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発明の名称 側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステル及びその製造法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−40073(P2001−40073A)
公開日 平成13年2月13日(2001.2.13)
出願番号 特願平11−216542
出願日 平成11年7月30日(1999.7.30)
代理人
発明者 三輪 孔之 / 国村 勝
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 一般式(1)で表される、側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステル。
【化1】

(式中、kは0〜30の整数を表す。k=1の場合、Xは、アルキレン基(炭素鎖内部に、不飽和結合、脂肪族炭化水素環、又は芳香環を含んでいてもよい)、−CO−NH−Z−NH−CO−基、又は−CO−基を表し、k=2〜30の整数の場合、Xはエチレン基を表す。Zは、アリーレン基(芳香環がアルキレン基を介して結合していてもよい)又はアルキレン基を表す。また、Yは、アリーレン基(芳香環がアルキレン基を介して結合していてもよい)又はアルキレン基を表し、mは0又は1を表す。R1、R2は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは2以上の整数を表す。)
【請求項2】 R1、R2がメチル基である、請求項1記載の側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステル。
【請求項3】 R1、R2がエチル基である、請求項1記載の側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステル。
【請求項4】 一般式(2)で表されるジオキセタン化合物と、【化2】

(式中、X、k、R1、R2は前記と同様である。)
一般式(3)で表されるジカルボン酸を、【化3】

(式中、Y、mは前記と同様である。)
オニウム塩の存在下で重付加反応させることを特徴とする、請求項1記載の側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステルの製造法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジオキセタン化合物とジカルボン酸との重付加反応によって得られる、側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステルに関する。側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステルは、優れた親水性、染色性、接着性、有機溶剤溶解性、反応性を示すもので、塗料や、コーティング剤、接着剤、可溶性ポリエステルとしてのフィルムなどに使用できる。
【0002】
【従来の技術】ジオキセタン化合物の重付加反応によるポリエステルとしては、ジオキセタン化合物とビスアシルハライドとの重付加反応により得られる、側鎖にクロロメチル基を有するポリエステル〔J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem.,31,1639(1993)など〕や、ジオキセタン化合物とジカルボン酸との重付加反応により得られる、側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステル(特開平10−139866号公報)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、側鎖にヒドロキシメチル基を有することにより、優れた親水性、染色性、接着性、有機溶剤溶解性、反応性を示して、新しい機能性高分子の優れた合成原料として利用できる、新規なポリエステル、及びその製造法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、一般式(1)で表される、側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステルによって解決される。
【0005】
【化4】

(式中、kは0〜30の整数を表す。k=1の場合、Xは、アルキレン基(炭素鎖内部に、不飽和結合、脂肪族炭化水素環、又は芳香環を含んでいてもよい)、−CO−NH−Z−NH−CO−基、又は−CO−基を表し、k=2〜30の整数の場合、Xはエチレン基を表す。Zは、アリーレン基(芳香環がアルキレン基を介して結合していてもよい)又はアルキレン基を表す。また、Yは、アリーレン基(芳香環がアルキレン基を介して結合していてもよい)又はアルキレン基を表し、mは0又は1を表す。R1、R2は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。nは2以上の整数を表す。)
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の新規なポリエステルは、一般式(2)で表されるジオキセタン化合物と一般式(3)で表されるジカルボン酸を、オニウム塩の存在下で重付加反応させることによって製造される。
【0007】
【化5】

(式中、X、k、R1、R2は前記と同様である。)
【0008】
【化6】

(式中、Y、mは前記と同様である。)
【0009】そして、一般式(1)で表される本発明の側鎖にヒドロキシル基を有するポリエステルは、nが2以上、好ましくは2〜200の整数のものである。また、本発明のポリエステルは、数平均分子量(Mn)が500以上、好ましくは1000〜50000で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.0〜10.0、好ましくは1.0〜5.0のものである。本発明のポリエステルの中では、R1、R2が共にメチル基又はエチル基であるものが好ましい。なお、分子量はGPC法(ポリスチレン換算)により測定したものである。
【0010】前記の一般式(2)で表されるジオキセタン化合物としては、(A)k=1で、Xがアルキレン基(炭素鎖内部に、不飽和結合、脂肪族炭化水素環、又は芳香環を含んでいてもよい)である、ジエーテルジオキセタン類、(B)k=1で、Xが−CO−NH−Z−NH−CO−基で、Zが、アリーレン基(芳香環がアルキレン基を介して結合していてもよい)又はアルキレン基である、ジウレタンジオキセタン類、(C)k=1で、Xが−CO−基である、カーボネートジオキセタン類、(D)k=2〜30(好ましくは2〜25)の整数で、Xがエチレン基である、ポリエーテルジオキセタン類、(E)k=0である、モノエーテルジオキセタン類、が挙げられる。
【0011】一般式(2)で表されるジオキセタン化合物において、R1、R2は、水素原子又はアルキル基(特に炭素数1〜4のアルキル基)を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。該ジオキセタン化合物の中では、R1、R2が互いに同一であるものが好ましいが、中でも、R1、R2が互いに同一で、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかであるものが更に好ましく、その中でも、R1、R2が互いに同一で、メチル基、エチル基のいずれかであるものが特に好ましい。
【0012】前記の(A)ジエーテルジオキセタン類において、アルキレン基(X)は、炭素鎖内部(両末端を除く炭素鎖)に、不飽和結合、脂肪族炭化水素環、又は芳香環を含んでいるものであってもよい。即ち、アルキレン基としては、エチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられるが、更に、式(4)で表わされる基などの炭素鎖内部に不飽和結合(炭素−炭素二重結合等)を含む炭素数4〜20のアルキレン基や、式(5)で表わされる基などの炭素鎖内部に脂肪族炭化水素環(シクロヘキサン環等)を含む炭素数8〜20(環を構成する炭素原子を含む)のアルキレン基や、キシリレン基及び式(6)で表わされる基などの炭素鎖内部に芳香環(ベンゼン環等)を含む炭素数8〜20(環を構成する炭素原子を含む)のアルキレン基(o−、m−、p−等の各異性体を含む)なども挙げることができる。
【0013】
【化7】

【0014】ジエーテルジオキセタン類としては、例えば、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ブタン、1,6−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ヘキサンや、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)−2−ブテンや、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]シクロヘキサンや、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ビフェニル、4,4’−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ビフェニルなどが挙げられる。
【0015】なお、前記ジエーテルジオキセタン類は、例えば、相当するジブロマイド(キシリレンジブロマイド、エチレンジブロマイド等)と3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを反応させることにより合成される。
【0016】前記の(B)ジウレタンジオキセタン類において、アリーレン基(Z)は、芳香環がアルキレン基を介して結合しているものであってもよい。即ち、アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基(o−、m−、p−、1,5−等の各異性体を含む)が挙げられるが、更に、式(7)で表わされる基などの芳香環がアルキレン基を介して結合しているアリーレン基なども挙げることができる。また、アルキレン基(Z)としては、エチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜20のアルキレン基が挙げられる。
【0017】
【化8】

【0018】ジウレタンジオキセタン類としては、例えば、4,4’−メチレンビス(N−フェニルカルバミン酸3−エチル−3−オキセタニルメチル)や、1,3−フェニレンビス(カルバミン酸3−エチル−3−オキセタニルメチル)、1,5−ナフチレンビス(カルバミン酸3−エチル−3−オキセタニルメチル)や、1,6−ヘキサメチレンビス(カルバミン酸3−エチル−3−オキセタニルメチル)などが挙げられる。
【0019】ジウレタンジオキセタン類としては、Zがアリーレン基で、R1、R2が互いに同一で、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである化合物が好ましい。なお、前記ジウレタンジオキセタン類は、例えば、相当するジイソシアナート(例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,3−ベンゼンジイソシアナート、1,6−ヘキサンジイソシアナート等)と3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを反応させることにより合成される。
【0020】前記の(C)カーボネートジオキセタン類としては、例えば、ビス(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニル)カーボネート、ビス(3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニル)カーボネートなどが挙げられる。なお、カーボネートジオキセタン類は、例えば、ジメチルカーボネートと3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンを反応させることにより合成される。
【0021】前記の(D)ポリエーテルジオキセタン類としては、例えば、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニルメチル)エーテルなどが挙げられる。なお、ポリエーテルジオキセタン類は、例えば、相当するポリエチレングリコール(トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等)と3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのp−トルエンスルホニルクロライドを反応させることにより合成される。
【0022】前記の(E)モノエーテルジオキセタン類としては、例えば、ビス(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニルメチル)エーテルなどが挙げられる。なお、モノエーテルジオキセタン類は、3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと3−アルキル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのp−トルエンスルホニルクロライドを反応させることにより合成される。
【0023】前記の一般式(3)で表されるジカルボン酸としては、(F)m=1で、Yがアリーレン基である、芳香族ジカルボン酸、(G)Yが炭素数1〜18のアルキレン基で、m=0又は1である、脂肪族ジカルボン酸、が挙げられる。
【0024】前記の(F)芳香族ジカルボン酸において、アリーレン基は、芳香環がアルキレン基を介して結合しているものであってもよい。即ち、アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基(o−、m−、p−、1,5−等の各異性体を含む)が挙げられるが、更に、式(7)で表される基などの芳香環がアルキレン基を介して結合しているアリーレン基なども挙げることができる。また、アリーレン基は、芳香環の任意の位置に炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい。
【0025】
【化9】

【0026】前記の(F)芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、3−メチルフタル酸、3−エチルフタル酸、4−メチルフタル酸、4−エチルフタル酸等の炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいフタル酸や、イソフタル酸、2−メチルイソフタル酸、2−エチルイソフタル酸、4−メチルイソフタル酸、4−エチルイソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−エチルイソフタル酸等の炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいイソフタル酸や、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸等の炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよいテレフタル酸などが挙げられる。また、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどもが挙げることができる。
【0027】前記の(G)脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、エイコサン二酸などが挙げられる。
【0028】ジカルボン酸の中では、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
【0029】本発明で使用されるオニウム塩としては、N、P、As、Sb、O、S、Se、Sn、Iなどのいずれかが中心原子となっている、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、スタノニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられる。この中心原子としては、N、Pが好ましい。
【0030】オニウム塩の中心原子に結合してカチオン部分を構成する基又は原子は、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基であり、互いに同一でもあっても異なっていてもよい。アルキル基、アラルキル基、アリール基は各種異性体を含み、置換基を有していてもよい。置換基を有するものとしては、アルキル基の末端に水酸基を有するヒドロキシアルキル基が好適に挙げられる。また、オニウム塩のアニオン部分を構成するアニオンとしては、ハロゲンイオン、水酸イオン、アルコキシドイオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、リン酸二水素イオン、重硫酸イオンなどが挙げられる。アニオンの中では、ハロゲンイオンがBr-≧I->Cl-の順に好ましい。
【0031】前記アンモニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)、テトラn−ブチルアンモニウムヨーダイド(TBAI)等のテトラアルキルアンモニウムハライドなどが挙げられる。前記ホスホニウム塩としては、テトラn−ブチルホスホニウムクロライド(TBPC)、テトラn−ブチルホスホニウムブロマイド(TBPB)、テトラn−ブチルホスホニウムヨーダイド(TBPI)等のテトラアルキルホスホニウムハライドや、テトラフェニルホスホニウムクロライド(TPPC)、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(TPPB)、テトラフェニルホスホニウムヨーダイド(TPPI)等のテトラアリールホスホニウムハライドなどが挙げられる。
【0032】前記アルソニウム塩としては、テトラn−ブチルアルソニウムブロマイド(TBAsB)等のテトラアルキルアルソニウムハライドなど、前記スチボニウム塩としては、テトラn−ブチルスチボニウムブロマイド(TBSbB)等のテトラアルキルスチボニウムハライドなど、前記オキソニウム塩としては、テトラn−ブチルオキソニウムブロマイド(TBOB)等のテトラアルキルオキソニウムハライドなど、前記スルホニウム塩としては、テトラn−ブチルスルホニウムブロマイド(TBSB)等のテトラアルキルスルホニウムハライドなど、前記セレノニウム塩としては、テトラn−ブチルセレノニウムブロマイド(TBSeB)等のテトラアルキルスルホニウムハライドなど、前記スタノニウム塩としては、テトラn−ブチルスタノニウムブロマイド(TBSnB)等のテトラアルキルスタノニウムハライドなど、前記ヨードニウム塩としては、テトラn−ブチルヨードニウムブロマイド(TBIB)等のテトラアルキルヨードニウムハライドなどが挙げられる。
【0033】オニウム塩の中では、アンモニウム塩やホスホニウム塩が好ましいが、アンモニムハライドやホスホニウムハライドが特に好ましい。その中では、テトラアルキルアンモニウムハライド、テトラアルキルホスホニウムハライド、テトラアリールホスホニウムハライドが好ましいが、テトラアルキルホスホニウムハライド、テトラアリールホスホニウムハライドが更に好ましい。なお、テトラアルキルアンモニウムハライドの中では、TBAC、TBAB、TBAIが好ましく、テトラアルキルホスホニウムハライドの中では、TBPC、TBPB、TBPIが好ましく、テトラアリールホスホニウムハライドの中では、TPPC、TPPB、TPPIが好ましい。
【0034】ジオキセタン化合物とジカルボン酸との重付加反応において、ジオキセタン化合物とジカルボン酸は等モル量で使用することが好ましい。また、オニウム塩は単独又は複数で使用することができるが、前記ジカルボン酸に対して20モル%以下、更には5〜15モル%程度であることが好ましい。
【0035】ジオキセタン化合物とジカルボン酸との重付加反応は、反応溶媒存在下又は無溶媒下、均一系で行われる。このため、反応溶媒存在下で反応を行う場合、反応温度は、反応系がジオキセタン化合物やジカルボン酸が反応溶媒に溶解した均一溶液の状態になるように、50℃以上、更には50〜300℃の範囲であることが好ましい。無溶媒下で反応を行う場合、反応温度は、反応系がジオキセタン化合物やジカルボン酸が溶融した均一溶液の状態になるように、ジオキセタン化合物又はジカルボン酸の融点のいずれか低い温度以上、更にはその低い温度〜300℃の範囲であることが好ましい。
【0036】前記重付加反応において、反応圧力は、前記のように反応系が均一溶液の状態に維持されるならば特に制限されず、常圧、加圧、減圧のいずれでも差し支えない。通常は常圧で反応を行うことが好ましいが、反応溶媒存在下で反応を行う場合には均一溶液の状態を維持できるような反応圧力とされることもある。また、反応時間は反応条件によって異なるが、1〜50時間、更には2〜30時間程度が好ましい。反応雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。
【0037】なお、前記反応溶媒としては、ジオキセタン化合物やジカルボン酸を溶解する作用を有し、かつこれらに対して不活性であるものが好ましい。このような反応溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、アニソール、ジグライムなど、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)など、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼンなど、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、テトラメチル尿素、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒が挙げられる。これら溶媒の中では、THF、DMSO、DMAC、HMPA、NMPが好ましい。
【0038】反応溶媒の使用量は、前記のように反応系が均一溶液の状態に維持される範囲、即ち、ジオキセタン化合物やジカルボン酸が溶解するに足る量以上であればよい。例えば、DMSO、DMAC、HMPA、NMPなどの極性溶媒を使用する場合、その量はジオキセタン化合物1gに対して1〜10ml程度であることが好ましい。なお、反応溶媒は単独でもまた複数でも使用できる【0039】本発明では、前記反応溶媒に加えて、更に、前記反応溶媒と均一相を形成し、かつジオキセタン化合物やジカルボン酸に対して不活性な有機溶剤も単独又は複数で使用できる。このような有機溶剤としては、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素(但し、トルエンを除く)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ジオキサンなどが挙げられる。反応溶媒に対するこれら有機溶剤の使用割合は、前記のように反応系が均一溶液の状態に維持されるならば特に制限されない。
【0040】前記重付加反応は常法に従ってバッチ式又は連続式で行われる。例えば、所定量のジオキセタン化合物とジカルボン酸を、そのまま或いは反応溶媒に溶解した後、攪拌機及び加熱装置を備えた反応器に供給し、更に所定量のオニウム塩を添加して、所定条件で加熱攪拌しながらバッチ式で反応を行うことができる。ジカルボン酸やオニウム塩はそれぞれ分割して供給することも可能である。反応器は攪拌機による機械的攪拌が可能であれば特に制限されない。例えば、バッチ反応釜、1槽式又は多槽式連続反応器、管状反応器などが使用される。
【0041】重付加反応終了後、生成したポリエステル(側鎖にヒドロキシメチル基を有するポリエステル)は、反応溶媒を用いた場合には、反応液を沈殿溶媒中に加えて放置する(例えば、室温で一昼夜程度)ことにより沈殿物として得られるので、濾過、遠心分離等により分離される。そのままこのとき、必要であれば、沈殿溶媒を添加する前に、濾過、遠心分離等によりゲル状物などの不溶物を予め除去しておくことが好ましい。なお、分離溶媒の使用量は、反応液に対して1〜20容量倍であることが好ましい。反応溶媒を用いない場合、生成したポリエステルは均一な固体として得られる。
【0042】前記沈殿溶媒は該ポリエステルに対する貧溶媒であればよく、単独又は複数で使用される。このような溶媒としては、例えば、水、炭素数1〜4の脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン等)、脂肪族炭化水素(n−ヘキサン、n−オクタン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、キシレン;但し、トルエンを除く)や、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジオキサンなどが挙げられる。これら沈殿溶媒の中では、水、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましいが、中でも、水、メタノール、エタノール、ジエチルエーテルが更に好ましい。
【0043】前記のようにして分離された沈殿物(固形物)は溶媒に溶解させ、次いで再沈殿させて分離することにより精製される。この操作は必要に応じて繰り返してもよく、少なくとも1回以上、更には2〜3回繰り返すことが好ましい。固形物を溶解させる溶媒は固形物に対して溶解作用を有しかつ不活性なものであればよく、例えば、前記重付加反応における反応溶媒(前記有機溶剤との混合物であってもよい)を好適に使用できる。溶媒の使用量は固形物を溶解するに足る量以上であればよく、分離された固形物1gに対して1〜60ml程度であることが好ましい。再沈殿は、前記の反応液に対すると同様に、固形物の溶解液を沈殿溶媒中に添加して放置することにより行われる。沈殿溶媒の種類、沈殿溶媒の使用量、放置条件等は前記と同様である。
【0044】以上のようにして、前記のジオキセタン化合物とジカルボン酸から重付加反応によって、相当するポリエステルが得られる。得られたポリエステルは、最後に、100℃以下で、熱風乾燥、真空乾燥などにより乾燥される。
【0045】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
実施例11,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(東亜合成製)3.34g、アジピン酸1.46g、テトラフェニルホスホニウムブロマイド0.42gを30ml容サンプル管に秤量しよく混合した後、脱気操作を行って、該サンプル管を150℃のオイルバスに浸漬した。この温度で攪拌しながら20時間反応を行って、薄黄土色の柔らかい固体の反応生成物5.22gを得た。
【0046】反応生成物を精製して得られた白色固体の物性を測定したところ、DSC分析よりガラス転移点が−23.2℃で、GPC分析(ポリスチレン換算)より数平均分子量(Mn)が6400、重量平均分子量(Mw)が16800、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.6であった。そして、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR分析(980cm-1付近のオキセタン環の特性吸収の減少、1700cm-1付近のカルボン酸の特性吸収の消失、1740cm-1付近のカルボン酸エステルの特性吸収の出現、3450cm-1付近の水酸基の特性吸収の出現)より、このポリマーは、一般式(1)において、k=1、m=1で、Xがp−キシリレン基、Yがヘキサメチレン基であるポリエステルであることがわかった。
【0047】実施例2アジピン酸をフタル酸1.66gに代え、反応時間を48時間に変えたほかは、実施例1と同様に反応を行って、薄黄土色の硬い固体の反応生成物5.42gを得た。実施例1と同様に精製して得られた白色固体の物性を測定したところ、ガラス転移点は30.5℃で、数平均分子量(Mn)は8800、重量平均分子量(Mw)は18800、Mw/Mnは2.1であった。そして、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR分析より、このポリマーは、一般式(1)において、k=1、m=1で、Xがp−キシリレン基、Yがo−フェニレン基であるポリエステルであった。
【0048】実施例3ビス[4−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシカルボニルアミノ)フェニル]メタン(前記の4,4’−メチレンビス(N−フェニルカルバミン酸3−エチル−3−オキセタニルメチル)と同一)2.41g、アジピン酸0.73g、テトラフェニルホスホニウムブロマイド0.21gを30ml容サンプル管に秤量しよく混合した後、脱気操作を行って、該サンプル管を150℃のオイルバスに浸漬した。この温度で攪拌しながら20時間反応を行って、褐色の硬い固体の反応生成物3.35gを得た。なお、ここで用いたジオキセタン化合物(Tg:20.8℃)は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートと3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンから合成した。
【0049】実施例1と同様に精製して得られた白色固体の物性を測定したところ、ガラス転移点は6.0℃で、融点は56.6℃、数平均分子量(Mn)は13000、重量平均分子量(Mw)は34000、Mw/Mnは2.6であった。そして、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR分析より、このポリマーは、一般式(1)において、k=1、m=1で、Xが−CONH−Z−NHCO−基、Zが前記式(6)で表される基、Yがヘキサメチレン基であるポリエステルであった。
【0050】実施例4アジピン酸をフタル酸0.83gに代え、反応時間を48時間に変えたほかは、実施例3と同様に反応を行って、褐色の硬い固体の反応生成物3.45gを得た。実施例1と同様に精製して得られた白色固体の物性を測定したところ、ガラス転移点は56.5℃で、数平均分子量(Mn)は15200、重量平均分子量(Mw)は38500、Mw/Mnは2.5であった。そして、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR分析より、このポリマーは、一般式(1)において、k=1、m=1で、Xが−CONH−Z−NHCO−基、Zが前記式(6)で表される基、Yがo−フェニレン基であるポリエステルであった。
【0051】実施例5ジオキセタン化合物をビス(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニル)カーボネート2.42gに代えたほかは、実施例1と同様に反応を行って、薄黄土色の粘稠な反応生成物4.30gを得た。実施例1と同様に精製して得られた白色固体の物性を測定したところ、固体のガラス転移点は−55.8℃で、数平均分子量(Mn)は6800、重量平均分子量(Mw)は15900、Mw/Mnは2.3であった。そして、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR分析より、このポリマーは、一般式(1)において、k=1、m=1で、Xが−CO−基、Yがヘキサメチレン基であるポリエステルであった。なお、ここで用いたジオキセタン化合物(mp:53℃)は、ジメチルカーボネートと3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンから合成した。
【0052】実施例6アジピン酸をフタル酸1.66gに代え、反応時間を30時間に変えたほかは、実施例5と同様に反応を行って、薄黄土色の硬い固体の反応生成物4.50gを得た。実施例1と同様に精製して得られた白色固体の物性を測定したところ、ガラス転移点は−10.3℃で、数平均分子量(Mn)は8600、重量平均分子量(Mw)は19500、Mw/Mnは2.3であった。そして、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR分析より、このポリマーは、一般式(1)において、k=1、m=1で、Xが−CO−基、Yがo−フェニレン基であるポリエステルであった。
【0053】実施例7ジオキセタン化合物をビス(3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタニルメチル)エーテル2.14gに代えたほかは、実施例1と同様に反応を行って、黄土色の柔らかい固体の反応生成物4.02gを得た。実施例1と同様に精製して得られた白色固体の物性を測定したところ、ガラス転移点は22.2℃で、数平均分子量(Mn)は5400、重量平均分子量(Mw)は24600で、Mw/Mnは4.6であった。そして、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR分析より、このポリマーは、一般式(1)において、k=0、m=1で、Yがヘキサメチレン基であるポリエステルであった。なお、ここで用いたジオキセタン化合物は、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンと、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのp−トルエンスルホニルクロライドから合成した。
【0054】実施例8アジピン酸をフタル酸1.66gに代えたほかは、実施例7と同様に反応を行って、黄土色の硬い固体の反応生成物4.22gを得た。実施例1と同様に精製して得られた白色固体の物性を測定したところ、ガラス転移点は73.8℃で、数平均分子量(Mn)は6400、重量平均分子量(Mw)は29100、Mw/Mnは4.7であった。そして、1H−NMR、13C−NMR、FT−IR分析より、このポリマーは、一般式(1)において、k=0、m=1で、Yがo−フェニレン基であるポリエステルであった。
【0055】
【発明の効果】本発明により、側鎖にヒドロキシメチル基を有することにより、優れた親水性、染色性、接着性、有機溶剤溶解性、反応性を示して、新しい機能性高分子の優れた合成原料として利用できる、新規なポリエステルを提供できる。




 

 


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