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発明の名称 工具用材料
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−81246(P2001−81246A)
公開日 平成13年3月27日(2001.3.27)
出願番号 特願平11−260510
出願日 平成11年9月14日(1999.9.14)
代理人 【識別番号】100094709
【弁理士】
【氏名又は名称】加々美 紀雄 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002 AB013 AC03X AC06X AC07X AC08X AC09X BB013 BB03W BB04X BB06W BB07W BB12W BB14W BB15X BD043 BG04X BG103 CF003 CL003 CL063 DA016 DE106 DE186 DE236 DG006 DJ006 DK006 DL006 FA043 FA046 FD010 FD013 FD016 
発明者 木下 秀雄 / 木戸 敏郎
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 繊維状若しくは針状フィラーで強化された熱可塑性樹脂組成物よりなり、その組成物が、少なくとも(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)ゴム状重合体及び(C)平均の直径が0.01〜1000μmであり且つ平均のアスペクト比(長さ/直径)が5〜2500の繊維状若しくは針状のフィラーであることを特徴とする工具用材料。
【請求項2】 熱可塑性樹脂組成物の各成分比率は、(A)ポリオレフィン系樹脂 90〜20重量%(B)ゴム状重合体 5〜40重量%、(C)平均の直径が0.01〜1000μmであり且つ平均のアスペクト比(長さ/直径)が5〜2500の繊維状若しくは針状のフィラー 5〜40重量%である請求項1記載の工具用材料。
【請求項3】 (A)成分であるポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂を主とする請求項1〜2記載の工具用材料。
【請求項4】 (B)成分であるゴム状重合体は、部分的または完全な架橋ゴム重合体である請求項1〜3記載の工具用材料。
【請求項5】 (B)成分であるゴム状重合体は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを主体としたエチレン・α−オレフィン系共重合体である請求項1〜4記載の工具用材料。
【請求項6】 (C)成分であるフィラーは、ガラス繊維及び/または炭素繊維である請求項1〜5記載の工具用材料。
【請求項7】 請求項1〜6記載の工具用材料を成形してなる工具。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維状若しくは針状のフィラー及びゴム状重合体、好ましくは部分的または完全に架橋されたゴム状重合体で強化されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物よりなる工具用材料及びこの材料を成形してなる工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】6ナイロン、6,6ナイロン等のポリアミド系樹脂をガラス繊維で補強した材料は、機械的強度に優れ且つ木製に比較して成形加工が容易なことから工具、例えば電動工具のハウジング等に広く使用されている。しかしながら、このポリアミド系樹脂は、吸湿性が高い為に成形加工時、吸湿した原材料をそのまま成形加工すると成形品が発泡し、良好な成形品をとることが出来ない。その為、成形前に乾燥する必要があるあるいは成形後その吸湿性の為に機械的強度が低下するあるいは形状が変化し寸法安定性に欠ける等の問題点を持っている。更にポリアミド樹脂そのものは比重が高い。軽いことが好ましい工具についてはより比重の小さい材料であることも望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち、機械的強度、特に耐衝撃性及び耐熱性にも優れ且つ吸湿性が低く軽量である工具用材料を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、機械的強度、特に耐衝撃性に優れ、電動工具ハウジングの様にモーターを内臓した工具でその回転による発熱にも耐え得る耐熱性を有し、又、ポリアミド系材料の様に吸湿による機械的強度あるいは寸法変化が少なく且つ成形加工時厳しい乾燥も必要なく成形品とすることができ、更に可能な限り比重が小さく軽量化できる工具用材料を開発すべく、吸湿性が低く比重の小さなポリオレフィン系樹脂をベースに鋭意検討した。まず、ポリオレフィン系樹脂単独では工具として機械的強度、特に耐衝撃性が無い為、ガラス繊維を共存させ強度アップを図る検討を進めたが、耐衝撃性及び耐熱性は確かに向上する。しかしながら、単にポリオレフィン系材料とガラス繊維を共存させたのみでは、実用的な意味での機械的強度の特性を付与することが出来なかった。この理由は、ポリオレフィン系材料とガラス繊維のみの組成物から材料を成形加工する時、ガラス繊維は配向し成形方向に対して縦と横方向で機械的強度が異なる為、機械的強度に方向性が生じ、これを工具に使用した場合落下させた場合割れが発生し実用的な特性を有する材料とすることが出来ないことが判明した。この結果を受けて更に鋭意検討した結果、ポリオレフィン系材料、ガラス繊維に更にゴム状重量体、好ましくは部分的あるいは完全に架橋したゴム状重合体を共存させることにより、機械的強度、特に耐衝撃性が更に大きく向上し実用的な意味で充分な強度とすることができる。即ち、落下等による破損も軽微となり実用可能な特性の材料となることを見出し本発明を完成するに至った。更に、ガラス繊維以外にカーボン繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維等の繊維状フィラーあるいは特定の形状のチタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、硼酸アルミニウム等の針状(ウイスカー状)フィラー等でもゴム状重合体、特に好ましくは部分的にまたは完全に架橋させたゴム重量体を共存させる時、工具に適した材料となることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、繊維状若しくは針状のフィラーで強化された熱可塑性樹脂組成物よりなり、その組成物が、少なくとも(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)ゴム状重合体及び(C)平均の直径が0.01〜1000μmであり且つ平均のアスペクト比(長さ/直径)が5〜2500の繊維状若しくは針状フィラーであることを特徴とする工具用材料及びこの材料を成形してなる工具に関するものである。
【0006】本発明は、ゴム状重合体を共存させることにより機械的強度、特に耐衝撃強度を大幅に改良することができる。しかしながら、ゴム状重合体を部分的または完全に架橋させることがより好ましい。架橋した時、架橋しない時に比較してその改良効果は更に大きくなる。この理由は、ゴム状重量体が架橋されていない場合は、本発明の工具用材料である組成物を成形加工する際、樹脂組成物の流動方向に引き伸ばされガラス繊維と同様にゴム状重合体も配向するが、このゴム状重量体が架橋されている場合、流動方向に引き伸ばされることなく組成物中のゴム状重量体の形状(球状)を成形品中でも維持する為、ガラス繊維が配向していてもゴム状重量体は配向しない為大幅な機械的強度、特に耐衝撃性アップにつながる為と推定している。
【0007】以下、本発明に関して詳しく述べる。まず、本発明の各成分について詳細に説明する。まず、本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物中の(A)成分であるポリオレフィン系樹脂について述べる。
【0008】本発明においてポリオレフィン系樹脂は、大きく分けてポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂あるいはポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の混合物からなる。
【0009】ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、アクリル系ビニルモノマーとエチレンとの共重合体(EEA、EMMA等)あるいは酢酸ビニルモノマーとエチレンとの共重合体(EVA)等を挙げることができる。しかしながら、これらの中でも高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が、耐熱性が高く且つ安価に入手できる為、特に好ましい。これらのポリエチレン系樹脂は、単独で用いても良いし、又2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0010】高密度ポリエチレン(HDPE)を使用する場合、その密度は、一般に、0.930〜0.970g/cm3の範囲であり、190℃、2.16kg荷重で測定されたメルトフローレート(MFR)は、0.05〜100g/10分の範囲であることが好ましい。低密度ポリエチレン(LDPE)あるいは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用する場合、その密度は、一般に、0.900〜0.930g/cm3の範囲であり、190℃、2.16kg荷重で測定されたメルトフローレート(MFR)は、0.05〜100g/10分の範囲であることが好ましい。メルトフローレートが100g/10分を越えると、本発明の工具用材料から成形される工具の機械的強度、耐熱性が不十分であり、また0.05g/10分より小さいと本発明の工具用材料を成形する際、流動性が悪く、成形加工性が低下して望ましくない。
【0011】ポリプロピレン系樹脂としては、ホモのポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとの共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等を挙げることができる。
【0012】本発明の工具用材料の原料として使用するポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kg荷重で測定されたメルトフローレート(MFR)は、0.1〜100g/10分の範囲であることが好ましい。メルトフローレートが100g/10分を越えると、本発明の工具用材料から成形される工具の機械的強度、耐熱性が不十分であり、また0.1g/10分より小さいと本発明の工具用材料を成形する際、流動性が悪く、成形加工性が低下して望ましくない。
【0013】本発明の工具用材料に使用するポリオレフィン系樹脂は、上述の如くポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂からなるが、工具として使用する場合、特に電動工具に使用する時、内蔵するモーターの発熱によりハウジングそのものも高温となり耐熱性が要求されるが、ポリプロピレン系樹脂は耐熱性が高くより好ましい。しかしながら、ホモのポリプロピレンは一般に酸化分解し易く長期使用時分子量低下により機械的強度が低下する傾向にある。一方、ポリエチレンは一般に酸化分解せず架橋し機械的強度を維持あるいは向上する傾向がある。この為、ポリプロピレン系樹脂を使用する際、特に、本発明の耐久性が要求される工具では、ホモのポリプロピレンとポリエチレン系樹脂と併用するかあるいはプロピレンとエチレン系のランダムあるいはブロックポリマーを使用あるいは併用することが好ましい。
【0014】次に本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物の(B)成分であるゴム状重合体について述べる。
【0015】本発明のゴム状重合体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であることが好ましく、このようなゴム状重合体は、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム等を挙げることができる。これらの中でも、特にエチレンとα−オレフィンを主体としたエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムが最も好ましい。この理由は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物の(A)成分として使用するポリオレフィン系樹脂と相溶性が良く、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムがポリオレフィン系樹脂と界面接着し耐衝撃性等の機械的強度の高いものとなることによる。このエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを更に詳しく述べると、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを主体としたエチレン・α−オレフィン系共重合体がより好ましい。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。これらα−オレフィンは単独で用いても良いし、又2種以上を組み合わせても良い。更に第3成分として共重合成分を含むこともできる。第3成分の共重合成分としては1,3−ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等の非共役ジエン等が挙げられる。第3成分の共重合成分を含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとしては、エチレン−プロピレンン−共役若しくは非共役ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)等を挙げることができる。しかしながら、工具は屋外で使用されることが多く耐候性が要求される為、共役若しくは非共役ジエンを含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、共役若しくは非共役ジエンを含まないエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムに比較して耐候性に劣り好ましくない。本発明は、共役若しくは非共役ジエンを含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを排除するものではないが、共役若しくは非共役ジエンを含まないエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの方がより好ましい。この例としては、エチレンとヘキセン−1、4−メチルペンテン−1あるいはオクテン−1との共重合体ゴム等を好ましい例として挙げることができる。これらの中でも、特にエチレンとオクテン−1との共重合体ゴムが好ましい。理由は、耐候性に優れ且つ少量でもゴム弾性に優れることによる。
【0016】本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物の(B)成分として好適に用いられるエチレン・オクテン−1共重合体ゴムは、メタロセン系触媒を用いて製造されたものが好ましい。
【0017】(B)成分であるゴム状重合体は、部分的または完全に架橋していることが好ましい。その理由は、上述の如く、本発明の工具用材料である組成物を成形加工する際、樹脂組成物の流動方向に引き伸ばされ配向するが、ゴム状重合体が架橋されている場合、流動方向に引き伸ばされることなく組成物中のゴム状重合体の形状(球状)を成形品中でも維持する為、フィラーが配向していてもゴム状重量体がその方向性を緩和する為である。
【0018】架橋させる場合は、熱可塑性樹脂成形品中に存在する全ゴム状重合体中の架橋しているゴム状重合体(溶媒に溶解しないゴム状重合体)の比率を架橋度で定義すると、架橋度は、20%以上が好ましい。更に、50%以上であることがより好ましい。
【0019】次に本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物の(C)成分である繊維状若しくは針状のフィラーについて述べる。
【0020】本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物の(C)成分である繊維状若しくは針状のフィラーは、平均の直径が0.01〜1000μmであり、好ましくは0.1〜500μm、更に好ましくは1〜100μm、最も好ましくは5〜50μmであり、又、平均のアスペクト比(長さ/直径)が5〜2500であり、好ましくは10〜1000、特に好ましくは50〜1000であるものであれば特に限定されない。平均の直径が0.01μm未満では、補強効果が小さく、機械的強度改良の効果が充分ではない。1000μmを越えると分散性が低下し、同様に機械的強度改良の効果が充分ではない。又、平均のアスペクト比(長さ/直径)が5未満では、異方性が不足し補強効果が小さく、一方、それが2500を越えると成形加工時流動性が充分でなく成形加工で問題を起こす。
【0021】繊維状のフィラーとしては、例えば、綿、絹、羊毛あるいは麻等の天然繊維、レーヨンあるいはキュプラ等の再生繊維、アセテートあるいはプロミックス等の半合成繊維、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アラミド、ポリオレフィン、炭素あるいは塩化ビニル等の合成繊維、ガラスあるいは石綿等の無機繊維またはSUS、銅あるいは黄銅等の金属繊維等を挙げることが出来る。
【0022】又、針状のフィラーとしては、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、硼酸アルミニウム、ウォラストナイト、セビオライト、ゾノトライト、ホスフェートファイバー、ドーソナイト、石膏繊維、MOS、針状炭酸カルシウム、テトラポット型酸化亜鉛、炭化珪素あるいは窒化珪素よりなるウイスカー等を挙げることができる。
【0023】本発明の(C)成分である繊維状若しくは針状のフィラーは、上述の材料を任意に選定して1種あるいは複数の組み合わせで使用することが出来るが、これら材料の中でも、フィラーとしてガラス繊維、炭素繊維、マグネシウムオキシサルフェートウイスカー等、中でもガラス繊維、炭素繊維が衝撃強度、剛性、耐熱性の点で好ましい。
【0024】本発明の(C)成分である繊維状若しくは針状フィラーは、上記の通りであるが、性能面で好ましいガラス繊維と炭素繊維の中でもガラス繊維は安価に市場から入手が出来る為、特に好ましい。しかしながら炭素繊維は、ガラス繊維と比較して価格は高いが剛性アップの効果もあり、ガラス繊維をメインの強化剤とし、炭素繊維を補助剤として使用することも可能である。ガラス繊維を使用する場合は、通常の市販のものを使用する。市販されているガラス繊維は、Eガラス、Sガラス、Cガラス、ARガラス等があるが、この何れも使用することができる。ガラス繊維の場合の直径は一般に10〜30μmが好ましい。なお、使用するガラスは、樹脂との接着性を上げる為に、例えばシランカップリング剤等前処理したものが好ましい。
【0025】本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)ゴム状重量体、好ましくは部分的または完全に架橋されたゴム状重合体及び(C)平均の直径が0.01〜1000μmであり且つ平均のアスペクト比が5〜2500の繊維状若しくは針状フィラーからなるが、必要に応じてその他の成分、例えばポリオレフィン系樹脂以外のポリマー、軟質剤、粉末状無機フィラーおよび可塑剤等を含有することが可能である。他のポリマーとして、特に繊維状若しくは針状フィラーとポリオレフイン系樹脂との界面接着性を向上させるものは耐衝撃性向上に有効である。この様な材料としては、例えばマレイン酸変成あるいは共重合ポリオレフイン、アクリル酸変成あるいは共重合ポリオレフィン、フマル酸変成あるいは共重合ポリオレフィン等を共存させることが好ましい。この材料は、繊維としてガラス繊維を使用した時に特に有効である。この様なフィラーとポリオレフィン系樹脂との接着性を向上させるポリマー以外に、本発明の工具用材料の特性を阻害しないレベルで他のポリマーを共存させることが可能である。
【0026】軟質剤としては、パラフィン系、ナフテン系などのプロセスオイルを使用することができる。軟質剤を共存させる時、剛性はやや低下する方向にあるが耐衝撃性を更にアップする効果がある。更に、工具を落下させた場合、衝撃により周辺部が白化することがある。この白化は、製品価値を低下させるが、軟質剤はこの白化を大きく改善する効果もある。本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物は積極的に軟質剤を共存させたものが、より好ましい。
【0027】粉末状の無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、その他の添加剤、例えば、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、シリコンオイル、アンチブロッキング剤、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等も好適に使用される。
【0028】本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物は、上記の如く、少なくとも(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)ゴム状重合体、好ましくは部分的または完全に架橋されたゴム状重合体及び(C)平均の直径が0.01〜1000μmであり且つ平均のアスペクト比が5〜2500の繊維状若しくは針状フィラーからなるが、その熱可塑性樹脂成形品中の各成分の比率は、(A)成分が、90〜20重量%、(B)成分が、5〜40重量%、(C)成分が、5〜40重量%、好ましくは、(A)成分が、80〜30重量%、(B)成分が、10〜30重量%、(C)成分が、10〜40重量%、更に好ましくは、(A)成分が、70〜40重量%、(B)成分が、10〜25重量%、(C)成分が、20〜35重量%である。(A)成分であるポリオレフィン系樹脂が、90重量%を超える場合は、結果的にゴム状重合体及びフィラーの量が少なく機械的強度が低い。20重量%未満の場合は、本発明の熱可塑性樹脂成形品を成形加工する際に流動性が低く成形加工が困難となる。(B)成分であるゴム状重合体が、5重量%未満の場合は、本発明の工具用材料を成形して得られる工具の機械的強度、特に耐衝撃性が実用領域に至らない。30重量%を超える場合は、結果としてゴム状弾性が大きくなり、本発明の工具用材料を成形して得られる工具の剛性等が低くなる。(C)成分であるフィラーが、5重量%未満の場合は、本発明の工具用材料を成形して得られる工具の剛性が低く好ましくない。40重量%を超える場合は、本発明の工具用材料を成形して得られる工具の剛性は高くなり且つ耐衝撃性も高く好ましい方向ではあるが成形品の外観が悪く商品価値が低下し好ましくない。
【0029】次に本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物及びその材料の好ましい成形方法について述べる。
【0030】本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物は、一般には(A)成分であるポリオレフィン系樹脂と(B)成分であるゴム状重合体、好ましくは部分的または完全に架橋されたゴム状重合体とよりなる熱可塑性エラストマー及び(C)成分であるフィラー、好ましくは繊維状フィラー、特に好ましくはガラス繊維及び必要に応じてゴム重合体とフィラーの濃度を調整する為にポリオレフィン系樹脂等を予め二軸押出機等でブレンドし、得られたペレットを原料として射出成形等で加工して製造する。しかしながら、この様に予め二軸押出機等でブレンドする方法では、強度が低く且つ特定の形状を持つフィラーでは押出機を通す際にフィラーが破砕されアスペクト比が小さくなる。この場合、目的とする機械的強度の工具とならないことも有る。(C)成分として繊維状フィラー、好ましくはガラス繊維を利用する場合は、次に様な方法を好ましく採用することができる。即ち、(A)成分であるポリオレフィン系樹脂と(B)成分であるゴム状重合体、好ましくは部分的または完全に架橋されたゴム状重合体よりなる熱可塑性エラストマーと繊維状フィラーそのものあるいは収束剤等で固めた繊維状フィラーあるいはポリオレフイン系樹脂等で固めた繊維状フィラー等をブレンドし、このブレンド品を直接射出成形する等の方法で成形品である工具を得る。この場合は、混練が一度で済む為、二軸押出機でブレンドし更に射出成形する方法に比較してアスペクト比が原料のアスペクト比により近いものとなり、高い機械的強度の工具となる。具体的には、ゴム状重量体、好ましくは部分的または完全に架橋されたゴム状重合体とポリオレフィン系樹脂とよりなるポリオレフィン系エラストマーのペレット及びガラス繊維の束にポリオレフィン系樹脂を含浸あるいは押出し被覆しペレット化し、ペレット長と同じ長さの繊維状フィラーを含むペレット(長繊維ペレットと称す)及び必要に応じて組成調整の為にポリオレフィン系樹脂ペレットをペレットブレンドし、このブレンド品を射出成形して製造する。繊維状フィラー、特にガラス繊維の場合、ポリオレフィン系樹脂との接着性を上げる為に添加する酸変成ポリオレフィン系樹脂は、架橋ポリオレフィン系エラストマーあるいはポリオレフィン系樹脂ペレットのどちらかあるいは両方に添加したものを用いる。
【0031】ここで好適に用いられる部分的または完全架橋されたゴム状重合体とポリオレフィン系樹脂とよりなる架橋熱可塑性エラストマーは、例えば次の様にして製造する。
【0032】好ましくは、エチレンとα−オレフィンを主体としたエチレン・α−オレフィン系共重合体、ポリオレフィン系樹脂、架橋剤及び架橋助剤を二軸押出機、バンバリーミキサー等で熱処理することにより製造する。この際、好ましく使用する架橋剤は、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤が挙げられる。ラジカル開始剤の具体的な例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドおよびm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、およびクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドおよび1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
【0033】これらの化合物の中では、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
【0034】これらのラジカル開始剤は、エチレン・α−オレフィン系共重合体とポリオレフィン系樹脂100重量部に対し0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部の量で用いられる。架橋のレベルは、主としてこの量で決まる。0.02重量部未満では架橋が不十分であり、3重量部を越えても大きく架橋率が向上することは無い為、好ましい方向ではない。
【0035】架橋助剤としては、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が好ましく用いられる。これらの架橋助剤は複数のものを併用して用いてもよい。
【0036】架橋助剤は、エチレン・α−オレフィン系共重合体とポリオレフィン系樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部の量で用いられる。0.1重量部未満では架橋率が低く好ましくない。5重量部を越えても架橋率が大きく向上することはなく好ましい方向ではない。
【0037】架橋の方法として上記の様に架橋剤と架橋助剤を使用することが好ましいが、これ以外にフェノール樹脂あるいはビスマレイミド等を架橋剤として使用することもできる。
【0038】次に長繊維ペレット、即ちペレツト長と同じ長さの繊維状フィラーの製造方法をガラス繊維を例にして述べる。
【0039】その製造方法は、例えば溶融したポリオレフィン系樹脂の中にガラス繊維のロービングを浸漬しその後所定の長さにペレタイズする方法あるいは一般にプルトルージョン法といわれる方法であるが、ガラス繊維のロービングを張力下で引き揃えながらポリオレフィン系樹脂を押出機によりサイドより押出し、ガラス繊維の表面にポリオレフィン系樹脂を押出被覆し、ペレット化する方法等がある。
【0040】この様にして得られた長繊維ペレットは、通常、2〜100mm、好ましくは3〜50mm、より好ましくは5〜20mmの大きさである。この長繊維ペレットの中には、ペレット長と同じ長さのガラス繊維が含まれる。この様な長いガラス繊維を含むペレットと上記好適に用いられる架橋熱可塑性エラストマーのペレット、必要に応じてポリオレフィン系のペレットとを混合して射出成形すると、工具である成形品中のガラス繊維の平均繊維長は、結果として0.5〜10mmとなる。
【0041】本発明の工具である成形品の好ましい製造方法としては、上記に記載した方法以外に繊維状フィラー、例えばガラス繊維のロービングを、収束剤、例えばラテックス、低分子量高分子材料等で固め、2〜100mmのサイズにカットしたものと上記熱可塑性エラストマー、好ましくは架橋上記熱可塑性エラストマーのペレット、必要に応じてポリオレフィン系のペレットとを混合して射出成形することによっても製造することもできる。
【0042】本発明の工具用材料である熱可塑性樹脂組成物から工具を得る為には、上述の射出成形の他、押出成形、圧縮成形等で成形加工することも可能である。
【0043】この様に製造された本発明の工具用材料から得られる工具は、機械的強度、特に耐衝撃性、剛性、耐熱性に優れた製品となる。たとえば、電動工具のハウジングなどは衝撃を受けても破損しにくく高強度を有する。また、組成によっては衝撃部位の白化も防止することができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法、原材料及び配合に使用した熱可塑性エラストマーの製造方法は以下の通りである。
【0045】1.試験法(1)引張強度JIS K6251に準拠した方法で23℃で測定した。
(2)曲げ強度JIS K6758に準拠した方法で23℃で測定した。
(3)曲げ弾性率JIS K6758に準拠した方法で23℃で測定した。
(4)アイゾット衝撃強度JIS K6758に準拠した方法で23℃で測定した。(Vノッチ、1/4インチ試験片)
(5)落錘衝撃強度落錘衝撃試験機(東洋精機製作所製)を使用し、落錘先端径:13.6mm、重量:6.5kg、落下高さ:100cm、ホルダー直径:50mm、試験片厚さ:3mm、温度:23℃、湿度50%の条件で全吸収エネルギーを測定した。値が大きい方が割れ難い。
【0046】(6)耐熱性(HDT)
JIS K7207に準拠した方法で測定した。
【0047】(7)フイラーの平均直径、アスペクト比電子顕微鏡によりフィラーの数平均粒子直径を求め、一方光学顕微鏡によりフィラーの長さを求め、長さ/直径の比からアスペクト比を算出した。即ち、各フィラーの断面を円と仮定し、長径と短径の算術平均を各フィラーの平均直径とする。そして、100個のフィラーの平均直径の算術平均により数平均粒子直径を求めた。上記フイラーの平均長さも数平均長さとして同様に求めた。
【0048】(8)架橋度架橋熱可塑性エラストマー0.5gを、キシレン200ml中で4時間リフラックスさせる。溶液を定量用濾紙で濾過し、濾紙上の残さを真空乾燥後定量し、架橋熱可塑性エラストマー中のゴム状重合体の重量に対する残さの重量の比率(%)として算出した。
【0049】2.原材料(1)ゴム状重合体(a)エチレン・オクテン−1共重合体特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/オクテン−1の組成比は、72/28(重量比)であった(TPE−1と称する)
(b)エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体特開平3−163088号公報に記載のメタロセン触媒を用いた方法により製造した。共重合体のエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンの組成比は、72/24/4(重量比)であった(TPE−2と称する)。
【0050】(2)オレフィン系樹脂(a)ポリプロピレン日本ポリケム(株)製、アイソタクチックホモポリプロピレン(商品名 MA03)(PPと称する)
(b)エチレン(E)−プロピレン(PP)共重合樹脂−1日本ポリオレフィン(株)製、ブロックE−PP樹脂[E/PP=6/94(重量比)(商品名 PM970A)](EP−1と称する)
(c)エチレン(E)−プロピレン(PP)共重合樹脂−2日本ポリオレフィン(株)製、ランダムE−PP樹脂[E/PP=7/93(重量比)(商品名 PM940M](EP−2と称する)
(d)マレイン化ポリプロピレン三井化学(株)製、マレイン化ポリプロピレン(商品名 アドマーGF305)(M−PPと称する)
(3)高密度ポリエチレン旭化成工業(株)製、サンテックHD(商品名 B470)(HDPEと称する)
(4)ラジカル開始剤日本油脂社製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名パーヘキサ25B)(POXと称する)
(5)架橋助剤和光純薬製、ジビニルベンゼン(DVBと称する)
(6)軟化剤(パラフィンオイル)
出光興産製、ダイアナプロセスオイル(商品名PW−380)
(7)フィラー(a)ガラス繊維旭ファイバー製アミノシラン処理ガラス繊維ロービング(商品名:ER740)(太さ:13μm)
(b)炭素繊維東邦レーヨン製炭素繊維ロービング(商品名:HTA−12K)(太さ:7μ)
(c)マグネシウムオキシサルフェートウイスカー宇部マテリアルズ製ウイスカー(商品名:モスハイジA)。
【0051】3.架橋熱可塑性エラストマーの製造方法(1)TPV−1押出機として、バレル中央部に注入口を有した2軸押出機(40mmφ、L/D=47)を用いた。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。TPE−1/PP/POX/DVB=55.6/44.4/0.38/0.74(重量比)を混合しシリンダー温度220℃で溶融押出を行った。得られた架橋熱可塑性エラストマーの架橋度は、82%であった。
【0052】(2)TPV−2TPE−1/PP/POX/DVBの比率を55.6/44.4/0.19/0.37(重量比)とすること以外(1)と同じ方法で架橋熱可塑性エラストマーを得た。この架橋熱可塑性エラストマーの架橋度は、55%であった。
【0053】(3)TPV−3TPE−1/PP/POX/DVBをTPE−1/EP−1/POX/DVBとすること以外(1)と同じ方法で架橋熱可塑性エラストマーを得た。この架橋熱可塑性エラストマーの架橋度は、81%であった。
【0054】(4)TPV−4TPE−1/PP/POX/DVBをTPE−1/PP/HDPE/POX/DVBとし、その比率を55.6/33.3/11.1/0.19/0.37(重量比)とすること以外(1)と同じ方法で架橋熱可塑性エラストマーを得た。この架橋熱可塑性エラストマーの架橋度は、85%であった。
【0055】(5)TPV−5TPE−1/PP/POX/DVBをTPE−2/PP/POX/DVBとすること以外(1)と同じ方法で架橋熱可塑性エラストマーを得た。この架橋熱可塑性エラストマーの架橋度は、ほぼ100%であった。
【0056】(6)TPV−6押出機の中央部にある注入口よりTPE−1とPPの合計量100重量部に対して軟化剤(パラフィンオイル)を33重量部注入すること以外(1)と同じ方法で架橋熱可塑性エラストマーを得た。この架橋熱可塑性エラストマーの架橋度は、82%であった。
【0057】4.非架橋熱可塑性エラストマーの製造方法(1)TPO−1押出機として、バレル中央部に注入口を有した2軸押出機(40mmφ、L/D=47)を用いた。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。TPE−1/PP=55.6/44.4(重量比)を混合しシリンダー温度200℃で溶融押出を行った。
【0058】実施例113μmの太さのガラス繊維のロービングを張力下で引き揃えながら5%M−PP/95%PPを押出機でサイドから押出し、ガラス繊維の表面にポリオレフィン系樹脂を押出被覆し、長さ7mmのペレットにカットし、長繊維ペレット(GF−1と称する)を製造した。長繊維ペレット中のガラス繊維のアスペクト比は538である。又、この長繊維ペレットのガラス/ポリオレフィン系樹脂との比率は、56/44(重量比)であった。GF−1、TPV−1、PPの各ペレットを53.6/36.0/10.4(重量比)で混合し、成形温度を240℃とし射出成形機(東芝IS45PNV)により成形し、成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。なお、この成形品の比重は、1.10g/cc、吸水率(25℃、50%RH)は、0.1%以下であった。一方、市販の30%のガラス繊維を含むポリアミド(6ナイロン)の比重は、1.36g/cc、吸水率は2.1%であった。
【0059】実施例2TPV−1をTPV−2とすること以外実施例1と同様に実施して成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。
【0060】実施例3TPV−1をTPO−1とすること以外実施例1と同様に実施して成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(非架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。
【0061】比較例1実施例1で得られた長繊維ペレット(GF−1)とPPペレットとを53.6/46.4(重量比)で混合し、実施例1と同様にして成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ガラス繊維の比率は、70.0/30.0(重量比)である。
【0062】実施例4GF−1、TPV−1、PPの各ペレットをGF−1/TPV−1/PP=53.6/18.0/28.4(重量比)で混合すること以外実施例1と同様に実施して成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、60.0/10.0/30.0(重量比)である。
【0063】実施例5GF−1、TPV−1、PPの各ペレットをGF−1/TPV−1/PP=35.7/36.0/28.3(重量比)で混合すること以外実施例1と同様に実施して成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、60.0/20.0/20.0(重量比)である。
【0064】実施例6TPV−1をTPV−5とすること以外実施例1と同様に実施して成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(完全架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。
【0065】実施例7ガラス繊維に押出被覆する材料を5%M−PP/95%PPより5%M−PP/95%EP−1とすること以外実施例1と同様にして、長繊維ペレット(GF−2と称する)を製造した。この長繊維ペレットのガラス/ポリオレフィン系樹脂との比率は、56/44(重量比)であった。GF−2、TPV−3、PPの各ペレットを53.6/36.0/10.4(重量比)で混合し、実施例1と同様に成形し、成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。
【0066】実施例8GF−1、TPV−1、PPの各ペレットの成分、組成をGF−1/TPV−1/EP−2=53.6/36.0/10.4(重量比)で混合すること以外実施例1と同様に実施して成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。
【0067】実施例9ガラス繊維に押出被覆する材料を5%M−PP/95%PPより5%M−PP/71.3%PP/23.7%HDPEとすること以外実施例1と同様にして、長繊維ペレット(GF−3と称する)を製造した。この長繊維ペレットのガラス/ポリオレフィン系樹脂との比率は、56/44(重量比)であった。GF−3、TPV−4、PPの各ペレットを53.6/36.0/10.4(重量比)で混合し、実施例1と同様に成形し、成形品を得た。成形品の特性を表1に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0(PP:40.4、HDPE:9.6)/20.0/30.0(重量比)である。
【0068】実施例10、11TPV−1をTPV−6とすること以外実施例1と同様に実施して成形品を得た。実施例10と実施例11とでは配合が異なる。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維/軟化剤(パラフィンオイル)の比率は、実施例10では、46.1/15.0/30.0/8.9(重量比)実施例11では、39.1/19.4/30.0/11.5(重量比)である。成形品の特性を表1に示すが、落錘衝撃試験時の試験片の白化状態は、実施例1(軟化剤なし)<実施例10(軟化剤8.9%)<実施例11(軟化剤11.5%)であり、実施例11では、ほとんど白化しなかった。
【0069】実施例1213μmの太さのガラス繊維のロービングを7mmに切断しチョップとした。このチョップ及びTPV−1、PPの各ペレットを30.0/36.0/34.0(重量比)で混合し、2軸押出機(東芝TEM−35B)で樹脂温度230℃で押出しペレット化した。ペレット中のガラス繊維の径は13μm、長さ0.7mmであった。ペレット中のガラス繊維のアスペクト比は54である。このペレットを原料として成形温度を240℃とし射出成形機(東芝IS45PNV)により成形し、成形品を得た。成形品の特性を表2に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。
【0070】比較例213μmの太さのガラス繊維のロービングを7mmに切断しチョップとした。更にこのチョップをボールミルで粉砕して平均長さ約100μmの超短繊維を得た。この超短繊維及びTPV−1、PPの各ペレットを30.0/36.0/34.0(重量比)で混合し、2軸押出機(東芝TEM−35B)で樹脂温度230℃で押出しペレット化した。ペレット中のガラス繊維の径は13μm、平均長さは42μmであった。ペレット中のガラス繊維のアスペクト比は3.2である。このペレットを原料として成形温度を240℃とし射出成形機(東芝IS45PNV)により成形し、成形品を得た。成形品の特性を表2に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/ガラス繊維の比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。
【0071】実施例137μmの太さの炭素繊維のロービングを張力下で引き揃えながら5%M−PP/95%PPを押出機でサイドから押出し、炭素繊維の表面にポリオレフィン系樹脂を押出被覆し、長さ7mmのペレットにカットし、長繊維ペレット(CF−1と称する)を製造した。長繊維ペレット中の炭素繊維のアスペクト比は1000である。この長繊維ペレットのガラス/ポリオレフィン系樹脂との比率は、56/44(重量比)であった。CF−1、TPV−1、PPの各ペレットを19.6/36.0/44.4(重量比)で混合し、成形温度を240℃とし射出成形機(東芝IS45PNV)により成形し、成形品を得た。成形品の特性を表2に示す。なお、組成物中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/炭素繊維の比率は、50.0/20.0/11.1(重量比)であった。
【0072】実施例14マグネシウムオキシサルフェートウイスカー(モスハイジ)、TPV−1、PPの各ペレットを30.0/36.0/34.0(重量比)で混合し、2軸押出機(東芝TEM−35B)で樹脂温度230℃で押出しペレット化した。ペレット中のウイスカーの平均径は0.6、平均長さは8μmであった。ペレット中のウイスカーのアスペクト比は13である。このペレットを原料として成形温度を240℃とし射出成形機(東芝IS45PNV)により成形し、成形品を得た。成形品の特性を表2に示す。なお、組成物品中のポリオレフイン系樹脂/ゴム状重合体(部分架橋)/マグネシウムオキシサルフェートウイスカーの比率は、50.0/20.0/30.0(重量比)である。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【発明の効果】本発明の(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)ゴム状重量体、好ましくは部分的または完全に架橋されたゴム状重合体及び(C)平均の直径が0.01〜1000μmであり且つ平均のアスペクト比(長さ/直径)が5〜1000の繊維状若しくは針状のフィラーの組成物からなる工具用材料は、高い耐衝撃性、高い耐熱性等を示し、吸湿時の物性低下が少なく、又、ポリアミド系樹脂と比較すると成形加工時乾燥工程を簡略化できる等の特徴を有し、電動ドリルハウジング、トンカチ、ドライバーあるいはキリ等の支柱等の工具類に幅広く使用可能であり、産業界に果たす役割は大きい。




 

 


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