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発明の名称 エステル系エラストマー
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−122939(P2001−122939A)
公開日 平成13年5月8日(2001.5.8)
出願番号 特願平11−304169
出願日 平成11年10月26日(1999.10.26)
代理人
発明者 松本 弘丈 / 仁木 章博 / 中谷 康弘 / 藤原 昭彦
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ポリエステル系共重合体(A)とポリエーテル(B)とがイソシアネート成分(C)によって結合されてなるブロック共重合体であって、前記ポリエステル系共重合体(A)は、一般式(1);
−CO−RX −CO−O−R1 −O− (1)
(式中、RX は、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R1 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される短鎖ポリエステル成分、及び、一般式(2);
−CO−RY −CO−O−R2 − (2)
(式中、RY は、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R2 は、−R3 −O−で表される繰り返し単位から構成され、数平均分子量が500〜5000である基を表す。R3 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される長鎖ポリエステル成分の繰り返しから構成され、前記短鎖ポリエステル成分が50〜95重量%、前記長鎖ポリエステル成分が50〜5重量%からなるものであって、前記ポリエステル系共重合体(A)の数平均分子量は500〜10000であり、前記ポリエーテル(B)は、一般式(3);
−R4 −O− (3)
(式中、R4 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される成分の繰り返しから構成されてなるものであり、前記イソシアネート成分(C)は、一般式(4);
−O−CO−NH−R5 −NH−CO−O− (4)
(式中、R5 は、炭素数2〜15のアルキレン基、−C64 −、−C64 −CH2 −、又は、−C64 −CH2 −C64 −(但し、−C64 −は、フェニレン基を表す。)を表す。)で表される成分からなるものであり、前記ブロック共重合体は、ポリエステル系共重合体(A)からなる成分が100重量部に対して、ポリエーテル(B)からなる成分が50〜1000重量部、イソシアネート成分(C)が10〜200重量部から構成されてなることを特徴とするエステル系エラストマー。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟性と高温での機械的特性、特に高温における耐へたり性に優れたエステル系エラストマーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題への意識の高まりから、様々な産業分野においてリサイクル可能な素材への代替の動きが加速されている。ゴム素材としては熱可塑性エラストマー(TPE)が古くから注目されており、自動車、各種工業等の分野において、様々な用途で用いられるようになった。
【0003】熱可塑性エラストマーの中で、ポリエステル系エラストマー(以下、TPEEという)は、機械的強度、耐熱性、耐磨耗性、耐屈曲疲労性に優れており、自動車分野を中心に幅広い産業分野で用いられている。ところが、TPEEには、1)硬度が通常のゴム領域よりも高く柔軟性に欠ける、2)大変形時・高温時の圧縮永久ひずみが大きく耐へたり性に欠けるといった欠点もあり、その改良が望まれている。
【0004】TPEEに柔軟性を付与する場合、物理的架橋を担うハードセグメント成分の割合を減らすことが必要であり、このようなハードセグメント成分の割合を減らす方法が、例えば、特開平2−88632号公報で提案されている。しかしながら、このような方法を用いると、ハードセグメント成分のブロック性が低下し、その結果、融点が低下し、高温での機械的特性が低下するといった問題点があった。耐へたり性についても、その重合度を上げることによって改良するといった技術が、例えば、特開昭52−121699号公報に開示されているが、機械的特性の改善にも限界があり、また、柔軟性との両立も不可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分のブロック性が高く、柔軟性と高温での機械的特性、とりわけ高温での耐へたり性に優れたエステル系エラストマーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル系共重合体(A)とポリエーテル(B)とがイソシアネート成分(C)によって結合されてなるブロック共重合体であって、上記ポリエステル系共重合体(A)は、一般式(1);
−CO−RX −CO−O−R1 −O− (1)
(式中、RX は、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R1 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される短鎖ポリエステル成分、及び、一般式(2);
−CO−RY −CO−O−R2 − (2)
(式中、RY は、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R2 は、−R3 −O−で表される繰り返し単位から構成され、数平均分子量が500〜5000である基を表す。R3 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される長鎖ポリエステル成分の繰り返しから構成され、上記短鎖ポリエステル成分が50〜95重量%、上記長鎖ポリエステル成分が50〜5重量%からなるものであって、上記ポリエステル系共重合体(A)の数平均分子量は500〜10000であり、上記ポリエーテル(B)は、一般式(3);
−R4 −O− (3)
(式中、R4 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される成分の繰り返しから構成されてなるものであり、上記イソシアネート成分(C)は、一般式(4);
−O−CO−NH−R5 −NH−CO−O− (4)
(式中、R5 は、炭素数2〜15のアルキレン基、−C64 −、−C64 −CH2 −、又は、−C64 −CH2 −C64 −(但し、−C64 −は、フェニレン基を表す。)を表す。)で表される成分からなるものであり、上記ブロック共重合体は、ポリエステル系共重合体(A)からなる成分が100重量部に対して、ポリエーテル(B)からなる成分が50〜1000重量部、イソシアネート成分(C)が10〜200重量部から構成されてなることを特徴とするエステル系エラストマーである。以下に本発明を詳述する。
【0007】本発明において、ポリエステル系共重合体(A)は、一般式(1);
−CO−RX −CO−O−R1 −O− (1)
(式中、RX は、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R1 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される短鎖ポリエステル成分、及び、一般式(2);
−CO−RY −CO−O−R2 − (2)
(式中、RY は、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表す。R2 は、−R3 −O−で表される繰り返し単位から構成され、数平均分子量が500〜5000である基を表す。R3 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される長鎖ポリエステル成分の繰り返しから構成される。
【0008】上記ポリエステル系共重合体(A)は、芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成誘導体と、低分子量ジオールと、ポリエーテルとを反応させることによって得ることができる。上記芳香族ジカルボン酸及びそれらのエステル形成誘導体としては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルトフタル酸ジメチル、ナフタレンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0009】上記低分子量ジオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0010】上記ポリエーテルとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ1,3−プロピレングリコール、ポリ1,2−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、機械的特性、耐候性に優れることから、ポリテトラメチレングリコールが好ましく、市販品としては、例えば、BASF社製「PTHF」(商品名)、三菱化成社製「PTMG」(商品名)等が挙げられる。
【0011】上記ポリエーテルの数平均分子量は、500〜5000であることが好ましい。500未満であると、得られるポリエステル系共重合体(A)のブロック性が低下して融点が低くなり、エステル系エラストマーの高温での機械強度が低くなる。5000を超えると、ポリエーテル(B)との相溶性が低いため、得られるエステル系エラストマーの重合度が上がらず、充分な強度のエステル系エラストマーが得られない。より好ましくは、500〜2000である。
【0012】上記ポリエステル系共重合体(A)は、公知の方法によって重合することが可能である。例えば、芳香族ジカルボン酸及びそれらのエステル形成誘導体をポリエーテル及び過剰の低分子量ジオールとともに触媒の存在下において200℃に加熱しエステル交換反応を行い、これに引き続いて、減圧下240℃において重縮合反応を行うことにより、ポリエステル系共重合体(A)を得ることができる。
【0013】上記ポリエステル系共重合体(A)の構成成分中、短鎖ポリエステル成分の占める割合は、50〜95重量%であり、長鎖ポリエステル成分の占める割合は、50〜5重量%である。短鎖ポリエステル成分が50重量%未満であると、ポリエステル系共重合体(A)の融点が低く、エステル系エラストマーの高温での機械強度に悪影響を与える。短鎖ポリエステル成分が95重量%を超えると、後述のポリエーテル(B)との相溶性が低いため、得られるエステル系エラストマーの重合度が上がらず、充分な強度のエステル系エラストマーが得られない。好ましくは、短鎖ポリエステル成分の占める割合は、70〜90重量%であり、長鎖ポリエステル成分の占める割合は、30〜10重量%である。
【0014】上記ポリエステル系共重合体(A)において、その数平均分子量は500〜10000である。数平均分子量が500よりも小さい場合、エステル系エラストマーのブロック性が低くなり高温での機械強度に悪影響を与える。数平均分子量が10000よりも大きい場合、後述のポリエーテル(B)との相溶性が低いため、得られるエステル系エラストマーの重合度が上がらず、充分な強度のエラストマーが得られない。好ましくは、数平均分子量は1000〜8000である。
【0015】本発明において、ポリエーテル(B)は、一般式(3);
−R4 −O− (3)
(式中、R4 は、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。)で表される成分の繰り返しから構成されてなるものである。このようなポリエーテル(B)としては、例えば、上記ポリエステル系共重合体(A)を構成するものと同様のポリエーテルが好適に用いられる。
【0016】本発明のエステル系エラストマーにおけるブロック共重合体は、上記ポリエステル系共重合体(A)と上記ポリエーテル(B)とがイソシアネート成分(C)によって結合されてなるものである。上記ポリエステル系共重合体(A)と上記ポリエーテル(B)とがイソシアネート成分(C)によって結合されてなるブロック共重合体を得るためには、ポリエステル系共重合体(A)及びポリエーテル(B)と、イソシアネート化合物(C′)とを反応させればよい。
【0017】上記ポリエステル系共重合体(A)及び上記ポリエーテル(B)は、通常、両末端に水酸基を有するが、一部カルボキシル基を有してもよい。このとき、イソシアネート化合物(C′)と反応する末端官能基が両方とも水酸基の場合は、下記一般式(4)で表される成分からなるイソシアネート成分(C)によって結合され、また、一方の末端官能基が水酸基でもう一方の末端官能基がカルボキシル基の場合は、下記一般式(5)で表される成分からなるイソシアネート成分(C)によって結合される。
【0018】なお、ポリエステル系共重合体(A)及びポリエーテル(B)における末端官能基において、カルボキシル基とカルボキシル基とである場合は、下記一般式(6)で表される基からなるイソシアネート成分によって結合される部分も少量含まれると考えられる。
【0019】
−O−CO−NH−R5 −NH−CO−O− (4)
−CO−NH−R6 −NH−CO−O− (5)
−CO−NH−R7 −NH−CO− (6)
【0020】上記一般式(4)、(5)及び(6)において、R5 、R6 及びR7 は、炭素数2〜15のアルキレン基、−C64 −、−C64 −CH2 −、又は、−C64 −CH2 −C64 −(但し、−C64 −は、フェニレン基を表す。)を表す。また、R5 、R6 及びR7 は、アルキル置換フェニレン基、アルキレン基とフェニレン基とを組み合わせたもの等であってもよい。
【0021】上記イソシアネート化合物(C′)としては、その構造は特に限定されず、例えば、イソシアネート化合物1分子当たりの平均イソシアネート基数が2.0〜2.2であるものが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】上記1分子当たりの平均イソシアネート基数が2.0であるイソシアネート化合物(C′)としては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;1,2−エチレンジイソシアネート、1,3−プロピレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加した4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0023】1分子当たりの平均イソシアネート基数が2.2を超えるイソシアネート化合物(C′)を使用する場合は、例えば、1分子当たりの平均イソシアネート基数が2.0である上記イソシアネート化合物(C′)と混合することにより、1分子当たりの平均イソシアネート基数が2.0〜2.2となるようにすることが好ましい。
【0024】1分子当たりの平均イソシアネート基数が2.0を超えるイソシアネート化合物(C′)としては、ポリメリックMDIが代表的であり、市販品としては、例えば、日本ポリウレタン社製「ミリオネートMR200」(商品名、平均イソシアネート基数2.8)等が挙げられる。その他の1分子当たりの平均イソシアネート基数が2.0を超えるイソシアネート化合物(C′)としては、トリフェニルメタントリイソシアネート(平均イソシアネート基数3.0)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート(平均イソシアネート基数3.0)、ヘキサメチレントリイソシアネート(平均イソシアネート基数3.0)等が挙げられる。
【0025】上記ブロック共重合体は、ポリエステル系共重合体(A)からなる成分100重量部に対して、ポリエーテル(B)からなる成分50〜1000重量部とイソシアネート成分(C)10〜200重量部とを溶融混合することにより得られる。ポリエーテル(B)からなる成分の量が50重量部未満であると、エステル系エラストマーは充分な柔軟性が得られず、1000重量部を超えると、充分な機械強度が得られない。好ましくは100〜700重量部である。イソシアネート成分(C)の量が10重量部未満であると、エステル系エラストマーは高分子量体にはならず機械強度が低いものとなってしまう。200重量部を超えると、エステル系エラストマーの柔軟性は劣ったものとなる。好ましくは50〜180重量部である。
【0026】上記溶融混合の方法は特に限定されるものではないが、例えば、一軸或いは二軸押出機が用いられる。好ましくは、撹拌、混合の効率の良さから、同方向回転型二軸押出機、又は、異方向回転型二軸押出機が用いられ、より好ましくは、同方向回転かみ合い型二軸押出機が用いられる。
【0027】上記押出機を用いる場合の押出温度としては特に限定されないが、例えば、180〜260℃が好ましい。180℃未満であると、ポリエステル系共重合体(A)が溶融しないため反応が困難であり、高分子量のエステル系エラストマーを得ることができず、260℃を超えると、ポリエーテル(B)及びイソシアネート化合物(C′)が分解し、強度が充分なエステル系エラストマーを得ることができない。より好ましくは、200〜240℃である。
【0028】上記溶融混合においては、混合時に触媒を用いることができる。上記触媒としては、例えば、ジアシル第一錫、テトラアシル第二錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫マレート、錫ジオクタノエート、錫テトラアセテート、トリエチレンアミン、ジエチレンアミン、トリエチルアミン、ナフテン酸金属塩、オクチル酸金属塩、トリイソブチルアルミニウム、テトラブチルチタネート、酢酸カルシウム、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】安定剤は、ポリエステル共重合体(A)の製造時に添加してもよく、エラストマーの製造時又は製造後に添加してもよい。上記安定剤としては特に限定されず、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3′−チオジプロピオネート等の熱安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】本発明のエステル系エラストマーは、製造時又は製造後に実用性を損なわない範囲で、繊維、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機物、高級脂肪酸塩等の添加剤を添加してもよい。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記繊維としては特に限定されず、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化けい素繊維、アルミナ繊維、アモルファス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維等の無機繊維;アラミド繊維等の有機繊維等が挙げられる。
【0031】上記無機充填剤としては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等が挙げられる。上記難燃剤としては特に限定されず、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等が挙げられる。
【0032】上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等が挙げられる。
【0033】上記帯電防止剤としては特に限定されず、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられる。上記無機物としては特に限定されず、例えば、硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素等が挙げられる。
【0034】上記高級脂肪酸塩としては特に限定されず、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。本発明のエステル系エラストマーは、その他の熱可塑性樹脂、ゴム成分等と混合してその性質を改質して使用してもよい。
【0035】上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等が挙げられる。上記ゴム成分としては特に限定されず、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ポリクロロプレン、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0036】本発明のエステル系エラストマーは、一般に用いられるプレス成形、押出成形、射出成形、ブロー成形等の成形法により成形体とすることができる。成形温度はエステル系エラストマーの融点、成形方法によって異なるが、160〜280℃が適している。160℃未満であると、エステル系エラストマーの流動性が低くなるため、均一な成形品が得られず、280℃を超えると、エステル系エラストマーが分解し、強度が充分なエステル系エラストマーを得ることができない。
【0037】本発明のエステル系エラストマーを用いて得られた成形品は、例えば、自動車部品、電気及び電子部品、工業部品、スポーツ用品、メディカル用品等に好適に用いられる。上記自動車部品としては特に限定されず、例えば、等速ジョイントブーツ、ラックアンドオピニオヨンブーツ等のブーツ類;ボールジョイントシール;安全ベルト部品;バンパーフェイシア;エンブレム;モール等が挙げられる。
【0038】上記電気及び電子部品としては特に限定されず、例えば、電線被覆材、ギア類、ラバースイッチ、メンブレンスイッチ、タクトスイッチ、O−リング等が挙げられる。上記工業部品としては特に限定されず、例えば、油圧ホース、コイルチューブ、シール材、パッキン、Vベルト、ロール、防振制振材料、ショックアブソーバー、カップリング、ダイヤフラム等が挙げられる。
【0039】上記スポーツ用品としては特に限定されず、例えば、靴底、球技用ボール等が挙げられる。上記メディカル用品としては特に限定されず、例えば、メディカルチューブ、輸血パック、カテーテル等が挙げられる。上記用途の他、弾性繊維、弾性シート、複合シート、ホットメルト接着剤、他の樹脂とのアロイ用素材等としても好適に用いることができる。
【0040】本発明のエステル系エラストマーは、短鎖ポリエステル成分によって形成される結晶が架橋点を構成することにより、エラストマーとしての特性を示す。特に、本発明のエステル系エラストマーは、分子中に短鎖ポリエステル成分リッチな部分とポリエーテル成分リッチな部分とから構成されており、従来の同程度の柔軟性を示すエステル系エラストマーよりも短鎖ポリエステル成分が結晶し易く、その結果、強固な架橋点が形成され、高温での機械的特性に優れたエラストマーとなる。
【0041】
【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0042】実施例において各種物性は以下の方法を用い測定した。
(1)ガラス転移温度(Tg)、融点示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分で測定を行った。
(2)表面硬度JIS K 7215に準拠し、23℃で表面硬度(HDD)を測定した。
(3)引張特性JIS K 6301に準拠し、室温における引張強さを評価した。
(4)圧縮永久ひずみJIS K 6301に準拠し、100℃において圧縮ひずみ量25%で測定した。
【0043】合成例1 ポリエステル系重合体(A1 )の合成テレフタル酸ジメチル100重量部、1,4−ブタンジオール102重量部、数平均分子量が約650のポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PTHF650)28重量部、触媒としてテトラブチルチタネート0.3重量部、安定剤として1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.3重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.3重量部を加え、反応系を窒素下、200℃で3時間保ち、エステル交換反応を行った。エステル交換反応の進行は、留出するメタノール分量を計量することにより確認した。エステル交換反応進行後、20分間で240℃まで昇温し、減圧操作を行った。重合系は、20分で2mmHg以下の減圧度に達した。この状態で20分重縮合反応を行った結果、白色のポリエステル系共重合体(A1 )140重量部が得られた。この共重合体の数平均分子量は3000だった。
【0044】合成例2 ポリエステル系共重合体(A2 )の合成35分間重縮合を行ったこと以外はポリエステル系重合体(A1 )の合成と同様の方法により、ポリエステル系共重合体(A2 )を得た。この共重合体の数平均分子量は5000であった。
【0045】合成例3 ポリエステル系共重合体(A3 )の合成60分間重縮合を行ったこと以外はポリエステル系重合体(A1 )の合成と同様の方法により、ポリエステル系共重合体(A3 )を得た。この共重合体の数平均分子量は8000であった。
【0046】合成例4 ポリエステル系共重合体(A4 )の合成10分間重縮合を行ったこと以外はポリエステル系重合体(A1 )の合成と同様の方法により、ポリエステル系共重合体(A4 )を得た。この共重合体の数平均分子量は1000であった。
【0047】合成例5 ポリエステル系共重合体(A5 )の合成80分間重縮合を行ったこと以外はポリエステル系重合体(A1 )の合成と同様の方法により、ポリエステル系共重合体(A5 )を得た。この共重合体の数平均分子量は15000であった。
【0048】合成例6 ポリエステル系共重合体(A6 )の合成5分間重縮合を行ったこと以外はポリエステル系重合体(A1 )の合成と同様の方法により、ポリエステル系共重合体(A6 )を得た。この共重合体の数平均分子量は300であった。
【0049】実施例1ポリエステル系重合体(A1 )100重量部、数平均分子量が約1000のポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PTHF1000)110重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート36重量部を二軸押出機(ベルストルフ社製 L/D=40)を用いて溶融混練し、エステル系エラストマーのペレットを得た。原料の供給はポリエステル系共重合体(A1 )とポリテトラメチレングリコールを押出機原料供給口から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを第4シリンダーに設けた注入口から行った。押出温度は220℃であった。得られたペレットを用いてプレス成形(プレス温度230℃)により2mm厚シートを作製し、種々の物性を測定した。その結果を表1に示した。
【0050】実施例2ポリエステル系重合体(A2 )を用いたこと以外、実施例1と同様の方法によってエステル系エラストマーのペレットを得た。得られたペレットを用いてプレス成形(プレス温度230℃)により2mm厚シートを作製し、種々の物性を測定した。その結果を表1に示した。
【0051】実施例3ポリエステル系重合体(A3 )を用いたこと以外、実施例1と同様の方法によってエステル系エラストマーのペレットを得た。得られたペレットを用いてプレス成形(プレス温度230℃)により2mm厚シートを作製し、種々の物性を測定した。その結果を表1に示した。
【0052】実施例4ポリエステル系重合体(A4 )を用いたこと以外、実施例1と同様の方法によってエステル系エラストマーのペレットを得た。得られたペレットを用いてプレス成形(プレス温度230℃)により2mm厚シートを作製し、種々の物性を測定した。その結果を表1に示した。
【0053】比較例1ポリエステル系重合体(A5 )を用いたこと以外、実施例1と同様の方法によってエステル系エラストマーのペレットを得た。得られたペレットを用いてプレス成形(プレス温度230℃)により2mm厚シートを作製し、種々の物性を測定した。その結果を表1に示した。
【0054】比較例2ポリエステル系重合体(A6 )を用いたこと以外、実施例1と同様の方法によってエステル系エラストマーのペレットを得た。得られたペレットを用いてプレス成形(プレス温度230℃)により2mm厚シートを作製し、種々の物性を測定した。その結果を表1に示した。
【0055】
【表1】

【0056】
【発明の効果】本発明のエステル系エラストマーは、上述のように構成されているので、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分のブロック性が高く、柔軟性と高温での機械的特性、とりわけ高温での耐へたり性に優れている。




 

 


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