米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 化学;冶金 -> 積水化学工業株式会社

発明の名称 塩化ビニル系樹脂
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−19727(P2001−19727A)
公開日 平成13年1月23日(2001.1.23)
出願番号 特願平11−193298
出願日 平成11年7月7日(1999.7.7)
代理人
発明者 大村 貴宏 / 森川 岳生
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーをソープフリー重合して得られる、ガラス転移温度が−20℃以下のアクリル系共重合体1〜30重量%に、塩化ビニルを主成分とするビニルモノマー99〜70重量%をグラフト共重合させてなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性に優れると共に熱安定性及び成形加工性に優れた塩化ビニル系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、機械的強度、耐候性、耐薬品性等に優れた特性を有する材料として多くの用途に用いられている。しかし、硬質製品に用いると耐衝撃性に劣るという欠点を有している。
【0003】これらの欠点を改良する方法として、例えば、特開昭60−255813号公報には、架橋したアクリル系共重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させた塩化ビニル系樹脂が開示され、特に、耐衝撃性や耐候性を必要とする用途向けの塩化ビニル系樹脂として提案されている。しかし、このグラフト塩化ビニル系樹脂は、ストレートの塩化ビニル樹脂と比し、熱成形時に初期着色を起こしやすく、若干熱安定性に劣ることが分かってきた。また、上記グラフト塩化ビニル系樹脂は、樹脂滑性が高いためゲル化時間が長く、加工性能に劣るという欠点も有する。
【0004】これらの問題点の原因としては、塩化ビニル系樹脂中に残存している乳化剤の影響が考えられる。特開昭60−255813号公報を含め、これまで開示されているアクリル系共重合体と塩化ビニルのグラフト共重合体の乳化重合法による好ましい製造方法においては、当該アクリル系共重合体は、乳化剤を用いた乳化重合法により製造されている。このアクリル系モノマーの乳化重合の際に使用される乳化剤は、塩化ビニルのグラフト重合過程において、一部は重合排液と共に系外に排出されるが、大部分は塩化ビニル系樹脂中に取り込まれている。この乳化剤は、樹脂と化学的に結合しているわけではなく、塩化ビニル系樹脂の溶融成形時に、樹脂より遊離して樹脂に滑性を与えたり、化学的に変化して樹脂の熱安定性を損なうきっかけとなっていると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を解決するために、耐衝撃性に優れると共に熱安定性及び成形加工性に優れた塩化ビニル系樹脂を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による塩化ビニル系樹脂は、(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーをソープフリー重合して得られる、ガラス転移温度が−20℃以下のアクリル系共重合体1〜30重量%に、塩化ビニルを主成分とするビニルモノマー99〜70重量%をグラフト共重合させてなることを特徴とする。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】上記(メタ)アクリレートは、塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性を向上させる目的で使用され、室温での柔軟性を付与するために、当該(メタ)アクリレートの単独重合体のガラス転移温度が−20℃以下であることが好ましく、さらに、工業的に一般に使用されるポリマーのガラス転移温度を考慮すると、−140℃以上が好ましい。尚、このガラス転移温度は、培風館発行、高分子学会編「高分子データハンドブック(基礎編)」等によった。また、本明細書において、上記(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートを総称するものとする。
【0009】ガラス転移温度が−140〜−20℃の(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、2−メチルオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘプチルメタクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、2−メチルノニル(メタ)アクリレート、2−エチルオクチル(メタ)アクリレート、n−ドデシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上が併用されてもよい。
【0010】また、本発明において、(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性モノマーとしては、塩化ビニル系樹脂の機械的強度、耐薬品性及び成形性を改善する目的で添加され、特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸等の極性基含有ビニルモノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上が併用されてもよい。
【0011】さらに、本発明において、(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーには、本発明のアクリル系共重合体を架橋する目的で、必要に応じて多官能性モノマーが添加されてもよい。
【0012】当該多官能性モノマーとしては、例えば、ジ(メタ)アクリレートとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、トリ(メタ)アクリレートとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、その他の多官能性モノマーとしては、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリアリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上が併用されてもよい。
【0013】これら多官能性モノマーの、(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーに対する添加量としては、ラジカル重合性モノマー90〜100重量%に対して、多官能性モノマーを10〜0重量%添加するのが好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。多官能性モノマーの添加量が10重量%を超えると、架橋密度の過乗により耐衝撃性が得られにくくなることがある。
【0014】また、本発明に用いられるアクリル系共重合体は、ガラス転移温度が−20℃以下であることが必要である。ガラス転移温度が−20℃を超えると、雰囲気温度が0℃以下になる場合、塩化ビニル系樹脂が耐衝撃性を発現しなくなり、寒冷地での使用に耐えうることができなくなる。
【0015】上記アクリル系共重合体は、(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーをソープフリー重合して得られるが、該ソープフリー重合の方法としては特に限定されず、例えば、乳化剤又は分散剤を一切使用しないか、あるいは極微量に使用して重合を行う方法、ポリアクリル酸やポリビニルアルコール等の親水性ポリマーが分散された系中で重合を行う方法又は乳化剤の分離を防ぐために反応性乳化剤を用いて重合を行う方法等が挙げられる。本発明においては、乳化剤の影響をより厳密に排除するため、乳化剤又は分散剤を一切使用しないか、あるいは極微量に使用して重合を行う方法が好ましい。
【0016】上記ソープフリー重合で用いられる重合開始剤としては、疎水性開始剤として例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機過酸化物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤が挙げられ、親水性開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等が挙げられる。本発明においては、重合時の分散安定性を向上させる親水性開始剤の使用が好ましい。
【0017】このソープフリー重合においては、生成したポリマー粒子の分散安定性を向上させるために、極微量の乳化剤又は分散剤が添加されても良く、当該乳化剤又は分散剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。本発明においては、アニオン系界面活性剤の使用が好ましく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート等が挙げられる。この乳化剤又は分散剤の添加量としては、ラジカル重合性モノマー100重量部に対して0.1重量部以下が好ましい。0.1重量部を超えると、塩化ビニル系樹脂の熱安定性、成形加工性が損なわれることがある。
【0018】本発明において、ソープフリー重合の方法には、モノマー添加方法の違いから一括重合法とモノマー滴下法との2つの方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。ここで、一括重合法とは、例えば、ジャケット付重合反応槽内にイオン交換水、モノマーを一括して添加し、重合槽内部を減圧にして酸素除去を行った後、窒素にて大気圧に圧戻しを行った窒素雰囲気下において、撹拌により重合系を懸濁状態とし、重合槽内を所定の温度にした後、重合開始剤を添加して重合する方法である。また、モノマー滴下法とは、例えば、ジャケット付重合反応槽内にイオン交換水、重合開始剤を入れ、重合槽内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧に圧戻しを行った窒素雰囲気下において、まず重合槽内を所定の温度にした後、モノマーを一定量ずつ滴下することにより徐々に重合する方法である。さらに、モノマー滴下法において、重合初期にモノマーの一部(以下、シードモノマーと記す)を一括添加し、シードポリマー粒子を生成させた後、残りのモノマーを滴下する方法を用いれば、シードモノマーの量を変化させることにより生成ラテックスの粒径を制御することができる。
【0019】また、本発明のソープフリー重合においては、必要に応じて、連鎖移動剤、pH調整剤、酸化防止剤等の各種添加剤の単独もしくは2種以上が添加されてもよい。
【0020】本発明において、ソープフリー重合で得られるアクリル系共重合体はラテックス状態で得られ、この樹脂固形分は、特に限定されず、ラテックスの生産性、重合反応の安定性を考慮すると、5〜60重量%が好ましい。
【0021】上記アクリル系共重合体ラテックスの平均樹脂粒子径としては特に限定されず、0.01〜1.0μmが好ましい。1μmを超えると、塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性と抗張力が共に低下することがあり、また、0.01μm未満であると、耐衝撃性がやや低下することがある。
【0022】上記アクリル系共重合体ラテックスには、ラテックスの機械的安定性を向上させるために、ラテックス重合反応の終了後に保護コロイド剤が必要に応じて添加されてもよい。
【0023】本発明の塩化ビニル系樹脂において、上記アクリル系共重合体の含有量が1〜30重量%が必要であり、4〜20重量%が好ましい。アクリル系共重合体の含有量が1重量%未満であると、耐衝撃性が不十分であり、また、30重量%を超えると、曲げ強度や引張強度等の機械的強度が低くなる。
【0024】本発明において、アクリル系共重合体にグラフト共重合させる塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーとは、50重量%以上の塩化ビニルとこれと共重合可能なビニルモノマーとの混合物を意味し、さらに、共重合可能なモノマーとしては、特に限定されず、例えば、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルビニルエーテル、エチレン、フッ化ビニル、マレイミド等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上が併用されてもよい。
【0025】上記アクリル系共重合体に塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーをグラフト共重合させる方法としては、特に限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられるが、懸濁重合法が好適に用いられる。
【0026】この懸濁重合に用いる分散剤は、上記アクリル系共重合体ラテックスの分散安定性を向上させ、塩化ビニルのグラフト重合を効率的に行うために添加され、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上が併用されてもよい。
【0027】また、この懸濁重合に用いる疎水性重合開始剤は、ラジカル重合開始剤が好適に用いられ、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0028】本発明において、上記アクリル系共重合体に塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーをグラフト共重合させる場合に、重合中に重合槽内に付着するスケールを減少させるために、上記アクリル系共重合体ラテックスに、凝集剤を添加しても良い。また、上記懸濁重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0029】本発明の塩化ビニル系樹脂中のポリ塩化ビニルの重合度は、300〜2000が好ましく、400〜1600がより好ましい。重合度が300未満でも、2000を超えても、成形加工性が不十分となることがある。
【0030】本発明の塩化ビニル系樹脂を成形する場合には、必要に応じて、熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、充填剤、顔料等の添加剤が添加されて用いられてもよい。
【0031】上記熱安定剤としては、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。
【0032】上記安定化助剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油、エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等が挙げられる。
【0033】上記滑剤としては、例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。
【0034】上記加工助剤としては、例えば、重量平均分子量10〜200万のアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体的には、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0035】上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。
【0036】上記光安定剤としては、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。
【0037】上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0038】上記顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。
【0039】また、本発明の塩化ビニル系樹脂には、成形時の加工性を向上させるために可塑剤が添加されても良く、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。
【0040】これらの添加剤を上記塩化ビニル系樹脂に混合する方法としては、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられ、また、成形方法としては、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法等が挙げられる。
【0041】本発明の塩化ビニル系樹脂は、上述のような構成であるので、耐衝撃性に優れると共に熱安定性及び成形加工性に優れた性能を発揮することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
【0043】(実施例1〜3、比較例2及び4)
(1)アクリル系共重合体の調製撹拌機及びジャケットを備えた重合器にイオン交換水を入れ、攪拌を開始し、重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧戻しをして置換し、重合器内の液温度を70℃まで昇温した。昇温が完了した重合器に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1部を一括添加した後、15分間撹拌溶解した。次に、表1に示す組成を有するモノマーの滴下を開始し、モノマーの滴下を2時間で終了した。そのまま、1時間の熟成時間を置いた後重合を終了して、固形分濃度約20%、粒径0.2〜0.3μmのラテックス状態のアクリル系共重合体(以下、ラテックスと記す)を得た。
【0044】(2)塩化ビニル系樹脂の調製撹拌機及びジャケットを備えた重合器に、イオン交換水、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの3%水溶液、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート及び表1に示す組成の上記(1)のラテックスを一括投入し、真空ポンプで重合器内の空気を排出した後、撹拌条件下で表1に示す組成の塩化ビニルを投入し、ジャケット温度の制御により重合温度57℃にて重合を開始した。反応器内の圧力が6.0kgf/cm2 の圧力まで低下することで反応終了を確認し、冷却して停止した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去し、更に脱水乾燥することにより、重合度が約1000のポリ塩化ビニルを含む塩化ビニル系樹脂を得た。
【0045】(3)性能評価上記(2)の塩化ビニル系樹脂の性能を以下の方法で評価した。その結果は、表1に示すとうりであった。
■熱安定性:JIS K 7212に準拠し、熱老化性試験を行った。試験片には、塩化ビニル系樹脂100部に対して、有機錫系安定剤1.0部、モンタン酸系滑剤0.5部を混合した樹脂組成物を、190℃で3分間ロール混練して得られたロールシートを使用した。試験温度は190℃で、サンプルを10分に取り出し、初期着色が見られるまでの時間を評価した。
■ゲル化時間:東洋精機社製ラボプラストミル(model 50C150)を用い、金型温度190℃、回転速度40rpm、試料充填量55gの条件下で、トルクが立ち上がる時間を測定した。試料は、塩化ビニル系樹脂100部に対して、有機錫系安定剤1.0部、ポリエチレン系滑剤0.5部、ステアリン酸カルシウム0.5部を混合した樹脂組成物を用いた。評価したゲル化時間は、実用面から360秒以下が好ましい。
■耐衝撃性:JIS K 7111に準拠して測定したシャルピー衝撃値で評価した。試験片は、塩化ビニル系樹脂100部に対して、有機錫系安定剤1.0部、ポリエチレン系滑剤0.5部、ステアリン酸カルシウム0.5部を混合した樹脂組成物を、200℃で3分間ロール混練した後、200℃で3分間プレス成形して得られた厚さ3mmのプレス板より作製した。測定温度は23℃で行った。
■引張強度:JIS K 7113に準拠して測定した引張強さで評価した。試験片は、上記シャルピー衝撃試験と同様にして作製した。測定温度は23℃で行った。
【0046】(比較例1及び3)
(1)アクリル系共重合体の調製重合に使用する全量の30%のイオン交換水、乳化分散剤N−08(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート)1.0部及び表1に示す組成を有するモノマーを混合、撹拌し、乳化モノマーを調製した。一方、重合器に残りのイオン交換水を入れ、攪拌を開始し、重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧戻しをして置換し、重合器内の液温度を70℃まで昇温した。昇温が完了した重合器に、過硫酸アンモニウム0.1部及び上記乳化モノマーの10%をシードモノマーとして一括して投入して重合を開始した。続いて、乳化モノマーの残りを滴下し2時間で終了した。そのまま、1時間の熟成時間を置いた後重合を終了して、固形分濃度約30%、粒径0.2〜0.3μmのアクリル系共重合体ラテックスを得た。
【0047】(2)塩化ビニル系樹脂の調製上記(1)のラテックスを用いたこと以外は実施例と同様にして塩化ビニル系樹脂を得た。
【0048】比較例1及び3で得られた2種類の塩化ビニル系樹脂の性能を実施例の場合と同様にして評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0049】
【表1】

【0050】表1から明らかなように、本発明による実施例1〜3の塩化ビニル系樹脂は、耐衝撃性及び機械的強度に優れ、また、熱安定性及びゲル化特性にも優れている。
【0051】これに対し、ソープフリー重合ではなく、乳化剤を用いた乳化重合により得られたアクリル系共重合体を用いた比較例1及び3の塩化ビニル系樹脂は、熱安定性及びゲル化特性が劣っている。
【0052】また、アクリル系共重合体の含有量が1重量%未満の比較例2及びガラス転移温度が−20℃を超えるアクリル系共重合体を含有する比較例4の塩化ビニル系樹脂は、耐衝撃性が大きく低下する。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の塩化ビニル系樹脂は、耐衝撃性に優れると共に熱安定性及び成形加工性に優れているため、高い衝撃性を要求されるパイプ、外壁、異形断面を有する防音壁のような用途及び良好な成形性と表面性を要求される窓枠、サッシ等に好適に用いられる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013