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発明の名称 環状エーテルの開環重合方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−261814(P2001−261814A)
公開日 平成13年9月26日(2001.9.26)
出願番号 特願2000−81510(P2000−81510)
出願日 平成12年3月23日(2000.3.23)
代理人 【識別番号】100096219
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 正純 (外2名)
【テーマコード(参考)】
4H048
4J005
【Fターム(参考)】
4H048 AB40 AC90 VA12 VA22 VA77 
4J005 AA02 AA04 AA06 AA07 AA08 AA09 AA10 BB02 BB04
発明者 今井 敏郎 / 尾上 真人 / 西澤 理
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 環状エーテルを開環重合して重合体を製造する方法であって、下記一般式(I):【化1】

(式中、X1、X2、X3、及びX4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、置換又は無置換アリール基、及び置換又は無置換アリールアルキル基からなる群から選ばれる置換基を示し、ただしX1、X2、X3、及びX4のうち少なくとも1つはハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基であり;Mはホウ素原子、アルミニウム原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる原子であり;Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換又は無置換アリール基、置換又は無置換アリールアルキル基、アルコキシ基、置換又は無置換アリールアルキルオキシ基、置換又は無置換アリールオキシ基、モノ又はジアルキルアミノ基、置換又は無置換アリールアミノ基、アルキルチオ基、及び置換又は無置換アリールチオ基からなる群から選ばれる置換基であり;nは0又は1を示す)で表される化合物を開始剤として用いることを特徴とする方法。
【請求項2】 Mがホウ素原子である請求項1に記載の方法。
【請求項3】 環状エーテルを開環重合して重合体を製造するための開始剤であって、請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物を含む開始剤。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状エーテルを開環重合して重合体を製造する方法及び該方法に用いるための開始剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】環状エーテルの開環重合の方法に用いられる重合形式として、カチオン重合、アニオン重合、及び配位アニオン重合が広く知られている。これらの環状エーテルの重合は、一部のリビング重合系を除いて環状オリゴマーの生成が起きたり、置換基を有するモノマーを用いた場合にはプロトンの引き抜きなどが起きやすいなどの問題を有しており、高分子量のポリマーが得られなかったり、分子量分布が広くなったりするという問題が生じやすい重合系である。
【0003】特に5員環であるテトラヒドロフランはほとんどカチオン重合のみによってしか重合が進行しないことが知られており、しかも上記の現象が起こりやすく、分子量や末端基の制御がしにくいという問題を有している。テトラヒドロフランの重合では、開始剤として、例えば強酸(HClO4など)、強酸無水物((CF3SO2)2Oなど)、トリエチルオキソニウムイオン(Et3O+PbCl6-など)、光潜在性開始剤(p-Cl-Ph-N=N+PF5-など)などが使用されているが、これら既知の開始剤系では連鎖移動反応・停止反応を起こしやすく、低分子量かつ広い分子量分布を持った重合体しか得られなかった。
【0004】それに対してホウ素系開始剤BF3:THF-EO開始剤系は重合活性種に対する対アニオンの安定性が高いため停止反応が起こりにくく、高分子量で分子量分布の狭い重合体が得られやすい。しかしながら、この重合系は開始反応が遅く、もともとプロモーターとしてオキシラン類を添加しないと重合を開始しないことが知られており、ホモ重合は殆ど進行しないという問題がある。このように、開始剤としての活性、分子量の制御、狭い分子量分布といった要求を満足する開始剤系は現在のところ開発されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、、環状エーテルを開環重合して重合体を製造するにあたり、効率的に所望の重合体を製造可能な開始剤を提供することにある。より具体的には、停止機構や連鎖移動機構を抑え、高分子量で分子量分布の狭い重合体を効率的に製造するための開始剤を提供することが本発明の課題である。本発明の別の課題は、上記の特徴を有する開始剤を用いて環状エーテルを開環重合して重合体を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のカテコールから誘導される化合物を開始剤として用いることによって、環状エーテルを効率的に重合して所望の重合体を製造できることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0007】すなわち、本発明は、環状エーテルを開環重合して重合体を製造する方法であって、下記一般式(I):【化2】

(式中、X1、X2、X3、及びX4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、置換又は無置換アリール基、及び置換又は無置換アリールアルキル基からなる群から選ばれる置換基を示し、ただしX1、X2、X3、及びX4のうち少なくとも1つはハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基であり;Mはホウ素原子、アルミニウム原子、チタン原子、及びジルコニウム原子からなる群から選ばれる原子であり;Y1及びY2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換又は無置換アリール基、置換又は無置換アリールアルキル基、アルコキシ基、置換又は無置換アリールアルキルオキシ基、置換又は無置換アリールオキシ基、モノ又はジアルキルアミノ基、置換又は無置換アリールアミノ基、アルキルチオ基、及び置換又は無置換アリールチオ基からなる群から選ばれる置換基であり;nは0又は1を示す)で表される化合物を開始剤として用いることを特徴とする方法を提供するものである。
【0008】上記発明の好ましい態様によれば、Mがホウ素原子である上記方法が提供される。また、別の観点からは、環状エーテルを開環重合して重合体を製造するための開始剤であって、上記の一般式(I)で表される化合物を含む開始剤が本発明により提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本明細書において用いられる用語の意味は以下のとおりである。アルキル基又はアルキル部分を有する置換基(例えばアルキルアリール基、アルコキシ基、、アルキルチオ基など)のアルキル部分は、直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのいずれでもよく、炭素数は1から12、好ましくは1から10、より好ましくは1から8、さらに好ましくは1から6、特に好ましくは1から4程度である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを例示することができるが、これらに限定されることはない。
【0010】ハロゲン原子という場合には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよいが、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子である。アリール基又はアリール部分を有する置換基(例えばアリールアルキル基など)のアリール部分について「置換又は無置換」という場合、アリール環が1又は2個以上の置換基を環上に有していてもよいことを意味している。アリール環上に存在する置換基の位置は特に限定されず、2個以上の置換基が存在する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。アリール基としては、例えば、フェニル基又はナフチル基、より好ましくはフェニル基を挙げることができる。
【0011】置換アリール基としては、例えば、アルキル置換アリール基、より好ましくはアルキル置換フェニル基を挙げることができる。より具体的には、置換アリール基として、p−トルイル基、p−エチルフェニル基、又はキシリル基などを挙げることができる。アリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などを挙げることができ、好ましくはベンジル基である。
【0012】Mはホウ素原子、アルミニウム原子、チタン原子、及びジルコニウム原子から選ばれる原子であり、好ましくはホウ素原子である。nはMで表される金属の価数に応じて0又は1を示す。Y1又はY2が示すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基などを挙げることができ、アリールアルキルオキシ基としてはベンジルオキシ基などを挙げることができ、アリールオキシ基としてはフェノキシ基を挙げることができる。Y1又はY2が示すモノ又はジアルキルアミノ基としては、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、モノn−プロピルアミノ基などを挙げることができ、2個のアルキル基を有する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよい。Y1又はY2が示すアリールアミノ基としてはフェニルアミノ基、アルキルチオ基としてはメチルチオ基、エチルチオ基などを挙げることができ、アリールチオ基としてはフェニルチオ基などを挙げることができる。Y1又はY2として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n-ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基、又はベンジル基などのアリールアルキル基が好ましい。また、Y1及びY2は水素原子以外の基であることが好ましい。
【0013】上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、3,4,5,6−テトラフルオロカテコールボラン、3,4,5−トリフルオロカテコールボラン、3,4,6−トリフルオロカテコールボラン、3,4−ジフルオロカテコールボラン、3,5−ジフルオロカテコールボラン、3,6−ジフルオロカテコールボラン、3−フルオロカテコールボラン、4−フルオロカテコールボラン、及びこれら化合物におけるフッ素原子(2個以上のフッ素原子を有する場合にはそれらの一部又は全部)を塩素原子又は臭素原子で置き換えた化合物;
【0014】3,4,5,6−テトラクロロカテコールブトキシボラン、3,4,5−トリクロロカテコールブトキシボラン、3,4,6−トリクロロカテコールブトキシボラン、3,4−ジクロロカテコールブトキシボラン、3,5−ジクロロカテコールブトキシボラン、3,6−ジクロロカテコールブトキシボラン、3−クロロカテコールブトキシボラン、4−クロロカテコールブトキシボラン、及びこれらの化合物の塩素原子(2個以上の塩素原子を有する場合にはそれらの一部又は全部)をフッ素原子又は臭素原子で置き換えた化合物、並びに前記の化合物のブトキシ基をアルコキシ基、アルキルアミノ基、又はアルキルチオ基で置き換えた化合物;
【0015】3,4,5,6−テトラシアノカテコールボラン、3,4,5−トリシアノカテコールボラン、3,4,6−トリシアノカテコールボラン、3,4−ジシアノカテコールボラン、3,5−ジシアノカテコールボラン、3,6−ジシアノカテコールボラン、3−シアノカテコールボラン、4−シアノカテコールボラン、及びこれらの化合物のホウ素原子上の水素原子をアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、又はアルキルチオ基で置き換えた化合物;
【0016】3,4,5,6−テトラニトロカテコールボラン、3,4,5−トリニトロカテコールボラン、3,4,6−トリニトロカテコールボラン、3,4−ジニトロカテコールボラン、3,5−ジニトロカテコールボラン、3,6−ジニトロカテコールボラン、3−ニトロカテコールボラン、4−ニトロカテコールボラン、及びこれらの化合物のホウ素原子上の水素原子をアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、又はアルキルチオ基で置き換えた化合物;及び上述した全ての化合物のホウ素原子をアルミニウム原子、チタン原子、又はジルコニウム原子で置き換えた化合物などを挙げることができる。
【0017】これらのうち好ましいのは、テトラクロロカテコールボラン及びそのアルコキシ誘導体、テトラブロモカテコールボラン及びそのアルコキシ誘導体である。もっとも、上記一般式(I)で表される化合物は上記に例示した化合物に限定されることはない。
【0018】上記一般式(I)で表される化合物は、例えば、カテコールと対応する金属のヒドリド物、アルコキシ化合物、アミド化合物、アルキルチオ化合物との反応によって製造することができる。その具体例は本明細書の実施例に具体的に示されており、当業者は実施例に記載された方法を参照しつつ、原料化合物、反応試薬、反応条件などを適宜選択することにより、上記一般式(I)に包含される化合物をいずれも製造することが可能である。
【0019】上記一般式(I)で表される化合物は、置換基の種類により1又は2個以上の不斉炭素を有する場合があり、光学活性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する場合がある。本発明の開始剤としては、純粋な形態の立体異性体のほか、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などの任意の物質を用いてもよい。また、上記一般式(I)で表される化合物が塩を形成する場合には、塩の形態の物質を開始剤として用いてもよい。また、上記一般式(I)で表される化合物又はその塩の水和物又は溶媒和物を開始剤として用いることもできる。
【0020】本発明の開始剤は、環状エーテルモノマーを開環重合して重合体を製造する場合の開始剤として使用される。環状エーテルモノマーとしては、環構成原子として1個の酸素原子を含む3〜11員の環状エーテルを用いることができる。環を構成する炭素原子上には、1又は2以上の置換基が存在していてもよく、2個以上の置換基を有する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよい。環上の置換基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基など)、炭素数1〜20のハロゲン置換アルキル基(例えば、クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基など)、アリール基(フェニル基など)、アリールアルキル基(ベンジル基など)、アルキルアリール基(トリル基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基など)、ハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノなど)、シアノ基などを挙げることができる。
【0021】環状エーテルモノマーの具体的例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、シス−1,2−ブチレンオキシド、トランス−1,2−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、グリシドール、グリシジルフェニルエーテル、オキセタン、2−メチルオキセタン、2,2−ジメチルオキセタン、2−クロルメチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、3−メチル−3−クロロメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、3−(トリメチルシリルオキシメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、3−メチル−テトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、2−エトキシテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、テトラヒドロフランアセチックアシドエチルエステル、テトラヒドロフルフリルクロライド、テトラヒドロフルフリルアセテート、テトラヒドロフルフリルプロピオネート、テトラヒドロフルフリルn−ブチレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等を挙げることができる。これらのうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフランが好ましい。環状エーテルモノマーは一種類を単独で用いてもよいが、2種以上のモノマーを用いて共重合してもよい。特に、テトラヒドロフランのような重合活性の低い環状エーテルモノマーを重合させる場合には、歪の大きい環状エーテル化合物をプロモーターとして添加しておくことが望ましい。
【0022】本発明における開環重合方法については特に制限はなく、慣用の重合形式、例えば、スラリー重合法、気相重合法、塊状重合法、溶液重合法および懸濁重合法等のいずれの方法を用いてもよい。これらのうち、スラリー重合法、溶液重合法および塊状重合法が好適である。また、バッチ法でも連続法でもよい。本発明の式(I)で表される開始剤を重合系に導入する方法も特に限定されず、目的に応じて適宜の方法を採用することができる。例えば、開始剤をモノマーの存在下及び/又は非存在下に添加してもよい。あるいは、重合系内に式(I)で表される化合物を製造するための原料化合物を導入して、重合系内で開始剤を生成させてもよい。その場合、重合系に添加する原料化合物の順序は特に限定されない。通常は、開始剤の生成のための原料化合物(通常はカテコール類と金属のヒドリド物、アルコキシ化合物、アミド化合物、アルキルチオ化合物など)を不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中に導入して原料化合物同士を接触させることにより開始剤を重合系内で生成させることができる。
【0023】重合温度は適宜選択可能であるが、通常は−78〜150℃、好ましくは−30〜110℃の範囲である。開始剤の使用量も特に限定されず、環状エーテルモノマーの種類、反応の種類、反応温度、重合時間などの種々の条件に応じて適宜選択することができる。例えば、溶液重合系の場合は、10-6〜10モル/リットル、特に10-4〜1モル/リットルの範囲が好ましい。開始剤のモノマーに対する比は、例えば、1〜1/106、好ましくは1〜1/105となるような範囲が好ましい。
【0024】重合溶媒を用いる重合の場合には、開環重合に通常用いられる溶媒を用いることができ、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油等の石油留分、またこれらの混合溶媒などを用いることができる。
【0025】開始剤の種類のほか、環状エーテルモノマーの種類、反応の種類、反応温度、重合時間などの種々の条件を適宜選択することによって重合体の分子量を調節することができる。本発明の開環重合方法により得られる重合体の重合度(n)は通常は10〜3000である。本発明の方法によって得られる重合体は、分子量分布が狭いという特徴を有する。例えば、テトラヒドロフランを開環重合する場合には、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の比 Mw/Mn(=Q値)が1.0〜3.5、好ましくは1.0〜2.5程度の重合体を製造することが可能である。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。実施例中、Mw及びMw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としポリスチレン換算で算出した。ボラン化合物の同定は、マススペクトル(MS:Finnigan Mat社製TSQ−700により測定)により行った。また、末端基の定量は、試料をCDCl3に溶解してNMRスペクトル(270MHz、日本電子社製により測定)の積分値により算出した。
【0027】例1:テトラクロロカテコールボランの合成窒素置換した2口ナスフラスコにテトラクロロカテコール0.62g(2.5mmol)を入れ、トルエン20mlに溶解した。ボラン・ジメチルスルフィド0.24ml(2.5mmol)を添加し、攪拌しながら110℃に加熱した。溶媒を減圧留去することにより、白色固体テトラクロロカテコールボラン0.64gを得た。質量分析の結果、分子イオンピークm/z:256(M+)が観測された。
【0028】例2:テトラクロロカテコールブトキシボランの合成窒素置換した2口ナスフラスコにテトラクロロカテコール0.62g(2.5mmol)を入れ、トルエン20mlに溶解した。トリブトキシボラン0.58g(2.5mmol)を添加して反応させ、トルエンを蒸留した。残ったトルエンを減圧留去することにより、薄黄色の固体テトラクロロカテコールボラン0.83g(2.5mmol)得た。質量分析の結果、分子イオンピークm/z:328(M+)が観測された。
【0029】例3:テトラクロロカテコールイソプロポキシボランの合成例1で合成したテトラクロロカテコールボラン0.64g(2.5mmol)を窒素置換した2口ナスフラスコに入れ、トルエン20mlに溶解した。この溶液にイソプロパノール0.15ml(2.5mmol)を加えて反応させた。24時間反応させた後、トルエンを減圧留去することにより、白色の固体テトラクロロカテコールイソプロポキシボラン0.79g(2.5mmol)得た。質量分析の結果、分子イオンピークm/z:314(M+)が観測された。
【0030】例4:テトラクロロカテコールフェノキシボランの合成イソプロパノールの代わりにフェノール0.24g(2.5mmol)を用い例3で用いた以外は例3と同様にして、白色の固体テトラクロロカテコールボラン0.87g(2.5mmol)得た。質量分析の結果、分子イオンピークm/z:348(M+)が観測された。
【0031】例5例1で合成したテトラクロロカテコールブトキシボラン0.1mmolを2口フラスコに入れ、窒素置換した後、脱水塩化メチレン9.3mlを加えて溶解した。この溶液にシクロヘキセンオキサイド0.98g(10mmol)を加えて重合を開始し、室温に保ちながら1時間攪拌を続け、水1mlを加えて重合を停止した。反応混合物に2N NaOHを加えて攪拌した後、塩化メチレン層を2gAl23のカラムを通し、溶媒を減圧留去して重合体を得た。収量1.0g(転化率100%)、Mn=13200、Mw/Mn=1.92【0032】例6:シクロヘキセンオキサイドの代わりにオキセタン0.58g(10ml)を用いた以外は例5と同様にして重合を行った。
収量0.46g(転化率78%)、Mn=2500、Mw/Mn=1.73【0033】例7テトラクロロカテコール0.62g(2.5mmol)を2口フラスコに入れ窒素置換し、脱水THF17.7mlを加えて溶解させた。ボラン−THF錯体/THF溶液(1.07M)を2.3ml(2.5mmol)を加え、重合を開始した。反応混合物を室温に保ちながら1時間攪拌を続け、水10mlを加え重合を停止した。反応混合物をエーテル400mlに溶解させ、0.025N NaOH水溶液50mlで2回、水50mlで2回、0.01N HCl水溶液で洗浄し、溶媒を減圧留去して重合体を得た。
収量11.5g(転化率65%)、Mn=65100、Mw/Mn=1.79末端構造はポリマー1分子につき5%以下のブトキシ基が存在し、それ以外は同定できなかった。
【0034】例8テトラクロロカテコールの代わりにテトラブロモカテコールを用いた以外は例5と同様にして重合を行った。
収量10.9g(転化率62%)、Mn=32330、Mw/Mn=1.80末端構造はポリマー1分子につき5%以下のブトキシ基が存在し、それ以外は同定できなかった。
【0035】例9例1で合成したテトラクロロカテコールボラン2.5mmolを2口フラスコに入れ、窒素置換した。室温にてTHF20ml(246mmol)を加え、重合を開始した。生成したポリマーは例5と同様に精製した。
収量12.3g(転化率69%)、Mn=42600、Mw/Mn=1.84末端構造はポリマー1分子につき5%以下のブトキシ基が存在し、それ以外は同定できなかった。
例10テトラクロロカテコールボランの代わりに例2で合成したテトラクロロカテコールブトキシボラン(2.5mmol)を用いた以外は例9と同様にして重合を行った。
収量11.6g(転化率65%)、Mn=42700、Mw/Mn=1.87末端構造はポリマー1分子につき100%のブトキシ基が存在した。
【0036】例11テトラクロロカテコールボランの代わりに例3で合成したテトラクロロカテコールイソプロポキシボラン(2.5mmol)を用いた以外は例9と同様にして重合を行った。
収量11.9g(転化率67%)、Mn=41600、Mw/Mn=1.74末端構造はポリマー1分子につき90%のイソプロポキシ基が存在した。
例12テトラクロロカテコールボランの代わりに例4で合成したテトラクロロカテコールフェノキシボラン(2.5mmol)を用いた以外は例9と同様にして重合を行った。
収量12.9g(転化率73%)、Mn=39200、Mw/Mn=1.94末端構造はポリマー1分子につき100%のフェノキシ基が存在した。
【0037】例13(比較例)
テトラクロロカテコールの代わりにカテコールを用いて例5と同様に重合を行ったところ、重合は進行しなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明の開始剤を用いて環状エーテルを重合することにより、高分子量で分子量分布の狭い重合体を効率的に製造することができる。




 

 


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