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発明の名称 産業車両におけるマスト傾動速度制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−63989(P2001−63989A)
公開日 平成13年3月13日(2001.3.13)
出願番号 特願平11−236021
出願日 平成11年8月23日(1999.8.23)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333 AA02 AB13 AE02 BB02 BD02 BE02 DA07 DB10 FA29 FA32 FD03 FD20 FE04 
発明者 後藤 哲也
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 車体に傾動可能に支持されたマストと、前記マストを前後に傾動させるために該マストと前記車体と間に設けられた油圧シリンダと、前記油圧シリンダの油路上に設けられた油圧ポンプを駆動する電動モータと、前記マストに昇降可能に支持され荷を積載する荷役機器とを備えた産業車両において、前記マストを傾動させるために操作する操作手段と、前記操作手段が操作されたことを検出する操作検知手段と、前記荷役機器の揚高を検出する揚高検出手段と、前記操作検知手段から操作手段が操作された検知信号を入力すると、前記揚高検出手段により検出された揚高に基づき高揚高ほど低回転数となる設定で前記電動モータを制御する制御手段とを備えた産業車両におけるマストの傾動速度制御装置。
【請求項2】 前記制御手段は、前記操作手段が前傾側に操作されるか、後傾側に操作されるかのいずれかの操作が前記操作検知手段により検知されたとき、前記揚高検出手段により検出された揚高に基づき高揚高ほど低回転数となる設定で前記電動モータを制御する請求項1に記載の産業車両におけるマストの傾動速度制御装置。
【請求項3】 前記制御手段は、前記電動モータを制御するための特性データとして、トルク−回転数特性設定データを揚高の高さ別に複数種記憶し、その特性設定データの中から前記揚高検出手段の検出揚高に応じた一つを選択し、その選択した特性設定データに基づき前記電動モータを制御する請求項1又は2に記載の産業車両におけるマストの傾動速度制御装置。
【請求項4】 前記トルク−回転数特性設定データは、前記操作手段の操作方向の区別と揚高との2つを少なくともパラメータとする各組合せ毎に複数種設定されており、前記制御手段は前記操作検知手段及び揚高検出手段によりそれぞれ検出される前記操作方向の区別と揚高とを少なくともパラメータとして決まるトルク−回転数特性設定データに基づき前記電動モータを制御する請求項3に記載の産業車両におけるマストの傾動速度制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォーク等の荷役機器を昇降移動させるマストが傾動可能に装備され、マストを傾動するティルトシリンダへの作動油の供給流量が電動モータにより制御される産業車両におけるマストの傾動速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の産業車両であるフォークリフトにおいては、マストはリフトレバーの操作に基づくリフトシリンダの駆動により伸縮し、マストの伸縮に伴ってフォークが昇降する。また、荷役作業を容易にするため及びフォークリフトの走行中の安定性を良くするため、マストはティルトレバーの操作に基づくティルトシリンダの駆動により前後に傾動するようになっている。
【0003】従来、マストを前傾させる場合は、フォークリフトの後輪の浮き上がり(即ち車両の前後方向の不安定状態)の発生を防止する必要があった。このための対策として、例えば特開平7−61792号公報に開示された装置では、エンジン式フォークリフトにおいて、ティルトシリンダの油路上に設けたマストの傾動操作を行うための電磁制御弁の開度を、作業者によるティルトレバーの操作に独立してコントローラに制御させ、マストの傾動速度制御を行っている。この装置では、荷の荷重が所定値を超え且つ荷役機器の揚高高さが所定値を超えた場合のみ、電磁制御弁の開度を所定の値に制御し、マストの傾動速度を低速にしている。この装置は、マストの前傾速度が速すぎて前方に転倒することがないようになされたものであった。
【0004】バッテリ式フォークリフトでは、リフトシリンダ及びティルトシリンダを駆動するための荷役系油圧回路に作動油を送る荷役ポンプは電動モータ(荷役モータ)により駆動されるようになっている。そして、リフトレバーが上昇側へ操作されるか、ティルトレバーが操作されたときに、電動モータが回転駆動され、リフトシリンダやティルトシリンダへその駆動のための作動油が供給されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平7−61792号公報に開示された装置では、荷の荷重が所定値を超え且つ荷役機器の揚高高さが所定値を超えた場合のみ、マストの傾動速度を2段階に変えている。高速用と低速用の二段階の制御であったため、おおまかなティルト速度制御しかできなかった。そのため、揚高と荷重とから2段階でティルト速度を変えただけでは、マストのティルト速度を不要に低速にしてマストの作業能力を低下させたり、逆に、マストの作業能力を優先してティルト速度が不具合を回避できないほどに速くなる場合が起こり得た。
【0006】このような不具合を解消するためには揚高と荷重のうち少なくとも一方を連続的に検出し、マストの重心高さの連続変化に応じてマストのティルト速度を連続変化させるように制御し、より細かくティルト速度を制御すればよい。しかし、揚高と荷重の少なくとも一方を連続検出し、その連続的な検出値に応じて電磁制御弁の開度を連続変化させる制御が必要となる。そのため、制御がかなり複雑な装置になるという問題があった。
【0007】また、揚高と荷重の両方を検出する必要があるため、揚高センサと荷重センサの2つを必ず設けなければならず、またこの装置をバッテリ式フォークリフトに新たに装備する場合、電磁制御弁を追加するなどハード上の設計変更も必要となり、制御および構造のうえでかなり複雑な設計変更が必要になるという問題があった。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡単な制御によって荷重と揚高高さが考慮された最適なティルト速度にマストを制御することができる産業車両におけるマスト傾動速度制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載の発明では、車体に傾動可能に支持されたマストと、前記マストを前後に傾動させるために該マストと前記車体と間に設けられた油圧シリンダと、前記油圧シリンダの油路上に設けられた油圧ポンプを駆動する電動モータと、前記マストに昇降可能に支持され荷を積載する荷役機器とを備えた産業車両において、前記マストを傾動させるために操作する操作手段と、前記操作手段が操作されたことを検出する操作検知手段と、前記荷役機器の揚高を検出する揚高検出手段と、前記操作検知手段から操作手段が操作された検知信号を入力すると、前記揚高検出手段により検出された揚高に基づき高揚高ほど低回転数となる設定で前記電動モータを制御する制御手段とを備えている。
【0010】この構成によれば、マストを傾動させるために操作される操作手段が操作されたことが操作検知手段からの検知信号により検知すると、制御手段は、揚高検出手段により検出された揚高に基づき高揚高ほど低回転数となる設定で電動モータを制御する。マストの傾動速度は油圧シリンダに送られる作動油の流量を決める電動モータの回転数(回転速度)によって決まるため、荷役機器の揚高が高いときほどマストは低速で傾動することになる。また、荷役機器に積載された荷の荷重によって電動モータにかかる負荷が変わるため、電動モータの回転速度(回転数)は荷重が重いときほど遅くなる。その結果、マストの傾動速度は揚高が同じであっても荷重が重いときほど低速となる。このため、例えば高揚高かつ高荷重であってマスト重心が高いときにはマストは低速(例えば通常速度より低速)で傾動し、マスト重心が低いときにはマストは高速(例えば通常速度)で傾動する。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、前記操作手段が前傾側に操作されるか、後傾側に操作されるかのいずれかの操作が前記操作検知手段により検知されたとき、前記揚高検出手段により検出された揚高に基づき高揚高ほど低回転数となる設定で前記電動モータを制御することを要旨とする。
【0012】この構成によれば、請求項1の発明の作用に加え、制御手段は、操作手段が前傾側に操作されるか、後傾側に操作されるかすると、揚高検出手段により検出された揚高に基づき高揚高ほど低回転数となる設定で電動モータを制御する。従って、例えば高揚高かつ高荷重であってマスト重心が高い状態にあるときは、マストが前傾するときにはその前傾速度が規制され、マストが後傾するときにはその後傾速度が規制される。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記制御手段は、前記電動モータを制御するための特性データとして、トルク−回転数特性設定データを揚高の高さ別に複数種記憶し、その特性設定データの中から前記揚高検出手段の検出揚高に応じた一つを選択し、その選択した特性設定データに基づき前記電動モータを制御することを要旨とする。
【0014】この構成によれば、請求項1又は2の発明の作用に加え、制御手段は、揚高の高さ別に複数種記憶する電動モータのトルク−回転数特性設定データの中から揚高検出手段の検出揚高に応じた一つを選択し、その選択した特性設定データに基づき電動モータを制御する。電動モータにかかる負荷は荷役機器に積載された荷の重量(荷重)によって変わる。このため、荷重が重いときは電動モータの回転速度が遅くなり、荷重が軽いときは電動モータの回転速度が速くなる。その結果、マストの傾動速度は揚高が同じであっても荷重が重いときほど低速となる。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記トルク−回転数特性設定データは、前記操作手段の操作方向の区別と揚高との2つを少なくともパラメータとする各組合せ毎に複数種設定されており、前記制御手段は前記操作検知手段及び揚高検出手段によりそれぞれ検出される前記操作方向の区別と揚高とを少なくともパラメータとして決まるトルク−回転数特性設定データに基づき前記電動モータを制御することを要旨とする。
【0016】この構成によれば、請求項3の発明の作用に加え、制御手段は、操作検知手段及び揚高検出手段によりそれぞれ検出される操作方向の区別と揚高との2つを少なくともパラメータとして選択されるトルク−回転数特性設定データに基づき電動モータを制御する。このため、マストの重心位置が高いときほどマストの傾動速度が遅く規制されるとともに、マストの前傾速度と後傾速度の最適化も同じ一つの制御上でなされる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、フォークリフトのマスト傾動制御装置の電気的構成を示す。
【0018】産業車両としてのバッテリ式フォークリフトの車体の前部に立設され、車体に対して傾動可能に支持されたマスト1は、マスト1と車体との間に介装された油圧シリンダとしてのティルトシリンダ2が伸縮駆動されることにより前後に傾動(ティルト)するようになっている。
【0019】マスト1は、上下方向にスライド可能に組付けられたアウタマスト1aとインナマスト1bから構成される。アウタマスト1aに配設されたリフトシリンダ3が伸縮駆動されてインナマスト1bがアウタマスト1aに対して上下に移動することにより、アウタマスト1aに一端が固定された状態でインナマスト1bの上端部(プーリ)を経由するように掛装されたチェーンに吊下されたリフトブラケット(いずれも図示せず)と共に、荷役機器としてのフォーク4がマスト1に沿って昇降するようになっている。なお、ティルトシリンダ2はその本体基端部が車体に取付けられた状態で、ピストンロッド2aの先端部がアウタマスト1aの側部に連結された状態にある。
【0020】アウタマスト1aの所定高さには揚高検出手段としての揚高センサ5が設けられている。揚高センサ5はインナマスト1bの昇降経路上へ水平に突出する復帰位置に付勢された回動可能な検知レバー5aを有し、検知レバー5aがインナマスト1bの下端に押下されて下方へ回動する低揚高位置と、インナマスト1bの下端に押下されなくなって復帰位置にある高揚高位置との2種類の揚高を検出する。つまり、揚高センサ5はフォーク4が所定高さ以上にある高揚高のときにオンし、フォーク4が所定高さ未満の低揚高にあるときにオフする。
【0021】マスト1を傾動させる操作をするために運転室に設けられた操作手段としてのティルトレバー6は、油圧系のコントロールバルブ7と操作力伝達機構(リンク機構)8を介して作動連結されている。操作力伝達機構8の近傍にはティルトレバー6の前傾側の操作(以下、前傾操作という)を検知する前傾検知スイッチ9と、ティルトレバー6の後傾側の操作(以下、後傾操作という)を検知する後傾検知スイッチ10とが配設されている。前傾検知スイッチ9はティルトレバー6を前傾操作したときにオンし、後傾検知スイッチ10はティルトレバー6を後傾操作したときにオンする。また、ティルトレバー6が中立位置にあるときには両スイッチ9,10は共にオフする。なお、操作検知手段は、前傾検知スイッチ9及び後傾検知スイッチ10により構成される。
【0022】また、リフトシリンダ3の下部にはその内部の油圧を検出するための荷重センサ(圧力センサ)11が設けられている。荷重センサ11はフォーク4に積載された荷の重量(荷重)を検出するためのものであって、荷重に応じた検出信号を出力する。なお、荷重センサ11は本実施形態ではティルト速度制御には使用されない。
【0023】フォークリフトの車体内に収容されたバッテリ12は、制御手段としてのコントローラ13と電気的に接続されている。バッテリ12とコントローラ13とを接続する配線14上にはキースイッチ15が設けられ、キースイッチ15がオンされるとコントローラ13等に電力が供給されるようになっている。また、ティルトシリンダ2およびリフトシリンダ3を油圧制御するためにフォークリフトに装備された荷役系の油圧回路で作動油供給源となる油圧ポンプとしての荷役ポンプ16(図2に示す)は、車体内部に配設された電動モータとしての荷役モータ17により駆動される。この荷役モータ17はコントローラ13により駆動制御される。本実施形態では荷役モータ17は三相交流誘導モータからなる。コントローラ13を含む電気系構成を詳述する前に、ここでまず荷役系の油圧回路構成について説明する。
【0024】図2は、フォークリフトに装備された荷役系の油圧回路を示す。ティルトシリンダ2およびリフトシリンダ3に供給するための作動油をオイルタンク20から汲み上げて吐出する荷役ポンプ16は、荷役モータ17により駆動される。荷役ポンプ16から吐出された作動油(圧油)が通る作動油供給管路21は、オイルタンク20に戻る経路をとる戻り管路22に接続されている。この作動油供給管路21上にはリフト用制御弁23とティルト用制御弁24とが直列に配設されている。
【0025】リフト用制御弁23は7ポート3位置切換弁であり、そのスプールはリフトレバー18に機械的に作動連結されている。リフトレバー18を上昇・中立・下降の操作をすることによりリフト用制御弁23はa,b,cの3位置に手動で切換可能となっている。
【0026】リフト用制御弁23には、作動油供給管路21から分岐した分岐管路21aと、前記戻り管路22と、リフトシリンダ3に接続された管路25とが接続されている。リフト用制御弁23がa位置(上昇位置)に切換えられると、分岐管路21aと管路25とが連通して作動油が供給されてリフトシリンダ3が伸長する。また、リフト用制御弁23がc位置(下降位置)に切換えられると、管路25と戻り管路22とが連通して作動油が管路25,22を通ってオイルタンク20に排出され、リフトシリンダ3が収縮するようになっている。さらに、リフト用制御弁23がb位置(中立位置)にある状態では、管路25が各管路21a,22と遮断され、リフトシリンダ3のピストンロッド3aが所定の突出量に保持される。なお、c位置では、ボトム室3bの作動油はピストンロッド3aに働く荷重圧により排出される。
【0027】ティルト用制御弁24は6ポート3位置切換弁であり、そのスプールはティルトレバー6に機械的に作動連結されている。ティルトレバー6を前傾・中立・後傾の操作をすることによりティルト用制御弁24がa,b,cの3つ位置に手動で切換可能となっている。ティルト用制御弁24には、作動油供給管路21から分岐した分岐管路21bと、戻り管路22に繋がる排出管路26と、ティルトシリンダ2のロッド室2bに繋がる管路27と、ボトム室2cに繋がる管路28とが接続されている。
【0028】ティルト用制御弁24がa位置(前傾位置)に切換えられると、管路21b,28が連通して作動油がボトム室2cに送られるとともに、管路27,26が連通してロッド室2bの作動油が管路27,26,22を通ってオイルタンク20に排出され、ティルトシリンダ2が伸長する。また、ティルト用制御弁24がc位置(後傾位置)に切換えられると、管路21b,27が連通して作動油がロッド室2bに送られるとともに、管路28,26が連通してボトム室2cの作動油が管路28,26,22を通ってオイルタンク20に排出され、ティルトシリンダ2が収縮するようになっている。また、ティルト用制御弁24がb位置(中立位置)にあるときには、各管路27,28が管路21b,26と遮断され、ティルトシリンダ2のピストンロッド2aが所定の突出量に保持されるようになっている。ティルト用制御弁24の開度はティルトレバー6の操作量に応じて決まるため、荷役モータ17の回転速度(回転数)が一定であれば、マスト1はティルトレバー6の操作量に応じてたティルト速度で傾動する。
【0029】また、リリーフ弁31が作動油供給管路21と戻り管路22とを接続する管路29上に設けられ、リリーフ弁32がリフト用制御弁23と戻り管路22とを繋ぐ管路30上に設けられている。管路30は、リフト用制御弁23が作動油供給管路21を遮断しないb位置(中立位置)またはc位置(下降位置)にあるときに、管路29から分離する管路29aと連通するようになっている。
【0030】リリーフ弁31は、リフト用制御弁23が作動油供給管路21を遮断するa位置(上昇位置)に切換えられた状態において、リフト系の油路を流れる圧油がリフト設定圧となるように作動油を逃がすためのものである。また、リリーフ弁32は、ティルト用制御弁24が作動油供給管路21を遮断するc位置(後傾位置)に切換えられた状態において、ティルト系の油路を流れる圧油がティルト設定圧となるように作動油を逃がすためのものである。また、チェック弁33,34は作動油の逆流を阻止するため、フィルタ35は油中のゴミを除去するためにそれぞれ設けている。
【0031】次に、マスト傾動制御装置における電気的構成の詳細を説明する。図1に示すように、コントローラ13は、マイクロコンピュータを構成する中央処理装置(CPUボード)(以下CPUという)51、読み出し専用メモリ(ROM)52および読出し書替え可能なメモリ(RAM)53と、入力フィルタ54と、アナログデジタル変換回路(A/D変換回路)55と、電源回路56と、荷役モータ駆動回路57とを内蔵している。CPU51は入力ポート58と出力ポート59とを備える。CPU51はバッテリ12と電源回路56を介して接続されており、バッテリ電圧が電源回路56により降圧された所定駆動電圧がCPU51に印加される。
【0032】揚高センサ5、前傾検知スイッチ9および後傾検知スイッチ10は、入力フィルタ54を介してCPU51の入力ポート58に接続されている。また、荷重センサ11は、A/D変換器55を介してCPU51の入力ポート58に接続されている。
【0033】荷役モータ駆動回路57は、CPU51の出力ポート61に接続されるとともにバッテリ12と接続されている。荷役モータ駆動回路57は直流を交流に変換するDC/ACコンバータを内蔵し、バッテリ12から給電される直流から三相交流を生成する。CPU51は、荷役モータ17を制御するための指令信号を荷役モータ駆動回路57に出力し、荷役モータ駆動回路57はその指令信号に基づいて荷役モータ17に出力する三相交流の電流値と周波数を制御する。荷役モータ17はその回転数(回転速度)を検出するための回転数センサ(例えばロータリエンコーダ)(図示せず)を内蔵するものであって、その回転数信号をCPU51に出力するようになっている。CPU51は荷役モータ17から入力した回転数信号に基づいて荷役モータ17をフィードバック制御する。
【0034】ROM52にはティルト速度制御プログラムおよびこのプログラムを実行する際に使用するデータとして図3に示すマップM1が記憶されている。マップM1には4種類のマップ線FL,FH,RL,RHが用意されている。この4種類のマップ線FL,FH,RL,RHは、各検知スイッチ9,10からのオン・オフ信号に基づき判別されるティルトレバー6の前傾操作と後傾操作の区別と、揚高センサ5からのオン・オフ信号に基づき判別される低揚高と高揚高との4種類の組合せ、すなわち(前傾,低揚高)、(前傾,高揚高)、(後傾,低揚高)、(後傾,高揚高)の4種類に対応づけられたものである。つまり(前傾,低揚高)の組合せのときにはマップ線FLが採用され、(前傾,高揚高)の組合せのときにはマップ線FHが採用される。また(後傾,低揚高)の組合せのときにはマップ線RLが採用され、(後傾,高揚高)の組合せのときにはマップ線RHが採用される。
【0035】4種類のマップ線FL,FH,RL,RHは、モータ回転数NとモータトルクTとの関係で示された4種類のモータ特性を決めるもので、モータ回転数Nの上昇に連れてモータトルクTが減少するある勾配の傾きをもつような設定がなされている。そして、前傾時と後傾時共に、高揚高のときほど、同じモータ回転数Nが得られるときのモータトルクTが小さくなる側へシフトする設定となっている。その設定は、ティルトレバー6が最大操作量で操作されたときに低揚高のときと高揚高のときとでフォーク4上の荷の移動速度がほぼ同じになるように設定されている。
【0036】次に、上記のように構成されたマスト傾動速度制御装置の作用を説明する。キースイッチ15がオンされると、フォークリフトは運転状態となる。フォークリフトが運転状態にあってもリフトレバー18が上昇側に操作されるか、ティルトレバー6が操作されない限り荷役モータ17は回転駆動されない。ティルトレバー6が操作されたことが検知されると、コントローラ13内のCPU51は荷役モータ駆動回路57に指令信号を出力し、荷役モータ17の駆動を開始させる。つまり前傾検知スイッチ9と後傾検知スイッチ10のいずれかがオンすると、CPU51は、揚高センサ5からの入力信号からフォーク4の揚高を判別し、ティルトレバー6の操作方向と揚高との2つをパラメータとしてROM52に記憶された図3に示すマップM1を参照し、このマップM1の中から1つのマップ線を選択する。
【0037】すなわち、2つのパラメータの組合せが(前傾,低揚高)のときにはマップ線FLが選択され、(前傾,高揚高)のときにはマップ線FLよりも低回転数設定のマップ線FHが選択される。また2つのパラメータの組合せが(後傾,低揚高)のときにはマップ線RLが選択され、(後傾,高揚高)のときにはマップ線RLよりも低回転数設定のマップ線RHが選択される。
【0038】CPU51は使用するマップ線が決まると、荷役モータ17から入力する回転数信号に基づいてそのマップ線を参照してその時の回転数に応じたモータトルクTを求め、それを指令信号として荷役モータ駆動回路57に出力する。荷役モータ駆動回路57はCPU51から入力した指令信号に基づいて荷役モータ17に出力する三相交流の電流値および周波数を制御する。その結果、荷役モータ17は選択されたマップ線に応じたトルク−回転数特性が得られるように駆動制御される。
【0039】例えばフォーク4に積載された荷の重量(荷重)が重い高荷重のときと、荷重が軽い低荷重のときとでは、荷役モータ17にかかる負荷が異なるので、荷役モータ17の回転数が荷重の大小によって変化する。そのため、同じマップ線が選択され使用されるトルク−回転数特性が同一であっても、その特性ライン(マップ線)上で使用される回転数域が荷重に応じて変化する。例えば高荷重のときには荷役モータ17にかかる負荷が大きいため、相対的に低回転数域で駆動され、マスト1のティルト速度が相対的に低速となる。また、低荷重のときには荷役モータ17にかかる負荷が小さいため、荷役モータ17は相対的に高回転数域で駆動される。
【0040】つまり、フォーク4に積載される荷の重量(荷重)を検出した検出荷重を荷役モータ17の制御のためのパラメータとして使用しておらず、荷重値を全く考慮していない制御ではあるが、マスト1のティルト速度は同じ揚高であっても荷重が重いほど遅くなる。このため、マスト重心位置を決める揚高と荷重の2要因のうち揚高のみをパラメータとして採用し、しかもその揚高について2段階をみるだけではあるが、高荷重であるときほどティルト速度が遅くなることにより、マスト重心位置が高いときほどティルト速度が遅くなる。よって、マスト1はその重心高さに応じたほぼ最適なティルト速度で傾動する。その結果、マスト1の前傾を止めたときにその慣性によって後輪が浮き上がる不具合や、マスト1が後傾エンドに達したときに大きな衝撃が発生する不具合、さらにこれらの不具合を解消するために不要にティルト速度が遅くなり荷役作業性が損なわれる不具合が起き難くなる。
【0041】以上詳述したこの実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)高揚高ほど低回転数となるように2段階の揚高に応じて設定されたトルク−回転数特性のマップ線の中から、検出揚高に応じた一つを選択し、その選択したマップ線から決まるモータ制御特性が得られるように荷役モータ17を制御する。よって、マスト重心位置を決める2要因のうち揚高のみを荷役モータ17の制御内容を決めるパラメータとし、しかも揚高については2段階のみみる制御であるものの、マスト重心位置に応じた適切なティルト速度でマスト1を傾動させることができる。つまり揚高を2段階でみるだけであるが、荷役モータ17にかかる負荷の違いによって、同じ揚高でも高荷重のときほどティルト速度が遅くなるので、荷重を検出しない簡単な制御によって、マスト重心が高いときほどティルト速度がより規制されるほぼ最適なティルト制御を実現できる。よって、簡単な制御によってマスト1を荷重と揚高高さが考慮されたほぼ最適なティルト速度に制御できる。
【0042】(2)マスト1の速度制御として、高揚高のときに前傾速度を制限する前傾速度規制制御と、高揚高のときに後傾速度を制限する後傾速度規制制御との両方を採用するので、マスト1の前傾を止めたときに過大な慣性によって後輪が浮き上がる不具合を解消できるとともに、マスト1の後傾エンド時の衝撃を緩和することができる。しかもマスト1の前傾速度や後傾速度が不要に遅くなることもないので、作業性を損なわない。
【0043】(3)ティルトレバー6の前傾操作と後傾操作の区別を、マップ線を選択するときのパラメータの1つとして採用したので、マスト重心高さに応じたティルト速度制御と共通の一つの同じ制御上で、マスト1の前傾速度と後傾速度の最適化を図ることができる。
【0044】(4)ティルト制御をするための駆動系については、従来のバッテリ式フォークリフトに荷役モータ17の制御のためのプログラムを追加するソフトウェア上の設計変更をするだけで済むので、従来技術で述べたような油の流量を制御する電磁弁を追加するようなハード上の設計変更を伴わずに済む。また、ティルト速度制御の採用のために追加するセンサ類の種類(または個数)が少なくて済む。
【0045】なお、実施の形態は上記に限定されず、以下の態様でも実施できる。
○ マスト傾動速度を制御するため、マスト重心高さを決めるパラメータを検出するための検出手段は、揚高検出手段だけに限定されない。マスト重心高さを決めるパラメータとして荷重センサ11の検出値である荷重を採用し、揚高と荷重の2つを少なくともパラメータに用いて荷役モータ17を制御するためのモータ制御特性を決めてもよい。例えば図4に示すようなマップM2を採用し、ティルトレバー操作方向と揚高と荷重の3つをパラメータとし、8種類の組合せに応じた8種類のマップ線を用意する。図3と同じマップ線FL,FH,RL,RHを、高荷重のときのマップ線とし、低荷重のときには高荷重のときのマップ線FL,FH,RL,RHよりも少し高回転数設定のマップ線FLL,FHL,RLL,RHLを設定する。この構成によれば、荷重の大小によって同一のモータ制御特性の勾配によるだけで荷重を考慮するだけではなく、実際に検出した荷重を考慮してモータ制御特性を決めるので、ティルト速度をより最適化することができる。
【0046】○ モータ制御特性は、トルク−回転数の関係で所定の勾配をもつ傾きをもつものに限定はされない。例えば一定回転数が得られるようにモータを駆動制御する定回転数制御とすることもできる。この場合、空荷から最大積載荷重までの範囲において荷役モータにかかる負荷の違いにより高荷重域において設定回転数に追随不能な領域が生じるような特性のモータを使用すれば、揚高のみからマップ線を選択するだけでも荷重が考慮されたティルト速度が得られる。もちろん、そのような設定回転数に追随不能な領域が生じない十分なパワーのモータを使用して、揚高が考慮され荷重が考慮されないティルト速度を得る実施でも構わない。この場合でも、定回転数制御のためのモータ制御特性を選択するマップ線を複数用意しておくで、揚高に応じたティルト速度の最適化を図ることができる。
【0047】○ 前記実施形態では、ティルトレバー6の操作方向、すなわち前傾操作と後傾操作との区別を、荷役モータ17の制御特性を決めるうえのパラメータとして採用したが、ティルトレバー操作方向の区別をパラメータとして採用しない実施とすることもできる。例えば検出される揚高の高さ別にその揚高の数と同数のマップ線が設定されただけのマップとすることができる。この場合、マストの前傾速度と後傾速度を最適化するため、例えばティルト用制御弁24のスプールのa位置およびb位置において開かれる油路の開度の設定の違いや、その開かれた油路に絞りを設けることにより作動油の流量を操作方向に適した設定とすることで対応できる。
【0048】○ 前記実施形態では、揚高に応じたモータ特性を予めマップとして備え、マップを参照して指令信号を決める構成であったが、予め揚高に応じて荷役モータに出力する三相交流の電流値と周波数を設定しておき、揚高に応じて一義的に定まる指令信号を出力することにより、回転数のフィードバックをしないフィードフォワード制御を採用することもできる。
【0049】○ 揚高検出手段は揚高センサ5のような段階的に揚高を検出するものに代え、揚高を連続的に検出できる揚高センサを使用することができる。また、揚高を段階的に検出する場合、2段階に限定されることはなく、3段階以上の複数段階の揚高を検出する構成であってもよい。
【0050】○ 荷役モータは交流モータに限定されず、直流モータを採用することもできる。直流モータを使用しても同様の制御をすることはできる。
○ 前記実施形態では、産業車両としてフォークリフトに具体化したが、荷役機器及び傾動可能なマストを備えた他の産業車両に適用することもできる。
【0051】前記実施形態から把握される、請求項以外の技術的思想を以下に記載する。
(1)請求項1〜3のいずれか一項において、前記荷役機器に積載された荷の荷重を検出する荷重検出手段を備え、前記制御手段は、前記揚高検出手段及び荷重検出手段により検出された揚高及び荷重に基づき高揚高で高荷重であるほど低回転数の設定で前記電動モータを制御する。この構成によれば、検出荷重をパラメータとするので、マストの重心高さに対するマストの傾動速度を一層最適化させることができる。
【0052】(2)請求項3において、トルク−回転数特性設定データは、トルクと回転数の関係が回転数の増加に連れてトルクが減少する所定勾配の傾きをもつように設定されている。この構成によれば、同じ揚高であっても荷重が重いときほどマストの傾動速度が遅く規制される。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発明によれば、揚高検出手段により検出された揚高に基づき高揚高ほど低回転数となる設定で電動モータが制御され、このとき電動モータの回転速度は外的要因(荷重)に左右されるので、マストの重心位置が高いときほどマストの傾動速度を規制することができる。従って、マストの傾動速度をその重心位置が高いときに規制するための制御が簡単で済む。
【0054】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、マスト重心位置が高いときには、マストが前傾するときの前傾速度も、マストが後傾するときの後傾速度も共に規制されるので、マストを前傾させて止めたときの慣性によって後輪が浮き上がる不具合を防げ、またマストの後傾エンド時の衝撃を緩和することができる。
【0055】請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加え、揚高の高さに応じて決まるトルク−回転数特性設定データに基づき電動モータが制御され、電動モータのトルク−回転数特性によって荷重に応じてマストの傾動速度が変わるので、マストの重心位置が高いときほどマストの傾動速度を規制することができる。
【0056】請求項4に記載の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、操作手段の操作方向の区別と揚高との2つを少なくともパラメータとしてトルク−回転数特性設定データを決めるので、マストの重心位置が高いときほどマストの傾動速度を規制できるとともに、マストの前傾速度と後傾速度の最適化も同じ一つの制御上で行うことができる。




 

 


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