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発明の名称 産業車両のスイッチバック制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−114499(P2001−114499A)
公開日 平成13年4月24日(2001.4.24)
出願番号 特願平11−294796
出願日 平成11年10月18日(1999.10.18)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【テーマコード(参考)】
3D041
3F333
3G093
【Fターム(参考)】
3D041 AA33 AA47 AB07 AC02 AC16 AD02 AD10 AD31 AD39 AD41 AD47 AD50 AD51 AD53 AE03 AE04 AE30 AE39 AF01 AF09 
3F333 AA02 DA10 DB10 FA16 FA31 FD20 FE10
3G093 AA08 BA01 BA14 CB00 DA01 DA06 DB00 DB05 DB11 DB15 DB18 DB21 DB23 DB24 EA03 EA09 EB03 EB07 FA00 FA06 FA07 FA08 FA11 FA12 FB02 FB03 FB05
発明者 石川 和男 / 谷口 浩之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段と、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、スイッチバック時の制動を緩和するために実施される制動緩和制御を終了する制御終了時期になったことを認識するエンジン制御用認識手段と、前記スイッチバック操作検出時以後の制御開始時期から前記エンジン制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、前記制動緩和制御としてエンジン回転数を予め設定された上限値以下に制御するエンジン回転数制御手段とを備えている産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項2】 前記エンジン制御用認識手段は、前記操作検出手段により検出されたスイッチバック操作後に車両が停止車速に達したことを推定または検出して制御終了時期を認識する停止認識手段である請求項1に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項3】 エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段と、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、スイッチバック時の制動を緩和するために実施される制動緩和制御を終了する制御終了時期になったことを認識するクラッチ制御用認識手段と、前記スイッチバック操作検出時以後の制御開始時期から前記クラッチ制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、前記制動緩和制御として前記シフト側クラッチを半クラッチにするように前記制御弁を制御するクラッチ制御手段とを備えている産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項4】 車両に積載された荷の荷量を検出する荷重検出手段を備え、前記クラッチ制御手段は、スイッチバック時の車両の減速感が荷重に影響され難いように前記荷重検出手段により検出された荷重を考慮して荷重が重いほど大きな値のクラッチ係合圧となるように前記シフト側クラッチの制御弁を制御する請求項3に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項5】 スイッチバック時の車両の減速感強さを設定するための設定操作手段を備え、前記クラッチ制御手段は、前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を前記設定操作手段により設定された設定減速感強さに応じた値とするように前記制御弁を制御する請求項2〜4のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項6】 請求項1又は2に記載の前記エンジン制御用認識手段及び前記エンジン回転数制御手段を備えている請求項3〜5のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項7】 前記クラッチ制御用認識手段により認識される前記制御終了時期は車両が停止車速にある区間内に設定され、前記クラッチ制御手段は、前記クラッチ制御用認識手段が制御終了時期になったと認識すると、シフト側クラッチを完全係合させるように前記制御弁を制御する請求項3〜6のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項8】 前記クラッチ制御用認識手段は、前記操作検出手段により検出されたスイッチバック操作後に車両が停止車速に達したことを推定または検出して制御終了時期を認識する停止認識手段である請求項3〜7のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項9】 エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段と、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、スイッチバック時の制動を緩和するために実施される制動緩和制御を終了する制御終了時期になったことを認識するロック防止制御用認識手段と、駆動輪のロックを検出するロック検出手段と、前記スイッチバック操作検出時以後の制御開始時期から前記ロック防止制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、前記制動緩和制御として前記ロック検出手段により前記駆動輪のロックが検出されたときに前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるように前記制御弁を制御するロック防止制御手段とを備えている産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項10】 請求項1又は2に記載の前記エンジン制御用認識手段及び前記エンジン回転数制御手段を備えている請求項9に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項11】 請求項3〜8のいずれか一項に記載の前記クラッチ制御用認識手段及び前記クラッチ制御手段を備えている請求項9又は10に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項12】 前記ロック防止制御手段は、駆動輪のロック検出中に弱めた後の復帰時のクラッチ係合圧を、駆動輪の駆動力を路面抵抗との平衡点に収束させるように徐々に低下させる制御をする請求項9〜11のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項13】 前記ロック検出手段は駆動輪の回転減速度を検出し、その回転減速度が予め設定されたロックのしきい値を超えると判断されるときに該駆動輪がロックしたと検出するものであり、前記ロック防止制御手段は、前記駆動輪の回転減速度が補正用しきい値を超える部分の積分値に応じた低減率で復帰時のクラッチ係合圧を徐々に低下させる制御をする請求項12に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
【請求項14】 スイッチバック後の発進過程における駆動輪のスリップを防止するために実施されるスリップ防止制御を開始する制御開始時期になったことを認識するスリップ防止制御用認識手段と、駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、前記スリップ防止制御用認識手段により前記制御開始時期になったと認識された以後、前記スリップ検出手段により駆動輪のスリップが検出されたときは、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるように前記制御弁を制御するスリップ防止制御手段とを備えている請求項9〜13のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォークリフト等の産業車両において、スイッチバック時の好適な制御を行う産業車両のスイッチバック制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フォークリフトにはトルクコンバータを備えた変速機が使用されるものがある。この種のフォークリフトにおいては、走行中にシフトレバー(前後進切換レバー)を、前進位置から後進位置へ、あるいは後進位置から前進位置へ切換えるスイッチバック操作が可能となっている。そのため、シフトレバーをスイッチバック操作すると、進行方向と逆側のクラッチの接続に切換えられるため、フォークリフトがその進行方向に制動がかかるスイッチバックを伴って急減速し、減速停止後に進行方向を反転させ元の進行方向と逆方向へ発進する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スイッチバック減速中は、駆動輪に逆回転の駆動力を伝達しようとするシフト側クラッチの係合が駆動輪の制動力となって現れ、この制動による減速が減速ショックとなるという問題があった。また、スイッチバック減速中は駆動輪が制動されることにより駆動輪がロックする場合があった。駆動輪のロックは、工場等の床面にタイヤ痕(タイヤマーク)を付けるなどの問題を招く。そのため、走行中にスイッチバック操作した際に、フォークリフトがスムーズな制動でスイッチバックして、駆動輪のロックを招き難くすることが望まれていた。
【0004】本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、走行中にスイッチバック操作をしたときに、スムーズに制動するスイッチバックを実現できる産業車両のスイッチバック制御装置を提供することにある。
【0005】第2の目的は、スイッチバック減速中における駆動輪のロックを防止することにある。第3の目的は、スイッチバック減速中の駆動輪のロックを防止し、スイッチバック終了後の発進過程での駆動輪のスリップを防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成するために請求項1に記載の発明では、エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段と、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、スイッチバック時の制動を緩和するために実施される制動緩和制御を終了する制御終了時期になったことを認識するエンジン制御用認識手段と、前記スイッチバック操作検出時以後の制御開始時期から前記エンジン制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、前記制動緩和制御としてエンジン回転数を予め設定された上限値以下に制御するエンジン回転数制御手段とを備えている。
【0007】この構成によれば、車両走行中にシフト操作手段をスイッチバック操作すると、進行側のクラッチが切離されるとともに進行反対側のクラッチが接続される。その結果、車両はスイッチバックし、減速停止後に反転して元の進行方向と逆方向に発進する。この際のスイッチバック操作は操作検出手段により検出される。スイッチバック操作検出以後の制御開始時期からエンジン制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、エンジン回転数制御手段によりエンジン回転数が予め設定された上限値以下に制御される。従って、エンジン回転数が小さく制限されることにより駆動輪の制動力が弱まるので、スイッチバック時に車両がスムーズに制動される。また、スイッチバック中の車両の減速ショックが小さく抑えられ、駆動輪もロックし難くなる。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記エンジン制御用認識手段は、前記操作検出手段により検出されたスイッチバック操作後に車両が停止車速に達したことを推定または検出して制御終了時期を認識する停止認識手段である。
【0009】この構成によれば、スイッチバック操作後に車両が停止車速に達するまでの区間において、エンジン回転数が予め設定された上限値以下に制御される。従って、スイッチバック終期まで車両はスムーズに制動される。
【0010】前記第1の目的を達成するために請求項3に記載の発明では、エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段と、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、スイッチバック時の制動を緩和するために実施される制動緩和制御を終了する制御終了時期になったことを認識するクラッチ制御用認識手段と、前記スイッチバック操作検出時以後の制御開始時期から前記クラッチ制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、前記制動緩和制御として前記シフト側クラッチを半クラッチにするように前記制御弁を制御するクラッチ制御手段とを備えている。
【0011】この構成によれば、車両走行中にシフト操作手段をスイッチバック操作すると、進行側のクラッチが切離されるとともに進行反対側のクラッチが接続される。その結果、車両はスイッチバックし、減速停止後に反転して元の進行方向と逆方向に発進する。この際のスイッチバック操作は操作検出手段により検出される。スイッチバック操作検出以後の制御開始時期からクラッチ制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、クラッチ制御手段により制御弁が制御されてシフト側クラッチが半クラッチとされる。従って、半クラッチにより駆動輪の制動力が弱まるので、スイッチバック時に車両がスムーズに制動される。また、スイッチバック中の車両の減速ショックが小さく抑えられ、駆動輪もロックし難くなる。
【0012】請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、車両に積載された荷の荷量を検出する荷重検出手段を備え、前記クラッチ制御手段は、スイッチバック時の車両の減速感が荷重に影響され難いように前記荷重検出手段により検出された荷重を考慮して荷重が重いほど大きな値のクラッチ係合圧となるように前記シフト側クラッチの制御弁を制御することを要旨とする。
【0013】この構成よれば、請求項3の発明の作用に加え、クラッチ制御手段は、シフト側クラッチを、荷重検出手段により検出された荷重を考慮して荷重が重いほど大きな値のクラッチ係合圧に制御する。従って、産業車両の積荷の有無や荷重の違いに影響されることなく、スイッチバック減速中はいつもほぼ同じ減速感が得られる。
【0014】請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の発明において、スイッチバック時の車両の減速感強さを設定するための設定操作手段を備え、前記クラッチ制御手段は、前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を前記設定操作手段により設定された設定減速感強さに応じた値とするように前記制御弁を制御することを要旨とする。
【0015】この構成よれば、請求項3又は4の発明の作用に加え、スイッチバック中の減速区間において、クラッチ制御手段は、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を設定操作手段により設定された減速感強さに応じた値に制御する。従って、スイッチバック中は運転者等の好みに応じた減速感が得られる。
【0016】請求項6に記載の発明では、請求項3〜5のいずれか一項に記載の発明において、請求項1に記載の前記エンジン制御用認識手段及び前記エンジン回転数制御手段を備えている。
【0017】この構成よれば、請求項3〜5のいずれか一項の発明の作用に加え、スイッチバック中に車速が設定車速以上にある減速区間では、エンジン回転数制御手段によりエンジン回転数が予め設定された上限値以下に制御される。従って、シフト側クラッチの半クラッチと、エンジン回転数の抑制との両方の減速度抑制作用により、スイッチバック中に車両が一層スムーズに制動される。
【0018】請求項7に記載の発明では、請求項3〜6のいずれか一項に記載の発明において、前記クラッチ制御用認識手段により認識される前記制御終了時期は車両が停止車速にある区間内に設定され、前記クラッチ制御手段は、前記クラッチ制御用認識手段が制御終了時期になったと認識すると、シフト側クラッチを完全係合させるように前記制御弁を制御することを要旨とする。
【0019】この構成によれば、クラッチ制御用認識手段が制御終了時期になったと認識すると、クラッチ制御手段により制御弁が制御され、シフト側クラッチは半クラッチ状態から一気に完全係合される。制御終了時期は車両が停止車速にある区間内であるので、シフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が比較的小さく、一気に完全係合させてもさほどショックが起きない。また、半クラッチ状態から完全係合させる際、クラッチ係合圧に速度勾配をもたせて復帰させる構成に比べ、半クラッチ状態の保持時間が短くなってクラッチの早期摩耗防止に寄与する。
【0020】請求項8に記載の発明では、請求項3〜7のいずれか一項に記載の発明において、前記クラッチ制御用認識手段は、前記操作検出手段により検出されたスイッチバック操作後に車両が停止車速に達したことを推定または検出して制御終了時期を認識する停止認識手段である。
【0021】この構成によれば、スイッチバック操作後に車両が停止車速に達するまで、シフト側クラッチが半クラッチに保たれる。従って、スイッチバック終期まで車両がスムーズに制動される。
【0022】前記第1及び第2の目的を達成するために請求項9に記載の発明では、エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段と、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、スイッチバック時の制動を緩和するために実施される制動緩和制御を終了する制御終了時期になったことを認識するロック防止制御用認識手段と、駆動輪のロックを検出するロック検出手段と、前記スイッチバック操作検出時以後の制御開始時期から前記ロック防止制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、前記制動緩和制御として前記ロック検出手段により前記駆動輪のロックが検出されたときに前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるように制御弁を制御するロック防止制御手段とを備えている。
【0023】この構成によれば、車両走行中にシフト操作手段をスイッチバック操作すると、進行側のクラッチが切離されるとともに進行反対側のクラッチが接続される。その結果、車両はスイッチバックし、減速停止後に反転して元の進行方向と逆方向に発進する。この際のスイッチバック操作は操作検出手段により検出される。スイッチバック操作検出以後の制御開始時期からロック防止制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間においては、ロック検出手段により駆動輪のロックが検出されると、ロック防止制御手段によりシフト側クラッチのクラッチ係合圧が弱められる。その結果、スイッチバック中に駆動輪のロックが発生し難くなり、車両はスムーズに制動される。
【0024】請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の発明において、請求項1又は2に記載の前記エンジン制御用認識手段及び前記エンジン回転数制御手段を備えている。
【0025】この構成よれば、請求項9の発明の作用に加え、スイッチバック操作検出以後の制御開始時期からエンジン制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、エンジン回転数が予め設定された上限値以下に小さく抑えられる。従って、エンジン回転数の上限制限による作用により、スイッチバック時に車両が一層スムーズに制動され、減速ショックも小さく抑えられる。
【0026】請求項11に記載の発明では、請求項9又は10に記載の発明において、請求項3〜8のいずれか一項に記載の前記クラッチ制御用認識手段及び前記クラッチ制御手段を備えている。
【0027】この構成よれば、請求項9又は10の発明の作用に加え、スイッチバック操作検出以後の制御開始時期からクラッチ制御用認識手段により制御終了時期になったと認識されるまでの区間は、クラッチ制御手段によりシフト側クラッチが半クラッチとされる。従って、スイッチバック時に車両が一層スムーズに制動され、減速ショックも小さく抑えられる。
【0028】請求項12に記載の発明では、請求項9〜11のいずれか一項に記載の発明において、前記ロック防止制御手段は、駆動輪のロック検出中に弱めた後の復帰時のクラッチ係合圧を、駆動輪の駆動力を路面抵抗との平衡点に収束させるように徐々に低下させる制御をすることを要旨とする。
【0029】この構成によれば、請求項9〜11のいずれか一項の発明の作用に加え、ロック防止制御手段は、駆動輪のロックが検出されなくなってシフト側クラッチのクラッチ係合圧を復帰させるときのクラッチ係合圧は、駆動輪の駆動力を路面抵抗との平衡点に収束させるように徐々に低下させる。その結果、最終的に駆動輪の駆動力が路面抵抗と均衡する平衡点にほぼ収束する。従って、駆動輪のロック防止制御が原因で減速度を不要に弱め過ぎる事態が回避される。
【0030】請求項13に記載の発明では、請求項12に記載の発明において、前記ロック検出手段は駆動輪の回転減速度を検出し、その回転減速度が予め設定されたロックのしきい値を超えると判断されるときに該駆動輪がロックしたと検出するものであり、前記ロック防止制御手段は、前記駆動輪の回転減速度が補正用しきい値を超える部分の積分値に応じた低減率で復帰時のクラッチ係合圧を徐々に低下させる制御をすることを要旨とする。
【0031】この構成によれば、請求項12の発明の作用に加え、ロック検出手段は駆動輪の回転減速度がロックのしきい値を超えると駆動輪のロックと検出する。ロック防止制御手段は、駆動輪の回転減速度が補正用しきい値を超える部分(領域)の積分値に応じた低減率でクラッチ係合圧を低下させる。従って、駆動輪のロックが激しいうちは復帰時のクラッチ係合圧の補正量が大きく、駆動輪のロックが弱くなるに連れてクラッチ係合圧の補正量が徐々に小さくなる。よって、駆動輪の駆動力が路面抵抗と均衡する平衡点に速やかに収束し、駆動輪のロック発生頻度が減ることになる。
【0032】前記第3の目的を達成するために請求項14に記載の発明では、請求項9〜13のいずれか一項に記載の発明において、スイッチバック後の発進過程における駆動輪のスリップを防止するために実施されるスリップ防止制御を開始する制御開始時期になったことを認識するスリップ防止制御用認識手段と、駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、前記スリップ防止制御用認識手段により前記制御開始時期になったと認識された以後、前記スリップ検出手段により駆動輪のスリップが検出されたときは、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるように前記制御弁を制御するスリップ防止制御手段とを備えている。
【0033】この構成によれば、請求項9〜13のいずれか一項の発明の作用に加え、スリップ防止制御用認識手段により制御開始時期になったと認識された以後、駆動輪のスリップが検出されると、スリップ防止制御手段により制御弁が制御され、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱められる。その結果、駆動輪のスリップが発生し難くなる。よって、スイッチバック中に駆動輪のロックが発生し難く、しかもスイッチバック終了後の発進時に駆動輪のスリップが発生し難くなる。
【0034】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明を産業車両としてのフォークリフトに具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
【0035】図1に示すように、エンジン1の出力軸1aはトルクコンバータ2を備えた変速機3に連結され、変速機3は差動装置4を介して駆動輪5を有する車軸6に連結されている。エンジン1にはスロットルアクチュエータ7が設けられ、スロットルアクチュエータ7の作動によってスロットル開度が調節されてエンジン1の回転数、即ちエンジン1の出力軸1aの回転数が調節される。
【0036】変速機3は入力軸(メインシャフト)3a及び出力軸(カウンタシャフト)3bを備え、入力軸3aに前進クラッチ8及び後進クラッチ9が設けられている。前進クラッチ8及び後進クラッチ9と出力軸3bとの間には図示しないギヤ列がそれぞれ設けられ、各クラッチ8,9及び各ギヤ列を介して入力軸3aの回転が出力軸3bに伝達される。両クラッチ8,9には油圧式のクラッチ、この実施形態では湿式多板クラッチが使用され、受圧室8a,9a内の油圧力によって接続力が調節可能に、かつ受圧室8a,9a内の油圧力を高めると接続力が大きくなるように構成されている。前進クラッチ8及び後進クラッチ9は、制御弁としての前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ11を介して供給される油圧により受圧室8a,9a内の油圧力が制御される。前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ11はソレノイドへの通電量に比例した開度となる比例ソレノイド弁で構成されている。
【0037】変速機3の出力軸3bにはクラッチ式の駐車ブレーキ12が設けられている。駐車ブレーキ12は出力軸3bと一体回転するディスク12aと、出力軸3bに対して回転不能かつスラスト方向に移動可能に設けられたブレーキパッド12bとを備えている。ブレーキ用バルブ13を介して受圧室12cの油圧が制御されることにより駐車ブレーキ12が制動制御されるように構成されている。ブレーキ用バルブ13には電磁弁が使用されている。
【0038】図1ではトルクコンバータ2、変速機3及び各バルブ10,11,13が独立して図示されているが、これら各装置は一つのハウジング内に組み込まれて、オートマチックトランスミッションを構成している。そして、変速機3には図示しない油圧ポンプが組み込まれ、その油圧ポンプの吐出油が図示しない流路及び各バルブ10,11,13を介して各受圧室8a,9a,12cに供給可能に構成されている。前記油圧ポンプはエンジン1の回転時に変速機3に伝達される回転力により駆動されるようになっている。
【0039】変速機3の入力軸3aには歯車14が一体回転可能に設けられ、磁気ピックアップからなるタービン回転数センサ15により入力軸3aの回転数が検出される。タービン回転数センサ15は入力軸3aの回転数に比例したパルス信号を出力する。変速機3の出力軸3bには歯車16が一体回転可能に設けられ、車速検出手段としての磁気ピックアップからなる車速センサ17により出力軸3bの回転数が検出される。車速センサ17は出力軸3bの回転数に比例したパルス信号を出力する。
【0040】エンジン1により駆動される荷役用ポンプ(油圧ポンプ)18の吐出側に、図示しない管路等を介してフォーク19を昇降させるリフトシリンダ20及びマスト21を傾動させる図示しないティルトシリンダが接続されている。リフトシリンダ20にはフォーク19に積載された荷の重量(荷重)を検出する荷重検出手段としての荷重センサ22が設けられている。荷重センサ22はリフトシリンダ20の内部の油圧を検出する圧力センサからなり、フォーク19の積載荷重に対応した検出信号を出力する。
【0041】運転室の床にはアクセルペダル23と、インチングペダル24と、ブレーキペダル25とが設けられている。インチングペダル24は荷役作業を行いながらフォークリフトの微速走行を行う際に、クラッチを半接続状態(半クラッチ状態)にするために使用するものである。そして、ブレーキペダル25を操作する(踏み込む)ときは、ブレーキペダル25はインチングペダル24と独立して作動するが、インチングペダル24を操作する(踏み込む)ときは、途中からインチングペダル24とブレーキペダル25とが連動可能に構成されている。
【0042】アクセルペダル23の操作量を検出するアクセルセンサ26は、アクセルペダル23の操作量に比例した検出信号を出力する。インチングペダル24の操作量を検出するインチングセンサ27は、インチングセンサ27の操作量に比例した検出信号を出力する。
【0043】ブレーキペダル25は油圧式の踏力発生装置(エミュレータ)28と機械的に連結され、踏力発生装置28にはその内部の油圧を検出する圧力センサからなるブレーキセンサ29が設けられている。ブレーキセンサ29はブレーキペダル25を踏み込んだときのブレーキ踏力に比例する検出信号を出力する。ブレーキペダル25が操作されたか否かはブレーキスイッチ30により検出される。
【0044】運転室の前部にはシフト操作手段としてのシフトレバー(前後進レバー)31が設けられている。シフトレバー31の位置を検知するシフトスイッチ32は、シフトレバー31が前進位置F、後進位置R及び中立位置(ニュートラル位置)Nのいずれにあるかを検知し、各位置に対応する信号を出力する。また、運転室の前部にはリフトレバー33及びティルトレバー34が設けられている。リフトレバー33の操作量を検出するリフトレバーセンサ35は、リフトレバー33の操作量に比例した検出信号を出力する。ティルトレバー34の操作量を検出するティルトレバーセンサ36は、ティルトレバー34の操作量に比例した検出信号を出力する。また、運転室の前部には設定操作手段としてのモード切換スイッチ37が設けられている。また、エンジン1に内蔵されたエンジン回転数センサ38によりエンジン回転数が検出される。エンジン回転数センサ38はエンジン回転数に比例したパルス信号を出力する。
【0045】次に前記スロットルアクチュエータ7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブレーキ用バルブ13を駆動制御するための電気的構成を説明する。
【0046】制御装置41は、中央処理装置(以下、CPUという)42、読出し専用メモリ(ROM)43、読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)44、入力インタフェース45及び出力インタフェース46を備えている。ROM43には所定の制御プログラムや制御プログラムを実行する際に必要な各種データ等が記憶されている。RAM44にはCPU42の演算結果等が一時記憶される。CPU42はROM43に記憶された制御プログラムに基づいて作動する。なお、操作検出手段は制御装置41及びシフトスイッチ32により構成される。エンジン回転数制御手段は制御装置41及びスロットルアクチュエータ7により構成される。クラッチ制御手段、ロック防止制御手段及びスリップ防止制御手段は、制御装置41及びクラッチバルブ10,11により構成される。また、エンジン制御用認識手段、クラッチ制御用認識手段、ロック防止制御用認識手段、スリップ防止制御用認識手段、停止認識手段、ロック検出手段及びスリップ検出手段は、制御装置41及び車速センサ17により構成される。
【0047】CPU42は前記各センサ15,17,22,26,27,29,35,36,38及び各スイッチ30,32,37の出力信号を入力するとともに、ROM43に記憶された各種制御プログラムに従って動作し、スロットルアクチュエータ7及び各バルブ10,11,13への制御指令信号を出力する。
【0048】前記タービン回転数センサ15、車速センサ17、ブレーキスイッチ30、シフトスイッチ32、モード切換スイッチ37及びエンジン回転数センサ38は、入力インタフェース45を介してCPU42に接続されている。荷重センサ22、アクセルセンサ26、インチングセンサ27、ブレーキセンサ29、リフトレバーセンサ35及びティルトレバーセンサ36は図示しないA/D変換器(アナログ・ディジタル変換器)及び入力インタフェース45を介してCPU42に接続されている。
【0049】CPU42は出力インタフェース46及び図示しない駆動回路を介してスロットルアクチュエータ7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブレーキ用バルブ13にそれぞれ接続されている。
【0050】ROM43には、各種プログラム(図8〜図12)と、各種プログラムで使用する各種のマップ(図2〜図5)が記憶されている。各プログラムはエンジン運転中(スタータキーオン中)に所定時間(例えば10〜50msec. )間隔で実行される。
【0051】図8はスイッチバック制御を実行するためのプログラムである。このプログラムには、図9に示すSBエンジン回転数制御ルーチンと、図10に示すSBクラッチ圧制御ルーチンが含まれる。図2,図3の各マップM1,M2は図9のルーチンで使用され、図4のマップM3は図10のルーチンで使用される。
【0052】図11,図12はスイッチバック終了後の発進制御のプログラムで、発進エンジン回転数制御ルーチン(図11)と、発進クラッチ圧制御ルーチン(図12)とからなる。図5のマップM5は図12のルーチンで使用される。
【0053】本実施形態では、スイッチバック減速中の減速ショックの少ない好適な減速感が得られるように、シフト側(接続側)クラッチを半クラッチの係合圧に調節するクラッチ圧制御を採用している。車両の減速度は車体重量に影響されるので、フォークリフトに積載された荷の重量(荷重)を考慮してクラッチ係合圧を設定する。図4のマップM3は、荷重を考慮したクラッチ係合圧の設定のために使用される。
【0054】また、スイッチバック減速過程においては、駆動輪5のロックを防止する一種のABS(アンチスキッドブレーキシステム)制御を採用している。スイッチバック中に駆動輪5のロックが検出されたときにシフト側クラッチの係合圧を弱めることにより、進行方向反対側シフトのクラッチが係合することで発生した制動力を弱める。このABS制御では、駆動輪5の回転加速度がスイッチバック中の減速ではあり得ない値をとるとタイヤロックと判定する。駆動輪5の回転加速度は、車速センサ17の検出車速の時間差分から求めた加速度を使い、その加速度がロック判定用しきい値を負側に超えたとき、つまり減速度がしきい値を上回るときにタイヤロックと判定する。
【0055】タイヤロック検出中はクラッチ係合圧を所定圧まで抜き、タイヤロックが検出されなくなるとクラッチ係合圧を復帰させ、以後、タイヤロック検出の度にクラッチ係合圧の抜・入を繰り返す。このときクラッチ係合圧の復帰圧は、前回の値よりも徐々に小さな値とし、駆動輪5の駆動力を路面抵抗と均衡してロックがぎりぎり起こらない平衡点に収束させるようにしている。以上はSBクラッチ圧制御ルーチンで行われる。
【0056】さらにスイッチバック減速中はエンジン回転数に上限値を設け、エンジン回転数を上限値以下に低く抑える制御をすることによっても、シフト側クラッチが係合することにより生じる制動力を弱めるようにしている。これがSBエンジン回転数制御ルーチン(図9)で行われる。
【0057】一方、スイッチバック終了後の発進過程では、初期クラッチ圧を与えて一定時間は半クラッチを維持することで進行方向切り換わり後のスムーズな発進を実現させるようにしている。また、この発進過程では、駆動輪5のスリップを防止する一種のTRC(トラクションコントロール)制御を採用している。このTRC制御の基本的な考え方は前記ABS制御と同様であり、タイヤスリップが検出されている間はクラッチ係合圧を所定圧まで抜き、タイヤスリップが検出されなくなるとクラッチ係合圧を復帰させ、以後、タイヤスリップ検出の度にクラッチ係合圧の抜・入を繰り返す。駆動輪5の回転加速度がフォークリフトの発進ではあり得ない値をとるとタイヤスリップと判定する。駆動輪5の回転加速度は、車速センサ17の検出車速の時間差分から求めた加速度を使い、その加速度がスリップ判定用しきい値を正側に超えたときにタイヤスリップと判定する。このときクラッチ係合圧の復帰圧は、前回の値よりも徐々に小さな値とし、駆動輪5の駆動力を路面抵抗と均衡してスリップがぎりぎり起こらない平衡点に収束させるようにしている。以上は発進クラッチ圧制御ルーチンで行われる。さらにTRC制御実行中はエンジン回転数を小さく抑える制御をしており、これが発進エンジン回転数制御ルーチンで行われる。
【0058】また、ブレーキペダル25を踏み込んだときは、前後進クラッチ8,9を同時係合させることにより制動力を得るブレーキ方式を採用している。このため、常用ブレーキとしてドラムブレーキ等は装備していない。その他のブレーキ方式として駐車ブレーキ12を使用する構成とすることもできる。もちろん、常用ブレーキとしてドラムブレーキを駆動輪5に装備し、ドラムブレーキによるブレーキ方式を採用してもよい。なお、スイッチバック中にブレーキ操作がなされたときはクラッチ圧制御についてはブレーキ制御の方を優先させる。この場合、ブレーキ制御において、前後進クラッチ8,9の同時係合クラッチ圧に対してスイッチバック制御時と同方式のABS制御が実施される。
【0059】次に図8〜図12に示す各ルーチンのプログラム内容について説明する。はじめに図8のSBエンジン回転数制御ルーチンを説明する。まずステップ(以下単にSと記す)10においては、スイッチバック操作されたか否かを判断する。走行中(車速V>0)にシフトレバー31がF位置からR位置へ、またはR位置からF位置へ切換えられたときにスイッチバック操作されたと判断する。スイッチバック操作されたと判断したときはS20に進み、スイッチバック操作されたと判断しなかったときはS50に進む。
【0060】S20では、フラグFsbに「1」をセットする。フラグFsb=1であることはスイッチバック中であることを意味する。次のS30では、車両停止までに要する予想時間Tsbを計算する。予め設定されたスイッチバック中の想定加速度(減速度)αstと、スイッチバック操作時の検出車速Vstとを用いて、式 Tsb=Vst/αst より計算する。
【0061】次のS40では、SBカウンタに時間Tsbに相当する計数値SBcnt をセットする。S50では、スイッチバック中(Fsb=1)であるか否かを判断する。フラグFsb=1であればS60に進み、Fsb=1でなければ当該ルーチンを終了する。
【0062】S60では、SBカウンタの計数値SBcnt が正(SBcnt >0)であるか否かを判断する。つまりスイッチバック操作時から車両停止までに要する予想時間Tsbを経過しておらず、スイッチバック減速過程にあるか否かを判断する。
【0063】S70では、車速Vが停止車速である(V≦Vo)か否かを判断する。停止車速(V≦Vo)とは仮にクラッチを完全係合してもさほどショックの起こらない十分な低速車速であって、例えばVoは0〜5km/hの範囲内の値である。
【0064】S60において予想時間Tsbを経過してSBcnt >0が不成立となり、かつS70において車速が停止車速になった(V≦Vo)と確認されると、当該ルーチンから発進制御ルーチンへ移行する。この際、フラグFsbはリセットされる(Fsb=0)。一方、S60が不成立になった後にS70が成立するまでのうちは、S80〜S100の処理を実行する。
【0065】S80では、SBエンジン回転数制御(図9)を実行する。S90では、SBクラッチ圧制御(図10)を実行する。S100では、計数値SBcnt をデクリメントする。
【0066】従って、走行中にシフトレバー31を逆進側へ切り換えるスイッチバック操作されると、停止までに要する予想時間Tsbが経過した後、さらに車速Vが停止車速(V≦Vo)になるまでの間は、SBエンジン回転数制御(図9)とSBクラッチ圧制御(図10)が実行される。
【0067】次に図9に示すSBエンジン回転数制御ルーチンを説明する。まずS110では、荷重に応じたエンジン回転数上限値NEsbをマップM1(図2)を参照して求める。荷重は荷重センサ22の検出値を用いる。
【0068】S120では、アクセル開度に応じた目標エンジン回転数NEtrg をマップM2(図3)を参照して求める。S130では、目標エンジン回転数NEtrg がエンジン回転数上限値NEsbより大きい(NEtrg >NEsb)か否かを判断する。この条件NEtrg >NEsbが成立するときはS140に進み、この条件が不成立のときはS150に進む。
【0069】S140では、目標エンジン回転数NEtrg にエンジン回転数上限値NEsbをセットする。S150では、目標エンジン回転数NEtrg とするスロットル開度THtrg をスロットルアクチュエータ7に指令する。
【0070】従って、当ルーチンの実行により、スイッチバック操作検出後は、予想時間Tsbが経過して車両が停止(車速「0」)したと推定された後、車速Vが停止車速にある(V≦Vo)と確認されるまでの区間は、エンジン回転数が上限値NEsb以下に制限される。
【0071】次に図10に示すSBクラッチ圧制御ルーチンを説明する。まずS210では、当ルーチン実行1回目であるか否かを判断する。例えばフラグFsbが「0」から「1」へ切り換わったときを1回目と判断する。
【0072】S220では、荷重に応じたクラッチ係合圧PhrをマップM3(図4)を参照して求める。このクラッチ係合圧Phrによってスイッチバック中の車両の減速度が決まる。
【0073】次のS230〜S260は、ABS制御の際にクラッチ係合圧Phrの補正をする補正量を決めるための準備の処理である。図6に示すようにABS制御では、加速度accがタイヤロックのしきい値Alockを負側に超えたときにクラッチ係合圧Pclを値Po に抜き、タイヤロックが解消されて再度クラッチ係合圧を復帰させるときにそのクラッチ係合圧Pclを前回のクラッチ係合圧よりも小さな値に補正をする。この補正量は、しきい値Alockより少し大きな設定値A1modeを加速度accが下回る領域の積分値(ハッチング領域の面積)intgAに比例させており、クラッチ係合圧Phrから積分値intgAに応じた比率(低減率)分を減算することにより、ABS実行中徐々に小さくする毎回のクラッチ係合圧Pclが決められる。
【0074】その処理内容は次のようになる。S230では、加速度acc=V1−V2を計算する。ここでV1は今回の車速、V2は前回の車速である。車速センサ17は駆動輪5の回転速度を間接的に検出するので、加速度accは駆動輪5の回転加速度に比例する値となる。スイッチバック中の加速度accは負(acc<0)の値をとる。
【0075】S240では、Δacc=A1mode−accを計算する。Δaccは、加速度accが設定値A1modeを下回るときに正の値をとる。ここで、設定値A1modeが補正用しきい値に相当する。
【0076】S250では、Δaccを数値制限処理してΔAとする(0≦ΔA≦α)。すなわちΔaccが負の値をとれば「0」とし、Δaccが値αを超える値をとれば「α」とする。よって、加速度accが設定値A1modeを下回って正の値をとるΔacc(但し、上限値α)のみがΔAとして残る。ここでαは、ΔAの積分値(累積値)を使って、後の処理で決まる補正量の急増を避けるための上限値である。
【0077】S260では、積分値intgA=ΔA+intgAを計算する。つまり前回の積分値intgAに今回のΔAを加算する。ΔAの累積値である積分値intgAは、加速度accが設定値A1modeを下回る領域の面積に相当する(図6参照)。
【0078】S270では、加速度accがロック判定用のしきい値Alock未満である(acc<Alock)か否かを判断する。つまりタイヤロックが検出されたか否かを判断する。タイヤロックが検出されないときはS280に進み、タイヤロックが検出されればS300に進む。
【0079】S300では、フラグFabs に「1」をセットする。つまり、タイヤスリップが検出され、ABSモードになるとフラグFabs =1となる。一方、S280では、フラグFabs =1であるか否かを判断する。Fabs =1でなければS290においてクラッチ係合圧(クラッチ圧という)PclとしてPhrを採用する。そしてS340において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Phrに相当する電流値IPclを指令する。このため、スイッチバック中、フォークリフトはクラッチ圧Phrから決まる想定減速度αstで減速し、しかも荷重が考慮されたクラッチ圧Phrが採用されるので、荷重の値によらず常に想定減速度αstが得られる。
【0080】一方、S270においてタイヤロックが検出されたときは、フラグFabs =1とした(S300)後、S310においてクラッチ圧PclとしてPo を採用する。そしてS340において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Po に相当する電流値IPo を指令する。このため、タイヤロックを検出したときはシフト側クラッチの係合圧がクラッチ圧Po に抜かれる(図6参照)。
【0081】ABSモードになった後、S270においてタイヤロックを検出しなくなるとクラッチ圧を再度復帰させるが、S280においてABSモードである(Fabs=1)と判断すると、S320,S330において復帰クラッチ圧Pclを計算する。
【0082】S320では、積分値intgAを正規化する。すなわち積分値intgAをある基準値で割り、0≦Ser≦1を満たす積分値intgAの正規化値Serを算出する。S330では、クラッチ圧Pcl=(1−Ser)・Phrを計算する。つまりクラッチ圧Phrに対し積分値intgAに応じた比率分だけ小さな値がクラッチ圧Pclとして算出される。
【0083】そしてS340において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧(1−Ser)・Phrに相当する電流値IPclを指令する。このため、ABSモードにおいて復帰時のクラッチ圧には、クラッチ圧Phrに対して積分値intgAに応じた比率分だけ小さく補正されたクラッチ圧Pclが採用される(図6参照)。このため、タイヤロック検出の度に復帰時のクラッチ圧Pclが徐々に小さくなり、しかも前回の値に対する今回の値の低減率が徐々に小さくなる。その結果、駆動輪5の駆動力は路面抵抗と均衡してタイヤロックがぎりぎり起こらない平衡点に収束する。なお、ABSモード(Fabs =1)は、例えばABSモード中における差分値ΔAlock(=Alock−acc)の累積である積分値intgΔAlockが、intgΔAlock<0の条件を満たすとリセット(Fabs =0)される。クラッチ係合圧Pclが平衡点の値に収束して加速度accがしきい値Alockを超えないその近傍の値に落ち着くと、やがてintgΔAlock<0が成立し、Fabs =0とされる。Fabs =0とされた時、積分値intgAとintgΔAlockは共に「0」にリセットされる。
【0084】次にスイッチバック終了後の発進制御ルーチンについて説明する。はじめに図11に示す発進エンジン回転数制御ルーチンを説明する。まずS400では、アクセル開度に応じた目標エンジン回転数NEtrg をマップM2(図3)を参照して求める。
【0085】S410では、加速度acc=V1−V2を計算する。加速度accは駆動輪5の回転加速度に比例する値となる。スイッチバック後の発進時の加速度accは正(acc>0)の値をとる。
【0086】S420では、加速度accがスリップ判定用のしきい値Aslipを超える(acc>Aslip)か否かを判断する。つまりタイヤスリップが検出されたか否かを判断する。タイヤスリップが検出されるとS430に進み、タイヤスリップが検出されないときはS440に進む。
【0087】S430では、フラグFtrc に「1」をセットする。つまり、タイヤスリップが検出され、TRCモードになったとしてフラグFtrc =1とする。S440では、フラグFtrc =1であるか否かを判断する。Ftrc =1であればS450に進み、Ftrc =1でなければS500に進む。
【0088】S450では、Δacc=acc−Aslipを計算する。Δaccは、加速度accがしきい値Aslipを上回るときに正の値、下回るときに負の値をとる。S460では、Δaccの累積である積分値intgB=Δacc+intgBを計算する。TRCモード中の加速度accは、後述するTRC制御(クラッチ圧制御)により、しきい値Aslipに対し上下に振幅する値をとり、駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡するクラッチ圧に収束する前においては、積分値intgBが正の値をとる(intgB>0)。
【0089】S470では、intgB>0であるか否かを判断する。つまり、駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡するクラッチ圧に収束した後であるか否かを判断する。intgB>0であればS480に進み、intgB>0でなければS490に進む。
【0090】S480では、目標エンジン回転数NEtrg にアイドル回転数NEo をセットする。つまりTRCモード中はアイドル回転数NEo が採用される。S490では、フラグFtrc をリセットする(Ftrc =0)。つまりTRCモードが終了する。
【0091】S500では、目標エンジン回転数NEtrg とするスロットル開度THtrg をスロットルアクチュエータ7に指令する。よって、intgB>0が成立する間は、TRCモードとみなされてエンジン回転数がアイドル回転数に低く抑えられる。このため、タイヤスリップ検出時のみエンジン回転数を低下させようとした場合、エンジン回転数の応答遅れのため巧くタイミングがとれないが、タイヤスリップが発生する可能性のあるintgB>0が成立する間中、エンジン回転数を低く抑えるので、エンジン回転数の応答遅れによるタイミングの不一致の問題が解消される。
【0092】次に図12に示す発進クラッチ圧制御ルーチンを説明する。S510では、当ルーチン実行後1回目であるか否かを判断する。1回目であればS520に進み、2回目以降のときはS530に進む。
【0093】S520では、荷重に応じた初期クラッチ係合圧Pclini をマップM4(図5)を参照して求める。S530では、クラッチ圧Pclini =Pclini +ΔPを算出する。つまり初期クラッチ圧Pclini を一定勾配で増大させる。
【0094】S540,S550は、TRC制御の際にクラッチ係合圧Pclini の補正をするための補正量を決めるための準備の処理である。TRC制御では、加速度accがタイヤスリップのしきい値Aslipを超えたときにクラッチ圧Pclini を値Po に抜き、タイヤスリップが解消された後の復帰時のクラッチ圧Pclを前回のクラッチ圧よりも小さな値に補正をする。この補正量を決める基本的な考え方は前記ABS制御と同じであって、しきい値Aslipより少し小さな設定値A2modeを加速度accが上回る領域の積分値ΔAに応じた比率(低減率)分をクラッチ係合圧Pclini から減算する。
【0095】その処理内容は次のようになる。S540では、Δacc=acc−A2modeを計算する。加速度accは発進エンジン回転数制御ルーチンで先に計算した値(S410)を使用する。Δaccは、加速度accがスリップ用の補正用しきい値である設定値A2modeを上回るときに正の値をとる。
【0096】S550では、Δaccを数値制限処理したΔA(0≦ΔA≦α)を用いて、積分値intgA=ΔA+intgAを計算する。積分値intgAは、加速度accが設定値A2modeを上回る領域の面積に相当する(図7参照)。
【0097】S560では、発進制御開始からの計時時間Tstが所定時間Tsを経過したか否かを判断する。所定時間Tsの経過前であればS570に進み、所定時間Tsの経過後であればS630に進む。
【0098】S570では、加速度accがしきい値Aslipを超える(acc>Aslip)か否かを判断する。つまりタイヤスリップが検出されたか否かを判断する。タイヤスリップが検出されないときはS580に進み、タイヤスリップが検出されるとS600に進む。
【0099】S580では、フラグFtrc =1であるか否かを判断する。つまりTRCモードであるか否かを判断する。Ftrc =1でなければS590においてクラッチ圧PclとしてPclini を採用する。所定時間Tsの経過前であるこのときの初期クラッチ圧Pclini は、時間の経過とともに一定勾配で増大するようにS530で変更された値が採用される。一方、所定時間Tsの経過後とS560において判断されたときは、S630において、クラッチ圧Pclとして完全係合圧Pc が採用される。
【0100】そしてS640において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Pclに相当する電流値IPclを指令する。このため、荷重が考慮された初期クラッチ圧clini が採用され、一定勾配でクラッチ圧が増大していき所定時間Tsが経過すると、シフト側クラッチが完全係合される。よって、スイッチバック終了後、荷重に影響されず常に一定の発進加速度が得られる。
【0101】一方、S570においてタイヤスリップが検出されたときは、S600においてクラッチ圧PclとしてPo を採用する。そしてS640において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Po に相当する電流値IPclを指令する。このため、タイヤスリップを検出したときはクラッチ圧がPo に抜かれる(図7参照)。
【0102】TRCモードになった後、S570においてタイヤスリップを検出しなくなるとクラッチ圧を再度復帰させるが、S580においてTRCモードである(Ftrc =1)と判断すると、S610,S620において復帰時のクラッチ圧Pclを計算する。
【0103】S610では、積分値intgAの正規化値Ser(0≦Ser≦1)を算出する。S620では、クラッチ圧Pclを、式 Pcl=(1−Ser)・Pclini より計算する。つまりクラッチ圧Pclini に対し積分値intgAに応じた比率分だけ小さな値に補正したクラッチ圧Pclが算出される。
【0104】そしてS640において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Pcl=(1−Ser)・Pclini に相当する電流値IPclを指令する。このため、TRCモードにおいてタイヤスリップが検出されるうちは徐々に復帰時のクラッチ圧Pclが小さくなり、駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡してタイヤスリップがぎりぎり起こらない平衡点のクラッチ圧に収束する。
【0105】従って、以上の各ルーチンの実行によりスイッチバック操作されたときは次のような制御が行われる。図7に示すように、例えばフォークリフトが前進走行中に時刻Toでシフトレバー31をF位置からR位置に切り換えるスイッチバック操作されたとする。すると、F位置側の前進クラッチ8が切離されると同時にR位置側の後進クラッチ9が接続される。このとき荷重を考慮した半クラッチのクラッチ係合圧Phrが採用される。また、エンジン回転数が上限値NEsb以下に低く抑えられる。シフト側クラッチを半クラッチ状態に保持するSBクラッチ圧制御と、エンジン回転数を上限値以下に制限するSBエンジン回転数制御は、車両停止までの予想時間Tsbの経過後、車速が停止車速にある(V≦Vo)と確認されるまでの区間は継続される。その結果、スイッチバック中はフォークリフトがスムーズに減速する。この際、車速Vが停止車速になった(V≦Vo)か否かの判断は、予想時間Tsbの経過後(つまり車両停止後)に行われるので、スイッチバック中の駆動輪5のロックを、停止車速になったとする誤判定が避けられる。
【0106】スイッチバック中、車両が半クラッチの減速度に抑えられても駆動輪5がロックするような場合は、ABS制御が実行される。すなわちクラッチ圧Pclをロック検出中に所定圧Poまで抜き、クラッチ圧の復帰時は、加速度accが設定値A1modeを負側に超えた領域の積分値に応じた低減率でクラッチ圧Pclを徐々に低下させる。このため、ABS制御によって駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡とするほぼ平衡点に収束する(図6,図7を参照)。
【0107】スイッチバック操作時から予想時間Tsbを経過し、さらに車速Vが停止車速にある(V≦Vo)と確認されると、スイッチバック制御を終了して発進制御に移行する。発進制御ではエンジン回転数はアクセルペダル2の操作量に応じた値に決められる。シフト側クラッチ(後進クラッチ9)のクラッチ係合圧は、スイッチバック終了時の値から所定時間Ts(例えば数秒)経過までの間は一定勾配で上昇し、所定時間Ts経過時点で一気に完全係合される。つまり、発進過程においても所定時間Ts経過時点までは半クラッチに維持され、加速ショックが緩和される。
【0108】発進過程ではTRC制御も行われ、半クラッチの加速度に抑えても駆動輪5がスリップするような場合は、クラッチ圧Pclをスリップ検出中は所定圧Poまで抜き、クラッチ圧の復帰時は、加速度accがしきい値A2modeを正側に超えた領域の積分値に応じた比率分ずつクラッチ圧Pclを徐々に低減させる。このため、TRC制御によって駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡とするほぼ平衡点に収束する(図7を参照)。
【0109】この実施の形態では以下の効果を有する。
(1)スイッチバック中は、シフト側クラッチが半クラッチとされるので、駆動輪5の制動力が弱まり、フォークリフトがスムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。また、駆動輪5の制動力が弱まることから、スイッチバック中の車両の減速ショックを小さく抑えることができ、しかも駆動輪5のロックも発生し難くなる。
【0110】(2)さらにスイッチバック中は、エンジン回転数が予め設定された上限値NEsb以下に抑えられるので、駆動輪5に加わる制動力が一層弱まり、フォークリフトが一層スムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。また、駆動輪5の制動力が弱まることから、スイッチバック時の車両の減速ショックを効果的に緩和でき、しかも駆動輪5のロックも一層発生し難くなる。
【0111】(3)スイッチバック中は、シフト側クラッチのクラッチ係合圧Phrを荷重が重いほど大きな値となるように荷重を考慮して設定し、一方、エンジン回転数上限値NEsbを荷重が重いほど大きな値となるように荷重を考慮して設定する。よって、スイッチバック中はフォークリフトの積荷の有無や荷重の違いに影響されずいつもほぼ同じ減速感を得ることができる。
【0112】(4)スイッチバック中は、駆動輪5のロックを検出するとシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める一種のABS制御を採用するので、スイッチバック減速中の駆動輪5のロックをほぼ確実に防止することができる。例えばスイッチバックが原因で工場の床面にタイヤ痕(タイヤマーク)が付くことをなるべく回避できる。
【0113】(5)駆動輪5のロックが検出されなくなった復帰時のクラッチ係合圧Pclは、駆動輪5の駆動力が路面抵抗との平衡点に収束するように徐々に小さくされるので、ABS制御の採用が原因で減速度を不要に弱め過ぎる事態を回避できる。
【0114】(6)駆動輪5のロックが検出されなくなった復帰時のクラッチ係合圧Pclは、加速度accが設定値A1modeを負側に超える領域の積分値に応じた低減率で徐々に小さくされるので、駆動輪5の駆動力を路面抵抗との平衡点に速やかに収束させることができ、駆動輪5のロック発生頻度をより効果的に減らすことができる。
【0115】(7)スイッチバック終了後の発進過程で駆動輪5のスリップが検出されると、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるTRC制御を採用するので、スイッチバック終了後の発進過程において駆動輪のスリップを発生し難くすることができる。
【0116】(8)スイッチバック終了後の所定時間Tsの間は、シフト側クラッチを半クラッチに保つので、スイッチバック終了後は加速ショックを小さく抑えたスムーズな発進を実現できる。
【0117】(9)TRC制御実行中は、エンジン回転数をアイドル回転数に小さく抑えるので、駆動輪5のスリップを効果的に防止することができる。TRC制御でタイヤスリップの検出中のみエンジン回転数を低下させようとすると、エンジン回転数の応答遅れのためタイミングが巧くとれない。しかし、本実施形態ではタイヤスリップが起きる可能性の高いintgB>0が成立する間中、エンジン回転数を低く維持するので、エンジン回転数の応答遅れによるタイミングの不一致の心配がない。よって、クラッチ係合圧を抜くときは常時エンジン回転数が低い状態に保たれ、スリップ抑制効果が高くなる。
【0118】(10)スイッチバック終了後の発進過程においても 初期クラッチ圧Pclは荷が重いほど大きな値となるように設定されるので、荷の有無や荷重の違いに影響されず、発進加速度を安定にすることができる。
【0119】(11)加速度Δaccを所定値α以下の値に数値制限したΔAを採用するので、ABS制御やTRC制御において、復帰時のクラッチ圧Pclの急激な変化を避けることができる。このため、駆動輪5の駆動力を路面抵抗との平衡点に一層収束させ易い。
【0120】(12)駆動輪5の回転加速度がフォークリフトのスイッチバック時の減速や発進ではあり得ない値になったことをもって、タイヤロックやタイヤスリップを検出するので、車速センサ17の検出値を利用することができる。よって、ABS制御やTRC制御を採用するが、駆動輪5のロックやスリップを検出する専用のセンサ等を装備する必要がない。
【0121】(第2の実施形態)次に第2の実施形態を説明する。本実施形態では、スイッチバック中の減速感を運転者の好みに応じて選択できるようにしている。なお、前記第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略し、特に異なる点について詳しく説明する。
【0122】フォークリフトの構成は前記第1の実施形態と同様である。設定操作手段としてのモード切換スイッチ37は、スイッチバック時のフォークリフトの減速感として予め設定された3種類のモードの中から好みに応じたものを選択するために使用される。ハード、ノーマル、ソフトの3種類のモードがあり、この順で設定される減速感(想定減速度)の強さが大きくなる。減速感はシフト側クラッチのクラッチ係合圧で決まるので、スイッチバック時の半クラッチの係合圧として、荷重を考慮するとともにモードに応じたクラッチ係合圧Phrが設定される。
【0123】ROM43に記憶されたプログラムやマップの一部が前記第1の実施形態と異なっている。すなわち、スイッチバック制御のプログラムが第1の実施形態と異なる。発進制御プログラムは前記第1の実施形態と同じである。
【0124】図13はスイッチバック制御のプログラムを示し、第1の実施形態の図8と内容が共通な部分が一部省略されている。SBエンジン回転数制御ルーチンは第1の実施形態と同じ(図9)である。SBクラッチ圧制御ルーチンはクラッチ係合圧Phrを決めるのにモードを考慮する点が第1の実施形態と異なり、図14に示すものを採用する。図15に示すマップM5は、モードを考慮したクラッチ係合圧Phrを決める際に図14の処理で使用するもので、ROM43に記憶されている。
【0125】まず図13に示すスイッチバック制御のプログラムについて説明する。スイッチバック中に設定モードに応じた減速度が得られるように、シフト側クラッチのクラッチ係合圧Phrを、荷重とモードの2要因を考慮して決める。このため、スイッチバック操作時点から車両停止までに要する予想時間Tsbが、設定モードに応じて異なることになるので、予想時間Tsbをモード毎に計算する。
【0126】S10,S20は図8のものと同じ内容である。つまりスイッチバック操作されたその1回の時のみS700〜S740において設定モードに応じた予想時間Tsbを計算する。
【0127】S700では、ハードモードであるか否かを判断する。ハードモードであればS720においてハードモードに応じた予想時間Tsbを計算する。設定モードに応じたクラッチ係合圧Phr(図15のマップM5を参照)からスイッチバック中の車両の加速度(減速度)を想定でき、例えばハード、ノーマル、ソフトの各モードの想定加速度(減速度)をαh,αn,αsとおく。ハードモードのときの予想時間Tsbは、式 Tsb=Vst/αh より計算される。一方、ハードモードでなければS710に進む。
【0128】S710では、ソフトモードであるか否かを判断する。ソフトモードであればS730においてソフトモードに応じた予想時間Tsbを計算する。すなわち、式Tsb=Vst/αs より計算する。一方、ソフトモードでなければ(つまりノーマルモードであれば)S740に進む。
【0129】S740では、ノーマルモードに応じた予想時間Tsbを計算する。すなわち、式 Tsb=Vst/αn より計算する。ここで、減速度がαh>αn>αsの関係があることから、予想時間Tsbは、車速Vstが同じであれば、ハード、ノーマル、ソフトの順で短くなる。
【0130】S40以降の処理は、図8のものと同様である。すなわち、S40において、SBカウンタに時間Tsbに相当する計数値SBcnt をセットする。SBカウンタには設定モードに応じた時間Tsb(計数値SBcnt)がセットされることになる。
【0131】S50〜S100の処理は図8のものと同じで、予想時間Tsbが経過し(S60)、さらに車速Vが停止車速になる(V≦Vo)(S70)と、当該ルーチンから発進制御ルーチンへ移行する。一方、S60で予想時間Tsbの経過後(SBcnt=0)、S70で車速が停止車速にある(V≦Vo)と判断されるまでの間は、S80〜S100の処理を実行する。すなわちS80でSBエンジン回転数制御(図9)を実行し、S90でSBクラッチ圧制御(図14)を実行する。また、S100では、計数値SBcnt をデクリメントする。
【0132】従って、走行中にシフトレバー31を逆進側へ切り換えるスイッチバック操作されると、停止までに要する予想時間Tsbが経過し、さらに車速Vが停止車速になる(V≦Vo)までの間は、SBエンジン回転数制御(図9)とSBクラッチ圧制御(図14)が実行される。このときの予想時間Tsbがモードに応じて異なるが、いずれのモードにおいても、車両停止と推定された時点(SBcnt=0)以後に車速が停止車速になる(V≦Vo)まで、図9と図14のルーチンが実行される。
【0133】次に図14に示すSBクラッチ圧制御ルーチンについて説明する。まずS210では、当ルーチン実行1回目であるか否かを判断する。例えばフラグFsbが「0」から「1」へ切り換わったときを1回目と判断する。
【0134】次のS800では、荷重、モードに応じたクラッチ係合圧PhrをマップM5(図15)を参照して求める。図15に示すように、ハード,ノーマル,ソフトの各モード毎のマップ線H,N,Sが用意されており、各マップ線とも荷重Wの値に応じてクラッチ係合圧Phrが変化する。モード切換スイッチ37により選択されたモードに応じたマップ線を使い、そのマップ線に基づき荷重Wに応じたクラッチ係合圧Phrを求める。クラッチ係合圧Phrは、ハード,ノーマル,ソフトの順で、しかも荷重Wが重いほど大きな値に決まる。このクラッチ係合圧Phrによってスイッチバック時の車両の減速度がほぼ決まる。
【0135】次のS810では、ABS制御を実行する。ABS制御は、図10におけるS230〜S340の処理に相当する。図6に示すようにABS制御では、加速度accがロック判定用のしきい値Alockを負側に超えたロック検出時にクラッチ係合圧Pclを所定値Po に抜き、ロックが検出されなくなった後の復帰時のクラッチ係合圧Pclを前回の値より小さな値に補正する。この補正量は、加速度accが設定値A1modeを下回る領域の積分値(ハッチング領域の面積)intgAに基本的に比例し、復帰時のクラッチ係合圧Pclは、クラッチ係合圧Phrから積分値intgAに応じた比率分だけ減算した値をとり、クラッチ圧復帰の度に徐々に小さくなる。
【0136】ここで、設定値A1modeはモードに応じて異なる値に設定され、各モードの各想定減速度に応じて、ハード,ノーマル,ソフトの順で負側に大きな値をとる。設定値A1modeを、ハード,ノーマル,ソフトの順に、A1h,A1n,A1sとおくと、Alock<A1h<A1n<A1s<0の関係となる。従って、加速度accが同じであれば、ソフト,ノーマル,ハードのモード順で、intgAが大きな値をとることになって、このモード順で復帰時のクラッチ係合圧Pclの低減率が大きくなる。よって、どのモードでもクラッチ係合圧Pclは速やかに平衡点に収束する。なお、図6において、加速度accがしきい値Alockを超えないその近傍値に収束するが、これは駆動輪5の回転加速度がしきい値Alock近傍の値に収束するのであって、フォークリフトの実際の減速度は、ABS制御によりクラッチ係合圧を低減した分だけモードに応じた想定減速度A1modeより若干小さくなる。
【0137】以上詳述したように本実施形態によれば、前記第1の実施形態で述べた(1)〜(12)の効果が同様に得られる他、以下の効果がさらに得られる。
(13)モード切換スイッチ37の操作によりモードを選択することにより、運転者等の好みに応じたスイッチバック中の減速感を得ることができる。
【0138】(14)ABS制御において積分値intgAを決める設定値A1modeにモードに応じた値を設定し、復帰時のクラッチ係合圧Pclを前回の値より小さくする低減率をモードに応じて変化させたので、どのモードにおいても駆動輪5の駆動力を路面抵抗との平衡点に速やかに収束させることができる。よって、駆動輪5のロック発生頻度を効果的に減らすことができる。
【0139】(第3の実施形態)次に第3の実施形態を説明する。本実施形態では、SBクラッチ圧制御の終了時にシフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させるようにしている。なお、前記第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略し、特に異なる点について詳しく説明する。
【0140】フォークリフトの構成は前記第1の実施形態と同様である。スイッチバック制御のプログラム(図8又は図13)、SBエンジン回転数制御ルーチン(図9)、SBクラッチ圧制御ルーチン(図10又は図14)及び発進エンジン回転数制御ルーチン(図11)は、前記第1又は第2の実施形態と同じである。発進クラッチ圧制御ルーチンが前記各実施形態と異なり、本実施形態では図16に示すルーチンを採用する。前記各実施形態では、発進制御開始からの計時時間Tstが所定時間Tsを経過するまでの間は、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を初期クラッチ圧Pclini から時間の経過とともに一定勾配で増大させ、所定時間Tsの経過時点で完全係合させた。これに対し、本実施形態は、発進制御開始と同時にシフト側クラッチを一気に完全係合させる制御を採用する。
【0141】以下、図16に示す発進クラッチ圧制御ルーチンを説明する。S910,S920は、TRC制御の際にクラッチ係合圧Pclの補正をするための補正量を決める積分値intgAを求めるための処理であり、図12のルーチンにおけるS540,S550と処理内容は同じである。また、S930,S940,S970は、図12のルーチンにおけるS570,S580,S610と処理内容は同じである。
【0142】S930では、加速度accがしきい値Aslipを超える(acc>Aslip)か否かを判断する。つまりタイヤスリップが検出されたか否かを判断する。タイヤスリップが検出されないときはS940に進み、タイヤスリップが検出されるとS960に進む。
【0143】S940では、フラグFtrc =1であるか否かを判断する。つまりTRCモードであるか否かを判断する。Ftrc =1でなければS950においてクラッチ圧Pclとして完全係合圧Pc を採用する。
【0144】そしてS990において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Pclに相当する電流値IPclを指令する。このため、スイッチバック終了判定がなされて発進制御に移行すると、シフト側クラッチが一気に完全係合される。
【0145】一方、S930においてタイヤスリップが検出されたときは、S950においてクラッチ圧Pclとして設定圧Po を採用する。そしてS990において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Po に相当する電流値IPclを指令する。このため、タイヤスリップを検出したときはクラッチ係合圧が設定圧Po に弱められる。
【0146】TRCモードになった後、S930においてタイヤスリップを検出しなくなるとクラッチ圧を再度復帰させるが、S940においてTRCモードである(Ftrc =1)と判断すると、S970,S980において復帰時のクラッチ圧Pclを計算する。
【0147】S970では、積分値intgAの正規化値Ser(0≦Ser≦1)を算出する。S980では、クラッチ圧Pclを、式 Pcl=(1−Ser)・Pc より計算する。つまりクラッチ圧Pc に対して積分値intgAに応じた比率(=Ser)分減算したクラッチ圧Pclを算出する。
【0148】そしてS990において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Pcl=(1−Ser)・Pc に相当する電流値IPclを指令する。このため、TRCモードにおいてタイヤスリップが検出されるうちは徐々に復帰時のクラッチ圧Pclが小さくなり、駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡してタイヤスリップがぎりぎり起こらない平衡点のクラッチ圧に収束する。
【0149】従って、スイッチバック操作後、予想時間Tsbを経過し(S60)、さらに車速が停止車速になる(V≦Vo)(S70)までの区間は、SBエンジン回転数制御とSBクラッチ圧制御が実行され、エンジン回転数が上限値NEsb以下に低く抑えられるとともに、シフト側クラッチが半クラッチに制御される。そのため、スイッチバック中はフォークリフトはスムーズに減速する。また、駆動輪5のロックが検出されるとABS制御が実行されるので、駆動輪5がロックすることがなくなる。
【0150】スイッチバック操作検出時から予想時間Tsbを経過し、さらに車速Vが停止車速になる(V≦Vo)とフラグFsb=0とし、スイッチバック制御を終了して発進制御へ移行する。この際、車速Vが停止車速になった(V≦Vo)か否かの判断は、予想時間Tsbの経過後(つまり車両停止後)に行われるので、スイッチバック中の駆動輪5のロックを、停止車速になったとする誤判定が避けられる。
【0151】発進制御に移行すると、シフト側クラッチは一気に完全係合される。このとき車速がほぼ0であり、シフト側クラッチの入力側の回転数(トルクコンバータのタービン回転数)と、出力側の回転数(駆動輪回転数と減速ギヤ比に応じた比例関係にある回転数)が共にほぼ0で回転差が極めて小さいので、クラッチを一気に完全係合させてもさほどショックが発生しない。発進制御ではエンジン回転数はアクセルペダル2の操作量に応じた値に制御される。
【0152】発進過程ではTRC制御も行われ、駆動輪5がスリップする場合は、クラッチ圧Pclをスリップ検出中に設定圧Poまで抜き、クラッチ圧の復帰時は、加速度accがしきい値A2modeを正側に超えた領域の積分値intgAに応じた低減率(=Ser)で完全係合圧Pcから減算し、クラッチ圧Pclを徐々に低減させる。このため、TRC制御によって駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡とするほぼ平衡点に収束する。このため、スイッチバック終了後の発進過程で駆動輪5がスリップすることがなくなる。
【0153】この実施形態によれば、前記第1の実施形態に適用した場合には前記(1)〜(7),(9),(11),(12)と同様の効果が得られ、前記第2の実施形態に適用した場合にはさらに前記(13),(14)と同様の効果が得られ、その他に次の効果が得られる。
【0154】(15)スイッチバック制御が終了して発進制御に移行すると、シフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させるので、前記各実施形態に比べ、クラッチが半クラッチ状態に保持される時間が短く済み、クラッチ8,9の摩耗速度を低減させてその寿命を長くすることができる。また、シフト側クラッチを完全係合させる停止車速時は、シフト側クラッチの入力側と出力側との回転差が小さいので、シフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させてもさほどショックが起こらない。
【0155】なお、実施の形態は上記に限定されず、次の態様で実施することができる。
○ シフト側クラッチは完全係合のままスイッチバックし、スイッチバック減速中のエンジン回転数だけを小さくする方法を採用することもできる。エンジン回転数を低く抑えるだけでもフォークリフトのスイッチバック中の減速度を小さくすることはできる。
【0156】○ スイッチバック減速中のエンジン回転数の上限値をアイドル回転数としてもよい。つまり、スイッチバック減速中のエンジン回転数に一定値を与えてもよい。もちろん一定値はアイドル回転数に限定されない。
【0157】○ エンジン回転数を上限値以下に制限する区間は、スイッチバック操作時から停止車速に達するまでの区間に限定されない。停止車速より大きな設定車速以上の減速区間においてのみ、このSBエンジン回転数制御を採用する。要するにスイッチバック時の減速ショックを小さく抑制するのに有効な区間であればよく、例えば8km/h以上の減速区間においてのみエンジン回転数を上限制限する構成であってもよい。
【0158】○ スイッチバック中にシフト側クラッチを半クラッチとし、エンジン回転数についてはアクセルペダル23の操作量に応じた値を採用する制御方法でもよい。シフト側クラッチを半クラッチにするだけでもスイッチバック中のフォークリフトの減速度を小さくすることはできる。
【0159】○ スイッチバック中にシフト側クラッチを半クラッチとする区間は、スイッチバック操作時から停止車速に達するまでの区間に限定されない。停止車速より大きな設定車速以上の減速区間においてのみ、このSBクラッチ圧制御を採用することもできる。要するにスイッチバック時の減速ショックを小さく抑えるのに有効な区間であればよく、例えば8km/h以上の減速区間においてのみシフト側クラッチを半クラッチとする構成であってもよい。
【0160】○ 前記各実施形態では、エンジン制御用認識手段、クラッチ制御用認識手段、ロック防止制御用認識手段及びスリップ防止制御用認識手段は、フラグFsb=0にするときの条件をみる共通の手段で実施したが、それぞれが異なる時期を認識するように条件設定されていてもよい。スイッチバック中にエンジン回転数を上限値以下に制限する区間と、スイッチバック中にシフト側クラッチを半クラッチにする区間が異なってもよく、例えばエンジン回転数の上限値制限制御を停止車速より大きな設定車速以上の区間とし、クラッチの半クラッチ制御を停止車速に達するまでの区間とする。また、スイッチバック中にシフト側クラッチを半クラッチにする区間と、スイッチバック中にABS制御を実施する区間が異なってもよい。さらにABS制御とTRC制御の各実施区間が、例えば停止車速域で重複してもよい。ABS制御とTRC制御の各実施区間が重複しても、駆動輪のロック時にABS制御が実行され、駆動輪のスリップ時にTRC制御が実行されるだけで何ら問題はない。
【0161】○ スイッチバック減速中のABS制御を無くすこともできる。
○ スイッチバック減速中にシフト側クラッチを完全係合させる構成において、ABS制御を採用する構成を実施することができる。ABS制御を採用すれば、スイッチバック中の駆動輪5のロックは防ぐことができる。またABS制御において徐々にクラッチ係合圧Pclを小さくする方式を採用すれば、駆動輪5のロックを招かない程度の減速度には低減できる。また、この構成においてスイッチバック減速中のエンジン回転数に上限を設定する方式を採用し、減速ショックや駆動輪5のロック抑制効果を高めるようにしてもよい。
【0162】○ ABS制御においてクラッチ係合圧Pclの補正計算の方法は、加速度の積分値を利用する方法に限定されない。要するにクラッチ係合圧Pclが徐々に小さくなればよい。特にクラッチ係合圧Pclの低減率が徐々に小さくなるのであれば、駆動輪5の駆動力を路面抵抗と均衡する平衡点に収束させることはできる。例えば予め設定された低減率で徐々にクラッチ係合圧を小さくする制御を採用してもよい。
【0163】○ ABS制御の際の積分値計算のために使用する補正用しきい値として、ロックのしきい値Alockを使用する構成であってもよい。
○ スイッチバック中に実施される制動緩和制御の制御終了時期を認識する方法は、前記各実施形態に限定されない。車速検出値が停止車速(設定車速)に達したことを判定して認識する方法と、停止までに要する予想時間Tsbが経過したことを判定して認識する方法のうち、いずれか一方のみを採用することができる。例えば前者の場合、従動輪の回転を検出する車速検出手段(車速センサ)を使用すれば、駆動輪がロックした時を車両停止と誤判定することを回避できる。また、その他の認識方法を採用することもできる。例えば加速度が負(減速)から正(加速)へ切り換わる時(車両停止時点)を制御終了時期と認識する構成とすることもできる。また、タービン回転数センサにより検出されるシフト側クラッチの入力側回転数と、車速センサ17の検出値から減速比を考慮して推定されるシフト側クラッチの出力側回転数とを比較し、入力側と出力側の回転差が一定範囲以内に収まった時を制御終了時期と認識する方法を採用してもよい。
【0164】○ 第2の実施形態において、減速感強さ(モード)を連続的に可変設定できる例えばボリュームなどの設定操作手段を使用することもできる。
○ 変速機は乾式クラッチ式でもよい。
【0165】○ 産業車両はフォークリフトに限らず、スイッチバック操作可能なその他の産業車両、例えばショベルローダ等に適用してもよい。
前記実施形態及び別例から把握できる請求項以外の技術思想を、以下に記載する。
【0166】(1)請求項1、3〜6、9〜14のいずれかにおいて、前記認識手段(エンジン制御用,クラッチ制御用,ロック防止制御用のうち少なくとも1つを指す)は、前記操作検出手段によりスイッチバック操作が検出された後に車両が設定車速以下にある区間内の所定時期に制御終了時期と認識する。この構成では、少なくとも設定車速を超える減速区間で制動緩和制御が実施され、設定車速以下の所定時期に制動緩和制御は終了される。
【0167】(2)請求項1、3〜6、9〜14のいずれかにおいて、前記認識手段(エンジン制御用,クラッチ制御用,ロック防止制御用のうち少なくとも1つを指す)は、前記操作検出手段によりスイッチバック操作が検出された後の車両の減速中に車速が設定車速以下になった時を制御終了時期と認識する。この構成では、制動緩和制御は設定車速を超える減速区間で実施される。
【0168】(3)前記(1),(2)の技術思想において、前記設定車速以下とは停止車速である。なお、停止車速は、実施形態中の車速Vo以下(V≦Vo)の車速域を指す。この構成では、スイッチバック中に少なくとも停止車速に達するまで制動緩和制御が継続され、よりスムーズなスイッチバックを実現できる。
【0169】(4)請求項14において、車両に積載された荷の重量を検出する荷重検出手段(22)を備え、前記発進加速度制御手段は、前記荷重検出手段の検出値に基づき荷重を考慮して前記シフト側クラッチを半クラッチのクラッチ係合圧に制御する。この構成では、スイッチバック終了後にスムーズな発進を実現できる。
【0170】(5)請求項1〜14のいずれかにおいて、前記認識手段によりスイッチバック操作検出後の車両が停止車速の状態にある区間内で制御終了時期になったと認識されて前記制動緩和制御が終了された後の発進過程において、前記シフト側クラッチを半クラッチとするように前記制御弁を制御する発進加速度制御手段(10,11,41)を備えている。この構成によれば、請求項1〜14のいずれか一項の発明の効果に加え、スイッチバック終了後の発進過程において、加速ショックを小さく抑えたスムーズな発進を実現できる。
【0171】(6)請求項14において、前記スリップ防止制御手段は、駆動輪のスリップを検出中に弱めた後に復帰させるクラッチ係合圧を、駆動輪の駆動力が路面抵抗との平衡点に収束するように徐々に低下させる制御をする。この場合、不要に加速度を低減し過ぎることがない。
【0172】(7)前記(6)の技術思想において、前記スリップ検出手段は駆動輪の回転加速度を検出し、その回転加速度がしきい値を超えると判断されるときに該駆動輪がスリップしたと検出するものであって、前記スリップ防止制御手段は、回転加速度がスリップ対策のための補正用しきい値を超える部分の積分値に応じた低減率で復帰時のクラッチ係合圧を低下させる。この場合、駆動輪の駆動力を速やかに路面抵抗との平衡点に収束させることができる。
【0173】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1及び2の発明によれば、スイッチバック減速中は、エンジン回転数が予め設定された上限値以下に小さく抑制されるので、スムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。
【0174】請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、スイッチバック中は車両が停止車速に達するまでエンジン回転数が予め設定された上限値以下に制御されるので、車両が一層スムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。
【0175】請求項3〜8の発明によれば、スイッチバック減速中はシフト側クラッチが半クラッチとされるので、車両がスムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。
【0176】請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、シフト側クラッチを、所定減速感が得られるように荷重の影響を考慮したクラッチ係合圧に制御するので、産業車両の積荷の有無や荷重の違いに関係なく、スイッチバック減速中の減速感をいつもほぼ同じにすることができる。
【0177】請求項5の発明によれば、請求項3又は4の発明の効果に加え、スイッチバック減速中は設定操作手段により設定された減速感強さに応じたクラッチ係合圧に制御されるので、運転者等の好みに応じたスイッチバック中の減速感を得ることができる。
【0178】請求項6の発明によれば、請求項3〜5のいずれか一項の発明の効果に加え、スイッチバック減速中は、エンジン回転数が予め設定された上限値以下に抑えられるので、車両が一層スムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。
【0179】請求項7の発明によれば、請求項3〜6のいずれか一項の発明の効果に加え、制御終了時期になると車両が停止車速にある区間内でシフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させるので、ショックが起き難くしかもクラッチの早期摩耗防止に寄与する。
【0180】請求項8の発明によれば、請求項3〜7のいずれか一項の発明の効果に加え、スイッチバック中は車両が停止車速に達するまでシフト側クラッチが半クラッチに保たれるので、車両が一層スムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。
【0181】請求項9〜13の発明によれば、スイッチバック減速中は、駆動輪のロックを検出するとシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるので、駆動輪のロックが発生し難く、車両がスムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。
【0182】請求項10の発明によれば、請求項9の発明の効果に加え、スイッチバック減速中は、エンジン回転数が予め設定された上限値以下に抑えられるので、車両の制動力が弱められ、車両が一層スムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。
【0183】請求項11の発明によれば、請求項9又は10の発明の効果に加え、スイッチバック減速中は、シフト側クラッチが半クラッチとされることで車両の制動力が弱められ、車両が一層スムーズに制動されるスイッチバックを実現できる。
【0184】請求項12の発明によれば、請求項9〜11のいずれか一項の発明の効果に加え、駆動輪のロックが検出されなくなってクラッチ係合圧を復帰させるときは、駆動輪の駆動力が路面抵抗との平衡点に収束するように徐々にクラッチ係合圧を低下させるので、駆動輪のロック防止制御が原因で減速度を不要に弱め過ぎる事態を回避できる。
【0185】請求項13の発明によれば、請求項12の発明の効果に加え、駆動輪のロックを検出したときは、駆動輪の回転減速度が補正用しきい値を超える領域の積分値に応じた低減率でクラッチ係合圧を低下させるので、駆動輪の駆動力が路面抵抗との平衡点に速やかに収束し、駆動輪のロック発生頻度を減らすことができる。
【0186】請求項14の発明によれば、請求項9〜13のいずれか一項の発明の効果により、スイッチバック減速中に駆動輪のロックを発生し難くすることができ、しかもスイッチバック終了後の発進過程では駆動輪のスリップを発生し難くすることができる。




 

 


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