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結晶性樹脂シート及びその製造方法 - 積水化学工業株式会社
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発明の名称 結晶性樹脂シート及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−2809(P2001−2809A)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
出願番号 特願平11−169624
出願日 平成11年6月16日(1999.6.16)
代理人
発明者 牧野 耕三 / 出口 好希 / 稲守 俊夫
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 粘度平均分子量が100万以上である超高分子量の結晶性樹脂が製膜されて成る結晶性樹脂シートであって、該結晶性樹脂シートは、表面及び内部に気孔率が5〜30体積%となる微多孔構造を有し、且つ、表面の静摩擦係数が0.15以下であることを特徴とする結晶性樹脂シート。
【請求項2】 結晶性樹脂100重量部に対し、常温常圧下で気体状のガス3〜50重量部を高温高圧下で収着させた後、該ガス収着結晶性樹脂を金型内で膜状に賦形し、次いで、降温時の結晶化ピーク温度より20〜50℃高い温度で圧力の開放を行うことを特徴とする結晶性樹脂シートの製造方法。
【請求項3】 請求項2に記載の製造方法で得られた結晶性樹脂シートを少なくとも一方向に延伸することを特徴とする結晶性樹脂シートの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に滑り性に優れる結晶性樹脂シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粘度平均分子量が100万以上の超高分子量の例えばポリエチレンのような結晶性樹脂から成る結晶性樹脂シートもしくは結晶性樹脂フィルム(以下、単に「結晶性樹脂シート」と記す)は従来公知であり、このような結晶性樹脂シートは、超高分子量の結晶性樹脂を用いているので、優れた滑り性や機械的物性を発揮する。
【0003】このような結晶性樹脂シートとして、例えば、特開平6−91747号公報では、「帯電防止剤、柔軟化剤、滑剤、隠蔽剤の少なくとも1種を含有する超高分子量ポリエチレンから成り、且つ、特定の厚み及び特定の表面粗さを有する超高分子量ポリエチレン製スリップシート及びその製造方法」が開示されている。
【0004】しかし、上記開示にある結晶性樹脂シートは、超高分子量ポリエチレンに対し帯電防止剤等の低分子量の添加剤が添加されているので、超高分子量の結晶性樹脂が本来有する例えば優れた引張強度のような優れた機械的物性が低下するという問題点がある。又、その製造にあたっては、超高分子量ポリエチレンと帯電防止剤等の添加剤とを不活性ガス雰囲気下で予め混合した後、即ち、原料をバッチ方式で予め混合した後、押出成形し、延伸する工程を経るため、生産性が十分に上がらないという問題点もある。
【0005】又、超高分子量の結晶性樹脂は溶融粘度が高いので、膜厚の薄いシートを得ようとすると、製膜時に破れが生じ易く、製膜が困難であるという一般的な問題点もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の問題点を解決するため、優れた滑り性と機械的物性を有し、且つ、軽量で製膜性も良好な結晶性樹脂シート及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明(以下、「第1発明」と記す)による結晶性樹脂シートは、粘度平均分子量が100万以上である超高分子量の結晶性樹脂が製膜されて成る結晶性樹脂シートであって、該結晶性樹脂シートは、表面及び内部に気孔率が5〜30体積%となる微多孔構造を有し、且つ、表面の静摩擦係数が0.15以下であることを特徴とする。
【0008】又、請求項2に記載の発明(以下、「第2発明」と記す)による結晶性樹脂シートの製造方法は、結晶性樹脂100重量部に対し、常温常圧下で気体状のガス3〜50重量部を高温高圧下で収着させた後、該ガス収着結晶性樹脂を金型内で膜状に賦形し、次いで、降温時の結晶化ピーク温度より20〜50℃高い温度で圧力の開放を行うことを特徴とする。
【0009】さらに、請求項3に記載の発明(以下、「第3発明」と記す)による結晶性樹脂シートの製造方法は、上記第2発明による製造方法で得られた結晶性樹脂シートを少なくとも一方向に延伸することを特徴とする。
【0010】第1発明〜第3発明で用いられる結晶性樹脂としては、結晶構造を有する樹脂であれば如何なる樹脂であっても良く、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミドMXD等のポリアミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられ、好適に用いられる。
【0011】上記結晶性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0012】第1発明においては、上記結晶性樹脂は粘度平均分子量が100万以上の超高分子量樹脂であることが必要である。
【0013】第1発明において、上記結晶性樹脂の粘度平均分子量が100万未満であると、得られる樹脂シートの滑り性や機械的物性、耐摩耗性、耐久性等が不十分となることがある。
【0014】又、第2発明及び第3発明においては、第1発明の場合と同様の理由により、上記結晶性樹脂は粘度平均分子量が100万以上の超高分子量樹脂であることが好ましい。
【0015】第1発明〜第3発明で用いられる結晶性樹脂中には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、上記結晶性樹脂以外の合成樹脂、天然樹脂、充填剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、滑剤、帯電防止剤、艶消し剤、隠蔽剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、顔料、染料等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていても良い。
【0016】第1発明による樹脂シートは上記結晶性樹脂が製膜されて成り、その表面及び内部に微多孔構造を有し、且つ、その気孔率が5〜30体積%であることが必要である。
【0017】樹脂シートの表面及び内部に、特に表面に微多孔構造を付与することにより、樹脂シート表面の静摩擦係数を低く抑えることが可能となり、従って樹脂シートは優れた滑り性を発揮する。
【0018】樹脂シート表面に付与される微多孔の形状は、特に限定されるものではなく、溝状、孔状、点状、等方状、異方状等のいずれの形状であっても良く、微多孔の分布も、特に限定されるものではなく、規則的であっても良いし、不規則的であっても良い。
【0019】又、微多孔の深さは、特に限定されるものではないが、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。
【0020】微多孔の深さが1μm未満であると、樹脂シート表面の静摩擦係数が十分に低くならず、従って滑り性が不十分となることがあり、逆に微多孔の深さが100μmを超えると、樹脂シートの外観や触感が悪くなることがある。
【0021】さらに、微多孔の凹部や凸部のような各部分の巾も、特に限定されるものではないが、上記と同様の理由により、1〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。
【0022】上記結晶性樹脂シート表面に形成された微多孔構造が接触物体との接触面積を減少させるため、表面の摩擦係数が低減され、滑り性に優れる結晶性樹脂シートとなる。
【0023】又、上記微多孔構造は結晶性樹脂シート表面に機械的に付与されたものではないので、表面の凹凸の角は丸みを帯びており、表面の摩擦係数がより低減され、滑り性により優れる結晶性樹脂シートとなる。
【0024】第1発明において、表面及び内部に微多孔構造を有する上記樹脂シートの気孔率が5体積%未満であると、滑り性が十分に向上しなかったり、柔軟性や軽量性が不十分となることがあり、逆に上記気孔率が30重量%を超えると、例えば引張強度のような機械的物性が不十分となることがある。
【0025】第1発明による樹脂シートは、その表面の静摩擦係数が0.15以下であることが必要であり、好ましくは0.12未満である。
【0026】上記静摩擦係数とは、JIS K−7125「プラスチックフィルム及びシートの摩擦係数試験方法」に準拠して、滑り片の荷重を1000gとし、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを摩擦の相手材料として測定した静摩擦係数である。
【0027】第1発明において、樹脂シート表面の上記静摩擦係数が0.15を超えると、滑り性が不十分となることがある。
【0028】又、第1発明による結晶性樹脂シートの膜厚は、特に限定されるものではないが、10〜5000μmであることが好ましく、より好ましくは10〜1000μmである。
【0029】上記結晶性樹脂シートの膜厚が10μm未満であると、機械的物性が不十分となることがあり、又、製膜性や生産性も低下することがある。逆に結晶性樹脂シートの膜厚が5000μmを超えると、柔軟性や軽量性が不十分となることがある。
【0030】次に、第2発明による結晶性樹脂シートの製造方法は、前記結晶性樹脂100重量部に対し、常温常圧下で気体状のガス3〜50重量部を高温高圧下で収着させた後、該ガス収着結晶性樹脂を金型内で膜状に賦形し、次いで、降温時の結晶化ピーク温度より20〜50℃高い温度で圧力の開放を行うことを特徴とする。
【0031】第2発明で用いられる常温常圧下で気体状のガス(以下、単に「ガス」と記す)は、常温常圧下で気体状態となり得る有機物質もしくは無機物質であって、前記結晶性樹脂に対する高温高圧下での収着性が良好で、結晶性樹脂を劣化させないものであれば如何なる物質であっても良く、特に限定されるものではない。上記ガスは常温常圧下で気体状態であるため、使用後は結晶性樹脂から容易に除去することが出来る。
【0032】上記ガスのなかでも火災や爆発等の危険性が無く、環境や人体に対し影響を及ぼすことが少なく、且つ、回収が不要なガスが好適に用いられる。
【0033】上記ガスの具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素等の無機ガスや、フロンガス、低分子量の炭化水素等の有機ガス等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでも結晶性樹脂に対する溶解度が高く、且つ、火災や爆発等の危険性が無く安全な二酸化炭素がより好適に用いられる。
【0034】上記ガスは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0035】結晶性樹脂に上記ガスを収着させる方法や装置は、特に限定されるものではないが、例えば、ライン式の連続混練機内にガスを導入して収着させる方法が、生産性や得られる結晶性樹脂シートの品質安定性の点からより好ましい。上記ライン式の連続混練機としては、特に限定されるものではないが、例えば、1軸もしくは2軸以上の押出機が生産効率を考慮すると最も好ましく用いられる。
【0036】ガスの供給は、ガスボンベから直接供給しても良いし、加圧ポンプ等を用いて、より高圧にした状態で供給しても良い。又、結晶性樹脂にガスを収着させる容器や機器等は、ガスが大気中に漏洩するのを抑制するために、シールされた状態で密閉されていることが好ましい。
【0037】第2発明の製造方法においては、前記結晶性樹脂100重量部に対し、上記ガス3〜50重量部を高温高圧下で収着させることが必要であり、好ましくは5〜20重量部である。
【0038】結晶性樹脂100重量部に対するガスの収着量が3重量部未満であると、得られる結晶性樹脂シートの気孔率が低くなり過ぎて、優れた滑り性を得られないことがあり、逆に結晶性樹脂100重量部に対するガスの収着量が50重量部を超えると、得られる結晶性樹脂シートの気孔率が高くなり過ぎたり、粗大な気孔となって、機械的物性が不十分となることがあり、又、設備も大がかりとなる。
【0039】第2発明の製造方法においては、結晶性樹脂に対するガスの収着は、高温高圧下で行われる必要がある。
【0040】ガス収着時の温度は、結晶性樹脂の溶融粘度を低下させてガスの収着をより容易にし得る程度の高温であることが好ましく、より好ましくは結晶性樹脂の融点以上の温度である。但し、結晶性樹脂中に非結晶性樹脂が添加されている場合には、非結晶性樹脂の熱分解温度以下の温度とすることが好ましい。
【0041】導入するガスの圧力は、ガスを収着させる容器や機器内における結晶性樹脂の圧力より大きいことが好ましく、より好ましくはガスの圧力が結晶性樹脂の圧力の2〜50倍である。
【0042】又、上記ガス収着時の圧力は、(ガスの臨界圧力−3MPa)〜(ガスの臨界圧力+100MPa)であることが好ましく、より好ましくは(ガスの臨界圧力+3MPa)〜(ガスの臨界圧力+50MPa)である。ガス収着時の圧力をこのような範囲に設定することにより、所定の特性を備えた結晶性樹脂シートを得ることが出来る。
【0043】ガス収着時の圧力が(ガスの臨界圧力−3MPa)未満であると、結晶性樹脂に対するガスの収着量が少なくなって、得られる結晶性樹脂シートの気孔率が低くなり過ぎて、優れた滑り性を得られないことがあり、逆にガス収着時の圧力が(ガスの臨界圧力+100MPa)を超えると、圧力が高過ぎて、設備が大がかりになるので好ましくない。
【0044】さらに、結晶性樹脂に対しガスをより均一に収着させるためには、上記ガス収着時のガスは超臨界状態にあることが好ましい。ここで言う超臨界状態とは、臨界温度以上及び臨界圧力以上の状態にあることを意味し、例えば、ガスが二酸化炭素の場合、臨界温度は30.9℃、臨界圧力は7.4MPaであり、又、ガスが窒素の場合、臨界温度は−146.9℃、臨界圧力は3.4MPaである。
【0045】第2発明の製造方法においては、このようにして得られたガス収着結晶性樹脂を金型内で膜状に賦形することが必要である。
【0046】金型の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、シート状に賦形するためのTダイ、又、押出機内でスクリューにより結晶性樹脂へガスを収着させる場合には、スクリューに円錐状のマンドレルを装着した円筒状にシート賦形するための金型等が挙げられ、いずれも好適に用いられる。尚、円筒状にシート賦形された場合は、必要に応じて、切り開く等の後処理を行うことによりシート状とすれば良い。
【0047】第2発明において、結晶性樹脂シートの膜厚は、特に限定されるものではないが、安定的に製膜出来ることから10〜5000μmであることが好ましい。
【0048】第2発明の製造方法によれば、結晶性樹脂100重量部に対しガス3〜50重量部が収着されているので、結晶性樹脂は可塑化されている。従って、製膜時の賦形性が向上しており、膜厚の厚いシートは勿論のこと、膜厚の薄いシートも容易に得ることが出来る。
【0049】第2発明の製造方法においては、上記の如くガス収着結晶性樹脂を金型内で膜状に賦形した後、降温時の結晶化ピーク温度より20〜50℃高い温度で圧力の開放を行う。
【0050】このような条件下で圧力の開放を行うことにより、表面及び内部に適正な気孔率の微多孔構造を有する結晶性樹脂シートを得ることが出来る。
【0051】上記圧力の開放は、前記金型から結晶性樹脂を常圧下に開放することによって実施される。
【0052】第2発明においては、上記圧力の開放を降温時の結晶化ピーク温度より20〜50℃高い温度で行うことが必要であり、好ましくは降温時の結晶化ピーク温度より30〜50℃高い温度である。尚、ここで言う温度とは、金型から押し出された時点での結晶性樹脂の表面温度を意味する。
【0053】又、ここで言う上記降温時の結晶化ピーク温度とは、示差熱走査型熱量計により常圧下で測定した結晶性樹脂の結晶化のピーク温度を意味する。
【0054】圧力の開放を降温時の結晶化ピーク温度より20℃未満の高さの温度で行うと、結晶性樹脂の溶融粘度が高過ぎるため、ガスが結晶性樹脂を十分に押し広げることが出来ず、例えば、粗大な独立気泡の発泡体となったり、或いは、殆ど発泡しないシートとなり、適正な気孔率の微多孔構造を有する結晶性樹脂シートを得るのが困難となることがある。
【0055】逆に、圧力の開放を降温時の結晶化ピーク温度より50℃を超える高さの温度で行うと、結晶性樹脂の溶融粘度が低過ぎるため、適正な気孔率の微多孔構造とならなかったり、金型内の圧力により、結晶性樹脂やガスが噴出する可能性が生じることがある。
【0056】第2発明においては、圧力開放時の結晶性樹脂の表面温度が上記温度範囲内にあれば良く、金型の温度や外気温は、特に限定されるものではなく、任意の温度であって良い。
【0057】第2発明の製造方法によれば、上記温度範囲内で圧力を開放するので、結晶性樹脂に収着されているガスが流動し、結晶性樹脂を押し広げながら空気中に抜け出る。従って、表面及び内部にガスの流路となった微多孔構造が形成された結晶性樹脂シートを容易に得ることが出来る。
【0058】上記結晶性樹脂シート表面に形成された微多孔構造が接触物体との接触面積を減少させるため、表面の摩擦係数が低減され、滑り性に優れる結晶性樹脂シートとなる。
【0059】又、上記微多孔構造は結晶性樹脂シート表面に機械的に付与されたものではないので、表面の凹凸の角は丸みを帯びており、表面の摩擦係数がより低減され、滑り性により優れる結晶性樹脂シートとなる。
【0060】従って、第2発明の製造方法による結晶性樹脂シートは、滑剤のような摩擦低減剤を添加することなく、優れた滑り性を発揮するが、勿論、滑剤のような摩擦低減剤を添加すれば、その滑り性は一段と向上する。又、上記結晶性樹脂シートは、表面及び内部に微多孔構造が形成されているので、容易に延伸することが出来る。
【0061】次に、第3発明による結晶性樹脂シートの製造方法は、上述した第2発明の製造方法で得られた結晶性樹脂シートを少なくとも一方向に延伸することが必要である。
【0062】第2発明で得られた結晶性樹脂シートに上記延伸を施すことにより、結晶性樹脂シートの機械的物性が一段と向上する。
【0063】上記延伸の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法等により、1軸もしくは2軸以上の複数軸に延伸すれば良い。又、延伸は乾式で行っても良いし、湿式で行っても良い。
【0064】この場合、延伸温度は結晶性樹脂の融点以下の温度であることが好ましい。結晶性樹脂の融点以上の温度で延伸を行うと、結晶性樹脂シートの表面及び内部に形成された微多孔構造が損なわれて、滑り性や外観、触感等が低下することがあり、又、延伸時に結晶性樹脂シートが破断し易くなることがある。但し、極端に低い温度で延伸を行うと、所望の延伸倍率を得られないことがあるので、結晶性樹脂の融点以下の適正な温度で延伸を行うことが好ましい。尚、ここで言う上記結晶性樹脂の融点とは、示差熱走査型熱量計により常圧下で測定した結晶性樹脂の溶融時のピーク温度を意味する。
【0065】上記延伸を施す時期は、特に限定されるものではなく、第2発明の製造方法で得られた直後の結晶性樹脂シートに延伸を施しても良いし、一定期間放置された後の結晶性樹脂シートに延伸を施しても良く、任意である。
【0066】
【作用】第1発明による結晶性樹脂シートは、特定値以上の粘度平均分子量を有する超高分子量の結晶性樹脂が製膜されて成るので、優れた滑り性や機械的物性、耐摩耗性、耐薬品性、耐久性等の諸性能をバランス良く発揮する。
【0067】又、上記結晶性樹脂シートは、表面及び内部に特定の気孔率となる微多孔構造が形成されており、且つ、表面の静摩擦係数が特定値以下とされているので、極めて優れた滑り性を発揮すると共に、外観や触感にも優れている。
【0068】さらに、上記結晶性樹脂シートは、表面及び内部に特定の気孔率となる微多孔構造が形成されているので、軽量で製膜性も良好であり、薄膜化が可能であると共に、材料費を低減出来る。又、微多孔構造により応力が分散されるので、製膜性のみならず、例えば延伸処理のような後処理も容易である。
【0069】第2発明の製造方法は、結晶性樹脂の特定量に対し常温常圧下で気体状のガスの特定量を高温高圧下で収着させているので、結晶性樹脂は可塑化されており、製膜性が良好である。従って、通常では製膜困難な超高分子量の結晶性樹脂の製膜も容易であり、薄膜化も可能である。
【0070】又、上記製造方法は、膜状に賦形した後、特定の温度範囲で圧力を開放するので、結晶性樹脂シートの表面及び内部に容易に微多孔構造を形成させることが可能であり、得られる結晶性樹脂シートは、滑り性や機械的物性等に優れる高性能のものとなる。
【0071】第3発明の製造方法は、上記第2発明の製造方法で得られた結晶性樹脂シートに延伸処理を施すので、得られる結晶性樹脂シートは一段と優れた機械的物性を発揮する。
【0072】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1は本発明による結晶性樹脂シートの製造方法で用いられる製造装置の一例を模式的に示す断面図である。又、図2は本発明による結晶性樹脂シートの製造方法で用いられる製造装置の他の例を模式的に示す断面図である。
【0073】図1及び図2に示す製造装置は、押出機1及び金型2を備えている。押出機1は、シリンダー11内にスクリュー12を有し、シリンダー11の一端に原料ホッパー13が設けられ、シリンダー11の他端に金型2が一体に設けられている。尚、スクリュー軸は耐圧シール構造となっており、昇温によって樹脂原料から揮散するガスを密閉することが出来るようになっている。
【0074】金型2は、押出機1から押し出されて来る溶融樹脂原料を所望の形状に賦形しながら押し出すようになっている。
【0075】図1に示す製造装置の場合、原料ホッパー13は耐圧式の密閉構造となっていて、開閉バルブ31、32を開放することによって、ガスボンベ3からガスが充填出来るようになっている。尚、ガスは原料ホッパー13に入る前に加圧ポンプ33によって加圧される。
【0076】図1に示す製造装置を用いて行う本発明の結晶性樹脂シートの製造方法は、先ず、温度コントロール装置によって押出機1及び金型2を所定の温度に昇温する。又、原料ホッパー13にペレット状や粉末状の結晶性樹脂を充填し、密閉状態とした後、開閉バルブ31、32を開放して、加圧ポンプ33によって加圧したガスを結晶性樹脂に収着させる。ガスが収着された結晶性樹脂は、原料ホッパー13からシリンダー11内に供給され、シリンダー11内のスクリュー12によって溶融混練される。次いで、この溶融樹脂を金型2へ供給し、金型2内で所定の形状に賦形した後、賦形物を冷却し、その後、常圧下に押し出し、圧力を開放することによって行われる。
【0077】又、図2に示す製造装置の場合、原料ホッパー13は耐圧式の密閉構造となっていない。従って、製造装置を用いる場合、加圧ポンプ33によって加圧したガスは、押出機1のシリンダー11に設けたガス注入弁14によって導入し、結晶性樹脂に収着させる。尚、この場合、シリンダー11内のガスの漏洩を防止するために、溶融樹脂によってガス注入弁14の手前のシリンダー11内圧を一旦ガスの導入圧力よりも高くしてシールすることが必要である。上記の点を除けば、製造装置を用いる場合と同様の方法で結晶性樹脂シートを製造することが出来る。
【0078】
【実施例】本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、図3は実施例で用いた製造装置を示す模式図である。
【0079】(実施例)
【0080】(1)結晶性樹脂シートの製造超高分子量ポリエチレン(商品名「HizexMILLION240M」、粘度平均分子量:230万、融点:136℃、降温時の結晶化ピーク温度:118℃、密度:0.935g/cc、三井化学社製)を、図3に示す製造装置の原料ホッパーから単軸押出機(スクリュー径:40mm、L/D:30)に供給した。次いで、常温常圧下で気体状のガスとして二酸化炭素を用い、この二酸化炭素をガス注入弁から押出機のシリンダー部に20MPaの圧力で導入した。超高分子量ポリエチレン100重量部に対する二酸化炭素の収着量は9重量部であった。上記収着量は、超高分子量ポリエチレン及び二酸化炭素のそれぞれの供給量から算出した。又、この時、押出機は、スクリュー駆動軸の高圧軸シール機構と耐圧ホッパー構造とで二酸化炭素の高圧状態を保持した。さらに、押出機に供給された超高分子量ポリエチレンは、押出機内部において、押出量2kg/時間、スクリュー回転数30rpm、シリンダー設定温度230℃の条件で十分に溶融混練した。
【0081】次に、溶融混練した超高分子量ポリエチレンを金型設定温度145℃、金型内圧力28MPaの条件で膜状に賦形した後、樹脂の表面温度が152℃の条件で金型からパイプ状に押し出し、圧力を開放すると同時に、二酸化炭素を空気中に開放して、表面及び内部に微多孔構造が付与された膜厚450μmのパイプ状の成形体を得た。次いで、このパイプ状の成形体を押出方向で切り開き、表面及び内部に微多孔構造が付与された膜厚450μmの結晶性樹脂シートを得た。尚、金型から押し出された時点の樹脂の表面温度は、赤外放射温度計(型式「IT2−80」、キーエンス社製)で測定した温度である。
【0082】(2)評価上記で得られた結晶性樹脂シートの特性(■シート表面の微多孔の有無、■凹部及び凸部の巾、凹部の深さ、シート内部の微多孔の有無、■気孔率、■静摩擦係数)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0083】■シート表面の微多孔の有無:結晶性樹脂シートの表面を目視で観察し、シート表面の微多孔の有無を判定した。
【0084】■凹凸部の巾、凹部の深さ及びシート内部の微多孔の有無:結晶性樹脂シートの表面を走査型電子顕微鏡(型式「JSM−5800LV」、日本電子社製)で観察し、シート表面の凹部及び凸部の巾(μm)を測定すると共に、シート内部の微多孔の有無を判定した。又、結晶性樹脂シートの表面をレーザー顕微鏡(型式「LASERMICROSCOPE2LM31Z」、レーザーテック社製)で観察し、凹部の深さ(μm)を測定した。
【0085】■気孔率:結晶性樹脂シートの密度を測定し、気孔率(体積%)を算出した。
【0086】■静摩擦係数:JIS K−7125に準拠して、滑り片の荷重を1000gとし、PETフィルムを摩擦の相手材料として、試験速度100mm/分で、結晶性樹脂シート表面の静摩擦係数を測定した。
【0087】(比較例1)結晶性樹脂シートの製造において、金型から押し出された時点の樹脂の表面温度を100℃としたこと以外は実施例の場合と同様にして、膜厚450μmの結晶性樹脂シートを得た。
【0088】上記で得られた結晶性樹脂シートの特性を実施例の場合と同様にして評価した。但し、■の評価でシート表面に微多孔が無かったので、以降の評価は■のみとし、■及び■の評価は行わなかった。
【0089】(比較例2)結晶性樹脂シートの製造において、押出機のシリンダー部への二酸化炭素の導入圧力を2MPaとして、超高分子量ポリエチレン100重量部に対する二酸化炭素の収着量を2重量部としたこと以外は実施例の場合と同様にして、膜厚450μmの結晶性樹脂シートを得た。
【0090】上記で得られた結晶性樹脂シートの特性を実施例の場合と同様にして評価した。但し、■の評価でシート表面に微多孔が無かったので、以降の評価は■のみとし、■及び■の評価は行わなかった。
【0091】(比較例3)結晶性樹脂シートの製造において、金型設定温度を170℃としたこと以外は実施例の場合と同様にして、結晶性樹脂シートを得ることを試みた。しかし、成形中に、発泡した超高分子量ポリエチレン及び二酸化炭素が金型から噴出し、パイプ状の成形体を得ることが出来なかった。従って、結晶性樹脂シートの特性評価は行えなかった。尚、この時、金型から押し出された時点の樹脂の表面温度は170℃以上であった。
【0092】実施例及び比較例1〜3の主な製造条件、及び、比較例1〜3の特性評価結果は表1に示すとおりであった。
【0093】
【表1】

【0094】表1から明らかなように、本発明の製造方法で得られた実施例の結晶性樹脂シートは、表面及び内部に所定の気孔率となる微多孔構造を有していた。従って、表面の静摩擦係数が低かった。これは優れた滑り性を有していることを示している。
【0095】これに対し、金型から押し出された時点の樹脂の表面温度が降温時の結晶化ピーク温度より20℃未満(2℃)の高さの温度であった比較例1の結晶性樹脂シート、及び、超高分子量ポリエチレン100重量部に対する二酸化炭素の収着量が3重量部未満(2重量部)であった比較例2の結晶性樹脂シートは、いずれもシート表面に微多孔構造を有していなかった。従って、表面の静摩擦係数が高かった。これは、滑り性が劣っていることを示している。
【0096】又、金型から押し出された時点の樹脂の表面温度が降温時の結晶化ピーク温度より50℃を超える(52℃以上)高さの温度であった比較例3の製造方法では、発泡した超高分子量ポリエチレンや二酸化炭素が金型から噴出し、製膜出来なかった。
【0097】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による結晶性樹脂シートは、優れた滑り性と機械的物性とを兼備するので、例えば磁気記録媒体の走行部分に使用するスリップシートのような特に優れた滑り性が要求される用途むけのシートとして好適に用いられる。
【0098】又、本発明の製造方法によれば、上記特性を備えた結晶性樹脂シートを容易に得ることが出来る。さらに、薄膜化が可能であるので、軽量で材料使用量が少なく経済的にも有利な結晶性樹脂シートを容易に得ることも出来る。さらに、延伸処理を施すことにより、より薄膜化が可能で、より機械的物性に優れる結晶性樹脂シートを容易に得ることが出来る。
【0099】




 

 


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