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発明の名称 アラミドフィルム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−81212(P2001−81212A)
公開日 平成13年3月27日(2001.3.27)
出願番号 特願平11−261758
出願日 平成11年9月16日(1999.9.16)
代理人 【識別番号】100103436
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 英夫 (外3名)
【テーマコード(参考)】
4F071
5D006
【Fターム(参考)】
4F071 AA56 AF20Y AH14 BC01 BC13 BC15 BC16 
5D006 CB03 CB07 FA02 FA09
発明者 藤原 隆
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 平均厚み2〜10μmのアラミドフィルムにおいて、該フィルムが5μm以上50μm未満の大きさのピンホールを2〜200個/1000m2 、50〜200μmの大きさのピンホールを0〜10個/1000m2 、200μmより大きいピンホールを0〜5個/1000m2 有することを特徴とするアラミドフィルム。
【請求項2】 表面の少なくとも一方に0.03〜0.4μmの高さ(H)と、100〜2000μmの主ピッチ(L)をもち、かつ500≦L/H≦15000であるうねりをランダムにもっていることを特徴とする請求項1記載アラミドフィルム。
【請求項3】 動的弾性率が10〜25GPaであり、25℃におけるtan−δに対する100℃におけるtan−δの比が0.3〜2.0であることを特徴とする請求項1または2記載のアラミドフィルム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体等のベースフィルム用等に有用な耐熱性フィルムに関するものであり、さらに詳しくは、フィルムとして独特のピンホールサイズ分布を有しているが故に長尺ロール状で使いやすく、また加工性に優れているアラミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アラミドフィルムやポリイミドフィルムは、耐熱性に優れたフィルムとして、例えば、特開昭49−131247号公報、特開昭51−81854号公報、特開昭51−81880号公報、特開昭52−82953号公報、特開昭52−84245号公報、特開昭52−85251号公報、特開昭58−42649号公報、特開昭59−45124号公報、特開昭61−246918号公報、特開昭62−70421号公報、特開昭60−15436号公報、特開昭60−15437号公報、特開昭62−48726号公報などに開示されている。
【0003】特に、磁気記録媒体用ベースフィルムとしては、例えば、特開昭61−246919号公報、特開昭63−297038号公報、特開平2−1741号公報、特開平2−133434号公報、特開平3−119512号公報、特開平3−114830号公報、特開平4−34716号公報、特開平4−149245号公報、特開平6−195679号公報、特開平8−235568号公報、特公平5−36849号公報、特公平5−64594号公報等に、表面平滑性と表面の荒れを調整する技術として開示されている。
【0004】一方、磁気記録システムの進歩及び社会的要請により、磁気記録の高密度化、高性能化が急速に進み、その実現のために、ベースフィルムの薄膜化や表面平滑性の一層の向上に加えて、磁気記録媒体への加工性を良くするための要求、具体的には、ピンホールの皆無化やロール状に巻かれたフィルムの品位の改良が極限的に要求されている。例えば、塗布型磁気テープのベースフィルムとして用いる場合においては、高密度記録の要請から磁性粉の粒子が小さくなり、また高密度に且つ平滑に塗工することが求められるため、塗工液のピンホールからの裏廻りやそれによる塗工ラインの汚染とそれを起因とする磁気テープのエラー率の増加等の問題が指摘され、100μm弱の小さなピンホールからも塗工液が裏に抜ける事故が発生することが判明した。
【0005】アラミドの場合、その耐熱性が高いために、フィルム製造は溶液法で実施せざるを得ず、特に磁気記録媒体用に有用な薄膜においてはボイドやピンホールの発生をゼロにすることは殆ど不可能であった。アラミドフィルムのピンホールを少なくするために、ピンホールの原因となる樹脂原液中に混在する異物を、例えば10μm以上の大きさのの異物を濾過できる燒結金属不織布等の高性能フィルター等で濾過することが実施されている(特開平8−147664号公報の実施例)。また、キャスティングベルトとしてその表面の傷やベルト材料の不純物による錆等の介在物の少ないものを用いることも提案されている(特開平9−1568号公報)。さらに、ピンホール等のフィルム上の欠点を検知する方法の開発も行われている(特開昭62−138740号公報、特開平8−338814号公報)。
【0006】これらに開示された技術により、フィルム中のピンホール(約50μm以上の大きさ)を100個/1000m2 程度にまで減少させることが出来る。しかし、このピンホールレベルでも最新の要求には不充分であり、更に少ないピンホールのフィルムが求められている。一方、製造法の工夫によりアラミドフィルムのピンホール数を従来より少ないレベルにしたとき、ケースによっては、ロール状からのフィルムの解除性や加工性に予想外の困難の生じることを見出した。その理由は、詳しくは解明できていないが、フィルムをロール状に巻き上げるときにフィルム間に巻き込ませた空気及びその経時的な抜けが不均一に起こり、巻き形状の不均整化やそれに基ずくフィルムの賦形的変化によるものと推定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような二律背反的な技術課題の解決を図るべく、なされたものであり、具体的には、高密度記録の磁気記録媒体用ベースフィルムに使用するアラミドフィルムにおいて、磁気記録媒体の高品質を実現しつつ、磁気記録媒体に加工する際の加工性を飛躍的に改善したアラミドフィルムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、この問題を多角度から検討するうちに、サイズの極めて小さいピンホールは、塗工液の裏廻りの問題を起こさず、逆にそのような極小ピンホールを特定数有していると、ロール状に巻き上げられたフィルムのロールからの解除性に優れているという予想外の現象があることを見出し、この応用によって、従来克服できなかった技術課題、つまり、前記課題を一挙に解決できる可能性のあることを発見し、その後更に検討して本発明に到達した。即ち、本発明は、平均厚み2〜10μmのアラミドフィルムにおいて、該フィルムが5μm以上50μm未満の大きさのピンホールを2〜200個/1000m2 、50〜200μmの大きさのピンホールを0〜10個/1000m2 、200μmより大きいピンホールを0〜5個/1000m2 有することを特徴とするアラミドフィルムである。
【0009】本発明のフィルムとしては、アラミドフィルムが用いられる。本発明に用いられるアラミドとしては、次の構成単位(1)〜(3)からなる群より選択された単位より実質的に構成される。
−NH−Ar1 −NH− (1)
−CO−Ar2 −CO− (2)
−NH−Ar3 −CO− (3)
ここでAr1 、Ar2 、Ar3 は少なくとも1個の芳香環を含み、同一でも異なっていてもよく、これらの代表例としては次の構造式で示される基が挙げられる。
【0010】
【化1】

【0011】また、これらの芳香環の環上の水素の一部が、ハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基などで置換されているものも含む。また、Xは−O−、−CH2 −、−SO2 −、−S−、−CO−などの基である。特に、全ての芳香環の80モル%以上がパラ位にて結合しているアラミドが好ましい。また、本発明のアラミドフィルムには、フィルムの物性を損ねたり、本発明の目的に反しない限り、酸化防止剤、除光沢剤、紫外線安定化剤、その他の添加剤などや、他のポリマーが含まれていてもよい。
【0012】本発明のフィルムの特徴は、5μm以上50μm未満の大きさのピンホールを2〜200個/1000m2 、50〜200μmの大きさのピンホールを0〜10個/1000m2 、200μmより大きいピンホールを0〜5個/1000m2 有するというピンホールサイズ別の特定の存在数分布をもっていることである。その要するところは、200μmより大きいピンホールは出来るだけ少なくするという要請に加えて、従来あまり考慮されてこなかった50〜200μmのピンホールも出来るだけ少ないことであり、一方最も小さい5μm以上50μm未満の大きさのピンホールはゼロではない特定数が存在することが必要である。
【0013】50μm以上のピンホールが上記規定された数よりも多く存在すると、磁気記録媒体に加工するとき、塗工液が該ピンホールから漏れて裏廻りし、塗工機ロールや走行する後続フィルムを汚染し、甚だしいときは磁気記録媒体の記録エラーを引き起こす。裏廻りの有無やその程度は、使用する塗工液の粘弾性特性にも依存するが、磁気記録媒体を高密度記録すればするほど、一般に、塗工液は低粘度になるため、50μm以上のピンホールはゼロであるのがより好ましい。一方、50μm未満のピンホールは、実用的に殆どまたは全く塗工液の裏廻りの悪影響を発生させないこと、この数が2個/1000m2 未満になると、フィルムをロール状に巻き上げたとき、フィルム間の空気層の抜けが不均一に起こりそれによるフィルムの局所的密着、皺の発生や賦形的変形の付与等に基ずくためと推定されるロールからのフィルムの解除性の低下、磁気記録媒体への加工時の、例えば磁性体塗工液の塗布の均一性の確保の困難さ等を結果することが判明した。また、50μm未満のピンホールが200個/1000m2 を超えると、高密度記録に支障をきたす。50μm未満のピンホールは、好ましくは10〜150個/1000m2 である。
【0014】なお、一般にピンホールは円であることが多いが、円でない形状のピンホールの場合のピンホールサイズ(直径)は、ピンホール部面積から同等面積の円の直径を求めることで行う。本発明は、平均厚みが約2〜10μmの薄いフィルムに適用できるが、厚みバラツキのパターンにも特徴を持たせるのが好ましい。即ち、平均厚みに対する厚みバラツキの比及び幅方向の厚みバラツキと長さ方向のそれの比を特定の範囲に設定することである。
【0015】平均厚みに対する厚みバラツキの比が1〜8%であることが好ましく、より好ましくは、この比は1〜5%である。この比が8%を超えると、ロール状に捲上げたフィルムの捲姿が悪くなり、ロールからの解除そのものや解除後のフィルムの加工性が悪くなるばかりでなく、驚くべきことにフィルムの見かけの摩擦係数が大きくなって走行性が悪くなることがわかった。換言すれば、この比を8%以下、好ましくは5%以下にすることによりフィルムの走行性を改善できる。また、この比が1%未満になると、ロール状フィルムを解除するときに静電気が発生しやすいことが見出された。
【0016】フィルムの厚みバラツキは、一般に、製膜工程において、フィルムが塑性変形を起こす条件、例えばダイからの吐出、ダイから金属ロール・エンドレスベルトへの受け渡し、ドラフト付与、ロール間またはベルトからロールへの受け渡し、延伸、熱処理などの工程において、幅方向のクリアランス、温度、応力、濃度などのバラツキが幅方向の厚みバラツキを結果し、時間的変動が長さ方向の厚みバラツキを生成する。従って、これらの製膜要因及びそのバラツキの制御によって前記特定した厚みバラツキパターンを得ることが出来る。
【0017】本発明のフィルムにおいて、好ましくはフィルム表面の少なくとも一方に0.03〜0.4μmの高さ(H)と、100〜2000μmの主ピッチ(L)をもち、500≦L/H≦15000の勾配をもつうねりを有することである。0.03μm未満の高さ、又は/及び2000μmを超える主ピッチ、又は/及び15000を超える勾配(L/H)のうねりをもつフィルムは、滑り性が乏しく、フィルムの加工が難しくなる。この時、微細粒子の大量添加による滑り性の確保という考え方では、フィルムの表面平滑性が不足して好ましくない。一方、0.4μmを超える高さ、又は/及び100μm未満の主ピッチ、又は/及び500未満の勾配を持つうねりをフィルム表面に形成すると、これを磁気記録媒体のベースフィルムとして使用したとき、電磁変換特性が劣るようになる。うねりは、好ましくは、0.05〜0.3μmの高さと、200〜1500μmの主ピッチをもち、かつ、1000〜10000のL/Hのうねりをもつものが一層好ましい。
【0018】このように、100μm以上の長周期でかつ特定の緩やかな勾配のうねりをフィルム表面に導入することにより、電磁変換特性に全く悪影響を与えることなくフィルムの走行性を飛躍的に改善できる。本発明のフィルムの動的弾性率は10〜25GPaであるのが好ましい。動的弾性率が10GPa未満のフィルムは、もはや高剛性フィルムという範ちゅうのフィルムでなくなり、薄膜の高密度磁気記録媒体を作ることが出来なくなる。一方、25GPaを超えるアラミドフィルムは、裂け易く且つ脆くなってもはやフィルムとしての有用性が少なくなってしまうことが多い。高い動的弾性率のフィルムは、分子構造的にパラ配向成分を多くする(約80〜100モル%が好ましく用いられる)こと、製造時に相対的に高い延伸倍率(約1.03〜2.5倍程度の範囲)を適用して、分子鎖を高配向化することで実現できる。
【0019】本発明のフィルムは、その25℃におけるtan−δに対する100℃におけるtan−δの比が0.3〜2.0の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.5〜1.5の範囲である。tan−δ比が0.3未満になったり、2.0を超えると、そのフィルムをベースにした磁気テープの耐久性が、特に高負荷のかかる磁気記録システムに使用した場合に、顕著に低下することがわかった。その理由は必ずしも明確ではないが、高負荷のためベースフィルムに磁気ヘッドやガイドとの摩擦熱が局部的に発生し、ベースフィルムの変形、それに誘起されるテープやフィルム表面特性の変化が発生するためと推定される。tan−δ比を上記の範囲内にするためには、フィルム製造工程において、約250℃以上の温度で緊張熱処理して一旦実質的に水分を含まない状態にした後、約0.4〜3.0%に吸湿させた状態で200℃以上の温度にて弛緩熱処理することで達成される。なお、本発明における「tan−δ」とは、動的粘弾性に基づく損失正接である。
【0020】本発明において、アラミドフィルムには、好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜3重量%の微細粒子を含有している。10重量%を超えるとフィルムの滑り性が良いもののフィルムの表面突起が多くなって平滑性が損なわれる。本発明の技術が微細粒子を全く含まないものに適用できることは驚くべきことである。何故なら、従来一般にフィルムの滑り性の確保は微細粒子の添加によって行われてきたからである。本発明は微細粒子の添加量が少ない場合にはその特徴が顕著に発揮される。微細粒子は、フィルムの厚さ方向に均一に含有されていても、不均一に例えば少なくとも一方の面とその近傍に含有されていればよい。
【0021】本発明のフィルムは、好ましくは、その少なくとも一方の面が、0.27μm以上0.54μm未満の高さの突起を0〜5個/cm2 、0.54μm以上0.81μm未満の高さの突起を0〜2個/10cm2 、0.81μm以上の高さの突起を0〜0.5個/100cm2 もっており、更に好ましくは0.54μm以上の高さの突起が0個である。上記の高さの突起が上記の個数を超えて存在すると、磁気テープとした場合、出力の低下、ドロップアウトの増加、ノイズの増加などの電磁変換特性の低下という好ましくない現象を引き起こす。このような、突起をフィルム表面に作るには、添加する微細粒子の分散性を制御することで行われ、例えば、再公表特許WO96/06128号公報に記載された方法を用いることができる。
【0022】本発明のフィルムは、望ましくは、表面に微細な適度の凹凸を有している。この凹凸を中心面平均粗さ(SRa)で表すと、0.0002〜0.01μmである。本発明の技術は、好ましくは,吸湿膨張係数が100ppm/%RH 以下のフィルムに適用される。吸湿膨張係数が100ppm/%RH を超えるフィルムは、湿度寸法安定性が実用に耐えがたいレベルになるからであり、より好ましくは50ppm/%RH以下のフィルムに適用される。本発明は、フィルムの物性がフィルム面内の全方向に一定のいわゆるバランスタイプには勿論のこと、長さ方向または幅方向に強化されたテンシライズドタイプにも適用することができる。
【0023】本発明のフィルムは、また、好ましくは、5〜100%の伸度を持っている。5%未満の伸度のフィルムは脆いことが往々にして見られるからである。一方、伸度は一般に大きい方が望ましいが、実際的には100%程度が上限になる。該伸度は、ポリマーの種類、重合度や延伸配向度、結晶化度等の調整によって達成できる。本発明のフィルムは、好ましくは、金属鏡面との動摩擦係数が0.02〜0.4の範囲にあり、更に好ましくは0.02〜0.3の範囲である。摩擦係数が小さすぎると加工工程での取扱が不安定になり、逆に大きすぎると加工工程でのしわ・歪の発生や傷つきが多くなるからである。
【0024】本発明のフィルムを製造する方法については、50μm以上のピンホールの生成を抑制しつつ50μm未満のピンホールを所定程度生成させる為の工夫が必要であるが、それ以外については用いるポリマーに適した製造法で実施できる。アラミド樹脂について、有機溶剤可溶のものでは、直接溶剤中で重合するか、一旦ポリマーを単離した後再溶解するなどして溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜し、また、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)等の有機溶剤に難溶のものについては、濃硫酸などに溶解して溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜する。
【0025】乾式法では、溶液はダイから押し出し、金属ドラムやエンドレスベルトなどの支持体上にキャストし、キャストされた溶液が自己支持性を有するフィルムを形成するまで乾燥を進める。湿式法では、溶液はダイから直接凝固液中に押し出すか、乾式と同様に金属ドラムまたはエンドレスベルト上にキャストした後、必要ならば溶剤の除去を一部行った後、凝固液中に導き、凝固する。ついでこれらのフィルムはフィルム中の溶剤や無機塩などを洗浄し、延伸、乾燥、熱処理などの処理を施す。
【0026】何れの製膜方法に於いても、製膜後のフィルムが、特定のピンホールサイズ分布を有するように、ダイから吐出した以後の工程を実質的にゴミフリーのクリーンな環境(大略クラス5よりクリーンな環境)にするとともに、ポリマー溶液を特定の金属分が特定の含有量で含まれるように調整する必要がある。具体的には、ポリマー溶液中の金属(但し、本発明においては、周期律表VB,VI B,VIIB,VIII,IBおよびIIB族の金属及びその化合物を指す。)分が、5μm以上の固形分を実質的に含まず、かつ0.1〜50ppmであるように、原料や溶媒の純度の選定、濾過を行うことが必要である。50ppmより多い金属分の含有は、金属自体の凝集や微細粒子の凝集をひきおこし、それが原因となってピンホールの増大をひきおこす。一方、0.1ppmより少ない金属分のときは微小ピンホール(50μm未満)の生成が困難になる。
【0027】本発明の好ましい態様として、フィルムに独特のうねりを有するようにするには、比較的広い分子量分布(数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表して2.0〜5.0)をもったポリマーを用いて、約1000〜100000秒-1の高せん断速度でダイから吐出し、1.5〜5.0の高いドラフト(ダイからの押出速度に対するフィルムの引取速度の比)で製膜することで実現できる。ここで、ドラフトとは、ダイからの押出速度に対するフィルムの引取り速度、即ち金属ドラムやエンドレスベルトの走行速度の比のことである。また、フィルムのtan−δ比を本発明の好ましい範囲内にするためには、フィルム製造工程、特に熱処理工程において特別の方法を採ることが必要なことがわかった。すなわち、約250℃以上の温度で緊張熱処理して一旦実質的に水分を含まない状態にした後、約0.5〜3%に吸湿させた状態で200℃以上の温度にて弛緩熱処理するのである。ただし、これ以外の方法で本発明のフィルムを得ることを排除するわけではない。
【0028】フィルム同志の滑り性を良くしたり、ブロッキング現象を防ぐため、フィルムに微細粒子を混在させる方法を用いてもよく、この微細粒子を一般的には易滑剤とも称する。微細粒子としては、有機化合物、無機化合物が挙げられる、通常は例えば、SiO2 、TiO2 、ZnO、Al2 3 、CaSO4 、BaSO4 、CaCO3 、カーボンブラック、ゼオライト、その他金属粉末などの無機化合物が用いられる。粒子径は0.001〜2μm、添加量は0〜10重量%の範囲に選ばれる。即ち、アラミド樹脂の溶液中に、上記微細粒子を混入し、この溶液を製膜することにより製造する。この際、微細粒子の分散を良くするために、超音波方式や撹拌方式のホモジナイザーが好ましく用いられる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を実施例などを用いて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。本発明の特性値の測定法は次の通りである。
(1)フィルムの厚み、厚みバラツキの測定法フィルムの厚みは、デジタル電子マイクロメータ(アンリツ株式会社製K351C型)により直径2mmの測定子を用いてフィルムの全幅及びそれと同じ長さのサンプルにつきそれぞれ5等分した線分に沿ってそれぞれの方向に厚みを測定し、フィルムの平均厚みは全測定値の平均値で、厚みバラツキは全測定値中の最大値と最小値の差で表す。幅方向の厚みバラツキは幅方向の全測定値中の最大値と最小値の差で、長さ方向の厚みバラツキは長さ方向の全測定値中の最大値と最小値の差で表す。
【0030】(2)フィルムの強度、伸度の測定法フィルムの強度、伸度は、定速伸長型強伸度測定機を用い、測定長100mm、引っ張り速度50mm/分で測定したものである。
(3)表面うねりの測定法ZYGO社製のNew View 100型表面粗さ測定装置を用い、対物レンズ倍率2.5倍、カメラ分解能8.8μm、カットオフ5mmにてフィルムの任意の3点につき測定した中心線のうねりのP−V値で高さ(H)を、中心線のうねりのフーリエ変換解析による主波長で主ピッチ(L)を表す。
【0031】(4)中心面平均粗さ(SRa)の測定法SRaの定義は、例えば奈良治郎著「表面粗さの測定、評価法」(総合技術センター、1983)に示されているものであり、干渉位相差顕微鏡の干渉像を計算処理して得る方法を用いた。即ち、ZYGO社製のNew View 100型表面粗さ測定装置を用い、対物レンズ倍率40倍、カメラ分解能550μm、カットオフ25μmにて、フィルムの任意の3点につきSRaを測定しその平均で表した。
(5)動的粘弾性の測定法フィルムから幅4mm、長さ4cmの試料片を切り出し、ORIENTEC社製の動的粘弾性測定装置「レオバイブロン DDV−01FP」に、静荷重10gfでセットし、25℃から400℃まで2℃/分で昇温させつつ16μmの振幅、110Hzの周波数の条件下に、動的弾性率及びtan−δを測定した。tan−δ比は25℃のtan−δと100℃のtan−δとから算出した。
【0032】(6)ピンホールサイズ分布の測定法50μm以上の大きさのピンホールは、透過光または反射光によりピンホール及びその周辺の屈折率異常をもっている部分の光量の差をCCDカメラ像として電気信号化し、画像処理する方法で、少なくとも1000m2 の面積のフィルムについて、ピンホールの大きさと存在数を測定した。50μmより小さいピンホールについては、直交偏光状態下で100〜500m2 のフィルムを観察して光学異常部を見つけ出してマーキングし、その部分を光学顕微鏡で400倍に拡大して観察し、ピンホール化しているものを選び出してその大きさと存在数を調べ、存在数については1000m2 に換算した。
【0033】
【実施例1】ゲル透過クロマトグラフで測定した数平均分子量に対する重量平均分子量の比が2.9であるポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)を、99.8%濃硫酸に、ポリマー濃度が12%になるように溶解し、5μmカットのステンレス不織布焼結体からなるフィルターで濾過した後、ダイから25000秒-1のせん断速度で吐出して1.9のドラフトがかかるようにエンドレスベルト上にキャストした。濃硫酸には、予め0.04μmのコロイド状シリカ粒子をPPTAに対し0.1重量%となるように超音波撹拌機により分散させておいた。また、ドープをサンプリングして、金属分の定量を実施したところ、鉄が14ppm検出された。
【0034】ベルト上で加熱と同時に吸湿処理して、ドープを液晶相から等方相に相転換した後、0℃の25%硫酸中にて凝固させ、中和、水洗し、長さ方向に1.05倍の延伸を施した後クリップテンターにより1.1倍に横延伸し次に定長状態を保ちつつ150℃で熱風乾燥し、次いで350℃で緊張熱処理した後、110℃で未飽和蒸気による急速加湿により約0.9%の水分率にフィルムを加湿し、最後に210℃にて弛緩熱処理をして、ロール状に捲き上げた。製膜中、装置全体をクリーン度クラス5以下に維持しておいた。幅600mmで得られたロール状の平均厚み4.6μmのPPTAフィルムは、長尺方向、幅方向に物性差は殆ど無く、表1に示す通りだった。
【0035】得られたフィルムを用いて、メタルパウダーを磁性層とする磁気テープを試作した。試作中、ロール状フィルムの解除は非常に円滑で、また磁性層形成用塗工液の裏廻りは全く観察されず、従って塗工機の汚染もなかった。試作したテープをDVC−PRO規格のカートリッジに組込んで磁気特性を測定したところ、市販のDVC−PRO規格テープ対比で出力102%、ミッシングパルスゾーン84%と優れたものであった。また、DVC−PROシステムに組み込んでの走行テストを延べ100時間に亘って行ったが、テープの変形は全くなく、磁気特性の低下も見られなかった。
【0036】
【比較例1】実施例1において、用いた濃硫酸に含有される鉄分を減らしてドープ中の鉄含有率を0.02ppmにした以外は全く変えずに、フィルムをロール状に捲上げた。得られたフィルムの特性を表1に示すが、5μmより大きいピンホールは全く観測されず、本発明の範囲外であった。実施例1と同様にDVC−PRO規格の磁気テープを試作した。試作中、塗工液の裏廻りは全くなかったものの、ロール状フィルムにごく小さな皺が部分的に入っており、ロール状フィルムの解除時にこの皺の部分で引っかかり、張力変動をきたして、円滑にできなかった。
【0037】
【比較例2】実施例1において、製膜装置周囲ののクリーン度クラスを10〜100にした以外は実施例1と同一の条件でロール状フィルムを製造した。得られたフィルムの特性を表1に示すが、50〜200μmの大きさのピンホールが本発明の範囲外であった。実施例1と同様にDVC−PRO規格の磁気テープを試作した。試作中、ロール状フィルムの解除は全く問題なかったが、塗工液の裏廻りが発生し、塗工機のロールが一部汚れた。出来上がった磁気テープをDVC−PRO規格のカートリッジに組み込んで磁気特性を測ろうとしたが、ドロップアウトが多く、断念した。
【0038】
【実施例2】数平均分子量に対する重量平均分子量の比が3.4のポリパラフェニレン−2−クロロテレフタルアミド(PPClTA)をポリマー濃度が13重量%になるように溶解し、5μmカットのステンレス不織布焼結体からなるフィルターで濾過した後、ダイから75000秒-1のせん断速度で吐出して、ドラフト2.5でエンドレスベルト上にキャストした。濃硫酸には、予め0.02μmの酸化チタン微粒子をPPClTAに対し0.2重量%となるように超音波分散機により分散させておいた。また、ドープをサンプリングして、金属分の定量を実施したところ、鉄が18ppm検出された。
【0039】熱処理に関する部分を除き実施例1と同様の操作を加えてフィルムをつくり、ロール状に捲上げた。熱処理は、320℃で緊張熱処理した後、110℃の未飽和蒸気による急速加湿で約0.5%の吸湿率にフィルムを加湿し、最後に220℃で弛緩熱処理した。製膜装置のクリーン度は、クラス5以下とした。縦横の物性のバランスしたフィルムが得られ、それを表1に示した。このフィルムから実施例1と同様にして、DVC−PRO規格を準用した磁気テープを試作した。試作中の塗工液の裏廻りが僅かに発生したが、塗工機の汚染や磁気テープの性能に影響を与えるものではなかった。また、解除不良のトラブルは全くなかった。出来上がったテープについて、フィルム及びテープが規格より薄いにもかかわらず、ドロップアウト数を含め磁気特性に問題がなく、耐久性も実施例1と同じテストでテープの変形や磁気特性の低下が見られず良好であった。
【0040】
【表1】

【0041】
【発明の効果】本発明のフィルムは、独特のピンホールサイズ分布を有しているため、本発明のフィルムをベースフィルムとして磁気テープに加工する時、優れた加工性、取扱性を有する。具体的には、大中のピンホールが少ないために、塗工時の塗工液の裏廻り、及びそれにより惹起される塗工機の汚染や磁気テープの特性の低下という問題がない。また、ごく小さいピンホールを特定範囲の数だけ含有しているので、ロール状に巻き上げられたフィルムの形状が安定していて、加工等のためにロールから解除されるとき、極めて円滑に解除される。更に、加工された磁気テープは優れた電磁変換特性と良好な耐久性とを兼備している。従って、本発明のフィルムは塗布型、蒸着型、スバッタリング型を問わず磁気テープのベースフィルムとして極めて有用である。加えて、昇華型ビデオプリンターのインクリボンのベースフィルム、電気絶縁基板などにも有用である。




 

 


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