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発明の名称 車両用空調装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−150925(P2001−150925A)
公開日 平成13年6月5日(2001.6.5)
出願番号 特願平11−333390
出願日 平成11年11月24日(1999.11.24)
代理人 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴 (外3名)
【テーマコード(参考)】
3L011
【Fターム(参考)】
3L011 BH01 
発明者 片山 康雄 / 観音 立三
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 冷媒流れ方向を切換えて冷房・除湿運転及び暖房運転を行うヒートポンプ式の車両用空調装置であって、導入空気の流路を形成するケーシング内に設置され冷媒流れ方向に応じて冷却機能または加熱機能のいずれかを選択して切換えられる内部熱交換器と、該内部熱交換器の周囲にそれぞれ独立して設けられ前記内部熱交換器をバイパスする第1及び第2の導入空気流路と、前記内部熱交換器の後流側に分岐して設けられた冷風流路及び温風流路と、前記第1及び第2の導入空気流路にそれぞれ設けられた第1及び第2の流路開閉手段と、前記内部熱交換器を通過した導入空気の流路を選択切換する吹出流路切換手段とを具備し、前記内部熱交換器を通過して加熱または冷却された空調空気と前記内部熱交換器を通過しない導入空気とにより温度差を与えた冷風及び温風をそれぞれ前記冷風通路及び前記温風通路に供給するように構成したことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】 前記導入空気の温度が低い場合は、前記内部熱交換器をコンデンサとして運転し、前記導入空気の一部あるいは全部が前記内部熱交換器を通過するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】 前記導入空気の温度が高い場合は、前記内部熱交換器をエバポレータとして運転し、前記導入空気の一部あるいは全部が前記内部熱交換器を通過するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車室内の冷房・除湿及び暖房運転を行うヒートポンプ式の車両用空調装置に係り、特に、バイレベル吹出モードのように吹出温度差のある吹き出しを低コストで実現できるようにした車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車等の車両には、車室内の乗員に快適な車室内環境を提供する車両用空調装置が装備されている。従来の車両用空調装置は、導入した空気の温度調整を行うため、冷却用のエバポレータ及び加熱用のヒータコアというふたつの熱交換器を使用している。一方のエバポレータは、コンプレッサ、コンデンサ、膨張弁等とともに冷凍サイクルを形成しており、エバポレータ内を循環する低温低圧の液冷媒とエバポレータを通過する空気との間の熱交換により冷房・除湿する機能を有している。これに対して、加熱用のヒータコアには温水式ヒータと呼ばれるものが一般的に使用されている。温水式ヒータは、車両走行用エンジンのエンジン冷却水系から高温冷却水の一部を導入し、これを熱源として通過する空気の加熱を行う機能を有している。
【0003】ところで、近年の環境問題に対処するため、車両の走行用エンジンが省エネルギ化されてエンジン冷却水系に排出される排熱量が減少したり、あるいは、電気自動車やハイブリッド車等のように、エンジン冷却水が全くないかあっても限られた条件での使用しかできないものが登場している。このような場合、上述した温水式ヒータでは十分な暖房能力を得られないため、家庭用の空調装置等に広く採用されているヒートポンプ式の車両用空調装置が登場している。
【0004】ここで、従来例としてヒートポンプ式の車両用空調装置を図4に示して簡単に説明する。この車両用空調装置は、大きくは空調ユニット10、冷媒系20及び加熱源系30により構成される。空調ユニット10は、車室外の空気(外気)又は車室内の空気(内気)を導入して所望の温度に空調するとともに、空調目的に応じた吹出口より車室内へ向けて吹き出す機能を有するものである。この空調ユニット10には、ケーシング11の上流側に外気導入口12a及び内気導入口12bが開口し、いずれか一方の導入口を選択して開く内外気切換ダンパ13が設けられている。内外気切換ダンパ13の後流側には、外気又は内気(導入空気)を吸引して後述する各吹出口へ送風するブロワファン14が設置されている。
【0005】そして、ブロワファン14の後流側には、ケーシング11の全断面をカバーするようにユニット内熱交換器(以下内部熱交換器と呼ぶ)15が設置され、さらにその後流側には、ケーシング11の一部断面をカバーする温水式ヒータ16が設置されている。このため、導入空気の全量が内部熱交換器15を通過するのに対して、温水式ヒータ16を通過する導入空気量は、その前面に設けたエアミックスダンパ17の開度によって適宜調整される。これら内部熱交換器15及び温水式ヒータ16の後流側では、ケーシング11にデフロスト吹出口18a、フェイス吹出口18b及びフット吹出口18cがそれぞれ開口し、各吹出口には、設定された吹出モードに応じて開閉操作されるデフロストダンパ19a、フェイスダンパ19b及びフットダンパ19cがそれぞれ設けられている。従って、内部熱交換器15及び温水式ヒータ16を通過して空調された空調空気は、ダンパが開いて開口する吹出口より車室内へ吹き出される。
【0006】続いて、冷媒系20の構成を説明すると、図中の符号21はコンプレッサ、22は四方弁、23は膨張弁、24はユニット外熱交換器(外部熱交換器と呼ぶ)であり、これらの各機器は、上述した内部熱交換器15と冷媒配管25で連結されて、冷凍サイクルを形成している。この冷凍サイクルは、四方弁22の操作で冷媒の流れ方向が変化する。内部熱交換器15をエバポレータとして機能させる冷房・除湿運転時には、コンプレッサ21から送出された冷媒が四方弁22を通過した後、外部熱交換器24→膨張弁23→内部熱交換器15の順に流れ、再度四方弁22を通過してコンプレッサ21に戻される。また、内部熱交換器15をコンデンサとして機能させる暖房運転時には、コンプレッサ21から送出された冷媒が四方弁22を通過した後、冷房・除湿運転時とは逆に内部熱交換器15→膨張弁23→外部熱交換器24の順に流れ、再度四方弁22を通過してコンプレッサ21に戻される。
【0007】最後に加熱源系30を説明する。この加熱源系30は、図示省略のラジエタ及び冷却水ポンプ等で構成されるエンジン冷却水系31から、温水ヒータ16に車両走行用のエンジンを冷却して高温となったエンジン冷却水(温水)の一部を供給するものである。この温水を供給された温水ヒータ16では、通過する空気と温水との間で熱交換して加熱する。
【0008】さて、上述した構成の車両用空調装置においては、通常以下に示す吹出モードから適宜選択して空調運転を実施するようになっている。上述したデフロスタ吹出口18aは、冬季走行前のフロントガラスの霜取り及び雨天走行中のフロントガラスの曇りを除去するために、フロントガラスなどの内面に直接当たるよう温風及び除湿した風を吹き出すものであり、このような空調運転モードは「デフロスタ吹出モード」と呼ばれている。また、フェイス吹出口18bは、主として夏季の冷房運転時に乗員の上半身へ向けて冷風を吹き出すものであり、このような空調運転モードは「フェイス吹出モード」と呼ばれている。そして、フット吹出口18cは、主として冬季の暖房運転時に乗員の足元へ温風を吹き出すものであり、「フット吹出モード」と呼ばれている。なお、主として春や秋の中間期に用いられ、フェイス吹出口18b及びフット吹出口18cの両方から空調された空気を吹き出す「バイレベル吹出モード」と呼ばれる空調運転モードもあり、この場合は、フェイス吹出口18bからの吹出風とフット吹出口18cからの吹出風との間に温度差を設けて、フェイス吹出口18b側を低温とする頭寒足熱とするのが一般的である。また、特に寒冷地の冬季に用いられ、デフロスタ吹出口18a及びフット吹出口18cの両方から空調された空気を吹き出す「フット/デフ吹出モード」と呼ばれる空調運転モードもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したヒートポンプ方式の車両用空調装置では、たとえばフェイス吹出口18bとフット吹出口18cとの間に温度差を設けて吹き出す「バイレベル吹出モード」などを実現するため、冷媒系20に接続された内部熱交換器15及び加熱源系30に接続された温水ヒータ16の二つの熱交換器を空調ユニット10内に備えている。
【0010】すなわち、内部熱交換器15は、冷媒の流れ方向により冷房・除湿運転と暖房運転との切り換えは可能であるものの、導入空気の全量がこの内部熱交換器15を通過するため、ひとつの熱交換器だけでは温度の異なる二つの吹出風を形成することができなかった。このため、フェイス吹出口18bから吹き出す冷風とフット吹出口18cから吹き出す温風というように温度の異なる2種類の吹出風を形成するためには、エアミックスダンパ17の開度を調整して、エバポレータとして機能する内部熱交換器15を通過して冷却された導入空気の一部を温水ヒータ16に導いて加熱する必要があった。この結果、内部熱交換器15で冷却された導入空気は、温水ヒータ16を通過して加熱された温風と温水ヒータ16を通過しない冷風とに分かれるので、一方の冷風をフェイス吹出口18bから、そして他方の温風をフット吹出口18cからそれぞれ吹き出すことで、頭寒足熱というバイレベル吹出モードの空調運転を実現していた。
【0011】このような従来の構成では、熱源となる熱交換器を二つ設けたことで広範囲にわたって吹出風に温度差を設けることが可能となるが、その分コスト高になるという問題を有している。そこで、本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、バイレベル吹出モードのような吹出風に温度差のある空調運転を低コストで実現可能にすることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため以下の手段を採用した。請求項1に記載の車両用空調装置は、冷媒流れ方向を切換えて冷房・除湿運転及び暖房運転を行うヒートポンプ式の車両用空調装置であって、導入空気の流路を形成するケーシング内に設置され冷媒流れ方向に応じて冷却機能または加熱機能のいずれかを選択して切換えられる内部熱交換器と、該内部熱交換器の周囲にそれぞれ独立して設けられ前記内部熱交換器をバイパスする第1及び第2の導入空気流路と、前記内部熱交換器の後流側に分岐して設けられた冷風流路及び温風流路と、前記第1及び第2の導入空気流路にそれぞれ設けられた第1及び第2の流路開閉手段と、前記内部熱交換器を通過した導入空気の流路を選択切換する吹出流路切換手段とを具備し、前記内部熱交換器を通過して加熱または冷却された空調空気と前記内部熱交換器を通過しない導入空気とにより温度差を与えた冷風及び温風をそれぞれ前記冷風通路及び前記温風通路に供給するように構成したことを特徴とするものである。
【0013】そして、前記導入空気の温度が低い場合は、前記内部熱交換器をコンデンサとして運転し、前記導入空気の一部あるいは全部が前記内部熱交換器を通過するようにしたことを特徴し、また、前記導入空気の温度が高い場合は、前記内部熱交換器をエバポレータとして運転し、前記導入空気の一部あるいは全部が前記内部熱交換器を通過するようにしたことを特徴としている。
【0014】このような車両用空調装置によれば、内部熱交換器をバイパスして流れた導入空気の一部と、内部熱交換器を通過させて加熱または冷却された導入空気の残部との間に温度差を生じるので、一台の内部熱交換器を設置するだけで、冷風及び温風のように温度差のある吹出風を形成することができる。すなわち、導入空気の温度が低い時には、前記内部熱交換器がコンデンサ(加熱機能)として機能するので、前記内部熱交換器を通過させて加熱した導入空気の一部または全部が温風となり、前記内部熱交換器をバイパスさせた導入空気の残部が冷風となる。また、導入空気の温度が高い時には、前記内部熱交換器がエバポレータ(冷却機能)として機能するので、前記内部熱交換器を通過させて冷却した導入空気の一部または全部が冷風となり、前記内部熱交換器をバイパスさせた導入空気の残部が温風となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用空調装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明における車両用空調装置の要部構成を示しており、図中の符号10Aは空調ユニット、11はケーシング、15Aは内部熱交換器、20はヒートポンプ方式の冷媒系、21はコンプレッサ、22は四方弁、23は膨張弁、24は外部熱交換器、25は冷媒配管である。このヒートポンプ式の車両用空調装置は、冷媒系20の四方弁22を操作することで冷媒流れ方向を切換え、冷房・除湿運転及び暖房運転を行うことができるものである。
【0016】外気または内気を選択して導入される導入空気の流路を形成しているケーシング11内には、冷凍サイクル内の冷媒流れ方向に応じて、冷却機能を発揮するエバポレータまたは加熱機能を発揮するコンデンサのいずれかを選択して切換えられる内部熱交換器15Aが設置されている。この内部熱交換器15Aは、一般的には図示省略の外気導入口、内気導入口、内外気切り換えダンパ及びブロワファンの後流側に設置され、後述する冷媒系20と冷媒配管25をもって接続されている。
【0017】この内部熱交換器15Aは、ケーシング11が形成する流路断面の一部に相当する大きさを有し、その周囲には、すなわちケーシング11の内面と内部熱交換器15Aの外周面との間には、それぞれが独立した第1及び第2の導入空気流路41,42を設けてある。また、内部熱交換器15Aは、上下左右の周囲面が適当な部材によりシールされており、従って、導入空気は紙面左側から右側へと流れて周囲への漏洩はない。図示の例では、内部熱交換器15Aの上部に第1の導入空気流路(以下、上部流路)41が配設され、下部に第2の導入空気流路(以下、下部流路)42が配設されている。なお、これら第1及び第2の導入空気流路は、内部熱交換器15Aの上下に限定されることはなく、たとえば左右に配設してもよい。
【0018】そして、上部流路41及び下部流路42のそれぞれには、流路開閉手段として第1ダンパ43及び第2ダンパ44が設けられている。これらの第1ダンパ43及び第2ダンパ44は、それぞれが上部流路41及び下部流路42を全閉する位置から全開する位置まで揺動可能である。なお、これら第1ダンパ43及び第2ダンパ44は、図示のように内部熱交換器15Aの上流側端面付近に設置するのが好ましい。
【0019】さらに、内部熱交換器15Aの後流側は、ケーシング11内が冷風流路45と温風流路46とに分岐されている。また、内部熱交換器15Aを通過した導入空気の流路を、上述した冷風流路45及び温風流路46から選択切換する吹出流路切換手段として、吹出流路切換ダンパ47が設けられている。冷風流路45及び温風流路46は、内部熱交換器15Aの後流側を仕切板48により分離して形成しており、同仕切板48の上流側端部には吹出流路切換ダンパ47が揺動可能に取り付けられている。この吹出流路切換ダンパ47は、その上流側先端部が、少なくとも内部熱交換器15Aの上下端部間を揺動することができるようにしてある。一般的には、上部に配設された冷風通路45の下流側には開閉ダンパを備えた図示省略のフェイス吹出口が設けられ、下部に配設された温風流路46の下流側には同じく開閉ダンパを備えた図示省略のフット吹出口が設けられている。なお、開閉ダンパを備えたデフロスト吹出口については、冷風通路45側又は温風通路46側のいずれかあるいは両方に設置可能であり、車両用空調装置の運転方法等を考慮して適宜選択すればよい。
【0020】続いて、内部熱交換器15Aに冷媒を供給する冷媒系20の構成を説明する。この冷媒系20は、冷媒の流れ方向を切り換えて冷房・除湿運転及び暖房運転を実施できるヒートポンプ方式であり、低温低圧のガス冷媒を圧縮して送出するコンプレッサ21と、ガス冷媒の流れ方向を切り換える四方弁22と、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させて低温低圧の液(霧状)冷媒にする膨張弁23と、外部熱交換器24と、上述した内部熱交換器15Aとが冷媒配管25で連結されて閉回路を形成したものである。
【0021】この場合の冷凍サイクルでは、四方弁22の操作で冷媒流れ方向を切り換えることができ、内部熱交換器15Aをエバポレータとして機能させる冷房・除湿運転と、内部熱交換器15Aをコンデンサとして機能させる暖房運転とのうちいずれか一方を選択する。冷房・除湿運転時には、図中に実線矢印で示すように、コンプレッサ21で圧縮された高温高圧のガス冷媒が送出されて四方弁22を通過し、コンデンサとして機能する外部熱交換器24へ送られる。外部熱交換器24では、高温高圧のガス冷媒が外気と熱交換して冷却され、凝縮液化して高温高圧の液冷媒となる。この液冷媒はさらに、膨張弁23へ送られて高温高圧の液状から減圧・膨張させられ、低温低圧の液冷媒となる。こうして低温低圧の液冷媒となった冷媒は、エバポレータとして機能する内部熱交換器15Aに供給され、通過する導入空気と熱交換して冷却する。この結果、内部熱交換器15Aを通過する導入空気は冷却されて冷風となる。この時、低温低圧の液冷媒は気化して低温低圧のガス冷媒となり、再度四方弁22を通過してコンプレッサ21に戻される。以下、冷媒は同様の経路を流れて状態変化を繰り返す。
【0022】暖房運転時には、図中に破線矢印で示すように、コンプレッサ21で圧縮された高温高圧のガス冷媒が送出されて四方弁22を通過し、コンデンサとして機能する内部熱交換器15Aへ送られる。内部熱交換器15Aでは、高温高圧のガス冷媒が導入空気と熱交換して加熱するので、ガス冷媒は凝縮液化して高温高圧の液冷媒となる。この結果、内部熱交換器15Aを通過する導入空気は加熱されて温風となり、一方、高温高圧の液冷媒はさらに、膨張弁23へ送られて高温高圧の液状から減圧・膨張させられ、低温低圧の液冷媒となる。こうして低温低圧の液冷媒となった冷媒は、エバポレータとして機能する外部熱交換器24に供給される。この液冷媒は、通過する外気と熱交換して気化し、低温低圧のガス冷媒となった後、再度四方弁22を通過してコンプレッサ21に戻される。以下、冷媒は同様の経路を流れて状態変化を繰り返す。
【0023】以下、上述した構成の車両用空調装置の作用を空調運転とともに説明する。最初に、主として導入空気の温度が高い場合に実施される冷房運転について説明する。この場合は内部熱交換器15Aがエバポレータとして機能し、外部熱交換器24がコンデンサとして機能する。また、冷媒の流れは図中に実線矢印で示した方向となる。このような冷房運転で、フェイス吹出口より冷風を吹き出す「フェイス吹出モード」の場合、第1ダンパ43及び第2ダンパ44はともに上部流路41及び下部流路42を全閉とする位置(図1の実線表示)にあり、導入空気の全量がエバポレータとして機能する内部熱交換器15Aを通過するようにしてある。また、内部熱交換器15Aの後流側に設けられている吹出流路切換ダンパ47は、その先端部が内部熱交換器15Aの下端部側(図1に破線で表示した符号47a)に位置しており、内部熱交換器15Aを通過して冷却された導入空気、すなわち冷風となった空調空気の全量が仕切板48の上部に設けられた冷風流路45に導かれるようになっている。この結果、十分な量の冷風を冷風流路45に設けられたフェイス吹出口より車室内へ向けて吹き出すことができる。なお、吹出流路切換ダンパ47を図1の中立位置(実線表示位置)に設定すれば、冷風流路45及び温風流路46の両方に冷風を供給し、両流路45,46に設けられた各吹出口から冷風を吹き出すことが可能になる。
【0024】続いて、上述した冷房運転において、フェイス吹出口から冷風を吹き出すとともに、フット吹出口から温風を吹き出す場合の「バイレベル吹出モード」について説明する。この場合、内部熱交換器15Aはエバポレータとして機能し、外部熱交換器24はコンデンサとして機能する。また、冷媒の流れは図中に実線矢印で示した方向となる。さて、この「バイレベル吹出モード」が上述した「フェイス吹出モード」と異なるのは、第2ダンパ44の開閉位置である。この場合、第1ダンパ43、第2ダンパ44及び吹出流路切換ダンパ47の開閉位置は図2に示す通りであり、第2ダンパ44が下部流路42を開き、吹出流路切換ダンパ47は、その先端部が内部熱交換器15Aの下端部側に位置している。この結果、比較的高温の導入空気(通常は外気導入)は、内部熱交換器15Aを通過して冷却されるものと、下部流路42を通過して比較的高温のまま内部熱交換器15Aをバイパスするものとに分流される。そして、内部熱交換器15Aを通過した冷風の全量は仕切板48の上部に設けられた冷風流路45に導かれ、また、下部流路42を通過した比較的高温の導入空気はそのまま温風流路46に導かれる。このように導入空気が比較的高温であるのは、冷房運転を必要とするような温度条件下では通常外気温度が高くなっているためである。
【0025】従って、冷風流路45には内部熱交換器15Aで冷やされた冷風が供給されてフェイス吹出口から冷風を吹き出し、そして、温風流路46には比較的高温の導入空気(外気)がそのまま供給されてフット吹出口から温風を吹き出すというように、温度差のある冷風及び温風を空調ユニット10A内に設けたひとつの熱交換器(熱源)で供給することができる。このため、冷風及び温風をそれぞれ異なる吹出口から同時に吹き出すという「バイレベル吹出モード」のような空調運転を行うにあたり、従来構造においては必要だった加熱源系に接続される温水ヒータ(熱交換器)がなくても実施できるようになるので、これらが減少した分コストを低減することができる。
【0026】また、第1ダンパ43、第2ダンパ44及び吹出流路切換ダンパ47の開閉位置を適宜調整することにより、冷風と温風とを混合させることができるので、ある程度の温度調整も可能である。たとえば、第1ダンパ43が上部流路41をわずかに開くようにすれば、冷風に若干の温風(比較的高温の外気)が混合されるので、冷風の温度を上げることができる。また、吹出流路切換ダンパ47を上方へ移動させると、内部熱交換器15Aを通過した冷風が温風流路46にも分配されるので、温風の温度をある程度下げることもできる。
【0027】次に、主として導入空気の温度が低い場合に実施される暖房運転について説明する。この場合は内部熱交換器15Aがコンデンサとして機能し、外部熱交換器24がエバポレータとして機能する。また、冷媒の流れは図中に破線矢印で示した方向となる。このような暖房運転で、フット吹出口より温風を吹き出す「フット吹出モード」の場合、第1ダンパ43及び第2ダンパ44はともに上部流路41及び下部流路42を全閉とする位置(図1の実線表示)にあり、導入空気の全量がコンデンサとして機能する内部熱交換器15Aを通過するようにしてある。また、内部熱交換器15Aの後流側に設けられている吹出流路切換ダンパ47は、その先端部が内部熱交換器15Aの上端部側(図1に破線で表示した符号47b)に位置しており、内部熱交換器15Aを通過して加熱された導入空気、すなわち温風となった空調空気の全量が仕切板48の下部に設けられた温風流路45に導かれるようになっている。この結果、十分な量の温風を温風流路45に設けられたフット吹出口より車室内の乗員足元へ向けて吹き出すことができる。なお、吹出流路切換ダンパ47を図1の中立位置(実線表示位置)に設定すれば、冷風流路45及び温風流路46の両方に温風を供給し、両流路45,46に設けられた各吹出口から温風を吹き出すことが可能になる。
【0028】続いて、上述した暖房運転において、フェイス吹出口から冷風を吹き出すとともに、フット吹出口から温風を吹き出す場合の「バイレベル吹出モード」について説明する。この場合、内部熱交換器15Aはコンデンサとして機能し、外部熱交換器24はエバポレータとして機能する。また、冷媒の流れは図中に破線矢印で示した方向となる。さて、この「バイレベル吹出モード」が上述した「フェイス吹出モード」と異なるのは、第1ダンパ43の開閉位置である。この場合、第1ダンパ43、第2ダンパ44及び吹出流路切換ダンパ47の開閉位置は図3に示す通りであり、第1ダンパ43が上部流路41を開き、吹出流路切換ダンパ47は、その先端部が内部熱交換器15Aの上端部側に位置している。この結果、比較的低温の導入空気(通常は外気導入)は、内部熱交換器15Aを通過して加熱されるものと、上部流路41を通過して比較的低温のまま内部熱交換器15Aをバイパスするものとに分流される。そして、内部熱交換器15Aを通過した温風の全量は仕切板48の下部に設けられた温風流路46に導かれ、また、上部流路41を通過した比較的低温の導入空気はそのまま冷風流路45に導かれる。このように導入空気が比較的低温であるのは、暖房運転を必要とするような温度条件下では通常外気温度が低くなっているためである。
【0029】従って、温風流路46には内部熱交換器15Aで加熱された温風が供給されてフット吹出口から温風を吹き出し、そして、冷風流路45には比較的低温の導入空気(外気)がそのまま供給されてフェイス吹出口から冷風を吹き出すというように、温度差のある冷風及び温風を空調ユニット10A内に設けたひとつの熱交換器(熱源)で供給することができる。このため、冷風及び温風をそれぞれ異なる吹出口から同時に吹き出すという「バイレベル吹出モード」のような空調運転を行うにあたり、加熱源系に接続される温水ヒータ(熱交換器)がなくても実施できるようになってコストを低減することができる。
【0030】また、第1ダンパ43、第2ダンパ44及び吹出流路切換ダンパ47の開閉位置を適宜調整することにより、冷風と温風とを混合させることができるので、ある程度の温度調整も可能である。たとえば、第2ダンパ44が下部流路42をわずかに開くようにすれば、温風に若干の冷風(比較的低温の外気)が混合されるので、温風の温度を下げることができる。また、吹出流路切換ダンパ47を下方へ移動させると、内部熱交換器15Aを通過した温風が冷風流路46にも分配されるので、冷風の温度をある程度上げることもできる。
【0031】また、たとえば晴天で直射日光が強く車室内が十分に暖かい時などには、導入空気として内気を導入する内気循環モードを選択し、内部熱交換器15Aをエバポレータとして機能させ、冷却により除湿した冷風と内気循環による温風とにより温度差を設けた「バイレベル吹出モード」の空調運転も可能である。
【0032】このように、本発明の車両用空調装置によれば、空調ユニット10A内にひとつの熱交換器を設置することで、外気温度の高い冷房運転時や外気温度の低い暖房運転時において、フェイス吹出口から冷風を吹き出すのと同時にフット吹出口から温風を吹き出すという頭寒足熱を実現する「バイレベル吹出モード」の空調運転を実施できるので、熱交換器がひとつですむようになったことによるコストダウンが可能になる。
【0033】
【発明の効果】上述した本発明の車両用空調装置によれば、空調ユニット内に設置した冷却・加熱の選択切換が可能な1台の熱交換器により、外気温低い場合及び外気温が高い場合のいずれであっても温度差のある冷風及び温風を同時に吹き出す「バイレベル吹出モード」の空調運転を実現できる。このため、熱交換器の台数を従来より1台減らすことができるようになり、車両用空調装置のコスト低減に大きな効果を奏する。




 

 


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