a)の非晶質物質と上記(b)の集合体との混合物を含有する無機質繊維と、この無機質繊維の間隙を充填するように存在する、(d)Si及びO、場合によりMからなる非晶質物質、(e)結晶質のSiO2及び/又はMO2からなる結晶質物質、又は(f)上記(d)の非晶質物質と上記(e)の結晶質物質との混合物を含有し、かつ100nm以下の粒径のMCからなる結晶質微粒子が分散した無機物質とからなり、上記無機質繊維の含有量が80体積%以上で、上記の無機質繊維と上記無機物質、及び無機質繊維同士との境界層として1〜200nmの非晶質及び/又は結晶質の炭素からなる層が存在する無機繊維結合型セラミックス。上記無機繊維結合型セラミックスは、1000℃を超える高温の空気中での長時間の使用に耐える複合材料である。無機繊維結合型セラミックスは耐熱性及び耐酸化性に優れており、さらに高い強度及び極めて高い破壊靭性を有していることから、将来の航空機エンジン部材、あるいは断熱材として期待されている。これらの用途においては、耐熱性、耐酸化性および力学的特性が要求されるのは無論のことであるが、これらに加えて解体可能な組み立て構造体を実現することが熱望されている。そのために、高温の酸化雰囲気で使用に耐えるボルトおよびナットによる締結構造要素の開発が望まれる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、上記要望を満足する無機繊維結合型セラミックスのボルトおよび/またはナットによる高温構造体用締結構造要素を提供することにある。
【0007】本発明によれば、(a)Si、M、C及びOからなる非晶質物質、(b)β−SiC、MC及びCの結晶質微粒子と、SiO2及びMO2の非晶質物質との集合体(MはTi又はZrを示す)、又は(c)上記(a)の非晶質物質と上記(b)の集合体との混合物を含有する無機質繊維と、この無機質繊維の間隙を充填するように存在する、(d)Si及びO、場合によりMからなる非晶質物質、(e)結晶質のSiO2及び/又はMO2からなる結晶質物質、又は(f)上記(d)の非晶質物質と上記(e)の結晶質物質との混合物を含有し、かつ100nm以下の粒径のMCからなる結晶質微粒子が分散した無機物質とからなり、上記無機質繊維の含有量が80体積%以上で、上記の無機質繊維と上記無機物質、及び無機質繊維同士との境界層として1〜200nmの非晶質及び/又は結晶質の炭素からなる層が存在することを特徴とする無機繊維結合型セラミックスのボルトおよび/またはナットによる締結構造要素が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の無機繊維結合型セラミックスのボルトおよび/またはナットによる締結構造要素について説明する。無機質繊維は上記の(a)、(b)又は(c)で構成される。(b)におけるβ−SiCとMCとはそれらの固溶体として存在することもでき、またMCは炭素欠損状態であるMC1-x(xは0以上で1未満の数である。)として存在することもできる。無機質繊維を構成する各元素の割合は、通常、Si:30〜60重量%、M:0.5〜35重量%、好ましくは1〜10重量%、C:25〜40重量%、O:0.01〜30重量%である。無機質繊維の相当直径は一般に5〜20μmである。
【0009】無機質繊維は本発明の無機繊維結合型セラミックス複合体中に80体積%以上、好ましくは85〜91体積%存在する。それぞれの無機質繊維の表面には、非晶質及び/又は結晶質の炭素が、1〜200nmの範囲の厚さで境界層として非整合的に層状に生成している。そして、この無機質繊維の間隙を充填するように、上記(d)、(e)又は(f)の無機質物質が存在している。即ち、無機質繊維同士の境界、及び無機質物質と無機質繊維の境界に非晶質及び/又は結晶質の炭素が非整合に層状に存在している。
【0010】本発明の無機繊維結合型セラミックス複合体の特徴である無機質繊維の表面に1〜200nmの範囲の厚さで非晶質及び/又は結晶質の炭素層が非整合的に混在し境界層を形成していることの効果について説明する。無機質繊維の表面に層状に存在する1〜200nmの範囲の厚さで非晶質及び/又は結晶質の炭素層を非整合的に混在させることにより、発生したクラックを境界層内部においても偏向させることができる。
【0011】従って無機繊維結合型セラミックスの破壊抵抗は非常に高い。この特性は組立て部品の締結構造要素であるネジ構造部品を提供する為に有効である。本発明の組立部品のネジ切りにおいて、ボルト及びナットは、それ自体原理の知られた一般的な三角ネジを有する型式のネジ切りである。三角ネジは主に金属製スクリューおよびボルトに用いられる。ネジのピッチは並目、細目のどちらでもよい。
【0012】本発明においては、無機繊維結合型セラミックスの2方向強化材を用いる。2方向強化方法は一方向シートの0/90度積層でも繊維織物の積層でも構わない。ネジきり方向が繊維積層方向に垂直になる方向にボルトを機械加工により切り出す。ナットはネジきり方向が積層方向に平行になる方向に機械加工により切り出す。各部材のネジきり方向を示した概要を図1に示す。ここで、ネジきりによる切り欠き効果のためにボルトに生じる局部過大引張り応力はボルトの機械的特性に大きな影響を与える。従って、切り欠き近傍に生じる応力集中に鈍感であることがボルト材料に求められる。
【0013】ここで、モノリシックセラミックスに比べて破壊靭性が高く表面欠陥に鈍感であると言われているC/C複合材料では、リガメントの幅が小さい(W=10mm)場合、切り欠き材の破壊強度は正味断面破壊基準に従うが、リガメントの幅が大きくなる(W=40mm)と切り欠き材の破壊強度は正味断面破壊基準から外れ線形破壊力学に基づく破壊靭性基準に近づき、切り欠きの影響を受けることが、「材料」,Vol.47,No.9,pp.939-945,Sep.1998に示されている。
【0014】これに対して、本発明で用いる2方向強化無機繊維結合型セラミックスの引張り強さの切り欠き深さ依存性を調べるために、図2に示すような両切り欠き試験片で幅W=8mm、40mm、厚さd=2mm、2a/W=0.2〜0.6のものを作成した。切り欠きはダイヤモンドカッターで導入し、切り欠き先端半径が約50μmになるように精密やすりを用いて加工した。また、比較の為に幅W=8mm、40mm、厚さd=2mmの平滑試験片を作成した。引っ張り試験にはオリエンテック製テンシロン(UTM−I−5000B)を用い、室温大気中、ゲージ間距離90mm、クロスヘッド速度1mm/minで行なった。図3にW=8mm,40mmの試験片に対する総断面破壊応力σgの相対的な切り欠き深さ依存性を示す。この図で2a/W=0のデータはそれぞれ平滑試験片より得られた破壊強度(σf8mm=155MPa、σf40mm=120MPa)である。破壊強度が正味断面破壊応力基準に基づく場合、幅Wを基準とした総断面破壊応力σgと相対的切り欠き深さ2a/Wとの間には式(1)が成り立つ。
σgf(1−2a/W) (1)
ここで、Wは試験片幅、2aは両切り欠き長さである。図3ではW=8mmの結果(○印)、W=40mmの結果(□印)ともに、総断面破壊応力が正味断面破壊応力規準に基づく直線(実線および点線)にほぼ一致していることがわかる。すなわち、切り欠きに対して鈍感であることが理解できる。
【0015】ここに示したように、切り欠き材の破壊強度は正味断面破壊応力基準に従う2方向強化無機繊維結合型セラミックスにより作製したボルトの引張り強度は平滑材の強度と相対的な切り欠き深さより求めることが出来る。一般的な三角ネジで例えば呼びM8のボルトでは外径に対する谷の径から得られる相対的切り欠きの深さの割合は0.169であり、平滑材の引張り強度160MPaより推定される引張破断荷重は555kgfとなる。ここで、ボルトおよびナットで部材を締結したボルトには引張りおよびせん断荷重が掛かるが、ナットのネジ込み長さが8mmの場合、せん断強度試験で2000kgfを超える破壊抵抗を示しており、ネジ抜け締結部材を得るような危険性は回避される。
【0016】さらに、本発明に用いる無機繊維結合型セラミックスは特開平9−52776号で示されたように、1400℃の空気中の破断試験においても塑性変形的挙動を示すこと無く、室温強度を保持しており、この材料で作製されたボルトおよび/またはナットによる締結構造要素は高温酸化雰囲気で使用することが出来る。
【0017】次に本発明における繊維結合型セラミックスの製法について説明する。本発明で原料として使用される無機繊維は、例えば特開昭62−289641号公報に記載の方法に従って、上記の(a)、(b)及び(c)から構成される無機繊維を、酸化性雰囲気下に500〜1600℃の範囲の温度で加熱することによって調製することができる。この無機繊維(M:Ti)は宇部興産株式会社からチラノ繊維(登録商標)として市販されている。無機繊維の形態については、連続繊維を一方向に引き揃えたシート状物又は織物であることができる。
【0018】上記の酸化性雰囲気での加熱処理によって無機繊維の表面に形成される前記の(d)、(e)又は(f)からなる無機質物質の表面層の厚さT(μm)が、T=aD(ここで、aは0.023〜0.053の範囲内の数値であり、Dは無機繊維の直径(単位μm)である。)を満足するように、加熱処理条件を選択することが必要である。表面層の厚さを上記範囲に厳密に制御することにより、無機繊維の含有率が80体積%以上の繊維結合型セラミックスを調製することが可能になる。
【0019】aの値が下限より小さいと、無機繊維表面に存在する表面層は、最密充填された無機質繊維の間隙を完全に充填するには不十分であり、結果として、最終製品である繊維結合型セラミックスにおける無機質繊維の間隙には欠陥としての空隙が残存することになり、最終製品の力学的特性に悪影響を及ぼす。aの値が0.053より大きいと、相対的に無機質繊維間隙に存在する無機物質の体積%が多くなって無機質繊維の体積含有率の低下をもたらし、結果として、無機質繊維の最密充填から遠のくために、最終製品の繊維結合型セラミックスの高温下でのずり変形が起こりやすくなり、最終製品が高温下で好ましくない塑性変形的な挙動を示すようになる。
【0020】前記の酸化性雰囲気の具体例としては、空気、純酸素、オゾン、水蒸気、炭酸ガスが挙げられる。選択する酸化性雰囲気の種類により原料無機繊維の酸化速度は異なるが、いずれの雰囲気においても、上記したように、表面層の厚さの制限を満足する酸化時間内で処理を行うことが重要である。
【0021】本発明においては、上記の無機繊維の一方向シート状物を0/90度に積層するか、無機繊維の織物を積層して、2方向強化材とし、所望の形状に成形した後に、不活性ガス中でホットプレスすることにより、繊維結合型セラミックスが得られる。ホットプレスする際の圧力は50〜1000kg/cm2であり、温度は1550〜1850℃の範囲である。
【0022】Si、M及びOを含有する無機繊維の表面層は1550〜1600℃の範囲の温度で液相を形成するが、無機繊維の内部から出てくる炭素を液相中に存在するMと効果的に反応させてMCを生成させるために、少なくとも1550℃以上のホットプレス温度が必要である。ホットプレス温度が1850℃より高くなると、上記の液相の粘性がきわめて低くなり、生成したMCの移動度が大きくなってMC同士の衝突頻度が増大して、MCの異常粒成長が起こると共に、MCが無機質繊維と無機物質との境界部に偏析し、粒子分散機能を果たせない状態になる。
【0023】
【実施例】以下に実施例を示す。以下において、力学的特性は次のように測定した。
(平滑材の引張り試験)オリエンテック製テンシロン(UTM−I−5000B)を用いて測定した。幅8mm厚さ2mm長さ80mmの8枚朱子織物積層材を用い、ゲージ長さ35mm、クロスヘッド速度1mm/minで行なった。
(ボルトの引張り試験)オリエンテック製テンシロン(UTM−I−5000B)を用いて測定した。繊維結合型セラミックスの8枚朱子織物積層材を用い、図1に示した様にボルトおよびナットを機械加工により作製した。ボルトの形状は植込みボルト型で、寸法は長さ75mm,M8のメートル平目ネジである。ナットの寸法は厚さ16mm,M8のメートル平目ネジである。引張り試験は植込みボルトにナットを嵌めて、専用の引張りジグでナットを引っかける要領でナット間長さ40mm、クロスヘッド速度1mm/minで行なった。
【0024】実施例1繊維径10μmのチラノ繊維(登録商標:宇部興産株式会社製)の8枚朱子織り物を950℃の空気中で15時間加熱処理して原料の無機質繊維を得た。繊維表面には平均約300nmの均一な表面層が形成されていた。得られた原料の無機質繊維の織物を直径150mm丸に切断した後、100枚を積層して、カーボンダイス中にセットし、アルゴン雰囲気下、温度1750℃、500kgf/cm2の圧力でホットプレス処理し、厚さ16mmの繊維結合型セラミックスを得た。
【0025】この繊維結合型セラミックスの平滑材の室温引張り強度は160MPaであった。機械加工によりメートル平目ネジ(JIS−B0205)に準じてネジの呼びM8の植込みボルトを得た。植込みボルトの全長は75mm、ナットの厚さは16mmとした。この植込みボルトを用いて引張り試験を行った結果、ボルトはネジ抜け破壊が起こらず、ボルトの破断で破壊した。引張り試験では、植込みボルトは540kgfの荷重で引張り破壊しており、M8ボルトの谷径d2=6.647mmより算出された引張り強度は153MPaで、ほぼ正味断面破壊基準に従う破壊強度が得られた。




 

 


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