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トロポロン化合物の製法 - 旭化成株式会社
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発明の名称 トロポロン化合物の製法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−97915(P2001−97915A)
公開日 平成13年4月10日(2001.4.10)
出願番号 特願平11−274091
出願日 平成11年9月28日(1999.9.28)
代理人 【識別番号】100103436
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 英夫 (外3名)
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006 AA02 AC24 AC27 AC28 AD11 AD15 BA51 BB11 BB17 BB19 BB31 BB48 BC51 BC52 
4H039 CA40 CA62 CH40
発明者 清水 克也 / 長門 康浩
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 置換もしくは非置換のシクロペンタジエン化合物とジクロロケテンを反応させて7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を得、さらにこれを塩基存在下に分解するトロポロン化合物の製法において、以下の2工程を含むことを特徴とするトロポロン化合物の製法。
(1)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を、塩基存在下に分解する反応の前に減圧下蒸留精製する工程。
(2)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を塩基存在下に分解して得られた粗トロポロン化合物を、蒸留および晶析により精製する工程。
【請求項2】 トロポロン化合物が、4−イソプロピルトロポロンであることを特徴とする請求項1記載のトロポロン化合物の製法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬、化粧品原料等、またはその中間体として有用なトロポロン化合物を高純度かつ高収率で得るトロポロン化合物の製法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】下記構造式(1)で示されるトロポロン化合物は、医薬、農薬、化粧品原料等、またはその中間体として有用である。中でも4位にイソプロピル基を有する4−イソプロピルトロポロンは、別名ヒノキチオール(またはβ−ツヤプリシン)とも呼ばれ、広範囲に抗菌・抗カビ作用を有するとともに、細胞賦活作用、チロシナーゼ活性阻害作用、植物のエチレン生成阻害作用などを有し、抗菌・抗カビ剤として医薬品、化粧品、養毛剤、シャンプー・石鹸に配合されるほか、シロアリ駆除剤のような昆虫忌避剤としても利用されている。
【化1】

【0003】また、鮮度保持フィルム、抗菌塗料にも広く配合されている。一方、4−イソプロペニルトロポロンは別名β−ドラブリンともいい、4−イソプロピルトロポロンとともに天然には青森ヒバや台湾ヒノキに含まれ、これらから得られる抽出油の主成分であり、この抽出油も抗菌・抗カビ作用を有し抗菌ヒバ油などとして広く使用されている。しかし、天然原料であるため抽出による生産量には限界があり、工業的に製造する方法の開発が従来進められてきた。また、イソプロピル基の置換位置が異なる5−イソプロピルトロポロンや置換基のないトロポロンも、4−イソプロピルトロポロンと同様、抗菌・抗カビ作用を持つと言われており、これらについても工業的な製造方法の開発が求められている。
【0004】従来、トロポロン化合物の製造方法としては、下記のような方法が知られている。
(1)メトキシトロピリデンを原料に、イソプロピルトロポロン、アミノイソプロピルトロポロンを経由して製造する方法(Tetrahedron,32,1051頁(1991));
(2)カルボンを過酸化水素でエポキシ化した後、アセタール化などの6工程を経て製造する方法(特開昭62−93250号公報);
(3)イソプロピルシクロヘキサノンまたはイソプロピルシクロヘキセノンをシアノヒドリン化した後、2工程を経てイソプロピルシクロヘプタノンを合成し、これを酸化、臭素化、脱臭化水素化することにより製造する方法(特開昭63−5048号公報、特開昭63−17841号公報);および(4)ブロモトロポロンに有機スズ化合物を作用させた後、Pd/C触媒の存在下、水素還元する方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1989,616頁(1989))。しかし、これらの方法は、工程数が多かったり、原料の入手が困難であったり、工業的に実施する上で実用的とは言えない。
【0005】これらに対し、置換もしくは非置換のシクロペンタジエン化合物を原料として用い、これにジクロロケテンを付加させて7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を得、さらにこれを塩基存在下に分解してトロポロン化合物を製造する方法が知られている。この方法は、原料のシクロペンタジエンが入手しやすく、工程数も少ないので、工業的に実施する上では有利な方法と言える。
【0006】しかし、本発明者らがこの方法を検討したところ、従来技術にはいろいろな問題点が存在することがわかった。例えば、J.Am.Chem.Soc.,87,5257頁(1965)では、シクロペンタジエン化合物とジクロロケテンを反応させ7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンを得た後、減圧蒸留し、その後分解反応によりトロポロン化合物を得、銅錯体にした後硫化水素で処理し、最後に晶析により精製する方法が記載されているが、晶析前の銅錯体への変換および硫化水素による処理工程が極めて煩雑である。
【0007】また、特公昭51−33901号公報では、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物をカラムクロマトもしくはカラムクロマトと減圧蒸留を組み合わせて精製した後、分解反応に供し、得られたトロポロン化合物をカラムクロマトもしくはリグロインを溶媒にした晶析により精製する方法が開示されている。カラムクロマトで精製する方法は、実験室規模で実施する上では何ら問題はないが、工業的に実施する上では生産性および生産コストに問題が生ずる。例えば、多量の溶剤を要したり、吸着剤の再生・処理など煩雑な操作が必要となるなど、工業的には好ましくない。
【0008】また、本発明者らの知見によれば、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を分解反応させて得られたトロポロン化合物を、蒸留等の一時精製を行うことなく晶析操作を実施すると、結晶化が起こりにくく、起こったとしても黒色油状物と結晶が共存し、トロポロン化合物がこの黒色油状物にもかなり含まれ、回収率が低くくなることがわかった。また、得られた結晶もその純度が低く、純度の高い結晶を得るためには何回も晶析操作を繰り返さなければならないことがわかった。7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の分解反応における高沸点の副生物が晶析回収率の低下と高純度化を阻害する黒色油状物の原因と考えられる。
【0009】特開平8−40971号公報では、シクロペンタジエン化合物とジクロロケテンとの反応で得られる7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を、クロマト精製や蒸留精製することなく次の分解工程に用いることが、生産性を考慮すると好ましいと述べ、反応で得られる7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物をそのまま分解反応に供し、ここで得られたトロポロン化合物を、減圧蒸留後晶析操作で精製し精製トロポロン化合物を得ている。しかし、本発明者の実験の結果、未精製の7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を用いて分解反応実施した場合、反応系に不溶な黒色タール状物が多量に生じるという重大な問題が発生することがわかった。
【0010】7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を分解してトロポロン化合物を得る反応は、通常、酢酸−酢酸ナトリウム(もしくは酢酸カリウム)−水系や、アセトンなどの親水性有機溶媒−酢酸−有機アミンなどの反応系を用いた塩基性媒体中で実施され、反応終了後、希塩酸などを加えて残存する塩基を中和するとともに、副生した塩を溶解したのちヘキサン等で抽出操作を行う。ヘキサン等で抽出する際、下層の水層は反応器の底端から抜液する。上記の反応系に未精製の7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を加えると、反応系に不溶の黒色タール状物が多量に発生し、このまま分解反応を実施した場合、撹拌操作に支障を来す、あるいは反応液を加熱するための熱交換機が閉塞するなどの重大な問題が生じた。また、この黒色固体状物は7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の分解反応により変質を受け、より粘稠なタール状物に変化し、反応終了後のヘキサン抽出後反応器底端から水層を抜液する際、抜液口や配管が詰まるという重大な問題が発生した。
【0011】この黒色タール状物は、水はもとよりアセトン、アルコール、ヘキサンなどの有機溶剤にも不溶であり、やっかいな代物である。反応系から濾過しようにも、粘稠な性質のため濾材を閉塞する傾向が強く、実質的に濾過で除去することは不可能である。また、未精製の7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンを分解反応に供して得られた粗トロポロン化合物は、上述のように変質した黒色タール状物を含むが、粗トロポロン化合物の蒸留において、該タール状物が熱分解し、その熱分解物がトロポロン化合物とともに留出してトロポロン化合物に不純物として混入した。そのためトロポロン化合物の晶析において結晶化が起こりにくく、起こったとしても該不純物が黒色油状物となってトロポロン結晶と共存し、トロポロン化合物が該黒色油状物に取り込まれて回収率が低下した。
【0012】また、得られた結晶の純度が低く、純度を上げるには何回も晶析操作を繰り返さねばならないという問題が発生した。上述の黒色タール状物は、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の原料であるジクロロケテンに由来するものと考えられる。通常、ジクロロケテンはジクロロ酢酸クロライドに有機アミンを作用させて発生させるが、ジクロロケテンは極めて不安定であり単離が困難なため、ジクロロ酢酸と有機アミンを反応させる場にシクロペンタジエン化合物を共存させ、ジクロロケテンの発生と発生したジクロロケテンの付加を同時に行う。ジクロロケテンの不安定さは、この化合物の重合性にあり、ジクロロケテンはシクロペンタジエン化合物に付加するか、自身で重合するかは競争反応である。従って、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の分解反応時に発生する黒色タール状物は、ジクロロケテンの重合物と推察され、上述のような競争反応の結果必然的に生じるものであり、その発生を阻止することは非常に困難である。
【0013】以上述べてきたように、シクロペンタジエン化合物とジクロロケテンを反応して7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を得、これを塩基存在下で分解して粗トロポロン化合物を得、これを晶析精製してトロポロン化合物を製造する方法において、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の分解反応時に黒色タール状物の発生が無く、かつ粗トロポロン化合物晶析時に黒色油状物の発生が無く、少ない晶析操作で高純度品を高回収率で得る方法は未だ開示されておらず、そうした方法の提供が強く望まれていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、置換もしくは非置換のシクロペンタジエン化合物とジクロロケテンを反応して7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を得、これを塩基存在下で分解して粗トロポロン化合物を得、これを晶析精製してトロポロン化合物を製造する方法において、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の分解反応時に黒色タール状物の発生が無く、かつ粗トロポロン化合物晶析時に黒色油状物の発生が無く、少ない晶析操作で高純度品を高回収率で得ることができるトロポロン化合物の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)置換もしくは非置換のシクロペンタジエン化合物とジクロロケテンを反応させて7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を得、さらにこれを塩基存在下に分解するトロポロン化合物の製法において、以下の2工程を含むことを特徴とするトロポロン化合物の製法。
(I)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を、塩基存在下に分解する反応の前に減圧下蒸留精製する工程。
(II)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を塩基存在下に分解して得られた粗トロポロン化合物を、蒸留および晶析により精製する工程。
(2)トロポロン化合物が、4−イソプロピルトロポロンであることを特徴とす上記(1)記載るトロポロン化合物の製法。
本発明でいう置換もしくは非置換のシクロペンタジエン化合物は、下記構造式(2)で表され、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物は下記構造式(3)で表され、トロポロン化合物は下記構造式(1)で表される化合物である。
【0016】
【化2】

【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】但しこれらの式中、R1 からR3 は、水素、または直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基を表し、直鎖状または分岐状を問わない。また、不飽和結合が含まれていてもかまわない。また、酸素、ケイ素、ハロゲンなどのヘテロ原子が含まれていてもかまわない。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。
【0020】アルケニル基としては、一般式−CH=CR4 5 で表され、アルキニル基としては、一般式−C≡C−R4 で表される。R4 、R5 は水素または炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。
【0021】シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1,3−シクロヘキサジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、シクロヘプチル、1−シクロヘプテン−1−イル、2−シクロヘプテン−1−イル、3−シクロヘプテン−1−イル、4−シクロヘプテン−1−イル、シクロオクチル、1−シクロオクテン−1−イル、2−シクロオクテン−1−イル、シクロノニル、シクロデシルなどが挙げられる。
【0022】また、酸素が含まれるものとしては、今まで述べた基に一般式−OR6 や一般式−COOR7 で表される置換基が有するものが挙げられる。R6 やR7 は水素または炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。また、今まで述べた基にケイ素やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲンが含まれていてもかまわない。シクロペンタジエン化合物とジクロロケテンとの反応は既知の方法で行われる。ジクロロ酢酸クロライドとシクロペンタジエン化合物をヘキサンなどの溶媒に溶解した混合溶液に、低温下トリエチルアミンを滴下することにより実施する。
【0023】このようにして得られた粗7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を分解反応に供するのに先立ち、減圧下蒸留精製することが本発明の必須要件の第一である。この段階での蒸留精製を行わないと、次の分解反応の仕込み段階で反応系に不溶の黒色タール状物が析出し、撹拌操作阻害、熱交換機や配管類の閉塞などの重大な問題が生じる。また、該黒色タール状物は分解反応により変質を受けて熱分解し易くなるため、粗トロポロン化合物の蒸留においてその熱分解物が留出し、トロポロン化合物に不純物として混入する。そのためトロポロン化合物の晶析において結晶化が起こりにくく、起こったとしても該不純物が黒色油状物となってトロポロン結晶と共存し、トロポロン化合物が該黒色油状物に取り込まれて回収率が低下する。
【0024】また得られた結晶の純度が低く、純度を上げるには何回も晶析操作を繰り返さねばならないという重大な問題が発生する。減圧下蒸留精製する方法は特に制限はなく、汎用の蒸留又は蒸発装置を用いて実施することができる。例えば、棚段塔や充填塔などの蒸留塔の他、ジャケット式、薄膜式などの蒸発器を液の性状、不純物量、生産規模などに応じ適宜選択して用いることができるが、除去対象である黒色タール状物が粘稠であることを考慮すると、薄膜式蒸発器が好ましい。該蒸留精製における減圧度は、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の熱分解を抑制するという意味では沸点をできるだけ低くするように高減圧度とするのが好ましいが、装置や運転の費用などの経済性も考慮すると0.1〜200mmHgが好ましく、さらに好ましくは1〜50mmHgである。
【0025】蒸留精製した7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を塩基存在下に分解する方法としては、塩基を含む混合溶媒中で該化合物を加熱するという公知の方法で実施すればよい。該混合溶媒としては、酢酸−酢酸カリウム−水系、酢酸−酢酸ナトリウム−水系、酢酸−トリエチルアミン−アセトン−水系などが提案されているが、トリエチルアミンを用いる系が反応速度が速く好ましい。また本発明者らが鋭意検討した結果、アセトンの代わりにターシャリーブタノール(t−ブタノール)を用いる酢酸/トリエチルアミン/t−ブタノール/水系を採用し、しかもトリエチルアミンを予め全量仕込むのではなく、後から滴下する方法が副生物低減の観点で好ましいことがわかった。
【0026】上記の分解反応で得られた粗トロポロン化合物を蒸留および晶析により精製することが本発明の必須要件の第2である。この段階での蒸留を実施しないと、次の晶析において結晶化が起こりにくく、起こったとしても黒色油状物と結晶が共存し、トロポロン化合物が該黒色油状物に取り込まれて回収率が低下する。また、得られた結晶の純度が低く、純度を上げるには何回も晶析操作を繰り返さねばならないという重大な問題が発生する。一方、蒸留のあとに晶析を実施しないと、高純度のトロポロン化合物を得ることができない。粗トロポロン化合物の蒸留の方法は特に制限はなく、汎用の蒸留又は蒸発装置を用いて実施することができる。例えば、簡単な単蒸留装置の他、棚段塔や充填塔などの蒸留塔を用いることができる。また、ジャケット式、薄膜式などの蒸発器を液の性状、不純物量、生産規模などに応じ適宜選択して用いることができるが、除去対象である黒色油状物が粘稠であることを考慮すると、薄膜式蒸発器が好ましい。
【0027】該蒸留精製における減圧度は、トロポロン化合物の熱分解を抑制するという意味では沸点をできるだけ低くするように高減圧度とするのが好ましいが、装置や運転の費用などの経済性も考慮すると0.1〜200mmHgが好ましく、さらに好ましくは1〜50mmHgである。蒸留精製したトロポロン化合物を晶析する方法も特に制限はなく、リグロインやヘキサンなどトロポロン化合物に対し適切な溶解度を有する溶媒を用い、汎用の晶析装置で実施すればよい。
【0028】
【発明の実施の形態】以下実施例などにより本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
<7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物およびトロポロン化合物の分析方法>装置:島津製作所製GC−14A、島津製作所製クロマトパックCR−4Aカラム:J&Wサイエンティフィック社製キャピラリーカラムDB−1(長さ30m×内径0.25mm、液相膜厚0.25μm)
温度条件:カラム100℃×2分→250℃(10℃/分)。注入口300℃、検出器300℃(FID)
本発明の実施例で使用した試薬類は下記のとおりである。
・n−ヘキサン:和光純薬工業(株)製、特級・ジクロロ酢酸クロライド:東京化成工業(株)製・トリエチルアミン:和光純薬工業(株)製、特級・酢酸:片山化学工業(株)製、特級・t−ブタノール:和光純薬工業(株)製、特級・6,6−ジメチルフルベン:アルドリッチ社製【0029】
【実施例1】1−イソプロピルシクロペンタジエン473.52g(4.377mol)、ジクロロ酢酸クロライド716.94g(4.864mol)を含むヘキサン溶液2673.5gをジャケット式反応器に仕込み、溶液温度を0℃に冷却した。該溶液を撹拌しつつ、トリエチルアミン515.65g(5.069mol)を1.5時間かけて滴下し、ジクロロケテン付加反応を実施した。その間、溶液温度が0〜5℃の範囲に維持されるよう、ジャケットに冷媒を流通させて反応熱を除去した。トリエチルアミン滴下終了後、反応液に水2394gと濃塩酸35.7gを添加し、10分間撹拌した。その後10分間静置して有機層と水層をを分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの粗生成物1031.85g(純度76.4%、3.598mol)を得た(収率82.2%)。
【0030】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約30〜60℃で留出する初留を区別した後、約75℃で留出する本留を集め、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品802.26g(純度96.0%、3.515mol)を得た(蒸留回収率97.7%)。得られた7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品173.76g(0.761mol)を、t−ブタノール/水/酢酸=1032g/274g/274gの混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケット式反応器に仕込み還流温度まで昇温した。該溶液を撹拌しつつ、還流状態でトリエチルアミン539.04g(5.327mol)を2.5時間かけて滴下し、分解反応を実施した。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流した後、室温まで冷却した。該反応液に水1575gと濃塩酸119g加えた後、ヘキサン1000gを加えて10分間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置して有機層と水層を分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、4−イソプロピルトロポロンの粗生成物130.09g(純度79.9%、0.633mol)を得た(収率83.2%)。
【0031】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約45〜90℃で留出する初留を区別した後、約95℃で留出する本留を集め、4−イソプロピルトロポロン106.64g(純度95.0%、0.617mol)を得た(蒸留回収率97.5%)。得られた4−イソプロピルトロポロンにヘキサン500gを加え、40℃で溶解させた。該溶液を撹拌しつつ、1分間に1〜2℃の速度で0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を減圧濾過により採取し、0℃に冷却したヘキサンで洗浄した後減圧下で乾燥し、4−イソプロピルトロポロンの結晶93.27g(純度>99.9%、0.568mol)を得た(晶析回収率92.1%)。本実施例は、本発明の必須要件をすべて満足しているので、分解反応における黒色タール状物の発生がなく、分解反応を円滑に実施できるのみならず、晶析操作における黒色油状物の発生もなく、わずか一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロン化合物が得られていた。
【0032】
【実施例2】実施例1と同様の方法で1−イソプロピルシクロペンタジエン799.74g(7.393mol)にジクロロケテンを付加させ、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの粗生成物1745.40g(純度76.2%、6.070mol)を得た(収率82.1%)。該粗生成物を0.63kg/Hrの流速で、蒸発部が150℃に加熱された薄膜蒸発器(蒸発部:内径50mm、長さ240mm)に10mmHgの減圧下に供給し、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品1357.85g(純度95.5%、5.918mol)を得た(回収率97.5%)。得られた7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品を、実施例1と同様の方法で分解し、4−イソプロピルトロポロンの粗生成物1017.17g(純度79.1%、4.900mol)を得た(収率82.8%)。
【0033】該粗生成物を0.45kg/Hrの流速で、蒸発部が160℃に加熱された薄膜蒸発器(蒸発部:内径50mm、長さ240mm)に10mmHgの減圧下に供給し、4−イソプロピルトロポロン815.57g(純度95.2%、4.729mol)を得た(回収率96.5%)。得られた4−イソプロピルトロポロンに対し実施例1と同様の方法で晶析操作を施し、4−イソプロピルトロポロンの結晶716.71g(純度>99.9%、4.365mol)を得た(晶析回収率92.3%)。本実施例は、本発明の必須要件をすべて満足しているので、分解反応における黒色タール状物の発生がなく、円滑な反応操作が実施できているのみならず、晶析操作における黒色油状物の発生もなく、わずか一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロン化合物が得られていた。
【0034】
【実施例3】シクロペンタジエン101.90g(1.542mol)、ジクロロ酢酸クロライド272.73g(1.850mol)を含むヘキサン溶液1132gをジャケット式反応器に仕込み、溶液温度を0℃に冷却した。該溶液を撹拌しつつ、トリエチルアミン196.12g(1.938mol)を1.5時間かけて滴下し、ジクロロケテン付加反応を実施した。その間、溶液温度が0〜5℃の範囲に維持されるよう、ジャケットに冷媒を流通させて反応熱を除去した。トリエチルアミン滴下終了後、反応液に水845gと濃塩酸13.4gを添加し、10分間撹拌した。その後10分間静置して有機層と水層をを分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの粗生成物276.75g(純度70.3%、1.099mol)を得た(収率71.3%)。
【0035】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約20〜45℃で留出する初留を区別した後、約62℃で留出する本留を集め、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品197.89g(純度95.9%、1.072mol)を得た(蒸留回収率97.5%)。得られた7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品を、t−ブタノール/水/酢酸=1454g/386g/386gの混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケット式反応器に仕込み還流温度まで昇温した。該溶液を撹拌しつつ、還流状態でトリエチルアミン759.33g(7.504mol)を2.5時間かけて滴下し、分解反応を実施した。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流した後、室温まで冷却した。該反応液に水2218gと濃塩酸163g加えた後、ヘキサン1400gを加えて10分間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置して有機層と水層を分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、トロポロンの粗生成物136.57g(純度76.9%、0.860mol)を得た(収率80.2%)。
【0036】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、20mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約35〜50℃で留出する初留を区別した後、約65℃で留出する本留を集め、トロポロン107.78g(純度95.1%、0.839mol)を得た(蒸留回収率97.6%)。得られたトロポロンにヘキサン512gを加え、40℃で溶解させた。該溶液を撹拌しつつ、1分間に1〜2℃の速度で0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を減圧濾過により採取し、0℃に冷却したヘキサンで洗浄した後減圧下で乾燥し、トロポロンの結晶92.32g(純度>99.9%、0.756mol)を得た(晶析回収率90.1%)。本実施例は、本発明の必須要件をすべて満足しているので、分解反応における黒色タール状物の発生がなく、分解反応を円滑に実施できているのみならず、晶析操作における黒色油状物の発生もなく、わずか一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロン化合物が得られていた。
【0037】
【実施例4】1−イソプロピルシクロペンタジエンと2−イソプロピルシクロペンタジエンの混合物(54:46)22.78g(0.211mol)、ジクロロ酢酸クロライド32.90g(0.223mol)を含むヘキサン溶液287gをジャケット式反応器に仕込み、溶液温度を0℃に冷却した。該溶液を撹拌しつつ、トリエチルアミン23.85g(0.236mol)を2時間かけて滴下し、ジクロロケテン付加反応を実施した。その間、溶液温度が0〜5℃の範囲に維持されるよう、ジャケットに冷媒を流通させて反応熱を除去した。トリエチルアミン滴下終了後、反応液に水240gと濃塩酸3.5gを添加し、10分間撹拌した。その後10分間静置して有機層と水層をを分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンと7,7−ジクロロ−2−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの混合物(81.5:18.5)の粗生成物50.46g(純度62.1%、0.143mol)を得た(収率67.9%)。
【0038】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約30〜60℃で留出する初留を区別した後、約75℃で留出する本留を集め、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンと7,7−ジクロロ−2−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの混合物の精製品31.63g(純度95.5%、0.138mol)を得た(蒸留回収率96.4%)。得られた精製品を、t−ブタノール/水/酢酸=187g/50g/50gの混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケット式反応器に仕込み還流温度まで昇温した。該溶液を撹拌しつつ、還流状態でトリエチルアミン97.75g(0.966mol)を2.5時間かけて滴下し、分解反応を実施した。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流した後、室温まで冷却した。該反応液に水286gと濃塩酸22g加えた後、ヘキサン200gを加えて10分間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置して有機層と水層を分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、4−イソプロピルトロポロンと5−イソプロピルトロポロンの混合物の粗生成物23.80g(純度74.5%、0.108mol)を得た(収率78.5%)。
【0039】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約45〜90℃で留出する初留を区別した後、約95℃で留出する本留を集め、4−イソプロピルトロポロンと5−イソプロピルトロポロンの混合物17.81g(純度94.8%、0.103mol)を得た(蒸留回収率95.2%)。得られた4−イソプロピルトロポロンと5−イソプロピルトロポロンの混合物にヘキサン95gを加え、40℃で溶解させた。該溶液を撹拌しつつ、1分間に1〜2℃の速度で0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を減圧濾過により採取し、0℃に冷却したヘキサンで洗浄した後減圧下で乾燥し、4−イソプロピルトロポロンと5−イソプロピルトロポロンの混合物の結晶13.79g(純度>99.9%、0.084mol)を得た(晶析回収率81.3%)。本実施例は、本発明の必須要件をすべて満足しているので、分解反応における黒色タール状物の発生がなく、分解反応を円滑に実施できているのみならず、晶析操作における黒色油状物の発生もなく、わずか一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロン化合物が得られていた。
【0040】
【実施例5】6,6−ジメチルフルベン47.57g(0.448mol)、ジクロロ酢酸クロライド150.20g(1.019mol)を含むヘキサン溶液1173gをジャケット式反応器に仕込み、溶液温度を0℃に冷却した。該溶液を撹拌しつつ、トリエチルアミン108.02g(1.067mol)を1.5時間かけて滴下し、ジクロロケテン付加反応を実施した。その間、溶液温度が0〜5℃の範囲に維持されるよう、ジャケットに冷媒を流通させて反応熱を除去した。トリエチルアミン滴下終了後、反応液に水500gと濃塩酸7.3gを添加し、10分間撹拌した。その後10分間静置して有機層と水層をを分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、7,7−ジクロロ−4−(1−メチルエチリデン)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの粗生成物127.82g(純度53.0%、0.312mol)を得た(収率69.7%)。
【0041】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、0.7mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約40〜100℃で留出する初留を区別した後、約105℃で留出する本留を集め、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチリデン)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品70.21g(純度94.0%、0.304mol)を得た(蒸留回収率97.4%)。得られた7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチリデン)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品を、t−ブタノール/水/酢酸=412g/110g/110gの混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケット式反応器に仕込み還流温度まで昇温した。該溶液を撹拌しつつ、還流状態でトリエチルアミン215.33g(2.128mol)を2.5時間かけて滴下し、分解反応を実施した。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流した後、室温まで冷却した。該反応液に水630gと濃塩酸46g加えた後、ヘキサン400gを加えて10分間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置して有機層と水層を分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、3−イソプロペニルトロポロンの粗生成物52.53g(純度70.7%、0.229mol)を得た(収率75.2%)。
【0042】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約35〜80℃で留出する初留を区別した後、約85℃で留出する本留を集め、3−イソプロペニルトロポロン37.73g(純度95.0%、0.221mol)を得た(蒸留回収率96.5%)。得られた3−イソプロペニルトロポロンにヘキサン180gを加え、40℃で溶解させた。該溶液を撹拌しつつ、1分間に1〜2℃の速度で0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を減圧濾過により採取し、0℃に冷却したヘキサンで洗浄した後減圧下で乾燥し、3−イソプロペニルトロポロンの結晶32.29g(純度>99.9%、0.199mol)を得た(晶析回収率90.1%)。本実施例は、本発明の必須要件をすべて満足しているので、分解反応における黒色タール状物の発生がなく、分解反応を円滑に実施できているのみならず、晶析操作における黒色油状物の発生もなく、わずか一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロン化合物が得られていた。
【0043】
【比較例1】実施例1と同様の方法で1−イソプロピルシクロペンタジエン219.13g(2.026mol)にジクロロケテンを付加させ、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの粗生成物478.87g(純度76.0%、1.661mol)を得た(収率82.0%)。該粗生成物を、t−ブタノール/水/酢酸=2254.46g/598.68g/598.61gの混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケット式反応器に仕込み還流温度まで昇温した。その際、多量の黒色タール状物が析出し、撹拌に支障を来す状態になったが、そのまま反応操作を継続した。該溶液に対し、還流状態でトリエチルアミン1176.50g(11.627mol)を2.5時間かけて滴下し、分解反応を実施した。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流した後、室温まで冷却した。該反応液に水3338gと濃塩酸252.8gを加えた後、ヘキサン3005gを加えて10分間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置し、有機層と水層を分離させたが、多量の黒色タール状物のため両層の界面が極めて不明瞭であった。また、その後反応器底端から水層を抜き出す際、黒色タール状物が抜液口を閉塞し、同タール状物を頻繁に除去しながら抜液しなければならないという事態が発生した。水層抜き出し後、有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、4−イソプロピルトロポロンの粗生成物301.72g(純度55.4%、1.018mol)を得た(収率61.3%)。
【0044】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、実施例1と同様の方法で単蒸留を実施したが、黒色の液体が4−イソプロピルトロポロンと共に終始留出した。その結果留出した4−イソプロピルトロポロン167.73gの純度は74.5%(0.761mol)と低かった(蒸留回収率74.8%)。得られた4−イソプロピルトロポロンを40℃でヘキサン625gに溶解した。その後、実施例1と同様の条件で該溶液を0℃まで冷却したが、黒色油状物が析出したのみで結晶は析出しなかった。そこで別途合成した4−イソプロピルトロポロンの結晶を種結晶として添加して結晶を析出させたが、黒色油状物と共存するかたちで結晶が析出した。また、分析の結果、同油状物には多量の4−イソプロピルトロポロンが溶存していた。析出した結晶を減圧濾過により採取したが、その純度は50.3%と低く、晶析回収率も25.1%と極めて低いものであった。本比較例では、本発明の必須要件である、分解反応前の減圧蒸留による精製を実施していないため、分解反応における黒色タール状物の発生が著しく、撹拌操作障害、抜液口閉塞などの問題が生じたのみならず、晶析工程において黒色油状物が発生し、結晶純度低下や晶析回収率低下といった問題も生じていた。
【0045】
【比較例2】実施例1の方法で合成、精製した7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品100.0g(純度96.0%、0.438mol)を実施例1と同様の条件で分解し、4−イソプロピルトロポロンの粗生成物74.90g(純度79.8%、0.364mol)を得た(収率83.1%)。該粗生成物をを40℃でヘキサン293gに溶解した。その後、実施例1と同様の条件で該溶液を0℃まで冷却したが、黒色油状物が析出したのみで結晶は析出しなかった。そこで別途合成した4−イソプロピルトロポロンの結晶を種結晶として添加して結晶を析出させたが、黒色油状物と共存するかたちで結晶が析出した。また、分析の結果、同油状物には多量の4−イソプロピルトロポロンが溶存していた。析出した結晶を減圧濾過により採取したが、その純度は51.2%と低く、晶析回収率も24.0%と極めて低いものであった。本比較例では、本発明の必須要件である粗トロポロン化合物の蒸留による精製を実施していないため、晶析工程において黒色油状物が発生し、結晶純度低下や晶析回収率低下という問題が生じていた。
【0046】
【発明の効果】本発明により、医薬、農薬、化粧品原料等、またはその中間体として有用なトロポロン化合物を高純度かつ高収率で得ることが可能になる。




 

 


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