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発明の名称 装飾部材及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−113895(P2001−113895A)
公開日 平成13年4月24日(2001.4.24)
出願番号 特願平11−295498
出願日 平成11年10月18日(1999.10.18)
代理人 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
【テーマコード(参考)】
3F306
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
3F306 AA00 CA02 CA11 
4D075 BB04X BB29Z BB56Y CA13 CB04 DA04 DB02 DB07 DB31 DC10 DC16 EA35 EB42
4F100 AB01D AB31D AH06D AK01A AK01B AR00C AT00A AT00D BA05 BA07 BA10C BA10D BA10E CC00E DE00B EC03 EJ34D EJ67D GB08 GB51 HB00C HB31C JB16A JK14 JL06 JN01B JN01E JN06B
発明者 鈴木 恭之 / 窪野 優 / 八木 直樹 / 稲葉 好次 / 山田 初雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 光を乱反射する乱反射層を熱可塑性樹脂シート上に形成する工程、上記乱反射層上に接着剤層を介してインク受容層を接着し、かつ上記インク受容層に着色模様を印刷することにより、模様シートを製作する工程、無機材料製の基材上に樹脂塗料により塗装層を形成する工程、上記塗装層の表面を粗面化する工程、上記熱可塑性樹脂シートが上記塗装層に接合されるように上記模様シートを上記基材に重ねる工程、及び上記模様シートを加熱することにより上記熱可塑性樹脂シートを上記塗装層に溶着させる工程を含むことを特徴とする装飾部材の製造方法。
【請求項2】 光を乱反射する乱反射層を熱可塑性樹脂シート上に形成する工程、上記乱反射層上に接着剤層を介してインク受容層を接着し、かつ上記インク受容層に着色模様を印刷することにより、模様シートを製作する工程、無機材料からなる基材の表面を粗面化する工程、オルガノシランを含むコーティング層を上記基材上に形成する工程、上記熱可塑性樹脂シートが上記コーティング層に接合されるように上記模様シートを上記基材に重ねる工程、及び上記模様シートを加熱することにより上記熱可塑性樹脂シートを上記コーティング層に溶着させる工程を含むことを特徴とする装飾部材の製造方法。
【請求項3】 多数の微小な凹凸を有するセパレータの表面にインク受容層を塗布する工程、光を乱反射する乱反射層を熱可塑性樹脂シート上に形成する工程、上記乱反射層上に接着剤を介して上記インク受容層を接着する工程、上記セパレータを剥離することにより上記インク受容層の表面に多数の微小な凹凸を形成するとともに、露出された上記インク受容層の表面に着色模様を印刷して模様シートとする工程、無機材料製の基材上に樹脂塗料により塗装層を形成する工程、上記熱可塑性樹脂シートが上記塗装層に接合されるように上記模様シートを上記基材に重ねる工程、及び上記模様シートを加熱することにより上記熱可塑性樹脂シートを上記塗装層に溶着させる工程を含むことを特徴とする装飾部材の製造方法。
【請求項4】 乱反射層は、透明樹脂と、この透明樹脂に混合され、光を乱反射する多数の反射片とを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の装飾部材の製造方法。
【請求項5】 乱反射層は、熱可塑性樹脂シート上に金属を蒸着することにより形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の装飾部材の製造方法。
【請求項6】 模様シートが重ねられた基材を、排気通路を有する真空排気台上に載置するとともに、通気性を有するシート状の弾性体を介して上記模様シート上にシート状のカバーを被せる工程、及び上記排気通路を介して上記真空排気台と上記カバーとの間を排気することにより、上記弾性体及び上記カバーを介して上記模様シートを上記基材に押し付け、上記熱可塑性樹脂シートを上記基材側に密着させる工程を、上記模様シートを加熱する工程の前に含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の装飾部材の製造方法。
【請求項7】 模様シート上にカバーを被せる工程では、長繊維により構成され通気性を有する長繊維シートを、上記模様シートと上記カバーとの間に介在させることを特徴とする請求項6記載の装飾部材の製造方法。
【請求項8】 弾性体は長繊維により構成されていることを特徴とする請求項6記載の装飾部材の製造方法。
【請求項9】 無機材料からなる基材、この基材上に形成され、表面が粗面化されている塗装層、この塗装層上に溶着されている熱可塑性樹脂層、この熱可塑性樹脂層上に形成され、光を乱反射する乱反射層、この乱反射層上に接着剤層を介して接着され、着色材による着色模様が形成されているインク受容層、及びこのインク受容層上に形成されている透明な保護膜層を備えていることを特徴とする装飾部材。
【請求項10】 無機材料からなり、表面が粗面化されている基材、この基材の表面上に形成され、オルガノシランを含むコーティング層、このコーティング層上に溶着されている熱可塑性樹脂層、この熱可塑性樹脂層上に形成され、光を乱反射する乱反射層、この乱反射層上に接着剤層を介して接着され、着色材による着色模様が形成されているインク受容層、及びこのインク受容層上に形成されている透明な保護膜層を備えていることを特徴とする装飾部材。
【請求項11】 乱反射層は、透明樹脂と、この透明樹脂に混合され、光を乱反射する多数の反射片とを有していることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の装飾部材。
【請求項12】 反射片は、樹脂の小片に金属をコーティングして構成されていることを特徴とする請求項11記載の装飾部材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばエレベータの乗場の戸、かごの戸及びかご室壁等に使用される金属装飾パネルなど、無機材料製の基材上に着色模様を形成する装飾部材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばエレベータの乗場の戸、かごの戸及びかご室壁等の金属装飾パネルを製造する場合、表面に下地塗装が施された金属製の基材上に、接着剤により模様シートを貼り付ける方法がある。また、この方法に用いられる模様シートは、透明なポリエステルフィルム上にインク受容層を形成し、このインク受容層に顔料インクによる着色模様を印刷することにより製作される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の金属装飾パネルの製造方法においては、模様シートと下地塗装層とを接着剤により接着しているが、単に接着するだけでは十分な接着力が得られず、また大面積の模様シートを全体に均等に接着するのは難しく、模様シートと下地塗装層とをより強固かつ均等に接着する必要があった。また、薄い模様シートを貼るだけでは、着色模様に深みがなく、質感が制限されてしまう。
【0004】この発明は、上記のような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、模様シートを基材上に強固かつ均等に結合させることができ、また質感に変化を持たせ、深みのある着色模様を表現することができる装飾部材及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る装飾部材の製造方法は、光を乱反射する乱反射層を熱可塑性樹脂シート上に形成する工程、乱反射層上に接着剤層を介してインク受容層を接着し、かつインク受容層に着色模様を印刷することにより、模様シートを製作する工程、無機材料製の基材上に樹脂塗料により塗装層を形成する工程、塗装層の表面を粗面化する工程、熱可塑性樹脂シートが塗装層に接合されるように模様シートを基材に重ねる工程、及び模様シートを加熱することにより熱可塑性樹脂シートを塗装層に溶着させる工程を含むものである。
【0006】請求項2の発明に係る装飾部材の製造方法は、光を乱反射する乱反射層を熱可塑性樹脂シート上に形成する工程、乱反射層上に接着剤層を介してインク受容層を接着し、かつインク受容層に着色模様を印刷することにより、模様シートを製作する工程、無機材料からなる基材の表面を粗面化する工程、オルガノシランを含むコーティング層を基材上に形成する工程、熱可塑性樹脂シートがコーティング層に接合されるように模様シートを基材に重ねる工程、及び模様シートを加熱することにより熱可塑性樹脂シートをコーティング層に溶着させる工程を含むものである。
【0007】請求項3の発明に係る装飾部材の製造方法は、多数の微小な凹凸を有するセパレータの表面にインク受容層を塗布する工程、光を乱反射する乱反射層を熱可塑性樹脂シート上に形成する工程、乱反射層上に接着剤を介してインク受容層を接着する工程、セパレータを剥離することによりインク受容層の表面に多数の微小な凹凸を形成するとともに、露出されたインク受容層の表面に着色模様を印刷して模様シートとする工程、無機材料製の基材上に樹脂塗料により塗装層を形成する工程、熱可塑性樹脂シートが塗装層に接合されるように模様シートを基材に重ねる工程、及び模様シートを加熱することにより熱可塑性樹脂シートを塗装層に溶着させる工程を含むものである。
【0008】請求項4の発明に係る装飾部材の製造方法は、透明樹脂と、この透明樹脂に混合され、光を乱反射する多数の反射片とを有する乱反射層を用いたものである。
【0009】請求項5の発明に係る装飾部材の製造方法は、熱可塑性樹脂シート上に金属を蒸着することにより乱反射層を形成するものである。
【0010】請求項6の発明に係る装飾部材の製造方法は、模様シートが重ねられた基材を、排気通路を有する真空排気台上に載置するとともに、通気性を有するシート状の弾性体を介して模様シート上にシート状のカバーを被せる工程、及び排気通路を介して真空排気台とカバーとの間を排気することにより、弾性体及びカバーを介して模様シートを基材に押し付け、熱可塑性樹脂シートを基材側に密着させる工程を、模様シートを加熱する工程の前に含むものである。
【0011】請求項7の発明に係る装飾部材の製造方法は、模様シート上にカバーを被せる工程で、長繊維により構成され通気性を有する長繊維シートを、模様シートとカバーとの間に介在させるものである。
【0012】請求項8の発明に係る装飾部材の製造方法は、長繊維により構成された弾性体を用いたものである。
【0013】請求項9の発明に係る装飾部材は、無機材料からなる基材、この基材上に形成され、表面が粗面化されている塗装層、この塗装層上に溶着されている熱可塑性樹脂層、この熱可塑性樹脂層上に形成され、光を乱反射する乱反射層、この乱反射層上に接着剤層を介して接着され、着色材による着色模様が形成されているインク受容層、及びこのインク受容層上に形成されている透明な保護膜層を備えたものである。
【0014】請求項10の発明に係る装飾部材は、無機材料からなり、表面が粗面化されている基材、この基材の表面上に形成され、オルガノシランを含むコーティング層、このコーティング層上に溶着されている熱可塑性樹脂層、この熱可塑性樹脂層上に形成され、光を乱反射する乱反射層、この乱反射層上に接着剤層を介して接着され、着色材による着色模様が形成されているインク受容層、及びこのインク受容層上に形成されている透明な保護膜層を備えたものである。
【0015】請求項11の発明に係る装飾部材は、透明樹脂と、この透明樹脂に混合され、光を乱反射する多数の反射片とを有する乱反射層を用いたものである。
【0016】請求項12の発明に係る装飾部材は、樹脂の小片に金属をコーティングした反射片を用いたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による製造方法により製造された装飾部材の断面図であり、ここではエレベータ用の装飾パネルの例を示している。図において、パネル形状に折曲加工された基材11の表面には、塗装層12が形成されている。基材11は、例えば鋼板又はアルミニウム合金等の金属からなっている。また、塗装層12は、例えばメラミン、アクリル、ウレタン又はエポキシ樹脂塗料からなっている。また、塗装層12の表面は、多数の微小な凹凸が形成されて粗面化されている。
【0018】塗装層12上には、不透明な熱可塑性樹脂層13が形成されている。熱可塑性樹脂層13上には、乱反射層51が形成されている。この乱反射層51は、光を乱反射する多数の反射片が透明樹脂に混合されて構成されている。透明樹脂としては、例えばポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチロール系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、又はポリエチレン系樹脂などの塗料や樹脂が使用される。
【0019】また、反射片としては、アルミニウムやステンレス鋼等の金属、又はパールマイカ片が使用される。さらにパールマイカ片としては、雲母、鱗片、又は樹脂や硝子の小片に金属膜を蒸着したものなどが使用される。例えば、樹脂や硝子の小片に、ニッケル、酸化チタン、又は酸化インジウム錫などの金属を蒸着することにより、パールマイカ片が得られる。
【0020】乱反射層51上には、接着剤層14を介して透明なインク受容層15が接着されている。インク受容層15には、着色材としての顔料インクによる着色模様16が形成されている。インク受容層15上には、透明な保護膜層17が形成されている。
【0021】保護膜層17は、例えばポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチロール系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、又はポリエチレン系樹脂などの塗料や樹脂からなっている。
【0022】次に、図2は図1の装飾部材を製造するために使用される模様シート18の要部断面図である。図において、熱可塑性樹脂シート13A上には、乱反射層51が形成されている。乱反射層51上には、接着剤層14を介してインク受容層15が接着されている。インク受容層15には、着色模様16が印刷されている。
【0023】次に、図2の模様シート18の製造方法について説明する。まず、図3に示すように、セパレータとしてのポリエステルフィルム19の表面にインク受容層15の材料となる樹脂が塗布される。この樹脂を乾燥させることにより、インク受容層15が形成される。また、ここで使用されるポリエステルフィルム19の表面は、図4に示すように、微小な凹凸が一面に形成されている状態、いわゆるマット(mat)な状態になっている。
【0024】一方、熱可塑性樹脂シート13Aの一方の面上には、印刷、吹き付け、ロールコート、又はブレードコートなどの手法により乱反射層51が形成される。乱反射層51を形成する場合、透明樹脂と反射片とを予め混合したものを塗布しても、また透明樹脂をコートした後に反射片を上から振り掛けたりしてもよい。
【0025】この後、図5に示すように、インク受容層15上に接着剤層14が塗布され、さらにその上に、図6に示すように、熱可塑性樹脂シート13Aが接合される。即ち、熱可塑性樹脂シート13A上に形成された乱反射層51が接着剤層14を介してインク受容層15に接着される。この接着後、乾燥工程を経てシート積層体20が巻き取られる。
【0026】この後、図7に示すように、巻き取られたシート積層体20からポリエステルフィルム19が剥離されるとともに、露出された硬化前のインク受容層15上に着色模様16が印刷され、図2に示した模様シート18が製造される。このとき、着色模様16の印刷は、コンピュータ21に接続されたインクジェットプリンタ22により行われる。また、ポリエステルフィルム19の剥離により露出されたインク受容層15の表面には、図8に示すように、ポリエステルフィルム19のマットな表面状態が写し取られている。
【0027】次に、模様シート18を用いた装飾部材の製造方法について説明する。まず、基材11上に塗装層12が形成される。次に、塗装層12の表面が粗面化される。この粗面化工程は、ショットブラストノズル(図示せず)から塗装層12上に多数のガラスビーズ(図示せず)を吹き付ける方法、即ちショットブラスト加工により行われる。
【0028】また、塗装層12の粗面化工程は、外周面に微小な凹凸が形成されたローレット(図示せず)を塗装層12に押し当てながら転動させるローレット加工によって行ってもよい。さらに、塗装層12の粗面化工程は、ヘアライン加工、無方向なサンディング加工、縦横だけのサンディング加工、又はこれらを組み合わせた加工などによって行ってもよい。
【0029】塗装層12の表面が所定の面粗度に粗面化された後、塗装層12上の所定の位置に模様シート18が重ねられる。このとき、模様シート18の熱可塑性樹脂シート13Aが塗装層12に接合される。そして、熱可塑性樹脂シート13Aと塗装層12との間が真空圧着され、さらに熱可塑性樹脂シート13Aが加熱溶融される。
【0030】溶融された熱可塑性樹脂シート13Aは、再び常温に戻されることにより硬化して熱可塑性樹脂層13となり、アンカー効果で塗装層12に溶着される。これにより、着色模様16が形成されたインク受容層15も、接着剤層14、乱反射層51及び熱可塑性樹脂層13を介して塗装層12の表面に強固に固着される。また、インク受容層15は加熱硬化され、これにより着色模様が定着される。
【0031】次に、熱硬化性のクリヤ塗料がインク受容層15上に塗布され、加熱硬化されることにより、保護膜層17が形成される。この保護膜層17のクリヤ塗料は、その加熱硬化温度が熱可塑性樹脂層13の溶融温度よりも低くなるように選択されている。最後に、保護膜層17の表面が研磨されて平面度が高められ、図1に示した断面を有する装飾部材が完成される。
【0032】次に、模様シート18を基材11に真空圧着する工程について具体的に説明する。まず、図9は図1の装飾部材を製造するために使用される真空排気台を示す斜視図である。図において、平板状の真空排気台31は、基材11が載置される平面部31a、この平面部31aに設けられている複数の凹部31b、これらの凹部31b内を排気するための複数の排気通路31cとを有している。平面部31aの周縁部には、平面部31aの気密を保つためのパッキン32が全周に渡って連続して設けられている。
【0033】図10は図9の真空排気台31を有する装飾部材の製造装置、即ち真空圧着装置の要部を示す分解斜視図である。真空排気台31の側面部には、排気通路31cを排気ポンプ(図示せず)に接続するための複数本の排気パイプ33が接続されている。平面部31a上には、基材11に模様シート18を重ねてなるパネル体34が載置される。このパネル体34においては、所定の面粗度に粗面化された塗装層12に、模様シート18の熱可塑性樹脂シート13Aが接合されている。
【0034】パネル体34上には、通気性を有するシート状の弾性体35が被せられる。この弾性体35の材料としては、例えばシリコンゴムスポンジ、テフロンスポンジ、ポリアミドスポンジ、シリコン繊維シート、テフロン繊維シート、ポリアミド繊維シート、硝子繊維シート、硝子繊維綿、ステンレススチールウール、チタンウール、又はアルミウールなど、樹脂、硝子、金属等の耐熱性と柔軟性とを備えたものが使用される。
【0035】弾性体35上には、全周に渡ってパッキン32に接し平面部31aとの間を気密に保つシート状のカバー36が被せられる。このカバー36としては、例えばゴムシート、ポリエチレンシート、又はシリコンシートなどが使用される。カバー36の周縁部は、押さえ枠37とパッキン32との間に挟持される。押さえ枠37の材料としては、例えば金属、FRP、ポリアミド樹脂、又はセメントなど、十分な剛性、耐熱性を有するものが使用される。
【0036】図11は図10の真空圧着装置の組立状態を示す斜視図である。真空排気台31及び押さえ枠37の組立体の側部には、押さえ枠37をパッキン32に押し付ける複数の押さえ金38が装着される。各押さえ金38には、ばね等の加圧調整機構39が設けられている。
【0037】なお、例えば図12に示すように、押さえ枠37の一辺と真空排気台31の一辺とをヒンジ機構により接続してもよく、真空排気台31に対する押さえ枠37の位置合わせが容易となり、作業性が向上する。また、押さえ枠37と真空排気台31とをパンタグラフ機構(図示せず)等により接続してもよい。
【0038】次に、図13は図10の真空圧着装置の組立状態を示す断面図であり、この状態ではまだ真空引きは開始されていない。この状態から、排気ポンプが駆動され、排気通路31cを通して凹部31b内が真空引きされる。これにより、カバー36と真空排気台31との間の空気が排出され、図14に示すように、カバー36が大気圧でパネル体34に押し付けられ、弾性体35が圧縮される。また、模様シート18と塗装層12との間も脱気され、密着性が向上する。
【0039】この後、真空引きしたままの状態で真空圧着装置が乾燥炉(図示せず)に入れられ、パネル体34が真空圧着装置とともに加熱される。このような加熱により、カバー36の柔軟性は増し、より微細な部分までカバー36が大気圧でパネル体34に押し付けられる。これにより、模様シート18は、弾性体35を介して基材11の表面に均等な圧力で押し付けられる。従って、模様シート18が十分かつ均等な強度で基材11上に圧着される。
【0040】このような装飾部材の製造方法によれば、塗装層12上に模様シート18を接合する前に、塗装層12の表面を粗面化するようにしたので、塗装層12の熱可塑性樹脂層13に対する接着性が向上し、これにより模様シート18を基材に強固に結合することができる。さらに、平面のみならず、2次曲面、3次元形状にも容易に適用させることができる。
【0041】さらに、真空排気台31上にパネル体34を載置し、その上から弾性体35及びカバー36を被せてカバー36内を真空排気するようにしたので、模様シート18を基材11に均等に圧着することができ、作業性及び品質を向上させることができる。
【0042】また、インク受容層15の下地に乱反射層51が設けられているが、乱反射層51に含まれる反射片は、そのサイズや表面状態に応じて、入射する光線を乱反射するため、薄い模様シート18を使用しているにも拘わらず、外観に深みが生じる。
【0043】さらに、反射片のサイズ、表面状態、密度などの選択により、質感に変化を持たせることができる。さらにまた、樹脂の小片に金属を蒸着した反射片を用いる場合、乱反射の度合いを容易に調整することができる。また、1枚のパネルの中で、部分的に密度を変化させたり、反射体の配分により模様を描いたりすることもできる。
【0044】また、実施の形態1では、模様シート18の表面に位置するインク受容層15の表面がマットな状態であるため、摩擦係数が高く、弾性体35及びカバー36の横滑りが防止され、真空引きによる加圧力が模様シート18に良好に伝えられ、模様シート18の伸びや皺の発生を抑えて、模様シート18を基材11に均等に押し付けることができる。
【0045】さらに、インク受容層15の表面をマットにしたので、インク受容層15の表面積が大きくなり、顔料などの着色成分を除いた水分などの溶剤が、従来よりも数倍早く吸収、分散、乾燥される。これにより、記録密度を高くすることができ、繊細でメリハリのある美しい画像を提供することができる。
【0046】さらにまた、ポリエステルフィルム19のマットな表面状態をインク受容層15に写し取るようにしたので、インク受容層15の表面をマットな状態にするのが容易である。
【0047】実施の形態2.次に、図15はこの発明の実施の形態2による装飾部材の製造方法を示す断面図である。この例では、基材11上に模様シート18を真空圧着する際、弾性体35と模様シート18のインク受容層15との間に通気性のある長繊維シート41が介在される。この長繊維シート41は、長繊維により構成されたシートである。他の製造方法は、実施の形態1と同様である。
【0048】このような長繊維シート41を介在させることにより、真空圧着時に弾性体35がインク受容層15に付着するのが防止される。また、このような付着を防止する場合、一般的にはインク受容層15上に剥離効果のある薬剤を塗布する方法が用いられるが、インク受容層15上には後工程で保護膜層17が塗布されるため、剥離効果のある薬剤を塗布する方法では、保護膜層17の密着性に悪影響が出る。これに対して、長繊維シート41を用いる方法によれば、保護膜層17の密着性への影響もない。
【0049】なお、実施の形態2では長繊維シート41を弾性体35とは別に設けたが、弾性体35を長繊維により構成してもよい。また、弾性体35の一方の面には長繊維シート41が接合され一体化されたシートを用いてもよい。
【0050】実施の形態3.図16はこの発明の実施の形態3による装飾部材の断面図であり、ここではエレベータ用の装飾パネルの例を示している。図において、パネル形状に折曲加工された基材11の表面には、オルガノシランを含む透明なコーティング層42が形成されている。基材11は、例えばステンレス鋼又はアルミニウム合金等の金属からなっている。
【0051】また、基材11の表面は、多数の微小な凹凸を形成することにより粗面化されている。さらに、コーティング層42の膜厚は、基材11の表面の凹凸に対して十分に薄いものである。
【0052】コーティング層42の材料となるオルガノシランとしては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、又はγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が使用される。
【0053】コーティング層42上には、不透明な熱可塑性樹脂層13が形成されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。従って、熱可塑性樹脂層13と接着剤層14との間には、光を乱反射する多数の反射片が透明樹脂に混合されてなる乱反射層51が形成されている。
【0054】次に、実施の形態3による装飾部材の製造方法について説明する。まず、例えばサンドショット加工、ヘアライン加工、無方向なサンディング加工、縦横だけのサンディング加工、又はこれらを組み合わせた加工により、基材11の表面が粗面化される。
【0055】この後、基材11は、室温から沸点程度の温度に設定され液槽に入れられたアセトン、界面活性剤、又はアルコールなどの液中に、数分から数十分程度浸漬されて脱脂される。続いて、基材11は、スプレー噴射や浸漬などの方法を用いて、室温程度の水道水により洗浄され、さらに純水により同様に洗浄され、数分から数十分程度乾燥される。
【0056】次に、基材11上にコーティング層42が形成される。具体的には、アルコールやエーテルなどの低沸点溶剤によりオルガノシランを1〜10%程度まで希釈したオルガノシラン溶液が用いられる。即ち、オルガノシラン溶液がスプレーにより基材11の表面に噴射されるか、又はオルガノシラン溶液中に基材11が浸漬され、いずれかの作業の後、乾燥室内で50〜100℃の温度で数分から数十分程度乾燥される。これにより、オルガノシランが基材11と反応して、コーティング層42が基材11に結合される。
【0057】コーティング層42が形成された後、コーティング層42上の所定の位置に、実施の形態1と同様の模様シート18が重ねられる。このとき、模様シート18の熱可塑性樹脂シート13Aがコーティング層42に接合される。そして、熱可塑性樹脂シート13Aとコーティング層42との間が真空圧着され、さらに熱可塑性樹脂シート13Aが加熱溶融される。真空圧着の方法は、実施の形態1又は2と同様である。
【0058】溶融された熱可塑性樹脂シート13Aが再び常温に戻されて硬化することにより、熱可塑性樹脂層13が形成される。この熱可塑性樹脂層13は、アンカー効果でコーティング層42に溶着される。これにより、着色模様16が形成されたインク受容層15も、接着剤層14、乱反射層51、及び熱可塑性樹脂層13を介して基材11上に結合される。また、インク受容層15は加熱硬化され、これにより着色模様が定着される。
【0059】次に、熱硬化性のクリヤ塗料がインク受容層15上に塗布され、加熱硬化されることにより、保護膜層17が形成される。この保護膜層17のクリヤ塗料は、その加熱硬化温度が熱可塑性樹脂層13の溶融温度よりも低くなるように選択されている。最後に、保護膜層17の表面が研磨されて平面度が高められ、図16に示した断面を有する装飾部材が完成される。
【0060】ここで、図17は図16のコーティング層42に含まれるオルガノシランの作用を説明するための説明図である。オルガノシランは、無機系シリル基と有機系官能基とを持つ構造となっている。有機系官能基は、例えばアミノ基、エポキシ基、メタクリロキシ基、又はビニル基などである。
【0061】また、基材11として例えば鋼板を用いた場合、基材11側の分子配列は、FeとOとが交互に並び(酸化鉄)、表面に水酸基が結合した状態となっている。さらに、熱可塑性樹脂層13側の端面には、例えばカルボキシル基、又はエステルカルボニル基などが存在している。
【0062】図18は図17の基材11、コーティング層42及び熱可塑性樹脂層13が結合された状態を示す説明図である。オルガノシランの有機系官能基は、熱可塑性樹脂層13のカルボキシル基又はエステルカルボニル基等と反応し、アルコールや水を排出して、例えばアミドを生成する形で化学結合を形成する。また、無機系シリル基は、基材11の表面にある水酸基と反応し、アルコールを排出して、例えば酸素共有する形で化学結合を形成する。
【0063】これらの化学結合により、無機系の基材11上に有機系の熱可塑性樹脂層13がコーティング層42を介して強固に結合される。また、オルガノシランは、一般の接着剤や塗膜等とは異なり、一分子層が基材11の表面を覆う程度で有効に作用するため、基材11の表面の物理的形状に実質的な影響を及ぼしにくくなっている。
【0064】但し、例えばビニルトリクロルシランなど、塩素を持つオルガノシランは、反応時にアルコールではなく塩酸を排出するため、基材11の種類によっては使用しないことが望ましい。
【0065】このような装飾部材の製造方法では、オルガノシランを含むコーティング層42を用いたので、無機質の基材11上に模様シート18を強固かつ均等に結合させることができる。また、基材11の表面を粗面化したので、基材11の表面積を大きくして、模様シート18をより強固に結合させることができる。
【0066】また、インク受容層15の下地に乱反射層51が設けられているが、乱反射層51に含まれる反射片は、そのサイズや表面状態に応じて、入射する光線を乱反射するため、薄い模様シート18を使用しているにも拘わらず、外観に深みが生じる。
【0067】さらに、反射片のサイズ、表面状態、密度などの選択により、質感に変化を持たせることができる。さらにまた、樹脂の小片に金属を蒸着した反射片を用いる場合、乱反射の度合いを容易に調整することができる。また、1枚のパネルの中で、部分的に密度を変化させたり、反射体の配分により模様を描いたりすることもできる。
【0068】なお、実施の形態3による装飾部材の製造方法においても、基材11上に模様シート18を真空圧着する際、実施の形態2と同様に、弾性体35と模様シート18のインク受容層15との間に、通気性のある長繊維シート41を介在してもよい。また、弾性体35を長繊維により構成してもよく、弾性体35の一方の面に長繊維シート41が接合され一体化されたシートを用いてもよい。
【0069】また、実施の形態1〜3ではパネル状の装飾部材を示したが、装飾部材の形状はこれに限定されるものではない。さらにまた、基材の材料は、銅、チタニウムなどの他の金属や、硝子等の金属以外の無機材料であってもよい。
【0070】また、実施の形態1〜3では、透明樹脂に反射片を混合した乱反射層51を示したが、熱可塑性樹脂シート13Aの表面に、ニッケル、酸化チタン、酸化インジウム錫などの金属を直接蒸着することにより乱反射層を形成することも可能である。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明の装飾部材の製造方法は、塗装層の表面を粗面化するようにしたので、塗装層の熱可塑性樹脂シートに対する接着性が向上し、これにより模様シートを基材に強固に結合することができる。さらに、インク受容層の下地に乱反射層を設けたので、質感に変化を持たせ、深みのある着色模様を表現することができる。
【0072】請求項2の発明の装飾部材の製造方法は、オルガノシランを含むコーティング層を介して、無機材料製の基材上に模様シートを結合するようにしたので、模様シートを基材上に強固かつ均等に結合させることができる。また、基材の表面を粗面化したので、基材の表面積を大きくして、模様シートをより強固に結合させることができる。さらに、インク受容層の下地に乱反射層を設けたので、質感に変化を持たせ、深みのある着色模様を表現することができる。
【0073】請求項3の発明に係る装飾部材の製造方法は、セパレータの表面にインク受容層を塗布し、この後セパレータを剥離することによりインク受容層の表面に多数の微小な凹凸を形成するようにしたので、インク受容層の表面に微小な凹凸を形成するのが容易である。さらに、インク受容層の下地に乱反射層を設けたので、質感に変化を持たせ、深みのある着色模様を表現することができる。
【0074】請求項4の発明の装飾部材の製造方法は、透明樹脂に反射片を混合した乱反射層を用いたので、反射片のサイズ、表面状態、密度などの選択により、質感に容易に変化を持たせることができる。
【0075】請求項5の発明の装飾部材の製造方法は、熱可塑性樹脂シート上に金属を蒸着することにより乱反射層を形成するので、蒸着材料や蒸着条件を変化させることにより、質感に容易に変化を持たせることができる。
【0076】請求項6の発明の装飾部材の製造方法は、模様シートが重ねられた基材を、排気通路を有する真空排気台上に載置するとともに、通気性を有するシート状の弾性体を介して模様シート上にシート状のカバーを被せ、この後、排気通路を介して真空排気台とカバーとの間を排気するようにしたので、模様シートを基材に強固かつ均等に圧着し溶着することができ、作業性及び品質を向上させることができる。
【0077】請求項7の発明の装飾部材の製造方法は、模様シート上にカバーを被せる工程において、長繊維により構成され通気性を有する長繊維シートを、模様シートとカバーとの間に介在させるようにしたので、真空圧着時に弾性体がインク受容層に付着するのが防止される。
【0078】請求項8の発明の装飾部材の製造方法は、弾性体を長繊維により構成したので、真空圧着時に弾性体がインク受容層に付着するのが防止される。
【0079】請求項9の発明の装飾部材は、塗装層の表面を粗面化するようにしたので、塗装層の熱可塑性樹脂シートに対する接着性が向上し、これにより模様シートを基材に強固に結合することができる。さらに、インク受容層の下地に乱反射層を設けたので、質感に変化を持たせ、深みのある着色模様を表現することができる。
【0080】請求項10の発明の装飾部材は、オルガノシランを含むコーティング層を介して、無機材料製の基材上に模様シートを結合するようにしたので、模様シートを基材上に強固かつ均等に結合させることができる。また、基材の表面を粗面化したので、基材の表面積を大きくして、模様シートをより強固に結合させることができる。さらに、インク受容層の下地に乱反射層を設けたので、質感に変化を持たせ、深みのある着色模様を表現することができる。
【0081】請求項11の発明の装飾部材は、透明樹脂に反射片を混合した乱反射層を用いたので、反射片のサイズ、表面状態、密度などの選択により、質感に容易に変化を持たせることができる。
【0082】請求項12の発明の装飾部材は、樹脂の小片に金属を蒸着した反射片を用いたので、乱反射の度合いを容易に調整することができる。




 

 


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