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発明の名称 マーキングフィルム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−131506(P2001−131506A)
公開日 平成13年5月15日(2001.5.15)
出願番号 特願平11−315408
出願日 平成11年11月5日(1999.11.5)
代理人
発明者 村山 浩
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 塗膜層、塗料配合プライマー層、非ハロゲン系合成樹脂基材層および粘着剤層がこの順に積層されてなるマーキングフィルムであって、該塗膜層が、塗料樹脂100重量部および顔料5〜200重量部からなり、該塗料配合プライマー層が、塗料樹脂100重量部、顔料5〜200重量部およびプライマー樹脂5〜50重量部からなり、該プライマー樹脂は、プロピレン含量が55〜75モル%でありかつX線回折による結晶化度が2〜20%であるプロピレン−エチレン共重合体に、マレイン酸またはその酸無水物を0.5〜15重量%グラフト共重合してなる極限粘度[η]0.3以上の変性重合体からなることを特徴とするマーキングフィルム。
【請求項2】 上記基材層の合成樹脂が軟質ポリプロピレン系樹脂20〜90重量%とそれ以外のポリオレフィン系樹脂80〜10重量%(合計100重量%)からなり、軟質ポリプロピレン系樹脂は重量平均分子量8万〜50万を有し、かつクロス分別法による10℃以下の溶出量が45〜80重量%、10℃を越え70℃以下での溶出量が5〜35重量%、70℃を越え95℃以下での溶出量が1〜30重量%、95℃を越え125℃以下での溶出量が3〜35重量%であることを特徴とする請求項1記載のマーキングフィルム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、屋外および屋内の広告ステッカー類や表示用ステッカー類などに使用されるマーキングフィルムに関し、さらに詳しくは、経時での塗膜層の密着性に優れ、薄い塗膜であっても外観が良好に確保でき、使用後は簡単な焼却設備で処理可能であるとともに、特定の軟質オレフィン系樹脂を基材に配合する場合には曲面追従性にも優れるマーキングフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】マーキングフィルムは、一般に、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルムを基材層として、目的に応じて基材層に顔料を練り込んで着色したり、あるいは基材層の片側面に印刷、塗装を施して塗膜層を形成し、反対面に用途に応じて適当な感圧および/または感熱接着剤を塗布して粘着剤層を形成し、さらに粘着剤層を保護する目的で剥離紙等の剥離材を貼り合わせて構成されており、使用時には、この剥離材層を剥離して粘着剤層を所定の箇所に貼り付ける。マーキングフィルムは、屋外で使用されることが多く、看板、広告塔、シャッター、ショーウインドウ等に用いられる広告ステッカー類;自動車、二輪車等の車両やモーターボート等の船舶に用いられる装飾用ストライプステッカー類;交通標識、道路標識、案内板等に用いられる表示用ステッカー類等の用途に用いられる。このため、マーキングフィルムは耐候性を有し、且つ三次曲面に貼り付けるための適度な柔軟性を有することが必要である。
【0003】従来のマーキングフィルムはポリ塩化ビニル系樹脂フィルムを基材層としているために、焼却廃棄する際には塩化水素ガスやダイオキシンが発生するので、簡単な焼却設備では処理できず、さらには焼却設備の耐久性を低下させるという問題があった。そのため最近では、簡単な焼却設備で処理できる低環境負荷型のマーキングフィルムへの要望が高まって来ている。例えば特開平8−157780号公報記載のマーキングフィルムはポリオレフィン系樹脂フィルムを基材層としたものであり、焼却廃棄することが可能である。
【0004】しかしながら、上記公開公報には、経時での塗膜層の密着性、薄い膜塗膜での外観については何ら言及がなされておらず、このフィルムは、実際には経時で塗膜層および基材層の表面の劣化により塗膜ハガレが生じ、また実用的な製造コストを考慮した場合の薄い塗膜層では色むらが発生し、実使用には供し得なかった。塗膜層の「色むら」とは目的とする色合いが均一に表現されずむらができることをいう。これを改善するために予め同一色相の塗料を下塗り(薄膜塗料層)として塗布し、その上に目的とする上塗りを塗布することにより色むらを改善する方法があるが、これは経時での塗膜の密着性においては何ら効果がない。密着性を改善するためにプライマーをさらに積層する方法もあるが、製造工程が煩雑になるだけで相応の塗膜密着性改善効果は得られない。
【0005】また、上記公開公報には、基材層のオレフィン樹脂について何ら規定しておらず、市販のポリオレフィン基材を使用して作製したマーキングフィルムでは、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルムを基材層としたマーキングフィルムに較べ、柔軟性、三次曲面への施工性という点で不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記の点に鑑み、この種フィルムに必要とされる経時での塗膜層の密着性に優れ、薄い塗膜であっても外観が良好に確保でき、使用後は簡単な焼却設備で処理可能であるとともに、特定の軟質オレフィン樹脂を基材に配合する場合には曲面追従性にも優れるマーキングフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、塗膜層と基材層の間に特定の塗料配合プライマー層を設けることにより、上記経時での塗膜密着性がさらに向上し、塗膜層での色むらをなくして良好な外観を得ることができることを見出されたものである。
【0008】本発明によるマーキングフィルムは、塗膜層、塗料配合プライマー層、非ハロゲン系合成樹脂基材層および粘着剤層がこの順に積層されてなるマーキングフィルムであって、該塗膜層が、塗料樹脂100重量部および顔料5〜200重量部からなり、該塗料配合プライマー層が、塗料樹脂100重量部、顔料5〜200重量部およびプライマー樹脂5〜50重量部からなり、該プライマー樹脂は、プロピレン含量が55〜75モル%でありかつX線回折による結晶化度が2〜20%であるプロピレン−エチレン共重合体に、マレイン酸またはその酸無水物を0.5〜15重量%グラフト共重合してなる極限粘度[η]0.3以上の変性重合体からなることを特徴とするものである。
【0009】本発明のマーキングフィルムの層構成を図1に示す。
【0010】以下、本発明によるマーキングフィルムの構成層についてそれぞれ詳しく説明をする。
【0011】まず、塗膜層についてであるが、本発明で使用される塗膜層用の樹脂塗料は、特に限定されるものではなく、架橋アクリル系樹脂塗料、架橋ポリエステル系樹脂塗料、架橋フッ素系樹脂塗料等が採用可能である。これらは、耐候性の良好なアクリル系樹脂塗料、ポリエステル系樹脂塗料もしくはフッ素系樹脂塗料を架橋成分としてのイソシアネートやメラミン、シラン等により三次元架橋構造化し、求める機能を付与したものである。また、耐候性や強度等の必要機能に応じて、各種ポリオール類、メラミン、シラノールや水酸基含有化合物、脂環式エポキシ化合物やグリシジルメタクリレートをグラフト化等により塗料樹脂中に導入してもよい。また、樹脂の主鎖自身を要求品質に応じて、酸変性、シリコーン変性またはフッ化変性したり、フッ化ビニリデン樹脂等を配合することにより、塗料に接着性や耐候性機能を持たせることもできる。フッ素系樹脂にはフルオロエチレン系、フッ化ビニリデン系、フルオロエチレンビニルエーテル系のものや、フッ素樹脂をグラフトしたもの、アクリル主鎖へのフッ化アルキルグラフト品などが使用できる。硬化剤の例としてはイソシアネートやメラミン、メチロール類が挙げられるが、光による黄変等の問題により脂肪族系のイソシアネートが好ましい。通常、樹脂溶液に硬化成分、必要に応じて硬化促進触媒を配合し、得られた組成物を、液が硬化しないポットライフ内で使用し、硬化後に架橋塗膜を形成する。
【0012】塗膜樹脂には、その100重量部に対して顔料が5〜200重量部配合される。顔料の割合が5重量部未満であると目標とする色相を得にくく、200重量部を超えると塗料の粘度が高くなりすぎるために塗工性が悪く、外観が荒れてくることがあり、顔料単価が高いことからコスト的に不経済である。配合する顔料としては、汎用されている耐候性の良い有機顔料、無機顔料が好適である。
【0013】塗膜層はグラビアコーター、コンマコーター、リバースコーター、ナイフコーター、スプレーガンコーター、スクリーン印刷等により樹脂塗料組成物を塗工することにより形成される。塗膜層の厚みは、好ましくは5〜40μmである。
【0014】つぎに、塗料配合プライマー層における樹脂塗料は、塗膜層用の塗料として説明したものであってよく、同系統の樹脂塗料が好ましい。
【0015】塗料樹脂100重量部には、顔料が5〜200重量部配合されている。顔料の割合が5重量部未満であると目標とする色相を得にくく、200重量部を超えると塗料の粘度が高くなりすぎるために塗工性が悪く、外観が荒れてくることがあり、顔料単価が高いことからコスト的に不経済である。配合する顔料としては、汎用されている耐候性の良い有機顔料、無機顔料が好適である。
【0016】塗料配合プライマー層は、さらに塗料樹脂100重量部に対し5〜50重量部のプライマー樹脂を含む。該プライマー樹脂は、プロピレン含量が55〜75モル%でありかつX線回折による結晶化度が2〜20%であるプロピレン−エチレン共重合体に、マレイン酸またはその酸無水物を0.5〜15重量%グラフト共重合してなる極限粘度[η]0.3以上の変性重合体からなる。
【0017】該変性重合体の原料となるプロピレン−エチレン共重合体は、好ましくはプロピレンとエチレンのランダム共重合体であり、プロピレン含量は55〜75モル%、好ましくは60〜70モル%であり、その極限粘度[η](135℃デカリン中)は0.3以上、好ましくは0.3〜20、特に約0.3〜10である。このような物性を有するプロピレン−エチレン共重合体の結晶化度は、X線による測定で約2〜20%、好ましくは約5〜18%である。プロピレン含有量が55モル%未満であるとプライマー層の耐溶剤性が劣り、75モル%を超えると、塗工段階での溶剤可溶性が低下し塗布困難を来たすおそれがある。
【0018】グラフト変性重合体中のマレイン酸またはその無水物の割合は0.5〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。この割合が0.5重量%未満であると塗料密着性が不十分であり、15重量%を超えるとグラフト変性重合体の極限粘度[η]が小さくなり、凝集性が低下し、塗膜の耐水性が悪くなる嫌いがある。塗料配合プライマー層はグラビアコーター、コンマコーター、リバースコーター、ナイフコーター、スプレーガンコーター、スクリーン印刷等により塗料配合プライマー組成物を塗工することにより形成される。同層の厚みは、好ましくは1〜5μmである。
【0019】つぎに、基材層はポリオレフィン系樹脂のような非ハロゲン系合成樹脂であれば特に規定はないが、マーキングフィルムに必要とされる三次曲面施工性を発現させるためには、ポリオレフィン系樹脂、中でもエチレンおよび/またはプロピレンを主な構成単位とするオレフィン系重合体、特にポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの混合物が用いられる。基材層に塗膜層を積層する必要上、耐熱性が高いポリオレフィン樹脂が好ましい。特に好ましいものは軟質ポリプロピレン系樹脂(以下、ポリプロピレンを「PP」と略記する)または軟質PP系樹脂とそれ以外のポリオレフィン系樹脂からなるブレンドであり、より好適には、軟質PP系樹脂20〜90重量%とそれ以外のポリオレフィン系樹脂(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、ペンテンなどの重合により得られた樹脂好ましくはホモポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン(以下L−LDPEと略記する))80〜10重量%からなるブレンドである。軟質PP系樹脂が20重量%を下回ると得られたフィルムに適度な柔軟性が得られず、三次曲面施工性が悪化する嫌いがあり、90重量%を超えると逆にフィルムが柔軟すぎるためにフィルム取り扱い性が非常に悪くなることがある。
【0020】好ましい軟質PP系樹脂は重量平均分子量(Mw)8万〜50万を有し、かつクロス分別法による10℃以下の溶出量が45〜80重量%、10℃を越え70℃以下での溶出量が5〜35重量%、70℃を越え95℃以下での溶出量が1〜30重量%、95℃を越え125℃以下での溶出量が3〜35重量%であるものである。
【0021】この軟質PP系樹脂フィルムは、非常に柔軟であり、かつ適度な引き裂き性を有する基材層を形成することができ、マーキングフィルムの三次曲面施工性、引き裂き性が著しく改良されるので特に好ましい。また基材層用フィルムは単層であっても多層であっても構わない。
【0022】上記軟質PP系樹脂の重量平均分子量は好ましくは8万〜50万、より好ましくは20万〜40万である。軟質PP系樹脂の重量平均分子量が8万未満ではフィルム強度が不十分であり、50万を超えると充分な柔軟性が得られないことがある。
【0023】軟質PP系樹脂を特定するための指標として採用されているクロス分別法は、以下に示すとおりである。
【0024】先ず、軟質PP系樹脂を140℃あるいは軟質PP系樹脂が完全に溶解する温度のo−ジクロロベンゼンに溶解し、次いで、この溶液を一定速度で冷却し、予め用意しておいた不活性担体の表面に薄いポリマー層を生成させる。この時、軟質PP系樹脂成分は、結晶性の高い順、および分子量の大きい順にポリマー層として生成する。次に、温度を連続的または段階的に上昇させ、順次溶出した成分の濃度を検出して、成分分布を測定する。同時に、順次溶出した成分の分子量および分子量分布を測定する。この測定には例えばクロス分別クロマトグラフ装置(三菱化学社製CFC−T150A型)が使用される。
【0025】基材層用の軟質PP系樹脂においては、上記クロス分別法による10℃以下の樹脂溶出量は全PP系樹脂量の45〜80重量%である。この溶出量が45重量%未満では得られたフィルムが柔軟性に欠け、80重量%を超えるとフィルムとして充分な強度が得られない。
【0026】10℃を越え70℃以下での樹脂溶出量は全PP系樹脂量の5〜35重量%である。この溶出量が5重量%未満では得られたフィルムが柔軟性に欠け、35重量%を超えるとフィルムが変形回復性に劣る。
【0027】70℃を越え95℃以下での樹脂溶出量は全PP系樹脂の1〜30重量%である。この溶出量が1重量%未満では得られたフィルムが変形回復性に劣り、30重量%を超えるとフィルムとしての強度が得られない。
【0028】最後に上記クロス分別法の95℃を越え125℃以下での樹脂溶出量は全PP系樹脂量の3〜35重量%である。この溶出量が3重量%未満ではフィルムとしての充分な強度が得られず、35重量%を超えるとフィルムが柔軟性に劣る。
【0029】一般的なPP系樹脂単独では応力−歪み曲線をとると、低伸張時の応力の立ち上がりが急であり、20〜30%伸張すると降伏し、その後100%伸張程度までは応力がほとんど増加しない。つまり、応力−歪み曲線において歪みに対する応力がほぼ一定となる。このような樹脂をマーキングフィルムに適用すると、例えば曲面貼りの際にフィルムを強く引張るとフィルムが延びきってしまう恐れがある。また、フィルムの腰が不足する(柔かすぎる)ため、マシンカット時にフィルムを綺麗に切断できず、文字、デザイン等の意匠性が悪くなる上に、施工段階ではフィルムが柔らかいために作業が非常に困難となる。
【0030】これに対し、上記のような軟質PP系樹脂ブレンドは、これをマーキングフィルムに適用することにより、柔軟性に富んだフィルムを与えることができる。
【0031】このような柔軟な軟質PP系樹脂の製造方法としては、例えば特開平4−224809号公報等に記載された方法があり、樹脂の具体例としては、トクヤマ社製の「PER」、およびモンテルJPO社製の「キャタロイ」、三菱化学社製の「ゼラス」、住友化学社製の「エクセレン」などが挙げられ、これらはいずれも本発明に用いられる。また低密度ポリエチレンや中・高密度ポリエチレンやポリプロピレンにエチレン−プロピレンゴムやスチレン系エラストマーを配合したものなども使用できる。
【0032】基材層に隠蔽性を持たせるために、基材層用の樹脂に酸化チタンを配合することが好ましい。隠蔽性をもたせる利点は、マーキングフィルム施工時の下地の色が塗膜色に反映されにくいこと、および塗膜の厚みが薄くても色ムラが目立ちにくいことが挙げられる。酸化チタンにはルチル型とアタナーゼ型があるが、好適にはそれ自身に耐候性があり、樹脂分散性の良い、平均粒径の小さいルチル型酸化チタンが用いられる。酸化チタンは軟質PP系樹脂100重量部に対し好ましくは50〜300重量部添加される。
【0033】また、顔料の樹脂への分散性を高める手法として汎用されているマスターバッチ化などにより、基材層用の樹脂に顔料を混和しておくことが好ましい。
【0034】さらに基材層用の樹脂にカーボンブラック等を配合して基材層を灰色化したり、その他顔料の配合により基材層を着色してもよい。
【0035】フィルムの光劣化を防ぐために、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物を使用してもよい。紫外線吸収剤としては、従来ポリオレフィン系樹脂に配合しているベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤またはサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が、単独もしくは2種以上の組み合わせで使用できる。ヒンダードアミン系化合物としては従来ポリオレフィン系樹脂に配合しているヒンダードアミン化合物を、単独もしくは2種以上の組み合わせで使用できる。
【0036】本発明の基材層用の樹脂には、また、他の汎用添加剤(帯電防止剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、無機フィラー、有機フィラー)を配合することも好ましい。
【0037】基材層用のフィルムは、基材層用の樹脂に上記のような添加物を配合した後、従来より用いられているTダイ法やインフレーション法等により配合物を製膜することにより得ることができる。得られた基材層フィルムは一般に表面張力が小さいため、コロナ処理等の表面改質処理により塗膜層や粘着剤層の密着性を向上させるのが望ましい。
【0038】基材層用のフィルムは、単層のものでもよいし、多層のものでもよい。
【0039】多層フィルムは、中間層とこれを挟む内外層とからなるサンドイッチ構造のものであってもよい。
【0040】基材層の厚みは、単層フィルムでも多層フィルムでも、好ましくは20〜150μm、より好ましくは40〜60μmである。20μm未満ではフィルム自体が柔らかすぎるために施工困難および強度不足を来たすことがあり、150μmを超えると逆にフィルムの腰が勝るようになり、三次曲面等の被着体への追従性に劣る嫌いがある。
【0041】つぎに、粘着剤層についてであるが、同層に使用する粘着剤としてはアクリル樹脂系、ゴム系の粘着剤いずれでもよいが、マーキングフィルムは屋外での使用が前提となっていることから、耐候性の高いアクリル系が良好である。
【0042】アクリル系粘着剤は、溶媒中で重合した溶剤型アクリル粘着剤であっても、水中で重合したエマルジョン系粘着剤であっても、また、モノマー混合物に紫外線照射した塊状重合型粘着剤であってもよい。粘着剤層の厚さは20〜50μmが好ましい。マーキングフィルムは、一般に、粘着剤をリバースコート法等により定量的な塗工法により剥離材に塗布し、加熱乾燥させた後、片側面に塗膜層が形成された基材層の反対面に粘着剤層を積層することにより製造される。
【0043】マーキングフィルムの粘着剤層を保護するための剥離材層は特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン塗布型剥離紙が使用できる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例によって限定されるものではない。
【0045】<実施例1>基材層として、表面張力が40×10-5N/cmになるようにコロナ処理を施した38μmポリエステルフィルム(ユニチカ社製、「S−38MS」)を用いた。
【0046】ポリエステル系塗料(大日本塗料社製「プラニットU#500」)100重量部に硬化剤(日本ポリウレタン社製「コロネート2094」)6.5重量部と、表1記載の変性重合体10重量部と、複合顔料(シアニンブルー、キナクリドンレッド、ポリアゾイエロー、シアニングリーン)10重量部とを添加して、塗料組成物を調製した。この組成物をスプレーガンコーターにて上記基材層に乾燥厚みが2μmになるように塗工し、乾燥し、塗料配合プライマー層を形成した。
【0047】別途、上記ポリエステル系塗料100重量部に上記硬化剤6.5重量部と上記複合顔料20重量部とを添加して、塗料組成物を調製した。これを上記塗料配合プライマー層にスプレーガンコーターにて乾燥厚みが15μmになるように塗工し、乾燥し、塗膜層を形成した。
【0048】2液架橋型アクリル系粘着剤をコンマコーターにて乾燥厚みが40μmになるようにシリコーン塗布剥離紙に塗工し、乾燥し、粘着剤層を形成した。これを上記基材層の塗膜層反対面に積層し、塗膜層、塗料配合プライマー層、基材層、粘着剤層および剥離紙がこの順に積層されてなるマーキングフィルムを得た。
【0049】<実施例2>重量平均分子量20万、クロス分別法による各温度での溶出量が10℃以下で69重量%、10℃を越え70℃以下で11重量%、70℃を越え95℃以下で2重量%、95℃を越え125℃以下で18重量%である軟質PP系樹脂90重量%と、ホモポリプロピレン樹脂(日本ポリオレフィン社製「FA465」、MI=7.0g/10分)10重量%とからなる基材層用樹脂組成物を調製し、これをTダイ法にて厚さが50μmになるよう製膜し、得られたフィルムをインラインにて表面張力が40×10-5N/cmになるようにコロナ処理した。こうして基材層を得た。
【0050】上記基材層を用い、変性重合体を表1記載のものに代え、複合顔料の配合量を表1記載の量に変えた以外、実施例1と同様にして、塗膜層/塗料配合プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0051】<実施例3>重量平均分子量25万、クロス分別法による各温度での溶出量が10℃以下で48重量%、10℃を越え70℃以下で19重量%、70℃を越え95℃以下で5重量%、95℃を越え125℃以下で28重量%である軟質PP系樹脂90重量%と、L−LDPE樹脂(三井化学社製「ウルトゼックス1520」、MI=20.0g/10分)10重量%とからなる基材層用樹脂組成物を調製し、これを用いた以外実施例2と同様にして、基材層を得た。
【0052】上記基材層を用い、変性重合体を表1記載のものに代え、複合顔料の配合量を表1記載の量に変えた以外、実施例1と同様にして、塗膜層/塗料配合プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0053】<実施例4>基材層用樹脂組成物として、実施例3記載の軟質ポリプロピレン樹脂50重量%と、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)(三菱化学社製EVA20E、MI=20.0g/10分)50重量%とからなるものを用いた以外、実施例3と同様にして、基材層を得た。
【0054】上記基材層を用い、ポリエステル系塗料をアクリル系塗料(藤倉化成社製「レザリックTC」)に代え、変性重合体を表1記載のものに代え、複合顔料の配合量を表1記載の量に変えた以外、実施例3と同様にして、塗膜層/塗料配合プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0055】<実施例5>内外層用の樹脂組成物として、実施例3で用いた軟質PP系樹脂50重量%と、ホモポリプロピレン樹脂(日本ポリオレフィン社製「FA465」)50重量%とからなる組成物を用い、中間層用の樹脂組成物として、同軟質PP系樹脂80重量%と、同ホモポリプロピレン樹脂20重量%とからなる組成物を用い、これらをTダイ法にて厚さが50μmになるよう製膜し、得られたフィルムをインラインにて表面張力が40×10-5N/cmになるようにコロナ処理した。こうして内外層と中間層とからなるサンドイッチ状の基材層を得た。層厚比は内層厚:中間層厚:外層厚=1:4:1であった。
【0056】上記基材層を用い、変性重合体を表1記載のものに代え、複合顔料の配合量を表1記載の量に変えた以外、実施例1と同様にして、塗膜層/塗料配合プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0057】<実施例6、7>内外層用の樹脂組成物、中間層用の樹脂組成物および変性重合体を表1記載のものに代え、複合顔料の配合量を表1記載の量に変えた以外、実施例5と同様にして、塗膜層/塗料配合プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0058】<比較例1>塗料配合プライマー層を形成せず、各層を構成する成分の割合を表1に示す値に変えた以外、実施例3と同様にして、塗膜層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0059】<比較例2>実施例1記載のポリエステル系塗料100重量部に硬化剤6.5重量部と複合顔料20重量部とを添加してなる塗料組成物を基材層にスプレーガンコーターにて乾燥厚みが2μmになるように塗工し、薄膜塗膜層を形成した。実施例1記載のポリエステル系塗料100重量部に硬化剤6.5重量部と複合顔料50重量部とを添加してなる塗料組成物を薄膜塗膜層にスプレーガンコーターにて乾燥厚みが15μmになるように塗工し、厚膜塗膜層を形成した。
【0060】塗膜層を上記薄膜塗膜層と厚膜塗膜層の2層からなるものに代え、塗料配合プライマー層を形成せず、各層を構成する成分の割合を表1に示す値に変えた以外、実施例2と同様にして、厚膜塗膜層/薄膜塗膜層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0061】<比較例3>基材片面に表1記載の変性重合体からなるプライマー樹脂をスプレーガンコーターにて乾燥厚みが1μmになるように塗工し、顔料を含まないプライマー層を形成した。同層の上に比較例2記載の厚膜塗膜層を形成した。
【0062】上記以外は比較例2と同様にして、厚膜塗膜層/顔料不含プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0063】<比較例4>比較例3と同様にして、顔料を含まないプライマー層を形成した。同層の上に比較例2と同様にして、薄膜塗膜層と厚膜塗膜層の2層からなる塗膜層を形成した。
【0064】上記以外は比較例2と同様にして、塗膜層/顔料不含プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0065】<比較例5〜6>各層を構成する成分の割合を表1に示す値に代えた以外、実施例2と同様にして、塗膜層を形成し、塗膜層/塗料配合プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。
【0066】<比較例7〜12>各層を構成する成分の割合を表1に示す値に代えた以外、実施例5と同様にして、塗膜層を形成し、塗膜層/塗料配合プライマー層/基材層/粘着剤層/剥離紙のマーキングフィルムを得た。ただし、比較例8、11および12では塗料配合プライマー組成物が溶剤に一部溶解せずスプレーガンコーターの目詰まりを起こし塗料配合プライマー層は形成されなかった。したがって、後述の性能評価試験において一部項目については評価不能であった。
【0067】性能評価試験実施例1〜7および比較例1〜12で得られたマーキングフィルムおよび使用した塗料配合組成物に対し、下記項目について評価試験を行った。この結果を表2に示す。
【0068】<塗膜密着性>離型紙を剥したマーキングフィルムをアルミニウム板に貼着し、キセノンウエザオメーター(ブラックパネル温度63℃、降雨12分/60分)に2000時間暴露し、その後、JIS K−5400のクロスカット評価法にて塗膜のハガレ性を下記の基準で評価した。
【0069】
○・・・ハガレ枚数:10以下△・・・ハガレ枚数:11〜30以下×・・・ハガレ枚数:31以上【0070】<塗膜外観>塗膜層の表面色外観の均一性を下記の基準で目視評価した。
【0071】
○・・・色が均一に表色されており、外観上何ら問題なし×・・・色が所々でむらになっており外観として問題がある【0072】<耐水性>マーキングフィルムをアルミニウム板に貼着し40℃の湯水中に240時間浸漬した後、JIS K−5400のクロスカット評価法にて塗膜のハガレ性を下記の基準で評価した。
【0073】
○・・・ハガレ枚数:10以下△・・・ハガレ枚数:11〜30以下×・・・ハガレ枚数:31以上【0074】<耐溶剤性>マーキングフィルムをアルミニウム板に貼着し酢酸エチル中に240時間浸漬した後、JIS K−5400のクロスカット評価法にて塗膜のハガレ性を下記の基準で評価した。
【0075】
○・・・ハガレ枚数:10以下△・・・ハガレ枚数:11〜30以下×・・・ハガレ枚数:31以上【0076】<溶剤可溶性>トルエン中に塗料配合プライマー組成物を加え、その溶解度合いを下記の基準で目視評価した。
【0077】
○・・・組成物は完全に溶解しており、プライマー塗布に何ら問題なし×・・・組成物は一部溶解しないで残存し、スプレーガンコーターが目詰まりを起こす【0078】<三次曲面施工性>マーキングフィルムを図2に示す二次曲面を有するコルゲート板(1) の山部(1a)に接着させ、次に谷部(1b)へ専用の施工工具にて押し込んだ。これを23℃で3日間放置した後、フィルム浮き状態を下記基準で評価し、三次曲面施工性の代用評価とした。
【0079】
○:谷部での浮きがない△:谷部で若干浮きがある×:谷部が著しく浮く【0080】<フィルム取扱い性>マーキングフィルムの取扱い性を下記の基準で評価した。
【0081】
○:フィルムは適度な柔軟性を持ち、一般的なフィルム取扱いにおいて何ら問題がない×:フィルムが柔軟すぎるために腰折れが発生し、取扱いが非常に難しい【0082】<塗膜成形性>工程紙または基材層に塗膜層をスプレーガンコーターにてコーティングする際のコーティング性および外観を下記の基準で評価した。
【0083】
○:コーティング性は問題なく、出来上がり外観も良好である△:コーティングむらが若干発生し、外観も荒れている×:コーティング時にスプレーガンコーターが目詰まりを起こし、製品となり得るような塗膜が成形できない【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
【発明の効果】請求項1記載のマーキングフィルムは、この種フィルムに必要とされる経時での塗膜層の密着性に優れ、薄い膜塗膜での外観を良好に確保でき、曲面追従性に優れており、従来型の塩化ビニル系樹脂マーキングフィルムと遜色がない。
【0087】請求項2記載のマーキングフィルムは、この種フィルムに必要とされるフィルム腰がありながら三次曲面への貼付の際に浮きが発生しない三次曲面施工性能を満たすものである。
【0088】しかも、本発明によるマーキングフィルムは、使用後は簡単な焼却設備において焼却廃棄でき、環境低負荷型の製品としてこの分野においては極めて有用である。




 

 


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