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発明の名称 難燃性樹脂組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−131381(P2001−131381A)
公開日 平成13年5月15日(2001.5.15)
出願番号 特願平11−318162
出願日 平成11年11月9日(1999.11.9)
代理人 【識別番号】100096828
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敬介 (外1名)
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4J002 AC081 BN151 CD062 DA056 DJ007 DJ047 FB076 FB266 FD017 FD136 
4J026 AA68 AC01 AC09 AC11 AC12 AC15 BA05 BA24 BA27 BA31 BA38 BB04 DA04 DB40 GA03
発明者 竹本 欣弘 / 中務 佳徳
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくともスチレン系ゴム強化樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、赤リン系難燃剤(C)およびケイ酸塩フィラー(D)からなり、スチレン系ゴム強化樹脂(A)100重量部に対して、フェノール樹脂(B)と赤リン系難燃剤(C)の合計量が1〜30重量部、およびケイ酸塩フィラー(D)が0.5〜20重量部であり、かつ赤リン系難燃剤(C)/フェノール樹脂(B)の配合比が1〜20である難燃性樹脂組成物であって、スチレン系ゴム強化樹脂(A)は320〜2000nmのゴム粒子の割合が20wt%以上である重量平均粒子径200〜1500nmのゴム状重合体に、ビニル化合物をグラフト共重合して得られるグラフト重合体を含んでなり、該ゴム粒子にグラフト重合したビニル化合物の下記(イ)式により定義される表面グラフト被覆率が80%以上で、かつ該ゴム粒子表面にグラフト重合しているビニル化合物の平均厚みが5〜25nmであることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
表面グラフト被覆率(%)=(s/S)×100 (イ)
(ここで、Sはゴム状重合体の表面積、sはゴム状重合体表面にグラフトし、被覆しているビニル化合物の表面積)
【請求項2】 前記ビニル化合物が、スチレンおよびアクリロニトリルを含むことを特徴とする請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項3】 前記スチレン系ゴム強化樹脂(A)におけるゴム状重合体の含有量が15〜25重量%であることを特徴とする請求項2記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項4】 前記フェノール樹脂(B)が、ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】 前記赤リン系難燃剤(C)/フェノール樹脂(B)の配合比が1〜5であることを特徴とする請求項4記載の難燃性樹脂組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工流動性、機械的強度、耐薬品性に優れ、かつ難燃性に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂やHIPSに代表されるスチレン系ゴム強化樹脂は、優れた機械的強度、成形加工性のためOA機器や家電製品のハウジングとして広く用いられている。こうした用途では安全性向上のため、ハウジングとして使用される樹脂にも難燃性を要求されることが多い。また、モバイルOA機器という新たなジャンルのOA機器の出現で、これらの機器の携帯性を高めるための軽量化の工夫、デザイン性が重要になっている。軽量化の面では、ハウジングがより薄くなる傾向であり、薄肉での燃焼性、機械的強度、成形性が重要な課題である。また、デザイン性の面では、ハウジングの塗装やメッキなどの2次加工性が重要な課題である。さらに、OA機器の家庭への急速な普及により、従来では要求の無かった廃棄時における環境への負荷の低減も重要な課題になりつつある。スチレン系ゴム強化樹脂の難燃化の技術としては、ハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンの相乗効果を用いた難燃化が一般的であるが、環境への負荷低減の要求からハロゲン系難燃剤を用いない難燃化の要求がある。
【0003】スチレン系のゴム強化樹脂の難燃化においてハロゲン系難燃剤を用いない方法としては、特開昭61−291643号公報に、ABS樹脂および赤リン、メラミン、レゾール系フェノール樹脂、およびポリアクリロニトリルなどの熱架橋性硬化性樹脂からなる組成物が開示されている。しかしながら、この組成物では、加工流動性、機械的強度が不十分である。また、特開平10−298395号公報には、スチレン系ゴム強化樹脂にポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂、リン系難燃剤からなる組成物が開示されている。しかしながら、この組成物では、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の相溶性が不十分であるために機械的強度、成型品の剥離の発生やウエルド部での強度が不十分である。特開平7−33990号公報では、熱可塑性樹脂に含酸素樹脂および赤リン、金属水酸化物からなる組成物の開示があるが、かかる組成物では、比較的厚い場合での難燃性と引張強度バランスが良好なものの耐衝撃性や1/16インチ程度の薄い厚みでの難燃性が不十分である。特開平8−176450号公報では、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはポリフェニレンエーテル系の樹脂と特定のエラストマー、赤リンおよびフェノール樹脂等の難燃助剤からなる組成物の開示があるが、かかる組成物では成形加工性、成型品の剥離の発生、薄肉での難燃性が不十分である。特開平4−179844号公報、特開平6−157866号公報にはリン化合物とフェノールノボラック樹脂の相乗効果による難燃化の提案があるが、UL94規格の難燃試験においては難燃性が不十分であった。
【0004】特開平9−87337号公報には、被覆率が特定の範囲のゴム強化樹脂組成物と難燃剤の組成物の開示があるが、難燃剤に赤リンを用いた場合は、強度が不十分であった。
【0005】以上の従来技術からも機械的強度、薄肉での難燃性、成形加工性バランスに優れ、スチレン系ゴム強化樹脂に特徴の塗装性などの2次加工性に優れた赤リン系難燃剤を用いたゴム強化樹脂の難燃樹脂組成物を得ることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようとする課題は、赤リンの添加による強度低下をおさえて、耐衝撃性や剛性などの機械的強度、薄肉での難燃性、成形加工性のバランスが優れ、スチレン系ゴム強化樹脂の特徴の1つである塗装性などの2次加工性のバランスに優れる赤リン系難燃剤を用いた難燃性ゴム強化樹脂を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題の解決にあたり鋭意検討した結果、特定の範囲の粒子径の割合が一定以上であるゴム状重合体を含むスチレン系ゴム強化樹脂において、グラフト共重合体の表面グラフト被覆率を高めたスチレン系ゴム強化樹脂組成物および赤リンとフェノール樹脂の比率を特定の範囲に調整し、ケイ酸塩フィラーを併用することで、赤リンの添加による強度低下をおさえて、機械的強度、薄肉での難燃性、成形加工性のバランスが優れた難燃性樹脂組成物が得られることを見いだし本発明に至った。本発明者らによれば、特定の範囲の粒子径の割合が一定以上であるゴム状重合体を含むゴム強化樹脂は、本発明でいう表面グラフト被覆率を高めることが困難であるが、特定の範囲の粒子のゴム状重合体を含むゴム状重合体の表面グラフト被覆率を高めたゴム強化樹脂組成物と赤リンおよびフェノール樹脂およびケイ酸塩フィラーを組み合わせることにり、初めてスチレン系ゴム強化樹脂の特性を維持しつつ機械的強度、薄肉での難燃性、成形加工性のバランスに優れた組成物が得られるということである。
【0008】すなわち本発明は、少なくともスチレン系ゴム強化樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、赤リン系難燃剤(C)およびケイ酸塩フィラー(D)からなり、スチレン系ゴム強化樹脂(A)100重量部に対して、フェノール樹脂(B)と赤リン系難燃剤(C)の合計量が1〜30重量部、およびケイ酸塩フィラー(D)が0.5〜20部であり、かつ赤リン系難燃剤(C)/フェノール樹脂(B)の配合比が1〜20である難燃性樹脂組成物であって、スチレン系ゴム強化樹脂(A)は320〜2000nmのゴム粒子の割合が20wt%以上である重量平均粒子径200〜1500nmのゴム状重合体に、ビニル化合物をグラフト共重合して得られるグラフト重合体を含んでなり、該ゴム粒子にグラフト重合したビニル化合物の下記(イ)式により定義される表面グラフト被覆率が80%以上で、かつ該ゴム粒子表面にグラフト重合しているビニル化合物の平均厚みが5〜25nmであることを特徴とする難燃性樹脂組成物である。
【0009】
表面グラフト被覆率(%)=(s/S)×100 (イ)
(ここで、Sはゴム状重合体の表面積、sはゴム状重合体表面にグラフトし、被覆しているビニル化合物の表面積)
【0010】
【発明の実施の形態】本発明におけるゴム強化樹脂(A)は、ゴム状重合体に、ビニル化合物をグラフト共重合して得られるグラフト重合体を成分として含む。
【0011】ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体などの共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴムなどであるが、好ましくは共役ジエン系ゴムのポリブタジエンとブタジエン−スチレン共重合体およびブタジエン−アクリロニトリル共重合体である。また、これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0012】本発明におけるゴム状重合体中のゴム粒子は320〜2000nmのゴム粒子の割合が20wt%以上である重量平均粒子径200〜1500nmである必要がある。320nm〜2000nmの粒子径の割合が20wt%未満の場合、機械的強度が低下する。好ましくは、25wt%以上であり、特に好ましくは30wt%以上である。また、重量平均粒子径が200nm未満の場合は、加工流動性および機械的強度が低下し、1500nmを越える場合は、加工流動性、機械的強度特に剛性および難燃性が低下する。ゴム状重合体の粒子径は、ゴム状重合体を四酸化オスミウムで染色したのち透過型電子顕微鏡(TEM)写真上で測定することができる。
【0013】スチレン系ゴム強化樹脂(A)中のゴム状重合体の含有量は、耐衝撃性、加工流動性、剛性、耐薬品性等により決められるが、好ましくは5〜60重量%で、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜25重量%である。本発明において、上記ゴム状重合体にはビニル化合物がグラフト重合するため、ゴム強化樹脂(A)中に含まれる該グラフト重合体は5.5重量%以上である。
【0014】ゴム状重合体の製造方法は特に限定されないが、通常の乳化重合法を用いることができる。このような乳化重合により得られるゴム状重合体は、例えば、ポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリルゴムラテックス、エチレン−プロピレンゴムラテックスとして入手可能である。本発明に用いられるゴム状重合体は、単独または粒子径の異なる2種類以上のラテックスをブレンドする方法、ゴム状粒子を凝集させて肥大化したゴム状重合体のラテックスを使用する方法のいずれでも良い。
【0015】また、粒子径の異なるゴム状重合体ラテックスを各にグラフト重合させ得られたグラフト重合体ラテックスを適宜ブレンドしても良い。この場合、本発明のゴム状重合体における320〜2000nmのゴム状重合体の割合および重量平均粒子径は、グラフト重合体ラテックスをブレンドした割合とグラフト重合に使用したゴム状重合体の粒子径分布から算出することができる。粒子径分布とは、一定幅の範囲の粒子径に該当するゴム粒子の頻度を表したヒストグラムをいう。
【0016】本発明に用いるゴム状重合体にグラフト共重合させるビニル化合物としては、スチレン、主鎖または側鎖置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドなどのマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有単量体なども用いられる。これらのは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら単量体のうち好ましくは芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物の組み合わせである。特に好ましくは、スチレンとアクリロニトリルの組み合わせである。
【0017】本発明では、ゴム粒子にグラフト重合したビニル化合物の表面グラフト被覆率が80%以上であることが必要であり、好ましくは90%以上である。80%未満であると難燃性の低下、耐衝撃性および高温成形時の加工流動性の低下、熱劣化による着色、さらに特に押出しや成形時の滞留によりゲル状物が生じ好ましくない。
【0018】本発明における表面グラフト被覆率とは、Sをゴム状重合体の表面積、sをゴム状重合体表面にグラフトし、被覆しているビニル化合物の表面積としたとき、下記の(イ)式により定義される。要約すればゴム強化熱可塑性樹脂組成物中に分散するゴム状重合体の表面にどのくらいのビニル化合物がグラフトされ、被覆されているかを示す尺度である。
【0019】
表面グラフト被覆率(%)=(s/S)×100 (イ)
この表面グラフト被覆率(%)は後述するように、具体的にはゴム強化熱可塑性樹脂組成物中に分散するグラフト重合体の超薄切片を電子顕微鏡で観察、写真撮影した写真を解析、測定して求めることができる。図1はこの電子顕微鏡写真を模式化した図である。図中黒色部はゴム状重合体であり、斜線部はビニル化合物のグラフト成分である。尚、a1〜anはビニル化合物のグラフト部分のゴム状重合体上での周方向の長さ、b1〜bnはビニル化合物がグラフトされていない部分のゴム状重合体上での周方向の長さ、c1〜cnはビニル化合物のグラフト部分の断面積を示す。
【0020】図1において、a1〜an及びb1〜bnのそれぞれの長さを測定し、R=(a1+a2+・・・・+an−1+an)+(b1+b2+・・・・+bn−1+bn)、r=(a1+a2+・・・・+an−1+an)として、Rを上記のS=ゴム状重合体の表面積に相当する長さ、rを上記のs=ゴム状重合体表面にグラフトし被覆しているビニル化合物の表面積に相当する長さとして、下記の(ロ)式で表面グラフト被覆率として求めることができる。すなわち、 表面グラフト被覆率(%)=(r/R)×100 (ロ)
である。
【0021】本発明では、ゴム粒子表面にグラフト重合しているビニル化合物の平均厚みが5〜25nmであることが必要である。5nm未満の場合、耐衝撃性及び加工流動性の低下が生じ、難燃性も低下する。25nmを超える場合は、耐衝撃性、加工流動性の低下及び難燃性の低下が生じる。
【0022】本発明における、ゴム状重合体の表面にグラフトしているビニル化合物の平均厚みとは、ゴム状重合体表面にグラフトしているビニル化合物の厚みの平均値を示しており、具体的には、図1において、ゴム状重合体表面にグラフトしているビニル化合物の体積に相当する面積(t)、すなわちt=(c1+c2+・・・・+cn−1+cn)を測定し、下記(ハ)式でビニル化合物の平均厚さを求める。
【0023】
ビニル化合物の平均厚さ=(t/R) (ハ)
グラフト重合体の製造過程で生成するゴム状重合体にグラフトした成分の割合は、重合反応により生成した重合体をアセトンに溶解し不溶分を遠心分離器で分離除去することによって測定することができる。アセトンに溶解する成分は、重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分からゴム状重合体の量を差し引いた値がグラフト成分の値として定義される。グラフト成分の割合として好ましくは、ゴム状重合体を100重量部として、10〜80重量部であり、より好ましくは、20〜60重量部である。
【0024】上記グラフト重合体の製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重合で製造されたゴム状重合体ラテックスにビニル化合物をグラフト重合させる乳化グラフト重合方式、連続式、バッチ式、セミバッチ式いずれも可能である。本発明においては、乳化重合で製造されたゴム状重合体にビニル化合物を開始剤、分子量調節剤等とともに連続的に添加する乳化グラフト方式が特に好ましい。乳化グラフト方式を用いる場合、表面グラフト被覆率を80%以上とするには、乳化グラフト重合させる際に用いる乳化剤を極めて少なくすること、乳化剤を用いる場合は、重合時間の初期での添加は避け、重合時間中に連続的に少量ずつ添加することが特に好ましい。重合時におけるpHは、アルカリ性、中性、酸性のいずれの条件でも可能であるが、好ましくは中性である。
【0025】乳化重合に用いられる乳化剤は、特に限定されないが、一般に乳化重合用として用いられる乳化剤(以下、非重合性乳化剤と略することがある)、例えば、ロジン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤があげられる。また、化合物中に二重結合を1つ以上有し、共役ジエン系ゴム、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物とラジカル重合可能な乳化剤(以下、重合性乳化剤と略すことがある)も用いることができる。これらの重合性乳化剤としては、下記(1)式で表される重合性乳化剤があげられる。
【0026】
【化1】

式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基または(1−プロペニル)ビニル基を示す。
【0027】Yは水素、または−SO3M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、または−CH2COOM(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸塩、または下記(1’)式で表されるリン酸モノエステル塩を示す。
【0028】
【化2】

(式中、M1及びM2は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムであり、M1、M2は異なるものでも同一のものでもよい)
【0029】R1は炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、R2は水素または炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、R3は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、mは1〜200の整数を示す。
【0030】また、具体的には下記(2)〜(6)式に示される化合物を用いることができる。
【0031】
【化3】

【0032】これらの乳化剤は単独でも、2種類以上組み合わせてもよい。
【0033】本発明のスチレン系ゴム強化樹脂(A)は、グラフト重合体を製造する過程で生成する、ゴム状重合体にグラフトしていない成分を含んでもよい。
【0034】また、スチレン系ゴム強化樹脂(A)の製造方法は特に限定されないが、例えば、乳化重合により、グラフト重合体とグラフト重合しないビニル共重合体を同時に製造する方法、また乳化重合によりゴム状重合体の割合の高い、グラフト重合体とビニル共重合体の混合物(以下GRCと略することがある)をあらかじめ製造し、別に塊状重合、乳化重合や懸濁重合等で製造したビニル共重合体とともに配合して目的のゴム含有量にする方法もとられる。この場合のビニル共重合体は、非晶性、結晶性の限定はないが、好ましくは上記芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルである。より好ましくは、スチレン、主鎖または側鎖置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドなどのマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有単量体などであり、特に好ましくは、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物である。最も好ましくは、スチレンとアクリロニトリルの組み合わせ、スチレンおよびアクリロニトリルおよびN−フェニルマレイミドの組み合わせである。
【0035】本発明に用いられるフェノール樹脂(B)は、一般的にはフェノールとアルデヒドを酸触媒のもとに付加、縮合して得られるフェノールの含有量の高いノボラック型およびフェノールとアルデヒドを塩基性触媒のもとに付加、縮合して得られるメチロールの含有量の高いレゾール系、ならびびこれらを硬化させた不溶不融のフェノール樹脂である。好ましくは、ノボラック型フェノール樹脂であり、特に好ましくは、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、ターシャリーブチルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、パラオクチルフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、パラシアノフェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、およびこれらの共重合物である。最も好ましくは、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂であり、好ましい分子量としては300〜10000である。これらのフェノール樹脂は単独でも2種以上を併用しても良い。
【0036】本発明の赤リン系難燃剤(C)は、赤リンを成分に含む赤リン系難燃剤であり、コーティングのない赤リン粒子、金属水酸化物で表面コーティングされた赤リン系難燃剤、熱硬化性樹脂で表面コーディングされた赤リン系難燃剤、金属水酸化物と熱硬化性樹脂の混合物で表面コーディングされた赤リン系難燃剤、金属水酸化物のコーティング上に熱硬化性樹脂をコーティングされた赤リン系難燃剤、無電解メッキを赤リンに施した赤リン系難燃剤等が挙げられるが、好ましくは金属水酸化物と熱硬化性樹脂でコーディングされた赤リン系難燃剤および金属水酸化物にさらに熱硬化性樹脂で2重にコーティングされた赤リン系難燃剤である。赤リン系難燃剤中のリン含有量は、好ましくは80〜99wt%であり、より好ましくは85〜95wt%である。
【0037】本発明におけるフェノール樹脂(B)と赤リン系難燃剤(C)の含有量は、スチレン系ゴム強化樹脂(A)100重量部に対して(B)+(C)が1〜30重量部であることが必要である。1重量部未満の場合は、難燃性、耐熱性が不十分である。30重量部を越える場合は、機械的強度が不十分である。好ましくは5〜25重量部であり、特に好ましくは10〜20重量部である。
【0038】また、フェノール樹脂(B)と赤リン系難燃剤(C)の含有量は、(C)/(B)が1〜20であることが必要である。1未満の場合は難燃性および耐薬品性が不十分であり、20を越える場合は難燃性、機械的強度が不十分である。好ましくは1〜10であり、特に好ましくは1〜5である。
【0039】本発明におけるケイ酸塩フィラー(D)は、一般には含水ケイ酸マグネシウムであり、好ましくはタルクである。ケイ酸塩フィラー(D)は、表面を処理されていても、樹脂中への分散を改良する目的で分散剤およびシリカが含有しても良い。好ましい表面処理剤および分散剤としては、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸またはそのアルカリ金属塩、エチレンビスステアロアミドがあげられる。
【0040】ケイ酸塩フィラー(D)の含有量は、スチレン系ゴム強化樹脂(A)100重量部に対し0.5〜20重量部である。0.5重量部未満の場合は、薄肉での難燃性、機械的強度の剛性バランスが不十分である。20重量部を越える場合は、難燃性、加工流動性、機械的強度の耐衝撃性バランスが不十分である。好ましくは1〜10重量部であり、特に好ましくは、2〜5重量部である。
【0041】ケイ酸塩フィラーの粒子径は、好ましくは、0.5〜30μmであり、より好ましくは1〜20μmである。これらのケイ酸塩フィラーは単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0042】また、本発明の組成物には、改質する目的で任意の添加剤、すなわち、滑剤、シリコーンオイル、オレフィン系オイル、低分子量のポリテトラフルオロエチレン等の潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化チタン、表面改質剤、分散剤、可塑剤、ガラス繊維、カーボン繊維、マイカ等のフィラーおよび充填剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、シリコーン樹脂、高分子量のポリテトラフルオロエチレン等の滴下防止剤等のような慣用の添加剤を含むことが出来る。
【0043】本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、通常の方法、例えば、押出機混練、バンバリーミキサー、ニーダー等によるメルトブレンド、ゴム強化樹脂の重合途中に他の成分を添加する方法、溶媒ブレンド等により製造することができる。また、ケイ酸塩フィラーの凝集を防ぐ目的で、あらかじめケイ酸塩フィラーと上記添加剤および分散剤をブレンドした後に押出機にフィードする方法で製造することもできる。
【0044】本発明の組成物は、射出成形、圧縮成形、シート成形、真空成形等に用いることができる。
【0045】本発明の樹脂組成物および成形体の用途は特に限定されないが、例えば、パーソナルコンピュータ(パソコン)、携帯用パソコン、携帯端末、ファクシミリ、CRT、テレビ等の各種OA機器および家庭用電化製品のハウジングとして、また携帯電話にも用いられる。
【0046】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。以下に用いる部数は重量部とする。
【0047】本発明の実施例における測定方法は以下の通りである。
【0048】(表面グラフト被覆率)ゴム強化熱可塑性樹脂組成物を、そのゾル分が可溶な溶媒(例えば、ABS樹脂ではアセトン)を用いて溶解後、遠心分離し、ゲル分を取り出す。ゲル分をアセトン中に超音波ホモジナイザーを用いて分散させた後、エポキシ樹脂系接着剤主剤中に加え、再度分散させる。アセトンを真空乾燥にて除去した後、エポキシ樹脂系接着剤の硬化剤を加え、混合、加熱し固化させる。これにより、エポキシ樹脂中に分散したグラフト重合体が得られる。
【0049】得られたグラフト重合体含有のエポキシ樹脂は、例えばABS樹脂の場合、四酸化オスミウムで染色しウルトラミクロトームにて超薄切片作成後、透過型電子顕微鏡にて観察、撮影する。超薄切片の厚さは60nmとした。
【0050】グラフト重合体の電子顕微鏡写真の解析には、画像解析装置IP−1000(旭化成工業(株)社製)を用い、表面グラフト被覆率を測定した。具体的には、グラフト重合体中のゴム状重合体とこのゴム状重合体の表面にグラフトしているビニル化合物成分とを分離した画像において、前記のように、図1において、a1〜an及びb1〜bnのそれぞれの長さを測定し、R=(a1+a2+・・・・+an−1+an)+(b1+b2+・・・・+bn−1+bn)と、r=(a1+a2+・・・・+an−1+an)とから下記(ロ)式で表面グラフト被覆率を求める。表中の単位は%で記した。
表面グラフト被覆率(%)=(r/R)×100 (ロ)
なお、実施例の表面グラフト被覆率の測定にあたり、320nm以上の粒径をもつグラフト重合体のみを選び測定に供した。測定個数は10である。
【0051】(ビニル化合物の平均厚さ)ゴム状重合体の表面にグラフトしているビニル化合物の厚さは、上記の表面グラフト被覆率と同様、得られたゴム強化熱可塑性樹脂組成物を四酸化オスミウムで染色しウルトラミクロトームにて超薄切片作成後、透過型電子顕微鏡にて観察、撮影した。グラフト重合体の電子顕微鏡写真の解析には、画像解析装置IP−1000(旭化成工業(株)社製)を用いた。具体的には、グラフト重合体中のゴム状重合体とこのゴム状重合体表面にグラフトしているビニル化合物とを分離した画像において、図1においてゴム状重合体の表面積に相当する周囲長(R)、すなわちR=(a1+a2+・・・・+an−1+an)+(b1+b2+・・・・+bn−1+bn)を測定し、ついでゴム状重合体表面にグラフトしているビニル化合物の体積に相当する面積(t)、すなわちt=(c1+c2+・・・・+cn−1+cn)とから下記(ハ)式でビニル化合物の平均厚さを求める。
ビニル化合物の平均厚さ=(t/R) (ハ)
なお、測定個数は10である。表中の単位はnmで記した。
【0052】(ゴム状重合体の重量平均粒子径)グラフト重合に用いるゴム状重合体の希薄液を透過型電子顕微鏡測定用金属メッシュ上に1滴とり、四酸化オスミウムあるいは四酸化ルテニウムの蒸気で染色した。染色されたサンプルを透過型電子顕微鏡にて撮影し、粒子の重量平均粒子径を上記の画像解析装置IP−1000を用いて求めた。測定個数は500である。
【0053】(物性評価方法)各種物性の評価方法については以下に示す通りである。
【0054】(1)アイゾット衝撃値ペレットを成形温度240℃、金型温度45℃で成形し、試験片を得た。試験は、ASTM−D256にもとに、1/2インチ×1/4インチ×5/2インチのノッチ付き試験片にて実施した。単位はkg・cm/cmである。
【0055】(2)メルトフローレートJISK7210に基づき測定した。測定条件は220℃、10kg荷重で単位はg/10minである。加工流動性の指標である。
【0056】(3)難燃性UL94規格垂直燃焼試験(厚み1/12インチ、1/16インチ)に基づく試験であり、難燃性がV−0、V−1に満たないものは×を記した。
【0057】(4)一撃ダートペレットを成型温度240℃、金型温度45℃で成型し、一片150mmの正方形で2mm厚の平板を得る。ミサイル径3/4インチの半円球のミサイルおよび荷重の合計荷重(W)を高さ(H)から平板に落下させ、平板の50%にあたる枚数が破壊されるのに要する荷重(W)を求め、そのときの高さ(H)から下記式により落錘衝撃強さ(kg・cm)を求める。
落錘衝撃強さ(kg・cm)=50%破壊に要する荷重(W)×落下高さ(H)
落錘衝撃強さの値が高い組成物ほど、成型品は衝撃に耐えられるという機械的強度の指標になる。アイゾット衝撃値とは必ずしも相関しないが、落錘衝撃強さは成型品の実用強度という面で重要な強さの指標である。
【0058】(5)曲げ弾性率ASTM D790に基づく測定で、単位はkg/cm/cmである。
【0059】(6)耐熱性ASTM D648に基づく試験で、試験片の厚み1/4インチ。単位は℃である。
【0060】本発明の実施例で用いた化合物は以下の通りである。
【0061】(ゴム状重合体S)
(1)ゴム状重合体ラテックス(S−1)
電子顕微鏡写真により求めた320〜2000nmの粒子径のゴム粒子の割合が、48重量%であるブタジエンゴムラテックス。重量平均粒子径は320nmであった。pHは10.1であった。
【0062】(2)ゴム状重合体ラテックス(S−2)
電子顕微鏡写真により求めた320〜2000nmの粒子径のゴム粒子の割合が、85重量%であるブタジエンゴムラテックス。重量平均粒子径は360nmであった。pHは10.0であった。
【0063】(3)ゴム状重合体ラテックス(S−3)
電子顕微鏡写真により求めた320〜2000nmの粒子径のゴム粒子の割合が、61重量%であるスチレン−ブタジエンゴムラテックス。重量平均粒子径は290nmであった。pHは10.1であった。
【0064】(4)ゴム状重合体ラテックスS−4電子顕微鏡写真により求めた320〜2000nmの粒子径のゴム粒子の割合が、11重量%であるブタジエンゴムラテックス。重量平均粒子径は330nmであった。pHは10.0であった。
【0065】(5)ゴム状重合体ラテックス(S−5)
電子顕微鏡写真により求めた320〜2000nmの粒子径のゴム粒子の割合が、3重量%であるブタジエンゴムラテックス。重量平均粒子径は170nmであった。pHは10.1であった。
【0066】(6)ゴム状重合体ラテックス(S−6)
ゴムラテックスS−2の固形分量70部に対してS−5の固形分量30部をブレンドした。電子顕微鏡写真により求めた320〜2000nmの粒子径のゴム粒子の割合は、59重量%であった。重量平均粒子径は280nmであった。pHは10.1であった。
【0067】使用したゴムラテックスの性質を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】(ビニル共重合体T)
(1)ビニル共重合体(T−1)
共重合体T−1中の組成は、IRスペクトルよりアクリロニトリル30重量%、スチレン70重量%、またメチルエチルケトン中で測定した極限粘度(メチルエチルケトン100ml中に共重合体T−1を0.5g溶解した溶液、30℃)は0.55であった。
【0070】(2)ビニル共重合体(T−2)
共重合体T−2中の組成は、IRスペクトルよりアクリロニトリル37重量%、スチレン63重量%、またメチルエチルケトン中で測定した極限粘度(メチルエチルケトン100ml中に共重合体T−2を0.5g溶解した溶液、30℃)は0.53であった。
【0071】(3)ビニル共重合体(T−3)
アクリロニトリル18重量%、スチレン50重量%、N−フェニルマレイミド32重量%の三元共重合体で、溶液粘度(メチルエチルケトン溶媒にポリマー10重量%での25℃における粘度)が6センチポイズであった。
【0072】(フェノール樹脂B)
(1)フェノール樹脂(B−1)
フェノールノボラック樹脂 (三井東圧(株)社製 1000WS)を用いた。
【0073】(2)フェノール樹脂は(B−2)
レゾール系フェノール樹脂 (鐘紡(株)社製 ベルパール S−890)を用いた。
【0074】(赤リン系難燃剤C)
(1)赤リン系難燃剤(C−1)
燐化学工業(株)社製ノーバエクセル140を用いた。リン含有量 92wt%であった。
【0075】(2)赤リン系難燃剤(C−2)
燐化学工業(株)社製ノーバレッド120UFAを用いた。リン含有量 91wt%であった。
【0076】(ケイ酸塩フィラーD−1)
関東ベントナイト鉱業(株)社製のタルク(SP−GB)を用いた。
【0077】(その他のフィラー)ケイ酸塩フィラー以外のフィラーとして白石カルシウム(株)社製の炭酸カルシウム(ソフトン3200)を用いた。
【0078】<実施例1〜5、比較例1〜2>(グラフト重合体とビニル共重合体の混合物Gの製造)
(G−1の製造)ゴムラテックスS−1(固形分)40部、(2)式で示される乳化剤0.2部、イオン交換水100部を10リットル反応器に入れ、気相部を窒素置換した後、この初期溶液を70℃に昇温した。重合前のpHの調整は炭酸ガスを反応器内でバブルして調整した。次に以下に示す組成からなる水溶液1と単量体混合液2を反応器に5時間にわたり連続的に添加し、重合初期の乳化剤使用量が極めて少ない処方にて重合した。添加終了後、1時間温度を保ち反応を完結させた。
【0079】
水溶液1の組成は次の通りである。
硫酸第一鉄 0.01部ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.04部イオン交換水 50部 単量体混合液2の組成は次の通りである。
アクリロニトリル 18部スチレン 42部t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.6部クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部このようにして得られたGRCラテックスに、酸化防止剤を添加した後、硫酸アルミニウムを加え凝固させ、水洗浄、脱水した後、加熱乾燥し、GRC粉末を得た。得られたグラフト重合体の表面グラフト被覆率、およびグラフトの平均厚さを表2に示す。
【0080】(G−2〜7の製造)使用するゴムラテックスおよび組成を表2に示すように変えた以外はG−1と同様にして得た。得られたグラフト重合体の表面グラフト被覆率、およびグラフトの平均厚さを表2に示す。
【0081】
【表2】

【0082】以上のように調製した各成分を表3に掲げる組成(単位は重量部)にて、シリンダー温度が220℃に設定された2軸押出機で混練造粒した後、射出成形機(シリンダー温度240℃、金型温度45℃)を用いて物性測定用試験片、および燃焼試験用成形片を得た。表3に得られた試験片を用いて評価を行った結果を掲げる。
【0083】
【表3】

【0084】実施例1〜5および比較例1〜2は、スチレン系ゴム強化樹脂(A)におけるゴム状重合体の320〜2000nmの粒子の割合および重量平均粒子径の違いによる効果を示している。
【0085】実施例1〜5の樹脂組成物は、本発明の範囲の難燃樹脂組成物であり難燃性および機械的強度の指標であるアイゾット衝撃値、一撃ダートおよび加工流動性の指標のメルトフローレート、耐薬品性のバランスに優れている。これらの難燃樹脂組成物は、スチレン系ゴム強化樹脂であるために塗装性が良好である。比較例1〜2の難燃樹脂組成物は、スチレン系ゴム強化樹脂(A)におけるゴム状重合体の320〜2000nmの粒子の割合および重量平均粒子径が本発明の範囲外であるため、耐衝撃性、メルトフローレート、耐薬品性のバランスが不十分である。特に比較例1の樹脂組成物は、アイゾット衝撃強度とメルトフローレートのバランスは、実施例5より若干劣っている程度であるが、一撃ダートが低いために実用強度が不十分である。
【0086】<実施例6〜9、比較例3〜4>(G−8〜10の製造)使用するゴムラテックスおよび組成を表5に示すように変えた以外はG−1と同様にして得た。得られたグラフト重合体の表面グラフト被覆率、およびグラフトの平均厚さを表4に示す。
【0087】
【表4】

【0088】以上のように調製した各成分を表5に掲げる組成(単位は重量部)にて、シリンダー温度が220℃に設定された2軸押出機で混練造粒した後、射出成形機(シリンダー温度240℃、金型温度45℃)を用いて物性測定用試験片、および燃焼試験用成形片を得た。表5に得られた試験片を用いて評価を行った結果を掲げる。
【0089】
【表5】

【0090】実施例6〜9、比較例3〜4は、ゴム状重合体にグラフトしたグラフト重合体の表面グラフト被覆率およびグラフトの平均厚さの違いによる効果を示している。
【0091】実施例6〜9の樹脂組成物は、グラフト重合体の表面グラフト被覆率およびグラフトの平均厚さが本発明の範囲であるために難燃性、機械的強度、加工流動性、耐薬品性バランスに優れた難燃樹脂組成物である。これらの難燃樹脂組成物は、スチレン系ゴム強化樹脂であるために塗装性が良好である。比較例3は、表面グラフト被覆率が本発明の範囲外であるために、難燃性、加工流動性バランスが不十分である。比較例4は、グラフトの平均厚さが本発明の範囲外であるため、難燃性は良好であるが、耐衝撃性、加工流動性バランスが不十分である。実施例6は、一撃ダートの値が比較例4に比較して低いが、難燃性、剛性、加工流動性バランスに優れる。
【0092】<実施例10〜16、比較例5〜11>実施例1〜5で用いたGRCのG−6および各成分を表6、表7に掲げる組成(単位は重量部)にて、シリンダー温度が220℃に設定された2軸押出機で混練造粒した後、射出成形機(シリンダー温度240℃、金型温度45℃)を用いて物性測定用試験片、および燃焼試験用成形片を得た。表6、表7に得られた試験片を用いて評価を行った結果を掲げる。
【0093】
【表6】

【0094】
【表7】

【0095】実施例10〜16、比較例5〜9は、フェノール樹脂(B)および赤リン系難燃剤(C)の添加量および比率の違いによる効果を示している。
【0096】実施例10〜16の樹脂組成物は、(B)+(C)および(C)/(B)の値が本発明の範囲であるため、難燃性、機械的強度、加工流動性、耐薬品性バランスに優れた難燃樹脂組成物である。これらの難燃樹脂組成物は、スチレン系ゴム強化樹脂であるために塗装性が良好である。比較例5、8は(C)/(B)の値が本発明の範囲未満であるため、耐薬品性と難燃性バランスが不十分である。比較例6、9は、(C)/(B)の値が本発明の範囲を越えるため、機械的強度、難燃性、加工流動性、耐薬品性バランスが不十分である。比較例7は、(B)+(C)の含有量が本発明の範囲を越えるため衝撃強度、加工流動性が不十分である。
【0097】比較例10は、(D)の含有量が本発明の範囲未満であるために、薄肉での難燃性、剛性バランスが不十分である。比較例11は、(D)の含有量が本発明の範囲を越えるため、薄肉での難燃性、加工流動性、機械的強度の耐衝撃性バランスが不十分である。比較例12は、ケイ酸塩フィラー以外のフィラーを用いているため、薄肉での難燃性および剛性バランスが不十分である。
【0098】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、薄肉での難燃性、加工流動性、機械的強度のバランスに優れる。この効果は、スチレン系ゴム強化樹脂、フェノール樹脂、赤リン系難燃剤およびケイ酸塩フィラーの組み合わせによる組成物において、重量平均粒子径200nm〜1500nm、320nm〜2000nmのゴム粒子の割合が20wt%以上であるゴム状重合体に、ビニル化合物をグラフト共重合して得られるグラフト重合体の表面グラフト被覆率が80%以上で、かつ上記ゴム状重合体表面にグラフト重合しているビニル化合物の平均厚みが5〜25nmであることを特徴とするグラフト重合体をゴム強化樹脂の成分とし、さらにフェノール樹脂および赤リン系難燃剤の合計の添加量およびその比率、ケイ酸塩フィラーを特定の範囲にすることで達成しうる。




 

 


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