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発明の名称 リーチ式フォークリフト
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−151494(P2001−151494A)
公開日 平成13年6月5日(2001.6.5)
出願番号 特願2000−131399(P2000−131399)
出願日 平成12年4月28日(2000.4.28)
代理人 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外5名)
【テーマコード(参考)】
3D045
3D046
3F333
【Fターム(参考)】
3D045 AA06 BB37 CC01 EE02 FF42 GG01 GG28 
3D046 AA06 AA09 CC02 HH02 HH05 HH16 HH36 JJ06 LL02 LL23 LL37 LL41
3F333 AA02 AB13 BA08 CA12 CA21 DB02 FA20 FA32 FD20 FE04 FE09
発明者 大塚 晴彦
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 車両後部に位置し、後輪が設けられた機台と、前記機台内に形成された運転席と、車両前部に位置して、左右一対の前輪を有する左右一対のリーチレグと、前記リーチレグに沿ってスライド可能なマスト装置と、前記マスト装置に支持された左右一対のフォークとを備え、さらに、ブレーキ作用命令に連動して前記後輪にブレーキをかける後輪ブレーキ装置と、前記後輪のスリップを検出するためのスリップ検出手段と、前記ブレーキ作用命令があったときに、前記スリップ検出手段により前記後輪のスリップ発生が検出された場合に前記前輪にブレーキをかける前輪ブレーキ装置とを備えたことを特徴とするリーチ式フォークリフト。
【請求項2】 前記ブレーキ作用命令は、安全ブレーキ手段が作動状態のとき、又は、前記安全ブレーキ手段が非作動状態で、アクセル手段が車両進行方向と逆方向に移動されたときに出されることを特徴とする請求項1に記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項3】 前記安全ブレーキ手段は、前記運転席に設けられたブレーキペダルであり、前記ブレーキペダルが踏まれているときが、前記安全ブレーキ手段の非作動状態であり、該ブレーキペダルが離されたときが、前記安全ブレーキ手段の作動状態であることを特徴とする請求項2に記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項4】 前記後輪のスリップ発生は、すべり速度を基に判断されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項5】 前記後輪のスリップ発生は、スリップ比を基に判断されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項6】 前記前輪ブレーキ装置は、前記前輪が停止したとき、又は停止に近い低速となったとき、前記アクセル手段が中立位置に戻されとき若しくは車両進行方向と同方向に移動されたとき、又は、前記安全ブレーキ手段が非作動状態のときに、前記前輪のブレーキを解放することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項7】 前記フォークを油圧駆動するオイルポンプと、前記オイルポンプからのオイルを貯え前記前輪ブレーキ装置に供給するアキュムレータとを備えたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のリーチ式フォークリフト。
【請求項8】 前記後輪は駆動輪として機能し且つ車両の幅方向中心からずれた位置に設けられており、前記ブレーキ装置は前記左右一対の前輪に同時にブレーキ作用を行うことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のリーチ式フォークリフト。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リーチ式フォークリフトに関し、特にそのブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図16に従来のリーチ式フォークリフトの側面を示す。また、図17は、かかるリーチ式フォークリフトの平面を概念的に示したものである。リーチ式フォークリフト1の車両前部には、左右一対のリーチレグ2が設けられている。一対のリーチレグ2の間には、左右一対のフォーク3を支持するマスト装置4がスライド可能に設けられている。各リーチレグ2の前端には、前輪5が設けられている。一方、車両後部には、運転席6を有する機台7が設けられている。機台7には駆動輪及び操舵輪として機能する第1の後輪8と、機台7を支持する支持輪として車両の進行に従動するだけの第2の後輪9が配設されている。また、かかるリーチ式フォークリフトには、第1の後輪8だけを制動する図示しないブレーキ装置が設けられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来のリーチ式フォークリフトにおいては、図16に示されるように、一対のフォーク3に荷10を載せると、荷10の重量Wに起因して前輪5において図中反時計方向のモーメントM1が働くこととなり、後輪8に作用する鉛直下向きの荷重(以下、「後輪荷重」と称する)Nが減少することがある。このため、荷10を載せた状態でブレーキがかけられると、後輪荷重の減少により後輪8のスリップなどが生じ易く、また、荷10の重量分だけ車両全体の重量が増加することも相俟って、制動距離が長くなる問題があった。
【0004】また、制動力が作用する第1の後輪8は、図17に示されるように、車両幅方向の中心Cから片側にずれているため、車両にモーメントが発生し、制動時車両が僅かに旋回してしまうことがあった。
【0005】本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、制動距離の短縮を図ることができると共に、制動時の車両の旋回量を減少させることができるリーチ式フォークリフトを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、本発明のリーチ式フォークリフトは、車両後部に位置し、後輪が設けられた機台と、前記機台内に形成された運転席と、車両前部に位置して、左右一対の前輪を有する左右一対のリーチレグと、前記リーチレグに沿ってスライド可能なマスト装置と、前記マスト装置に支持された左右一対のフォークとを備え、さらに、ブレーキ作用命令に連動して前記後輪にブレーキをかける後輪ブレーキ装置と、前記後輪のスリップを検出するためのスリップ検出手段と、前記ブレーキ作用命令があったときに、前記スリップ検出手段により前記後輪のスリップ発生が検出された場合に前記前輪にブレーキをかける前輪ブレーキ装置とを備えたことを特徴とする。
【0007】また、前記ブレーキ作用命令は、安全ブレーキ手段が作動状態のとき、又は、前記安全ブレーキ手段が非作動状態で、アクセル手段が車両進行方向と逆方向に移動されたときに出されるようにしてもよい。また、前記安全ブレーキ手段は、前記運転席に設けられたブレーキペダルであり、前記ブレーキペダルが踏まれているときを前記安全ブレーキ手段の非作動状態とし、該ブレーキペダルが離されたときを前記安全ブレーキ手段の作動状態としてもよい。
【0008】また、前記後輪のスリップ発生は、すべり速度を基に判断してもよく、あるいは、スリップ比を基に判断してもよい。また、前輪ブレーキ装置は、前輪が停止したとき、又は停止に近い低速となったとき、アクセル手段が中立位置に戻されとき若しくは車両進行方向と同方向に移動されたとき、又は、安全ブレーキ手段が非作動状態のときに、前輪のブレーキを解放するように構成することができる。
【0009】さらに、上述したリーチ式フォークリフトは、フォークを油圧駆動するオイルポンプと、オイルポンプからのオイルを貯え前輪ブレーキ装置に供給するアキュムレータとを備えていてもよい。
【0010】前記後輪は駆動輪として機能し且つ車両の幅方向中心からずれた位置に設けられており、前記ブレーキ装置は前記左右一対の前輪に同時にブレーキ作用を行うようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】実施の形態1.図1にこの発明の実施の形態1に係るリーチ式フォークリフトを示す。リーチ式フォークリフト21の車両前部には、車両前後方向に延長し、車両幅方向に離隔した相互に平行な左右一対のリーチレグ22が設けられている。各リーチレグの前端部には、前輪23が取り付けられている。また、一対のリーチレグ22の間には、マスト装置24がリーチレグ22に沿ってスライド可能に設けられている。マスト装置24には、左右一対のフォーク25がリフトブラケット26を介して取り付けられている。
【0013】一方、車両後部には、車両幅方向に並んだ運転席27及び機能品室28を備えた機台29が設けられている。機能品室28の下部には、駆動輪及び操舵輪として機能する第1の後輪30が設けられている。後輪30は、車両幅方向の中心から左側にずれた位置に設けられている。また、運転席27の下方には、機台29を支持する支持輪として車両の進行に従動するだけの第2の後輪31が配設されている。また、運転席27の床面32には、いわゆるデッドマンタイプのブレーキペダル33が配設されている。すなわち、ブレーキペダル33は、運転者がブレーキペダル33を踏むとブレーキが解除され、踏んでいない状態では車両が走行しないような安全ブレーキ手段として機能する。
【0014】図2に示されるように、運転席27の前部には、インストルメントパネル41が形成されており、そこには、アクセル手段としてのアクセルレバー42が設けられている。さらに、インストルメントパネル41内部のアクセルレバー42近傍には、作動油が入れられるオイルタンク43と、作動油の出入りを制御するオイルコントロールバルブ44が設置されている。
【0015】機台29の左側に形成された機能品室28内には、図3に示されるように、荷役モータ51、オイルポンプ52、ドライブモータ53及び後輪ブレーキ装置54などの機能品が収容されている。ドライブモータ53の下方には、後輪30が接続されており、ドライブモータ53の駆動力によって車両が走行するようになっている。ドライブモータ53には、ドライブモータ53の回転数すなわち、それに接続する後輪30の回転数を検出するための後輪回転数センサ55aと、ドライブモータ53の回転方向すなわち後輪30の回転方向を検出するための回転方向センサ55bとが取り付けられている。また、後輪ブレーキ装置54は、ドライブモータ53の回転を制動し、それによって、後輪30にブレーキをかけるディスクブレーキからなる。
【0016】図4に示されるように、運転席27の床面32に設けられたブレーキペダル33は、リンク機構61を介して後輪ブレーキ装置54に接続されており、運転者がブレーキペダル33から足を離し、ブレーキペダル33が上方に上がった場合には、その動作がリンク機構61を介して後輪ブレーキ装置54に伝達され、後輪ブレーキ装置54がドライブモータ53及びその下方の後輪30の回転を止める。逆に、ブレーキペダル33が運転者によって踏まれているときは、後輪ブレーキ装置54は解放されている。また、ブレーキペダル33の下方には、ブレーキスイッチ62が配設されており、ブレーキペダル33が踏まれて下方に移動すると、ブレーキスイッチ62の作動片が押されるため、それによって、ブレーキスイッチ62は、デッドマンブレーキの解除信号を出力することができる。
【0017】図5に示されるように、オイルコントロールバルブ44前面における、荷役モータ51からの油流入口には、油路を分岐する第1のフィッテイング71が取り付けられており、前輪ブレーキ油圧回路への油の供給が可能となっている。
【0018】図6及び図7において、第1のフィッテイング71から分岐する第1供給管81はアキュムレータ82に接続している。第1供給管81は、チェックバルブ83及びアキュムレータ畜圧切替弁84を備えている。アキュムレータ畜圧切替弁84は、電磁弁であり、荷役モータ51の前方に設けられたコントローラ101によってその開閉が制御されている。アキュムレータ82には、圧力センサ85が取り付けられており、アキュムレータ畜圧切替弁84の開閉を制御するための圧力データがコントローラ101へと出力されている。また、アキュムレータ82は、第2供給管86さらにブレーキ配管87を介して左右の一対の前輪ブレーキ装置111に接続されている。第2供給管86の途中には、ブレーキ増圧弁89が設けられている。また、第2供給管86とブレーキ配管87との間には、フィッテイング90を介して戻し管91が接続されている。戻し管91の下流端は、オイルタンク43に接続されている。また、戻し管91の途中には、ブレーキ減圧弁92が設けられている。上記ブレーキ増圧弁89及びブレーキ減圧弁92は、ともに電磁弁であって、コントローラ101によってその開閉が制御される。また、フィッテイング90における圧力データが、圧力センサ93によって計測され、コントローラ101に入力される。
【0019】図8に示されるように、各前輪23には、ドラムブレーキからなる前輪ブレーキ装置111が取り付けられている。前輪ブレーキ装置111は、リーチレグ22に溶接されたシャフト部112に対してボルト固定されている。また、シャフト部112には、ベアリング113,114を介して前輪23のホイール115が圧入されており、ホイール115はナット116を介してキャップ117により留められている。ホイール115は、その円筒内面がブレーキドラムとして機能するように加工されており、この内面と、前輪ブレーキ装置111のライニングが接触することにより、摩擦ブレーキが働くようになっている。また、タイヤ118側面のベースバンド部119には、凹凸が形成されており、リーチレグ22の下部にボルト固定された前輪回転数センサ120がその凹凸を検知することで、前輪の回転数が計測される。
【0020】次に、上述したリーチ式フォークリフトの動作について説明する。まず、リーチ式フォークリフト21が駐車しているとき、すなわち運転席27内に運転者が乗っていないときは、ブレーキペダル33が上がった状態であり、この状態が安全ブレーキ手段の作動状態である。かかるブレーキペダル33の情報はブレーキスイッチ62を介してコントローラ101に送られ、コントローラ101はその情報を「ブレーキ作用命令」として認識し、後輪ブレーキ装置54を作用させて後輪30にブレーキをかける。なお、このとき、コントローラ101には前輪23が停止している情報すなわち前輪23の回転数がゼロである情報も送られており、それによって前輪ブレーキ装置111は解放されたままである。このように、ブレーキペダル33は、駐車ブレーキとしても機能する。
【0021】次に、フォーク25に荷を搭載していない状態でのブレーキ作用について説明する。リーチ式フォークリフト21を走行させる場合、まず、運転者がブレーキペダル33を踏むと、すなわち安全ブレーキ手段を非作動状態にすると、「ブレーキ作用命令」が解除され、後輪30に作用する後輪ブレーキ装置54が解放される。そして、運転者がアクセルレバー42を車両前方に揺動させると、その動作がアクセルレバー前後進信号としてコントローラ101に送られ、ドライブモータ53が駆動して車両の前進が始まる。次に、車両の減速あるいは停止をさせる場合、アクセルレバー42を車両後方に揺動させると、その動作がアクセルレバー前後進信号としてコントローラ101に送られる。また、このとき、後輪30の回転方向を検出するための回転方向センサ55bによって車両が前進している情報も、コントローラ101に送られている。これにより、コントローラ101は、アクセルレバー42が車両進行方向(前進方向)と逆方向(後退方向)に揺動されていることを認識し、その状態を「ブレーキ作用命令」と認識して、後輪に回生制動又はプラッギング制動力を作用させて後輪30にブレーキをかける。
【0022】また、走行中に何らかの要因により運転者が運転姿勢を崩したりあるいは運転席27から落ちたりしブレーキペダル33から足が離れると、ブレーキペダル33が上がって安全ブレーキ手段の作動状態となる。コントローラ101は、その情報を安全ブレーキ手段による「ブレーキ作用命令」として認識し、アクセルレバー42による「ブレーキ作用命令」がなくても、後輪ブレーキ装置54を作用させて後輪30にブレーキをかける。すなわち、ブレーキペダル33は、安全ブレーキ手段として機能する。
【0023】次に、荷役作業を行う場合について主に図6を参照して説明する。運転者が荷役レバーを操作すると、それに応じて荷役モータ51が起動し、荷役モータ51に直結されたオイルポンプ52が回転し、オイルタンク43内の作動油がオイルコントロールバルブ44に送られる。このとき、圧力センサ85の信号から、アキュムレータ82に畜圧された油の圧力が既定値より低いとコントローラ101によって判定された場合には、コントローラ101によってアキュムレータ畜圧切替弁84が開弁され、アキュムレータ82内の油圧が高められる。アキュムレータ82内の油圧が既定値以上となった場合、アキュムレータ畜圧切替弁84が閉弁し、チェックバルブ83の作用によってアキュムレータ82内の油圧が保持される。一方、アキュムレータ畜圧切替弁84が閉弁することにより、オイルタンク43内の作動油はオイルコントロールバルブ44に流れ込み、さらに、マスト装置24のリフトシリンダへ送られて、フォーク25を動作させて荷役が行われる。
【0024】フォーク25に荷を搭載した状態で、運転者がアクセルレバー42を前方に揺動させると、その動作がアクセルレバー前後進信号としてコントローラ101に送られ、ドライブモータ53が駆動して車両の前進が始まる。次に、運転者が、車両の減速あるいは停止のために、前進中にアクセルレバー42を後方に揺動させると、フォーク25に荷を搭載していない状態でのブレーキ作用の場合と同様に、その動作は「ブレーキ作用命令」としてコントローラ101に認識され、後輪30にブレーキがかけられる。
【0025】また、フォーク25に荷を搭載した状態では、その分車両の重量が増加し慣性力が大きくなっているため、荷を搭載していない状態よりも大きな制動力が必要となる。このため、後輪30にブレーキをかけた際、車両の慣性力が大きいため制動力が不足し、後輪30がロックしてしまうことがある。もし、後輪30のロックが生じると、その状態は後輪回転数センサ55aによって後輪30の回転数がほぼゼロであり、すなわち回転速度がほぼゼロであることにより判定できる。一方、後輪30がロックしても、その間も車両は前進しているため、従動輪である前輪23は回転し続け、前輪回転数センサ120によって検出された前輪23の回転数から回転速度が検出される。ここで、後輪30がロックしていない状態では、前輪23と後輪30との回転速度はほぼ同じであり、前輪23と後輪30との回転速度の差すなわちすべり速度はゼロであるが、後輪30がロックすると、前輪23と後輪30との回転速度には差が生じすべり速度が生じる。
【0026】よって、コントローラ101は、前輪23と後輪30との回転速度の差であるすべり速度が所定値以上になったときには、後輪30がスリップしあるいはロックしており、前輪23にもブレーキが必要であると判定し、ブレーキ増圧弁89を開弁することにより、アキュムレータ82に畜圧された作動油がドラムブレーキのホイールシリンダに送られ、ブレーキシューが拡張してライニングがドラムに接触し、前輪23にブレーキが作用する。このようにして、前輪23にもブレーキをかけることによって、車両に十分な制動力を与えることができる。これにより、フォーク25に荷を搭載した状態でも、十分な制動力が得られ、制動距離を小さくし安全にブレーキをかけることができる。また、荷の搭載時及び非搭載時の間で、制動距離の差を小さくすると共に運転者にさほど変わらない制動フィーリングを与えることが可能となっている。
【0027】また、ブレーキに伴って前輪荷重が増加し後輪荷重が減少しても、本実施の形態では前輪23にかかるブレーキによって十分な制動力を得ることができるので、従来のように制動距離が増大することはない。また、従来であれば後輪が車両幅方向の中心から左側にずれている場合、急激な制動時には車両が左側に旋回して停止してしまう恐れがあったが、本実施の形態では、一対の前輪23に同時にブレーキをかけることにより、後輪が車両幅方向の中心からずれていることに起因して発生するモーメントの影響を少なくし、後輪30がずれていても車両をほぼ直線上に停止させることができる。
【0028】また、ホイールシリンダ内の圧力値は、圧力センサ93によって計測されており、規定値に達した場合には、コントローラ101は、ブレーキ増圧弁89を閉弁し、ホイールシリンダ内の圧力を維持して、前輪ブレーキ作用を維持する。
【0029】次に、ブレーキによって車両が停止した場合すなわち前輪23の回転速度がゼロになり前輪23が停止した場合、あるいは前輪23が停止に近い低速となったとき、又は、アクセルレバー42が中立位置若しくは車両進行方向と同方向に揺動された場合には、コントローラ101は前輪ブレーキの要求が解消されたものと判断し、前輪ブレーキ装置111を解放する。すなわち、コントローラ101は、ブレーキ減圧弁92を開弁すると共にブレーキ増圧弁89の閉弁を維持し、ホイールシリンダ内の作動油をオイルタンク43に戻す。これにより、前輪ブレーキの必要がない場合には、前輪23が従動輪として回転できるようになっており、前輪23又は後輪30にいわゆる回生機構を接続している場合にも、効率よくエネルギの回収を行うことが可能である。
【0030】また、本実施の形態では、すべり速度が所定値以上になったときには、荷の搭載時であるか非搭載時であるかに拘わらず、前輪23にブレーキをかけることが可能である。したがって、フォーク25に荷を搭載していない通常の走行中に、滑りやすい路面、例えば濡れた路面や凍結した路面でのブレーキにおいても、制動距離を小さくし安全にブレーキをかけることができる。
【0031】尚、前輪の回転速度を計測する手段は、上記実施の形態に示した前輪回転数センサ120に限定されるものではなく、その計測態様や設置位置については適宜改変することが可能である。また、後輪の回転速度を計測する手段についても同様であり、上記実施の形態においては、ドライブモータ53に取り付けられていたが、後輪30に取り付けられていても良い。さらに、車両の進行方向を検出する回転方向センサ55bは、実施の形態1のようにドライブモータ53の回転方向を検出する態様に代え、後輪30自体の回転方向を直接検出したり、前輪23の回転方向を検出したり、あるいは他の方法により車両の進行方を検出するものであってもよい。
【0032】実施の形態2.次に本発明の実施の形態2に係るリーチ式フォークリフトについて図9に基づき説明する。このリーチ式フォークリフトにおいては、実施の形態1におけるドラムブレーキに代えて、電磁ブレーキからなる前輪ブレーキ装置131が設けられている。シャフト部132にベアリング133,134を介して取り付けられたホイール135に、電磁ブレーキのブレーキディスク136をシャフト軸方向にスライド可能なようにスプライン加工を介してボルト固定する。リーチレグ22には、電磁ブレーキの吸着部137をボルト固定してあり、コントローラ101からのブレーキ作用信号により吸着部137に生じる磁力によって、ブレーキディスク136を吸着部137に吸着させて制動力を得る。かかる電磁ブレーキによれば、専用の油圧源が不要であり、また、荷役用の作動油を用いなくてもブレーキ作用を得ることができる。
【0033】実施の形態3.本発明の実施の形態3に係るリーチ式フォークリフトについて図10に基づき説明する。このリーチ式フォークリフトにおいては、実施の形態1におけるホイールシリンダ式のドラムブレーキに代えて、ソレノイドで動作するカム式のドラムブレーキからなる前輪ブレーキ装置141が設けられている。コントローラ101からのブレーキ作用信号により、ソレノイド142が作動してロッド143を引っ張り、ロッド143の動作に伴いブレーキカム144が回転し、ブレーキカム144の接触面の変化に伴ってブレーキシュー145が拡張し、ドラムと接触して制動力が得られるようになっている。かかるソレノイドで動作するカム式のドラムブレーキによれば、専用の油圧源が不要であり、また、荷役用の作動油を用いなくてもブレーキ作用を得ることができる。
【0034】実施の形態4.本発明の実施の形態4に係るリーチ式フォークリフトについて説明する。図11は、リーチ式フォークリフトの構成を概念的に示す図であり、図12は、そのブレーキバルブアセンブリの詳細図である。本実施の形態に係るリーチ式フォークリフトの機台には、図11に概念的に示されるように、コントローラ240、荷役モータ241、オイルポンプ242、オイルタンク243、オイルコントロールバルブ244、ブレーキバルブアセンブリ245、アキュムレータ246及び圧力スイッチ247が設けられている。また、一対の前輪223のそれぞれ近傍にはドラム式の前輪ブレーキ装置248及び前輪回転数センサ249が設けられている。また、後輪230の近傍には図示しない後輪ブレーキ装置及び後輪回転数センサ250が設けられている。ブレーキバルブアセンブリ245は、図12に示されるように、減圧弁260、シャットオフ弁261及びリニアソレノイド弁262を備えている。
【0035】次に本実施の形態に係るリーチ式フォークリフトの動作について説明する。まず、リーチ式フォークリフトが駐車しているとき、すなわち運転席内に運転者が乗っていないときは、ブレーキペダル233が上がった状態であり、この状態は安全ブレーキの作動状態であり、かかるブレーキペダル233の情報はブレーキスイッチ233aを介してコントローラ240に送られ、コントローラ240はその情報を「ブレーキ作用命令」として認識し、後輪ブレーキ装置を作用させて後輪230にブレーキをかける。なお、このとき、コントローラ240には前輪223が停止している情報すなわち前輪223の回転数がゼロである情報も送られており、それにより前輪ブレーキ装置248は解放されたままである。
【0036】次に、リーチ式フォークリフトを走行させる場合、まず、運転者がブレーキペダル233を踏むと、「ブレーキ作用命令」が解除され、後輪230に作用する後輪ブレーキ装置が解放される。そして、運転者がアクセルレバー234を車両前方に揺動させると、その動作がアクセルレバー前進信号としてコントローラ240に送られ、車両の前進が始まる。次に、車両の減速あるいは停止をさせる場合、アクセルレバー234を車両後方に揺動させると、その動作がアクセルレバー後進信号としてコントローラ240に送られる。これにより、コントローラ240は、アクセルレバー234が車両進行方向(前進方向)と逆方向(後退方向)に揺動されていることを認識し、その状態を「ブレーキ作用命令」と認識して、後輪230にブレーキをかける。
【0037】さらに、後輪230がロック又はスリップした場合には、以下のようにして前輪ブレーキ装置248による前輪ブレーキもかける。図13に示されるようにステップS1として、コントローラ240にアクセルレバー234によるブレーキ作用命令が入力されると、コントローラ240は、ステップS2としてブレーキオイルの液圧の立ち上がり時間短縮のためにシャットオフ弁261及びリニアソレノイド弁262に通電を行う。更に、ステップS3として、コントローラ240は、前輪回転数センサ249及び後輪回転数センサ250から検出された前輪及び後輪の回転数からそれぞれの回転速度を求め、それらの値からスリップ比を算出する。スリップ比は、[前輪回転速度−後輪回転速度]/[前輪回転速度(即ち車両の対地速度)]
より算出される。
【0038】ここで、スリップ比とタイヤの伝達力との関係について説明する。図14においてAで示される状態は前輪及び後輪ともに高速で回転している状態であり、Bで示される状態は前輪及び後輪ともに低速で回転している状態である。しかし、A及びBで示される状態はともに前輪回転速度と後輪回転速度との差に関しては同じ値となる状態である。すなわち、同じ回転速度差でも、前後輪が低速回転しているBの状態では前輪ブレーキによる補助が必要なスリップ領域に近い状態といえるが、前後輪が高速回転しているAの状態では未だスリップ領域に近づいていない状態であるといえる。すなわち、Aの状態では前後輪の回転速度差がさらに増加しても後輪による制動力が未だ得られる状態にあり、前輪ブレーキを作動させるタイミングとしては若干早い状態にある。したがって、本実施の形態では、スリップ比によって前輪ブレーキを作用させるタイミングを決定することにより、実際にタイヤの伝達力が低下するスリップ領域となるまで前輪ブレーキをかけないようにし、特に前後輪が高速回転している状態で前輪ブレーキによる過剰な制動力に起因したフィーリングの悪化を予防する。
【0039】図13に戻り、ステップS4として、コントローラ240は算出したスリップ比が設定値以上か否かを判断する。そして、スリップ比が設定値以上の場合には、ステップS5として図15に示したブレーキ液圧マップより目標となる設定液圧値を取得し、ステップS6として前輪ブレーキを作動させる。
【0040】図11及び図12において、コントローラ240はシャットオフ弁261及びリニアソレノイド弁262に通電して、シャットオフ弁261を開弁させると共に、選択した液圧を発生するようにリニアソレノイド弁262の開弁量を調整する。それにより、アキュムレータ246に貯えられたオイルが所望の選択液圧で前輪ブレーキ装置248に作用し、一対の前輪223にブレーキがかけられる。また、前輪ブレーキ装置248の油圧の解放は、リニアソレノイド弁262を操作して前輪ブレーキ装置248とオイルタンク243とを連通するだけで行われ、したがって前輪ブレーキ装置248への油圧の供給及び解放は実質的にリニアソレノイド弁262だけで行えるようになっている。
【0041】尚、アキュムレータ246へのオイルの畜圧については、以下のように行われる。荷役作業が実施される際には、荷役モータ241が起動しオイルポンプ242が駆動される。これにより、オイルタンク243内のオイルは、荷役作業のための液圧を発生させるオイルコントロールバルブ244に供給されると共に、減圧弁260を介してアキュムレータ246内にも供給される。そして、減圧弁260のパイロット圧が一定値以上になると減圧弁260が閉弁し、シャットオフ弁261及び逆止弁260aの作用によりアキュムレータ246内の液圧が一定に維持される。また、荷役作業が実施されていないときは、圧力スイッチ247に監視されているアキュムレータ246内の液圧が一定値未満に低下するとコントローラ240によりオイルポンプ242が駆動されアキュムレータ246内の畜圧が実施されるようになっている。
【0042】以上のようにして前輪ブレーキがかけられると、コントローラ40は、図13のステップS7として車両が停止したか否か判断する。車両が停止していない場合には更にステップS8として制動信号を解除してもよいか否かを判断する。すなわちスリップ比が所定値未満ならば前輪ブレーキが必要なほど後輪のロック等は起きていないものとして判断される。コントローラ240は、上記ステップS7において車両が停止していると判断した場合、またはステップS8において制動信号を解除してもよいと判断した場合には、ステップS9として前輪ブレーキを解除する。
【0043】その他の実施の形態.また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、以下のように様々な改変を施すことが可能である。
【0044】すなわち、上述した実施の形態においては、前輪ブレーキ作用は、アクセルレバー42、234によるブレーキ作用命令だけでなく、ブレーキペダル33、233によるブレーキ作用命令によっても行われるように構成してもよい。すなわち、例えば走行中に何らかの要因により運転者が運転姿勢を崩したりあるいは運転席27から落ちたりしてブレーキペダル33、233から足が離れると、ブレーキペダル33、233が上がって安全ブレーキの作動状態となる。コントローラ40、240は、その情報を安全ブレーキとしてのブレーキペダル33、233による「ブレーキ作用命令」として認識し、アクセルレバー42、234による「ブレーキ作用命令」がなくても、後輪ブレーキ装置を作用させて後輪30、230にブレーキをかける。
【0045】また、本発明の前輪ブレーキ装置としては、上述したもの以外に油圧で作動するカム式のドラムブレーキやディスクブレーキあるいはその他の形式のブレーキを適宜用いることが可能である。
【0046】また、揺動式のアクセルレバー42、234として示された本発明のアクセル手段は、これに限定されるものではなく、例えば、回転式やスライド式の手段であってもよい。
【0047】また、ブレーキペダル33、233として示された本発明の安全ブレーキ手段は、これに限定されるものではなく、例えば、ボタン式のものであってもよい。
【0048】さらに、荷役用の既存のオイルポンプ等を前輪ブレーキの作動に兼用させていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、前輪ブレーキ専用の油圧部品を備えていても良い。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1及び2に記載の本発明のリーチ式フォークリフトによれば、前輪にもブレーキをかけることによって、後輪ロックが発生した場合でも、車両に十分な制動力を与えることができる。これにより、フォークに荷を搭載した状態でも、十分な制動力が得られ、制動距離を小さくし安全にブレーキをかけることができ、荷の搭載時及び非搭載時の間で、制動距離の差を小さくすると共に運転者にさほど変わらない制動フィーリングを与えることが可能となっている。また、後輪に対する相対的な前輪の制動力の割合が従来よりも増加し、それに伴い、後輪が車両幅方向の中心からずれていることに起因して発生するモーメントを小さくし、制動時の車両の旋回を抑制することが可能である。
【0050】また、請求項3に記載のリーチ式フォークリフトによれば、走行中に何らかの要因により運転者が運転姿勢を崩したりあるいは運転席から落ちたりしブレーキペダルから足が離れると、アクセル手段によるブレーキ作用命令がなくても、前輪及び後輪にブレーキがかかるので、安全性がより向上している。
【0051】また、請求項4に記載のリーチ式フォークリフトによれは、回転数センサだけで容易にスリップ検出を行うことができ、前輪にブレーキをかけるタイミングを決定できる。
【0052】また、請求項5に記載のリーチ式フォークリフトによれは、前後輪が高速回転している状態でも前輪ブレーキによる過剰な制動力に起因したフィーリングの悪化を予防することができる。
【0053】また、請求項6に記載のリーチ式フォークリフトによれば、必要なときにのみ前輪ブレーキが働くため、不要なブレーキに伴うエネルギロスと防止すると共に、前輪又は後輪にいわゆる回生機構を接続している場合には、効率よくエネルギの回収を行うことが可能である。
【0054】さらに、請求項7に記載のリーチ式フォークリフトによれば、前輪ブレーキ装置の作動に荷役用の既存のオイルポンプ等を兼用させることにより、部品点数の削減とコスト低減を図ることが可能となっている。
【0055】また、請求項8に記載のリーチ式フォークリフトによれば、一対の前輪に同時にブレーキをかけることにより、後輪が車両幅方向の中心からずれていても車両をほぼ直線上に停止させることができる。




 

 


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