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発明の名称 作業車
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−151142(P2001−151142A)
公開日 平成13年6月5日(2001.6.5)
出願番号 特願2000−274442(P2000−274442)
出願日 平成4年6月30日(1992.6.30)
代理人 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
発明者 平田 和夫 / 北野 豊
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 前輪(1)と後輪(2)とが略同じ速度で駆動されるように動力を前輪(1)に伝達する標準状態、及び前輪(1)が後輪(2)よりも高速で駆動されるように動力を前輪(1)に伝達する増速状態に切換操作自在な前輪変速装置(6)と、左右一対の後輪(2)のうちの選択された一方を制動可能な左右一対のサイドブレーキ(11R),(11L)と、前記サイドブレーキ(11R),(11L)を後輪(2)が略停止する停止状態まで制動側に操作可能な左右一対のサイドブレーキペダル(12R),(12L)と、前輪(1)が直進位置から右又は左に操向操作されると、この操向操作に連動して、前記前輪変速装置(6)を増速状態に切換操作する制御弁(16)と、前輪(1)が直進位置から右又は左に操向操作されると、この操向操作に連動して、前記旋回中心側のサイドブレーキ(11R),(11L)を制動側に操作する制御弁(16)を一つで構成すると共に、前輪(1)の直進位置から右又は左への操向操作に連動して前記前輪変速装置(6)が増速状態に切換操作される作動状態、及び切換操作されない停止状態にする切換弁(24)と、前輪(1)の直進位置から右又は左への操向操作に連動して前記旋回中心側のサイドブレーキ(11R),(11L)が制動側に操作される際の操作行程終端での最大制動力を、後輪(2)が略停止する停止状態とはならない弱制動状態に切換操作される作動状態及び切換操作されない停止状態にする切換弁を一つで構成して、該切換弁(24)を切換具(3)の人為操作ならびに変速操作に伴って切換操作されるようにした作業車。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農用トラクタや乗用型田植機等のような四輪型式の作業車における旋回操作構造に関する。
【0002】
【従来の技術】四輪型式の作業車の一例である農用トラクタにおいては、左右の後輪の各々を独立に制動操作可能な左右一対のサイドブレーキを備えているものがあり、操縦部に備えられた左右一対のサイドブレーキペダルの一方を踏み操作することにより、一方のサイドブレーキを制動側に操作する。これによって、旋回時に旋回中心側の後輪に制動を掛けることにより、制動側の後輪を中心とした小回り旋回が可能になる。近年においては前輪の操向操作とサイドブレーキとを連係させることにより、操縦ハンドルの操作で前輪を直進位置から設定角度以上に操向操作すると、これに連動してサイドブレーキペダルを踏み操作しなくても、自動的に旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されるように構成しているものがあり、小回り旋回時の操作性を向上させているものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】旋回時において、旋回中心側の後輪に制動を掛けると小回り旋回が可能になるが旋回半径がかなり小さくなるので、高速で走行している状態での旋回時に旋回中心側の後輪に制動が掛かると、急激に小回り旋回するような状態となる。従って、高速での走行時には、旋回時に旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されない状態に事前に切換操作しておく必要がある。
【0004】しかしながら、高速走行時に作業者が前述の切換操作を忘れてそのままの状態で旋回してしまうと、急激に小回り旋回するような状態となってしまうので、例えば図10に示すような構成が提案されている。この構造では走行用として第1変速装置と第2変速装置の2組の変速装置を装備しており、横軸芯P4,P5周りに揺動自在に支持された第1及び第2操作部材41,42が、第1及び第2変速装置用の変速レバー(図示せず)と連係ロッド43,44より連動連結されている。そして、第2操作部材42にト字状の長孔42aが開孔されており、第1操作部材41に連結される連係ロッド43の先端43aが第2操作部材42の長孔42aに挿入されている。そして、横軸芯P6周りに第3操作部材45が揺動自在に支持されており、サイドブレーキを自動操作する操作手段と第3操作部材45とがワイヤ46を介して連係され、第3操作部材45のピン45aが第1操作部材41の長孔41aに挿入されている。
【0005】図10に示す状態は変速レバーにより第1及び第2変速装置を中立位置に操作している状態であり、第3操作部材45がサイドブレーキ用の操作手段の作動側に位置している状態である。この状態から第1変速装置を高速側に操作すると、図10に示す状態から連係ロッド43が紙面上下方向に移動して、その先端43aが位置C3又はC2に達する。このようにして、連係ロッド43により第1操作部材41が揺動操作されると、第3操作部材45のピン45aが第1操作部材41の長孔41a内を移動して、長孔41a内の位置E3又はE2に達する。これにより、第3操作部材45が紙面時計方向に揺動操作されて、ワイヤ46によりサイドブレーキ用の操作手段が停止側に操作される。従って、旋回時に前述のような自動的なサイドブレーキの制動側への操作は行われない。
【0006】次に図10に示す状態から第1変速装置を低速側に操作すると(第2変速装置は中立位置)、図10に示す状態から連係ロッド43が下方に大きく移動して、その先端43aが位置C1に達する。このようにして、連係ロッド43により第1操作部材41が大きく揺動操作されると、第3操作部材45のピン45aが第1操作部材41の長孔41a内を移動して、長孔41a内の位置E1に達する。これにより、第3操作部材45が図10に示す位置に戻し操作されて、ワイヤ46によりサイドブレーキ用の操作手段が作動側に操作される。従って、旋回時に前述のような自動的なサイドブレーキの制動側への操作が行われる。
【0007】次に、図10に示す状態から第2変速装置を低速側(第1変速装置は中立位置)に操作すると、連係ロッド43の先端43aがそのまま残されて、連係ロッド44により第2操作部材42が紙面反時計方向に揺動操作されて、連係ロッド43の先端43aが位置Dに達する。これにより、第3操作部材45を操作手段の作動側に残した状態で、第2変速装置を低速側に操作して動力伝達を行うのであり、この状態から第2変速装置を図10に示す中立位置に戻し操作すると、動力伝達が行われないのである。以上のように図10に示す構成では、走行用として第1変速装置と第2変速装置の2組の変速装置を装備している場合において、一方が低速側に操作されるとサイドブレーキ用の操作手段が作動側に操作されるように構成しており、第1及び第2変速装置の変速操作とサイドブレーキ用の操作手段を機械的に連係させている。
【0008】この構成においては、低速走行時にのみサイドブレーキ用の操作手段が作動側に操作されるので安全性の面では有効な構成であるが、図10に示すように変速操作に伴って第3操作部材45のピン45aが第1操作部材41の長孔41a内を摺動していく構成となっている。この場合、ピン45aと長孔41aとの接触部分は長孔41aの両内面の2箇所のみなので、ピン45aが長孔41a内で傾き易くコジレ現象が発生し易い。このようにピン45aと長孔41aとの間にコジレ現象が生じると、ピン45aが長孔41a内を円滑に移動することができなくなるので、この移動時に生じる抵抗により変速操作が重くなってしまう場合がある。又、前述の長孔41aの内面は大きく開放されているので、この長孔41aの内面にゴミ等が付着し易い。従って、長孔41aの内面にゴミ等が付着すると、ピン45aが長孔41a内を移動する際に、ピン45aと長孔41aの内面との間にゴミ等が噛み込まれ易く、この噛み込みによる抵抗により変速操作が重くなってしまう場合がある。本発明は、旋回時に旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作されるように構成した作業車において操作性及び安全性を向上させると同時に、2組の変速装置を装備した場合、前述のように変速操作が重くならないように構成することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のような作業車の旋回操作構造において、次のように構成することにある。つまり、左右一対の後輪のうちの選択された一方を制動可能な左右一対のサイドブレーキと、直進位置からの前輪の左右の操向角度を検出する操向角度検出手段と、前輪が直進位置から左右一方に設定角度以上に操向操作されるとこの操向操作に連動して、サイドブレーキのうちの旋回中心側を制動側に操作する操作手段と、操作手段の作動を許す作動状態と作動を停止させる停止状態とに切換操作自在な牽制手段とを備えると共に、走行用の第1変速装置の変速操作に伴って揺動操作される第1操作部材と、走行用の第2変速装置の変速操作に伴って揺動操作される第2操作部材とを備え、第1及び第2操作部材のうちの一方の揺動端にレリーズワイヤのインナーを接続して、このインナーの他端を牽制手段に接続し、第1及び第2操作部材のうちの他方の揺動端にレリーズワイヤのアウターを接続して、第1及び第2変速装置のうちの少なくとも一方が低速側に操作されていると、レリーズワイヤのインナーが牽制手段の作動状態側に押し引き操作され、第1及び第2変速装置の両方が高速側に操作されていると、レリーズワイヤのインナーが牽制手段の停止状態側に押し引き操作されるように、第1及び第2操作部材、レリーズワイヤを配置している。
【0010】
【作用】前述の構成を、例えば図3〜6に示すように具体的に構成したとする。この場合、図3に示すように第2操作部材32(第2変速装置側)を高速側に操作している状態において、第1操作部材26(第1変速装置側)を低速側(F1の位置)に操作していると、レリーズワイヤ33のインナー33aは、第1及び第2操作部材26,32側には引き操作されていない。逆に、図6に示すように、第1操作部材26を高速側(Nの位置)に操作している状態において、第2操作部材32を低速側(Cの位置)に操作していると、レリーズワイヤ33のインナー33aは、アウター33bの戻し作用により前述と同様に、第1及び第2操作部材26,32側には引き操作されていない。この場合、牽制手段が停止状態側に操作されるので、図3及び図6に示す状態において前輪を設定角度以上に操向操作すると、操作手段により旋回中心側のサイドブレーキが自動的に制動側に操作される。
【0011】そして、図4及び図5に示すように第2操作部材32を高速側に操作している状態において、第1操作部材26を高速側(F2,F3の位置)に操作していると、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第1及び第2操作部材26,32側に引き操作される。この場合、牽制手段が作動状態側に操作されるので、前述の状態において前輪を設定角度以上に操向操作しても、旋回中心側のサイドブレーキは制動側に操作されない。
【0012】以上のように、低速での走行状態から第1及び第2変速装置の一方を高速側に操作して高速走行に移行したとする。このようにすると、この高速側への操作に連動し自動的に牽制手段が作動して、前述の操作手段の作動が停止する。走行用の変速装置の高速側への操作は、低速走行状態から高速走行状態に移行する場合に必ず行われるので、高速走行時において旋回中心側のサイドブレーキが制動側に操作されない状態に切換操作することが忘れられることはない。そして、従来の構造では高速側への操作及び前述の切換操作の両操作を別々に行っていたが、本発明ではこの両操作が一つの操作で行えることになる。
【0013】そして、第1及び第2変速装置の変速操作に伴って牽制手段の切換操作を行う場合、本発明では第1及び第2操作部材の揺動、レリーズワイヤのインナーの押し引き操作で行っており、図10に示す構成のようにピン45aが長孔41a内を移動して第3操作部材45を揺動させるような構成は採用していない。このような揺動構造(ピン及びボスによるピン支持構造)の場合、ボスの内面の略全周に亘ってピンが接触し支持されているので、長孔内をピンが摺動する構造よりもピンがボス内で傾くようなことは少なく、これに伴うコジレ現象の発生も少ない。又、レリーズワイヤにおいても同様にコジレ現象の発生は少ない。従って、本発明の構造の方が変速操作に伴う牽制手段の切換操作が、コジレ現象少なく円滑に行われる。又、本発明の揺動構造のボスの内面は特に外方に開放されていないので、ボスの内面にゴミ等が入り込むようなことは少ない。そして、レリーズワイヤにおいても同様に、アウター内にゴミ等が入り込むようなことは少ない。従って、従来の構造よりも本発明の方がゴミ等の噛み込みは少なく、この噛み込みによる抵抗の発生も少ない。
【0014】
【発明の効果】以上のように高速側への変速操作に連動して、旋回中心側の後輪のサイドブレーキが制動側に操作されない状態に同時に切換操作(牽制手段の切換操作)されるように構成することができて、高速側に移行する際の必要操作を少なくし操作性を向上させることができた。そして、牽制手段の切換操作もコジレ現象及びゴミ等の噛み込み現象なく軽く行えるので、高速側への変速操作が重くなることはない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は作業車の一例である四輪駆動型の農用トラクタの概略を示しており、前輪1及び後輪2で支持された機体の前部にエンジン(図示せず)、後部にミッションケース4を備えて農用トラクタが構成されている。エンジンの動力は、ミッションケース4内の主変速装置(多段のギヤ変速型式)(図示せず)から、第1副変速装置(高中低3段のギヤ変速型式)(第1変速装置に相当)(図示せず)、又は第2副変速装置(中立及び超低速の2段のギヤ変速型式)(第2変速装置に相当)(図示せず)を介して、後輪デフ機構5から左右の後輪2に伝達される。そして、後輪デフ機構5の直前から分岐した動力が前輪変速装置6、前輪出力軸7及び前輪デフ機構8を介して左右の前輪1に伝達される。
【0016】図1に示す前輪変速装置6は、前輪1が後輪2と略同じ速度で駆動される状態で伝動する標準状態と、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される状態で伝動する増速状態の2状態に切換操作可能である。図1に示すように、2状態切換操作用のシフト部材9がバネ10によって標準ギヤ20との咬合側に付勢されており、通常はシフト部材9が標準ギヤ20に咬合して標準状態となっている。そして、シフト部材9と標準ギヤ20との間に形成されている油室(図示せず)内に作動油を供給すると、シフト部材9が紙面左方にスライドし摩擦クラッチ21を押圧入り操作して増速状態が得られる。
【0017】図1に示すように左右の後輪2に対して、各後輪2を各々独立に制動可能なサイドブレーキ11R,11Lが設けられている。図1及び図9に示すように、操縦部の床面の右側にサイドブレーキペダル12R,12Lが左右一対配置されており、この左右のサイドブレーキペダル12R,12Lとサイドブレーキ11R,11Lとが、シリンダ13R,13L及び連係ロッド14を介して連動連結されている。
【0018】以上の構造により、左右のサイドブレーキペダル12R,12Lを踏み操作することによって、左右のサイドブレーキ11R,11Lを各々独立に制動側に操作することができる。そして、図9に示すようにシリンダ13R,13Lはバネ13aで伸長側に付勢されており、作動油を供給してシリンダ13R,13Lを収縮操作することにより、左右のサイドブレーキ11R,11Lを制動側に操作することができる。
【0019】次に、前輪1の操向操作と左右のサイドブレーキ11R,11L及び前輪変速装置6との連係について説明する。図1及び図2に示すように、ポンプ15からの作動油が切換弁24(牽制手段に相当)、油路28及び制御弁16(操作手段に相当)を介して、左右のサイドブレーキ11R,11L及び前輪変速装置6に供給されている。制御弁16は、前輪変速装置6におけるシフト部材9と標準ギヤ20との間の油室、及び左右のサイドブレーキペダル12R,12Lのシリンダ13R,13Lを排油状態とする直進位置16N、ポンプ15からの作動油を前輪変速装置6の油室及び右側のシリンダ13Rに供給し、左側のシリンダ13Lを排油状態とする右旋回位置16R、並びに、作動油を前輪変速装置6の油室及び左側のシリンダ13Lに供給し、右側のシリンダ13Rを排油状態とする左旋回位置16Lの3位置切換式である。
【0020】図1に示すように前輪1の操向操作用のピットマンアーム17に、扇型のカム板18(操向角度検出手段に相当)が固定されており、制御弁16のスプール16aがカム板18に接当し、スプール16aを接当側に付勢するバネ16bが備えられている。図1に示す状態は前輪1を直進位置に操作している状態であり、制御弁16が直進位置16Nに操作されている状態である。この状態で左右のサイドブレーキ11R,11Lが非制動状態となり、前輪変速装置6のシフト部材9が標準ギヤ20に咬合して、前輪1が後輪2と略同じ速度で駆動される標準状態となっている。
【0021】図1に示す状態から前輪1を右側に設定角度以上に操向操作すると、カム板18により制御弁16のスプール16aが紙面右方に押し操作されて、右旋回位置16Rとなり、作動油が右のシリンダ13R及び前輪変速装置6に供給される。従って、前輪変速装置6の摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態になると共に、右のシリンダ13Rが収縮して右のサイドブレーキ11Rが制動側に操作される。
【0022】逆に、図1に示す状態から前輪1を左側に設定角度以上に操向操作すると、制御弁16のスプール16aが紙面左方に移動し左旋回位置16Lとなり、作動油が左のシリンダ13L及び前輪変速装置6に供給される。従って、前輪変速装置6の摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態になると共に、左のシリンダ13Lが収縮して左のサイドブレーキ11Lが制動側に操作される。
【0023】この農用トラクタにおいては切換レバー3によって、前述のような自動的なサイドブレーキ11R,11Lの制動側への操作及び、前輪変速装置6の増速状態側への操作が行われる状態と、行われない状態に切換操作するように構成しており、次にこの切換構造について説明する。図2及び図1に示すように、油路28に調圧弁19(牽制手段に相当)が接続されており、この調圧弁19は弁体19a、この弁体19aを閉側に付勢するバネ19b及びバネ19bの後端を支持する支持部材19cとで構成されている。これにより、油路28内の圧力がバネ19bにより設定される圧力を越えると、弁体19aが紙面右方に開いて作動油がドレン油路38を介して排出されるのであり、制御弁16に供給される作動油圧が調圧弁19のバネ19bの付勢力、つまり、バネ19bの支持部材19cの位置により決定される。
【0024】図2に示すように、切換弁24のスプール29は、一対の切欠き部29a,29b及びドレン孔29c備えた第1ランド部29A、並びに、第1円弧面29dと第2円弧面29eとを備えた第2ランド部29Bを備えて構成されており、調圧弁19の支持部材19cの後端が第1円弧面29dに当て付けられて、支持部材19cの位置が決められている。切換弁24のスプール29の先端に操作板30が固定されており、切換レバー3と操作板30とが連係ロッド22により連動連結されている。
【0025】図1に示す状態は、切換レバー3を第1位置B1に操作している状態である。この状態においてポンプ15からの作動油は切換弁24のスプール29における第1切欠き部29a、及び油路28を介して制御弁16に供給されている。そして、調圧弁19の支持部材19cがスプール29の第1円弧面29dにより紙面左方に押された状態となっており、調圧弁19のバネ19bが圧縮されて調圧弁19の作用により、制御弁16に供給される作動油圧が後述する第2設定圧P2に維持されている。
【0026】図7に示すように、前輪変速装置6は比較的低い第1設定圧P1で標準状態から増速状態に切換操作されるが、この第1設定圧P1ではサイドブレーキ11R,11Lは制動側に操作されない。そして、第1設定圧P1より高い第2設定圧P2において、サイドブレーキ11R,11Lが弱制動状態となり、前輪変速装置6も標準状態から増速状態に切換操作される。このサイドブレーキ11R,11Lの弱制動状態とは、制動側の後輪2が機体の進行に伴って引きずられるような状態となった場合、この引きずり作用がサイドブレーキ11R,11Lに打ち勝って制動側の後輪2が回転させられるような状態である。
【0027】図2及び図1に示すように切換レバー3を第1位置B1に操作している状態において、前述のように前輪1を右又は左側に設定角度以上に操向操作すると、カム板18により制御弁16のスプール16aがスライド操作されて、作動油が右又は左のシリンダ13R,13Lに供給されると共に、前輪変速装置6に供給される。
【0028】この場合、前述のように供給される作動油圧が調圧弁19の作用により第2設定圧P2に維持されている。従って、図7の実線A2に示すように前輪変速装置6の摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態になると共に、右又は左のシリンダ13R,13Lが収縮して右又は左のサイドブレーキ11R,11Lが弱制動状態に操作される。これにより、増速された前輪1による旋回方向への引っ張り作用、及び、旋回中心側の後輪2に対する制動作用により、非常に小さな小回り旋回が行える。この場合、機体の旋回に伴って制動側の後輪2が引きずられるような状態となると、この制動側の後輪2が回転させられるので、制動側の後輪2により地面が荒らされることが少ない。
【0029】次に、切換レバー3を第2位置B2に操作すると、切換弁24のスプール29が、図2に示す状態から紙面時計方向に所定角度だけ回動操作される。この場合スプール29の第1円弧面29dにおいて、調圧弁19の支持部材19cに接触する部分が紙面右方に少し後退する。そして、これに伴い支持部材19cも紙面右方にスライドしてバネ19bの付勢力が少し弱められ、制御弁16に供給される作動油圧が第2設定圧P2よりも低い第1設定圧P1に維持される。
【0030】従って、この状態において、前輪1を右又は左側に設定角度以上に操向操作して、作動油が右又は左のシリンダ13R,13L及び前輪変速装置6に供給された場合、図7の一点鎖線A1に示すように、前輪変速装置6の摩擦クラッチ21が入り操作されて、前輪1が後輪2よりも高速で駆動される増速状態が現出される。これに対し、右又は左のシリンダ13R,13Lは収縮せず、右又は左のサイドブレーキ11R,11Lは制動側に操作されない。これによって、増速された前輪1による旋回方向への引っ張り作用のみにより、円滑な小回り旋回が行える。この場合、左右の後輪2も駆動されているので旋回中心側の後輪2が引きずられるようなことがなく、旋回中心側の後輪2で地面を荒らしてしまうようなことがない。
【0031】次に図2に示すように、切換レバー3を第3位置B3に操作すると、切換弁24のスプール29が、図2に示す状態から紙面時計方向にさらに所定角度だけ回動操作される。この場合、スプール29における第1ランド部29Aのドレン孔29cが、ドレン油路39に連通する。これによって、ポンプ15からの作動油が第1ランド部29Aのドレン孔29c、及びドレン油路39を介して排出される。
【0032】従って、この状態において前輪1を右又は左側に設定角度以上に操向操作しても、図7の二点鎖線A4に示すように、右又は左のシリンダ13R,13L及び前輪変速装置6には作動油は供給されない。これにより、旋回時に前輪変速装置6は標準状態を維持し、右又は左のサイドブレーキ11R,11Lも制動側に操作されることはなく、前輪1及び後輪2の四輪が略同じ速度で駆動された状態で旋回が行われる。
【0033】この農用トラクタにおいては、高速走行での旋回時には前述のような自動的なサイドブレーキ11R,11Lの制動側への操作、及び、前輪変速装置6の増速状態側への操作が行われないように構成しており、次にこの構造について説明する。図3に示すように、ミッションケース4の横側面に第1副変速装置用の操作軸23、及び第2副変速装置用の操作軸25が突出しており、この操作軸23,25に、逆L字状の第1操作部材26及び操作板27が固定されている。そして、第1及び第2副変速装置用の副変速レバー(図示せず)と第1操作部材26及び操作板27とが、連係ロッド28,31より連動連結されている。操作板27にト字状の長孔27aが開孔されており、第1操作部材26に連結される連係ロッド28の先端28aが操作板27の長孔27aに挿入されている。
【0034】ミッションケース4の横軸芯P1周りに、へ字状の第2操作部材32が揺動自在に支持されており、第2操作部材32の下端が操作板27にピン連結されている。第1操作部材23の上端にブラケット34が横軸芯P2周りに自由揺動自在に支持されており、レリーズワイヤ33におけるインナー33aがこのブラケット34に接続されている。このレリーズワイヤ33におけるアウター33bの端部が、第2操作部材32の上端の横軸芯P3周りに自由揺動自在に支持されている。そして、図3及び図2に示すように、レリーズワイヤ33におけるインナー33aの他端が、切換弁24用の操作板30に接続されている。
【0035】副変速レバーにより変速操作される第1及び第2副変速装置は伝動系に対して並列関係で配置されており、一方がある変速位置に操作されていると他方は中立位置にある。図3に示す状態は、副変速レバーを低速位置(第1副変速装置が低速位置で第2副変速装置が中立位置)に操作している状態であり、第1操作部材26が低速位置F1に位置している。この状態において、レリーズワイヤ33のインナー33aは、第1及び第2操作部材26,32側には引き操作されていない。
【0036】これにより、図2に示すように切換レバー3を第1位置B1に操作可能となって、旋回時に前述のような自動的なサイドブレーキ11R,11Lの制動側への操作、及び、前輪変速装置6の増速状態側への操作が行われる。そして、切換レバー3を第2及び第3位置B2,B3に操作することも可能であり、旋回時に前輪変速装置6の増速状態側への操作のみが行われる状態、旋回時に自動的なサイドブレーキ11R,11Lの制動側への操作、及び前輪変速装置6の増速状態側への操作の両方が行われない状態を選択できる。以上のように、副変速レバーを低速位置に操作している状態においては、切換レバー3を第1,2,3位置B1,B2,B3に操作して3状態を選択できるのである(図8参照)。
【0037】次に図4に示すように、副変速レバーを中速位置(第1副変速装置が中速位置で第2副変速装置が中立位置)に操作すると、第1操作部材26が紙面時計方向に揺動操作されて中速位置F2に達する。この状態において、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第1及び第2操作部材26,32側に少し引き操作される。これにより、切換弁24の操作板30が図2に示す状態から紙面時計方向に所定角度だけ回動操作される。
【0038】この状態において、切換レバー3を図2にような第1位置B1に操作することは不可能になり、切換レバー3を第2及び第3位置B2,B3に操作することは可能になる。そして、切換レバー3を第1位置B1に操作している状態で、副変速レバーを低速位置から中速位置に操作すると、インナー33aの引き作用により切換レバー3が第1位置B1から第2位置B2に切換操作される。以上のように、副変速レバーを中速位置に操作している状態においては、切換レバー3を第2,3位置B2,B3に操作して2状態を選択できるのである(図8参照)。
【0039】次に図5に示すように、副変速レバーを高速位置(第1副変速装置が高速位置で第2副変速装置が中立位置)に操作すると、第1操作部材26が紙面時計方向に揺動操作されて高速位置F3に達する。この状態において、レリーズワイヤ33のインナー33aが、第1及び第2操作部材26,32側に大きく引き操作される。これにより、図2の切換弁24の操作板30が紙面時計方向に大きく回動操作される。
【0040】この状態において、切換レバー3を第1及び第2位置B1,B2に操作することは不可能となり、切換レバー3を第3位置B3にしか操作できない。そして、切換レバー3を第1及び第2位置B1,B2に操作している状態で、副変速レバーを低速及び中速位置から高速位置に操作すると、インナー33aの引き作用により切換レバー3が第1及び第2位置B1,B2から第3位置B3に切換操作される。以上のように、副変速レバーを高速位置に操作している状態においては、切換レバー3を第3位置B3にしか操作できない(図8参照)。
【0041】次に、副変速レバーを超低速位置に操作すれば、図6に示すように第1操作部材26が中立位置Nに操作され、操作板27により第2操作部材32が図3に示す状態から図6の超低速位置Cに操作される。この場合、第1操作部材26の動作によりレリーズワイヤ33のインナー33aが第1操作部材26側に引き操作されるが、これに伴って、アウター33b側の第2操作部材32も同方向に揺動操作されるので、実際にはインナー33aが第1操作部材26側に引き操作された状態とはならない。これによって、副変速レバーを低速位置に操作した場合と同様に、切換レバー3を第1,2,3位置B1,B2,B3に操作して3状態を選択できるのである(図8参照)。
【0042】図2に示す切換弁24のスプール29を引き抜いて180度回転させ再び挿入すると、スプール29の第2ランド部29Bの第2円弧面29eが、調圧弁19の支持部材19cに接当し、ポンプ15からの作動油が第1ランド部29Aの切欠き部29bを介して制御弁16に供給される。この場合、調圧弁19の支持部材19cは、切換レバー3を第1位置B1に操作している状態において、第2ランド部29Bの第1円弧面29dに接当している状態よりも、紙面左方に押された状態となる。
【0043】これにより、調圧弁19の作用によって制御弁16に供給される作動油圧が、第2設定圧P2よりも高い第3設定圧P3に維持される。図7の実線A3に示すように第3設定圧P3において、サイドブレーキ11R,11Lが強制動状態となり、前輪変速装置6も標準状態から増速状態に切換操作される。このサイドブレーキ11R,11Lの強制動状態とは、制動側の後輪2が機体の進行に関係なく略停止するような状態である。
【0044】従って、この状態において前輪1を設定角度以上に操向操作すれば、増速された前輪1による旋回方向への引っ張り作用、及び、旋回中心側の後輪2に対する強い制動作用により、非常に小さな小回り旋回が行える。そして、この状態から切換レバー3を第2及び第3位置B2,B3に操作すれば、前述と同様に図7の一点鎖線A1及び二点鎖線A4の状態が得られる。
【0045】〔別実施例〕図3に示す実施例ではレリーズワイヤ33のインナー33aを第1操作部材26に接続し、アウター33bを第2操作部材32に接続したが、この関係を逆にしてインナー33aを第2操作部材32に接続し、アウター33bを第1操作部材26に接続してもよい。又、前述の実施例では第1及び第2副変速装置が伝動系に並列に配置されているが、この第1及び第2副変速装置を伝動系に直列に配置してもよい。図1の前輪変速装置6を装備せずに、サイドブレーキ11R,11Lのみを装備した型式の作業車に本発明を適用してもよい。
【0046】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。




 

 


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