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発明の名称 塩化ビニル系樹脂及び成形体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−106852(P2001−106852A)
公開日 平成13年4月17日(2001.4.17)
出願番号 特願平11−281581
出願日 平成11年10月1日(1999.10.1)
代理人
発明者 大村 貴宏 / 森川 岳生 / 久保 喜弘
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ポリ塩化ビニルを主成分とするマトリックス樹脂中にアクリル系グラフト共重合体が分散されてなり、前記アクリル系グラフト共重合体は、ポリブタジエンを主成分とする重合体(A)をコア部とし、(メタ)アクリレートを主成分とする重合体(B)をシェル部とするコア−シェル二層構造を有するアクリル系共重合体粒子に、塩化ビニルを主成分とする塩化ビニル系モノマーがグラフト重合されたものであり、前記塩化ビニルのグラフト率が0. 1〜5重量%である、塩化ビニル系樹脂。
【請求項2】 アクリル系共重合体のコア部とシェル部の構成比が、コア部30〜90重量%に対しシェル部70〜10重量%であり、かつシェル部が、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上−20℃未満である(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーを重合してなる重合体であることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系樹脂。
【請求項3】 請求項1又は2いずれかに記載の塩化ビニル系樹脂からなる成形体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温耐衝撃性、耐疲労強度等に優れた成形体を得るための塩化ビニル系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル樹脂は機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れた特性を有する材料として多くの用途に用いられている。しかし、塩化ビニル樹脂は耐衝撃性に劣るという欠点を有しており、種々の改良方法が提案されている。特開昭60‐255813号公報には、架橋したアクリル系共重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させた耐衝撃性の塩化ビニル系樹脂が開示されている。又、特開平9‐110945号公報には、0℃以下の低温における耐衝撃性を改善する方法として、低いガラス転移温度を有するポリマーを共重合する方法が開示されている。しかしながら、上記特開平9−110945号公報の実施例に用いられている2‐エチルヘキシルアクリレートは、多量に加すると疲労強度など長期物性が低下することが明らかになった。そこで、優れた低温耐衝撃性を有しながら、疲労強度の良好な成型品が得られる塩化ビニル系樹脂が工業的に要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技術に鑑み、従来品と比べて優れた低温耐衝撃性及び耐疲労強度を有する成形体を得るための塩化ビニル系樹脂を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】本発明の塩化ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニルを主成分とするマトリックス樹脂中にアクリル系グラフト共重合体が分散されてなり、前記アクリル系グラフト重合体は、ポリブタジエンを主成分とする重合体(A)をコア部とし、(メタ)アクリレートを主成分とする重合体(B)をシェル部とするコア−シェル二層構造を有するアクリル系共重合体粒子に、塩化ビニルを主成分とする塩化ビニル系モノマーがグラフト重合されたものであり、前記塩化ビニルのグラフト率が0.1〜5重量%である、ことを特徴とする。
【0006】上記コア部に用いられる重合体(A)は、ポリブタジエン単独であってもよいし、ブタジエンと共重合可能なラジカル重合性モノマー(以下、モノマーaという)との共重合体であってもよい。上記モノマーaは、最終的に得られる成形体の機械強度、耐薬品性等を改善する目的で添加されるものであり、その具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α- メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0007】上記モノマーaの添加量は、多すぎるとコア部の柔軟性が失われ、最終的に得られる成形体の耐衝撃性が低下するため、重合体(A)を構成する全モノマー中50重量%未満が好ましい。
【0008】上記シェル部用いられる重合体(B)は、(メタ)アクリレートのみから構成されたものであってもよいし、(メタ)アクリレートと共重合可能なラジカル重合性モノマー(以下、モノマーbという)との共重合体であってもよい。上記重合体(B)は、コア部を構成するポリブタジエン成分とポリ塩化ビニルを主成分とするマトリックス樹脂の間に介在して両成分を結合するとともに、ポリブタジエン成分を均一分散させる目的で用いられる。上記(メタ)アクリレートとしては、コア部による衝撃吸収能力を損なわないよう柔軟性を要するため、その単独重合体のガラス転移温度は、−20℃未満が好ましい。上記ガラス転移温度が−20℃未満であれば特に種類は限定されないが、工業的に一般に使用されるポリマーのガラス転移温度を鑑みて−140℃以上が適当である。
【0009】上記(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、n‐プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n‐ブチルリレート、n‐プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n‐ブチルアクリレート、イソーブチルアクリレート、sec‐ブチルアクリレート、クミルアクリレート、n‐ヘキシルアクリレート、n‐ヘプチル(メタ)アクリレート、n‐オクチル(メタ)アクリレート、2‐メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n‐ノニル(メタ)アクリレート、2‐メチルオクチルアクリレート、2‐エチルヘプチルアクリレート、n‐デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレートなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】なお、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上−20℃未満である(メタ)アクリレートの単独重合体のガラス転移温度は、培風館発行 高分子学会編「高分子データ・ハンドブック(基礎編)」等によった。
【0011】上記モノマーbは、本発明の塩化ビニル系樹脂の成形性の改善、並びに、最終的に得られる成形体の機械的強度、耐薬品性等を改善する目的で添加されるものであり、その具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、n‐プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n‐ブチルメタクリレート、イソーブチルメタクリレート、sec‐ブチルメタクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、クミルメタクリレート、n‐ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、2‐アクリロイルオキシエチルフタル酸等の極性基含有ビニルモノマー;スチレン、α- メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】上記モノマーbの添加量は、多すぎると上記アクリル系共重合体粒子の柔軟性が失われ、最終的に得られる成形体の耐衝撃性が低下するため、重合体(B)を構成する全モノマー中50重量%未満が好ましい。
【0013】上記(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーには、必要に応じて多官能性モノマーが添加されてもよい。上記多官能性モノマーは、シェル部を構成する重合体(B)を架橋し、最終的に得られる成形体の耐衝撃性を向上させるだけでなく、製造時及び製造後のコア部ラテックス粒子の合着を起こしにくくする目的で添加される。
【0014】上記多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリアリル化合物;ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物などが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】上記多官能性モノマーの添加量は特に限定されないが、多くなるとシェル部の架橋密度過多により、最終的に得られる成形体の耐衝撃性が得られにくくなるため、上記(メタ)アクリレート(モノマーbが添加された場合はその合計)100重量部に対して、多官能性モノマーを0〜30重量部添加するのが好ましい、より好ましくは0〜10重量部である。
【0016】本発明に用いられるアクリル系共重合体粒子において、ポリブタジエンを主成分とするコア部と、(メタ)アクリレートを主成分とするシェル部の構成比は、コア部が小さい場合、最終的に得られる成形体の低温での十分な耐衝撃性が得られず、それを補うためアクリル系共重合体粒子の添加部数を増やせば、最終的に得られる成形体の耐疲労性が低下する。一方、シェル部が小さすぎると、アクリル系共重合体粒子と塩化ビニルのグラフト率が低下し、最終的に得られる成形体の耐衝撃性が十分ではないため、コア部30〜90重量%に対し、シェル部10〜70重量%が好ましく、より好ましくはコア部40〜70重量%に対し、シェル部30〜60重量%である。
【0017】本発明において、上記アクリル系共重合体粒子の重合方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられるが、最終的に得られる成形体の耐衝撃性の発現性の面より、また、共重合体の粒子径の制御が行い易い点から乳化重合法が望ましい。
【0018】上記乳化重合によって上記アクリル系共重合体粒子を合成する際、例えば、まずブタジエン、必要に応じて上記モノマーaを(共)重合せしめて上記重合体(A)で構成されるコア部を合成し、前記共重合体(A)の存在下で単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上−20℃未満である(メタ)アクリレート、必要に応じて上記モノマーbを添加し、重合することによりシェル部を形成させ、粒子を二層構造となせばよい。また、上記乳化重合法においては、乳化分散剤及び重合開始剤が用いられる。
【0019】上記乳化分散剤は、上記アクリル系共重合体粒子の合成に使用されるモノマーの乳化液中での分散安定性を向上させ、重合を効率的に行う目的で添加され、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。特に望ましくはアニオン系界面活性剤であり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0020】上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の水溶性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;レドックス開始剤などが挙げられる。また、上記乳化重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0021】上記乳化重合法には、モノマー添加法の違いから一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下法の3つに大別され、特に限定されるものではないが、多層構造の粒子を合成するには、モノマー滴下法またはエマルジョン滴下法の使用が好ましい。
【0022】上記一括重合法とは、例えば、まず、モノマー、乳化分散剤、純水を撹拌により充分乳化することにより予め乳化モノマー液を調製する。ジャケット付重合反応槽内にイオン交換水を入れ、重合槽内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧に圧戻しを行った窒素雰囲気下において、上記乳化モノマー液を一括して重合槽内へ添加する。槽内をジャケットにより所定の温度にした後、重合開始剤を添加して重合する方法である。
【0023】上記モノマー滴下法とは、例えば、ジャケット付重合反応槽内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を導入する。重合槽内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧に圧戻しを行って窒素雰囲気とし、槽内をジャケットにより所定の温度にした後、モノマー液を一定量ずつ滴下することにより、徐々に重合を行う方法である。
【0024】上記エマルジョン滴下法とは、例えば、まず、モノマー、乳化分散剤、純水を撹拌により充分乳化することにより予め乳化モノマー液を調製する。次いでジャケット付重合反応槽内に純水、重合開始剤を入れ、重合槽内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧に圧戻しを行って窒素雰囲気下とし、槽内をジャケットにより所定の温度にした後、上記乳化モノマー液を一定量ずつ滴下することにより重合する方法である。さらに、エマルジョン滴下法において、重合初期に上記乳化モノマー液の一部を一括添加(以下シードモノマーという)し、その後残りの乳化モノマー液を滴下する方法を用いれば、シードモノマーの量を変化させることで容易に生成粒子の粒径を制御できる。
【0025】本発明において、二層構造を有するアクリル系共重合体粒子を形成する方法としては、まずコア部を形成する粒子(以下コア粒子という)を合成し、続いてコア粒子の存在する系中でコア粒子への共重合を行って、コア粒子の表面上にシェル部を形成させて完成される。上記シェル部の形成は、コア粒子の合成と一連の重合過程で行っても良く、あるいはコア粒子を合成し、回収した後、改めてシェル部構成用モノマーを添加して重合を行いシェル部の形成を行ってもよい。後者の場合、シェル部の重合の際、新たに重合開始剤を添加する必要がある。
【0026】上記アクリル系共重合体粒子は、通常、ラテックス(ゴム成分が水系媒体中に乳化分散した状態のものを意味する;以下アクリル系共重合体ラテックスという)として得られ、前記アクリル系共重合体ラテックス中のアクリル系共重合体粒子としての樹脂固形分は、特に限定されるものではないが、アクリル系共重合体ラテックスの生産性、重合反応の安定性等を鑑みて、10〜60重量%が好ましい。
【0027】上記アクリル系共重合体粒子の平均粒子径は特に限定されないが、大きくなると最終的に得られる成形体の耐衝撃性と抗張力が共に低下し、小さくなると最終的に得られる成形体の耐衝撃性の発現性が低下することから、10〜500nmが好ましく、より好ましくは50〜250nmである。
【0028】上記アクリル系共重合体ラテックスには、アクリル系共重合体粒子の機械的安定性の向上させる目的で、重合反応終了後に保護コロイド剤が必要に応じて添加されてもよい。
【0029】本発明の塩化ビニル系樹脂は、上記アクリル系共重合体粒子に塩化ビニル単独または塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーをグラフト共重合させてアクリル系グラフト共重合体を形成するとともに、前記アクリル系グラフト共重合体の周囲にポリ塩化ビニルを主成分とするマトリックス樹脂を形成して、前記マトリックス樹脂中に前記アクリル系グラフト共重合体が分散した状態となすことにより得られる。上記塩化ビニルを主成分とするモノマーとは、50重量%以上の塩化ビニルと塩化ビニルと共重合可能な他のビニルモノマーとの混合物を意味し、塩化ビニルと共重合可能なモノマーとは、通常公知のビニルモノマーであって、例えば酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルビニルエーテル、エチレン、フッ化ビニル、マレイミドなどが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記塩化ビニルを主成分とするモノマーは、上記ポリ塩化ビニルを主成分とするマトリックス樹脂の形成の際にも使用される。
【0030】上記アクリル系共重合体粒子の塩化ビニル系樹脂に占める割合は特に限定されないが、硬質塩化ビニル管、異型成型品等の成形体の原料として用いた場合、少なくなると成型体の耐衝撃性が低下し、多くなると成型体の機械強度が低下し、耐疲労性も低下するため、1〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜16重量%である。
【0031】上記塩化ビニル系樹脂において、アクリル系共重合体粒子とグラフト共重合して化学的に結合している塩化ビニル分子の塩化ビニル樹脂全体〔上記マトリックス樹脂中のポリ塩化ビニルとグラフト共重合された塩化ビニル分子との合計〕中の重量分率(以下グラフト率とする)は、高い耐衝撃性を発現させる上で一定値以上に制御することが重要である。グラフト率は0. 1%以上であれば特に限定されないが、これまで明らかにされているグラフト率の文献値等を鑑みて5%以下が適当である。
【0032】上記塩化ビニル系樹脂中の、ポリ塩化ビニルおよびグラフト共重合された塩化ビニル分子の重合度は、小さくなっても大きくなっても本発明の塩化ビニル系樹脂の成形性が悪くなるため、300〜2000が適当であり、好ましくは400〜1600である。
【0033】上記アクリル系共重合体粒子に塩化ビニル単独または塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーをグラフト共重合させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられるが、本発明を有利に実施するためには、懸濁重合法が望ましい。上記懸濁重合法においては、分散剤及び油溶性重合開始剤が用いられる。
【0034】上記懸濁重合に用いる分散剤は、上記アクリル系共重合体ラテックスの分散安定性を向上させ塩化ビニルのグラフト重合を効率的に行う目的で添加され、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】上記油溶性重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t‐ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t‐ブチルパーオキシネオデカノエート、α‐クミルパーオキシネオデカノエート等の有機過酸化物類;2,2‐アゾビスイソブチロニトリル、2,2‐アゾビス‐2,4‐ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。上記懸濁重合により、塩化ビニルをグラフト共重合させる際に、重合中に重合槽内に付着するスケールを減少させる目的で、上記アクリル系共重合体ラテックスに、凝集剤を添加してもよい。また、上記懸濁重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0036】本発明の塩化ビニル系樹脂の具体的な製造方法としては、例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純水、上記アクリル系共重合体ラテックス、分散剤、油溶性重合開始剤及び水溶性増粘剤、必要に応じて重合度調節剤を投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に撹拌条件下で塩化ビニル及び必要に応じて他のビニルモノマーを投入した後、反応容器内をジャケットにより加熱し、塩化ビニルのグラフト共重合を行う方法が挙げられる。上記塩化ビニルのグラフト共重合は発熱反応のため、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温度つまり重合温度を制御することが可能である。反応終了後は、未反応の塩化ビニルを除去しスラリー状にし、更に脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂が製造される。
【0037】本発明の塩化ビニル系樹脂は、成形する際に必要に応じて熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤、顔料等が添加され用いられる。
【0038】上記熱安定剤としては、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤;ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系安定剤;バリウム‐亜鉛系安定剤;バリウム−カドミウム系安定剤などが挙げられる。
【0039】上記安定化助剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等が挙げられる。
【0040】上記滑剤としては、例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。
【0041】上記加工助剤としては、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0042】上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。上記光安定剤としては、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。
【0043】上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。上記顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料などが挙げられる。
【0044】上記塩化ビニル系樹脂には、成形時の加工性を向上させる目的で可塑剤が添加されてもよく、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。
【0045】また、上記塩化ビニル系樹脂には、成形される際必要に応じてポリ塩化ビニルをはじめとする熱可塑性樹脂が添加されも良い。
【0046】上記添加剤を上記塩化ビニル系樹脂に混合する方法としては、ホットブレンドによる方法でも、コールドブレンドによる方法でもよく、また、成形方法としては、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法等が挙げられる。
【0047】
【実施例】表1に示した配合組成に従い、下記の操作手順で各塩化ビニル系樹脂を得た。尚、表1中の略号は下記の通りである。
2‐EHA:2‐エチルヘキシルアクリレートn‐BA:n‐ブチルアクリレートMMA:メチルメタクリレートTMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレートBDSNa:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムN‐08:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアンモニウムAPS:過硫酸アンモニウムPVA:部分鹸化ポリ酢酸ビニルMPS:ヒドロキシプロピルメチルセルロースBPOND:t‐ブチルパーオキシネオデカノエートQPOND:α‐クミルパーオキシネオデカノエート【0048】実施例1〜3、比較例1〜3(アクリル系共重合体ラテックスの作製)表1に示した組成の材料を混合攪拌し、コア用乳化モノマー、及び、シェル用乳化モノマーを調整した。
【0049】一方、重合器に所定量の純水を入れ、攪拌を開始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧戻しをして置換し、重合槽を70℃まで昇温した。昇温が完了した重合槽に、過硫酸アンモニウム(以下APSとする)および上記コア用乳化モノマーの内の30重量%に相当する量をシードモノマーとして一括して投入し、重合を開始した。続いてコア用乳化モノマーの残りを滴下した。続いてシェル乳化用モノマーを滴下し、その後1時間の熟成期間を置いた後、重合槽を室温まで冷却した。その結果、アクリル系共重合体粒子の固形分濃度が約25重量%、平均粒径が約0.1μmであるアクリル系共重合体ラテックス(以下ラテックスとする)を得た。
【0050】(塩化ビニル系樹脂の作製)次いで、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純水、上記ラテックス、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの3%水溶液、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエートを一括投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に撹拌条件下で塩化ビニルを投入した後、ジャケット温度の制御により重合温度57℃にて重合を開始した。反応器内の圧力が6. 0kg/cm2 の圧力まで低下することで反応終了を確認し、冷却して停止した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去し、更に脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルで構成された部分の重合度が約1000の塩化ビニル系樹脂を得た。
【0051】〔評価〕
(グラフト率)塩化ビニル系樹脂約10g(W1 g)を秤取し、THF100ml中で50時間攪拌混合した。THFに不溶部分を200メッシュの金網でTHF溶液部分より分離し、70℃で1昼夜乾燥した。得られた乾燥物の重量を秤量(W2 g)すると共に、塩素含有率(C%)を定量した。下記の式に従ってグラフト率を算出した。

(耐衝撃性)上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、有機錫系安定剤0. 5重量部、モンタン酸系滑剤1.0重量部を混合した樹脂組成物を、190℃で3分間ロール混練した後、200℃で3分間プレス成形して得られた厚さ3mmのプレス板より試料片を作製した。JIS K7111に準拠し、測定温度:−10℃でシャルピー衝撃試験を行った。結果を表1に示す。通常、硬質成形体に用いる場合、80kgf・cm/cm2 以上の低温耐衝撃性を有することが望ましい。
(引張強度)上記シャルピー衝撃試験に用いたのと同じプレス板より試験片を作成した。JIS K7113に準拠し、測定温度:23℃で引張強度試験を行った。結果を表1に示す。硬質成型品に用いる場合、450kgf/cm2 以上の引張強度を有することが望ましい。
(耐疲労試験)上記シャルピー衝撃試験に用いたのと同じプレス板を用い、荷重:200kgf/cm2 、加重を印可する間隔:2Hz、測定温度:23℃で繰り返し疲労試験機(島津製作所社製)を用い、耐疲労性の評価を行い、破壊までの繰り返し回数を求めた。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明の塩化ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニルを主成分とするマトリックス樹脂中にアクリル系グラフト共重合体が分散されてなり、前記アクリル系グラフト共重合体は、ポリブタジエンを主成分とする重合体(A)をコア部とし、(メタ)アクリレートを主成分とする重合体(B)をシェル部とするコア−シェル二層構造を有するアクリル系共重合体粒子に、塩化ビニルを主成分とする塩化ビニル系モノマーがグラフト重合されたものであり、前記塩化ビニルのグラフト率が0. 1〜5重量%であるので、低温での耐衝撃性及び耐疲労性が非常に優れており、塩化ビニル樹脂の成形加工に使用される通常の滑剤、安定剤、顔料等を配合することにより、流動性良く成形加工を行うことができる。特に寒冷地で施工され、脈動応力がかかる建築部材、管路製品を得る上で非常に有効である。上記特性を生かして、高い耐衝撃性と耐疲労性を要求される硬質塩化ビニル管、プラサッシ、防音壁等に好適に使用される。




 

 


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