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発明の名称 シリカ前駆体/有機ポリマー組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−115021(P2001−115021A)
公開日 平成13年4月24日(2001.4.24)
出願番号 特願平11−295435
出願日 平成11年10月18日(1999.10.18)
代理人
発明者 田村 信史 / 花畑 博之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 下記一般式R1n(Si)(OR24-n(式中、R1はHまたは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状アルキル基またはアリール基を表し、R2は炭素数1から6の直鎖状または分岐状アルキル基を表す。またnは0〜3の整数である)で表されるアルコキシシラン類および/またはその加水分解物および/またはその縮合反応物を主成分とするシリカ前駆体において、前記アルコキシシラン類がSi(OR24およびR1(Si)(OR23とを少なくとも10モル%以上含み、[Si(OR24]/[R1(Si)(OR23]であらわされるモル比が0.01〜0.9の範囲であることを特徴とするシリカ前駆体と、炭素数が1〜12のエーテル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエーテル鎖、炭素数が1〜12のエステル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル鎖、炭素数が1〜12のカーボネート基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリカーボネート鎖および炭素数が1〜12のアンハイドライド基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリアンハイドライド鎖よりなる群より選ばれる少なくとも一種類の脂肪族ポリマー鎖から主に構成される主鎖を有する有機ポリマーと、を含有することを特徴とするシリカ前駆体/有機ポリマー組成物。
【請求項2】 該有機ポリマーの数平均分子量が100〜100万であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 該組成物における有機ポリマーの含有量が、該アルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応されて得られる生成物1重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】 該アルコキシシランの加水分解および縮合反応を促進するための触媒として機能することのできる、少なくとも一種類の酸をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を基板上に塗布し、シリカ前駆体をゲル化することにより得られるシリカ/有機ポリマー複合体薄膜。
【請求項6】 請求項5に記載のシリカ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーを除去することによって得られる多孔性シリカ薄膜。
【請求項7】 請求項5または6に記載の薄膜を絶縁物として用いることを特徴とする配線構造体。
【請求項8】 請求項7の配線構造体を包含してなる半導体素子。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電率が極めて低く、均一な細孔を有し、低吸湿でかつ高機械的強度を発現する絶縁薄膜製造用シリカ前駆体/有機ポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性のシリカは軽量、耐熱性などの優れた特性を有するために、構造材料、触媒担体、光学材料などに幅広く用いられている。例えば近年、多孔性のシリカは誘電率を低くできる、という点から期待を集めている。LSIをはじめとする半導体素子の多層配線構造体用の絶縁薄膜素材としては、従来緻密なシリカ膜が一般的に用いられてきた。しかし近年、LSIの配線密度は微細化の一途をたどっており、これに伴って基板上の隣接する配線間の距離が狭まっている。このとき、絶縁体の誘電率が高いと配線間の静電容量が増大し、その結果配線を通じて伝達される電気信号の遅延が顕著となるため、問題となっている。このような問題を解決するため、多層配線構造体用の絶縁膜の素材として、誘電率のより低い物質が強く求められている。
【0003】ここで、多孔性のシリカは比誘電率が1である空気との複合体であるため、比誘電率をシリカ自身の4.0〜4.5よりも大幅に低下させることができ、しかも緻密なシリカ膜と同等の加工性、耐熱性をもつために理想的な絶縁膜材料として注目されている。
【0004】多孔性のシリカとして代表的なものにシリカキセロゲルやシリカアエロゲルなどがあげられる。これらの素材は、ゾル−ゲル反応により製造される。ここで、ゾル−ゲル反応とは、ゾルと呼ばれる粒子が液体に分散したコロイド状のものを中間体として固体状のゲルに変化させる反応である。シリカの場合は、例えばアルコキシシラン化合物を原料とすると、その加水分解および縮合反応により得られる架橋構造体の粒子が溶媒に分散したものがゾルであり、さらに粒子が加水分解及び縮合反応をおこない溶媒を含んだ固体ネットワークを形成した状態がゲルである。そして、ゲルから溶媒を取り去ると固体ネットワークのみが残ったキセロゲル構造を示すシリカキセロゲルが製造できる。
【0005】シリカキセロゲルの薄膜形成の例は特開平07−257918号に記載されているように、ゾルであるシリカ前駆体の塗布液を一旦調製し、引き続きスプレーコーティング、浸漬コーティングまたはスピンコーティングにより基板上に塗布し、厚さが数ミクロン以下の薄膜を形成する。そして、この薄膜をゲル化してシリカとした後、乾燥するとシリカキセロゲルが得られる。一方、シリカエアロゲルの場合には、シリカ中の溶媒を超臨界状態にして除去する点がシリカキセロゲルと異なるが、ゾルであるシリカ前駆体の塗布液を調製するところはシリカキセロゲルと同じである。
【0006】さらにシリカキセロゲル薄膜の形成例として、USP5807607およびUSP5900879には、ゾルであるシリカ前駆体を塗布液とする場合に、調製時の溶液中にグリセロールなどの特定の溶媒を含有することによって、その後のゲル化や溶媒除去を経て得られるシリカキセロゲルの孔径および孔径分布を制御し、多孔体の機械的強度を向上させようとする方法が開示されている。しかし、この例では、溶媒に低沸点溶媒を用いているために、孔が形成される時の溶媒の除去が急激に起こり、そこに発生した毛細管力に対して、孔を取り巻く壁部分が追随できず、その結果孔の収縮が起こってしまう。そのため、孔がつぶれたり、孔のまわりにミクロクラックが発生し、ここに外的応力がかかると、ここが応力の集中点として働くため、結局、シリカキセロゲルは十分な機械的強度が発現されない、といった問題が生じている。
【0007】溶媒の除去速度を極端に遅くすることは可能であるが、この場合にはシリカキセロゲルを得るのに多大の時間を必要とするので生産性に問題がある。上述したような低沸点溶媒における問題点を改善する手段として、例えば低沸点溶媒の代わりに有機ポリマーを用いる試みがある。有機ポリマーを用いると溶媒揮発速度や雰囲気を厳密にコントロールする必要がない、などの利点もある。
【0008】たとえば、特開平04−285081号には、アルコキシシランのゾル−ゲル反応を特定の有機ポリマーを共存させておこない、一旦シリカ/有機ポリマー複合体を製造し、その後で有機ポリマーを除去して、均一な孔径を有する多孔性シリカを得る方法が開示されている。特開平5−85762号やWO99/03926にも、アルコキシシランと有機ポリマーの混合系から、誘電率が極めて低く、均一細孔および細孔分布を持った多孔性シリカを得ようとする方法が開示されている。さらに、特開平10−25359号、および特公平7−88239号には、アルコキシシランを含む金属アルコキシドのオリゴマー中に有機ポリマー微粒子を分散させて、ゲルを生成し、引き続き有機ポリマー微粒子を焼成除去して、細孔系を制御した多孔性シリカを得る方法も報告されている。
【0009】しかしながら、これらのシリカ/有機ポリマー複合体を経由して得られる多孔性シリカは、4官能性のアルコキシシランを出発原料として使用している場合が多く、このため架橋密度は高く、機械的強度は実用レベルにあるが、材料の吸湿性が大きく、誘電率が経時的に大きくなってしまう問題が生じていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を解決するものであって、従来にくらべて格段に吸湿性を改善し、かつ機械的強度とのバランスに優れた多孔性シリカを製造するための、シリカ前駆体/有機ポリマー組成物の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の4官能性アルコキシシラン類と、特定の3官能性アルコキシシラン類とを特定のモル比の範囲に制御してシリカ前駆体と有機ポリマーとからなる組成物を用いて、一旦シリカ/有機ポリマー複合体薄膜を形成し、その後このシリカ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーを除去して得られる多孔性シリカ薄膜は誘電率が極めて低く、ナノオーダーサイズの細孔で細孔分布は狭く、かつ低吸湿性で機械的強度が良好な絶縁薄膜材料として極めて優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0012】即ち、本発明は、1、 下記一般式R1n(Si)(OR24-n(式中、R1はHまたは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状および環状アルキル基またはアリール基を表し、R2は炭素数1から6の直鎖状または分岐状アルキル基を表す。またnは0〜3の整数である)で表されるアルコキシシラン類および/またはその加水分解物および/またはその縮合反応物を主成分とするシリカ前駆体において、前記アルコキシシラン類がSi(OR24およびR1(Si)(OR23とを少なくとも10モル%以上含み、[Si(OR24]/[R1(Si)(OR23]であらわされるモル比が0.01〜0.9の範囲であることを特徴とするシリカ前駆体と、炭素数が1〜12のエーテル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエーテル鎖、炭素数が1〜12のエステル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル鎖、炭素数が1〜12のカーボネート基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリカーボネート鎖および炭素数が1〜12のアンハイドライド基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリアンハイドライド鎖よりなる群より選ばれる少なくとも一種類の脂肪族ポリマー鎖から主に構成される主鎖を有する有機ポリマーと、を含有することを特徴とするシリカ前駆体/有機ポリマー組成物。
2、 該有機ポリマーの数平均分子量が100〜100万であることを特徴とする1に記載の組成物。
【0013】3、該組成物における有機ポリマーの含有量が、該アルコキシシランの全量が加水分解および縮合反応されて得られる生成物1重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とする1または2に記載の組成物。
4、該アルコキシシランの加水分解および縮合反応を促進するための触媒として機能することのできる、少なくとも一種類の酸をさらに含有することを特徴とする、1〜3のいずれかに記載の組成物。
5、1〜4のいずれかに記載の組成物を基板上に塗布し、シリカ前駆体をゲル化することにより得られるシリカ/有機ポリマー複合体薄膜。
6、5に記載のシリカ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーを除去することによって得られる多孔性シリカ薄膜。
7、5または6に記載の薄膜を絶縁物として用いることを特徴とする配線構造体。
8、7の配線構造体を包含してなる半導体素子に関する。
【0014】尚、本発明においてシリカとはその化学式が珪素酸化物(SiO2)のほかに珪素上に炭化水素や水素原子を有する、下記一般式R1xySiO(2-(x+y)/2)(式中、R1はHまたは炭素数1から8の直鎖状、分岐状および環状アルキル基またはアリール基を表し、0≦x≦2、yは0または1)で表されるものを含む。
【0015】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明において用いることができる4官能性アルコキシシランの具体的な例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(t−ブトキシ)シランなどが挙げられる。3官能性アルコキシシランの具体的な例として、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0016】さらに2官能性アルコキシランの具体的な例として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどが挙げられる。この中でも特に好ましいのがテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランである。本発明の組成物においては、アルコキシシランの部分加水分解物およびその縮合反応物が含まれていてもよい。アルコキシシラン類の部分加水分解物を原料としてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合しても差し支えない。
【0017】また得られるシリカ/有機ポリマー複合体薄膜や多孔性シリカ薄膜を改質するために、ケイ素原子上に2〜3個の水素、アルキル基、アリール基をもつ1官能性のアルコキシシランを上記のアルコキシシラン類に混合することも可能である。たとえばトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランが挙げられる。さらに、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシランなども用いることができる。 また混合する量は、アルコキシシランの全モル数のうち80%以下となるようにする。80%を超えると、ゲル化しない場合がある。
【0018】その他、シリカ中の架橋密度をさらに上げるために炭素上に複数のトリアルコキシシリル基を有する化合物を混合することも可能である。具体的な例としては、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0019】上記の4官能性アルコキシシランおよび3官能性アルコキシシランは使用するアルコキシシラン全体の10モル%以上含まなければならない。より好ましくは30モル%以上である。4官能性アルコキシシランおよび3官能性アルコキシシランのモル数が10モル%以上あるとシリカゲル中の架橋密度が十分に確保され、ゲル構造が強固になるので、所望するような機械的強度が得られる。10%以下であると、2官能性および1官能性のアルコキシシランの割合が増えてしまい、線状または分子量の極めて低いシリカゲルしか得られないので、高機械的強度は発現されず好ましくない。
【0020】さらに、4官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランのモル比、すなわち[Si(OR24]/[R1(Si)(OR23]は0.01〜0.9に制御しなければならない。より好ましくは0.1〜0.6である。4官能性アルコキシシランは架橋点密度を挙げるという点では有利であり、高機械的強度が発現されるが、4官能性アルコキシシランを使うと、得られたシリカが吸湿しやすくなる。この理由については良く分かっていないが、アルコキシシラン基の加水分解物であるシラノール基が分子内に4個あると、ゾル−ゲル反応終了時に、そのうちの1個や2個のシラノール基が残存するためと考えられる。シラノール基は吸湿性が極めて高く、その結果誘電率が著しく上昇してしまう。
【0021】一方、3官能性のアルコキシシランでは、架橋点密度という観点では4官能性アルコキシシランに比べて不利ではあるが、ケイ素原子に直接アルキル基が結合しており、このアルキル基の存在により、吸湿性は激減する。したがって、4官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランのモル比、すなわち[Si(OR24]/[R1(Si)(OR23]が0.01〜0.9に制御されると、得られた多孔性シリカの吸湿性は極めて低く、かつ高機械的強度が発現される。この比が0.01より小さいと、架橋点密度が十分確保されないので、多孔性シリカの機械的強度が発現されない。逆にこの比が0.9よりも大きいと、シリカ中のアルキル基の濃度が減少し、急激に吸湿性が悪化してしまうので好ましくない。
【0022】次に本発明における組成物中に含まれる有機ポリマーについて説明する。有機ポリマーとしては、シリカとの相溶性が良く、かつ後述するような加熱によって除去されやすい脂肪族系ポリマーが好適であり、具体的には炭素数が2〜12のエーテル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエーテル鎖、炭素数が2〜12のエステル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステル鎖、炭素数が2〜12のポリカーボネート基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリカーボネート鎖、および炭素数が2〜12のアンハイドライド基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリアンハイドライド鎖よりなる群から選ばれる主鎖を有するポリマーが用いられる。
【0023】上記有機ポリマーは単独であっても、複数のポリマーの混合であってもよい。また有機ポリマーの主鎖は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリマー鎖を含んでいてもよい。炭素数が2〜12のエーテル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエーテルの例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリジオキソラン、ポリジオキセパンなどのアルキレングリコール類をあげることができる。
【0024】炭素数が2〜12のエステル基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステルの例としては、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトントリオール、ポリピバロラクトン等の、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物やラクトンの開環重合物およびポリエチレンオキサレート、ポリエチレンスクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンアジペート、ポリオキシジエチレンアジペート等の、ジカルボン酸とアルキレングリコールとの重縮合物ならびにエポキシドと酸無水物との開環共重合物を挙げることができる。
【0025】炭素数が2〜12のカーボネート基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリカーボネートの例としては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネートをあげることができる。炭素数が2〜12のアンハイドライド基含有繰り返し単位を有する脂肪族ポリアンハイドライドの例としては、ポリマロニルオキシド、ポリアジポイルオキシド、ポリピメロイルオキシド、ポリスベロイルオキシド、ポリアゼラオイルオキシド、ポリセバコイルオキシド等のジカルボン酸の重縮合物をあげることができる。
【0026】これらのなかでも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリエチレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリアジポイルオキシド、ポリアゼラオイルオキシド、ポリセバコイルオキシドを用いるのが好ましい。尚、アルキレングリコールとは炭素数2以上のアルカンの同一炭素原子上に結合していない2個の水素原子を、それぞれ水酸基に置換して得られる2価アルコールを指す。またジカルボン酸とは蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのカルボキシル基を2個有する有機酸を指す。
【0027】有機ポリマーとして上記以外の脂肪族ポリマーや芳香族ポリマーを用いると、生成するシリカ/有機ポリマー複合体の均一性が損なわれて、これが多孔性シリカの構造にも悪影響を与え、強度が低下したり、またシリカ/有機ポリマー複合体から多孔性シリカを得るための加熱温度が高くなるなどの問題が生じる場合があり好ましくない。ただし、本発明の効果を損なわない程度の範囲で、たとえば粘度調整や塗布特性改善などの目的で他の任意のポリマーを添加しても差し支えない。
【0028】有機ポリマーの分子量は数平均で100から100万であることが好ましい。好ましくは100〜30万、より好ましくは200〜5万である。分子量が100よりも低いと、シリカ/有機ポリマー複合体から多孔性シリカを得る過程において、有機ポリマーの除去される速度が速すぎて、所望する空孔率を有する多孔性シリカが得られない。逆に100万を超えると、今度は除去速度が遅すぎて、有機ポリマーが多孔性シリカ中に残存するので好ましくない。特により好ましい有機ポリマーの分子量は200〜5万であり、この場合には短時間に所望するような高い空孔率を持った多孔性シリカ薄膜が容易に得られる。ここで注目すべきことは、多孔性シリカの空孔の大きさは、有機ポリマーの分子量にあまり依存せずに、きわめて小さくかつ均一なことである。これは高機械強度を発現するためにきわめて重要である。
【0029】本発明における有機ポリマーの添加量は、アルコキシシランの全量が加水分解および縮合されて得られるシリカ1重量部に対し0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。有機ポリマーの添加量が0.01重量部より少ないと多孔性シリカが得られず、また10重量部より多くても、十分な機械強度を有する多孔性シリカが得られず、実用性に乏しい。
【0030】本発明においてアルコキシシランの加水分解、縮合反応を促進するための触媒として機能する物質を添加してもよい。触媒として機能しうる物質の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、マレイン酸などの酸類が好ましい。これらの触媒の添加量はアルコキシシラン1モルに対し1モル以下、好ましくは10-1モル以下が適当である。1モルより多いと沈殿物が生成し、均一な多孔性シリカが得られない場合がある【0031】本発明のようなシリカ/有機ポリマー複合体を経由した多孔性シリカ薄膜の製造において、溶媒の存在は必ずしも必須ではないが、アルコキシシラン類と有機ポリマーの両方を溶解するものであれば特に限定することなく用いることが可能である。 用いられる溶媒の例として、炭素数1〜4個の一価アルコール、炭素数1〜4個の二価アルコール、グリセリン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−アセチルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−アセチルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルピロリジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジアセチルピペラジンなどのアミド類、γ−ブチロラクトンのようなラクトン類、テトラメチルウレア、N,N’−ジメチルイミダゾリジノンなどのウレア類などがあげられる。これらの単独、または混合物として用いても良い。
【0032】本発明いおいて、アルコキシシランの加水分解には水が必要である。アルコキシシランに対する水の添加は液体のまま、あるいはアルコールや水溶液として加えるのが一般的であるが、水蒸気の形で加えてもかまわない。水の添加を急激におこなうと、アルコキシシランの種類によっては加水分解と縮合が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、水の添加に充分な時間をかける、均一化させるためにアルコールなどの溶媒を共存させる、低温で添加するなどの手法が単独または組み合わせて用いられる。
【0033】その他、所望であれば、たとえば感光性付与のための光触媒発生剤、基板との密着性を高めるための密着性向上剤、長期保存のための安定剤など任意の添加物を、本発明の趣旨を損なわない範囲で本発明の組成物に添加することができる。以上のようにして得られるシリカ前駆体/有機ポリマー組成物を成形することにより薄膜を形成させ、得られた薄膜中のシリカ先駆体をゲル化させることによって、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜を得ることができる。
【0034】本発明において、薄膜の形成は基板上に本発明の組成物を塗布することによって行う。膜形成方法としては流延、浸漬、スピンコートなどの周知の方法で行うことができるが、半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層の製造に用いるにはスピンコートが好適である。薄膜の厚さは組成物の粘度や回転速度を変えることによって0.1μm〜100μmの範囲で制御できる。100μmより厚いとクラックが発生する場合がある。半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層としては、通常0.5μm〜5μmの範囲で用いられる。
【0035】基板としてはシリコン、ゲルマニウム等の半導体基板、ガリウム−ヒ素、インジウム−アンチモン等の化合物半導体基板等を用いこともできるし、これらの表面に他の物質の薄膜を形成したうえで用いることも可能である。この場合、薄膜としてはアルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、銀、タンタル、タングステン、オスミウム、白金、金などの金属の他に、二酸化ケイ素、フッ素化ガラス、リンガラス、ホウ素−リンガラス、ホウケイ酸ガラス、多結晶シリコン、アルミナ、チタニア、ジルコニア、窒化シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化ホウ素、水素化シルセスキオキサン等の無機化合物、メチルシルセスキオキサン、アモルファスカーボン、フッ素化アモルファスカーボン、ポリイミド、その他任意の有機ポリマーからなる薄膜を用いることができる。
【0036】シリカ前駆体のゲル化温度は特に限定されないが、通常は0〜250℃、このましくは50〜200℃の範囲で行う。温度が0℃よりも低いと反応速度が小さく、シリカ前駆体が十分ゲル化するのに多大の時間を要し、逆に250℃よりも高いと巨大なボイドが生成しやすく、後述するシリカ/有機ポリマー複合体薄膜の均質性が低下する。ゲル化反応に要する時間は熱処理温度、触媒添加量や溶媒種および量によっても異なるが、通常数分間から数日間の範囲である。
【0037】シリカ/有機ポリマー複合体薄膜から多孔性シリカへは、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜から有機ポリマーを除去することによって行う。この時に、上記のシリカのゲル化反応が十分に進行していれば、シリカ/有機ポリマー複合体薄膜中の有機ポリマーが占有していた領域が、多孔性シリカ薄膜中の空孔としてつぶれずに残る。その結果、空隙率が高く、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜を得ることができる。
【0038】有機ポリマーを除去する方法としては、加熱、プラズマ処理、溶媒抽出などが挙げられるが、現行の半導体素子製造プロセスにおいて容易に実施可能であるという観点からは、加熱がもっとも好ましい。この場合、加熱温度は用いるポリマーの種類に依存し、薄膜状態下で単に蒸散除去されるもの、有機ポリマー分解を伴って焼成除去されるもの、およびその混合物の場合があるが、通常の加熱温度は300〜500℃、好ましくは350〜450℃の範囲である。300℃よりも低いと有機ポリマーの除去が不充分で、有機物の不純物が残るため、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜が得られない危険がある。逆に500℃よりも高い温度で処理することは、物性発現上好ましいが、この温度を半導体素子製造プロセスで用いるのは極めて困難である。
【0039】加熱時間は1分〜24時間の範囲で行うことが好ましい。1分より少ないと有機ポリマーの蒸散や分解が十分進行しないので、得られる多孔性シリカ薄膜に不純物として有機物が残存し、特性が悪化する。また通常熱分解や蒸散は24時間以内に終了するので、これ以上長時間の加熱はあまり意味をなさない。加熱は窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気下で行ってもよいし、空気中または酸素ガスを混入させたりといった酸化性雰囲気下で行うことも可能である。一般的に、酸化性雰囲気を用いることによって加熱温度や時間が低減できる。また雰囲気中にアンモニア、水素などが存在していると、同時にシリカ中に残存しているシラノール基が反応して水素化あるいは窒化され、多孔性シリカ薄膜の吸湿性を低減させ、誘電率の上昇を抑制することもできる。
【0040】以上、本発明のシリカ前駆体/有機ポリマー組成物を用いて得られた多孔性シリカ薄膜は、誘電率が低く、孔径が小さく、均一で、かつ低吸湿性で高機械的強度を発現できるので、LSI多層配線用基板や半導体素子の絶縁膜用として最適である。本発明により得られる多孔性シリカ薄膜は、薄膜以外のバルク状の多孔性シリカ体、たとえば光学的膜や触媒担体はじめ断熱材、吸収剤、カラム充填材、ケーキング防止剤、増粘剤、顔料、不透明化剤、セラミック、防煙剤、研磨剤、歯磨剤などとして使用することも可能である。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発目の実施例を示すが、本発明の権利範囲はこれらに限定されるものではない。多孔性シリカの評価は下記の装置を用いて行った。
(1)空孔率、平均孔径、孔径分布:シリコンウェハ上の薄膜を削り取って、窒素吸着式ポロシメーター(クアンタクローム社オートソーブ1)を用いて測定した。V/r値で10-3以下の部分には事実上孔は存在しないとした。
(2)誘電率:窒化チタン(TiN)を表面に形成したシリコンウェハ上に多孔性シリカ薄膜を形成後、この薄膜の上部にSUS製のマスクを通してアルミニウムを蒸着し、直径1.7mmの電極を作製し、インピーダンスアナライザを用いて1MHzにおける比誘電率(k)を求めた。
(3)吸湿性:(2)で用いた多孔性シリカ薄膜を、相対湿度100%雰囲気下に室温で24時間さらした後の誘電率変化で判断した。
(4)機械的強度(硬度、弾性率):硬度(H)および弾性率(E')は島津製作所製微小硬度試験機DUH201Sを用い、頂角115度のダイアモンドチップで、試料の任意の5箇所に0.05g重の荷重を掛けたときの5回の押し込み深さの平均値から下記手順で求めた。硬度(H)は下記式より算出した。
H=C×F/D2C:機械定数=1/26.44、F:荷重、D:最大押し込み深さ【0042】また、弾性率(E')はDoerner,M.F.らの方法(J.Mater.Res.1,601(1986))に基づき、上記の試験機(DUH201S)を用いて荷重曲線および除荷曲線を求め、除荷曲線において最大荷重の点から荷重70%までの点を結んで得られる接線の傾きから算出した。
【0043】
【実施例1】テトラエトキシシラン1.2g(5.8mmol)、メチルトリメトキシシラン6.3g(46.2mmol)とポリエチレングリコール(分子量400)5.2gを、メタノール10.0g、N,N−ジメチルアセトアミド3.0g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート2.0gの混合溶媒に溶解後、この溶液に水1.5gと0.1N硫酸1.5gを加え、室温で2時間攪拌した。この溶液3.0gを、6インチシリコンウェハー上に塗布し、1500rpmで10秒間スピンコートした。次にホットプレート上、大気中120℃で3分間加熱後、窒素雰囲気下200℃にて1時間、ついで400℃で1時間、キュア炉にて加熱処理し、厚さ1μmの多孔性シリカ薄膜を得た。
【0044】得られた多孔性シリカ薄膜の硬度は0.7GPa、弾性率は5GPaであった。窒素吸着によって求められた空孔率は54%であり、平均孔径4.0nm、10nm以上の孔は事実上存在しないことがわかった。また、同様にしてTiN膜上に形成した多孔性シリカ薄膜の1MHzにおける比誘電率は2.0であり、SiO2の比誘電率である4.5を大きく下回っていた。相対湿度100%の雰囲気中に24時間さらした後の比誘電率は2.0であり、ほとんど変化しなかった。以上の結果は、この多孔性シリカ薄膜が半導体層間絶縁膜材料として好ましい誘電率、細孔径、細孔分布および低吸湿性と高機械的強度を有するといえる。
【0045】
【実施例2】実施例1において、テトラエトキシラン4.8g(23.0mmol)、メチルトリメトキシシラン4.2g(30.8mmol)とする以外は同様の手法で塗布液を調整した後多孔性シリカ薄膜を得た。TiN膜上に形成した多孔性シリカ薄膜の比誘電率は2.2であり、相対湿度100%の雰囲気中に24時間さらした後の比誘電率は2.25であった。シリコンウェハー上に塗布し得られた薄膜の平均孔径は3.8nmで10nm以上の孔は存在しなかった。また硬度は0.8GPa、弾性率は11GPaであった。従って得られた多孔性シリカ薄膜は半導体層間絶縁膜材料として好ましい誘電率、細孔径、細孔分布および低吸湿性と高機械的強度を有するといえる。
【0046】
【実施例3】実施例1において、有機ポリマーをポリプロピレングリコール(分子量400)5.2gとする以外は同様の手法で多孔性シリカ薄膜を得た。TiN膜上に形成した多孔性シリカ薄膜の比誘電率は1.9であり、相対湿度100%の雰囲気中に24時間さらした後の比誘電率は1.95であった。シリコンウェハー上に塗布して得られた薄膜の平均孔径は2.1nmで10nm以上の孔は存在しなかった。また硬度は0.7GPa、弾性率は8GPaであった。従って得られた多孔性シリカ薄膜は半導体層間絶縁膜材料として好ましい誘電率、細孔径、細孔径分布および優れた機械的強度を有するといえる。
【0047】
【比較例1】実施例1においてアルコキシシランをテトラエトキシラン12.0g(58mmol)およびポリエチレングリコール(分子量400)10.4gとした以外は同様の手法でテトラエトキシシランの架橋物溶液を調整し、実施例1と同様の操作で多孔性シリカ薄膜を得た。比誘電率は2.0で硬度は0.8GPa、弾性率は10GPaだった。平均細孔径は7nmで、20nm以上の細孔は実質上存在しなかった。しかし、24時間経時後の比誘電率は3.5であり、半導体層間絶縁膜材料として不適当であるといえる。
【0048】
【比較例2】実施例1においてアルコキシシランをテトラエトキシラン4.8g(23.0mmol)およびメチルトリメトキシシラン3.14g(23.0mmol)とした以外は同様の手法で多孔性シリカ薄膜を得た。比誘電率は2.5で、24時間経時後の比誘電率は2.8になっていた。硬度は0.3GPa、弾性率は4GPaであり、半導体層間絶縁膜材料として不適当であるといえる。
【0049】
【比較例3】実施例1においてアルコキシシランをトリメトキシシラン7.0g(51.4mmol)とする以外は同様の手法で塗布液を調整し、実施例1と同様の操作で多孔シリカ薄膜を得た。比誘電率は1.9で、平均細孔径は2nmで、10nm以上の細孔は実質上存在しなかった。24時間経過後の比誘電率は1.92で良好であったが、機械的強度は硬度が0.3GPa、弾性率が3GPaであり、半導体層間絶縁膜材料として十分に満足できるものではない。
【0050】
【発明の効果】以上の本発明のシリカ前駆体と有機ポリマーとの組成物を用いて得られた多孔性シリカ薄膜は誘電率が十分に低く、吸水性が低いために誘電率が安定で、さらに高機械的強度を示した。




 

 


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