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発明の名称 帯電防止ポリフェニレンエーテル樹脂組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−106894(P2001−106894A)
公開日 平成13年4月17日(2001.4.17)
出願番号 特願平11−285617
出願日 平成11年10月6日(1999.10.6)
代理人 【識別番号】100094709
【弁理士】
【氏名又は名称】加々美 紀雄 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002 BC03X CH023 CH07W CM043 DL008 EV256 EW047 FA018 FA048 FD018 FD137 
発明者 山口 徹 / 大関 寿朗
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (A)ポリフェニレンエーテル樹脂またはこれとポリスチレン系樹脂35〜90重量部、(B)有機電解質0.5〜2重量部、(C)ポリアルキレンオキサイドブロックを含有するポリアミド系エラストマー0.5〜3重量部、(D)燐酸エステル系難燃剤0〜30重量部、(E)組成物中での平均アスペクト比が5〜100の無機フィラー8〜60重量部を含有することを特徴とするフィラー強化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
【請求項2】 該樹脂(B)成分の有機電解質がアルキルスルホン酸ナトリウム、(C)成分のポリアルキレンオキサイドブロックを含有するポリアミド系エラストマーがポリアミドイミドエラストマーである請求項1の樹脂組成物。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、持続的な帯電防止性を有すると共に機械的強度、耐熱性、流動性、難燃性に優れたフィラー強化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンエーテル樹脂は機械的性質、成形加工性、耐熱性、寸法安定性あるいは電気特性等に優れるため家電分野、事務機分野や情報機器分野等に広く用いられている。
【0003】特に構造材料には高い剛性、耐熱性等が要求されることから、無機フィラーを配合したフィラー強化樹脂組成物が多く用いられている。
【0004】しかしながら、元来、ポリフェニレンエーテル樹脂は表面抵抗率が比較的高めなためその加工製品は摩擦などで静電気が帯電し易く、その結果、埃などが付着して汚れが生じたり、電気製品において誤作動を起こすなどの好ましくない静電気障害を招く欠点を有している。
【0005】したがって、これらの静電気障害が問題となる用途においては、樹脂本来の好ましい特性を損なうことなく帯電防止性が賦与された材料の開発が望まれている。
【0006】熱可塑性樹脂に帯電防止性能を与える方法として、一般的な帯電防止剤としての界面活性剤を樹脂に溶融混練する方法が従来より行われている。しかしフィラー強化ポリフェニレンエーテル樹脂においては、この方法では特定のアニオン系界面活性剤しか効果は見られず、仮に一時的に帯電防止性能が賦与されても大気中の湿度に影響を受けやすいため、冬場等の湿度の低下によって帯電防止性能が一時的に消失したり、成型品表面の拭き取りや洗浄により界面活性剤が容易に除去され、帯電防止性能が消失する欠点を有する。
【0007】また、ポリアルキレンオキサイドやポリアルキレングリコールを成分とする帯電防止性に優れたエラストマーと有機電解質と混和剤とを樹脂に添加して溶融混練することにより、大気中の湿度に比較的影響を受けにくく、洗浄しても帯電防止性の消失しない持続性の帯電防止性能を与える方法が特開平4−246461号公報、特開平9−188810号公報、特開平9−202858号公報、特開平9−202859号公報等に開示されている。
【0008】これらの技術は持続的な帯電防止性を与えるために帯電防止性に優れたエラストマーを多量に添加する必要があり、エラストマーと樹脂との相溶性に制限があるため混和剤を添加しなければ成型品に著しい層状剥離が生じる。
【0009】そのため混和剤の添加により成型品の層状剥離を抑制しているが、多量のエラストマーの添加によりポリフェニレンエーテル樹脂本来の機械的強度、難燃性は著しく損なわれ、さらに混和剤の添加により流動性も低下するため、構造材料として使用するには不十分である。
【0010】さらに樹脂材料を家電分野、事務機分野や情報機器分野に用いる時はほとんどの場合難燃性も要求されるが、難燃剤を添加しても難燃化は著しく困難である。
【0011】これらの問題を解決するためには、帯電防止性を賦与するために添加されるエラストマーの樹脂への添加量を減少させる必要があるが、当然のことながら持続性帯電防止効果は発現され難くなる。
【0012】ところで樹脂を難燃化する場合、ハロゲン化合物や三酸化アンチモンを用いるのでは時代の要求に合わないし、燐酸エステル類で難燃化できれば環境上好ましい。そこで本発明は持続的な帯電防止性を有すると共に機械的強度、耐熱性、流動性等に優れた、家電分野、事務機分野、情報機器分野に有効に使用できる非難燃および難燃フィラー強化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を提供することを目的とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、環境に悪影響を及ぼさず、機械的強度、耐熱性、流動性、難燃性に優れた、持続性帯電防止性能を有するフィラー強化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を得ることを目的に鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル樹脂中の無機フィラーの形状が持続性帯電防止効果に著しく影響を及ぼすことを見出し、無機フィラーの樹脂組成物中の平均アスペクト比とその添加量に適正範囲が存在すること、またこのような無機フィラーを適正量添加することにより成型品の層状剥離が抑制されること、さらに帯電防止性を賦与するために添加されるエラストマーの添加量が著しく削減できること、それにより混和剤添加の必要が無くなること、その結果、耐熱性と流動性のバランスに優れ、機械的強度の低下が極めて少ない樹脂組成物が得られること、また難燃化も容易になり、特に燐酸エステル系難燃剤を用いると難燃効果が飛躍的に向上することを発見して本発明に至り、持続的な帯電防止性に優れたフィラー強化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を提供できるに至った。
【0014】即ち本発明は、1.(A)ポリフェニレンエーテル樹脂またはこれとポリスチレン系樹脂35〜90重量部、(B)有機電解質0.5〜2重量部、(C)ポリアルキレンオキサイドブロックを含有するポリアミド系エラストマー0.5〜3重量部、(D)燐酸エステル系難燃剤0〜30重量部、(E)組成物中の平均アスペクト比が5〜100の無機フィラー8〜60重量部を含有することを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物、2.上記1.において、(B)成分の有機電解質がアルキルスルホン酸ナトリウムで、(C)成分のポリアルキレンオキサイドブロックを含有するポリアミド系エラストマーがポリアミドイミドエラストマーである樹脂組成物、から成る、持続的な帯電防止性を有するフィラー強化ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を提供するものである。本発明を更に詳細に説明する。
【0015】本発明の(A)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂とは、次に示す一般式(1)、【0016】
【化1】

【0017】(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6 は炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5 ,R6 は同時に水素ではない)を繰り返し単位とし、構成単位が一般式(1)の〔a〕及び〔b〕からなる単独重合体、あるいは共重合体が使用できる。
【0018】ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
【0019】ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を包含する。
【0020】また、本発明のポリフェニレンエーテル樹脂中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエーテル樹脂中に存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。少量共存させることが提案されているものの例としては、特願昭63−12698号公報及び特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。
【0021】また、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
【0022】さらに、例えば特開平2−276823、特開昭63−108059、特開昭59−59724等に記載されている、炭素−炭素二重結合を持つ化合物により変性されたポリフェニレンエーテルも含む。
【0023】(A)成分はポリフェニレンエーテル樹脂の他に、任意の割合でポリスチレン系樹脂を含むことができる。ポリスチレン系樹脂とは、スチレン系化合物、スチレン系化合物と共重合可能な化合物をゴム質重合体存在または非存在下に重合して得られる重合体である。
【0024】スチレン系化合物とは、一般式〔2〕
【0025】
【化2】

【0026】(式中、Rは水素、低級アルキルまたはハロゲンを示し、Zはビニル、水素、ハロゲン及び低級アルキルよりなる群から選択され、pは0〜5の整数である)で表される化合物を意味する。
【0027】これらの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。また、スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、スチレン系化合物と共に使用される。また、ゴム質重合体としては共役ジエン系ゴムおよび共役ジエンと芳香族ビニル化合物のコポリマーまたはこれらの水添物あるいはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム等が挙げられる。本発明のために好適なスチレン系樹脂はポリスチレンおよびゴム強化ポリスチレンである。
【0028】本発明の(B)成分である有機電解質とは、酸性基を有する有機化合物の金属塩のことであり、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、スルホコハク酸、α−オレフィンスルホン酸、N−アシルスルホン酸、アルキルエ−テルスルホン酸、アルキルアリルエーテルスルホン酸、アルキルアミドスルホン酸、アミドエーテルスルホン酸、アシルメチルタウリン酸、α−スルホ脂肪酸エステル、ラウロイルメチルタウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸などの金属塩が挙げられる。
【0029】金属塩の金属の種類としては、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属が挙げられ、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの塩などが好ましい。
【0030】このような、酸性基を有する有機化合物の金属塩の中でも本発明においては、アルキルスルホン酸ナトリウムが特に好ましく、ポリアルキレンオキサイドブロックを含有するポリアミド系エラストマーと共に比較的少量の添加で耐熱性を低下させずに流動性を著しく向上させ、良好な持続性帯電防止性能が樹脂に賦与できる。
【0031】本発明の(C)成分であるポリアルキレンオキサイドブロックを含有するポリアミド系エラストマーとは以下に示すものである。
【0032】本発明に用いられるポリアミドエラストマーとは、ポリアルキレンオキサイドブロックをソフトセグメントとし、ポリアミドブロックをハードセグメントとする共重合体である。詳しくは、ハードセグメントとしての炭素数が6以上のアミノカルボン酸またはラクタムもしくはm+n≧12のナイロンmn塩(a)、およびソフトセグメントとしてのポリオール、具体的にはポリ(アルキレンオキシド)グリコール(b)から構成され、かつ(a)成分の全共重合体中に占める比率が95〜10、好ましくは90〜20、さらに好ましくは80〜30重量%である。
【0033】ここでいう炭素数が6以上のアミノカルボン酸またはラクタムもしくはm+n≧12のナイロンmn塩(a)としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、および11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸あるいはカプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタムなどのラクタム類、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩などのジアミン−ジカルボン酸塩が挙げられ、特にカプロラクタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩が好ましく用いられる。
【0034】ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(b)としてはポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体などが挙げられ、ポリエチレングリコールが特に好ましい。またポリ(アルキレンオキシド)グリコールの末端をアミノ化またはカルボキシル化してもよい。これらポリ(アルキレンオキシド)グリコールは、数平均分子量500〜3000のものが好適に用いられる。
【0035】(a)成分と(b)成分の結合は、(b)成分の末端基に応じてエステル結合またはアミド結合が考えられる。結合に応じてジカルボン酸やジアミンなどの第3成分を用いることができる。具体的な合成法としては、例えば特公昭56−45419号公報、特開昭55−133424号公報などに開示されている。
【0036】ここで用いるジカルボン酸成分としては、炭素数4〜20のものが考えられ、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、のような芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環族ジカルボン酸、およびコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。またジアミン成分としては、芳香族ジアミン、脂環族ジアミンおよび脂肪族ジアミンが挙げられ、芳香族ジアミンのヘキサメチレンジアミンが好適に用いられる。
【0037】本発明に用いられるポリアミドイミドエラストマーとは、ポリアルキレンオキサイドブロックをソフトセグメントとし、ポリアミドイミドブロックをハードセグメントとする共重合体である。
【0038】その具体例としては、特開平2−255850号公報や特開平3−26756号公報に掲載されている(a)カプロラクタム、(b)少なくとも1個のイミド環を形成しうる3価または4価の芳香族ポリカルボン酸あるいはこれらの無水物、(c)数平均分子量500〜4000のポリオキシエチレングリコールを少なくとも50重量%含有するポリオキシアルキレングリコールを重合させて成るポリアミドイミドエラストマー、あるいは、特公平7−8954号公報や特開平4−82762号公報に記載されている(a)カプロラクタム、(b)少なくとも1個のイミド環を形成しうる3価または4価の芳香族ポリカルボン酸あるいはこれらの無水物、(c)数平均分子量500〜4000のポリオキシエチレングリコールを少なくとも50重量%含有するポリオキシアルキレングリコール、および(d)有機ジイソシアネート化合物を重合させて成るポリアミドイミドエラストマーなどである。
【0039】本発明に用いるポリアミドイミドエラストマーは、0.5グラム/100mlメタクレゾール溶液を30℃で測定した相対粘度が1.5以上であることが好ましく、1.5より低いと機械的物性を十分に発揮されない。また該ポリアミドイミドエラストマー中のソフトセグメントとなる(c)成分の含有量は35〜85重量%の範囲にあることが好ましく、35重量%未満では帯電防止効果が劣り、85重量%を超えると機械的強度が劣り好ましくない。
【0040】(C)成分で特に好ましいのは、熱安定性や機械的物性の面からポリアミドイミドエラストマーである。
【0041】本発明の(D)成分である燐酸エステル系難燃剤は特に限定されるものではないが、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシノールビスホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート等の芳香族燐酸エステル系難燃剤がより好適であり、単独でも二種以上組み合わせて使用しても良い。本発明のために特に好適な芳香族燐酸エステル系難燃剤はトリフェニルホスフェートである。トリフェニルホスフェートは他の芳香族燐酸エステル系難燃剤に較べ難燃化効果が優れる。
【0042】本発明の(E)成分である、組成物中での平均アスペクト比が5〜100の無機フィラーとは、例えば、ガラスファイバー、ガラスミルドファイバー等のような円柱状又は柱状のフィラーやガラスフレーク等のような板状又は鱗片状のフィラーが挙げられる。ここで言うフィラーのアスペクト比とは光学顕微鏡等による拡大写真により測定され、円柱状又は柱状フィラーの場合(繊維長/繊維径)又は(繊維長/繊維断面の長径と短径の相加平均値)の計算で求められる値であり、板状又は鱗片状フィラーの場合(板又は鱗片状部分の長径と短径の相加平均値/フィラーの平均厚み)の計算で求められる値を指し、また、球状または無定形のフィラーの場合は拡大写真から測定される(最長径/最短径)の計算で求められる値を指す。
【0043】このような無機フィラーを配合することにより、比較的少量のポリアルキレンオキサイドブロックを含有するポリアミド系エラストマーと有機電解質を併用添加することによって、ポリフェニレンエーテル樹脂に優れた持続性帯電防止性能を賦与できることは誠に驚くべきことである。いかなるメカニズムでこのような効果を発現するかは定かではないが、おそらくポリアルキレンオキサイドブロックを含有するポリアミド系エラストマーと有機電解質とから形成される高分子固体電解質がフィラーの表面と親和性を有してフィラー表面に局在化し易くなり、さらに組成物の成型品表面でフィラー同士が接触し合い導電経路を形成して帯電防止性を発現するものと推測される。
【0044】樹脂中の無機フィラーの平均アスペクト比が5未満となると組成物の帯電防止性能は消失する。これは樹脂中のフィラー同士の接触が不十分となり、導電経路が形成されなくなるためと推測される。樹脂中の平均アスペクト比が100を越えた場合、組成物の流動性や難燃性が著しく低下し、燐酸エステル系難燃剤を用いても難燃化が困難となる。組成物中の無機フィラーのより好ましい平均アスペクト比の範囲は10〜80、特に好ましい範囲は20〜60である。
【0045】本発明において、(A)成分であるポリフェニレンエーテル系樹脂またはこれとポリスチレン系樹脂の添加量は35〜90重量部の範囲より選ばれる。(A)成分の添加量が90重量部を上回る場合は、持続的な帯電防止性を賦与するに十分な(B)成分および(C)成分を添加できないために好ましくない。
【0046】本発明において、(B)成分である有機電解質の添加量は0.5〜2重量部の範囲より選ばれる。(B)成分の添加量が0.5重量部を下回る場合は(C)成分を添加しても十分な持続性帯電防止効果が得られないため好ましくなく、2重量部を超える場合は機械的強度の低下が大きいため好ましくない。
【0047】本発明において、(C)成分であるポリアルキレンオキサイドブロックを有するポリアミド系エラストマーの添加量は0.5〜3重量部の範囲より選ばれる。(C)成分の添加量が0.5重量部を下回る場合は(B)成分を添加しても十分な持続性帯電防止効果が得られないため好ましくなく、3重量部を超える場合は機械的強度や流動性の低下が大きくまた燐酸エステル系難燃剤による難燃化も困難になるため好ましくない。
【0048】本発明において、(D)成分である燐酸エステル系難燃剤の添加量は0〜30重量部の範囲より選ばれ、より好ましくは5〜25重量部、特に好ましくは10〜20重量部の範囲である。難燃化する場合には(D)成分の添加量を5重量部以上にする必要がある。5重量部を下回る場合は難燃化効果が不十分になり、30重量部を上回る場合は組成物の耐熱性を大幅に低下させるために好ましくない。
【0049】本発明において、(E)成分である組成物中での平均アスペクト比が5〜100の無機フィラーの添加量は8〜60重量部の範囲より選ばれ、より好ましくは10〜50重量部、特に好ましくは20〜40重量部の範囲である。(E)成分の配合量が8重量部を下回る場合は(B)成分と(C)成分を添加しても十分な持続性帯電防止効果が得られず、成型品の層状剥離も十分に抑制できないため好ましくなく、60重量部を超える場合は流動性、難燃性の低下が大きく、燐酸エステル系難燃剤による難燃化が困難になるため好ましくない。
【0050】本発明の樹脂組成物には必要に応じて各種添加剤も添加することができる。剛性や寸法性能等を増すためには樹脂中でのアスペクト比が5〜100の無機フィラーと共に、タルク等、樹脂中でアスペクト比が5未満となる無機フィラーも任意の割合で併用して添加することができる。また樹脂組成物の安定性を増すための酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤類や着色剤、離型剤等も添加することができる。
【0051】本発明の組成物の調整方法は特に限定されるものではないが、無機フィラーの分散やアスペクト比をコントロールするために押出機が一般的に用いられる。無機フィラーの分散は押出時の剪断応力でコントロールするのが最も容易である。押出時の剪断応力は押出温度、スクリューパターン、スクリュー回転数等で変えられる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の用いる部は重量部であり%は重量%である。
【0053】実施例および比較例で用いた(B)成分を以下に示す。
【0054】(1)B−1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東京化成工業(株)製、試薬)
(2)B−2:アルカンスルホン酸ナトリウム(ミヨシ油脂(株)製、商品名 ダスパー802D)
(3)B−3:アシル(牛脂)メチルタウリン酸ナトリウム(日本油脂(株)製、商品名 ダイヤポンT)
(4)B−4:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(三洋化成工業(株)製、商品名 サンセパラー100)
実施例および比較例で用いた(C)成分を以下に示す。
【0055】C−1:ポリアミドイミドエラストマーかき混ぜ機、窒素導入口および留去管を取り付けた500mlセパラブルフラスコに、カプロラクタム97g、数平均分子量1470のポリオキシエチレングリコール90g、トリメリット酸16.4g、ジフェニルメタンジイソシアネート4.52gをN−N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシケイ皮酸アミド)0.3gと共に仕込み、窒素を50ml/minで流しながら、150℃で融解させた後、260℃で4時間重合した。次いで、テトラブチルオルソチタネート0.3gを添加した後、徐々に1トールまで減圧して未反応のカプロラクタムを系外に留去した。さらに同温度で1トール以下の圧力下で2時間重合して、淡黄色透明なポリアミドイミドエラストマー(C−1)を得た。このエラストマーはポリオキシエチレングリコールセグメントを49重量%含有し、相対粘度(メタクレゾール中30℃、0.5g/100ml)は1.93、融点は190℃、結晶化温度は121℃であった。
【0056】C−2:ポリアミドエラストマー(ATOCHEM社製、商品名 ペバックス4011)
実施例および比較例中の各測定値は以下の方法により求めた。
【0057】(1)帯電防止性50mm×90mm×厚み2.5mmの平板成形片を用い、三菱化学(株)製の抵抗率計(ハイレスターIP)により表面抵抗率を測定した。水洗後の測定は超音波洗浄機で3分間洗浄した後水気をよくふき取り、温度23℃、湿度40〜60%の条件下で2時間放置した後測定した。また乾燥時の測定は温度23℃、湿度20〜30%の条件下で24時間放置した後測定した。帯電防止性能の程度は、◎:10の11乗Ω/□未満、○:10の11乗〜5×(10の13乗)Ω/□未満、×:5×(10の13乗)Ω/□以上、で示した。
【0058】(2)平均アスペクト比樹脂組成物の樹脂部分をクロロホルムで溶解して樹脂組成物中の無機フィラーを分離し、分離した無機フィラーの顕微鏡拡大写真を撮り、約500個の無機フィラー粒子のアスペクト比を測定して平均アスペクト比を求めた。
【0059】(3)荷重たわみ温度(HDT)
ASTM D648に従い、厚み1/4インチの試験片を用いて荷重18.6kg/cm2で測定した。
【0060】(4)流動性(MI)
東洋精機(株)のメルトインデクサーP−111を用いて、250℃、10kg荷重にてメルトインデックスを測定した。
【0061】(5)燃焼性1.6mm厚みの試験片を用いてUL−94試験法に基づいて測定した。
【0062】(6)引張強度ASTMのD638による引張試験法に基づいて、1/8インチ厚みのダンベル片を用い、測定温度23℃で測定した。
【0063】比較例1固有粘度(クロロホルム溶媒で30℃にて測定)が0.43dl/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル36部、旭化成工業(株)のポリスチレン685を14部、B−2を2部、トリフェニルホスフェートを8部、繊維径13μmのガラス繊維を20部、クラレ(株)のマイカ200K1を20部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを池貝鉄工所(株)のPCM30二軸押出機を使用し、ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:3個、シーリング:1個を有するスクリューパターンで、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−1に示す。
【0064】比較例2B−2をB−3に替えて比較例1を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−1に示す。
【0065】比較例3ポリスチレンの内の6部を、メタクリル酸を8重量%共重合したポリスチレンに、5部をC−1に、0.3部をB−1に替え、更にB−2、2部を比較例1のポリスチレンに替えて比較例1を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−1に示す。
【0066】実施例1ポリスチレンの内の2部をC−1に替えて比較例1を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−2に示す。
【0067】実施例2B−2をB−3に替えて実施例1を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−2に示す。
【0068】実施例3B−2をB−4に替えて実施例1を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−2に示す。
【0069】実施例4C−1をC−2に替えて実施例1を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−2に示す。
【0070】比較例4比較例1のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル48部、ポリスチレン15部、B−2を3部、C−1を3部、トリフェニルホスフェートを11部、竹原化学工業(株)のタルク、ハイトロンAを20部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを比較例1と同一の押出条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−3に示す。
【0071】比較例5比較例4のタルクをNYCO社の繊維径8μmのワラストナイトに替えて、比較例4を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−3に示す。
【0072】実施例5比較例4のタルクを繊維径13μmのガラスミルドファイバーに替えて、比較例4を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−3に示す。
【0073】実施例6比較例4のタルクを繊維径13μmのガラス繊維に替えて、比較例4を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−3に示す。
【0074】実施例7比較例4のタルクを厚み5μmのガラスフレークに替えて、比較例4を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−3に示す。
【0075】比較例6比較例1のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル57部、ポリスチレン18部、B−3を3.5部、C−1を3.5部、トリフェニルホスフェートを13部、繊維径13μmのガラス繊維を5部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを比較例1と同一の押出条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−4に示す。
【0076】比較例7比較例1のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル24部、ポリスチレン8部、B−3を1部、C−1を1.5部、トリフェニルホスフェートを5.5部、繊維径13μmのガラス繊維を60部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを比較例1と同一の押出条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−4に示す。
【0077】実施例8比較例1のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル54部、ポリスチレン18部、B−3を3部、C−1を3部、トリフェニルホスフェートを12部、繊維径13μmのガラス繊維を10部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを比較例1と同一の押出条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−4に示す。
【0078】実施例9比較例1のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル42部、ポリスチレン14部、B−3を2部、C−1を2.5部、トリフェニルホスフェートを9.5部、繊維径13μmのガラス繊維を30部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを比較例1と同一の押出条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−4に示す。
【0079】実施例10比較例1のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル30部、ポリスチレン9部、B−3を1.5部、C−1を2部、トリフェニルホスフェートを7.5部、繊維径13μmのガラス繊維を50部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを比較例1と同一の押出条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表−4に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物はポリフェニレンエーテル系樹脂、有機電解質、帯電防止性に優れるエラストマー、無機フィラーまたは/および燐酸エステル系難燃剤からなり、組成物中の平均アスペクト比が5〜100になるような無機フィラーを用いることにより、機械的強度、耐熱性、流動性の優れた難燃および非難燃の持続的な帯電防止性を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が得られる。




 

 


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