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発明の名称 常圧プラズマを用いた連続成膜法及び連続成膜装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−98093(P2001−98093A)
公開日 平成13年4月10日(2001.4.10)
出願番号 特願平11−362873
出願日 平成11年12月21日(1999.12.21)
代理人
発明者 登坂 昌久 / 中尾 整 / 西口 直樹
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中で、放電プラズマ処理を行う連続成膜法であって、対向する電極間の放電プラズマ処理空間の一端に設けられたガス導入口より混合ガスをその供給量を制御して供給し、他端に設けられた排気口より排気量を制御して排気することを特徴とする常圧プラズマを用いた連続成膜法。
【請求項2】 清浄化装置によって基材表面に付着した塵埃・異物が除去された後、基材を上記放電プラズマ処理空間に供給するか、もしくは上記放電プラズマ処理空間の前後において清浄化装置によって基材表面に付着する塵埃・異物を除去することを特徴とする請求項1記載の常圧プラズマを用いた連続成膜法。
【請求項3】 請求項2記載の常圧プラズマを用いた連続成膜法で使用される連続成膜装置であって、上記清浄化装置が、基材の搬送方向に基材の表裏両面からこれを挟圧してその表面の移動に連動して回転するように配置された複数対の粘着ロール群と、上記粘着ロール表面を押圧してその表面の回転に連動して回転する上記粘着ロールより強力に塵埃・異物を粘着する大きな表面エネルギーを有するクリニングロール群とを有することを特徴とする連続成膜装置。
【請求項4】 上記混合ガスの供給量及び排気量の制御は、混合ガスの導入口における混合ガス流量及び排気口における排気ガス流量をマスフローコントローラーにて行われるものであり、上記排気口に設けられたマスフローコントローラーの供給口側の吸引流路には1個以上のフィルターが装着されてなることを特徴とする請求項1記載の常圧プラズマを用いた連続成膜法。
【請求項5】 上記混合ガスの導入口における供給量の制御は、マスフローコントローラーにて行われるものであり、排気口における排気量は差圧制御計にて行われるものであり、上記排気口に設けられた差圧制御計の供給口側の吸引流路には1個以上のフィルターが装着されてなることを特徴とする請求項1記載の常圧プラズマを用いた連続成膜法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常圧プラズマを用いた連続成膜法及び連続成膜装置に関し、更に詳しくは、二酸化珪素や二酸化チタン等の薄膜を形成し得る混合ガス雰囲気中で放電プラズマ処理を行う常圧プラズマを用いた連続成膜法及び連続成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックフィルム等からなる基材表面に特定機能を付与する目的で各種薄膜を積層する表面処理法として、従来より、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビーム法、イオンプレーティング法、減圧下でのグロー放電を利用したプラズマケミカルベーパーデポジット(CVD)法等が用いられてきた。しかしながら、これらの方法はいずれも真空系処理手段からなるものであって、処理系を相当程度に減圧する必要があるため、使用する成膜装置が、大型処理チャンバーや大型真空ポンプ等の大がかりな機器や機器ユニットとなり、又、高度減圧下の煩瑣な作業を要するものである上、更には、これら機器や機器ユニットの性能上、ロール状に巻回された基材の巻径、巾等のサイズ、薄膜形成用原料等の容量、その他各種の制限・限界がある。
【0003】就中、連続成膜方式において、例えば、差動排気方式を用い、大気圧から減圧状態へ徐々に排気を行って所望の真空度を保持する方法が挙げられ、ロール状に巻回された基材の搬入作業や薄膜形成用原料の補充操作が容易であるという長所を有するものではあるが、上記の搬入作業や補充操作を容易なものとすればする程、処理チャンバー内への空気の流入以上に排気を行って所望の真空度を保持するために、特に、大容量の真空ポンプが必要となり、設備の巨大化は避けられない。
【0004】こうした真空系処理手段からなる表面処理法の問題を排除するため、大気、常圧プラズマCVD法によって薄膜を形成しようとする試みがある。本出願人は先に完成した常圧プラズマCVD法による表面処理品の製造方法に関し特許出願し、特開平11−241165号公報として開示された。
【0005】上記公報に開示された常圧プラズマを用いた二酸化珪素や二酸化チタン等の薄膜の連続成膜法等は、図7に示すように、ロール電極10と上記ロール電極10表面と一定間隔を隔てて同軸回転面を表面とする曲面電極20を対向して配置し、両電極10及び20間に略等間隔に湾曲した放電空間30を備えた連続成膜装置を用い、上記放電空間30の一端より、反応ガスを含む混合ガスを供給し、他端から流量調整弁40及び真空ポンプ50を用いた排気装置によって、上記放電空間30内の混合ガス流量が一定となるように吸引排気量を調整しながら上記両電極10及び20間に電圧を印加してプラズマ処理が行われるものであった。
【0006】ところで、大気圧近傍の圧力下の反応に必要な混合ガスを放電空間に導入する場合、ガスの拡散を低圧条件下で行う場合に比して困難であり、混合ガスの偏りが生じる結果、処理結果に不均一性が生じ易い。
【0007】即ち、連続成膜空間を形成する放電空間内にガスを導入するに当たっては、通常、1箇所ないしは数箇所のガス導入口にガス供給管を接続して行うのであるが、大気圧近傍の圧力下においては放電空間内でガスが拡散し難いために、ガス導入口に近い位置ほどガスの密度が高くなり、ガス導入口から遠い位置では必然的にガスの流速が低下する傾向にある。
【0008】薄膜形成の目的が被処理体の表面の濡れ性改善等である場合には、処理面全体に効果が現れていれば、処理の均一性は特に大きな問題とはならない。これに対し、反射防止膜や高反射膜、或いはフィルター等の光学薄膜等の形成に際しては、その処理ムラが全体の性能を左右する程に大きな問題となる。即ち、このような光学薄膜の形成を目的とする場合、薄膜の厚さのムラは、色ムラとして人の目に映り、この色ムラが無視できる反射波長のずれは20nm程度と言われている。これを膜厚に換算すると100〜200Å程度に当たり、1000〜2000Å程度の膜厚に対して±10%以内に膜厚ムラを抑える必要があることを示唆している。
【0009】常圧プラズマを用いる連続成膜法において、放電空間に混合ガスを均一に導入することは、ガスの流れが滞る部分の存在や、電極に孔が開いていることによる処理の不均一等が生じ、被処理基材全面にわたる膜厚ムラを±10%以内に抑えることは困難である。
【0010】このように上記装置を用いる連続成膜法にあっては、放電空間30内の混合ガス密度の調整機能が低いため、反応ガスを含む混合ガスの供給装置としてマスフローコントローラーを用いたとしても、排気量が不安定であるため、供給量を±1%の範囲に制御することは極めて困難であり、しかも、このような装置を用いて長時間連続成膜を行うと、上記放電空間30で発生した金属酸化物や有機金属化合物等の反応ガスの未反応の粉体が、排気側の配管、調整弁40及び真空ポンプ50等の吸引流路内に付着し、堆積し、遂には吸引流路を閉塞して、放電空間30の混合ガス流量が変動し、連続成膜された薄膜の膜厚が変動するにいたる等の問題点の多いものである。
【0011】上記常圧プラズマを用いる連続成膜法は、更に、前記する真空系処理手段からなる連続成膜法に比して、使用する成膜装置が大型真空チャンバーや大型真空ポンプ等の大がかりな機器やユニットを必要とせず、煩瑣な作業をも要しないものではあるが、前記する二酸化珪素や二酸化チタン等の薄膜形成を行う場合、これらの真空系処理手段からなる連続成膜法に比して、作業環境の塵埃・異物が付着し易くなるという問題点がある。
【0012】被処理基材の中で、就中、絶縁性の高いプラスチック被膜は、クリーンルーム内であっても、回転体との接触・剥離や静止体との摺動等による静電気の帯電によって塵埃・異物の付着の危険性が大きく、図8に示すように、これらの塵埃・異物64が内側に付着した状態でロール電極1に抱かれて、回転搬送されると、ロール電極1と基材65の間に挟まった塵埃・異物64は、ロール電極1、基材65共加熱されているので、塵埃・異物64の大きさもしくはこれ以上の大きさの突起66を基材65に突設してしまう。
【0013】更に、上記ロール電極1面を含む放電プラズマ処理空間30には、混合ガスが、搬送される基材65の巾方向に均一な濃度で連続的に導入されているが、上述のように基材65に突設された塵埃・異物64による突起66が混合ガスの流れの邪魔をするため、常圧プラズマ放電によって基材65表面に成膜された薄膜の厚みが、上記突起66部分のみ薄く、成膜された薄膜の厚みの大きなバラツキを発生させてしまう。
【0014】又、上記ロール電極1と反対側の基材65面の付着した塵埃・異物64は、基材65表面の薄膜形成面を覆っているので、該部に所望薄膜が成膜されていない窪跡を生じ、成膜された薄膜の厚みの大きなバラツキを発生させてしまう。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであって、放電空間の一端より混合ガスをその供給量を制御して供給し、他端より排気量を制御して排気することによって、該放電空間の混合ガス供給量を一定に保つことを可能にし、更には、基材に付着する塵埃・異物によって薄膜の均一性が阻害されることのない常圧プラズマを用いた連続成膜法及び連続成膜装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中で、放電プラズマ処理を行う連続成膜法であって、対向する電極間の放電プラズマ処理空間の一端に設けられたガス導入口より混合ガスをその供給量を制御して供給し、他端に設けられた排気口より排気量を制御して排気するものである。
【0017】請求項2記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、請求項1記載の常圧プラズマを用いた連続成膜法において、清浄化装置によって基材表面に付着した塵埃・異物が除去された後、基材を上記放電プラズマ処理空間に供給するか、もしくは上記放電プラズマ処理空間の前後において清浄化装置によって基材表面に付着する塵埃・異物を除去するものである。
【0018】請求項3記載の発明の連続成膜装置は、請求項2記載の常圧プラズマを用いた連続成膜法で使用される連続成膜装置であって、上記清浄化装置が、基材の搬送方向に基材の表裏両面からこれを挟圧してその表面の移動に連動して回転するように配置された複数対の粘着ロール群と、上記粘着ロール表面を押圧してその表面の回転に連動して回転する上記粘着ロールより強力に塵埃・異物を粘着する大きな表面エネルギーを有するクリニングロール群とを有するものである。
【0019】請求項4記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、請求項1記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法において、上記混合ガスの供給量及び排気量の制御は、混合ガスの導入口における混合ガス流量及び排気口における排気ガス流量をマスフローコントローラーにて行われるものであり、上記排気口に設けられたマスフローコントローラーの供給口側の吸引流路には1個以上のフィルターが装着されてなることを特徴とする。
【0020】請求項5記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、請求項1記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法において、上記混合ガスの導入口における供給量の制御は、マスフローコントローラーにて行われるものであり、排気口における排気量は差圧制御計にて行われるものであり、上記排気口に設けられた差圧制御計の供給口側の吸引流路には1個以上のフィルターが装着されてなることを特徴とする。
【0021】本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法において、大気圧近傍の圧力とは、100〜800Torrの圧力をいい、中でも、圧力調整が容易で装置構成が容易となる700〜780Torrの圧力範囲とすることが好ましい。
【0022】本発明においては用いられる混合ガスは、原料ガス、反応ガス及び希釈ガスからなり、上記原料ガスとは、形成される薄膜の原料ガスであって、例えば、SiO2 薄膜を形成させる場合には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン等の反応性有機珪素化合物、TiO2 薄膜を形成させる場合には、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド等の反応性有機チタン化合物等が挙げられ、その他形成される薄膜の種類に応じて、例えば、四フッ化炭素(CF4 )、六フッ化炭素(C2 6 )、六フッ化プロピレン(CF3 CFCF2 )、八フッ化シクロブタン(C4 8 )等のフッ素−炭素化合物、一塩化三フッ化炭素(CClF3 )等のハロゲン−炭素化合物、六フッ化硫黄(SF6 )等のフッ素−硫黄化合物等の反応性フッ素化合物等が挙げられる。
【0023】又、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーの雰囲気下で放電プラズマ処理を行うことにより、親水性の重合膜を堆積させることもできる。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜の堆積が可能である。
【0024】上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル等が挙げられる。これらのモノマーは、単独又は混合して用いられる。
【0025】上記親水性モノマーは一般に固体であるので、溶媒に溶解させたものを減圧等の手段により気化させて用いる。上記溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒、水及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0026】又、原料ガスとして、金属含有ガスが好適に使用できる。金属としては前記するSi、Tiの他、例えば、Al、As、Bi、B、Ca、Cd、Cr、Co、Cu、Ga、Ge、Au、In、Ir、Hf、Fe、Pb、Li、Na、Mg、Mn、Hg、Mo、Ni、P、Pt、Po、Rh、Sb、Se、Sn、Ta、Te、V、W、Y、Zn、Zr等の金属が挙げられ、該金属を含有するガスとしては、金属有機化合物、金属−ハロゲン化合物、金属−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコキシド等の処理用ガスが挙げられる。これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。本発明において用いられる原料ガスは、所望薄膜に応じて適宜選択使用されるものであるのでこれらに限定されるものではない。
【0027】上記原料ガスの混合ガス中における含有比率は、好ましくは0.01〜5容量%である。
【0028】上記反応ガスは、原料ガスに反応して所望薄膜を構成する化合物を生成し、もしくはその生成を容易にするものであって、例えば、酸素ガス、オゾン、水(水蒸気)、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素の他、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素元素を含有する有機化合物、窒素ガス、アンモニア、二酸化硫黄、三酸化硫黄等が挙げられる。上記反応ガスの混合ガス中における含有比率は、好ましくは0〜99.99容量%である。
【0029】上記希釈ガスは、上記原料ガスと反応ガスの反応の程度や形成される無機質薄膜の性状を制御するためのものであって、例えば、活性の低いヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素ガス等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいが、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。上記希釈ガスの混合ガス中における含有比率は、好ましくは0〜99.99容量%である。
【0030】本発明の上記放電プラズマ処理空間への混合ガスの供給量及び該処理空間からの排気量の制御に用いられるマスフローコントローラーは、供給される混合ガス、もしくは排気される処理ガス及び未反応ガス量の合計量を所定精度で感知し、供給され、もしくは排気される状態のガス量の体積を、各々設定された供給量及び排気量を一定条件下の質量で比較し、その偏差を開閉弁の開閉度として指示するフィードバック機構によって、供給量及び排気量を各々所定量に制御する制御装置である。上記マスフローコントローラーとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、例えば、供給側、排気側共に、圧力0.5〜1kg/cmで、最大流量の±1%で流量制御できるものが好適に用いられる。
【0031】又、本発明の上記放電プラズマ処理空間からの排気量の制御に用いられる差圧制御計は、配管所定位置間の差圧を所定精度で感知し、設定値と比較、それを開閉弁で制御することで、処理ガス及び未反応ガス量の合計量を制御する制御装置である。又、上記排気に用いられる真空ポンプとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、例えば、排気速度100リットル/分以上、真空到達度1Torr以下の能力を有するものが好適に用いられる。
【0032】上記排気量の制御に用いられるマスフローコントローラー及び差圧流量計は、いずれも、その供給口側の吸引流路に、1個以上のフィルターが装着されてなるものである。上記フィルターを収容するフィルターケースは、例えば、ステンレス鋼「SUS304」製の表面が鏡面加工されたものが挙げられ、フィルターエレメントは、粉体除去用フィルターとして、密度3.6程度の粗いもの、ミスト除去用フィルターとして、密度13.8程度の目の細かいもの、粉体/ミスト除去用フィルターとして、密度3.0と密度8.6をこの順に装填したもの等が挙げられる。上記フィルターの種類、個数は、排気の圧力損失の許容範囲において、必要に応じて選択し、増減することができる。
【0033】上記フィルターの目詰まりについては、圧力計によって随時モニターされてもよい。
【0034】上記放電プラズマ処理装置は、大気圧近傍の圧力下、上記混合ガス雰囲気中で、電界集中によるアーク放電の発生等がなく、均一な放電プラズマを発生し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲面対向平板型、同軸円筒型構造等の対向電極を有する放電プラズマ発生装置が挙げられる。この中で、図1に示すような、ロール状電極1と上記ロール電極1表面と一定間隔を隔てて同軸回転面を表面とする曲面電極2を対向して配置し、両電極1及び2間に略等間隔に湾曲した放電空間3を備えた放電プラズマ発生装置が特に好適に用いられる。
【0035】上記ロール状電極は、円柱状もしくは円筒状の電極であって、電極本体を構成する導電材料としては、好ましくは、銅、アルミニウム等の金属、ステンレス鋼、真鍮等の合金、金属間化合物等が挙げられる。上記両電極1及び2間に略等間隔に湾曲して形成された放電空間3が成膜空間となる。
【0036】上記両電極1及び2の間隔は、上記放電プラズマ処理によって形成される薄膜及び基材65の厚さ以上であれば特に限定されるものではないが、余り広過ぎると放電が雷状になり、放電の均一性を損ない易く、又、基材65のダメージが大きくなるおそれがあるので、50mm以下が好ましい。上記ロール状電極1と曲面電極2との間隔/ロール状電極1の半径は、小さい程放電の均一性に優れるので、1/100以下が好ましい。
【0037】上記両電極1及び2の間隔は、TiO2 薄膜を、Ar99.9容量%、反応性有機チタン化合物0.1容量%含有混合ガス中で成膜させる場合で、1〜3mm、SiO2 薄膜を、N2 16容量%、Ar67.9容量%、O2 16容量%及び反応性有機珪素化合物0.1容量%含有混合ガス中で成膜させる場合で、1〜3mm程度で安定した放電プラズマがたち、安定したTiO2 薄膜ないしはSiO2 薄膜の成膜が可能である。
【0038】上記ロール状電極1と曲面電極2の少なくとも一方の電極表面、特に曲面電極表面2に固体誘電体4で被覆されていることが好ましい。上記ロール状電極と曲面電極に固体誘電体が被覆された場合、上記成膜空間は、露出電極表面と固体誘電体被覆面との間の空間もしくは固体誘電体被覆面同志間の空間となる。
【0039】上記固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。特に、固体誘電体が比誘電率7以上の固体誘電体によれば、低電圧であっても高密度の放電プラズマを発生させることができる。
【0040】比誘電率が10以上であると、低電圧で高密度の放電プラズマを発生させることができ、短時間表面処理や高速表裏処理ができるが、比誘電率が10未満であるとこのような表面処理を行うことが難しくなる。比誘電率の上限は特に限定されるものではないが、現実の材料では18,500程度のものが知られている。特に好ましくは比誘電率が10〜200のものである。そのような固体誘電体としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2 3 、比誘電率7〜14程度)、二酸化ジルコニウム(ZrO2 、比誘電率9〜10程度)、二酸化チタン(TiO2 )等の金属酸化物、チタン酸バリウム(BaTiO3、比誘電率200程度)等の複酸化物等が挙げられる。
【0041】チタン酸化合物は強誘電体として知られており、TiO2 単体の場合は、結晶構造で比誘電率が異なり、ルチル型結晶構造では比誘電率80程度である。又、Ba,Sr,Pb,Ca,Mg,Zr等の金属の酸化物から選ばれた少なくとも1種とTiO2 との化合物の場合は、比誘電率は約2,000〜18,500であり、比誘電率は純度や結晶性によって変化可能である。
【0042】一方、上記TiO2 単独の場合は加熱環境下では組成変化が激しく、例えば、還元雰囲気で加熱すると、酸素欠損を起こす等のため使用環境が制限されたり、通常の成膜方法では、固有抵抗が104 Ω・cm程度の薄膜となるため、電圧印加によりアーク放電に移行し易くなり注意を要する。このためTiO2 単独よりも酸化アルミニウム(Al2 3 )を含有させて用いた方がよく、TiO2 5〜50重量%、Al2 3 50〜95重量%で混合された金属酸化物薄膜、又は、ZrO2 を含有する金属酸化物薄膜からなりでその薄膜厚みが10〜1,000μmの固体誘電体は、熱的にも安定であり、又、比誘電率が10〜14程度となり、固有抵抗が1010程度となってアーク放電を発生しないためより好適である。
【0043】固体誘電体の形状は、シート状でもフィルム状でもよいが、厚みが0.05〜4mmであることが好ましい。厚過ぎると、放電プラズマを発生するのに高電圧を要し、薄過ぎると、電圧印加時に絶縁破壊が起こりアーク放電が発生する。
【0044】上記ロール状電極は、その表面に無機質薄膜が形成される基材の搬送速度に同期して回転可能となされていてもよい。上記ロール状電極の回転方法は、フリー駆動で基材に連動して回転する方式であってもよいし、モーター等の駆動装置により回転する方式でもよい。
【0045】上記ガス導入口は、曲面電極側からロール状電極側に向けて、且つ、基材の搬送方向に向けてガスが導入されるようになされていることが好ましい。従って、この場合には、ガス導入口は、基材搬入側に設けられる。上記ガス導入口の材質は、特に限定されるものではないが、金属製など導電性材料からなるものである場合、上記両電極とガス導入口との間での放電を防ぐため、両電極とガス導入口との間に絶縁体が配設される。
【0046】上記ガス導入口の構造は、特に限定されるものではないが、例えば、加圧ポンプを用いたジェットノズル方式であってもよい。又、ガス導入方向に対向する斜板を設け、ガス供給通路を次第に狭めてガス導入口付近に狭窄部を設け、該狭窄部通過後、混合ガスを拡散させると同時に、基材の搬送方向に略平行に混合ガス流を変更させた後、スリット状もしくは多数の小孔が一列に並べられた吹出口より上記プラズマ空間に吹き出す方式であってもよい。
【0047】又、上記プラズマ空間のロール状電極の回転方向に向って側面がシールされていると混合ガスが効率よく消費されるので好ましい。
【0048】上記ロール状電極を、基材を密着させ、基材の搬送速度に同調させて回転し、プラズマ空間に基材を導入し、ガス導入口から導入される混合ガス雰囲気中で、ロール状電極と曲面電極間に電界を印加することにより発生させた放電プラズマによって、基材上に連続的に無機質薄膜が形成される。
【0049】上記ロール状電極と曲面電極間に印加される電界は、均一に放電プラズマを発生し得るものであれば特に限定されるものではないが、パルス化された電界であることが好ましい。大気圧近傍の圧力下では、上記プラズマ放電状態からアーク放電状態に至る時間が長いガス成分以外は、安定してプラズマ放電状態が保持されずに瞬時にアーク放電状態に移行するので、パルス化された電界を印加することにより、電極間の放電をグロー放電からアーク放電に移行する前に停止させる。電極間にこのような周期的なパルス電界を形成することにより、微視的にパルス的なグロー放電が繰り返し発生し、結果として安定したグロー放電状態で放電プラズマを長期に渡って発生させることが可能となるからである。
【0050】上記パルス電圧波形は、特に限定されるものではないが、例えば、インパルス型、変調型が挙げられ、正又は負の何れかの極性側に電圧を印加するタイプのパルスを用いてもよい。パルスの立ち上がり時間が短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われる。上記立ち上がり時間は用いる電源によって決定されるため、可能な限り立ち上がり時間が短くなるような電源を選択する。
【0051】更に、パルス波形、立ち上がり時間、周波数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。このような変調は高速連続表面処理を行う上で有効である。又、パルス周波数が高く、パルス幅は短い方が高速連続表面処理に適している。
【0052】本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中で、放電プラズマ処理を行うものであるが、対向電極間の放電電流密度が0.2〜300mA/cm2 であって、パルス化された電界の印加における電圧の立ち上がり時間が5μs以下であり、パルスの電界の強さが1〜50kV/cmとなる範囲であり、パルス化された電界の周波数が2〜50kHzである。上記対向電極間の放電電流密度とは、放電により電極間に流れる電流値を、放電空間における電流の流れ方向と直交する方向の面積で除した値をいう。又、電極間にパルス電界を形成する場合、パルス化された電流が流れるが、この場合の放電電流密度とは、上記パルス電流の最大値ピーク−ピーク値を上記面積で除した値をいう。上記電圧の印加において、直流を重畳してもよい。
【0053】上記薄膜を形成させる基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース、アルカリ処理されたトリアセチルセルロース等のプラスチック、ガラス、セラミック、金属等が挙げられ、これらの形状としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの基材の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、50〜200μm程度である。
【0054】上記基材表面は、必要に応じて、薄膜との密着性を高めるために、コロナ放電処理等の表面活性化処理が施されてもよい。上記表面活性化処理は、後述する最初の清浄化装置に供給される直前に処理されてもよく、又、予め基材表面が処理され、ロール状に巻回して一時貯留されたものであってもよい。
【0055】上記清浄化装置は、基材表面に付着した塵埃・異物を除去し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、粘着性を有するゴムロール等の大きな表面エネルギーを有するロール及び該ロールに基材表面を押圧、挟圧等適宜手段によって接触させる圧接装置からなり、粘着性を有するロール面に塵埃・異物を転写して除去する粘着方式の清浄化装置、超音波吹出し・吸引方式の清浄化装置、エアー吹飛ばし方式の清浄化装置(エアーナイフ)、エアー吸引(バキューム)方式の清浄化装置等が挙げられる。
【0056】又、上記基材表面は、清浄化処理の前後において無用の帯電をしていることが多く、塵埃・異物の二次付着し易いものであるので、必要に応じて、清浄化処理の前後において静電気除去装置等を用いて除電することが好ましい。
【0057】清浄化装置によって表面に付着した塵埃・異物が除去された基材が上記放電プラズマ処理空間に供給され、プラズマ放電により混合ガス中の原料ガスの薄膜が基材表面に形成される。上記プラズマ放電による薄膜の形成は、単一回の処理であってもよいが、複数回の処理による複数層の薄膜の形成がなされてもよい。例えば、高屈折率膜としてTiO2 薄膜、低屈折率膜としてSiO2 薄膜を上記プラズマ放電により交互に複数層積層させることによって、更に、上記薄膜に反射防止機能を付加することができる。勿論、反射防止膜として用いられてもよい。
【0058】上記基材は、放電プラズマ処理空間を対向電極の一方の電極表面を摺動もしくは密着して移送されるが、基材の種類によっては、電極表面の凹凸や表面に付着している塵埃・異物等によって、特に加熱高温時に、基材表面に擦過傷が入り、得られる表面処理品の性能を低下させるおそれがあるので、このような場合、使用する対向電極として、基材を密着して移送させるタイプのロール電極と曲面電極とからなる対向電極等を用いるか、もしくは基材の電極摺動面にプロテクトフィルム等を貼着して放電プラズマ処理される。
【0059】上記放電プラズマ処理空間において、ロール電極等の対向電極は、必要に応じて加熱調温される。
【0060】
【発明の実施の形態】以下、本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法の実施例を示す。図1は、本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法を実施するための、連続成膜装置の一例につき、その要部を示す説明図である。
【0061】図1において、1はロール電極であり、該ロール電極1表面に対向して曲面電極2が設けられ、上記両電極1及び2間に、略等間隔の一定広さを有する放電空間3が形成されている。尚、上記両電極1及び2表面には固体誘電体4が密着して被覆されている。上記ロール電極1及び曲面電極2によって形成される放電空間3は、減圧可能なチャンバー100内に収納されている(以下、連続成膜装置の説明図においてはいずれもチャンバー100は省略されている)。上記ロール電極1は接地されており、図示されていないパルス電圧印加電源からパルス電界がロール電極1と曲面電極2との間に印加され、上記放電空間3でプラズマが発生する。
【0062】上記放電空間3の一端にガス導入口51が設けられ、ガスボンベ等の混合ガス供給装置より配管61で供給され、導入口51から上記放電空間3に供給される混合ガスは、マスフローコントローラー71によってガス流量が制御されて、ガス供給ノズル81から上記導入口51を経て上記放電空間3に吹き込まれ、対向する両電極1及び2の間の放電空間3を充満し、プラズマ処理され、該放電空間3に供給される基材上に混合ガスによって薄膜が連続的に形成される。
【0063】一方、上記放電空間3の他端に排気口52が設けられ、プラズマ処理された処理ガス及び未反応ガスからなる排気ガスは、マスフローコントローラー72によって排気量が制御されて、上記排気口52から排気される。
【0064】上記排気口52よりの排気は、該排気口52に連なる排気ガス吸引ノズル82経てマスフローコントローラー72によって排気配管62内を流れるガス流量を検出し、フィードバック制御機構により制御し流量調整弁91で調整して真空ポンプ9で排気される。なお、92は開閉弁である。
【0065】上記マスフローコントローラー71及び72は、供給側、排気側共に、圧力0.5〜1kg/cmで、最大流量の±1%で流量制御されている。上記真空ポンプ9は、排気速度100リットル/分以上、真空到達度1Torr以下の能力を有するものである。
【0066】上記排気口52からマスフローコントローラー72に至る排気配管62には、排気口52側から粉体除去用フィルター11、ミスト除去用フィルター12が設けられている。図示してはいないが、これらフィルター11及び12は、フィルターケース内に装填されている。
【0067】上記フィルターを装填するフィルターケースは、ステンレス鋼「SUS304」製であり、その表面は鏡面加工されており、フィルターエレメントは、粉体除去用フィルター11として、密度3.6、ミスト除去用フィルター12として、密度13.8が各々装填されている。
【0068】上記フィルターの目詰まりについては、圧力計によって随時モニターされている。又、その表面に連続成膜される基材65は、清浄化装置によって基材表面に付着した塵埃・異物が除去された後、上記チャンバー100内の放電空間3に供給されるものであってもよい。
【0069】図2は、本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法を実施するための、連続成膜装置の他の例につき、その要部を示す説明図である。図2に示された連続成膜装置は、排気口52よりの排気装置の制御方法を除き、図1に示された連続成膜装置と同様に装備されている(装置の各部位を示す符号は、図1と同一符号を用いた)。上記排気装置の制御方法は、図2に示されるように、真空ポンプ9によって排気され、オリフィス板931等の前後で示す差圧を制御装置933に伝達し、その値が設定値になるように開閉弁92にフィードバックし制御されている。 上記差圧制御計93は、その供給口側の調整弁92と排気口52の間に、図1に示される前記マスフローコントローラーと同様、粉体除去用フィルター11、ミスト除去用フィルター12が設けられている。尚、13は、これらのフィルターを装填しているフィルターケースである。
【0070】図3は、本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法を実施するための、連続成膜装置の他の例につき、その要部を示す説明図である。図3に示された放電プラズマ処理装置は、排気口52よりの排気装置の制御方法を除き、図1に示された連続成膜装置と同様に装備されている(装置の各部位を示す符号は、図1と同一符号を用いた)。上記排気装置の制御方法は、図3に示されるように、真空ポンプ9によって排気され、排気ガスのフィルター通過前と後との差圧を差圧計932で検出し、差圧制御計93に伝達し、その値が設定値になるように開閉弁92にフィードバックし制御されている。上記差圧制御計93は、その供給口側の調整弁92と排気口52の間に、図1に示される前記マスフローコントローラーと同様、粉体除去用フィルター11、ミスト除去用フィルター12が設けられている。尚、13は、これらのフィルターを装填しているフィルターケースである。
【0071】図4は、本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法を実施するための、連続成膜装置の他の例につき、その要部を示す説明図である。図4に示された連続成膜装置は、排気口52よりの排気装置の制御方法を除き、図1に示された連続成膜装置と同様に装備されている(装置の各部位を示す符号は、図1と同一符号を用いた)。上記排気装置の制御方法は、図4に示されるように、真空ポンプ9によって排気され、排気ガスのフィルター通過後と大気圧との差圧を差圧計932で検出し、差圧制御計93に伝達し、その値が設定値になるように開閉弁92にフィードバックし制御されている。上記調整弁91と排気口52の間に、図1に示される前記マスフローコントローラーと同様、粉体除去用フィルター11、ミスト除去用フィルター12が設けられている。尚、13は、これらのフィルターを装填しているフィルターケースである。
【0072】図5は、本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法を実施するための、連続成膜装置の他の例につき、その要部を示す説明図である。図6に示された連続成膜装置は、図1に示された連続成膜装置を直列に2台を連結した型であって、例えば、TiO2 薄膜上に、更にSiO2 薄膜を積層した反射防止膜のような複数層の薄膜を形成させるためのものである。
【0073】上記連続成膜装置は、第一の放電プラズマ処理空間を包囲するチャンバー101の入口側の壁面に第一の清浄化装置601が開口するように設置され、上記チャンバー101の出口側の壁面と第二の放電プラズマ処理空間を包囲するチャンバー102の入口側の壁面は、第二の清浄化装置602で連結され、2台の連続成膜装置が直列に連結されている。
【0074】上記連続成膜装置を用いる連続成膜法の工程は、紙面左より右へ矢印の方向へ進行するものであり、アンロールスタンド14から繰り出された基材65は、コロナ放電処理15、加熱処理16された後、上記第一の清浄化装置601で基材65表面の清浄化を実施した後、前述されるように放電プラズマ処理され、第一の薄膜が基材65上に形成される。
【0075】上記第一の放電プラズマ処理空間を包囲するチャンバー101は、減圧され、清浄な環境にはあるが、第一の薄膜が形成された基材65は、放電プラズマ処理及び同処理の間に受ける摩擦、剥離等の繰り返しによって相当に帯電して塵埃・異物等を付着し易い状態にあるので、第一の薄膜が形成された基材65は、第二の清浄化装置602で第一の薄膜を含め基材65表面の清浄化が実施され、次いで、第二の放電プラズマ処理が行われ、第一の薄膜上に第二の薄膜が積層された複数層の薄膜が形成され、両側端を所望幅にトリミング17して表面処理品として巻取機18に巻き取られる。
【0076】尚、混合ガスの供給及び排気ガスの吸引並びにその制御は、図1〜図4に示されるものと同様であるが、83は原料ガス気化器であり、84は、原料ガス、希釈ガス及び反応ガス等の混合器である。又、70はパルス電源トランスである。
【0077】図6は、本発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法を実施するための連続成膜装置のの清浄化装置601又は602の一例を示す説明図であり、基材65の搬送方向に、基材65の表裏両面からこれを挟圧してその表面の移動に連動して回転するように配置された複数対の粘着ロール61群と、該ロール61の表面を押圧してその表面の回転に連動して回転し、上記粘着ロール61面に付着させて除去した塵埃・異物を、再転写してクリニングする上記ゴムロール61より強力に塵埃・異物を粘着する大きな表面エネルギーを有するクリニングロール62群とを有し、更に、上記粘着ロール61群の前には、基材65の表面に付着している塵埃・異物64をより粘着ロール61表面に粘着し易くするための除電装置63、上記クリニングロール62群の後には、上記粘着ロール61及びクリニングロール62等との接触によって帯電した基材65の除電装置63が各々付設されている。上記清浄化装置601又は602は、入口にエアカーテンやピンチロール等で塵埃・異物の侵入を防止し、上記チャンバー101及び102内に連なる開閉可能な外筒で被覆されていてもよい。
【0078】図6中に、説明のために、塵埃・異物64を拡大して示し、基材65表面に付着した塵埃・異物64が最初の粘着ロール61表面に粘着捕捉され、次いで、粘着ロール61表面に押圧されその表面の回転に連動して回転する最初のクリニングロール62表面に転写される様子を示した。
【0079】(実施例1)1080mm×400mmφのロール電極と(幅)810mm×投影面積(長さ)100mmで曲率半径202mmRの曲面電極を、図1に示すように対向して配置し、両電極間に高さ2mmの上記曲率半径で湾曲した放電空間が設けられ、該放電空間の入口側端部と出口側端部に、810mm×150mm×100mmの箱型で内部が斜板にて供給路が次第に狭まり、逆に排気路は次第に拡がるようになっているガス導入ノズル及び排気ガス吸引ノズルがガス導入口及び排気口に各々接続して設けられた。
【0080】上記ガス導入ノズルには、マスフローコントローラーを介して、窒素ガス42SLM、酸素ガス8SLM、テトラエトキシシラン(以下、TEOSと略称する)0.5cc/分からなる混合ガスを導入し、排気ガス吸引ノズルからは前記粉体除去用フィルター及びミスト除去用フィルター、マスフローコントローラーを介して、吸引流量を50SLMに設定し、フィードバック制御機構を用いて真空ポンプにより吸引する。混合ガスはTEOSが液化しないように70℃以上に温度調節されている。
【0081】上記のように準備された反応系に、立上り速度5μsec のパルス電界を電極間に印加し、プラズマを発生させ、同時に、ロール電極表面の回転によって厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)フィルムを上記放電空間に供給し、該フィルム上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0082】(実施例2)排気量を調整弁91で50SLMになるように初期設定し、図2に示すオリフィス板の前後の差圧に基づく差圧制御計93を用いて制御したこと以外、実施例1と条件を同じにしてPETフィルム上にSiO2の薄膜を連続成膜した。
【0083】(実施例3)排気量を調整弁91で50SLMになるように初期設定し、実施例2の差圧制御計の用法に替えて、図3に示すように、排気ガスのフィルター通過前と後との差圧に基づき差圧制御計93を用いて制御したこと以外、実施例1と条件を同じにしてPETフィルム上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0084】(実施例4)排気量を調整弁91で50SLMになるように初期設定し、実施例2の差圧制御計の用法に替えて、図4に示すように、排気ガスのフィルター通過後と大気圧との差圧に基づき差圧制御計93を用いて制御したこと以外、実施例1と条件を同じにしてPETフィルム上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0085】(比較例1)図7に示されるように、吸引側排気ガス流路を、排気ガス吸引ノズル/調整弁/真空ポンプとし、排気ガス吸引流量を予め、調整弁、真空ポンプによって50SLMに設定してプラズマ処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にしてPET上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0086】(比較例2)図7に示されるように、吸引側排気ガス流路を、排気ガス吸引ノズル/マスフローコントローラー/調整弁/真空ポンプとし、排気ガス吸引流量を、マスフローコントローラーによって50SLMに制御してプラズマ処理を行ったこと以外は、実施例と同様にしてPET上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0087】(比較例3)図7に示されるように、吸引側排気ガス流路を、排気ガス吸引ノズル/実施例と同じフィルター/調整弁/真空ポンプとし、排気ガス吸引流量を予め、調整弁、真空ポンプによって50SLMに設定してプラズマ処理を行ったこと以外は、実施例と同様にしてPET上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0088】(比較例4)実施例2の差圧制御計において、フィルター10を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にしてPET上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0089】(比較例5)実施例2の差圧制御計を用いないで、排気口から調整弁で排気量を設定し、真空ポンプを用いて排気したこと以外は、実施例2と同様にしてPET上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0090】実施例1〜4及び比較例1〜5の薄膜の連続成膜法を評価するため、スタート時と連続成膜8時間後の排気ガスの吸引流量並びに得られたSiO2 の薄膜の膜厚さ及びそのバラツキ(最大厚さと最小厚さの差を平均値で除したものの百分率)を測定した。測定結果は表1に示した。
【0091】
【表1】

【0092】表1より明らかなように、放電空間における混合ガス流量を同一に設定して連続成膜をスタートさせても、本発明の実施例1、2においては、8時間後の吸引量が何らの変化もなく、得られるいずれのSiO2 の薄膜の厚さのバラツキも、小さく、実質的に変化が認められなかったのに対し、比較例1、2及び4においては8時間以内に吸引流量が0となったり、既にマスフローコントローラーを制御不能とし、誤作動させている。又、比較例3及び5においてもかなり吸引流量が低下しており、排気管路が閉塞してきていることを予測させる。
【0093】このことは、得られる薄膜の平均厚さとバラツキを実施例のそれと比較しても分かるように、比較例1、3においては薄膜の平均厚さが薄くなっており、そのバラツキが大きくなっている(比較例2は、評価不能)。又、比較例のいずれのSiO2 の薄膜の厚さも、成膜直後に比して8時間後の薄膜の厚さは時間の経過と共に加速的に減少するものであって、特に比較例1及び4において顕著であった。
【0094】(実施例5)基材として厚さ188μm、幅710mmのPETフィルム(ハードコート塗工品)を用い、図5に示された連続成膜装置を用いて、常法に従い、基材65表面をコロナ放電処理15並びに加熱処理(70℃)16した後、第一の清浄化装置601で清浄化した後、第一の常圧プラズマCVD装置を用いて、先ず、原料ガス、テトライソプロポキシチタン(0.1容量%)が気化器83で気化され、希釈ガス、アルゴンガス(99.9容量%)と混合器84で混合され、混合ガスがガス供給ノズル81より、放電空間3の基材65の幅方向に均一に導入される。
【0095】上記状態で対向電極1及び2間に、印加電圧Vp-p 3〜6kV、周波数6kHzのパルス状の電界をかけ、プラズマ放電を行って、基材65上にTiO2 薄膜が形成され、第二の清浄化装置602で、基材65上に形成されたTiO2 薄膜を含め基材65表面の清浄化が実施され、次いで、第二の常圧プラズマCVD装置を用いて、原料ガス、テトラメトキシシラン(0.1容量%)が気化器83で気化され、希釈ガス、アルゴンガス(67.9容量%)及び反応ガス、酸素等(酸素16容量%、窒素16容量%)と混合され、混合ガスがガス供給ノズル81より、放電空間3の基材65の幅方向に均一に導入される。上記状態で対向電極1及び2間に、印加電圧Vp-p 11〜18kV、周波数4kHzのパルス状の電界をかけ、プラズマ放電を行って、基材65の第一のTiO2 薄膜上に、第二のSiO2 薄膜が積層された表面処理品が所望幅で作製された。
【0096】尚、用いた図6に示された連続成膜装置の概要は、以下の通りである。
1.対向電極:ロール電極1(陰極):760mm×400mmφのロール電極(溶射コートAl2O3 :1.6mm)
曲面電極2(陽極):(幅)710mm×投影面積(長さ)100mmで曲率半径402mmRの曲面電極(溶射コートAl2O3 :1.6mm)
対向電極間距離:2mm対向電極温度:いずれも70℃【0097】2.ガス導入・排気ノズル:ガス導入ノズル:放電空間の入口側端部と出口側端部に、710mm×150mm×100mmの箱型で内部が斜板にて供給路が次第に狭まるようになっている2室式温調型ガス排気ノズル:ガス導入ノズルと同形状【0098】3.使用電源:ハイデン研究所社製、パルス電源4.液体材料気化供給装置:日本パイオニクス社製、パルス立上り時間5μs以下【0099】4.清浄化装置:粘着ロールユニット:オーディオテクニカ社製、「TC830D」、粘着ロール幅830mm、粘着ロール(「D80」)6本、クリニングロール4本からなる両面乾式清浄化方式除電装置:粘着ロールユニット前後に設置、交流コロナ放電型【0100】(比較例6)実施例5の清浄化装置を用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして基材65にTiO2 薄膜及びSiO2 薄膜が積層された表面処理品を作製した。
【0101】上記比較例6は、常圧大気中を基材が搬送されるため、クリーンルーム内で実施したにも拘らず、周囲の塵埃・異物を基材の表裏両面に、基材の静電気等により付着してしまい、この状態でロール電極に抱かれて、ロール電極と基材の間に挟まった塵埃・異物による突起の形成があり、更には、上記塵埃・異物による突起の形成によって、放電プラズマ処理空間の基材の幅方向の混合ガスの流れが乱され濃淡ができるため、上記突起部分だけ放電プラズマ処理によって形成される薄膜の厚さが薄くなっていた。又、基材の反対面に塵埃・異物が付着したままで放電プラズマ処理された部分は、そこだけが薄膜の形成のない斑点状の模様が形成された。
【0102】これに対して、実施例5で得られたTiO2 薄膜上に、SiO2 薄膜が積層された表面処理品は、放電プラズマ処理空間を移送される基材の塵埃・異物を除去する手段が講ぜられているためか、塵埃・異物による突起や薄膜の欠損した部分の形成は認められず、又、TiO2 薄膜、SiO2 薄膜及びその積層複合薄膜の厚さのバラツキも極めて小さいものであり、光線反射防止膜として光学機器系での優れた性能を示した。
【0103】
【発明の効果】請求項1記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、叙上のように構成されているので、放電空間における混合ガス流量を一定に保つことができ、連続して供給される基材上に、反射防止膜や高反射膜、或いはフィルター等の高精度を要求される光学薄膜等各種薄膜を精密な厚さで、且つ、極めて安定して形成することができる。
【0104】請求項2記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、叙上のように構成されているので、放電プラズマ処理空間を移送される基材表面上の塵埃・異物が除去され、塵埃・異物による突起や薄膜の欠損した部分の形成が認められず、薄膜の厚さのバラツキも極めて小さいものであり、光学機器系等の広い分野での優れた性能を示すものである。
【0105】請求項3記載の発明の連続成膜装置は、叙上のように構成されているので、極めて単純な構造の清浄化装置であり、取扱、保全整備等が容易であり、且つ、確実に基材表面上の塵埃・異物が除去され、前2項の発明において記載した優れた諸効果を奏し得るものである。
【0106】請求項4記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、叙上のように構成されているので、8時間以上にわたる長時間の連続運転を行っても、排気口における吸引流量が変化しないため、前記する請求項1記載の常圧プラズマを用いた連続成膜法の効果を長時間にわたって維持し得るものである。
【0107】請求項5記載の発明の常圧プラズマを用いた連続成膜法は、叙上のように構成されているので、8時間以上にわたる長時間の連続運転を行っても、排気口における吸引流量が変化しないため、前記する請求項1記載の常圧プラズマを用いた連続成膜法の効果を長時間にわたって維持し得るものである。




 

 


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