米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 化学;冶金 -> 積水化学工業株式会社

発明の名称 塩化ビニル系グラフト共重合体及びその成形品
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−48941(P2001−48941A)
公開日 平成13年2月20日(2001.2.20)
出願番号 特願平11−221226
出願日 平成11年8月4日(1999.8.4)
代理人
発明者 豊川 卓也 / 畑山 博之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上0℃未満である(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種類及びその他のラジカル重合性モノマーとからなるアクリル系モノマー100重量部と、多官能性モノマー0. 1〜30重量部とのアクリル系共重合体1〜50重量%に、塩化ビニル又は塩化ビニルを主成分とする塩化ビニル系モノマー50〜99重量%がグラフト共重合されてなり、前記アクリル系共重合体は、ガラス転移温度が−140℃以上0℃未満であり、かつ厚みが10nm以上となされた層を少なくとも一層以上有する多層構造粒子であり、その粒子全体の平均屈折率が1. 52から1. 55であることを特徴とする塩化ビニル系グラフト共重合体。
【請求項2】 請求項1記載の塩化ビニル系共重合体より得られる、光線透過率が85%以上、ヘイズ値が14%以下、シャルピー衝撃値が90kgf・cm/cm2 以上である成形品。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、耐衝撃性に優れた、塩化ビニル系グラフト共重合体及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系樹脂は、機械的強度、耐候性、耐薬品性に優れた特性を有する材料として多くの用途に用いられている。しかし、硬質用に用いると耐衝撃性に劣るという欠点を有しており、種々の改良方法が提案されている。特に、耐衝撃性や耐候性を必要とする用途に、アクリル系共重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させた塩化ビニル系樹脂が提案されている。(例えば、特開昭60−255813号公報参照)
【0003】しかしながら、塩化ビニル樹脂に上記のようなゴム成分を添加した場合、ゴム成分の添加量の増加に伴って耐衝撃性は向上してゆくが、その反面、引張強度、曲げ弾性率等の機械的強度や透明性は低下してゆく傾向があり、耐衝撃性を保持しながら透明性、機械的強度を向上させることが工業的に要望されている。
【0004】透明性、曲げ弾性率を向上させる方法としては、特開昭61−195106号公報には、スチレンを共重合させたアクリル系共重合体に塩化ビニルをグラフト重合させる方法が開示されているが、ここにはその共重合体の構造(粒径、層構造など)が明記されておらず、また、耐衝撃性、透明性が十分であるとはいえない。
【0005】そこで、本発明者らは既に、特開平10−265533号公報において、透明性を付与した透明耐衝撃性塩化ビニル系グラフト共重合体を提案している。このものは、透明性と耐衝撃性とが比較的バランスよく付与された塩化ビニル系グラフト共重合体であった。しかしながら、機械的強度、耐衝撃性は十分であったが、透明性の更なる改善が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の現状に鑑み、透明性、耐衝撃性、機械的強度等に優れるとともに、これら特性のバランスにも優れた塩化ビニル系グラフト共重合体を提供することを目的とする。また、本発明は、上記製造方法により製造された塩化ビニル系グラフト共重合体を用いた成形品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体は、アクリル系共重合体1〜50重量%に、塩化ビニル又は塩化ビニルを主成分とする塩化ビニル系モノマー50〜99重量%をグラフト重合して得られる塩化ビニル系グラフト共重合体である。
【0008】上記アクリル系共重合体の含有量が1重量%未満では、得られる塩化ビニル系グラフト共重合体が充分な耐衝撃性を得ることができず、50重量%を越えると、得られる塩化ビニル系グラフト共重合体の曲げ強度や引張強度等の機械的強度が低くなるため上記範囲に限定される。上記アクリル系共重合体の好ましい含有量は、4〜20重量%である。
【0009】上記アクリル系共重合体は、単独重合体のガラス転移温度が−140以上0℃未満である(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種類及びその他のラジカル重合性モノマーとからなるアクリル系モノマー100重量部と、多官能性モノマー0. 1〜30重量部とから形成される多層構造粒子であり、その粒子全体の平均屈折率が1. 52から1. 55である。平均屈折率が1. 52から1. 55の範囲を外れた場合、上記塩化ビニル系共重合体より得られる成形品の光線透過率が低下し、ヘイズ値が増大するので実用的でない。
【0010】上記多層構造粒子とは、ガラス転移温度が−140℃以上0℃未満であり、かつ厚みが10nm以上となされた層(以下、低Tg層と称す)を少なくとも一層以上有する粒子のことを意味し、例えば、表層(シェル)を低Tg層で構成して中心部(コア)をその他の材料で構成したコアシェル構造粒子、中間層を低Tg層で構成し、中心部及び最外層をその他の材料で構成した三層構造粒子、低Tg層で構成した層とその他の材料で構成した層をそれぞれ一層以上有する三層以上の多層構造粒子等が挙げられる。上記低Tg層が存在しない場合又はその厚みが10nm未満である場合は、上記塩化ビニル系共重合体より得られる成形品のシャルピー衝撃値が低下するので実用的でない。上記低Tg層の厚みの測定は、試料を酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡を用いて行うことができる。
【0011】なお、上記塩化ビニル系共重合体より得られる成形体は、光線透過率が85%以上、ヘイズ値が14%以下、シャルピー衝撃値が90kgf・cm/cm2 以上である。
【0012】上記(メタ)アクリレートモノマーは、上記低Tg層を形成し、塩化ビニル系グラフト共重合体の耐衝撃性を向上させるために配合するものであり、室温での柔軟性を要するため、その単独重合体のガラス転移温度は−140℃以上0℃未満である。充分な柔軟性を塩化ビニル系グラフト共重合体に付与するため、上記(メタ)アクリレートモノマーのガラス転移温度は0℃未満であれば特に種類は限定されないが、工業的に一般に使用されるポリマーのガラス転移温度を鑑みて−140℃以上が適当である。
【0013】上記(メタ)アクリレートモノマーとしては、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上30℃未満のものであれば特に限定されず、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n ‐プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n ‐ブチル(メタ)アクリレート、イソブチルアクリレート、sec ‐ブチルアクリレート、クミルアクリレート、n ‐ヘキシル(メタ)アクリレート、n ‐ヘプチル(メタ)アクリレート、n ‐オクチル(メタ)アクリレート、2‐メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2 ‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n ‐ノニル(メタ)アクリレート、2 ‐メチルオクチル(メタ)アクリレート、2 ‐エチル(メタ)ヘプチルアクリレート、n ‐デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体のガラス転移温度は、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック(基礎編)」(1986年、培風館社)によった。例えば、スチレンの単独重合体のTgは100℃、n‐ブチルアクリレートの単独重合体のTgは―54℃である。
【0014】上記ラジカル重合性モノマーは、上記低Tg層以外の部分を構成する材料を形成し、上記多層構造粒子全体の屈折率を1.52〜1.55に調整するためのものである。このため、単独重合体の屈折率が1.52より大きいラジカル重合性モノマーが使用される。このようなラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3‐クロロプロピルメタクリレート、クロロヘキシルメタクリレート等の極性基含有アルキル(メタ)アクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等の芳香族アルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、2‐アクリロイルオキシエチルフタル酸、塩化ビニリデン等の極性基含有ビニルモノマー、スチレン、α- メチルスチレン、o,m,p‐メチルスチレン、o,m,p‐プロピルスチレン、o,m,p‐クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記ラジカル重合性モノマーの屈折率は、「ポリマーハンドブック」(1989年、ウイリー・インターサイエンス)によった。
【0015】上記(メタ)アクリレートモノマーと、上記単独重合体の屈折率が1.52より大きいラジカル重合性モノマーとの配合比率は、アクリル系共重合体の屈折率を1.52〜1.55に調節できる配合比率であれば特に限定されないが、通常、アクリル系モノマー成分中の上記(メタ)アクリレートモノマー量は20〜80重量%であることが好ましい。
【0016】上記多官能性モノマーは、上記塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂の耐衝撃性を向上させ、更に、上記アクリル系共重合体を製造する際、及び、製造後の上記アクリル系共重合体の粒子の合着を抑制するために配合するものである。
【0017】上記多官能性モノマーとしては、例えば、ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、トリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、その他の多官能性モノマーとしては、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリアリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】上記多官能性モノマーの量は、アクリル系共重合体を形成するアクリル系モノマー100重量部に対して、0. 1〜30重量部である。上記多官能性モノマーの配合量が、0.1重量部未満では、アクリル共重合体が塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂中で独立した粒子形状を保てなくなるため、塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂の耐衝撃性が低下する。一方、30重量部を越えると、アクリル系共重合体の架橋密度が高くなり、耐衝撃性が得られなくなるため上記範囲に限定される。好ましくは、上記アクリル系モノマー100重量部に対して0.15〜15重量部である。
【0019】本発明において、上記アクリル系モノマー成分と上記多官能性モノマーとを共重合させる方法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。これらの中では、耐衝撃性の発現性がよく、アクリル系共重合体の粒子径の制御が行い易い点から乳化重合法が望ましい。なお、上記共重合とは、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等すべての共重合をいう。
【0020】上記乳化重合法は、従来公知の方法で行うことができ、例えば、必要に応じて、乳化分散剤、重合開始剤、pH調整剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0021】上記乳化分散剤は、アクリル系モノマー成分と多官能性モノマーとの混合物(以下、混合モノマーともいう)の乳化液中での分散安定性を向上させ、重合を効率的に行うために用いるものである。上記乳化分散剤としては特に限定されず、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。 これらの中では、アニオン系界面活性剤が好ましく、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート(第一工業製薬社製「ハイテノールN−08」)等が挙げられる。
【0022】上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の水溶性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
【0023】上記乳化重合法の種類は特に限定されず、例えば、一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下法等が挙げられる。
【0024】上記一括重合法は、ジャケット付重合反応器内に純水、乳化分散剤、及び混合モノマーを一括して添加し、窒素気流加圧下で撹拌して充分乳化した後、反応器内をジャケットで所定の温度に昇温し、その後重合させる方法である。
【0025】上記モノマー滴下法は、ジャケット付重合反応器内に純水、乳化分散剤、及び重合開始剤を入れ、窒素気流下による酸素除去及び加圧を行い、反応器内をジャケットにより所定の温度に昇温した後、混合モノマーを一定量ずつ滴下して重合させる方法である。
【0026】上記エマルジョン滴下法は、混合モノマー、乳化分散剤、及び純水を撹拌して乳化モノマーを予め調製し、次いで、ジャケット付重合反応器内に純水及び重合開始剤を入れ、窒素気流下による酸素除去及び加圧を行い、反応器内をジャケットにより所定の温度に昇温した後、上記乳化モノマーを一定量ずつ滴下して重合させる方法である。
【0027】また、上記エマルジョン滴下法では、重合初期に上記乳化モノマーの一部を一括添加(以下シードモノマーと呼ぶ)し、その後残りの乳化モノマーを滴下する方法を用いれば、シードモノマーの量を変化させることにより、生成するアクリル系共重合体の粒径を容易に制御することができる。さらに、シードモノマー及び滴下する乳化モノマーの種類及び組成を順次、変更することにより、コアシェルなどの多層構造を形成することも可能である。
【0028】上記したような重合方法において、反応終了後に得られるアクリル系共重合体の固形分比率は、アクリル系共重合体の生産性、重合反応の安定性の点から10〜60重量%が好ましい。また、上記したような重合方法においては、反応終了後のアクリル系共重合体の機械的安定性を向上させる目的で保護コロイド等を添加しても良い。
【0029】本発明では、多層構造粒子であるアクリル系共重合体の屈折率が、グラフトされる塩化ビニル系重合体の屈折率(1. 52〜1. 55)と等しくなるように各構成モノマーの組成比が決定され、共重合される。アクリル系共重合体の屈折率と、グラフトされる塩化ビニル系重合体の屈折率が合わないと、アクリル共重合体で光の屈折反射が起こって、塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂の透明性が損なわれる。
【0030】アクリル系共重合体の屈折率は、構成モノマーの単独重合体の屈折率と、アクリル系共重合体における重量分率に応じて次の計算式(1)によって算出することができる。
【0031】
n( Px …) =n( P1 ) ×W( P1 ) +n( P2 ) ×W( P2 ) +…(1)
計算式(1)中の符号の意味は下記の通りである。
n( Px …) :アクリル系共重合体の屈折率(xは1以上の整数)
n( P1 ) :構成モノマー1の単独重合体の屈折率W( P1 ) :アクリル系共重合体中の構成モノマー1の重量分率n( P2 ) :構成モノマー2の単独重合体の屈折率W( P2 ) :アクリル系共重合体中の構成モノマー2の重量分率【0032】なお、上記(メタ)アクリレートモノマー、共重合可能なラジカル重合性モノマー、多官能性モノマーの屈折率は、ウイリー・インターサイエンスの「ポリマーハンドブック」によった。例えばスチレンの屈折率は1.592、n−ブチルアクリレートの屈折率は1.466であり、トリメチロールプロパントリアクリレートの屈折率は、1.48とした。
【0033】また、上記アクリル系共重合体の屈折率は、アクリル系共重合体の製造において、重合反応が終了した後に得られるアクリル系共重合体の分散溶液の屈折率を液体屈折率計で測定し、下記計算式(2)を用いて算出することができる。
【0034】
粒子の屈折率=〔(アクリル系共重合体の分散溶液の屈折率−分散媒体の屈折率)/アクリル系共重合体の固形分比率〕+分散媒体の屈折率 (2)
【0035】また、上記アクリル系共重合体の屈折率は、上記アクリル系共重合体の分散溶液を乾燥し、乾燥終了後、固形物の屈折率を直接測定することにより得ることもできる。
【0036】本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体中の塩化ビニル系重合体の重合度は、300〜2000が好ましく、400〜1600がより好ましい。重合度が300未満であったり、2000を越えると、本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体を成形する際の成形性が悪くなることがある。
【0037】上記アクリル系共重合体に、塩化ビニルをグラフト共重合させる方法としては、特に限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられる。これらの中では、懸濁重合法が好ましい。上記懸濁重合法により重合を行う際には、分散剤、重合開始剤等を用いてもよい。
【0038】上記分散剤としては、特に限定はされないが、上記アクリル系共重合体の分散安定性を向上させ、塩化ビニルのグラフト重合を効率的に行う目的で添加される。例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられ、これらは単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0039】上記重合開始剤としては、特に限定されないが、ラジカル重合開始剤がグラフト共重合に有利であるという理由から好適に用いられる。例えば、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート α クミルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類、22アゾビスイソブチロニトリル22 アゾビス24 ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0040】塩化ビニルをグラフト共重合させる際に、重合中に重合槽内に付着するスケールを減少させる目的で、上記アクリル系共重合体の分散溶液に、凝集剤を添加しても良い。更に、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0041】上記懸濁重合法としては、例えば、以下の方法を用いることができる。すなわち、温度調整装置、及び撹拌機を備えた反応容器に、純水、上記アクリル系共重合体分散溶液、分散剤、重合開始剤、必要に応じて水溶性増粘剤、及び重合度調節剤を投入する。その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に撹拌条件下で塩化ビニル、また必要に応じて他のビニルモノマーも投入した後、反応容器内をジャケットにより加熱し、塩化ビニルのグラフト共重合を行う。このとき、重合温度は30〜90℃、重合時間2〜20時間が好ましい。
【0042】上記した懸濁重合法では、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温度、つまり重合温度を制御することが可能である。反応終了後は、未反応の塩化ビニル等を除去しスラリー状にし、更に脱水乾燥することにより塩化ビニル系グラフト共重合体が得られる。
【0043】上記塩化ビニル系グラフト共重合体を成形して成形品を得る場合には、必要に応じて熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料等が添加されてもよい。
【0044】上記熱安定剤としては、特に限定されず、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】上記安定化助剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】上記滑剤としては、特に限定されず、例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】上記加工助剤としては、特に限定されず、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】上記酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】上記光安定剤としては、特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】上記顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】また、上記成形品を得る場合には、成形時の加工性を向上させる目的で、上記塩化ビニル系グラフト共重合体に可塑剤を添加してもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、ジブチルフタレート、ジ-2- エチルヘキシルフタレート、ジ-2- エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】上記した各種配合剤や可塑剤を、上記塩化ビニル系グラフト共重合体に混合する方法としては、特に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられる。また、上記塩化ビニル系グラフト共重合体の成形方法としては、特に限定されず、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法等が挙げられる。
【0053】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0054】実施例1〜3、比較例1〜6〔アクリル系共重合体の製造〕表1に示した、コア層、中間層、及び最外層を形成するためのモノマー(以下、それぞれをコア層形成用モノマー、中間層形成用モノマー、最外層形成用モノマーという)をそれぞれ、所定量の純水、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、多官能性モノマー)、及び、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート(乳化分散剤)と混合、撹拌し、それぞれの乳化モノマーを調製した。なお、実施例1と比較例3〜6はコアシェル構造、実施例2〜3は3層構造、比較例1〜2は単純共重合層(1層)である。TMPTAは各層にそれぞれ添加され、その合計量が1重量部である。各層への添加割合は層を構成する各層に使用されるモノマーの量に応じて分割した。
【0055】次に撹拌機及び還流冷却器を備えた反応器に、純水を入れ、容器内の酸素を窒素により置換した後、撹拌下で反応温度を70℃まで昇温した。昇温終了後、反応器に開始剤(過硫酸アンモニウム)、及び、コア層形成用モノマーの50%を一括して投入し、重合を開始した。続いて、コア層形成用モノマーの残りを滴下した。更に、コア層形成用モノマーの滴下が終了次第、中間層形成用モノマー、及び、最外層形成用モノマーを順次滴下した。全ての乳化モノマーの滴下を3時間で終了し、その後、1時間の熟成期間をおいた後、重合を終了して固形分濃度約30重量%のアクリル系共重合体の粒子を得た。得られたアクリル系共重合体の粒子の屈折率、低Tg層の厚み、及び、平均粒子径を下記の評価方法‐1により測定し、結果を表1に示した。
【0056】〔評価方法‐1〕
(アクリル系共重合体の屈折率)アクリル系共重合体の屈折率は、アクリル系共重合体の製造において、重合反応が終了した後に得られるアクリル系共重合体の分散溶液の屈折率を液体屈折率計で測定し、下記計算式(2)を用いて算出した。
粒子の屈折率=〔(アクリル系共重合体の分散溶液の屈折率−分散媒体の屈折率)/アクリル系共重合体の固形分比率〕+分散媒体の屈折率 (2)
(低Tg層の厚み)アクリル系共重合体の低Tg層の厚みの測定は、透過式電子顕微鏡を用いて行った。塩化ビニル系グラフト共重合体を用いた成形品もしくは塩化ビニル系グラフト共重合体のアクリル埋包サンプルを酸化ルテニウムで染色し、超薄切片を作成する。これを透過式電子顕微鏡(JEM‐1010、日本電子(株))で観察し、染色部分の厚みを測定した。
(平均粒子径)アクリル系共重合体の粒子を光散乱粒度計(型式;DLS−7000、大塚電子社製)にて測定した。
【0057】〔塩化ビニル系グラフト共重合体の製造〕次いで、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、得られたアクリル系共重合体の粒子、純水、部分鹸化ポリ酢酸ビニルの3%水溶液、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−クミルパーオキシネオデカノエートを一括投入し、その後、真空ポンプで反応器内の空気を排出し、更に、撹拌しながら塩化ビニルを投入した後、ジャケット温度の制御により重合温度64℃にて重合を開始した。
【0058】約5時間後、反応器内の圧力が5kg/cm2 の圧力まで低下することで反応の終了を確認し、反応を停止した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去し、更に、脱水乾燥を行うことで、塩化ビニル系グラフト共重合体を得た。得られた塩化ビニル系共重合体の重合度、光線透過率、ヘーズ値、シャルピー衝撃値、降伏強度を下記の評価方法‐2により測定し、結果を表1に示した。
【0059】〔評価方法‐2〕
(重合度)上記塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂5gをテトラヒドロフラン100gに溶解し、可溶部のみをメタノールで析出させ、濾過後乾燥させた。乾燥終了後、メタノール不溶成分につき、JIS K6721に準拠して重合度を測定した。
【0060】(耐衝撃性)JIS K7111に準拠し、シャルピー衝撃試験を行った。試料は、塩化ビニル系グラフト共重合体樹脂100重量部に対し、有機錫系安定剤0.5部、モンタン酸系滑剤 1.0部を混合した樹脂組成物を、200℃で3分間ロール混練した後、200℃で3分間プレス成形して得られた厚さ3mmのプレス板より作製した。測定温度は23℃である。
【0061】(引張強度)JIS K7113に準拠し、引張強度試験を行った。試料は、上記シャルピー衝撃試験に用いたプレス板と同じ物を用いた。測定温度は23℃である。
【0062】(光線透過率)JIS K−6714に準拠し、光線透過率の測定を行った。試料は、上記シャルピー衝撃試験に用いたプレス板と同じ物を用いた。測定は室温で行った。
【0063】(ヘイズ値)JIS K−7105に準拠し、ヘイズの測定を行った。試料は、上記シャルピー衝撃試験に用いたプレス板と同じ物を用いた。測定は室温で行った。
【0064】
【表1】

【0065】
【発明の効果】上述した通り、本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体は、屈折率、粒子構造が特定化されたアクリル系共重合体に塩化ビニルがグラフト共重合されているので、得られる成形品の透明性、耐衝撃性及び引張強度が共にバランス良く優れている。したがって、得られる成形体は、管工機材、建築部材、住宅資材、異形断面を有する防音壁のような用途だけでなく、良好な透明性を要求される各種プレートに好適に使用される。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013