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発明の名称 着色樹脂エマルジョン、着色微粒子、透明着色膜、透明着色硬化膜、カラーフィルタ及びインクジェット記録用インク
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−106927(P2001−106927A)
公開日 平成13年4月17日(2001.4.17)
出願番号 特願平11−290185
出願日 平成11年10月12日(1999.10.12)
代理人
発明者 七里 徳重
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 2種類以上の樹脂微粒子が分散した着色樹脂エマルジョンであって、前記2種類以上の樹脂微粒子は、それぞれ異なる油溶性染料を内包することを特徴とする着色樹脂エマルジョン。
【請求項2】 2種類以上の樹脂微粒子は、油溶性染料及びビニル系単量体を含有する組成物を乳化重合することにより得られたものであることを特徴とする請求項1記載の着色樹脂エマルジョン。
【請求項3】 2種類以上の樹脂微粒子の少なくとも1種は、下記一般式(I);
【化1】

(式中、R1 は、水素原子又はメチル基を表し、R2 は、炭素数3〜6のアルキル基を表す。)で表されるビニル系単量体を、全ビニル系単量体の70重量%以上含有する組成物の重合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の着色樹脂エマルジョン。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色樹脂エマルジョンを用いてなることを特徴とする着色微粒子。
【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色樹脂エマルジョン、前記着色樹脂エマルジョンと染料を含まない樹脂エマルジョンとの混合液、又は、前記着色樹脂エマルジョンと樹脂水溶液との混合液を基板上に流延することにより形成されることを特徴とする透明着色膜。
【請求項6】 請求項5記載の透明着色膜に熱処理を施すことにより得られることを特徴とする透明着色硬化膜。
【請求項7】 請求項1、2又は3記載の着色樹脂エマルジョンを透明基板上に塗布して形成することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項8】 請求項1、2又は3記載の着色樹脂エマルジョンからなることを特徴とするインクジェット記録用インク。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂微粒子中に高濃度の染料を含み、かつ、耐久性に優れた着色樹脂エマルジョン、並びに、上記着色樹脂エマルジョンより得られる着色微粒子、透明着色膜、透明着色硬化膜、カラーフィルタ及びインクジェット記録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】着色微粒子や着色微粒子が分散したエマルジョンは、種々の筆記具用インク、印刷用インク、インクジェット記録用インク、塗料、カラーフィルタ等の用途に用いられており、得られる印刷物等は、長期間に渡って鮮明な色彩を維持する堅牢性が必要である。このため、着色微粒子は、高濃度に染料等の着色剤を含有する光学特性及び耐久性(耐熱性、耐光性、耐溶剤性、耐水性、耐剥離性等)に優れたものが必要とされている。
【0003】従来から知られている着色微粒子等の製造方法の一種として、例えば、塩化ビニルを単独で乳化重合若しくは懸濁重合することにより、又は、塩化ビニルと共重合可能な単量体と塩化ビニルとを乳化重合若しくは懸濁重合することによって重合体微粒子を製造し、この重合体微粒子に染料及び染色助剤を用いて染色を行うことにより着色微粒子を製造する方法が知られている。しかしながら、このような方法では、高濃度に染料を含有する光学特性及び耐久性に優れた着色微粒子を製造することは難しかった。
【0004】特公昭52−29336号公報には、ブトキシメチルアクリルアミド等を含む不飽和単量体の1種又は2種以上と、塩化ビニル、スチレン等を含む不飽和単量体の1種又は2種以上との共重合を行う際、上記不飽和単量体に染料を溶解又は分散させた後、上記不飽和単量体の共重合を行い、その内部が染料で着色された着色微粒子を製造する方法が開示されている。
【0005】しかし、この方法で得られた着色微粒子は、染料を充分高濃度かつ均一に含むものではなく、また、充分な光学特性及び耐久性を有するものではなかった。
【0006】また、インクや着色エマルジョンにおいては、一種類の染料で、1原色の分光スペクトルを実現することは難しく、通常、数種類の染料を混合することにより調色している。この場合、染料の種類としては、例えば、フタロシアニン系のシアン色染料とアントラキノン系のコバルト色染料とを混合した青色組成物、アゾ金属錯体系の黄色染料とフタロシアニン系のシアン色染料とを混合した緑色組成物等があるが、これらの例からわかるように、これらの材料は、化学構造が全く異なる染料の混合物である。従って、これらの染料混合物を含むエマルジョンを調製しようとすると、そこで用いる単量体組成物は、全ての構成染料を均一に溶解する良溶媒でなければならない。また、染料によって溶解性にかなりの差があると、その混合物から形成した塗膜は、濁りのために光透過率が低下したり、分光スペクトルがずれたりすることがあるので、単量体の選定は容易ではなかった。
【0007】更に、単に染料に対する溶解性が同程度というだけでなく、溶解度が高いことが求められる。即ち、化学構造が全く異なる染料の混合物でも、均一に、かつ、高濃度に溶解しうる単量体組成物を選定することが、第一条件となるが、特公昭52−29336号公報ではそれらの配慮はなされていない。
【0008】また、着色料には耐熱性、耐光性等の耐久性が要求される。一般に、染料は、顔料に比べて耐久性に劣るが、被覆する樹脂材料によっては、かなり耐久性が向上するとされている。耐久性の向上には単量体構造の影響が最も大きく、染料に適した樹脂を選択することにより、耐久性が飛躍的に向上する。しかしながら、化学構造が全く異なる染料を複数種含む着色樹脂エマルジョンを調製する際に、すべての染料に適した樹脂を選択することは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み、化学構造が全く異なる染料を配合する場合でも、すべての染料が高濃度に配合され、かつ、耐久性、特に耐熱性に優れた樹脂微粒子が分散した着色樹脂エマルジョン、並びに、上記着色樹脂エマルジョンを用いて得られる着色微粒子、透明着色膜、透明着色硬化膜、カラーフィルタ及びインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、2種類以上の樹脂微粒子が分散した着色樹脂エマルジョンであって、上記2種類以上の樹脂微粒子は、それぞれ異なる油溶性染料を内包することを特徴とする着色樹脂エマルジョンである。以下に、本発明を詳述する。
【0011】本発明の着色樹脂エマルジョンでは、2種類以上の樹脂微粒子が分散している。上記樹脂微粒子としては、例えば、付加重合により得られるビニル系樹脂、重付加反応により得られるウレタン樹脂、重縮合反応により得られるポリエステル樹脂等からなる微粒子に油溶性染料を内包させたもの等が挙げられる。これらのなかでは、ビニル系樹脂からなる微粒子が好ましい。
【0012】上記樹脂からなる上記樹脂微粒子は、それぞれ種類の異なる単量体組成物を重合させることにより得られる重合体である。このようにそれぞれ種類の異なる単量体組成物を用いるのは、上記樹脂微粒子を製造するために用いる単量体組成物が、極性等に関して同じような特性を有する単量体の組成物である場合には、化学構造の異なる染料を、それぞれの単量体組成物中に高濃度に溶解させることができないからである。また、単量体と油溶性染料の組み合わせが不適当な場合には、得られる油溶性染料を内包する樹脂微粒子は、耐熱性等の耐久性に劣るため好ましくないからである。
【0013】上記樹脂微粒子を製造するための単量体組成物としては、ビニル系単量体を含む組成物が好ましい。上記ビニル系単量体としては特に限定されず、例えば、下記一般式(I);
【0014】
【化2】

【0015】で表されるビニル系単量体(以下、ビニル系単量体(I)ともいう)が挙げられる。
【0016】上記ビニル系単量体(I)において、R1 は、水素原子又はメチル基を表す。従って、上記ビニル系単量体(I)は、アクリル酸アミド誘導体又はメタクリル酸アミド誘導体である。R2 は、炭素数3〜6のアルキル基を表す。R2 としては、例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0017】また、上記以外のビニル系単量体としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の1分子中に1個の重合性不飽和結合を有するビニル系単量体が挙げられる。
【0018】また、上記樹脂微粒子に架橋を形成するために、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリットテトラアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート等の1分子中に2個以上の重合性不飽和結合を有するビニル系単量体を併用してもよい。これらのビニル系単量体は、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0019】上記単量体組成物としては、全単量体中に上記ビニル系単量体(I)を70重量%以上含有するものが好ましい。上記ビニル系単量体(I)を70重量%以上含有することにより、高濃度の油溶性染料を内包する樹脂微粒子を製造することができるからである。
【0020】また、上記単量体組成物は、上記ビニル系単量体と他の重合性単量体とを含有していてもよい。
【0021】上記他の重合性単量体としては、上記ビニル系単量体(I)と共重合可能なもので、かつ、油溶性染料を溶解させることができるものが好ましく、例えば、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、メタクリルアミド等の1分子中に1個の重合性不飽和結合を有する重合性単量体;エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリットテトラアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、アジピン酸ジビニル等の1分子中に2個以上の重合性不飽和結合を有する重合性単量体等が挙げられる。これらの他の重合性単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0022】上記他の重合性単量体の配合量は、全単量体量の30重量%以下が好ましいが、上記他の重合性単量体が1分子中に1個の重合性不飽和結合を有する重合性単量体の場合には、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が更に好ましい。また、上記他の重合性単量体が1分子中に2個以上の重合性不飽和結合を有する重合性単量体の場合には、0.1〜10重量%がより好ましく、0.5〜5重量%が更に好ましい。上記1分子中に2個以上の重合性不飽和結合を有する重合性単量体が、0.1重量%未満では、力学的強度が低下する、耐溶性が低下する等の問題が生じ、10重量%を超えると染料の溶解度を低下させるだけでなく、エマルジョン粒子の凝集、染料の析出等が起こり易くなる。
【0023】上記樹脂微粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合、分散重合、転相乳化重合等の一般にエマルジョンを調製する際に使用される方法により上記単量体の組成物を重合させる方法等が挙げられる。これらのなかでは、樹脂微粒子の粒径の制御が容易であり、生産効率が高い点から、ビニル系単量体の組成物を乳化重合させる方法が好ましい。
【0024】本発明の着色樹脂エマルジョン中に分散している2種類以上の樹脂微粒子は、それぞれ異なる油溶性染料を内包している。
【0025】上記樹脂微粒子に内包される油溶性染料としては特に限定されないが、20℃の有機溶媒に対する溶解度が1重量%以上であるものが好ましく、これに加えて、20℃の水に対する溶解度が1重量%以下であり、かつ、100℃の水に対する溶解度が10重量%以下であるものがより好ましい。上記有機溶媒としては特に限定されず、例えば、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステル、アルコール、アミド等が挙げられる。
【0026】上記した特性(20℃の有機溶媒に対する溶解度が1重量%以上であり、20℃の水に対する溶解度が1重量%以下であり、かつ、100℃の水に対する溶解度が10重量%以下である)を有する油溶性染料の具体例としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、トリフェニルメタン系染料等;アゾ金属錯体染料、アニオン性染料とカチオン性単量体との塩、アニオン性染料とカチオン性染料との塩;なお、カラーインデックス番号でいうとsolvent blue44、45、59、104;solvent red24、68、89、124;solvent yellow13、14、33、79、93;vat blue1、6;vat yellow6等が挙げられる。これらのなかでは、アニオン性染料とカチオン性単量体との塩やアニオン性染料とカチオン性染料との塩が好ましい。
【0027】上記カチオン性単量体としては、上記アニオン性染料と反応し塩を生成するものであれば特に限定されないが、上記ビニル系単量体(I)との相溶性が高いことから、下記一般式(II);
【0028】
【化3】

【0029】(式中、R3 は、水素原子又はメチル基を表し、R4 、R5 、R6 は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基又はシクロアルキル基を表し、Xは、ハロゲン原子を表し、R4 、R5 、R6 で表される基に含まれる炭素数の合計が8以上である)で表されるカチオン性単量体が好ましい。
【0030】上記一般式(II)で表されるカチオン性単量体において、R3 は、水素原子又はメチル基を表す。従って、上記単量体組成物は、アクリル酸アミド誘導体又はメタクリル酸アミド誘導体である。また、R4 、R5 、R6 は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基又はシクロアルキル基を表す。R4 、R5 、R6 としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ベンジル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0031】上記R4 、R5 、R6 で表される基に含まれる炭素数の合計は8以上であり、これらの組み合わせとしては、例えば、メチル基、メチル基とベンジル基、エチル基、エチル基とベンジル基等が挙げられる。
【0032】上記R4 、R5 、R6 で表される基に含まれる炭素数の合計が8未満では、親水性が強く、上記アニオン性染料との反応により疎水性の塩を生成することが難しいため上記範囲が好ましい。上記一般式(II)で表されるカチオン性単量体は、疎水性が比較的強く、上記アニオン性染料との反応により塩を析出させることができる。
【0033】更には、上記一般式(II)で表されるカチオン性単量体と上記単量体の組成物を構成する単量体とを共重合させることにより、生成する重合体に上記油溶性染料を固定させ、上記油溶性染料の脱離を抑制することができる。
【0034】上記油溶性染料の配合量は、上記単量体組成物100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、5〜30重量部がより好ましい。上記配合量が、50重量部を超えると上記染料組成物の濃度が高くなりすぎて、添加しにくくなるだけではなく、重合時に染料が分離することがある。
【0035】上記アニオン性染料とカチオン性単量体とを反応させることにより得られる塩を油溶性染料として用いる場合には、上記油溶性染料を溶解させる上記単量体組成物として、上記ビニル系単量体(I)を90重量%以上含有する単量体組成物を用いるのがより好ましい。
【0036】本発明の着色樹脂エマルジョンを製造する方法としては、例えば、単量体の組成物を、重合開始剤及び乳化剤の存在下に分散させた後、乳化重合させる方法等が挙げられる。
【0037】上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、油溶性又は水溶性の有機アゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、有機過酸化物、上記無機過酸化物と亜硫酸塩等の還元剤を組み合わせたレドックス組成物等が挙げられる。これらのなかでは、有機アゾ化合物が好ましく、半減期が約10時間で分解温度が40〜80℃の有機アゾ化合物がより好ましい。
【0038】上記水溶性の有機アゾ化合物としては、カチオン性のものと、アニオン性のものとがある。これらのなかで、どの有機アゾ化合物を用いるかは特に限定されず、後述する乳化剤等を考慮して、最適なものを用いればよい。
【0039】上記油溶性染料として、上記アゾ染料の金属錯体、及び/又は、上記アニオン性染料とカチオン性単量体とを反応させることにより得られる塩を用いる場合には、重合開始剤として油溶性の有機アゾ化合物を用いるのが好ましい。
【0040】上記乳化剤としては特に限定されず、例えば、アニオン性、カチオン性、又は、非イオン性の界面活性剤等が挙げられる。
【0041】これらのなかでは、カチオン性の界面活性剤は分散性があまり強くなく、非イオン性の界面活性剤は得られる着色樹脂エマルジョン中の着色樹脂の粒子径が大きくなる傾向があるため、アニオン性の界面活性剤が好ましい。
【0042】上記乳化剤として、アニオン性界面活性剤を用いる場合には、上記乳化剤との相互作用が少ない点から、上記重合開始剤として、アニオン性の有機アゾ化合物を用いることが好ましい。
【0043】上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸アンモニウム等のアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。
【0044】これらのなかでは、重合性不飽和結合を有するリン酸エステルは、エマルジョン粒子に固定されるため、塗膜の物性に悪影響を与えないという利点を有することからアルキルスルホン酸塩が好ましい。
【0045】本発明の着色樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定されるものではないが、上記乳化重合等の方法を用いて、1種類の樹脂微粒子が分散した樹脂微粒子エマルジョンを少なくとも2種調製し、得られたそれぞれの樹脂微粒子エマルジョンを混合することにより製造することが好ましい。
【0046】上記乳化重合により樹脂微粒子エマルジョンを製造する具体的な反応条件は、使用する単量体、油溶性染料、重合開始剤及び乳化剤等の種類に応じて適宜設定すればよく、例えば、単量体、乳化剤及び脱イオン水(以下、これらの混合物を乳化剤水溶液という)をフラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、温度を反応温度まで昇温し、次に重合開始剤の溶液をフラスコ内に注入し、油溶性染料を含む染料溶液(以下、染料組成物という)を1〜2時間かけて滴下し、更に、同温度で3〜4時間攪拌した後、室温まで冷却する方法等を用いて乳化重合を行うことにより、樹脂微粒子エマルジョンを製造することができる。
【0047】上記重合開始剤の配合量は、上記単量体の組成物100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。より好ましくは、0.2〜5重量部である。上記乳化剤の濃度は特に限定されないが、0.5〜10重量%が好ましい。また、上記乳化剤の配合量は特に限定されないが、上記乳化剤水溶液に対する上記染料組成物の重量比で1/5〜1/1が好ましい。上記反応温度は特に限定されないが、通常、10〜100℃が好ましい。より好ましくは、40〜80℃である。
【0048】このような製造方法を用いることにより、本発明の着色樹脂エマルジョンでは、上記樹脂微粒子エマルジョンを調製する際に、所望の油溶性染料を高濃度で溶解することができ、かつ、得られる樹脂微粒子の耐久性が優れたものとなるように、単量体の組成物を適宜選択することができる。
【0049】具体的には、凝集力が強く、単量体に溶解しにくい油溶性染料を用いる場合には、ビニル系単量体(I)のように極性が高く、凝集力が強い油溶性染料を溶解することができる単量体を選択する。一方、反応性が高いため堅牢性が低く、得られる樹脂微粒子が耐熱性等の耐久性に劣るものになりやすい油溶性染料を用いる場合には、メタクリル酸メチルのような極性が低いため、堅牢性が低い油溶性染料を用いた場合でも得られる樹脂微粒子の耐久性を向上させることができる単量体を選択する。
【0050】このように、油溶性染料の単量体に対する溶解性と、得られる重合体の耐久性とを考慮して、油溶性染料と単量体との組み合わせを選択することにより、化学構造の全く異なる染料が高濃度に配合され、かつ、耐久性、特に耐熱性に優れた樹脂微粒子が分散した着色樹脂エマルジョンを得られる。
【0051】このようにして得られた着色樹脂エマルジョンは、高濃度に染料を含有する微粒子が分散した光学特性及び耐久性の高いものである。特に、油溶性染料として、アニオン性染料とカチオン性単量体とを反応させることにより得られる塩を用いると上記カチオン性単量体が共重合体中に組み込まれるため、上記アニオン性染料はイオン結合により、共重合体の微粒子中にしっかりと固定される。
【0052】また、上記アニオン性染料とカチオン性単量体とを反応させることにより得られる塩は、殆どの疎水性単量体には溶解しないが、ビニル系単量体(I)には溶解し、重合開始剤として油溶性の有機アゾ化合物と組み合わせることにより重合反応が進行し、上記の特性を有する着色樹脂エマルジョンが得られる。また、得られた上記着色樹脂エマルジョン中の溶媒を飛散させた後、洗浄等を行うことにより、着色微粒子を得ることができる。上記着色微粒子もまた本発明の1つである。
【0053】また、上記乳化重合により得られる着色樹脂エマルジョン、上記着色樹脂エマルジョンと染料を含まない樹脂エマルジョンとの混合液、又は、上記着色樹脂エマルジョンと樹脂水溶液との混合液を基板上に流延することにより、亀裂を含まない均一で柔軟な透明着色膜を形成することができる。
【0054】上記の基板上に流延する方法としては、基板上に上記着色樹脂エマルジョン、又は、上記混合液を均一に流延できる方法であれば特に限定されず、例えば、ロールコート法、スピンコート法、スクリーン印刷等の通常の印刷に用いられる方法等が挙げられる。上記透明着色膜もまた本発明の1つである。
【0055】また、上記透明着色膜に熱処理を施すことにより、透明着色硬化膜を好適に得ることができる。上記透明着色硬化膜は、亀裂を含まない均一で透明な連続膜であり、更に、有機溶媒に対して溶解することがないため、種々の基材の着色に利用することができる。上記透明着色硬化膜もまた本発明の1つである。
【0056】また、色彩の異なる上記着色樹脂エマルジョンを、透明基板上の定められた区画にそれぞれ塗布し、その後熱処理を施すことにより、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを好適に形成することができる。上記カラーフィルタもまた本発明の1つである。
【0057】また、上記着色樹脂エマルジョンを用い、高濃度に染料を含有する微粒子が分散した、光学特性及び耐久性に優れるインクジェット記録用インクを得ることができる。上記インクジェット記録用インクもまた本発明の1つである。
【0058】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0059】製造例1(青色エマルジョンの調製)ドデシル硫酸ナトリウム2重量部、ニューフロンティアS510(第一工業製薬社製、リン酸基を有する重合性界面活性剤)4重量部、脱イオン水194重量部、及び、n−ブトキシメチルアクリルアミド10重量部をフラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら、液温を50℃に上げた。次に、V−70(和光純薬工業社製、油溶性アゾ系重合開始剤)0.5重量部を含むエタノール溶液10重量部をフラスコ内に注入し、すぐに、下記組成からなる染料溶液を2時間かけて滴下した。その後、同じ温度で3時間攪拌した後、室温に冷却し、着色樹脂エマルジョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンを、孔径1μmのフィルターでろ過した後、レーザ光散乱式粒径分布測定器(大塚電子社製)を用いて熱硬化性着色樹脂の粒子径を測定したところ、平均粒子径は92nmであった。
【0060】
染料溶液の組成n−ブトキシメチルアクリルアミド 89重量部エチレングリコールジメタクリレート 1重量部サビニールブルーGLS(クラリアント社製、フタロシアニン系油溶性染料) 20重量部【0061】製造例2(黄色エマルジョンの調製)染料溶液の組成を以下のように代えた以外は、製造例1と同様にして着色樹脂エマルジョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンについて、製造例1と同様にして熱硬化性着色樹脂の粒子径を測定したところ、平均粒子径は63nmであった。
【0062】
染料溶液の組成n−ブトキシメチルアクリルアミド 89重量部エチレングリコールジメタクリレート 1重量部サビニールイエロー2GLS(クラリアント社製、アゾメチン系油溶性染料)
20重量部【0063】製造例3(黄色エマルジョンの調製)染料溶液の組成を以下のように代えた以外は、製造例1と同様にして着色樹脂エマルジョンを得た。得られた着色樹脂エマルジョンについて、製造例1と同様にして着色樹脂の粒子径を測定したところ、平均粒子径は78nmであった。
【0064】染料溶液の組成メタクリル酸メチル 89重量部エチレングリコールジメタクリレート 1重量部サビニールイエロー2GLS 20重量部【0065】実施例1製造例1で得た青色エマルジョンと製造例3で得た黄色エマルジョンとを1:1で混合することにより、緑色エマルジョンを得た。
【0066】比較例1製造例1で得た青色エマルジョンと製造例2で得た黄色エマルジョンとを1:1で混合することにより、緑色エマルジョンを得た。
【0067】着色樹脂エマルジョンの評価製造例1〜3、実施例1及び比較例1で得られた着色樹脂エマルジョンを、500rpmの速度でガラス板上にスピンコートして100℃で30分間乾燥した後、230℃で1時間熱処理を行い、熱処理前後の色差(ΔE)をカラーアナライザー(東京電色社製)を用いて評価した。結果を表1に示した。
【0068】
【表1】

【0069】表1に示したように、青色染料と黄色染料とが、それぞれ異種の単量体を重合することにより得られる重合体に内包されている実施例1の着色樹脂エマルジョンの耐熱性は、青色染料と黄色染料とがそれぞれ同種の単量体を重合することにより得られる重合体に内包されている比較例1の着色樹脂エマルジョンに比べて良好であった。
【0070】
【発明の効果】本発明の着色樹脂エマルジョンは、上述の構成からなるので、化学構造が全く異なる染料を配合する場合でも、これらの染料が高濃度に配合され、かつ、耐久性、特に耐熱性に優れた樹脂微粒子が分散している。本発明の着色微粒子は、上述の構成からなるので、化学構造が全く異なる染料を配合する場合でも、これらの染料が均一に、かつ、高濃度に配合されており、種々の着色材料として使用することができる。本発明の透明着色膜及び透明着色硬化膜は、上述の構成からなるので、常温から高温にわたり基材との密着性に優れ、光学特性及び耐久性にも優れる。また、本発明のカラーフィルタ及びインクジェット記録用インクも、光学特性及び耐久性に優れる。




 

 


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