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発明の名称 農作業機の操向装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−191943(P2001−191943A)
公開日 平成13年7月17日(2001.7.17)
出願番号 特願2000−1553(P2000−1553)
出願日 平成12年1月7日(2000.1.7)
代理人 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【テーマコード(参考)】
3D052
【Fターム(参考)】
3D052 AA05 BB08 BB09 DD03 DD04 EE01 FF01 GG03 GG04 GG05 HH01 HH02 HH03 JJ00 JJ03 JJ12 JJ20 JJ21 JJ22 JJ23 JJ26 JJ31 JJ35 JJ37 
発明者 長野 文男 / 中村 国祐 / 平岡 実 / 大森 美樹雄 / 奥山 天
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 左右一対のクローラ型の走行装置を備え、単一のステアリング操作具の中立位置から左右旋回方向の一方への操作域に、中立位置から離れるほど旋回機能が高くなるように、第1操作域、第2操作域、および、第3操作域を順次形成した農作業機の操向装置において、前記第2操作域を前記第1操作域および前記第3操作域より大きく設定してあることを特徴とする農作業機の操向装置。
【請求項2】 前記第1操作域が、左右の走行装置の伝動系のそれぞれに備えられたサイドクラッチの一方を切って、片駆動による緩旋回を行う操作域であり、前記第2操作域が、サイドクラッチが切られた一方の走行装置を、サイドクラッチが切られていない他方の走行装置と同方向に減速駆動して、両駆動による緩旋回を行う操作域であり、前記第3操作域が、サイドクラッチの切られた一方の走行装置を制動して急旋回を行う操作域である請求項1記載の農作業機の操向装置。
【請求項3】 前記第2操作域における減速駆動を摩擦式のクラッチを介して行うよう構成するとともに、このクラッチの操作圧を、ステアリング操作具の操作量が大きくなるほど高くするよう構成してある請求項2記載の農作業機の操向装置。
【請求項4】 前記ステアリング操作具の操作位置をポテンショメータによって検出し、その検出に基づいて前記第2操作域と第3操作域との旋回駆動状態を切換えるように構成し、このポテンショメータに備えた操作レバーを、前記ステアリング操作具によって往復変位される作動部材に、その作動全域において片当たり追従するよう付勢してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の農作業機の操向装置。
【請求項5】 前記ステアリング操作具が前記第3操作域に操作される範囲で作用する操作抵抗付与手段を備えてある請求項1〜4のいずれか一項に記載の農作業機の操向装置。
【請求項6】 前記ステアリング操作具を、縦向き軸心周りに回動されるステアリングハンドルに構成してある請求項1〜5のいずれか一項に記載の農作業機の操向装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右一対のクローラ型の走行装置を備えた農作業機の操向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記操向装置としては、例えば、特開平7−47973号公報に開示されているように、左右一対のクローラ型の走行装置のそれぞれにサイドクラッチを装備するとともに、サイドクラッチが切られた一方の走行装置を、サイドクラッチが切られていない他方の走行装置の作動方向と同方向で、その作動速度より低速で駆動する緩旋回駆動手段と、サイドクラッチが切られた一方の走行装置を制動する急旋回駆動手段としての制動機構とを備え、ステアリング操作具が、中立位置から左右一方へ外れた第1操作域に操作されると、一方の走行装置のサイドクラッチを切り、引き続く第2操作域に操作されると、サイドクラッチの切られた走行装置を前記緩旋回駆動手段によって減速駆動し、更に、引き続く第3操作域に操作されると、サイドクラッチの切られた走行装置を前記制動機構によって制動するように、前記ステアリング操作具と前記サイドクラッチ、前記緩旋回駆動手段、および、前記制動手段とを連係したものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記操向装置は、ステアリング操作具の操作量が大きくなるに連れて、その旋回機能が次第に高くなり、円滑な機体旋回を行う上で有効となるものであるが、旋回機能と操作域との関連については未だ十分には考慮されていないものであった。すなわち、コンバインなどの農作業機においては、作業走行中の機体操向は、作物条列に機体を追従させるための操向と、畦際で機体を大きく方向転換するための操向とがある。
【0004】ここで、作物条列に機体を追従させるための操向では、不用意に機体を大きく操向させると、作物を損傷したり、収穫もれが発生するおそれがあり、作物列条から外れないように注意して操向操作を行う必要がある。また、畦際で機体を大きく方向転換するための操向では、機体の操向が緩慢であると、旋回スペースが大きくなるので、速やかに小回り旋回することが必要となる。
【0005】本発明は、このような農作業機に要求される操向操作を適切に行い易い操向装置を提供することを主たる目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0007】(構成) 請求項1に係る発明の農作業機の操向装置は、左右一対のクローラ型の走行装置を備え、単一のステアリング操作具の中立位置から左右旋回方向の一方への操作域に、中立位置から離れるほど旋回機能が高くなるように、第1操作域、第2操作域、および、第3操作域を順次形成した農作業機の操向装置において、前記第2操作域を前記第1操作域および前記第3操作域より大きく設定してあることを特徴とする。
【0008】(作用) 上記構成によると、圃場内の作業走行においては、ステアリング操作具の中立位置から左右旋回方向の一方へ少し操作することで、第1操作域に入って直ちに機体操向が開始され、作物の条列に沿わせるための通常の操向は第2操作域での操作で十分となる。この場合、第2操作域は他の操作域よりも大きい操作域となっているので、作物の条列に沿わせるための通常の操向中に誤って第3操作域にまで操作してしまって、機体を不当に大きく操向させてしまうおそれはない。
【0009】また、畦際での機体方向転換など、小回旋回が必要な要な時には、ステアリング操作具を意識的に最終の第3操作域にまで大きく操作することで、確実に急旋回を行うことができる。
【0010】(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、操作域の領域を合理的に設定することで、作業走行時における機体操向を、過剰な操向を行うことなく適切に行うことができるとともに、畦際での方向転換や、路上での方向転換、などの小回り旋回も適確容易に行うことができ、農作業機としての操向操作性を高めることができた。
【0011】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0012】(構成) 請求項2に係る発明の農作業機の操向装置は、請求項1の発明において、前記第1操作域が、左右の走行装置の伝動系のそれぞれに備えられたサイドクラッチの一方を切って、片駆動による緩旋回を行う操作域であり、前記第2操作域が、サイドクラッチが切られた一方の走行装置を、サイドクラッチが切られていない他方の走行装置と同方向に減速駆動して、両駆動による緩旋回を行う操作域であり、前記第3操作域が、サイドクラッチの切られた一方の走行装置を制動して急旋回を行う操作域である。
【0013】(作用) 上記構成によると、ステアリング操作具を、中立位置から左右旋回方向の一方へ外れた第1操作域に操作すると、一方の走行装置のサイドクラッチが切られて自由状態となり、サイドクラッチが切られない他方の走行装置のみの駆動による緩やかな機体旋回が行われる。また、引き続く第2操作域に操作すると、サイドクラッチの切られた側に機体が緩旋回用駆動され、駆動される左右の走行装置の速度差によって機体は、緩やかに、かつ、確実に操向する。また、第3操作域まで操作すると、サイドクラッチの切られた一方の走行装置を制動停止させ、サイドクラッチが切られない他方の走行装置のみの駆動によって機体を確実に小回り旋回させることができる。
【0014】(効果) 従って、請求項2に係る発明によると、第1操作域、第2操作域、および、第3操作域の操向特性をそれぞれ異ならせることができ、請求項1の発明の上記効果をもたらすとともに、一層円滑で適確な機体操向を行うことができるようになる。
【0015】〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0016】(構成) 請求項3に係る発明の農作業機の操向装置は、請求項1または2の発明において、前記第2操作域における減速駆動を摩擦式のクラッチを介して行うよう構成するとともに、このクラッチの操作圧を、ステアリング操作具の操作量が大きくなるほど高くするよう構成してある。
【0017】(作用) 上記構成によると、第2操作域のステアリング操作具が第1操作域に近いほど、クラッチの操作圧が低くなってスリップを許す駆動となり、旋回内側の走行装置は比較的小さいトルクでの減速駆動される。また、ステアリング操作具が第3操作域側に近づくほど、クラッチの操作圧が高くなってスリップしにくくなり、旋回内側の走行装置は大きいトルクで減速駆動されるようになる。
【0018】(効果) 従って、請求項3に係る発明によると、第2操作域内での操作位置に応じて、旋回性能に差異がもたらされることになり、ステアリング操作具の操作位置に対応した一層円滑な操向操作を行うことができ、請求項1または2の発明の上記効果を助長する。
【0019】〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0020】(構成) 請求項4に係る発明の農作業機の操向装置は、請求項1〜3のいずれか一項の発明において、前記ステアリング操作具の操作位置をポテンショメータによって検出し、その検出に基づいて前記第2操作域と第3操作域との旋回駆動状態を切換えるように構成し、このポテンショメータに備えた操作レバーを、前記ステアリング操作具によって往復変位される作動部材に、その作動全域において片当たり追従するよう付勢してある。
【0021】(作用・効果) 上記構成によると、ポテンショメータの操作レバーは、ステアリング操作具の位置に関係なく、常に作動部材に付勢接当することになり、ガタの発生なく精度の高い位置検出を行うことができ、安定した操向特性を維持することができる。
【0022】〔請求項5に係る発明の構成、作用および効果〕
【0023】(構成) 請求項5に係る発明の農作業機の操向装置は、請求項1〜ステアリング操作具4のいずれか一項の発明において、前記ステアリング操作具が前記第3操作域に操作される範囲で作用する操作抵抗付与手段を備えてある。
【0024】(作用・効果) 上記構成によると、第2操作域から第3操作域への移行を、操作抵抗の増加として感知することができ、通常の作業走行中に、不用意に急旋回操作を行うおそれがなくなり、操作性能を一層向上することができる。
【0025】〔請求項6に係る発明の構成、作用および効果〕
【0026】(構成) 請求項6に係る発明の農作業機の操向装置は、請求項1〜5のいずれか一項の発明において、前記ステアリング操作具を、縦向き軸心周りに回動されるステアリングハンドルに構成してある。
【0027】(作用 効果) 上記構成によると、クローラ型の走行装置を備えながら、車輪型の走行装置を備えた車両のように操縦することができ、請求項1〜5のいずれか一項の発明の上記効果をもたらすとともに、車感覚で機体操縦を容易かつ軽快に行うことができ、実用上の利点が大きい。
【0028】
【発明の実施の形態】図1に、本発明を適用した農作業機の一例であるコンバインの右側面図が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ型の走行装置1L,1Rを備えた走行機体2の前部に、刈取り前処理部3を昇降自在に連結するとともに、機体上に、脱穀装置4、穀粒タンク5、エンジン6、操縦部7、などを搭載した構造となっている。
【0029】以下、前記走行装置1L,1Rの伝動構造を図2、図3、および、図4に基づいて説明するが、説明における左右方向の記述は機体の左右方向に基づいており、正面から見たこれらの図における左右方向とは逆の関係となっている。
【0030】前記エンジン6の動力は、前後進の切換えが可能な主変速装置としての静油圧式無段変速装置(HST)8に伝達され、その変速出力がミッションケース9に伝達される。ミッションケース9に入力された動力は、ギヤG1 ,G2 を介して第1軸10に伝達された後、ギヤG3 ,G4 を介して副変速機構11に伝達される。また、第1軸10からケース外に取り出された動力のうち、正転動力のみがワンウエイクラッチOCを介して前記刈取り前処理部3に伝達される。なお、静油圧式無段変速装置8は、操縦部7に備えた主変速レバー29によって操作される。
【0031】前記副変速機構11は、コンスタントメッシュ式に3段のギヤ変速を行うものであり、第2軸12に遊嵌装着した小径ギヤG5 ,中径ギヤG6 ,大径ギヤG7を、第3軸13に固着したギヤG8 ,G9 ,G10にそれぞれ常時咬合させ、前記第2軸12上に配備した2つのシフトスリーブS1 ,S2 をシフトすることで、3組の常噛みギヤ対のいずれか一組を用いて、第2軸12から第3軸13への変速伝動を行うよう構成されている。
【0032】つまり、図5、図6に示すように、前記シフトスリーブS1 ,S2 は、ミッションケース内に水平支架した支軸14に沿って摺動移動するシフター15に備えられた一対のシフトフォーク15a,15bにそれぞれ係合支されており、シフター15の摺動変位に伴って両シフトスリーブS1 ,S2 が、同時に同方向にシフト操作されるようになっている。そして、ミッションケース9に前後に貫通装着した変速操作軸16の先端には、前記シフター15に係合する操作アーム16aが備えられており、操縦部7に備えた副変速レバー30を操作して変速操作軸16を回動することで、シフター15を左右に摺動操作するよう構成されている。
【0033】ここで、前記シフトスリーブS1 は、シフト範囲の全域において第2軸12に直接スプライン咬合されているのに対して、前記シフトスリーブS2 は、ギヤG6 のボス部、第2軸12にスプライン外嵌したスプラインカラー17、および、ギヤG7 のボス部に亘ってシフト可能となており、以下のようにして3段の変速が行われる。
【0034】シフター15が低速「L」位置にある時には、図7に示すように、シフトスリーブS1 はギヤG5 のボス部と第2軸12に亘って咬合するとともに、シフトスリーブS2 は、ギヤG6 のボス部にのみ外嵌支持された状態となり、第2軸12の動力は、シフトスリーブS1 ,ギヤG5 ,G8 を介して第3軸13に低速で伝達される。また、シフター15が中速「M」位置にある時には、図8に示すように、シフトスリーブS1 は第2軸12にのみ支持されるとともに、シフトスリーブS2 は、ギヤG6 のボス部とスプラインカラー17に亘って外嵌咬合された状態となり、第2軸12の動力は、スプラインカラー17,シフトスリーブS2 ,ギヤG6 ,G9 を介して第3軸13に中速で伝達される。また、シフター15が中立「N」位置にある時には、図9に示すように、シフトスリーブS1 は第2軸12にのみ支持されるとともに、シフトスリーブS2 は、スプラインカラー17にのみ外嵌支持された状態となり、第2軸12から第3軸13へのの動力伝達は遮断される。また、シフター15が高速「H」位置にある時には、図10に示すように、シフトスリーブS1 は第2軸12にのみ支持されるとともに、シフトスリーブS2 は、ギヤG7 のボス部とスプラインカラー17に亘って外嵌咬合された状態となり、第2軸12の動力は、スプラインカラー17,シフトスリーブS2 ,ギヤG7 ,G10を介して第3軸13に高速で伝達される。
【0035】なお、図6に示すように、前記シフター15は、ボールデテント18によって、倒伏穀稈の収穫用速度である低速「L」、標準的な収穫用速度である中速「M」、中立「N」、および、移動用速度である高速「H」において位置保持することができるようになっている。
【0036】上記のようにして前記第3軸13に伝達された動力は、中央のギヤG9 を介して第4軸19のセンターギヤG11に伝達された後、左右のサイドクラッチ20L,20R、車軸ギヤ21L,21R、および、車軸22L,22Rを介して左右の走行装置1L,1Rに伝達される。
【0037】図4に示すように、前記サイドクラッチ20L,20Rは、第4軸19に遊嵌されるとともに車軸ギヤ21L,21Rに常時咬合されたサイドクラッチギヤ23L,23Rをシフトして、前記センターギヤG11の中心内歯に側方から咬合離脱させることで、センターギヤG11から車軸22L,22Rへの動力伝達を断続するよう構成されたものであり、前記サイドクラッチギヤ23L,23Rをシフトする手段が以下のように構成されている。
【0038】前記第4軸19は、中央部位が大径の段付き軸に構成されるとともに、サイドクラッチギヤ23L,23Rは、この第4軸19の大径部と小径部とに亘って外嵌する段付きの内径を備えており、常時は、バネ24によってセンターギヤG11側にスライド付勢されて、クラッチ入り位置に保持されている。そして、第4軸19の内部に穿設された油路a,bを介して圧油が供給されることで、各サイドクラッチギヤ23L,23Rは、バネ24に抗してクラッチ切り位置にシフトされるようになっている。また、サイドクラッチギヤ23L,23RがセンターギヤG11から外れたクラッチ切り位置までシフトされると、圧油供給用の前記油路a,bを、第4軸19の内部に穿設された油路dに連通させるよう構成されている。
【0039】また、前記サイドクラッチギヤ23L,23Rは、センターギヤG11との咬合が外れたクラッチ切り位置を超えて更にシフトされることで、第4軸19の両端部位に遊嵌装着された操向用サイドギヤ25L,25Rに側面より咬合連結可能となっている。そして、この操向用サイドギヤ25L,25Rは、第5軸26の両端部位に固着されたギヤ27L,27Rに咬合されるとともに、第5軸26に遊嵌したギヤG13が、前記センターギヤG11の側部に連設された小径のギヤG12に咬合されて減速連動されている。
【0040】前記ギヤG13と第5軸26との間には、緩旋回を司る多板式のクラッチCが装備されている。このクラッチCは、常時は内装したバネ31によってピストン32が後退復帰されて、クラッチ切り状態に維持され、第5軸26の内部に穿設された油路cを介して圧油が供給されることで、ピストン32がバネ31に抗して変位されてクラッチ入り状態に切換えられるようになっている。
【0041】また、ミッションケース9の右側面に取り付けられたサイドカバー33に、第5軸26の一端が軸受け支承されるとともに、このサイドカバー33に、信地旋回を司る多板式の制動機構Bが装備されている。この制動機構Bは、リング状のピストン34が油圧の印加によってケース内方へ進出して、押圧プレート35を内装バネ36に抗して押圧変位させることで、第5軸26に摩擦制動作用が付加され、油圧の印加が解除されて押圧プレート35が内装バネ36によって復帰後退することで、制動が解除されるようになっており、前記ピストン34は、サイドカバー33の外側面に取り付けた油圧ブロック37に組み込まれている。
【0042】図11に、前記サイドクラッチ20L,20R、クラッチC、および、制動機構Bを操作する操向用の油圧回路図および制御系統図が示されている。図において、V1 は、前記サイドクラッチ20L,20Rのサイドクラッチギヤ23L,23Rを択一的にシフト操作するための操向切換え弁であって、ミッションケース9の外側に配備したソレノイドSL1 によって中立、および、正逆の3位置が選択される。V2 は、前記クラッチCあるいは制動機構Bのいずれかに圧油を選択供給して旋回モードを切換えるモード切換え弁であって、通常はクラッチCへの圧油供給位置に付勢され、ミッションケース9の外側に配備したソレノイドSL2 によって制動機構Bへの圧油供給位置に切換えられるようになっている。
【0043】また、図11中のV3 は、前記第4軸19の内部に形成された油路dに接続されたシーケンス弁であり、その作動圧は、サイドクラッチ20L,20Rのサイドクラッチギヤ23L,23Rをクラッチ切り位置までシフトしてバネ24とバランスさせる圧に設定されている。そして、このシーケンス弁V3 の下手側に可変リリーフ弁V4 が接続されて、作動油タンクを兼用するミッションケース9に連通されるとともに、シーケンス弁V3 と可変リリーフ弁V4 との間から分岐した油路eが前記モード切換え弁V2 の一次側に接続されている。
【0044】前記操向切換え弁V1 を操作するソレノイドSL1 、および、モード切換え弁V2 を操作するソレノイドSL2 は、操縦部7のハンドル塔41に備えたステアリング操作具としてのステアリングレバー42に、制御装置43を介して電気的に連係されるとともに、前記可変リリーフ弁V4 は、ステアリングレバー42に機械的に連係されている。
【0045】図12,図13に示すように、ハンドル塔41の上部右側(運転者から見て)に取り付けたブラケット44に支軸45が前後向き支点x周りに回動指導自在に貫通装着されるとともに、この支軸45の後端に連設した支点金具46に、前記ステアリングレバー42が横向き支点y周り揺動可能に装着されて、ステアリングレバー42が十字揺動可能に構成されている。そして、前記支点金具46からは棒材をL形に屈曲してなる第1操作アーム47が突設されるとともに、前記支軸45の前端部近くからは板材の第2操作アーム48が突設され、第1操作アーム47は、ハンドル塔41に取付けられたポテンショメータ49に以下のように連係されて、ステアリングレバー42の操作位置が電気的に検出されるようになっている。
【0046】つまり、前記ポテンショメータ49の操作レバー49aは、前記第1操作アーム47に側方から常に接当するよう、内装したバネによって図12中時計方向に回動付勢されており、第1操作アーム47が中立位置nから左右いずれの方向に操作されても、接当状態を維持しながら操作レバー49aが第1操作アーム47に追従して回動することで、ステアリングレバー42の操作位置がポテンショメータ49の出力変化として連続的に検出され、その検出信号が制御装置43に入力されるようになっている。
【0047】また、前記第2操作アーム48は、前記可変リリーフ弁V4 を操作するレリーズワイヤ50に以下のように連携されている。つまり、前記支軸45には、一対の作動アーム51,52が遊嵌装備され、両作動アーム51,52はねじりバネ53によって互いに接近する方向に揺動付勢されて、ブラケット44に設けた固定ピン54を挟むように接当支持されている。そして、一方の作動アーム51の遊端部には、レリーズワイヤ50におけるアウタワイヤ50aの端部が連結支持されるとともに、他方の作動アーム52遊端部には、レリーズワイヤ50におけるインナワイヤ50bの端部が連結支持されている。また、ステアリングレバー42によって前後向き支点x周りに揺動される第2操作アーム48の遊端部に設けた操作ピン48aが、両作動アーム51,52の間に設置されている。
【0048】上記構成によると、例えば図12において、ステアリングレバー42を中立nから右旋回方向(図では左方)に揺動操作すると、第2操作アーム48が図中反時計方向に揺動され、操作ピン48aが一方の作動アーム51を反時計方向に接当揺動させる。この時、他方の作動アーム52は固定ピン54との接当によって反時計方向への揺動が阻止されているので、レリーズワイヤ50のインナワイヤ50bが相対的にアウタワイヤ50aから引き出される。また、逆に、ステアリングレバー42を中立nから左旋回方向(図では右方)に揺動操作すると、第2操作アーム48が図中時計方向に揺動され、操作ピン48aが他方の作動アーム52を時計方向に接当揺動させる。この時、一方の作動アーム51は固定ピン54との接当によって時計方向への揺動が阻止されているので、レリーズワイヤ50のインナワイヤ50bがアウタワイヤ50aから引き出される。つまり、ステアリングレバー42を中立nから左旋回方向あるいは右旋回方向のいずれに揺動操作しても、その操作量に応じてレリーズワイヤ50のインナワイヤ50bが引き出し操作され、そのワイヤ引き出し量が大きくなるほど前記可変リリーフ弁V4 の作動圧が高くなるように連係されている。
【0049】操向切換え弁V1 とシーケンス弁V3 は前記油圧ブロック37に組込まれるとともに、前記モード切換え弁V2 と可変リリーフ弁V4 は前記サイドカバー33に組込まれ、油圧ブロック37およびサイドカバー33の内部に形成された油路を介して互いに連通接続されて、図11に示す油圧回路が形成されている。以下に、操向切換え弁V1 ,モード切換え弁V2 、および、可変リリーフ弁V4 の操作構造を図14〜図17に基づいて詳細に説明する。
【0050】図14〜図16に示すように、前記操向切換え弁V1 は、油圧ブロック37の上部に前後方向に摺動自在に装着したスプール61を、支軸62を介して外部から揺動される操作アーム63に係合して摺動操作するよう構成されており、支軸62の外端に装着したレバー64に前記ソレノイドSL1 が連動連結されている。
【0051】上記構成によると、ステアリングレバー42が中立nにある時、ソレノイドSL1 は非通電状態にあって、スプール61は復帰バネ65よって中立に保持されており、ポンプポートPから供給された圧油はドレン流路Dを経てミッションケース9に戻される。ステアリングレバー42が左旋回方向に操作されると、これがポテンショメータ49で検出されてソレノイドSL1 が押し駆動され、スプール61が図15中の左方向に摺動操作され、ポンプポートPから供給された圧油は油路aを介して左旋回用のサイドクラッチ20Lに供給される。また、ステアリングレバー42が右旋回方向に操作されると、これがポテンショメータ49で検出されてソレノイドSL1 が引き駆動され、スプール61が図15中の右方向に摺動操作され、ポンプポートPから供給された圧油は油路bを介して右旋回用のサイドクラッチ20Rに供給されるようになっている。
【0052】図4,図17に示すように、前記モード切換え弁V2 は、サイドカバー33の上部に前後方向に摺動自在に装着したスプール66を、支軸67を介して外部から揺動される操作アーム68で接当押圧して、バネ69に抗して摺動操作するよう構成されており、支軸67の外端に装着したレバー70に前記ソレノイドSL2 が連動連結されている。
【0053】この構成によると、ソレノイドSL2 が非通電状態にある時には、スプール66は図17に示す位置にあり、シーケンス弁V3 の下手側の油路eはクラッチCに到る油路cに連通されている。そして、ソレノイドSL2 が通電駆動されて引き作動すると、レバー70が図17中反時計方向に揺動され、スプール66がバネ69に抗して切換えられ、前記油路eが制動機構Bに到る油路fに連通されるようになっている。
【0054】図17中に示すように、前記可変リリーフ弁V4 は、サイドカバー33の上部に前後方向に移動可能に組み込まれたポペット71と、このポペット71を弁座72に付勢押圧して、前記油路eのドレン流路Dへの連通を遮断するバネ73と、このバネ73の後端を支持するバネ受け部材74とからなり、このバネ受け部材74を、前記支軸67に外嵌装着した筒状の支軸75を介して外部から揺動される操作アーム76で接当押圧して摺動変位させることで、リリーフ圧を調節することが可能に構成されており、支軸75の外端に装着したレバー77に前記レリーズワイヤ50のインナーワイヤ50bが連動連結されている。また、前記レバー77は、操作アーム76をバネ受け部材74から離反させる方向にねじりバネ78によって揺動付勢されており、図に示すように、付勢揺動限界では操作アーム76がサイドカバー33の内面に接当し、この時の可変リリーフ弁V4 のリリーフ圧はほぼ零となっている。そして、前述のように、ステアリングレバー42が左右に揺動されてレリーズワイヤ50のインナーワイヤ50bが引き操作されると、操作アーム76が図17中、反時計方向に揺動操作されてバネ受け部材74が押し込み変位され、ステアリングレバー42の揺動量が大きくなってワイヤ引き量が大きくなるに連れて、可変リリーフ弁V4 のリリーフ圧が次第に高くなるようになっている。
【0055】なお、十字操作可能な前記ステアリングレバー42の前後揺動によって、前記刈取り前処理部3の昇降が行われるようになっている。すなわち、図12,図13に示すように、前記横向き支点yの延長線上の左右には、ステアリングレバー42の前後揺動を検出するポテンショメータあるいはスイッチなどからなるセンサ81と、ステアリングレバー42を前後揺動方向の中立nに付勢するねじりバネ82が配備されており、ステアリングレバー42が中立nより前方へ揺動されたことがセンサ81で検出されると、前記刈取り前処理部3を下降作動させ、後方へ揺動されたことがセンサ81で検出されると、前記刈取り前処理部3を上昇作動させるように、センサ81と刈取り前処理部3の図示しない駆動昇降機構とが連係されている。
【0056】また、図2中の83は、前記第3軸13の端部に作用するよう配備された、停止および駐車用のブレーキであり、操縦部7の足元に備えられたペダル84の踏み込み操作によって、エンジン6から静油圧式無段変速装置8への伝動系に配備された図示しない主クラッチが切り操作されるとともに、前記ブレーキ83が制動操作される。また、ペダル84を踏み込み位置に係止保持しておくことで、駐車ブレーキをかけることができるようになっている。
【0057】本発明に係る操向装置は以上のように構成されており、以下、その操向作動について説明する。
【0058】前記ステアリングレバー42が中立nにある時には、サイドクラッチ20L,20Rは共にクラッチ入り状態にあり、左右のクローラ走行装置1L,1Rは等速で駆動され、機体は直進走行する。
【0059】ステアリングレバー42が中立nから左右方向の一方、例えば右方に揺動操作されると、これがポテンショメータ49で検出されてソレノイドSL1 が通電駆動されて、操向切換え弁V1 が右旋回位置に切換えられ、圧油が油路bを介して供給されて、右側のサイドクラッチ20Rが切られる。この場合、ステアリングレバー42が中立nに近い第1操作域Rcにある間は、リリーフ弁V4 のリリーフ圧がシーケンス弁V3 の作動圧以下となっており、このため、サイドクラッチ20Rのサイドクラッチギヤ23Rは、クラッチ切り位置までしか変位されず、右側のクローラ走行装置1Rが遊転状態となり、左側のクローラ走行装置1Lのみの駆動により機体は右方向に緩やかに旋回してゆく。
【0060】ステアリングレバー42が第1操作域Rcを超えて第2操作域Rsにまで操作されると、リーフ弁V4 のリリーフ圧がシーケンス弁V3 の作動圧を超えた大きさとなり、このため、サイドクラッチギヤ23Rは、クラッチ切り位置を超えて大きく変位し、図4中に示すように、操向用サイドギヤ25Rに咬合される。この場合、ステアリングレバー42が第2操作域Rsに在る間は、ソレノイドSL2 は非通電状態にあって、シーケンス弁V3 を経た圧油はクラッチCに供給可能な状態にあり、かつ、このクラッチCに印加される油圧は、リリーフ弁V4 によって制限されている。従って、第2操作域Rs内のステアリングレバー42が中立n側に近いほどクラッチCに印加される油圧は低く、クラッチCを介して伝達されるトルクは小さく、右側のクローラ走行装置1Rは左側のクローラ走行装置1Lより低速でかつ小さいトルクで駆動される。そして、第2操作域Rs内のステアリングレバー42が中立nから離れるほどクラッチCに印加される油圧は高くなり、クラッチCを介して右側のクローラ走行装置1Rに伝達されるトルクは次第に大きくなり、ついにはクラッチCは完全に繋がって、右側のクローラ走行装置1Rは所定の比率で減速された低速状態で駆動され、左右クローラ走行1R,1Lの駆動速度差に基づいて機体は右方向に緩やかに旋回してゆく。
【0061】ステアリングレバー42が第2操作域Rsを超えて第3操作域Rbにまで操作されると、これがポテンショメータ49で検出されてソレノイドSL2 が通電駆動されて、モード切換え弁V2 が切換えられ、油路eが油路fにつながって圧油が制動機構Bに供給されるとともに、油路cがドレン流路Dに連通されてクラッチCが切られる。この場合、ステアリングレバー42が大きく操作されていることで、前記リリーフ圧が既に高くなっているので、制動機構Bによって第5軸26は制動され、第5軸26に連動連結されている右側のクローラ走行装置1Rは制動停止された状態で、左側のクローラ走行装置1Lのみが駆動され、機体は右方向に急旋回(信地旋回)する。
【0062】なお、言うまでもないが、ステアリングレバー42が左旋回方向に操作される場合も上記と同様に、第1操作域Lcでは、左側のサイドクラッチ20Lのみを切っての緩やかな左旋回が行われ、第2操作域Lsでは、クラッチCを入り操作して左側のクローラ走行装置1Lを減速駆動しての左旋回が行われ、また、第3操作域Lbでは、左側のクローラ走行装置1Lを制動しての左方への急旋回が行われる。
【0063】ここで、図12に示すように、前記第1操作域Lc,Rc、第2操作域Ls,Rs、および、第3操作域Lb,Rbの大きさは、旋回内側のサイドクラッチを切って旋回外側のクローラ走行装置の推力のみで旋回する第1操作域Lc,Rcが最も小さく、旋回内側のクローラ走行装置を制動停止させて旋回外側のクローラ走行装置の推力のみで旋回する第3操作域Lb,Rbが次に小さく、減速駆動する旋回内側のクローラ走行装置と減速しない旋回外側のクローラ走行装置で旋回する最も操作頻度の高い第2操作域Ls,Rsが最も大きく設定されている。
【0064】本発明は、以下のような形態で実施することも可能である。
【0065】(1)図18に示すように、ステアリングレバー42が第3操作域Lb,Rbにある時に作用して、ステアリングレバー42の操作に抵抗を付与する手段として、ステアリングレバー42によって圧縮操作されるバネ85を配備し、操作抵抗が増加することから第3操作域Lb,Rbにあることを認識させるように構成すれば、不用意に第3操作域Lb,Rbに操作してしまうことを回避することが容易となる。
【0066】(2)図19に示すように、ステアリングハンドル42aの回動によって前記ステアリングレバー42bを揺動操作するよにして、ステアリング操作具42を回転操作式に構成して実施することもできる。
【0067】




 

 


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