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発明の名称 車両用空気調和装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−1750(P2001−1750A)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
出願番号 特願平11−173364
出願日 平成11年6月18日(1999.6.18)
代理人 【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴 (外3名)
発明者 片山 康雄 / 秋元 良作
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 内気吸入口及び外気吸入口が開口し導入空気を内気または外気のいずれか一方に選択切り換えする内外気切り換えダンパを備えた内外気箱と、前記導入空気を吸引して下流側へ送風するブロワファンが設けられたブロワユニットと、冷媒と通過する前記導入空気との間で熱交換させるエバポレータを備えたクーラユニットと、ヒータユニットケース内に設置され通過する前記導入空気を加熱するヒータコアと、該ヒータコアを通過する前記導入空気の流量を調整するエアミックスダンパと、前記ヒータユニットケースに開口しそれぞれがダンパを備えた複数の吹き出し口とを具備してなるヒータユニットとを連結し、前記ヒータコアの上流側に前記エバポレータが配設された構成の空気調和ユニットと、ガス状の冷媒を圧縮するコンプレッサと、高圧のガス冷媒を外気と熱交換して凝縮させるコンデンサと、高温高圧の液冷媒を低温低圧の液冷媒にする膨張弁とを具備し、前記エバポレータに低温低圧の液冷媒を供給する冷媒系と、エンジン冷却水系からウォータバルブによる流量調整を行ってエンジン冷却水の一部を前記ヒータコアに導入する加熱源系と、前記空気調和ユニット、冷媒系及び加熱源系の作動制御を行う制御部と、により構成される車両用空気調和装置であって、前記エンジン冷却水系に前記ヒータコアの上流側と下流側とを連結してなる空調循環流路を形成し、該空調循環流路内に、前記エンジン冷却水を所定量貯蔵する蓄熱タンクと、前記エンジン冷却水を循環させる循環ポンプとを設置し、かつ、前記空調循環流路と前記エンジン冷却水系との間を接続または遮断するための流路切換手段を備えてなる停車時空調回路を設けたことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】 冷房運転時の前記停車時空調回路が、前記流路切換手段を操作して前記空調循環流路を前記エンジン冷却水系から遮断した後、前記ウォータバルブを開くと共に前記循環ポンプを運転して回路内のエンジン冷却水を前記空調循環流路内で循環させ、走行中前記ヒータコア内のエンジン冷却水を前記エバポレータから供給される冷風で冷却して蓄冷すると共に、停車時には前記ヒータコアを流れるエンジン冷却水から放冷して冷房するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】 前記蓄冷及び放冷が、最大冷房運転の設定時に実施されることを特徴とする請求項2に記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】 前記最大冷房運転の設定時には、前記エバポレータを通過した冷風の全量が前記ヒータコアを通過するように前記エアミックスダンパ位置を操作することを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】 暖房運転時の前記停車時空調回路は、走行中エンジン冷却水を前記蓄熱タンクに流して蓄熱し、停車時には前記流路切換手段を操作して前記空調循環流路を前記エンジン冷却水系から遮断した後、前記ウォータバルブを開いたまま前記循環ポンプを運転して回路内のエンジン冷却水を前記空調循環流路内で循環させ、前記ヒータコアから放熱して暖房するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項6】 前記蓄熱及び放熱が、最大暖房運転の設定時に実施されることを特徴とする請求項5に記載の車両用空気調和装置。
【請求項7】 前記最大暖房運転の設定時には、前記空気調和ユニットに導入した空気の全量が前記ヒータコアを通過するように前記エアミックスダンパ位置を操作することを特徴とする請求項6に記載の車両用空気調和装置。
【請求項8】 前記流路切換手段が、前記エンジン冷却水系の前記空調循環流路出入口部にそれぞれ設けられた開閉弁であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項9】 前記流路切換手段が、前記エンジン冷却水系の前記空調循環流路との接続部に設けられた四方弁であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の空気調和装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に設置され、車室内における冷房及び暖房等の空気調和を行う車両用空気調和装置に係り、特に、信号待ち等の短時間停車時にエンジン停止する場合の空調に用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車等の車両には、車室内の乗員に快適な車室内環境を提供することができる車両用空気調和装置が設置されている。以下、従来の車両用空気調和装置の構成を図3に示して簡単に説明する。この車両用空気調和装置は、冷暖房などの空気調和を行う空気調和ユニット1と、冷房運転時に空気調和ユニット1へ冷媒を供給する冷媒系2と、暖房運転時に空気調和ユニット1へ熱源となるエンジン冷却水を供給する加熱源系3と、装置全体の作動制御を行う制御部4とにより構成されている。
【0003】空気調和ユニット1は、内外気箱10、ブロワユニット20、クーラユニット30、ヒータユニット40が一体に接続されたもので、一般的なセダン型乗用車の場合は助手席側のダッシュボードの下方に配置されている。最初の内外気箱10は、空気調和ユニット1に導入する空気(以下、導入空気と呼ぶ)を内外気切換ダンパ12の操作により、外気または内気から選択する機能を有している。この内外気箱10の下流に接続してブロワユニット20が設けられ、ブロワファン21の作動により導入空気を吸引して、後述するクーラユニット30へ送風することができるようになっている。なお、このブロワファン21は、電動モータ22を駆動源としている。
【0004】クーラユニット30は、導入空気を冷却して除湿する機能を有するもので、熱交換器であるエバポレータ31と、このエバポレータ31を格納するクーラユニットケース32とにより構成されている。エバポレータ31は、冷房運転時に後述する冷媒系2から低温低圧の液冷媒の供給を受け、通過する導入空気と液冷媒との間で熱交換させることにより、導入空気を冷却及び除湿した冷風とする。この冷風は、後述するヒータユニット40へ導かれる。
【0005】ヒータユニット40は、導入空気を選択的に加熱すると共に、運転モードに対応して開状態となる吹き出し口から空調空気を吹き出す機能を有している。このヒータユニット40は、ヒータユニットケース41の内部に設置されたヒータコア42と、導入空気のヒータコア42通過流量を調整するエアミックスダンパ43と、それぞれが開閉操作可能なダンパ44a,45a,46aを備えた吹き出し口44,45,46とにより構成されている。なお、図中の符号44はデフロスタ吹出口、45はフェイス吹出口、46はフット吹出口と呼ばれており、各吹出口に取り付けられたダンパは、それぞれデフロスタダンパ44a、フェイスダンパ45a及びフットダンパ46aと呼ばれている。ヒータコア42は、暖房運転時に後述する加熱源系3から高温のエンジン冷却水の供給を受け、導入空気を加熱するための熱交換器である。ヒータユニット40では、エアミックスダンパ43の開度に応じて、導入空気がヒータコア42を通過するものと、ヒータコア42をバイパスするものとに分類される。
【0006】冷媒系2は、エバポレータ31に低温低圧の液冷媒を供給するもので、コンプレッサ51、コンデンサ52、レシーバ53及び膨張弁54を具備している。コンプレッサ51は、エバポレータ31で気化した低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒としてコンデンサ52へ送り出すもので、自動車用空気調和装置の場合、コンプレッサ51は、通常エンジンEよりベルト及びクラッチを介して駆動力を受ける。加熱源系3は、ヒータコア42に熱源となる高温のエンジン冷却水を供給するもので、エンジンEとラジエタ55との間を循環するエンジン冷却水系から、その一部をウォータバルブ56による流量制御を行って空気調和装置に導入するものである。なお、図中の符号57はエンジンEにベルト駆動される冷却水循環用の冷却水ポンプ、58はサーモスタット、59はバイパス流路である。
【0007】最後に、制御部4の構成を簡単に説明する。この制御部4は、空気調和装置を構成している空気調和ユニット1、冷媒系2及び加熱源系3の作動制御を行うもので、通常、乗員が各種の設定を行う操作パネルに制御回路を組み込んで、インスツルメントパネルの中央部に設置されている。この制御部4では、内外気切り換えダンパ12の切り換え操作、ダンパ類の開閉操作による各種運転モードの選択切り換え、ブロワファン21の風量切り換え及び所望の温度設定操作などを行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、排気ガス量の低減など環境面に対する配慮から、たとえば信号待ち等の短時間停車時(平均して1分程度)においても、エンジンのアイドリングを停止するアイドルストップの要求がでてきている。このようなアイドルストップを実施すると、エンジンEからベルトを介するなどして駆動力を得ている冷媒系2のコンプレッサ51や加熱源系3の冷却水ポンプ57の運転も停止してしまう。このため、空気調和装置において冷房運転や暖房運転を実施していると、冷媒や熱源の供給が停止される事態となり、結果として空調運転を実施できなくなって快適な車室内環境が損なわれることも考えられる。このような背景から、アイドルストップ時においても空調運転を実施できるようにして、快適な車室内環境を維持することが望まれる。
【0009】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、アイドルストップ時の空調運転を可能にした車両用空気調和装置の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。請求項1に記載の車両用空気調和装置は、内気吸入口及び外気吸入口が開口し導入空気を内気または外気のいずれか一方に選択切り換えする内外気切り換えダンパを備えた内外気箱と、前記導入空気を吸引して下流側へ送風するブロワファンが設けられたブロワユニットと、冷媒と通過する前記導入空気との間で熱交換させるエバポレータを備えたクーラユニットと、ヒータユニットケース内に設置され通過する前記導入空気を加熱するヒータコアと、該ヒータコアを通過する前記導入空気の流量を調整するエアミックスダンパと、前記ヒータユニットケースに開口しそれぞれがダンパを備えた複数の吹き出し口とを具備してなるヒータユニットとを連結し、前記ヒータコアの上流側に前記エバポレータが配設された構成の空気調和ユニットと、ガス状の冷媒を圧縮するコンプレッサと、高圧のガス冷媒を外気と熱交換して凝縮させるコンデンサと、高温高圧の液冷媒を低温低圧の液冷媒にする膨張弁とを具備し、前記エバポレータに低温低圧の液冷媒を供給する冷媒系と、エンジン冷却水系からエンジン冷却水の一部を前記ヒータコアに導入する加熱源系と、前記空気調和ユニット、冷媒系及び加熱源系の作動制御を行う制御部と、により構成される車両用空気調和装置であって、前記エンジン冷却水系に前記ヒータコアの上流側と下流側とを連結してなる空調循環流路を形成し、該空調循環流路内に、前記エンジン冷却水を所定量貯蔵する蓄熱タンクと、前記エンジン冷却水を循環させる循環ポンプとを設置し、かつ、前記空調循環流路と前記エンジン冷却水系との間を接続または遮断するための流路切換手段を備えてなる停車時空調回路を設けたことを特徴とするものである。
【0011】このような車両用空気調和装置においては、冷房運転時の前記停車時空調回路が、前記流路切換手段を操作して前記空調循環流路を前記エンジン冷却水系から遮断した後、前記循環ポンプを運転して回路内のエンジン冷却水を前記空調循環流路内で循環させ、走行中前記ヒータコア内のエンジン冷却水を前記エバポレータから供給される冷風で冷却して蓄冷すると共に、停車時には前記ヒータコアを流れるエンジン冷却水から放冷して冷房するように構成するのが好ましい。この場合、前記蓄冷及び放冷が、好適には最大冷房運転の設定時に実施され、前記最大冷房運転の設定時においては、前記エバポレータを通過した冷風の全量が前記ヒータコアを通過するように、前記エアミックスダンパ位置を操作するとよい。
【0012】また、このような車両用空気調和装置においては、暖房運転時の前記停車時空調回路は、走行中エンジン冷却水を前記蓄熱タンクに流して蓄熱し、停車時には前記流路切換手段を操作して前記空調循環流路を前記エンジン冷却水系から遮断した後、前記循環ポンプを運転して回路内のエンジン冷却水を前記空調循環流路内で循環させ、前記ヒータコアから放熱して暖房するように構成するのが好ましい。この場合、前記蓄熱及び放熱が、好適には最大暖房運転の設定時に実施され、前記最大暖房運転の設定時においては、前記空気調和ユニットに導入した空気の全量が前記ヒータコアを通過するように、前記エアミックスダンパ位置を操作するとよい。
【0013】そして、前記流路切換手段は、前記エンジン冷却水系の前記空調循環流路出入口部にそれぞれ設けられた開閉弁であってもよいし、あるいは、前記エンジン冷却水系の前記空調循環流路との接続部に設けられた四方弁であってもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用空気調和装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図1は第1の実施形態を示す系統図、図2は第2の実施形態を示す系統図である。
【0015】最初に、図1に基づいて本発明に係る車両用空気調和装置の第1の実施形態を説明する。この車両用空気調和装置は、大きくは冷暖房などの空気調和を行う空気調和ユニット1と、冷房運転時に空気調和ユニット1へ冷媒を供給する冷媒系2と、暖房運転時に空気調和ユニット1へ熱源となるエンジン冷却水を供給する加熱源系3と、装置全体の作動制御を行う制御部4とにより構成されている。
【0016】空気調和ユニット1は、内外気箱10、ブロワユニット20、クーラユニット30、ヒータユニット40が一体に接続されたものである。この空気調和ユニット1は、一般的なセダン型乗用車の場合、従来構造のものと同様に、車室内から見て左側の助手席側で、しかもダッシュボード5の下方に位置するエンジンルームの後部に配置されている。以下、この空気調和ユニット1を空気の流れの順に説明する。
【0017】最初の内外気箱10は、空気調和ユニット1に導入する空気を外気(車室外の空気)aまたは内気(車室内の空気)bのいずれか一方に選択切り換えする機能を有する部分である。ここでは、車室外に連通する外気導入口11aと車室内に連通する内気導入口11bとが設けられており、両導入口11a,11bのいずれか一方を内外気切り換えダンパ12により閉じて、導入する空気(以下、導入空気と呼ぶ)を選択するようになっている。
【0018】ブロワユニット20は、内外気箱10の下流に接続して設けられ、ケーシング内に設置されたブロワファン21の作動により外気aまたは内気bを選択的に吸引して後述するクーラユニット30へ送風する機能を有している。このブロワファン21は、電動モータ22を駆動源とし、一般的には停止位置の他に、複数の風量切り換えができるようになっている。なお、車両の走行中に外気aを導入する場合には、ブロアファン21が停止していても走行風である外気aをクーラユニット30へ流すことができる。
【0019】クーラユニット30は、ブロワユニット20から送風されてきた導入空気を冷却して除湿する機能を有している。このクーラユニット30は、熱交換器であるエバポレータ31と、このエバポレータ31を格納するクーラユニットケース32とにより構成されている。エバポレータ31は、冷房運転時に後述する冷媒系2から低温低圧の液冷媒の供給を受け、ブロワユニット20から送風されてきてこのエバポレータ31を通過する導入空気と液冷媒との間で熱交換させる。この結果、導入空気は冷媒に熱を奪われて冷却及び除湿された冷風となり、後述するヒータユニット40へ導かれる。なお、クーラユニットケース32は、上流側の端部がブロワユニット20と接続され、下流側の端部がヒータユニット40と接続されて、導入空気の流路となる空調ダクトADの一部を形成している樹脂成形部品であり、このクーラユニットケース32は、通常エバポレータ31の組み込みを容易にするため、上下に2分割可能な構造となる。なおまた、クーラユニットケース32の下面には、エバポレータ31の表面に発生する凝縮水を集めて排出するドレンパンが形成される。
【0020】ヒータユニット40は、クーラユニット30から送られてきた導入空気を選択的に加熱すると共に、運転モードに対応した吹き出し口から空調された空気を吹き出す機能を有している。このヒータユニット40は、ヒータユニットケース41の内部に設置されたヒータコア42と、このヒータコア42を通過する導入空気の流量を調整するエアミックスダンパ43と、ヒータユニットケース41に開口しそれぞれが開閉操作可能なダンパ44a,45a,46aを備えた吹き出し口44,45,46とにより構成されている。
【0021】ヒータユニットケース41は、その上流側端部がクーラユニット30と接続されており、空調ダクトADの一部を形成している。また、ヒータユニットケース41には、デフロスタ吹出口44、フェイス吹出口45及びフット吹出口46が設けられ、各吹出口には、それぞれデフロスタダンパ44a、フェイスダンパ45a及びフットダンパ46aが取り付けられている。ヒータコア42は、暖房運転時に後述する加熱源系3から高温のエンジン冷却水の供給を受け、クーラユニット30から送風されてきた導入空気を加熱する熱交換器である。ヒータユニット40に送られた導入空気は、エアミックスダンパ43の開度に応じて、ヒータコア42を通過するものと、ヒータコア42を通過しないものとに分類される。
【0022】上述したデフロスタ吹出口44は、冬季走行前のフロントガラスの霜取り及び雨天走行中のフロントガラスの曇りを除去するために、フロントガラスなどの内面に直接当たるよう温風及び除湿した風を吹き出すものであり、このような空調運転モードは「デフロスタ吹き出しモード」と呼ばれている。また、フェイス吹出口45は、主として夏季の冷房運転時に乗員の上半身へ向けて冷風を吹き出すものであり、このような空調運転モードは「フェイス吹き出しモード」と呼ばれている。そして、フット吹出口46は、主として冬季の暖房運転時に乗員の足元へ温風を吹き出すものであり、「フット吹き出しモード」と呼ばれている。なお、主として春や秋の中間期に用いられ、フェイス吹出口45及びフット吹出口46の両方から空調された空気を吹き出す「バイレベル吹き出しモード」と呼ばれる空調運転モードもあり、この場合は、フェイス吹出口45からの吹き出し風をフット吹出口46より低温とする頭寒足熱とするのが一般的である。
【0023】次に、冷媒系2の構成を説明する。この冷媒系2は、エバポレータ31に低温低圧の液冷媒を供給するもので、コンプレッサ51、コンデンサ52、レシーバ53及び膨張弁54を具備している。なお、この冷媒系2は、冷房・除湿機能を必要としない場合は、上述したエバポレータ31と共に設置が省略される。コンプレッサ51は、エバポレータ31で車室内の熱を奪って気化した低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒としてコンデンサ52へ送り出すものである。自動車用空気調和装置の場合、コンプレッサ51は、通常エンジンEよりベルト及びクラッチを介して駆動力を受ける。コンデンサ52は、エンジンルームの前部に配設され、コンプレッサ51から供給された高温高圧のガス冷媒を外気で冷却し、ガス状の冷媒を凝縮液化させるものである。こうして液化された冷媒は、レシーバ53へ送られて気液の分離がなされた後、高温高圧の液冷媒として膨張弁54に送られる。この膨張弁54では、高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させることによって低温低圧の液(霧状)冷媒とし、空気調和ユニット1のエバポレータ31へ供給する。なお、膨張弁54は、一般的にはエバポレータ31と共にクーラユニット30内の適所に設置される。
【0024】続いて、加熱源系3の構成を簡単に説明する。この加熱源系3は、ヒータコア42に熱源となる高温のエンジン冷却水を供給するもので、エンジンEとラジエタ55との間を循環するエンジン冷却水系から、その一部をウォータバルブ56による流量制御を行って空気調和装置に導入するものである。なお、図中の符号57は冷却水循環用の冷却水ポンプ、58はサーモスタット、59はバイパス流路である。
【0025】次に、制御部4の構成を簡単に説明する。この制御部4は、空気調和装置を構成している空気調和ユニット1、冷媒系2、加熱源系3及び後述する停車時空調回路60の作動制御を行うもので、通常、乗員が各種の設定を行う操作パネルに制御回路を組み込んで、インスツルメントパネルの中央部に設置されている。この制御部4では、内外気切り換えダンパ12の切り換え操作、ダンパ類の開閉操作による各種運転モードの選択切り換え、ブロワファン21の風量切り換え及び所望の温度設定操作などに加えて、後述する切換開閉弁62,63の開閉操作や循環ポンプ65の作動制御を行うことができる。
【0026】本発明ではさらに、エンジンEのアイドルストップ時においても空調運転を実施できるようにするため、停車時空調回路60を設けてある。この停車時空調回路60は、エンジン冷却水系からヒータコア42にエンジン冷却水の一部を導入する加熱源系3に、ヒータコア42の上流側と下流側とを連結する空調バイパス流路61を設けると共に、エンジン冷却水系側の出入口部にそれぞれ開閉弁62,63を設けて、ヒータコア42を通るエンジン冷却水の空調循環流路(閉回路)を形成し、同空調循環流路内に蓄熱タンク64及び循環ポンプ65を設置したものである。なお、この停車時空調回路60には、一般的なポンプシステムに設けられる図示省略の逆止弁や開閉弁を適宜配設可能であることはいうまでもない。
【0027】開閉弁62,63は、加熱源系2に設けられた空調循環流路を必要に応じてエンジン冷却水系から遮断する機能を有するもので、制御部4により開閉操作される。なお、この場合の開閉弁62,63は、共に全開とするか、あるいは共に全閉とするかのいずれか一方を選択して操作される。
【0028】蓄熱タンク64は、周囲を断熱材に覆われたエンジン冷却水貯蔵容器である。この蓄熱タンク64は、その容量を大きくするほど蓄熱量を増すことができる反面、大きな設置スペースが必要となる。従って、信号待ちによるアイドリングストップは平均1分程度といわれていることから、この間の空調を維持するためには、放冷または放熱の前後におけるエンジン冷却水の温度差を10℃として約50キロカロリーに相当する、5リットル程度の容量を備えた蓄熱タンク64とすることが好ましい。この程度の蓄熱タンク64であれば、エンジンルーム内にも比較的容易に設置することができる。
【0029】循環ポンプ65は、停車時空調回路60の空調循環路内で、回路内のエンジン冷却水を循環させるための専用ポンプであり、その駆動源としては、アイドルストップ時においても運転できるように電動モータ66を使用している。この循環ポンプ65は、冷房運転時においては、通常のエンジン作動時及びアイドルストップ時共に、開閉弁62,63を閉じて空調循環流路をエンジン冷却水系から遮断した状態で運転される。また、暖房運転時においては、通常のエンジン作動時には開閉弁62,63が開いた状態となり、循環ポンプ65は停止している。そして、アイドルストップの状態になると、開閉弁62,63を閉じて空調循環流路がエンジン冷却水系から遮断された後、運転が開始される。
【0030】このように構成された車両用空気調和装置では、通常の運転時において、ブロアファン21を駆動することにより、外気aまたは内気bが内外気箱10の外気導入口11aまたは内気導入口11bから空調ダクトAD内に導入され、この導入空気はブロワユニット20を通って空調ダクトAD内を下流側のクーラユニット30へと送られる。クーラユニット30内を流れる導入空気はエバポレータ31を通過するが、ここでは冷媒系2から低温低圧の液冷媒が供給される冷房運転時に冷媒と熱交換して冷却及び除湿され、さらに下流側のヒータユニット40へ流れる。
【0031】一方、冷却及び除湿されてヒータユニット40に送られてきた導入空気は、エアミックスダンパ43がヒータコア42側通路を完全に覆っていると、導入空気はその全量がヒータコア42を通過せずに各吹き出し口44,45,46に向かい、ダンパが開状態の吹出口から車室内に冷風が吹き出される。また、エアミックスダンパ43がヒータコア42側通路を全開しているときは、導入空気の全部がヒータコア42を通過して加熱され、ダンパが開状態の吹出口から車室内に温風が吹き出される。さらにまた、エアミックスダンパ43が中間位置にあるときは、ヒータコア42を通過しない冷風とヒータコア42を通過した温風とが、エアミックスダンパ43の下流側でその開度に応じて混合され、所望の温度に空調された空気が運転モードに応じて、ダンパが開状態にある吹出口から車室内に吹き出される。
【0032】さて、本発明の空気調和装置においては、エンジンEがアイドルストップした時、以下に説明するようにして短時間の空調を実施することができる。最初にアイドルストップ時の冷房運転(以下、アイドルストップ冷房運転と呼ぶ)について説明する。このようなアイドルストップ冷房運転は、エアミックスダンパ43がヒータコア42側通路を完全に覆い、温風との温度調整を必要としない最大冷房運転の設定時に実施される。なお、最大冷房運転の設定が行われたことに対応して制御部4が自動的にアイドルストップ冷房運転を実施するようにしてもよいし、あるいは、乗員が選択操作する手動スイッチ(図示省略)を設けて、最大冷房運転の設定と手動スイッチとのアンド条件でアイドルストップ冷房運転が実施されるようにしてもよい。
【0033】アイドルストップ冷房運転を実施する場合、常に開閉弁62,63を閉じて空調循環流路をエンジン冷却水系から遮断する。続いて、ウォータバルブ54を開くと共に、循環ポンプ65の運転を開始する。この結果、停車時空調回路60内のエンジン冷却水は、循環ポンプ65によって、ウォータバルブ54、ヒータコア42,蓄熱タンク64及び空調バイパス流路61の順に、空調循環流路内を循環する。
【0034】また、エアミックスダンパ43は、通常の最大冷房運転ではヒータコア42に通じる流路を全閉とするのが一般的であるが、ここでは導入空気の全量が、すなわち、エバポレータ31を通過して冷却された導入空気の全量がヒータコア42を通過する位置になるよう操作する。このようなエアミックスダンパ43の位置は、通常の最大暖房運転時と同じである。なお、この時点ではヒータコア42にエンジン冷却水系から高温のエンジン冷却水が供給されることはないので、ヒータコア42を通過しても導入空気が加熱されることはない。
【0035】停車時空調回路60が上述したような状態となり、エンジンEが作動して車両を走行させる時には、冷媒系2ではコンプレッサ51がエンジンEに駆動され、エバポレータ31への冷媒供給を続けている。従って、導入空気はエバポレータを通過して冷却され、冷風となった導入空気がヒータコア42を通過して、ヒータコア42の内部を流れる循環回路内のエンジン冷却水を冷却する。この結果、循環するエンジン冷却水の温度が徐々に下がり、蓄熱タンク64及び空調循環流路内に蓄冷される。そして、赤信号などで車両が停止し、アイドルストップが実施されると、エンジンEの停止によりコンプレッサ51も停止するので、エバポレータ31への冷媒供給も停止する。しかし、電動モータ22で作動するブロワファン21及び電動モータ66で作動する循環ポンプ65はバッテリからの電源供給を受けて作動を続けるので、導入空気は蓄冷されたエンジン冷却水が流れるヒータコア42で冷却された冷風となって、車室内へと吹き出される。このようなヒータコア42における熱交換で、循環するエンジン冷却水は徐々に昇温するが、蓄熱タンク64内に貯蔵されるエンジン冷却水の容量及び温度差に応じた放冷熱量を有しているので、所望の時間(たとえば、温度差が10℃の場合容量5リットルの蓄熱タンクで1分程度)冷房運転を続けることができる。
【0036】この後、アイドルストップが解除されてエンジンEが運転を開始すると、通常運転に戻ってコンプレッサ51から冷媒の供給が行われ、エバポレータ31による導入空気の冷却が再開される。従って、循環するエンジン冷却水はヒータコア42で冷風により冷却され、再度蓄冷されることになる。以後、このような走行時(エンジンE作動時)の蓄冷及び停止時(アイドルストップ時)の放冷を繰り返すことで、アイドルストップ時における比較的短時間の冷房運転を実施することができる。
【0037】続いて、アイドルストップ時の暖房運転(以下、アイドルストップ暖房運転と呼ぶ)について説明する。このようなアイドルストップ暖房運転は、エアミックスダンパ43がヒータコア42側通路を全開とし、導入空気の全量がヒータコア42を通過する最大暖房運転の設定時に実施される。なお、最大暖房運転の設定が行われたことに対応して制御部4が自動的にアイドルストップ暖房運転を実施するようにしてもよいし、あるいは、乗員が選択操作する手動スイッチ(図示省略)を設けて、最大暖房運転の設定と手動スイッチとのアンド条件でアイドルストップ暖房運転が実施されるようにしてもよい。
【0038】アイドルストップ暖房運転を実施する場合、エンジンEの作動時は基本的には通常の最大暖房運転と同様である。すなわち、開閉弁62,63及びウォータバルブ56は開状態になっており、循環ポンプ65は停止している。このような状態では、高温のエンジン冷却水がヒータコア42に供給されて導入空気を加熱するので、温風が車室内に吹き出される。また、ヒータコア42を通過する高温のエンジン冷却水は、蓄熱タンク64及び空調循環回路内のエンジン冷却水の温度を徐々に上昇させて蓄熱する。
【0039】こうして、エンジンEを駆動して走行中に蓄熱した停車時空調回路60では、アイドルストップによりエンジンEが停止すると、冷却水ポンプ57の駆動が停止されるため、エンジン冷却水系からヒータコア42に対して、加熱源となる高温エンジン冷却水の供給も停止される。そこで、最初に開閉弁62,63を閉じて空調循環流路をエンジン冷却水系から遮断し、続いて、ウォータバルブ54を開いたままで循環ポンプ65の運転を開始する。この結果、停車時空調回路60内のエンジン冷却水は、循環ポンプ65によって、ウォータバルブ54、ヒータコア42,蓄熱タンク64及び空調バイパス流路61の順に、空調循環流路内を循環する。空調循環路内のエンジン冷却水は、エンジンEから直接供給された高温のエンジン冷却水が常に循環して蓄熱タンク64に蓄熱されるので、ラジエータ55を流れるエンジン冷却水系より高温となっている。また、エアミックスダンパ43は、通常の最大暖房運転と同様に、導入空気の全量が、すなわち、エバポレータ31を通過して冷却された導入空気の全量がヒータコア42を通過する位置のままとなるように操作(維持)する。
【0040】一方、電動モータ22で作動するブロワファン21及び電動モータ66で作動する循環ポンプ65はバッテリからの電源供給を受けて作動を続けるので、導入空気は蓄熱された高温のエンジン冷却水が流れるヒータコア42で加熱された温風となって、車室内へと吹き出される。このようなヒータコア42における熱交換で、循環するエンジン冷却水は徐々に温度が下がるが、蓄熱タンク64内に貯蔵されるエンジン冷却水の容量及び温度差に応じた放熱熱量を有しているので、所望の時間(たとえば、温度差が10℃の場合容量5リットルの蓄熱タンクで1分程度)暖房運転を続けることができる。
【0041】この後、アイドルストップが解除されてエンジンEが運転を開始すると、通常運転に戻って冷却水ポンプ57の運転が再開されるので、開閉弁62,63を開いてエンジン冷却水系から加熱源となるエンジン冷却水の供給を受け、ヒータコア42による導入空気の加熱が再開される。従って、循環するエンジン冷却水はヒータコア42で導入空気を加熱すると共に、再度蓄熱されることになる。以後、このような走行時(エンジンE作動時)の蓄熱及び停止時(アイドルストップ時)の放熱を繰り返すことで、アイドルストップ時における比較的短時間の暖房運転を実施することができる。
【0042】次に、図2に基づいて本発明に係る車両用空気調和装置の第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態が上述した第1の実施形態と異なるのは、空調循環流路をエンジン冷却水系から遮断するための流路切換手段である。すなわち、第1の実施形態では、空調バイパス流路61を設けて空調循環流路を形成し、出入口のそれぞれに開閉弁62,63を設けたものであったが、この第2の実施形態では、空調循環流路とエンジン冷却系との接続部に4方弁67を設けてある。この4方弁67は、図2に破線で示す通常運転時と、実線で示すアイドルストップ時との切り換えが可能である。
【0043】従って、アイドルストップ冷房運転時は、4方弁67を実線で示した状態として空調循環流路をエンジン冷却水系から遮断し、同流路内で循環ポンプ65を運転することにより、第1の実施形態と同様の蓄冷及び放冷を行うように構成されている。また、アイドルストップ暖房運転時は、エンジンEを運転する走行時は、通常暖房時と同様に、4方弁67を破線位置にして空調循環流路をエンジン冷却水系に接続した状態で蓄熱する。そして、エンジンEを停止するアイドルストップ時には、4方弁67を実線位置に切換操作して空調循環流路をエンジン冷却水系から遮断し、蓄熱した回路内のエンジン冷却水を循環させてヒータコア42から放熱する。なお、上述したアイドルストップ冷房運転及びアイドルストップ暖房運転においては、何れの場合も循環ポンプ65の運転時期及びウォータバルブ56の開操作が第1の実施形態と同様であるのはいうまでもない。
【0044】
【発明の効果】本発明の車両用空気調和装置によれば、エンジンを停止した状態でも、回路内のエンジン冷却水を媒体として、エンジン作動中に蓄令した冷熱により冷房運転を実施し、エンジン作動中に蓄熱した熱により暖房運転を実施することができるようになる。従って、比較的短時間のアイドルストップを実施する場合であっても、快適な車室内環境を維持し、あるいは温度変化を最小限に抑えることが可能となるので、排気ガスの低減に貢献できると共に、商品性を向上させるといった効果を奏する。また、少ない部品構成でアイドルストップ時の空調を達成できるので、スペースが限られた車両に搭載するには有利であり、また、車体重量やコストの増加を最小限に抑えることもできる。




 

 


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