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発明の名称 転写調節能の測定用細胞の取得方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−8691(P2001−8691A)
公開日 平成13年1月16日(2001.1.16)
出願番号 特願2000−113347(P2000−113347)
出願日 平成12年4月14日(2000.4.14)
代理人 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外2名)
発明者 大江 師久 / 松永 治之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】(1)本工程(1)と同時にまたは本工程(1)の前もしくは後において、リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNAが導入される動物細胞、あるいは、あらかじめリガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現する能力を有する動物細胞に、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAを導入する工程(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。
(2)前記工程(1)により得られる形質転換細胞の中から、導入された前記DNAが細胞内に安定に保持されている細胞を回収する工程を含むことを特徴とする転写調節能の測定用細胞の取得方法。
【請求項2】(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが導入される動物細胞が、工程(1)と同時にまたは工程(1)の前もしくは後においてリガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNAが導入される動物細胞である請求項1記載の方法。
【請求項3】リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNAが、(b)の遺伝子とは表現形質が異なる、動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子を同一分子上に含むDNAである請求項2記載の方法。
【請求項4】動物細胞で機能可能な最小プロモーターが、TATAボックスから実質的になるプロモーターである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】リガンド応答性転写調節因子がアリルハイドロカーボンレセプターである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】リガンド応答性転写調節因子が核内ホルモンレセプターである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞、(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。ただし、リガンド応答性転写調節因子がエストロゲンレセプター、アンドロゲンレセプター、または甲状腺ホルモンレセプターである場合を除く。
【請求項8】動物細胞で機能可能な最小プロモーターが、TATAボックスから実質的になるプロモーターである請求項7記載の細胞。
【請求項9】リガンド応答性転写調節因子がアリルハイドロカーボンレセプターである請求項7または8のいずれかに記載の細胞。
【請求項10】リガンド応答性転写調節因子が核内ホルモンレセプターである請求項7または8のいずれかに記載の細胞。
【請求項11】請求項7〜10のいずれかに記載の細胞を含有する測定キット。
【請求項12】リガンド応答性転写調節因子の転写調節を受けるレポーター遺伝子の発現量を測定するレポーターアッセイにおいて、リガンド応答性転写調節因子の転写調節能に対する被験物質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を評価するための以下の細胞の使用;前記リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞、(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。
【請求項13】リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対する被験物質のアゴニスト活性を評価する方法であって、(1)以下の細胞を被験物質の存在下に培養し、当該細胞におけるレポーター遺伝子の発現量を測定する工程;前記リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞、(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。
(2)レポーター遺伝子の発現量の測定値が、前記被験物質非存在下における当該レポーター遺伝子の発現量の測定値よりも高い場合に、該被験物質が前記リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対してアゴニスト活性を有すると評価する工程を含む方法。
【請求項14】リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対する被験物質のアンタゴニスト活性を評価する方法であって、(1)以下の細胞を、前記リガンド応答性転写調節因子のリガンドと被験物質との存在下に培養し、当該細胞におけるレポーター遺伝子の発現量を測定する工程;前記リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞、(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。
(2)レポーター遺伝子の発現量の測定値が、前記リガンドは存在し前記被験物質は存在しない条件下における当該レポーター遺伝子の発現量の測定値よりも低い場合に、該被験物質が前記リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対してアンタゴニスト活性を有すると評価する工程を含む方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転写調節能の測定用細胞の取得方法等に関する。より詳しくは、リガンド応答性転写調節因子の転写調節能に対する化学物質の作用を測定するために用いることのできる細胞の取得方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】リガンド応答性転写調節因子は、リガンドと結合すると活性化されて、染色体上の標的遺伝子の転写調節領域に存在するリガンド応答性転写調節因子認識配列に結合し、該標的遺伝子の転写を促進する機能を有する蛋白質であって、生物の恒常性の維持、生殖、発育と成長、細胞分化、エネルギー代謝、薬物代謝などに重要な役割を果たしている。このようなリガンド応答性転写調節因子による転写調節が正常に行われなくなると、該因子の標的遺伝子の転写活性に異常を来し、種々の疾患や異常の原因となる場合があることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、かかる疾患や異常の予防や治療に有用な薬剤を開発するために、リガンド応答性転写調節因子の転写調節能を変化させる作用を有する物質を探索する試みがなされており、該因子の転写調節能に対する化学物質の作用を調べるための効率的な方法の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発明者らは鋭意検討を行った結果、動物細胞に、特定の構成からなる転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子と動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNAを導入し、導入された前記DNAが細胞内に安定に保持されている細胞を回収することにより、リガンド応答性転写調節因子の転写調節能に対する化学物質の作用を測定するために用いることのできる凍結保存可能な細胞を、効率よく得ることができることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、1)(1)本工程(1)と同時にまたは本工程(1)の前もしくは後において、リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNAが導入される動物細胞、あるいは、あらかじめリガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現する能力を有する動物細胞に、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAを導入する工程(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。
(2)前記工程(1)により得られる形質転換細胞の中から、導入された前記DNAが細胞内に安定に保持されている細胞を回収する工程を含むことを特徴とする転写調節能の測定用細胞の取得方法(以下、本発明取得方法と記す。)、2)(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが導入される動物細胞が、工程(1)と同時にまたは工程(1)の前もしくは後においてリガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNAが導入される動物細胞である前項1)記載の方法、3)リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNAが、(b)の遺伝子とは表現形質が異なる、動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子を同一分子上に含むDNAである前項2)記載の方法、4)動物細胞で機能可能な最小プロモーターが、TATAボックスから実質的になるプロモーターである前項1)〜3)のいずれかに記載の方法、5)リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞、(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。ただし、リガンド応答性転写調節因子がエストロゲンレセプター、アンドロゲンレセプター、または甲状腺ホルモンレセプターである場合を除く。
6)動物細胞で機能可能な最小プロモーターが、TATAボックスから実質的になるプロモーターである前項5)記載の細胞、7)前項5)または6)のいずれかに記載の細胞を含有する測定キット、8)リガンド応答性転写調節因子の転写調節を受けるレポーター遺伝子の発現量を測定するレポーターアッセイにおいて、リガンド応答性転写調節因子の転写調節能に対する被験物質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性を評価するための以下の細胞の使用;前記リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞、(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。
9)リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対する被験物質のアゴニスト活性を評価する方法であって、(1)以下の細胞を被験物質の存在下に培養し、当該細胞におけるレポーター遺伝子の発現量を測定する工程;前記リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞、(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。
(2)レポーター遺伝子の発現量の測定値が、前記被験物質非存在下における当該レポーター遺伝子の発現量の測定値よりも高い場合に、該被験物質が前記リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対してアゴニスト活性を有すると評価する工程を含む方法、10)リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対する被験物質のアンタゴニスト活性を評価する方法であって、(1)以下の細胞を、前記リガンド応答性転写調節因子のリガンドと被験物質との存在下に培養し、当該細胞におけるレポーター遺伝子の発現量を測定する工程;前記リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、下記(a)の遺伝子と(b)の遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞、(a)前記リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子。
(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子。
(2)レポーター遺伝子の発現量の測定値が、前記リガンドは存在し前記被験物質は存在しない条件下における当該レポーター遺伝子の発現量の測定値よりも低い場合に、該被験物質が前記リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対してアンタゴニスト活性を有すると評価する工程を含む方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明において、リガンド応答性転写調節因子とは、リガンドと結合すると活性化されて、染色体上の標的遺伝子の転写調節領域に存在するリガンド応答性転写調節因子認識配列に結合し、該標的遺伝子の転写を促進する機能を有する蛋白質を意味し、具体的には、例えば、エストロゲン、アンドロゲンもしくはグルココルチコイド等のステロイドホルモン、ビタミンD3やレチノイン酸等の脂溶性ビタミン、甲状腺ホルモン、またはプロスタノイドなどのレセプターをはじめとする核内ホルモンレセプターと呼ばれる蛋白質や、エクダイソン等の昆虫ホルモンのレセプター、ダイオキシンのレセプターであるアリルハイドロカーボンレセプターなどがあげられる。
【0006】「リガンド応答性転写調節因子の認識配列」とは、リガンド応答性転写調節因子によって発現量が調節される標的遺伝子の転写調節領域に存在する特定の塩基配列である。リガンドとリガンド応答性転写調節因子との複合体が該配列を認識しここに結合すると、その下流に存在する標的遺伝子の転写が促進される。該配列は、通常、対応するリガンドの種類により、グルココルチコイド応答性配列(GRE;glucocorticoid responsive element、Nature.,318,635-641(1985))、エストロゲン応答性配列(ERE;estrogen responsive element)、アンドロゲン応答性配列(ARE;androgen responsive element)、甲状腺ホルモン応答性配列(TRE;Thyroid hormone responsive element)、ダイオキシン応答性配列[DRE;Dioxin responsive element、J.Biol.Chem.,263,17221-17224(1988)、Xenobioticresponsive element(XRE)と呼ばれることもある(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,92,1936-1940(1995))。]、PPRE(Peroxisome Proliferator responsive element、J.Steroid Biochem.,Mol.Biol.,51,157-166(1994))などと区別して呼ばれることもある。具体的には例えば、アリルハイドロカーボンレセプターの認識配列であるダイオキシン応答性配列としては、チトクロムP4501A1遺伝子[cyp1A1、J. Biol. Chem., 263, 17221-17224 (1988)、Nucleic Acids Res., 15, 4179-4191 (1987)]、グルタチオンS-トランスフェラーゼYaサブユニット遺伝子[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87,3826-3830 (1990)]、UDP-グルクロニルトランスフェラーゼ遺伝子[J. Biol. Chem., 271, 3952-3958 (1996)]などの5'上流領域の塩基配列をあげることができる。また、ダイオキシン応答性配列のコンセンサス配列[コア配列:5'-(T/A)GCGTG、J. Biol. Chem., 271, 3952-3958 (1996))]を1回以上含む塩基配列をあげることもできる。エストロゲンレセプターの認識配列であるエストロゲン応答性配列としては、例えば、アフリカツメガエルのビテロゲニン遺伝子の5'上流領域の塩基配列(Cell.,57,1139-1146)等をあげることができる。また、エストロゲン応答性配列のコンセンサス配列[5'-AGGTCAnnnTGACCTT-3';nはA、G、CまたはTを表す。]を1回以上含む塩基配列をあげることもできる。アンドロゲンレセプターの認識配列であるアンドロゲン応答配列としては、例えば、マウスパピローマウイルス(MMTV)のLTR中の塩基配列(Nucleic Acids Research.,19,1563-1569)等があげられる。甲状腺ホルモンレセプターの認識配列である甲状腺ホルモン応答性配列としては、Glass,C.K.らによりEndocrine Rev.,15,391-407(1994)に報告されている配列等があげられる。尚、十分な転写調節能を得るには、前記のようなコンセンサス配列は通常2〜5程度タンデムに連結されていることが好ましい。かかる塩基配列を有するDNAは、化学合成するか、PCRなどにより増幅しクローニングすること等により調製することができる。
【0007】「最小プロモーター」とは、RNAポリメラーゼIIによる転写開始部位を決定し最低限の転写水準維持に関与するDNA領域であって、コアプロモーターともいわれ、通常、遺伝子の転写開始部位付近の比較的狭い部分にみられる領域である。「動物細胞で機能可能な最小プロモーター」の塩基配列としては、例えば、TATAボックスおよび転写開始点近傍の約50塩基程度からなる塩基配列があげられ、具体的には例えば、マウスのメタロチオネインI遺伝子の5'上流領域の−33番目(転写開始点を+1番目とする。以下、同様。)の塩基から+15番目の塩基までの塩基配列(Nature.,292,267-269(1981))や、チキンオボアルブミン遺伝子の5'上流領域の−40番目の塩基から+10番目の塩基までの塩基配列(Genbank accession No.V00835)等があげられる。本発明において用いられる「動物細胞で機能可能な最小プロモーター」の転写活性としては、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のチミジンキナーゼ(tk)遺伝子の5'上流領域の−130番目の塩基から+53番目の塩基までの塩基配列(Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,78,1441-1445(1981))からなるDNA領域の転写活性よりも弱い活性であると、転写活性を測定する際の構成的なバックグランド転写活性が低くなりリガンド応答性の転写活性の検出が感度よく行える点から好ましい。上記のような塩基配列からなるDNAは、例えば、その塩基配列に基づいて化学合成することなどにより調製することができる。また、例えば、前記のような領域をコードするDNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドを、既知の塩基配列に基づいて設計して作製し、作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるPCRを行うことなどにより調製することもできる。
【0008】「リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域」とは、転写調節に関わる主たる機能性エレメントとして、目的とするリガンド応答性転写調節因子認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとのみを含む転写制御領域を意味し、例えば他の転写調節因子の認識配列等の転写調節に関わる他の機能性エレメントを含まないか、または、かかる機能性エレメントを含んでいても、それは前記のリガンド応答性転写調節因子認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとによる転写調節能を本質的に変化させることのない配列であることを意味する。
【0009】「リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子(以下、リガンド応答性レポーター遺伝子と記す。)」とは、導入される細胞において該転写調節領域の制御下に発現するように、該転写調節領域と接続された状態にあるレポーター遺伝子を意味する。かかるリガンド応答性レポーター遺伝子のDNAは、例えば、「目的とするリガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域」をコードするDNAの下流に、レポーター遺伝子のDNAが機能的に連結されるように、これらのDNAを接続することにより調製することができる。レポーター遺伝子としては、その転写産物(レポーター蛋白質)の有する酵素活性等に基づいて発現量が測定できる遺伝子が、発現量の測定が容易である点で好ましく、例えば、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどの酵素蛋白質をコードする遺伝子があげられる。このようなレポーター遺伝子のDNAは、例えば、これらのレポーター遺伝子を含む市販のプラスミドのDNAを制限酵素消化して目的とするDNAを単離すること等により得ることができる。
【0010】「細胞選択マーカー遺伝子」とは、該遺伝子を含むDNAが導入され形質転換された細胞を非形質転換細胞と見分ける際に目印となり得る表現形質をコードする遺伝子である。また、「動物細胞で機能可能な」とは、動物細胞で前記表現形質を発現することができることを意味する。「動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子(以下、選択マーカー遺伝子と記す。)」とは、例えば、動物細胞で転写開始能を有するプロモーターの制御下にあって動物細胞で発現可能な状態にある遺伝子であって、動物細胞で有効な細胞選択用の表現形質をコードする遺伝子があげられる。動物細胞で有効な細胞選択用の表現形質をコードする遺伝子としては、例えば、動物細胞の増殖を抑制または阻害する薬剤に対する耐性を細胞に付与することの可能な遺伝子をあげることができ、具体的には例えば、ネオマイシン耐性付与遺伝子(アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子)、ハイグロマイシン耐性付与遺伝子(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子)、ブラストサイジンS耐性付与遺伝子(ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子)などが挙げられ、形質転換細胞の選抜がより短期間で行える点でブラストサイジンS耐性付与遺伝子を好ましくあげることができる。ブラストサイジンS耐性付与遺伝子は、例えば、市販のプラスミドpUCSV-BSD(フナコシ社販売)などから得ることができ、ネオマイシン耐性付与遺伝子は、例えば、市販のプラスミドpRC/RSV(Invitrogen社製)などから得ることができる。
【0011】「(a)リガンド応答性転写調節因子の認識配列と動物細胞で機能可能な最小プロモーターとから実質的に構成される転写調節領域の下流に機能的に接続されてなるレポーター遺伝子と(b)動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」は、例えばこれらの遺伝子のDNAを同一ベクター上に組込むことによって調製することができる。ベクターとしては、プラスミドベクター、ウイルスベクター、エピソームベクター等があげられる。好ましくは、取扱い易く、ベクター分子内または分子間の遺伝子組換えや安定形質転換細胞における染色体からの脱落等が起こる頻度が低くなると期待される点から、コンパクトな大きさであるとよい。例えば、およそ2kb〜10kb程度のプラスミドベクターがあげられる。また、該ベクターに遺伝子を組込むにあたって大腸菌等の遺伝子工学的技術に適した微生物を宿主として使用すると効率よく操作を行うことができる点から、かかる微生物におけるベクターとしての機能、すなわちかかる微生物内で機能可能な複製起点、薬剤耐性遺伝子、遺伝子挿入用制限酵素認識部位等を有していることが好ましい。より具体的には例えば、リガンド応答性転写調節因子がアリルハイドロカーボンレセプターである場合には、例えば、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(レポーター遺伝子)を保有するプラスミドベクターの該遺伝子の上流に、CYP1A1遺伝子の5'上流領域に由来しダイオキシン応答性配列を含む塩基配列からなるDNAとマウスメタロチオネインI遺伝子由来の最小プロモーターとを組込み、さらに、該プラスミドに、例えばSV40初期プロモーターに接続されてなるブラストサイジンS耐性付与遺伝子を組込むことにより、上記の構成のDNAを調製することができる。
【0012】本発明取得方法においては、上述のようにして調製される「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」を、通常の遺伝子工学的手法により動物細胞へ導入し、得られる形質転換細胞の中から、導入された前記DNAが細胞内に安定に保持されている細胞を回収する。ここで、「細胞内に安定に保持されている」とは、導入されたDNAが数日以内に細胞から脱落しない状態を意味する。具体的には例えば、導入されたDNAが染色体上に組込まれた状態をあげることができる。導入されたDNAの染色体に組み込まれたことを確認するには、当該細胞のゲノムDNAを通常の遺伝子工学的方法に準じて調製し、調製されたゲノムDNAから、導入されたDNAの部分塩基配列を有するDNAをプライマーとしたPCRや該DNAをプローブとしたサザンハイブリダイゼーション等の方法を利用して、導入されたDNAの存在を検出すればよい。
【0013】「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」が導入され形質転換される動物細胞としては、例えばヒト、マウス、ラット等の哺乳類動物由来の細胞、昆虫類動物由来の細胞などの動物細胞があげられる。操作性や再現性を考慮すると、安定に継代可能な細胞が好ましい。より具体的には、例えば、ヒト由来のHeLa細胞、ヒト由来のMCF7細胞、ヒト由来のHepG2細胞、マウス由来のNIH3T3細胞、マウス由来のHepa1clc7細胞、ラット由来H4IIE細胞[いずれも、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能]などをあげることができる。目的とするリガンド応答性転写調節因子を産生していない細胞には、目的とするリガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現可能な形となるように導入する。かかるリガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子は、天然に存在する遺伝子であってもよいし、人為的に改変された遺伝子であってもよく、例えば異なる転写調節因子の機能ドメインが連結されてなるタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。該遺伝子は、その翻訳開始コドンATGの上流に、Kozakのコンセンサス配列(Nucleic Acids Res., 12, 857-872 (1984))が連結されていてもよい。このようなリガンド応答性転写調節因子の遺伝子のDNAは、例えば、該因子をコードするDNAを増幅するためのオリゴヌクレオチドを、既知の塩基配列に基づいて設計して作製し、作製されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いるポリメラーゼチェイン反応(以下、PCRと記す。)を行うことなどにより調製することができる。このとき、Long−PCR法用に調製された耐熱性ポリメラーゼ、例えばLA-Taq(宝酒造社製)等をPCRに用いるとよい。PCRに使用される鋳型DNAとしては、例えば、各種生物由来の市販のmRNAに対してオリゴdTプライマーにして逆転写酵素を反応させることにより合成されたDNAをあげることができ、また各種生物由来の市販のcDNAをあげることもできる。得られたリガンド応答性転写調節因子の遺伝子のDNAを、例えば、発現可能な形でプロモーターと接続されるようにベクターに挿入し、得られたリガンド応答性転写調節因子の遺伝子を含むベクターのDNAを細胞に導入するとよい。プロモーターとしては、導入される動物細胞で機能可能な、即ち転写開始能を有するプロモーターであって、例えば、ラウス肉腫ウィルス(RSV)プロモーター、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター、シミアンウィルス(SV40)の初期もしくは後期プロモーター等があげられる。ベクターとしては大腸菌等の遺伝子工学的技術に適した微生物内で機能可能な複製起点および薬剤耐性遺伝子を有するプラスミド等があげられる。具体的には、上記のようなプロモーターを有しその下流に遺伝子挿入部位を有する市販の発現用ベクター等をあげることができる。かかるリガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNAを、後述のようにして細胞へ導入し、形質転換細胞を取得する。好ましくは、導入された遺伝子が染色体に導入されてなる安定形質転換細胞を取得する。尚、前記DNAは、上述の「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」と同時に細胞へ導入されてもよいし、該「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」の導入工程の前もしくは後において導入されてもよい。リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNAには、動物細胞で機能可能な細胞選択マーカー遺伝子であって、上述の「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」に含まれる選択マーカー遺伝子とは異なる表現形質をコードする遺伝子が同一分子上にさらに含まれていることが、形質転換細胞の選択がより容易になる点で望ましい。すなわち、このような選択マーカー遺伝子を含むDNAを用いて、リガンド応答性転写調節因子の遺伝子とリガンド応答性レポーター遺伝子とを細胞に導入すると、それぞれのDNAに含まれる二種の選択マーカー遺伝子の異なる表現形質を併せもつ細胞を選択することにより、リガンド応答性転写調節因子の遺伝子とリガンド応答性レポーター遺伝子とがともに導入された安定形質転換細胞をより容易に得ることができる。具体的には例えば、リガンド応答性レポーター遺伝子と同一のDNA分子に含まれる選択マーカー遺伝子がブラストサイジンS耐性付与遺伝子である場合には、リガンド応答性転写調節因子の遺伝子を細胞へ導入するために用いられるDNAに含まれる選択マーカー遺伝子として、例えばネオマイシン耐性付与遺伝子を用いることができる。また、目的とするリガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現する細胞に、前述と同様にして、該因子をコードする遺伝子を発現可能な形となるように導入することにより、該因子の発現量を高めてもよい。また、例えば、核内ホルモンレセプターのコアクチベーターなど、リガンド応答性転写調節因子の転写調節を受ける遺伝子の転写量を増大させる機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を細胞に導入して発現させることにより、リガンド応答性転写調節因子の転写促進能を増強してもよい。
【0014】具体的には例えば、目的とするリガンド応答性転写調節因子がアリルハイドロカーボンレセプターである場合には、「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」が導入され形質転換される動物細胞として、アリルハイドロカーボンレセプター遺伝子を発現する細胞、好ましくは前記遺伝子とArnt[Ah receptor nuclear translocator。Science,252,954-958(1991)]遺伝子とを発現する細胞であって、例えば哺乳類動物由来の細胞、昆虫類動物由来の細胞などの動物細胞をあげることができる。より具体的には、マウス由来のHepa1clc7細胞、ラット由来のH4IIE細胞、ヒト由来のHepG2細胞、ヒト由来のMCF7細胞などのアリルハイドロカーボンレセプター遺伝子内在性の細胞があげられる。また、CV-1細胞等のアリルハイドロカーボンレセプター遺伝子非内在性細胞またはアリルハイドロカーボンレセプター遺伝子の発現量の少ない細胞は、該細胞に上記のようにしてアリルハイドロカーボンレセプター遺伝子を導入し発現させて使用すればよい。細胞に導入されるアリルハイドロカーボンレセプター遺伝子としては、ヒト由来のアリルハイドロカーボンレセプター遺伝子[GenBank Accession No.L19872、Mol.Pharmacol.44,911-917(1993)]、マウス由来のアリルハイドロカーボンレセプター遺伝子[GenBank Accession No.M94623、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,8185-8189(1992)]、またはラット由来のアリルハイドロカーボンレセプター遺伝子[GenBank Accession No.M94623、Nucleic Acids Res.,22,3038-3044(1994)]等があげられる。目的とするリガンド応答性転写調節因子がエストロゲンレセプターである場合には、「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」が導入され形質転換される動物細胞として、例えば、ヒト由来のMCF7細胞、T47D細胞などのエストロゲンレセプター遺伝子内在性の細胞をあげることができる。また、ヒト由来のHeLa細胞、マウス由来のNIH3T3細胞等のエストロゲンレセプター遺伝子非内在性細胞は、該細胞に上記のようにしてエストロゲンレセプター遺伝子を導入し発現させて使用すればよい。MCF7細胞、T47D細胞等のエストロゲンレセプター遺伝子を発現している細胞に、該遺伝子を導入して該遺伝子の発現量を増大させて使用してもよい。細胞に導入されるエストロゲンレセプター遺伝子としては、例えば、ヒトエストロゲンレセプターα遺伝子(GenBank Accession No.X03635)、ヒトエストロゲンレセプターβ遺伝子(Biochem.Biophysical.Research.Com.,243,122-126(1998))、ラットエストロゲンレセプターα遺伝子(GenBank Accession No.X61098)、ラットエストロゲンレセプターβ遺伝子(GenBank Accession No.U57439)、マウスエストロゲンレセプターα遺伝子(GenBank Accession No.M38651)等があげられる。目的とするリガンド応答性転写調節因子がアンドロゲンレセプターである場合には、「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」が導入され形質転換される動物細胞として、例えば、ヒト由来のMCF7細胞などのアンドロゲンレセプター遺伝子内在性の細胞をあげることができる。また、ヒト由来のHeLa細胞、マウス由来のNIH3T3細胞等のアンドロゲンレセプター遺伝子非内在性細胞は、該細胞にアンドロゲンレセプター遺伝子を導入し発現させて使用すればよい。アンドロゲンレセプター遺伝子を発現している細胞に、該遺伝子を導入して該遺伝子の発現量を増大させて使用してもよい。細胞に導入されるアンドロゲンレセプター遺伝子としては、ヒトアンドロゲンレセプター遺伝子(GenBank Accession No.M23263)、ラットアンドロゲンレセプター遺伝子(GenBank Accession No.M23264)、マウスアンドロゲンレセプター遺伝子(GenBank Accession No.X59592)等があげられる。目的とするリガンド応答性転写調節因子が甲状腺ホルモンレセプターである場合には、「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」が導入され形質転換される動物細胞として、例えば、ヒト由来のMCF7細胞、マウス由来のNIH3T3細胞[いずれも、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能]などの甲状腺ホルモンレセプター遺伝子内在性の細胞をあげることができる。また、ヒト由来のHeLa細胞等の甲状腺ホルモンレセプター遺伝子をほとんど発現していない細胞は、該細胞に甲状腺ホルモンレセプター遺伝子を導入し発現させて使用すればよい。甲状腺ホルモンレセプター遺伝子を発現している細胞に、該遺伝子を導入し該遺伝子の発現量を増大させて使用してもよい。細胞に導入される甲状腺ホルモンレセプター遺伝子としては、ヒト甲状腺ホルモンレセプターα遺伝子(GenBank Accession No.M24748)、ヒト甲状腺ホルモンレセプターβ遺伝子(GenBank Accession No.M26747)、ラット甲状腺ホルモンレセプターα遺伝子(GenBank Accession No.M18028)、ラット甲状腺ホルモンレセプターβ遺伝子(GenBank Accession No.J03819)等があげられる。
【0015】「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」、および必要に応じて「リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を含むDNA」を動物細胞に導入するには、通常の遺伝子工学的手法を用いることができる。具体的には例えば、まず、MCF7細胞などの動物細胞をシャーレに播き(105〜107細胞/直径6〜10cmシャーレ)、5〜10%程度の血清を含有するαMEM培地等を用いて、5% CO2および飽和湿度条件下に37℃で数時間〜一晩程度培養する。このようにして培養した細胞へ、上記DNAを導入する。DNA導入法としては、エレクトロポレーション法、燐酸カルシウム法、リポフェクション法等の一般的な方法があげられる。具体的には例えば、市販のリポフェクトアミン(GIBCO製)を用いる場合には、添付のマニュアルに従って操作を行なうことができる。細胞量に対するリポフェクトアミンの量、導入されるDNAの量などについて予備検討を行い最適条件を求めておくとよい。細胞に導入されるDNAの純度としては、例えば、CsCl密度勾配遠心法で精製されたプラスミドDNAとほぼ同等の純度が望ましい。細胞に導入されるDNAの形状としては、上記のようなリガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とが組込まれたプラスミドベクターの環状DNAでもよいが、一般的には、各遺伝子の発現に影響を与えない領域に存在する制限酵素部位で切断されることにより直鎖状とされたDNAがよい。導入されたDNAが細胞内に安定に保持されている形質転換細胞を回収するには、例えば、まず、前記のようにしてDNAが導入された細胞を、通常の細胞培養液(培地)中で一日程度培養する。次に、細胞を常法(トリプシン処理等)に従って剥がして播き直した後、細胞へ導入された選択マーカー遺伝子に対応する選択条件下に培養する。即ち、選択マーカー遺伝子が薬剤耐性付与遺伝子である場合は、形質転換細胞に耐性が付与される薬剤を培地に加え、形質転換細胞に由来するコロニーが適当な大きさになるまで、例えば1週間〜2ヶ月間、該薬剤存在下で培養を続ける。この間必要に応じて、薬剤が添加された新しい培地への培地交換を1〜3回/週の割合で行うとよい。このようにして得られるコロニーを回収することにより、導入されたDNAが細胞内に安定に保持されている形質転換細胞を取得することができる。このようにして例えば「リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA」を細胞に導入し該DNAに含まれる選択マーカー遺伝子の表現形質を指標に選抜することにより得られた安定形質転換細胞には、リガンド応答性レポーター遺伝子も高い頻度で安定に保持されている。従って、かかる本発明取得方法により、「リガンド応答性転写調節因子をコードする遺伝子を発現し、リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNAが細胞内に安定に保持されてなる動物細胞(以下、本細胞と記す。)」を効率よく取得することができる。
【0016】取得された本細胞におけるリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量のリガンドに対する応答性を確認するには、例えば、まず上記のようにして回収されたコロニーを複数に分割して植え直し、細胞を増殖させ、その一部に、目的とするリガンド応答性転写調節因子のリガンドの溶媒溶液を添加して24時間程度培養した後、リガンド応答性レポーター遺伝子の発現量を測定する。また、対照として、溶媒のみを添加した系の発現量を測定する。リガンド応答性レポーター遺伝子の発現量の測定法は、用いる個々のレポーター遺伝子の種類によるが、レポーター遺伝子産物が培地に分泌される場合を除き、一般的には細胞溶解剤処理や超音波処理等で該細胞の細胞膜を破壊して細胞抽出液を調製し、該抽出液に含まれるレポーター遺伝子産物を定量する。例えば、レポーター遺伝子産物が酵素蛋白質である場合は、前記抽出液中の酵素蛋白質を該酵素に特異的な基質と反応させ、生ずる発光量、蛍光量、吸光度変化などを測定することによりレポーター遺伝子産物による酵素活性を定量し、レポーター遺伝子産物量、ひいては、レポーター遺伝子の発現量の指標とする。このようにして測定される本細胞におけるリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量のリガンドに対する応答性を指標にして、リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対する化学物質の活性を測定するためにより好ましい本細胞を選択することができる。具体的には例えば、細胞をリガンドと接触させた系のリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量が、溶媒のみを添加した系における該レポーター遺伝子の発現量に対して少なくとも2倍以上、好ましくは5倍以上高い値を示した本細胞を選択するとよい。なお、このようにして得られた細胞が単一の形質転換細胞で構成されていない場合には、該細胞を限界希釈培養し、単一の細胞からなるコロニーを選択しても良い。本発明取得方法によれば、リガンド応答性レポーター遺伝子の発現量のリガンドに対する応答性が優れた本細胞、具体的には例えば、細胞をリガンドと接触させた系のリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量が、溶媒のみを添加した系における該レポーター遺伝子の発現量に対して5倍以上高い値を示すような本細胞を、効率よく取得することができる。
【0017】本細胞は、例えば、リガンド応答性転写調節因子に対して、アゴニスト活性を示す化学物質や、アンタゴニスト活性を示す化学物質の同定に利用することができる。具体的には、例えば、まず、本細胞を細胞培養容器に播種し培養する。96穴プレートを使用する場合は、通常、1穴あたり103から2x104個程度の細胞を播種し、数時間〜一晩程度培養するとよい。また、血清が添加された培地を培養に用いる場合には、培地に加える血清を例えば活性炭等で処理して血清中に微量含まれるリガンドをあらかじめ除いておいてもよい。次いで、かかる細胞培養液に被験物質を添加する。被験物質のアゴニスト活性を測定する場合には、被験物質を溶媒に溶解させた溶液、または、溶媒のみを、培養液における溶媒の最終体積濃度が通常0.5%〜2%以下になるようにして前記の細胞培養液に添加する。また、被験物質のアンタゴニスト活性を測定する場合には、試験対象のリガンド応答性転写調節因子のリガンドを溶媒に溶解させた溶液が、培養液における該リガンドの濃度が通常EC50程度となるように前記培養液に添加された系、および、前記の系にさらに被験物質が添加された系を調製する。上記のようにして培養液に添加される溶媒には、例えば、蒸留水、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、エタノール等が用いられる。また、被験物質を水溶液として添加する場合には、該水溶液をポアサイズ20μm以下のフィルターなどでろ過滅菌した後に培養系に添加するとよい。前記の細胞を、例えば、数時間以上72時間程度まで培養した後、上述のようにしてリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量を測定する。例えば、レポーター遺伝子がホタルルシフェラーゼ遺伝子である場合には、まず培養上清を除去した後、器壁に接着した細胞をPBS(-)等で洗い、該細胞に細胞溶解剤などを添加して細胞を破壊し細胞抽出物を調製する。この細胞抽出物をレポーター遺伝子産物であるルシフェラーゼの試料として、ルシフェラーゼの基質であるルシフェリンと反応させ、生ずる発光量を定量する。被験物質のアゴニスト活性を測定する試験系において、溶媒のみが添加された系の細胞よりも、被験物質が添加された系の細胞の方が、細胞あたりのルシフェラーセ゛活性が高い、すなわち、レポーター遺伝子産物量が多い場合は、その被験物質は試験対象のリガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対してアゴニスト活性を示すと評価することができる。また、被験物質のアンタゴニスト活性を測定する試験系において、試験対象のリガンド応答性転写調節因子のリガンドのみが添加された系の細胞のルシフェラーゼ活性に比較して、該リガンドと被験物質とが添加された系の細胞のルシフェラーゼ活性が低い場合には、その被験物質は該リガンド応答性転写調節因子の転写促進能に対してアンタゴニスト活性を持つと評価することができる。
【0018】本細胞は、「リガンド応答性レポーター遺伝子のコードする蛋白質と判別可能な蛋白質をコードし、目的とするリガンド応答性転写調節因子のリガンドの存否により転写活性が変化しないプロモーターの下流に接続されてなるレポーター遺伝子(以下、細胞数レポーター遺伝子と記す。)」のDNAを意図的に導入する人為的操作を加えないかぎり、本来該DNAは導入されていない。ところが、本細胞を用いた前述のような試験系において、被験物質が本細胞に対して非特異的な毒性を示す場合に、リガンド応答性転写調節因子の転写調節能にかかわらずリガンド応答性レポーター遺伝子の転写活性が低下することがある。また、被験物質が最小プロモーターに対して非特異的に転写促進作用または転写抑制作用を示す場合に、リガンド応答性転写調節因子の転写調節能にかかわらずリガンド応答性レポーター遺伝子の転写活性が上昇または低下することもある。そこで、精度の高い測定値を得るという面等から、例えば細胞数や被験物質の非特異的な転写調節作用等を把握する必要がある場合には、本細胞に細胞数レポーター遺伝子のDNAを上述のような遺伝子工学的手法により導入して安定形質転換細胞を取得し、得られた細胞を利用してもよい。例えば、得られた細胞に前述と同様に被験物質を接触させて、リガンド応答性レポーター遺伝子および細胞数レポーター遺伝子の発現量を定量する。被験物質の接触により細胞数レポーター遺伝子の発現量が低下または上昇した場合には、該物質は細胞またはプロモーターに対して非特異的な作用を示すことが示唆される。そこで、このような結果に基づいてリガンド応答性レポーター遺伝子の発現量の測定値を適宜補正し、前述のようなリガンド応答性転写調節因子に対する化学物質の作用を評価してもよい。細胞数レポーター遺伝子を含むDNAは、例えば、目的とするリガンド応答性転写調節因子のリガンドの存否により転写活性が変化しないプロモーターのDNAと、レポーター遺伝子のDNAとを接続することにより調製することができる。「目的とするリガンド応答性転写調節因子のリガンドの存否により転写活性が変化しないプロモーター」とは、上述のようなリガンド応答性転写調節因子の認識配列の制御を受けず構成的な転写能を有するプロモーターであって、例えば、tkプロモーター、RSVプロモーター、CMVプロモーター等があげられる。このようなプロモーターのDNAは、例えば、これらのプロモーターを含む市販のプラスミドのDNAを制限酵素消化して目的とするDNAを単離すること等により得ることができる。細胞数レポーター遺伝子に使用されるレポーター遺伝子としては、その遺伝子にコードされる蛋白質の有する酵素活性等により発現量の測定が容易な遺伝子が好ましく、前記のリガンド応答性レポーター遺伝子に使用されるレポーター遺伝子がコードする蛋白質と判別可能なタンパク質をコードする異なるレポーター遺伝子を用いる。判別は、例えば、酵素活性や基質特異性の違い等により行なうとよい。このようなレポーター遺伝子のDNAは、例えば、これらのレポーター遺伝子を含む市販のプラスミドのDNAを制限酵素消化して目的とするDNAを単離すること等により得ることができる。また、細胞数レポーター遺伝子を含むDNAは、目的とするプロモーターを含む市販のプラスミドの該プロモーターの下流に、前記のレポーター遺伝子のDNAを挿入することにより、調製することもできる。また、例えば、上記の「目的とするリガンド応答性転写調節因子のリガンドの存否により転写活性が変化しないプロモーター」に機能的に結合されてなるレポーター遺伝子で安定に形質転換されてなる細胞を別途調製し、本細胞を用いた前述のような試験系において本細胞の比較対照として用いてもよい。具体的には、例えば、RSVプロモーターやtkプロモーターなどに機能的に結合されてなるレポーター遺伝子を含むDNAを調製し、該DNAにより動物細胞を安定に形質転換する。得られたコロニーの中から、安定してかつ構成的にレポーター遺伝子を発現する細胞 (以下、対照細胞と記す。)を選択する。得られた細胞に前述と同様に被験物質を接触させて、レポーター遺伝子の発現量を定量する。被験物質の接触により該細胞のレポーター遺伝子の発現量が低下または上昇した場合には、該物質は細胞またはプロモーターに対して非特異的な作用を示すことが示唆される。そこで、このような結果に基づいて本細胞を用いた試験の結果を適宜補正し、前述のようなリガンド応答性転写調節因子に対する化学物質の作用を評価してもよい。
【0019】上述のようにして、本細胞を用いてリガンド応答性転写調節因子の転写調節を受ける遺伝子の転写活性を種々の化学物質の存在下に測定することができる。かかる測定値に基づいて該転写調節因子の転写調節能に対する化学物質の作用を評価することができ、該転写調節因子に対するアゴニストやアンタゴニストを同定することができる。かかる評価、同定方法は、リガンド応答性転写調節因子をターゲットとする医薬品の有効成分の探索に利用することができ、また、ダイオキシン様物質や内分泌撹乱化学物質等の検出などに利用することもできる。本細胞は凍結保存が可能であり、必要に応じて起眠して使用することができる。本細胞を試験に用いることにより、リガンド応答性レポーター遺伝子が一過性に導入された細胞を用いる場合と比較して、試験毎の遺伝子導入や細胞選抜等の煩雑な操作を省くことができ、また、一定の性能の細胞を試験に用いることができることから、再現性良く測定することが可能となる。よって、本細胞は、例えばハイスループットスクリーニング等の自動化された大規模スクリーニング法により上述のような化学物質の探索や検出等を行う際にも有用である。
【0020】
【実施例】以下に、実施例および試験例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】実施例1 (リガンド応答性レポーター遺伝子と選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA(プラスミド)の作製)
(1)アリルハイドロカーボンレセプターの認識配列を含むプラスミドIsogen試薬(ニッポンジーン社製)を用いて該試薬に添付のプロトコールに記載の方法で、ヒト由来のHepG2細胞からゲノムDNAを精製した。該ゲノムDNAを鋳型として、フォワードプライマー:5'-TTGAGCTAGGCACGCAAATA-3' およびリバースプライマー:5'-GCTTTGATTGGCAGAGCACA-3' を用いてPCRを行なうことにより、ヒトCYP1A1遺伝子上流のTATAboxから750bp上流〜1370bp上流の領域の塩基配列(J.Biochem.,110.232-236(1991))を有し、アリルハイドロカーボンレセプターの認識配列であるXREを含むDNAを増幅した。増幅されたDNAを回収し、その末端をBlunting kit(宝酒造社製)を用いて平滑化した(該DNAを、以下、XRE DNAと記す。)。マウスメタロチオネインI遺伝子のTATA box近傍の塩基配列とリーダー配列(Genbank Accession No.J00605)に由来する塩基配列からなる2本のオリゴヌクレオチド;
5'-GATCTCGACTATAAAGAGGGCAGGCTGTCCTCTAAGCGTCACCACGACTTCA-3'、5'-AGCTTGAAGTCGTGGTGACGCTTAGAGGACAGCCTGCCCTCTTTATAGTCGA-3'をアニーリングさせて2本鎖DNAとし、これにT4ポリヌクレオチドカイネースを作用させてその両末端をリン酸化した(該DNAを、以下、TATA DNAと記す。)。一方、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドpGL3(プロメガ社製)を制限酵素Bgl IIおよびHind IIIで消化した後、これにBacterial alkaline phosphatase(BAP)を加えて65℃で1時間保温した。次いで、該保温液を低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、pGL3由来のルシフェラーゼ遺伝子を含むBgl II−Hind III断片の長さに相当する泳動度を示すDNAを回収した。該DNA約100ngと、前記のTATA DNA1μgとを混合し、T4リガーゼで結合させることによりプラスミドpGL3−TATAを作製した。次に、pGL3-TATAを制限酵素Sma Iで消化した後、BAPを加えて65℃で1時間保温した。該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。該DNA約100ngと、上記 XRE DNA約1μgとを混合してT4リガーゼを反応させた後、該反応液をDH5αコンピテントセル(TOYOBO製)へ導入した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを調製し、これらを制限酵素Kpn IおよびXho Iで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。XRE DNAに相当する約600bpのDNAがpGL3−TATAのSma I部位に1コピー導入された構造を有するプラスミドを選択し、これをプラスミドpGL3−TATA-1A1と名づけた。次いで、プラスミドpUCSV-BSD(フナコシ社から購入)をBamHIで消化し、ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットをコードするDNAを調製した。該DNAと、前記プラスミドpGL3−TATA-1A1をBamHIで消化しBAP処理して得られたDNAとを混合して、T4リガーゼを反応させた後、該反応液を大腸菌 DH5αコンピテントセル(TOYOBO製)に導入した。得られたアンピシリン耐性の大腸菌クローンからプラスミドDNAを調製し、それぞれを制限酵素Bam HIで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットがプラスミドpGL3−TATA-1A1のBam HI切断部位に挿入された構造を有するプラスミドを選択し、プラスミドpGL3-TATA-1A1-BSDと名づけた。
【0022】(2)エストロゲンレセプターの認識配列を含むプラスミドエストロゲンレセプターの認識配列を含むアフリカツメガエル由来ビテロゲニン遺伝子上流の塩基配列(5'-TCGACAAAGTCAGGTCACAGTGACCTGATCAAG-3')からなるオリゴヌクレオチドおよび該塩基配列と相補的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをDNA合成機にて合成し、これらをアニーリングさせて2本鎖DNA(該DNAを、以下、ERE DNAと記す。)とした後、T4リガーゼを作用させて該2本鎖DNAをタンデムに結合させ、これにT4ポリヌクレオチドカイネースを作用させてその両末端をリン酸化した。次に、上記(1)に記載されたようにして作製されたプラスミドpGL3-TATAを制限酵素Sma Iで消化した後、BAPを加えて65℃で1時間保温した。該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。該DNA約100ngと、前記のERE DNAがタンデムに結合され末端をリン酸化されてなるDNA約1μgとを混合してT4リガーゼを反応させた後、該反応液を大腸菌 DH5αコンピテントセル(TOYOBO製)へ導入した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを調製し、これらを制限酵素Kpn IおよびXho Iで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。pGL3−TATAのSma I部位にERE DNAがタンデムに5コピー導入された構造を有するプラスミドを選択し、これをプラスミドpGL3−TATA-EREx5と名づけた。次いで、プラスミドpUCSV-BSD(フナコシ社から購入)をBamHIで消化し、ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットをコードするDNAを調製した。該DNAと、前記プラスミドpGL3−TATA-EREx5をBamHIで消化しBAP処理して得られたDNAとを混合して、T4リガーゼを反応させた後、該反応液を大腸菌DH5αコンピテントセルに導入した。得られたアンピシリン耐性の大腸菌クローンからプラスミドDNAを調製し、それぞれを制限酵素Bam HIで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットがプラスミドpGL3−TATA-EREx5のBam HI切断部位に挿入された構造を有するプラスミドを選択し、プラスミドpGL3-TATA-EREx5-BSDと名づけた。
【0023】参考例1(リガンド応答性転写調節因子の認識配列およびHSV-tkプロモーターの転写調節を受けるレポーター遺伝子と、細胞選択マーカー遺伝子とを同一分子上に含むDNA(プラスミド)の作製)
まず、pTKβ(クロンテック社製)プラスミドのHSV-tkプロモーター部分の配列に基き、フォワードプライマー:5'-CGGCAGATCTTCTTTAGTTCTATGATGACAC-3'、および、リバースプライマー:5'-CGGAAGCTTGATCTGCGGCACGCTGTTGA-3' を設計し、DNA合成機にて合成した。この2種のプライマーを用いて、プラスミドpTKβ1ngを鋳型にしてPCRを行い、HSV-tkプロモーター領域の−131番目(転写開始点を+1番目とする。)の塩基から+54番目の塩基までの塩基配列を含む185bpのDNAを得た。該DNAの5’末端および3’末端近傍にはそれぞれ、上記PCRプライマーにより導入されたBgl II認識部位またはHind III認識部位が含まれる。次に、該DNAをBgl II及びHind IIIで消化した後、低融点アガロース[NusieveGTG(FMC社製)]を用いたゲル電気泳動に供し、ゲルからDNAを回収した。一方、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドpGL3(プロメガ社製)を制限酵素Bgl IIおよびHind IIIで消化した後、これにBacterial alkaline phosphatase(BAP)を加えて65℃で1時間保温した。次いで、該保温液を低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、pGL3由来のルシフェラーゼ遺伝子を含むBgl II−Hind III断片の長さに相当する泳動度を示すDNAを回収した。このベクターDNA約100ngに対して、上記のように調製されたHSV-tkプロモーター領域を含む約200bpのDNA約1μgを混合し、これにT4 Ligaseを反応させた後、大腸菌 DH5αコンピテントセル(TOYOBO製)に導入した。得られたアンピシリン耐性クローンからプラスミドを調製し、pGL3のBgl II-Hind III部位間に1コピーのHSV-tkプロモーターが導入されたプラスミドを選択し、これをpGL3-tkと名づけた。実施例1(2)の記載に従って調製されたERE DNAに、T4リガーゼを作用させて該2本鎖DNAをタンデムに結合させ、これにT4ポリヌクレオチドカイネースを作用させてその両末端をリン酸化した。上述のpGL3-tkを制限酵素Sma Iで消化した後、BAPを加えて65℃で1時間保温した。該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。該DNA約100ngと、上記のタンデムに結合させ末端をリン酸化したERE DNA約1μgとを混合してT4リガーゼを反応させた後、該反応液を大腸菌 DH5αコンピテントセル(TOYOBO製)へ導入した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを精製し、これらを制限酵素Kpn IおよびXho Iで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。pGL3−tkのSma I部位にERE DNAがタンデムに5コピー導入された構造を有するプラスミドを選択し、これをプラスミドpGL3-tk-EREx5と名づけた。次いで、プラスミドpUCSV-BSD(フナコシ社から購入)をBamHIで消化し、ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットをコードするDNAを調製した。該DNAと、前記プラスミドpGL3−tk-EREx5をBamHIで消化しBAP処理して得られたDNAとを混合して、T4リガーゼを反応させた後、該反応液を大腸菌DH5αコンピテントセルに導入した。得られたアンピシリン耐性の大腸菌クローンからプラスミドDNAを調製し、それぞれを制限酵素Bam HIで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットがプラスミドpGL3−tk-EREx5のBam HI切断部位に挿入された構造を有するプラスミドを選択し、プラスミドpGL3-tk-EREx5-BSDと名づけた。
【0024】実施例2 (リガンド応答性転写調節因子発現プラスミドの作製)
(1)エストロゲンレセプターα発現プラスミドヒトエストロゲンレセプターαをコードするcDNAを取得するために、GenbankAccession NO.M12674に公開されているエストロゲンレセプターα遺伝子の塩基配列に基づき、フォワードプライマー:5'-CCTGCGGGGACACGGTCTGCACCCTGCCCGCGGCC-3'、および、リバースプライマー:5'-CAGGGAGCTCTCAGACTGTGGCAGGGAAACCCTCT-3'を設計し、DNA合成機(アプライドバイオシステムズ社製モデル394)を用いて合成した。次に、ヒト肝 cDNA 10ng(クロンテック社製クイッククローンcDNA#7113−1)を鋳型にし、前記のプライマーをそれぞれ10pmol添加し、LA-Taqポリメラーゼ(宝酒造社製)および該酵素に添付されたバッファーを用いて、反応液量を50μlとしてPCR反応を行った。該反応は、PCRsystem9700(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、95℃1分間次いで68℃3分間の保温を1サイクルとしてこれを35サイクル行った。次いで、該反応液全量を、低融点アガロース(アガロースL:ニッポンジーン)を用いたアガロースゲル電気泳動に供した。既知配列から予想される大きさのバンドが増幅されていることを確認した後、そのバンドからDNAを回収し、該DNAとダイターミネーターシークエンスキットFS(アプライドバイオシステムズ社製)とを用いてダイレクトシークエンス用のサンプルを調製した。これを、オートシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製、モデル377)を用いた塩基配列解析に供し塩基配列を確認した。上記のようにして取得されたDNA約100ngを鋳型にして、フォワードプライマー:5'-CCCAGCCACCATGACCATGACCCTCCACACCAAAGCATCT-3'、および、リバースプライマー:5'-CAGGGAGCTCTCAGACTGTGGCAGGGAAACCCTCT-3' を用いたPCRを行い、エストロゲンレセプターα遺伝子の翻訳開始コドンATGの直前にコザックのコンセンサス配列が付加されたDNAを調製した。すなわち、鋳型となるエストロゲンレセプターαcDNA 0.1μg、LA-Taq ポリメラーゼ(宝酒造社製)、該酵素に添付された反応バッファー、および上記プライマー各10pmolずつを混合し、反応液量を50μlとして、95℃1分間、次いで68℃にて3分間の保温を1サイクルとしてこれを20サイクル行った。このようにして得られた増幅物を低融点アガロースゲル電気泳動法により分離回収した。次にその約1μgを、DNA bluntingキット(宝酒造社製)で処理してその末端を平滑化し、これに次にT4ポリヌクレオチドカイネースを反応させてその末端をリン酸化した。該DNAをフェノール処理した後、エタノール沈殿法により精製し、その全量を下記の発現プラスミド作製用のインサートDNAとして用いた。RSVプロモーターおよびネオマイシン耐性付与遺伝子を含むpRC/RSV(Invitrogen社製)を制限酵素Hind IIIで消化した後、BAPを加えて65℃で1時間保温した。次にフェノール処理・エタノール沈殿によりこれを精製した後、Bluntingキット(宝酒造社製)で処理して末端を平滑化し、低融点アガロース(ニッポンジーン社製;アガロースL)を用いたアガロースゲル電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。回収されたベクターDNA約100ngと、上記のインサートDNA全量を混合し、T4 リガーゼを添加して反応させた。該反応液を大腸菌DH5αコンピテントセルへ導入し、アンピシリン耐性を示したコロニーからプラスミドDNAを調製し、その塩基配列をABIモデル377型オートシークエンサーを用いてダイターミネーター法で決定した。得られた塩基配列を、前述のダイレクトシークエンスで得られた塩基配列と比較して、翻訳領域の塩基配列が完全に一致していることが確認されたプラスミドを選択し、pRC/RSV-hERαコザックと名づけた。
【0025】実施例3(本細胞の取得)
NIH3T3細胞に、実施例1(2)で作製されたプラスミドpGL3-TATA-EREx5-BSDまたは参考例1で作製されたプラスミドpGL3-tk-EREx5-BSDのDNA、および、実施例2で作製されたエストロゲンレセプターの発現プラスミドpRC/RSV-hERαコザックのDNAを、それぞれ直鎖化して導入し、エストロゲンレセプターの転写調節を受ける遺伝子の転写活性測定に用いることのできる細胞を取得した。 まず、プラスミドpGL3-TATA-EREx5-BSDのDNA、プラスミドpGL3-tk-EREx5-BSDのDNA、および、プラスミドpRC/RSV-hERαコザックのDNAをそれぞれSal Iで消化した。NIH3T3細胞は、10%FBSを含むDMEM培地(日水製薬社製)を用いて37℃にて5%CO2存在下に、直径約10cmのシャーレ(ファルコン社製)を用いて培養した。約5x105の細胞を培養し、翌日、該細胞にリポフェクトアミン(GIBCO社製)を用いたリポフェクション法で、上記の直鎖化されたプラスミドのDNAを次の組み合わせで導入した;■pGL3-TATA-EREx5-BSDおよびpRC/RSV-hERαコザック、■pGL3-tk-EREx5-BSDおよびpRC/RSV-hERαコザック。リポフェクション法の条件はリポフェクトアミンに添付されたマニュアルの記載に従って、処理時間5時間、直鎖化されたプラスミドDNAの総量7μg(各々3.5μg)/シャーレ、リポフェクトアミン量は42μl/シャーレとした。リポフェクション処理後、培地を10%FBSを含むDMEM培地に交換して約36時間培養した。次いで、該細胞をトリプシン処理によりシャーレから剥がして回収し、終濃度800μg/mlのG418および終濃度16μg/mlのブラストサイジンSが添加された培地の入った培養容器に移し、培地を3日から4日ごとに新しい培地(前記の選択薬剤入り)に交換しながら約1ヶ月間培養した。出現した直径1mmから数mmの細胞コロニーを、あらかじめ培地を分注しておいた96穴ビュープレート(ベルトールド社製)にコロニーごと移し、さらに培養した。細胞がウェルの底面の半分以上を占める程度までに増殖したときに(移植から約5日後)、トリプシン処理により細胞を剥がして回収し、三等分して3枚の新しい96穴ビュープレートに播種した。一枚はそのまま継代と培養を続け、マスタープレートとした。残り二枚のうちの一方にはDMSOに溶解させた17βエストラジオールを終濃度が10nMとなるように加え、もう一方には前記の17βエストラジオール溶解液と同容積のDMSOを加え、それぞれを2日間培養した。次いでこれら2枚のプレートについて、ウェルから培地を除き、器壁に接着している細胞をPBS(-)で2回洗浄した後、5倍に希釈したPGC50(東洋インキ社製)をウェルあたり20μlずつ加えて室温に30分間放置した。該プレートを、酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96P(ベルトールド社製)にそれぞれセットし、50μlの基質液PGL100(東洋インキ社製)を自動分注して、ルシフェラーゼ活性を測定した。 ■pGL3-TATA-EREx5-BSDおよびpRC/RSV-hERαコザックのDNAを導入して得られた形質転換細胞のうち、288個のクローンについて上記試験を行った。17βエストラジオールを加えていない系におけるルシフェラーゼ活性値に対して、10nM17βエストラジオールを添加した系におけるルシフェラーゼ活性値が、2倍未満のクローンが50個、2倍以上5倍未満のクローンが40個、5倍以上10倍未満のクローンが56個、10倍以上50倍未満のクローンが118個、50倍以上100倍未満のクローンが15個、100倍以上のクローンが9個であった。一方、■pGL3-tk-EREx5-BSDおよびpRC/RSV-hERαコザックのDNAを導入して得られた形質転換細胞のうち、192個のクローンについて上記試験を行った。17βエストラジオールを加えていない系におけるルシフェラーゼ活性値に対して、10nM 17βエストラジオールを添加した系におけるルシフェラーゼ活性値が、2倍未満のクローンが100個、2倍以上5倍未満のクローンが64個、5倍以上10倍未満のクローンが25個、10倍以上50倍未満のクローンが3個、50倍以上100倍未満のクローンが0個、100倍以上のクローンが0個であった。
【0026】実施例4 (本細胞の取得)
アリルハイドロカーボンレセプターを発現するヒト由来のMCF7細胞に、実施例1(1)で作製されたプラスミドpGL3-TATA-1A1-BSDのDNAを直鎖化して導入し、アリルハイドロカーボンレセプターの転写調節を受ける遺伝子の転写活性測定に用いることのできる本細胞を取得した。まず、プラスミドpGL3-TATA-1A1-BSDのDNAをSal Iで消化した。また、MCF7細胞は、10%FBSを含むDMEM培地(日水製薬社製)を用いて37℃にて5%CO2存在下に、直径約10cmのシャーレ(ファルコン社製)を用いて培養した。約5x105の細胞を培養し、翌日、該細胞にリポフェクトアミン(GIBCO社製)を用いたリポフェクション法で、上記の直鎖化されたプラスミドpGL3-TATA-1A1-BSDのDNAを導入した。リポフェクション法の条件はリポフェクトアミンに添付されたマニュアルの記載に従って、処理時間5時間、直鎖化されたプラスミドDNA量7μg/シャーレ、リポフェクトアミン量は56μl/シャーレとした。リポフェクション処理後、培地を10%FBSを含むDMEM培地に交換して約36時間培養した。次いで、該細胞をトリプシン処理によりシャーレから剥がして回収し、終濃度16μg/mlの細胞選択薬剤ブラストサイジンSが添加された培地の入った培養容器に移し、培地を3日から4日ごとに新しい培地(選択薬剤入り)に交換しながら1ヶ月半の間培養した。出現した直径1mmから数mmの細胞コロニーを、あらかじめ培地を分注しておいた96穴ビュープレート(ベルトールド社製)にコロニーごと移し、さらに培養した。細胞がウェルの底面の半分以上を占める程度までに増殖したときに(移植から約5日後)、トリプシン処理により細胞を剥がして回収し、三等分して3枚の新しい96穴ビュープレートに播種した。一枚はそのまま継代と培養を続け、マスタープレートとした。残り二枚のうちの一方にはDMSOに溶解させた3−メチルコランスレンを終濃度が50μMとなるように加え、もう一方には前記の3−メチルコランスレン溶解液と同容積のDMSOを加え、それぞれを二日間培養した。次いでこれら2枚のプレートについて、ウェルから培地を除き、器壁に接着している細胞をPBS(-)で二回洗浄した後、5倍に希釈したPGC50(東洋インキ社製)をウェルあたり20μlずつ加えて室温に30分間放置した。該プレートを、酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96P(ベルトールド社製)にそれぞれセットし、50μlの基質液PGL100(東洋インキ社製)を自動分注して、ルシフェラーゼ活性を測定した。3−メチルコランスレンを添加した系の方が、3−メチルコランスレンを加えていない系よりも、少なくとも2倍以上高いルシフェラーゼ活性を示す細胞を選択した。
【0027】実施例5 対照細胞取得用レポータープラスミドの作製(1)レポーター遺伝子がTKプロモーターの転写調節下に接続されたプラスミドまず、プラスミドpRL-TK(プロメガ社製)をHind IIIおよびBgl IIで消化し、低融点アガロース(アガロースL;ニッポンジーン社製)を用いたゲル電気泳動に供し、TKプロモーターを含む760bpのDNAを回収した。次に、プラスミドpGL3をHind IIIとBgl IIとで消化し、さらにこれにBAPを加えて65℃1時間保温した後、該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供して、pGL3由来のルシフェラーゼ遺伝子を含むBgl II−Hind III断片の長さに相当する泳動度を示すDNAを回収した。該DNAのうち約0.1μgを、上記のTKプロモーターを含むDNA約0.2μgと混合し、これをT4 リガーゼと反応させ、大腸菌DH5αコンピテントセル(TOYOBO製)へ導入した。得られたアンピシリン耐性クローンからプラスミドDNAを調製し、それぞれを制限酵素Hind IIIおよびBgl IIで消化し、該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。pGL3のHind IIIとBgl IIサイトとの間に上記のTKプロモーターを含むDNAが挿入された構造を有するプラスミドを選択し、これをプラスミドpGL3-TKと名づけた。次にこのpGL3-TKのDNAをBamH Iで消化し、さらにこれにBAPを加えて65℃で1時間保温した後、該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供して、単一のバンドが検出されることを確認した後そのバンド部分のゲルからDNAを回収した。該DNAと、プラスミドpUCSV-BSD(フナコシ社より購入)をBamHI消化して調製されたブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットをコードするDNAとを、T4 Ligaseで結合させることにより、ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットがpGL3-TKのBamHI切断部位に挿入された構造を有するプラスミドを選択し、プラスミドpGL3-TK−BSDを得た。
【0028】(2)レポーター遺伝子がRSVプロモーターの転写調節下に接続されたプラスミドまず、プラスミドpRC/RSVをBgl IIおよびHind IIIで消化し、低融点アガロース(アガロースL;ニッポンジーン社製)を用いたゲル電気泳動に供し、RSVプロモーターを含む594bpのDNAを回収した。プラスミドpGL3をHind IIIとBgl IIとで消化し、さらにこれにBAPを加えて65℃1時間で保温した後、該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供して、pGL3由来のルシフェラーゼ遺伝子を含むBgl II−Hind III断片の長さに相当する泳動度を示すDNAを回収した。該DNAのうち約0.1μgを、上記のRSVプロモーターを含むDNA約1μgと混合し、これをT4 リガーゼと反応させ、大腸菌DH5αコンピテントセル(TOYOBO製)へ導入した。得られたアンピシリン耐性クローンからプラスミドDNAを調製し、それぞれを制限酵素Hind IIIおよびBgl IIで消化し、該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。pGL3のHind IIIとBgl IIサイトとの間に上記のRSVプロモーターを含むDNAが挿入された構造を有するプラスミドを選択し、これをプラスミドpGL3-RSVと名づけた。次にこのプラスミドをBamHIで消化し、さらにこれにBAPを加えて65℃で1時間保温した後、該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供して、単一のバンドが検出されることを確認した後そのバンド部分のゲルからDNAを回収した。該DNAと、プラスミドpUCSV-BSD(フナコシ社より購入)をBamHI消化して調製されたブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットをコードするDNAとを、T4 Ligaseで結合させることにより、ブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子発現カセットがpGL3-RSVのBamHI切断部位に挿入された構造を有するプラスミドを選択し、プラスミドpGL3-RSV-BSDを得た。
【0029】実施例6 (対照細胞の取得)
実施例5(1)で作製されたプラスミドpGL3-TKはSal Iで、実施例5(2)で作製されたプラスミドpGL3-RSVはXhoIで、それぞれ消化した。また、HeLa細胞は、10%FBSを含むDMEM培地(日水製薬社製)で37℃にて5%CO2存在下に直径約10cmのシャーレ(ファルコン社製)を用いて培養した。約5x105の細胞を培養し、翌日、該細胞にリポフェクトアミン(GIBCO社製)を用いたリポフェクション法で、上記の直鎖化されたプラスミドをpGL3-RSVまたはpGL3-TKを導入した。リポフェクション法の条件はリポフェクトアミンに添付されたマニュアルの記載に従って、処理時間5時間、直鎖化されたプラスミドDNA量7μg/シャーレ、リポフェクトアミン量は21μl/シャーレとした。リポフェクション処理後、培地を10%FBSを含むDMEM培地に交換して36時間程度培養した。次いで、該細胞をトリプシン処理によりシャーレから剥がして回収し、終濃度16μg/mlの細胞選択薬剤ブラストサイジンSが添加された培地の入った培養容器に移し、培地を3日から4日ごとに新しい培地(選択薬剤入り)に交換しながら1ヶ月間培養した。出現した直径1mmから数mmの細胞コロニーを、あらかじめ培地を分注しておいた96穴ビュープレート(ベルトールド社製)にコロニーごと移し、さらに培養した。細胞がウェルの底面の半分以上を占める程度までに増殖したときに(移植から約5日後)、トリプシン処理により細胞を剥がして回収し、2等分して2枚の新しい96穴ビュープレートに播種した。一枚はそのまま継代と培養を続け、マスタープレートとした。残りの1枚は、ウェルから培地を除いて器壁に接着している細胞をPBS(-)で2回洗浄した後、5倍に希釈したPGC50(東洋インキ社製)をウェルあたり20μlずつ加えて室温に30分間放置した。このプレートを、酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96P(ベルトールド社製)にセットし、50μlの基質液PGL100(東洋インキ製)を自動分注して、ルシフェラーゼ活性を測定した。測定試薬のみが添加されたウェルよりも高い発光測定値を与えるようなルシフェラーゼ活性を示すクローンを対照細胞として選択した。
【0030】試験例1 (本細胞を用いたレポーターアッセイ)
実施例3または4に記載のようにして取得された本細胞を、フェノールレッドフリーのMEM培地(日水製薬社製)にチャコールデキストラン処理済みFBSを終濃度10%となるよう加えた培地を用いて、ルシフェラーゼ発光測定用兼培養用96穴プレート(コーニングコースター社製#3903)に約2x104細胞/穴ずつ播種し、一晩培養する。次いで、該細胞に、DMSOに溶解させた被験化学物質を添加する。このとき、被験物質の終濃度が試験区ごとに段階的に変り、また、全ての試験区において培養液中の最終DMSO量が0.1%に揃うように溶解液を調製して添加する。被験物質が添加されていない系として、溶媒(DMSO)のみが添加された対照区を設け、陽性対照物質が添加された陽性対照区も設ける。被験物質が添加された細胞を培養し、被験物質添加から36時間後に培地を除き、PBS(−)で2回細胞を洗浄した後、5倍に希釈したPGC50(東洋インキ社製)を20μlずつ加えて室温に30分間放置する。このプレートを、酵素基質自動インジェクター付きルミノメーターLB96P(ベルトールド製)にセットし、50μlの基質液PGL100(東洋インキ製)を自動分注して、ルシフェラーゼ活性を測定する。実施例3で取得された本細胞を用いて、ゲニステインのエストロゲンレセプターαに対するアゴニスト活性を測定した。結果を図1に示す。終濃度1μMのゲニステインの添加によりルシフェラーゼ活性の上昇が認められた。このようにして、目的とするリガンド応答性転写調節因子に対する被験物質のアゴニスト活性を測定することができる。また、被験物質とともに、目的とするリガンド応答性転写調節因子のリガンドをEC50値程度の濃度となるよう各試験区に添加して、上記と同様に試験を行うと、目的とするリガンド応答性転写調節因子に対する被験物質のアンタゴニスト活性を測定することができる。さらに、実施例6に記載のようにして取得された対照細胞を用いて、同様に測定を行い、その結果に基づいて上記のようにして得られる試験結果を補正してもよい。
【0031】
【発明の効果】本発明により、リガンド応答性転写調節因子の転写調節能に対する化学物質の作用を評価するために用いることのできる細胞等が提供可能となる。




 

 


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