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発明の名称 車両用空調装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−146112(P2001−146112A)
公開日 平成13年5月29日(2001.5.29)
出願番号 特願平11−330627
出願日 平成11年11月19日(1999.11.19)
代理人 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴 (外3名)
発明者 観音 立三 / 東山 登 / 嵐 敬晶 / 足立 知康 / 片山 康雄 / 安井 清登 / 富増 和宏
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 電動モータで駆動されて高温高圧のガス冷媒を送出する圧縮機と、電動の室外熱交ファンで吸引した外気と冷媒との間で熱交換させる室外熱交換器と、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させる膨張機構と、電動の室内熱交ファンで吸引した空調空気と冷媒との間で熱交換させる室内熱交換器と、これらを連結して閉回路を形成する冷媒配管とで一体的に冷媒回路を形成したことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】 前記圧縮機の吸込側及び吐出側と前記室内熱交換器及び前記室外熱交換器との間に四方弁を介在させて接続し、冷媒流れ方向を選択切換可能なヒートポンプ式冷媒回路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】 前記室外熱交ファン及び前記室内熱交ファンに共通の駆動源として両軸の電動モータを備え、該電動モータの両駆動軸に前記室外熱交ファン及び前記室内熱交ファンをそれぞれ取り付けたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】 前記室外熱交ファン及び前記室内熱交ファンがターボファンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項5】 前記室外熱交換器を車体の床下に水平に設置し、かつ、前記室内熱交換器を車体の床上に水平に設置したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項6】 前記圧縮機は、前記電動モータ及び圧縮要素を収容した円筒状のシェルの外部が弾性部材を介して軸防振支持されたことを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
【請求項7】 前記圧縮機は、軸防振支持部が軸方向両側に延びる円筒状の突出部を備え、該突出部を環状の防振ゴムを介して支持してなる横型圧縮機であることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置。
【請求項8】 前記室内熱交換器の上流側に設けられ外気導入口、内気導入口及び内外気切換手段を備えた空気吸込口と、前記室内熱交換器の下流側に設けたダクトと、該ダクトの下流端である運転席部に設けられた吹出装置とを具備して構成したことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項9】 前記ダクトを車室内の床面に沿って配置したことを特徴とする請求項8に記載の車両用空調装置。
【請求項10】 前記ダクトを車室内の天井に沿って配置したことを特徴とする請求項8に記載の車両用空調装置。
【請求項11】 前記ダクトの途中に車室内の乗員各座席に対応させて空調空気吹出口を配置し、各座席毎に前記空調空気吹出口の開閉手段を設けたことを特徴とする請求項9または10に記載の車両用空調装置。
【請求項12】 前記開閉手段に駆動源を設けるとともに、各座席毎に乗員の有無を検出する着座検知手段を設けたことを特徴とする請求項11に記載の車両用空調装置。
【請求項13】 前記ダクトとして中空の車体構成部材を用いたことを特徴とする請求項9または10に記載の車両用空調装置。
【請求項14】 前記冷媒回路が四方弁を具備しない冷房専用回路を形成するとともに、前記吹出装置にエンジン冷却水で加熱するヒータコアを設置したことを特徴とする請求項8ないし13のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項15】 前記ヒータコアを前記室内熱交換器の下流側近傍に配置したことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の車両用空調装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、快適な車室内環境を提供する車両用空調装置に係り、特に、エンジン駆動する発電機を電源にして圧縮機を駆動する電動式の車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用空調装置において、車室内の空気を空調する空調装置には冷房を行う冷凍サイクルとエンジンの冷却水を熱源とするヒータコアを用いて、冷房、暖房及び除湿を行う方式が一般的に行われている。冷凍サイクルの主な構成要素には、ガス冷媒を圧縮して送出する圧縮機、高温高圧のガス冷媒と外気との間で熱交換するコンデンサ、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させる膨張機構(膨張弁)及び低温低圧の液冷媒と空調空気との間で熱交換するエバポレータがあり、各構成要素間を冷媒配管等で連結して冷媒が循環する閉回路を形成して、エバポレータ内を流れる液冷媒が空調空気で加熱されてガス化する際に気化熱を奪う作用により、空調空気の冷房が行われる。暖房運転の時には、冷凍サイクルを停止し、ラジエタへ循環するエンジン冷却水(温水)の一部を加熱源として利用するヒータコアで空調空気の加熱が行われる。また、冷房と暖房とを組み合わせて、適度な温度の調整、または冷房で除湿した後の空気を加熱する除湿暖房運転が行われている。
【0003】乗用車などに設置される一般的な車両用空調装置の場合、圧縮機及びコンデンサはエンジンルーム内に設置され、エバポレータは車室内に設置されるというように、それぞれが分散して設置される構成となっている。これらの冷凍サイクル構成要素は、それぞれを単品で自動車組立ラインに供給して所定の位置に設置した後、各構成要素間を冷媒配管及びホースで連結して組み立てられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の車両用空調装置では、圧縮機の駆動源として車両走行用のエンジン駆動力を圧縮機に直接伝達して駆動するのが一般的である。このような圧縮機とエンジンとの間はベルト及びクラッチを介して断続可能に連結され、クラッチ接続時にはエンジン出力の一部を利用して圧縮機を運転するようになっている。このようなエンジン駆動の圧縮機は、その構造上エンジンルーム以外の場所に設置するのは極めて困難である。また、エンジンルーム内の設置スペースについても、車両側の事情により制約が多く厳しい状況にあるため、車両用空調装置の設置場所を新たに確保するのは困難である。
【0005】このような背景から、冷凍サイクルを構成する各機器が分散設置されるのは避けられず、その結果個々部品の組立を自動車組立ラインで実施しなければならないというのが実状である。従って、冷媒配管の接続作業など冷媒漏れに直結する組立作業も自動車組立ラインで実施することになるので、作業位置や作業姿勢などの面で制約が多く、しかも作業工数も多くなるという問題がある。このため、組立不良による冷媒漏れの不適合などが発生しないよう冷媒系の品質を維持するには多大の労力を必要としていた。そこで、冷媒系をコンパクトにユニット化したものを開発し、これを自動車組立ラインに供給して組み付けできるようにすることが望まれる。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、冷媒系の各機器及び冷媒配管を一体化した車両用空調装置の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明では以下の手段を採用した。請求項1に記載の車両用空調装置は、電動モータで駆動されて高温高圧のガス冷媒を送出する圧縮機と、電動の室外熱交ファンで吸引した外気と冷媒との間で熱交換させる室外熱交換器と、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させる膨張機構と、電動の室内熱交ファンで吸引した空調空気と冷媒との間で熱交換させる室内熱交換器と、これらを連結して閉回路を形成する冷媒配管とで一体的に冷媒回路を形成したことを特徴とするものである。
【0008】このような車両用空調装置によれば、冷媒回路を一体化した車両用空調装置を自動車組立ラインに供給して組み付けすることができるようになるので、自動車組立ラインにおける細かい冷媒配管の接続作業などが不要となり、作業性の向上及び作業工数の低減に有効である。なお、電動圧縮機を使用することで、その設置場所がエンジンルーム内のエンジン近傍に限定されることはなく、従って、レイアウト上の自由度を増すことができる。この場合、室外熱交換器に高温高圧のガス冷媒を供給してコンデンサとして機能させ、かつ、室内熱交換器に低温低圧の液冷媒を供給してエバポレータとして機能させれば、空調空気を冷却する冷房専用の冷媒回路が形成される。
【0009】上記車両用空調装置において、前記圧縮機の吸込側及び吐出側と前記室内熱交換器及び前記室外熱交換器との間に四方弁を介在させて接続し、冷媒流れ方向を選択切換可能なヒートポンプ式冷媒回路を形成することにより、室内熱交換器をエバポレータとして使用する冷房運転と、室内熱交換器をコンデンサとして使用する暖房運転とを切り換えて実施できるようになる。
【0010】上述した車両用空調装置においては、前記室外熱交ファン及び前記室内熱交ファンに共通の駆動源として両軸の電動モータを備え、該電動モータの両駆動軸に前記室外熱交ファン及び前記室内熱交ファンをそれぞれ取り付ける構成とするのが好ましく、これにより、電動モータの個数を減らしてコストを低減できるとともに、車両用空調装置全体の小型化が可能となる。
【0011】そして、前記室外熱交ファン及び前記室内熱交ファンとしてターボファンを使用すれば、コンパクトな形状で高静圧化が可能となる。このように室外熱交ファン及び室内熱交ファンとしてターボファンを使用する場合には、室外熱交換器を車体の床下に水平に設置し、かつ、室内熱交換器を車体の床上に水平に設置するのが好ましく、これにより特に上下方向の寸法を小さくするコンパクト化が可能となる。なお、室外熱交ファンとしてはプロペラファンの使用も可能であり、また、室内熱交ファンとしては高静圧が得られるシロッコファンの使用も可能である。
【0012】前記圧縮機については、前記電動モータ及び圧縮要素を収容した円筒状のシェルの外部が弾性部材を介して軸防振支持された構造とするのが好ましく、この場合の圧縮機としては、特に、軸防振支持部が軸方向両側に延びる円筒状の突出部を備え、該突出部を環状の防振ゴムを介して支持してなる横型圧縮機を採用するのが好ましい。これにより、コンパクトな配置が可能になるとともに、圧縮機における軸廻りのトルク変動に対する防振支持と自重支持とに対応できる。
【0013】上記の車両用空調装置は、前記室内熱交換器の上流側に設けられ外気導入口、内気導入口及び内外気切換手段を備えた空気吸込口と、前記室内熱交換器の下流側に設けたダクトと、該ダクトの下流端である運転席部に設けられた吹出装置とを具備して構成するのが好ましく、これによって、車室内空気または車室外空気のいずれかを選択して空調した後、運転席部の吹出装置から車室内へ向けて吹き出すことができる。
【0014】そして、前記ダクトは、車室内の床面に沿って配置してもよいし、あるいは、車室内の天井に沿って配置してもよい。また、前記ダクトとして中空の車体構成部材を用いてもよく、これによって車体構成部材の空間を有効に利用してダクトを形成できるので、車室内の居住空間を広くすることができる。なお、ダクトとして利用できる主な車体構成部材は、車体の左右に配置されるリヤピラー、フロントピラー及びサイドシルなどがある。
【0015】上記の車両用空調装置においては、前記ダクトの途中に車室内の乗員各座席に対応させて空調空気吹出口を配置し、各座席毎に前記空調空気吹出口の開閉手段を設けることにより、座席毎のゾーン空調が可能となる。この時、車室内の天井に空調空気吹出口を配置すれば車室内への均等な吹き出しが可能となるので、特に上部からの吹き出しが好ましい冷房運転時における最大冷房能力を向上させることができる。さらに、前記開閉手段に駆動源を設けるとともに、各座席毎に乗員の有無を検出する着座検知手段を設けることで、乗員数に応じたゾーン空調の自動化が可能になる。なお、着座検知手段としては、シートベルトの装着信号、座席に設けた重量センサ、赤外線センサなどを採用できる。
【0016】前記冷媒回路が四方弁を具備しない冷房専用回路を形成するとともに、前記吹出装置にエンジン冷却水で加熱するヒータコアを設置すれば、室内熱交換器で除湿した空気をヒータコアで加熱する除湿暖房や温度調整が可能になる。そして、前記ヒータコアを前記室内熱交換器の下流側近傍に配置すれば、冷媒回路が冷房専用の場合は除湿暖房が可能になり、また、冷媒回路がヒートポンプ式の場合は、除湿暖房の他にも、コンデンサとして使用する室内熱交換器とヒータコアとを合計した高い暖房能力を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用空調装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。最初に、本発明の第1実施形態を図1ないし図9に基づいて説明するが、この実施形態においては、冷媒系の冷媒流れ方向を一定にした冷房専用回路を採用している。車両用空調装置の冷媒系統を示す図1において、符号の1は圧縮機、2はコンデンサとして機能する室外熱交換器、3は膨張機構として設けた膨張弁、4はエバポレータとして機能する室内熱交換器、5は室外熱交ファン、6は室内熱交ファン、7は両軸電動機、8は冷媒配管であり、これらの構成要素を具備してなる冷媒系(冷媒回路)がケーシング内に一体化されて冷房運転専用の空調ユニット10を構成している。
【0018】圧縮機1には、駆動用の電動モータ1aをシェル内に内蔵した横置密閉型のスクロール圧縮機を使用している。この圧縮機1は、車両走行用のエンジン11で駆動される発電機12から制御部13によりコントロールされる電力の供給を受けて運転され、低温低圧のガス冷媒を圧縮することで高温高圧のガス冷媒を送出する機能を有するものであり、電動としたことで設置場所がエンジンルーム内に限定されることはない。この圧縮機1から送出された高温高圧のガス冷媒は、冷媒配管8を通って室外熱交換器2へ導かれる。なお、圧縮機1については、電動モータ1aがシェル外に設置されていてもよいし、また、空調ユニット10のレイアウトによっては横型のスクロール圧縮機だけでなく、他の型式の回転式圧縮機を使用することも可能である。
【0019】室外熱交換器2では、両軸電動機7の一方の軸に取り付けられた室外熱交ファン5を運転することにより、周辺から吸引した外気が通過して圧縮機1から供給された高温高圧のガス冷媒と熱交換する。この結果、高温高圧のガス冷媒は外気に熱を奪われて凝縮し、高温高圧の液冷媒となる。また、室外熱交換器2を通過して温度上昇した外気は、排気口より排出される。なお、室外熱交ファン5の運転速度は制御部13において制御されるが、予め設定された複数段階から各種条件に応じて選択切換可能としてもよいし、あるいはインバータ制御により変化させてもよい。
【0020】室外熱交換器2を通過した高温高圧の液冷媒は、冷媒配管8に導かれて膨張機構として設けた膨張弁3へ流入する。膨張弁3では、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させて低温低圧の液(霧状)冷媒とし、この液冷媒はさらに、冷媒配管8を通して室内熱交換器4へ供給される。室内熱交換器4では、両軸電動機7の他端に取り付けられた室内熱交ファン6を運転することによって、車室内の空気(内気)または車室外の空気(外気)が空調空気として吸引される。こうして吸引された空調空気は、室内熱交換器4を通過する際に低温低圧の液冷媒と熱交換する。この時、低温低圧の液冷媒が空調空気から熱を奪って気化するので、空調空気は冷やされて冷風となり、液冷媒は低温低圧のガス冷媒となる。なお、室内熱交ファン6の運転速度についても、両軸電動機7を共用することから、室外熱交ファン5と同様の制御がなされる。
【0021】このような過程を経て低温低圧となったガス冷媒は、冷媒配管8を通って再度圧縮機1へ送られる。以後この冷媒は、上述したように圧縮機1、室外熱交換器2、膨張弁3及び室内熱交換器4の順に冷媒配管8を通って循環し、状態変化を繰り返すことで空調ユニット10の冷凍サイクルが形成される。
【0022】上述した冷凍サイクルを形成する本発明の空調ユニット10において、室外熱交換器2と室内熱交換器4とは所定の間隔をもって互いに対向するように配置され、室外熱交換器2及び室内熱交換器4の間に形成された間隙には両軸電動機7を共通の駆動源とする室外熱交ファン5及び室内熱交ファン6を配置してある。室外熱交ファン5及び室内熱交ファン6は、ユニットを構成するケーシング内にそれぞれ独立した風路系を備えている。なお、対向して配置された室外熱交換器2及び室内熱交換器4は、車両の設置場所などを考慮して、外気または空調空気の通過面がいずれも水平となるように配置してもよいし、通過面を垂直あるいは適当に傾斜させて配置する構成としてもよい。
【0023】以下、図2(a),(b)に基づいて空調ユニット10の具体的な構成例を説明するが、同図中においては、比較的自由な配置が可能な膨張弁3及び冷媒配管8の図示が省略されている。なお、図中の符号9は空調ユニット10のケーシングを示している。
【0024】この実施形態では、室外熱交換器2及び室内熱交換器4が車両の床面14とほぼ平行に、すなわち、外気または空調空気の通過面が水平となるようにケーシング9内に配置されている。一方の室外熱交換器2及び室外熱交ファン5は床面14の下方(床下)となる車体外部に設置され、もう一方の室内熱交換器4及び室内熱交ファン6は床面14の上方(床上)となる車体内部に設置されている。このため、室外熱交ファン5及び室内熱交ファン6の共通の駆動源となる両軸電動機7は、床面14とほぼ同一の高さにあるケーシング9内の仕切板9aを貫通するようにして固定設置されている。なお、本実施形態ではユニットの小型化及びコストの低減を目的として両軸電動機7を採用しているが、室外熱交ファン5及び室内熱交ファン6にそれぞれ専用の電動機を設けた構成としてもよい。
【0025】このような配置では、室外熱交ファン5及び室内熱交ファン6として、上下方向の寸法を薄くでき、しかも高静圧を容易に確保できるターボファンを採用するのが特に好ましい。なお、図中の符号51,61はターボファンの主板、52,62はブレード、53,63はガイド板をそれぞれ示している。
【0026】従って、室外熱交換器2を通過させる外気は、路面側の開口部9bから上向きにケーシング9内へ吸引されて室外熱交換器2を通過した後、水平方向へ90度の方向転換をしてユニット外へ排出されるが、図示の例では車体後方(車両前進方向と逆向き)へ向けてケーシング9に開口する排出口9cから高温となった外気が排出される。なお、室外熱交ファン5としては、ターボファンの他にもプロペラファンの使用が可能である。
【0027】また、室内熱交ファン4にターボファンを採用したことにより、車体内部へ向けてケーシング9に開口する吸入口9dから水平方向に吸引された空調空気は、室内熱交換器4及び室内熱交ファン6へ向けて下向きに90度の方向転換をする。そして、室内熱交換器4を通過して冷風となった空調空気は、ケーシング9に開口する冷風出口9eと連結されたダクト15を通って、後述する吹出装置またはダクト途中の空調空気吹出口へと導かれる。なお、室内熱交ファン6としては、ターボファンの他にも高静圧が得られるシロッコファンの使用が可能である。
【0028】圧縮機1には電動モータ1aを内蔵した横置密閉型のものを採用し、図示の例では、室外熱交換器2及び室外熱交ファン5の車体前進方向側に形成したケーシング9の圧縮機室9f内に設置してある。なお、圧縮機1の配置については、運転騒音の影響を少なくする意味で車室外に設置するのが好ましく、車室外であれば車両側の条件などを考慮して室外熱交換器2及び室外熱交ファン5の周囲に適宜配置すればよい。この圧縮機1は、図3に示すように、図示省略の電動モータ1a及び固定・可動スクロール等の圧縮要素を収容した円筒状のシェル1bから軸方向両側に延びる円筒状の突出部1c、1dを備えている。これらの突出部1c、1dは、その外周部を覆うように配設された環状の防振ゴム1eを介して、それぞれブラケット1fによりケーシング9に吊り下げられた状態で支持されている。
【0029】圧縮機1の吸入管1g及び吐出管1hは、それぞれ突出部1c,1dに配管フィッティングを介して接続するのが好ましい。また、突出部1c,1dの径については、左右を同一にするのが好ましい。そして、防振ゴム1eの断面形状には、L字形を採用してシェル1bとブラケット1fとの間にも介在させるのが好ましく、ブラケット1fの防振ゴム挿入口については、半径方向寸法を調整可能にしておくとよい。
【0030】上述したような圧縮機1の支持構造を採用することで、軸廻りのトルク変動に対するバネ定数の小さい柔軟支持と、圧縮機1の自重を防振支持するバネ定数の大きい剛性支持とが少ない防振材料で両立して、空調ユニット10に適したものとなる。すなわち、防振ゴム1eの内側には、突出部1c,1dを介して荷重が作用するが、この荷重は、鉛直下向に最大で鉛直上向に最小となる分布荷重である。そして、トルク変動による力に対しては、上述した分布荷重の小となる部分で主に拘束されるので、この時の防振ゴム1eのバネ定数は小さい状態になっており、従って、自重支持に耐えうるように高剛性のバネ定数を有する防振ゴム1eを選択しても、トルク変動に対する柔軟支持が可能になるのである。なお、このような支持構造を採用することで、防振ゴム1eがまんがいち破損してもフェールセーフとなり、また、組立が容易になるといった利点がある。
【0031】このように、ケーシング9内に冷凍サイクルの構成要素を一体的に組み込んでユニット化した空調ユニット10は、専用の組立ラインで冷媒配管の接続や冷媒充填などを含めた組立作業を完了できるので、作業性が向上するとともに冷媒漏れなどに対する信頼性も増す。そして、車体の組立ラインでは、納入された空調ユニット10を車体の所定位置に組み付けて、配線やダクトなど車体側との接続が必要なものに関して接続作業をするだけでよい。また、空調ユニット10の設置場所についても、圧縮機1が電動であるため車体の適所に設置可能である。
【0032】続いて、上述した空調ユニット10を備えてなる車両用空調装置の車載例として、その概略構成を図4に示して説明する。図4において、符号の10は空調ユニット、12は図示省略のエンジンで駆動される発電機、15はダクト、16は電線、20は吹出装置である。この実施形態では、セダン型車両のトランクルーム内に空調ユニット10が設置され、運転席前方の車室内(運転席部)に設置された吹出装置20との間が床面に沿って通したダクト15により接続されている。また、発電機12で発電された電力は、車体適所に配線した電線16を介して空調ユニット10へ供給される。なお、本実施形態では、空調ユニット10の室内熱交換器4下流側に後述するヒータコア27が設置されており、エンジン冷却水系から分岐された温水の供給を受けて加熱し、暖房運転などに用いられる。
【0033】図5は吹出装置20の具体的な構成例を示したものである。この吹出装置20は、ケーシング21に複数の空調空気吹出口22を設けたものであり、空調ユニット10から空調空気を供給するため、床面に沿って通したダクト15が接続される構成となっている。従って、運転席部に設けられていた従来の各種HVAC(Heating, Ventilation, and Air-Conditioning)ユニットに比べて、かなり小型化できる。なお、詳細な図示は省略されているが、吹出装置20には、空調空気吹出口22として、それぞれにダンパを備えたデフロスト吹出口、フェイス吹出口及びフット吹出口などが設けられている。このような吹出装置20の小型化により、吹出装置20を設置するインストルメントパネル周辺のスペースに余裕が生じるので、たとえばカーナビゲーション装置、オーディオ装置及び車載テレビなどの搭載機器に与えられる設置スペースを拡大することができる。
【0034】図6に示した系統図は、上述した空調ユニット10と吹出装置20との間がダクト15で接続され、車両の走行用として設けられたエンジン11の冷却水系40から空調ユニット10内のヒータコア27に温水の供給を受ける車両用空調装置の全体的な構成例を示している。この装置では、エンジン11に発電機12が連結され、エンジン11の出力の一部を使用して駆動される発電機12で発電した電力が車両用空調装置の動力として供給される。また、室内熱交換器4の上流側には、外気導入口24a、内気導入口24b及び内外気切換手段となる内外気切換ダンパ25を備えた空気吸込口26が設けられており、これにより内気または外気を選択的に導入することが可能になる。
【0035】空調ユニット10により冷房運転を実施する時には、発電機12で発電した電力が圧縮機1の電動モータ1a及び両軸電動機7へ供給され、圧縮機1、室外熱交ファン5及び室内熱交ファン6が運転される。この場合、以下の説明においては、空気吸込口26の内気導入口24bが開いている「内気導入モード」に設定されているものとする。空調ユニット10では、圧縮機1の運転が開始されたことにより、冷媒が冷媒回路を循環する。この結果、室内熱交ファン6により内気導入口24bから吸入された内気(空調空気)が、エバポレータとして機能する室内熱交換器4を通過し、低温低圧の液冷媒と熱交換して冷却される。こうして冷風となった空調空気は、室内熱交ファン6に送風されて、空調空気出口9eからダクト15へ送られる。なお、このような通常の冷房運転では、ヒータコア27への温水供給は停止されている。
【0036】ダクト15を通って吹出装置20へ供給された冷風は、ダンパが開状態にある吹出口から車室内へ向けて吹き出される。図6の場合、22aがデフロスト吹出口、22bがフェイス吹出口、22cがフット吹出口であり、それぞれの吹出口にはデフロストダンパ23a、フェイスダンパ23b、フットダンパ23cが設けられている。通常の冷房運転では、フェイスダンパ23bが開いてフェイス吹出口22bから車室内へ冷風を吹き出すようになっている。このような車両用空調装置の運転モードは、一般的には「フェイス吹出モード」と呼ばれている。
【0037】また、春や秋のような中間温度期には、ヒータコア27に適量の温水を供給することで、室内熱交換器4を通過して冷風となった空調空気を加熱することができ、これによって空調空気の温度調整をすることもできる。そして、ヒータコア27に供給する温水量を増して加熱能力を増せば、室内熱交換器4でいったん冷却されて湿度の下がった空調空気を加熱する、いわゆる除湿暖房運転が可能になる。このような除湿暖房運転は、雨天時など湿度の高い場合において、フロントガラスに低湿度の温風を吹き付けて曇りを除去するデフロスト運転に適している。
【0038】続いて、冬季における暖房運転を説明する。この場合、除湿暖房が不要であれば空調ユニット10の圧縮機1及び室外熱交ファン5は運転を停止し、ヒータコア27に温水が供給される。従って、空気吸込口26から導入した空調空気は、ヒータコア27で加熱された温風となってダクト15へ送風され、吹出装置20へ供給される。このような暖房運転時には、通常乗員の足元に温風を吹き出すためフットダンパ23cが開いている。このような車両用空調装置の運転モードは、一般的には「フット吹出モード」と呼ばれている。
【0039】ここで、ヒータコア27に暖房運転の熱源となる高温の温水を供給するエンジン冷却水系40の構成例を簡単に説明する。なお、図6において、符号の41はラジエタ、42はラジエタファン、43は冷却水循環ポンプ、44はサーモスタット、45はバイパス流路、46はウォーターバルブである。図示の構成では、冷却水循環ポンプ43及びエンジン11の下流側からヒータコア27へ分岐する温水供給流路47にウォーターバルブ46を設け、同ウォーターバルブ46の開度調整による流量制御を行って、エンジン11を冷却して高温となったエンジン冷却水の一部をヒータコア27へ導入する。こうしてヒータコア27へ供給された温水は、空調空気と熱交換して加熱した後エンジン冷却水系に戻され、ラジエタ41へ送られて冷却されたエンジン冷却水と合流して再度冷却水ポンプ43により循環させられる。
【0040】図7に示した車両用空調装置は、ダクトに関する第1実施形態(図4参照)の変形例を示すもので、空調ユニット10と吹出装置20との間を接続するダクト15Aが、車室内の天井に沿って設けられている。また、天井を通るダクト15Aには、車室内へ向けて空調空気を吹き出す空調空気吹出口17が設けられている。このようなダクト配置とする場合、冷房運転時に車室内へ均等に冷風を吹き出すことができるように複数の空調空気吹出口17を設けるとよく、これによって最大冷房能力を向上させることができる。すなわち、車室内前方に設けられた従来のフェイス吹出口22bのみから冷風を吹き出す場合と比較して、車室内の全域にわたってほぼ均等に冷風を吹き出すことができるようになるので、車内温度が短時間で均一化されてクールダウン性能が向上するのである。
【0041】そして、天井に空調空気吹出口17を複数設けた場合には、冷房運転時の冷風吹出口としては天井が主となるが、従来のHVACと同様に、インストルメントパネルに開口する吹出装置20のフェイス吹出口22bからの冷風吹出も可能である。従って、最大冷房運転時においても吹出風量が分散するので、インストルメントパネルのフェイス吹出口22bから吹き出す風量が1箇所しかない従来と比較して大幅に減少し、結果的には従来の1箇所から吹き出すものと比べて吹出騒音を大幅に低減することができる。
【0042】また、各座席に対応させて空調空気吹出口17を配置し、それぞれの吹出口毎に開閉手段を設けておけばゾーン空調が可能となり、乗員の好みに応じて冷風を吹き出したり止めたりすることができる。なお、開閉手段の開度調整を可能にし、吹出方向が可変の空調空気吹出口17を取り付けておけば、乗員の好みに応じてさらに細かい調整が可能となる。
【0043】さて、上述したダクト15Aは、たとえば図8に示すように、車室内の左右天井に沿って通し、それぞれに空調空気吹出口17を設けることもできる。この時、空調ユニット10と吹出装置20との間を接続するダクト15Aは、ピラーなどの車体構成部材に沿って配置するとよい。
【0044】あるいは、ダクト15Aの少なくとも一部に、たとえばリヤピラー、ルーフレール、フロントピラーなど天井部分に存在する中空の車体構成部材を使用してもよい。この場合、空調ユニット10及び吹出装置20と車体構成部材との間は、配置に応じて車幅方向に延びる適当なダクト15B,15Cを使用して接続するとよい。この場合のダクト15Cが、図5に想像線で示されている。
【0045】このようにすれば、車室内に突出するダクト15Aをなくするか、あるいは少なくすることができるので、広い車室内空間を確保したり部品点数やコストを低減するのに好都合である。また、左右の車体構成部材を使用することで、空調空気を通す流路断面積を広くとることができるため、圧力損失を最小限に抑えることができる。なお、車体構成部材を空調空気のダクトとして使用するのは、必ずしも左右天井を通す場合に限定されるものではなく、左右のいずれか一方のみを使用した構成としてもよいし、あるいは、前述した車体床面に沿って空調空気のダクトを通す場合であっても、たとえばサイドシルなどの構成部材を使用することが可能である。
【0046】図9に示した車両用空調装置は、空調空気の吹出口及び吹出制御に関する第1実施形態(図8参照)の変形例を示すものである。この実施形態では、空調ユニット10から吹出装置20へ空調空気を供給するダクト15Aが左右の車体天井を通り、各座席に対応した空調空気の吹出口を天井に配置してある。図示の例では、第1列目の2席、第2列目に3席および第3列目の2席にそれぞれ専用の空調空気吹出口を設けてあり、各吹出口には座席毎に開閉操作可能な開閉手段を設けてある。この変形例では特に、開閉手段に駆動源を設けたものを採用しており、具体的には、各座席毎に出口を開閉できる電動ダンパを備えた空調空気吹出口18を採用している。
【0047】また、各座席には、乗員が着座しているかどうかを検出するために、着座検知手段19を設けてある。具体的な着座検知手段19としては、各座席毎に設けられているシートベルトが装着されたときに作動するシートベルト装着スイッチ、着座した乗員の重量などを検出して作動するセンサ、着座する乗員の有無を検出する赤外線センサなどがある。このような着座検知手段19の着座検出信号は、制御部13に送られる。制御部13では、着座信号を受けた座席、すなわち乗員が着座していると判断できる座席に対応する空調空気吹出口18の電動ダンパを開いて、空調ユニット10から供給された空調空気を自動的に吹き出すように制御する。このため、ゾーン空調の自動化が可能になって乗員不在の座席に向けた空調空気の吹き出しを防止できるので、車両用空調装置の確実な省エネルギ運転が可能になり、また、各座席に着座した乗員の快適性を向上させることもできる。
【0048】このように空調ユニット10を冷房運転専用の冷媒回路とする実施形態では、図10ないし図13に示す第2実施形態の構成も可能である。この第2実施形態では、ヒータコア27を吹出装置20A内に設置した点が上述した第1実施形態と異なっている。このような構成では、ヒータコア27が設置されない空調ユニット10Aを運転することによって、冷風となった空調空気がダクト15を通って吹出装置20Aへ供給される。この場合においても、第1実施形態と同様のダクト構造が可能であり、従って、図10に示すようにダクト15を床面に沿って通してもよいし、あるいは、図13に示すダクト15Aのように、車体の天井に沿って通してもよい。
【0049】そして、吹出装置20Aは、図11に示すように、空調空気吹出口22の上流側にヒータコア27が配置されている。この場合、ケーシング21の流路断面の一部にヒータコア27を配設し、従来のHVACと同様に図示省略のエアミックスダンパを設置するのが好ましい。
【0050】以下、図12に示した系統図に基づいて、冷暖房運転を説明する。この装置では、第1実施形態と同様に、エンジン11に発電機12が連結されており、エンジン11の出力の一部を使用して駆動される発電機12で発電した電力が車両用空調装置の動力として供給される。
【0051】空調ユニット10Aにより冷房運転を実施する時には、発電機12で発電した電力が圧縮機1の電動モータ1a及び両軸電動機7へ供給され、圧縮機1、室外熱交ファン5及び室内熱交ファン6が運転される。空調ユニット10Aでは、圧縮機1の運転が開始されたことにより、冷媒が冷媒回路を循環する。この結果、室内熱交ファン6により吸入口9dから吸入された内気または外気の空調空気がエバポレータとして機能する室内熱交換器4を通過し、低温低圧の液冷媒と熱交換して冷却される。こうして冷風となった空調空気は、室内熱交ファン6に送風されて冷風出口9eからダクト15へ送られる。なお、空調空気を内気または外気に切り換える操作は、空気吸込口26に設けられた内外気切換ダンパ25を開閉操作することによって行われる。
【0052】ダクト15を通って吹出装置20Aへ供給された冷風は、ダンパが開状態にある吹出口から車室内へ向けて吹き出される。図12の場合、22aがデフロスト吹出口、22bがフェイス吹出口、22cがフット吹出口であり、それぞれの吹出口にはデフロストダンパ23a、フェイスダンパ23b、フットダンパ23cが設けられている。
【0053】また、吹出装置20Aの内部には、エアミックスダンパ28が設けられている。このエアミックスダンパ28は、ケーシング21内の一部断面積を占めるヒータコア27を通過する空調空気の流量をコントロールするもので、ヒータコア27の上流側を全閉する位置からヒータコア27をバイパスする流路を全閉する位置までの範囲で開閉操作される。なお、このエアミックスダンパ28は、中間開度の設定も可能である。
【0054】さて、通常の冷房運転では、フェイスダンパ23bが開いてフェイス吹出口22bから車室内へ冷風を吹き出すようになっている。この時、内外気切換ダンパ28は通常外気導入口24aを閉じて「内気導入モード」を選択し、エアミックスダンパ28はヒータコア27の入口を全閉にするので、空調ユニット10Aからダクト15を通って室内熱交ファン6で送風されてきた冷風の全量がヒータコア27を通過することなくフェイス吹出口22bへ導かれる。このような車両用空調装置の運転モードは、一般的には「フェイス吹出モード」と呼ばれている。
【0055】また、春や秋のような中間期には、エアミックスダンパ28の開度を適宜調整して、空調ユニット10Aから供給された冷風の一部がヒータコア27を通過するように設定する。この結果、ヒータコア27を通過して加熱された温風と通過しない冷風とを下流側で合流させることができるので、温風と冷風との混合割合に応じて吹出空気の温度調整を行うことができる。
【0056】そして、エアミックスダンパ28を中間開度にして、フェイスダンパ23b及びフットダンパ23cをともに開とすれば、フェイス吹出口22bから主としてヒータコア27を通過しない冷風を吹き出し、フット吹出口22cから主としてヒータコア27を通過した温風を吹き出すというように、いわゆる「頭寒足熱」を目的とする吹き出しが可能になる。このような車両用空調装置の運転モードは、一般的には「バイレベル吹出モード」と呼ばれている。
【0057】続いて、冬季における暖房運転を説明する。この場合、除湿暖房が不要であれば空調ユニット10Aの運転は行われず、従って、ダクト15から吹出装置20へは、室内熱交ファン6によって空気吸込口26から導入した空調空気(内気または外気)がそのまま供給される。このような暖房運転時には、空調空気の全量が通過するようエアミックスダンパ28を操作してヒータコア27の入口を全開にしてあり、また、乗員の足元に温風を吹き出すためフットダンパ23cが開いている。このような車両用空調装置の運転モードは、一般的には「フット吹出モード」と呼ばれている。
【0058】そして、空調ユニット10A内で冷媒を循環させて冷却した冷風を吹出装置20供給し供給すると、湿度の低い冷風をヒータコア27で加熱する、いわゆる除湿暖房運転が可能になる。このような除湿暖房運転は、雨天時など湿度の高い場合において、フロントガラスに低湿度の温風を吹き付けて曇りを除去するデフロスト運転に適しており、デフロスト吹出口22aが開いている。このような車両用空調装置の運転モードは、一般的には「デフロスト吹出モード」と呼ばれている。
【0059】この他にも、デフロスト吹出口22aとフット吹出口22cの両方から温風を吹き出すようにした、一般的には「フット/デフロスト吹出モード」と呼ばれる運転モードもある。なお、このように空調ユニット10Aを冷房運転専用の冷媒回路とし、ヒータコア27を吹出装置20内に設置した第2実施形態においても、上述した第1実施形態の図8及び図9に示したような空調空気吹出口17の配置や着座検知手段19による空調空気吹出口18の開閉制御を適用可能なことはいうまでもない。
【0060】次に、図14に基づいて、冷媒の流れ方向を選択切換して冷房及び暖房運転を実施できるようにした第3実施形態の空調ユニット10Bを説明する。このような冷房・暖房運転が可能な空調ユニット10Bは、一般的にはヒートポンプ式冷媒回路と呼ばれており、冷媒流れ方向を切り換える手段として四方弁29が冷房専用の冷媒回路に追加して組み込まれている。この四方弁29は、圧縮機1の吸込側及び吐出側と室外熱交換器2及び室内熱交換器4との間に介在させた冷媒流路の切換弁であり、冷媒流れ方向を切り換えることによって、圧縮機1から送出された高温高圧のガス冷媒は、最初に室外熱交換器2または室内熱交換器4のいずれかに供給される。
【0061】高温高圧のガス冷媒が室外熱交換器2に供給される場合(四方弁29内の冷媒流れ方向を破線で表示)は、一方の室外熱交換器2がコンデンサとして機能し、もう一方の室内熱交換器4がエバポレータとして機能するので、上述した第1実施形態または第2実施形態と同様の冷媒流れ方向となる。従って、空調ユニット10Bの機能は冷房専用の冷媒回路と同様のものとなる。これに対して、高温高圧のガス冷媒が室内熱交換器4に供給される場合(四方弁29内の冷媒流れ方向を実線で表示)は、冷房専用の冷媒回路とは逆になり、一方の室内熱交換器4がコンデンサとして機能し、もう一方の室外熱交換器2がエバポレータとして機能するので、空気吸込口26から室内熱交ファン6で導入した空調空気は、室内熱交換器4を通過する際に加熱されて温風となる。
【0062】また、この空調ユニット10Bにヒータコア27を設置すれば、冷房運転時には再加熱による温度調整に加えて、除湿暖房を実施することができる。このような機能は、ヒータコア27を吹出装置20に設置しても同様である。そして、暖房運転時には、ヒータコア27を併用することで暖房能力を増大させることが可能となる。このような暖房能力の増大は、ヒータコア27を空調ユニット10B内に設置した場合、及び吹出装置20内に設置した場合も同様である。このようにコンデンサとして機能する室内熱交換器4とヒータコア27とを併用する暖房運転を実施すれば、特に外気温度が低い状況でも十分な暖房能力を得ることができる。
【0063】ヒータコア27が運転席部の吹出装置20A内に設置された場合は、ダクト15の途中に設けられた空調空気吹出口17には加熱前の空気しか供給できないことになるが、ヒータコア27を空調ユニット10A内に設置した構成ではこのような問題はない。しかし、ヒータコア27を吹出装置20Aに設けた場合でも、上述したような傾向はあるものの、車室内全体が適切に空調されることに変わりはない。なお、ヒートポンプ式冷媒回路とした第3実施形態においても、床面または天井に沿ったダクト配置が可能であり、さらに、上述した第1実施形態の図8及び図9に示したような空調空気吹出口17の配置や着座検知手段19による空調空気吹出口18の開閉制御を適用可能なことはいうまでもない【0064】
【発明の効果】本発明の車両用冷房ユニット及び車両用空調装置によれば、以下の効果を奏する。
(1) 電動の圧縮機を採用して冷媒系を一体にユニット化した車両用空調ユニットは、エンジンとの機械的な連結が不要になるため、車両における設置位置の制約が小さくなって設計の自由度が増すといった効果を奏する。このため、セダン型車両のトランクルーム内やミニバン型車両の最後列座席下などのように、車両によって適宜設置位置を選択できる。
(2) 一体化された車両用空調ユニットを車両に組み付けする際、車両組立ラインで必要な作業は、冷房ユニットを所定の場所に固定設置するとともにダクト及び配線を接続することですむため、作業性が向上して作業工数及びコストの低減が可能となる。また、冷媒配管の接続や冷媒充填といった作業が冷房ユニットの専用組立ラインで実施されるため、冷媒漏れなど冷媒系の不具合が生じにくくなって信頼性が向上する。
(3) 圧縮機やコンデンサなどの熱交換器をエンジンルーム内に設置しなくてすむので、スペースが限られているエンジンルームに余裕が生じ、内部に配置する機器類の設計自由度を増すことができる。また、ラジエタの前面にコンデンサが設置されないため、低温の外気走行風により直接ラジエタを冷却できるようになり、空気温度が低下した分ラジエタの性能が向上する。従って、従来と同様の性能を維持するのであれば、ラジエタの小型化が可能となる。
(4) 対向させて配置した室外熱交換器(コンデンサ)及び室内熱交換器(エバポレータ)の間に両軸電動機で運転される室外熱交ファン及び室内熱交ファンを設置し、かつ、室外熱交ファン及び室内熱交ファンにターボファンを採用したので、車両用空調ユニットを薄くしてコンパクト化するとともに高静圧化が可能になる。
(5) 冷媒系が一体化された車両用空調ユニットと吹出装置との間をダクトで接続して空調空気を供給する構成としたので、車両用空調装置を設置するための設計自由度が増す。また、インストルメントパネル内に設置される吹出装置は少なくともエバポレータがない分小型化できるので、インストルメントパネルに設置する他の搭載機器に提供可能なスペースを増すことができる。
(6) 車両用空調ユニットから空調空気を供給するダクトを車室内の天井に通して空調空気吹出口を設けると、天井から車室内に向けて均一な空調空気吹出が可能になるので、特に冷風を吹き出す冷房運転時において、車内温度の均一化やクールダウン性能の向上に効果を奏する。そして、特に最大冷房時においては、吹出騒音を抑制しつつ最大冷房性能を向上させることができる。また、座席に対応した空調空気吹出口の配置をしてそれぞれに開閉手段を設けておくと、任意の空調空気吹出口から空調空気を吹き出すゾーン空調が可能になる。この時、開閉手段に駆動源を設けて、各座席に設けた着座検知手段の信号で開閉するようにすれば、ゾーン空調の自動化が可能となる。
(7) フロントピラーやリヤピラーなど中空の車体構成部材をダクトとして使用すれば、部品点数の低減によるコストの削減が可能となり、さらに、ダクトスペース分だけ車室空間を広くすることができる。
(8) ヒートポンプ式の冷媒回路を採用することにより、完全に空調された空気を供給できるから、ダクトの途中に吹出口を設けて均一温調を図る場合には、乗員席と運転席に同等の条件で空調空気を供給できるので、空調の均一化が向上する。




 

 


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