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発明の名称 軽油の水素化脱硫触媒の製造方法及び軽油の水素化処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−62304(P2001−62304A)
公開日 平成13年3月13日(2001.3.13)
出願番号 特願平11−244430
出願日 平成11年8月31日(1999.8.31)
代理人 【識別番号】100095485
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 千賀志 (外1名)
【テーマコード(参考)】
4G069
4H029
【Fターム(参考)】
4G069 AA03 AA08 BA01A BA01B BA07A BA07B BC59A BC59B BC67A BC67B BC68A BC68B BD07A BD07B CC02 DA05 FA06 FB14 FC08 ZA01A ZA04B ZD02 ZD06 ZD07 
4H029 CA00 DA00
発明者 藤川 貴志 / 水口 博史
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 アルミナ又はアルミナ含有物80〜99.5質量%と、ゼオライト0.5〜20質量%とを有する複合酸化物担体に、コバルト、ニッケルの少なくとも一方を担持させる第1工程と、コバルト、ニッケルの少なくとも一方とモリブデンとリンを担持させる第2工程とからなり、上記第1工程で担持させるコバルト、ニッケルの少なくとも一方の量を酸化物換算で担体に対し0.1〜2質量%とし、コバルト、ニッケルの少なくとも一方の全量を酸化物換算で触媒に対し3〜8質量%とし、モリブデン量を酸化物換算で触媒に対し12〜22質量%とし、リン量を酸化物換算で触媒に対し0.8〜5質量%とすることを特徴とする軽油の水素化脱硫触媒の製造方法。
【請求項2】 請求項1で得られる触媒を用い、水素分圧3〜8MPa、300〜420℃、及び液空間速度0.3〜5hr−1の条件で、軽油留分と接触させることを特徴とする軽油の水素化処理方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽油留分を水素化処理して硫黄分を深度脱硫する際に使用する水素化脱硫触媒の製造方法と、この触媒を使用して軽油留分を水素化処理する方法とに関する。
【0002】
【技術背景】近年、大気環境改善のために、軽油の品質規制値が世界的に厳しくなる傾向にあり、既に、北欧諸国の一部では、軽油の品質規制を硫黄分50ppm以下、芳香族分5%以下とする強化が始まっており、このような規制強化は、今後、更に厳しくなるものと予想される。我が国においても、近い将来、軽油について、硫黄分の規制強化が見込まれている。
【0003】軽油中の硫黄分は、排ガス対策として期待されている酸化触媒、窒素酸化物(NOx)還元触媒、ディーゼル排気微粒子除去フィルタ等の後処理装置の耐久性に悪影響を及ぼす懸念があるため、規制強化の第一対象とされている。
【0004】以上のような理由から、軽油については、更なる低硫黄化への要請があり、従来の深度脱硫技術のより一層の改善が求められている。軽油の深度脱硫技術では、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン(4,6−DMDBT)のような難脱硫性硫黄化合物をいかに効率よく除去するかが課題となっている。これらの物質が脱硫され難いのは、アルキル置換基の位置が硫黄原子の近傍にあるため、触媒の活性点と接触する際に、該アルキル置換基による立体障害が起こるためと考えられている。従って、超深度脱硫領域で効率的に脱硫反応を行わせるには、脱硫活性点への立体障害を有するこれらの物質の脱硫反応を効率的に進行させるような触媒を開発することが重要な課題となる。
【0005】従来、水素化脱硫触媒を製造する一般的な方法としては、周期律表第6B族金属、第8族金属(以下、活性金属)の塩の水溶液を担体に含浸させた後、乾燥・焼成する「含浸法」、アルミナやアルミナゲルを分散させた水溶液中に活性金属塩の水溶液を加えて金属化合物を沈澱させる「共沈法」、アルミナやアルミナゲルと活性金属塩水溶液との混合ペーストを加熱混練し水分除去を行う「混練法」がある(「触媒調製化学」,尾崎萃編,講談社サイエンティック,250〜252頁参照)。
【0006】これらの担体として最もよく用いられているのはアルミナである。また、アルミナほどではないが、シリカ,チタニア,ボリア等をアルミナと組み合わせたアルミナ−シリカ、アルミナ−チタニア,アルミナ−ボリア等も担体に使用され、更にはアルミナとゼオライトとを組み合わせたアルミナ−ゼオライト等も担体として使用される場合がある。
【0007】前述のアルミナ−ゼオライト担体に水素化活性成分を担持させる方法で製造する触媒は、比較的高分子量の反応物質をアルミナ部分で反応させ、比較的低分子量の反応物質をゼオライトの部分で反応させることにより、触媒全体の脱硫活性の向上を図ったものである。しかし、アルミナ−ゼオライト担体に水素化活性金属成分を担持させると、該活性金属成分とアルミナとの優れた反応性に起因して、該活性金属成分の殆どがアルミナ部分に担持される。その結果、担体全体からすると、アルミナのみを単独で担体とする場合に比して担持する水素化活性金属成分量が制限される。
【0008】そこで、本出願人は、先に、ゼオライトの特徴である酸性質を有効に利用し、かつ触媒全体としてより多くの水素化活性金属成分を含有し得る触媒を得ることのできる製造方法として、第1工程で、Co、Niの少なくとも一方をイオン交換したゼオライトと、アルミナ又はアルミナ含有物とを混合し、第2工程で、このCo、Ni担持ゼオライト−アルミナ複合酸化物担体に、Co、Niの少なくとも一方と周期律表第6B族金属を担持させる方法を提案している(特公平8−32308号)。
【0009】
【発明の目的】本発明は、この先提案方法によるよりも、水素化脱硫活性点を大幅に増やすことができ、その結果、脱硫活性を高めることができる、軽油の水素化処理触媒を製造する方法を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、この触媒を用いた軽油の水素化処理方法を提供することを第2の目的とする。
【0010】
【発明の概要】本発明者等は、上記目的を達成するために検討を重ねたところ、予め、水素化活性金属成分のうち、周期律表第8族金属のニッケル、コバルトの少なくとも一方をゼオライト−アルミナの複合酸化物担体に担持しておき、これにコバルト、ニッケルの少なくとも一方と、モリブデンと、リンとを担持させる方法で製造される触媒が、軽油の水素化脱硫に極めて有効であることを見出した。
【0011】本発明は、この知見に基づくもので、アルミナ又はアルミナ含有物80〜99.5質量%と、ゼオライト0.5〜20質量%とを有する複合酸化物担体に、コバルト、ニッケルの少なくとも一方を担持させる第1工程と、コバルト、ニッケルの少なくとも一方とモリブデンとリンとを担持させる第2工程とからなり、第1工程で担持させるコバルト、ニッケルの少なくとも一方の量を酸化物換算で担体に対し0.1〜2質量%とし、コバルト、ニッケルの少なくとも一方の全量を酸化物換算で触媒に対し3〜6質量%とし、モリブデン量を酸化物換算で触媒に対し12〜22質量%とし、リン量を酸化物換算で触媒に対し0.8〜5質量%とすることを特徴とする軽油の水素化脱硫触媒の製造方法を要旨とする。
【0012】本発明における複合酸化物担体の一方の構成成分であるゼオライトは、天然のものでも合成されたものでもよく、その例としてフォージャサイトX型ゼオライト、フォージャサイトY型ゼオライト(以下、「Yゼオライト」という)、チャパサイト型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、ゼオライトベータ、MCM系ゼオライト(MCM−41,MCM−22,MCM−48等)、ZSM系ゼオライト(ZSM−4,ZSM−5,ZSM−8,ZSM−11,ZSM−12,ZSM−20,ZSM−21,ZSM−23,ZSM−34,ZSM−35,ZSM−38,ZSM−43等がある)、鉄シリケート、ボロシリケート、ガロシリケート、SSZ−33、UTD−1、CIT−5、VPI−5、TS−1、TS−2、OU−1等が挙げられ、中でもYゼオライト、安定化Yゼオライト、ゼオライトベータ、ZSM−5等が好ましい。特に、好ましくはプロトン型のゼオライトである。
【0013】ゼオライト中のケイ素元素対アルミニウム元素の原子数比Si/Alは、約1以上のものが好ましい。ゼオライト中のナトリウムのようなアルカリ金属イオンは、含有量が多いと触媒活性を低下させてしまうので、通常はゼオライトに対し約0.5質量%以下にすることが好ましい。
【0014】上記のYゼオライト、安定化Yゼオライトは、公知のものを用いることができる。Yゼオライトは、天然のフォージャサイトと基本的には同一の結晶構造を有し、酸化物として表わすと、化1の組成式のように表現し得る。
【0015】
【化1】0.7〜1.1R2/mO・Al・3〜5SiO・7〜9HO(式中、RはNa,K,その他のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、mはその原子価である。)
【0016】安定化Yゼオライトは、例えば、米国特許第3,293,192号、同第3,402,996号に記載されているものを好ましく使用できる。安定化Yゼオライトは、高温での水蒸気処理を数回行うことにより、結晶度の劣化に対し著しい耐性を示す。安定化Yゼオライトは、R2/mOの含量が約4質量%以下、好ましくは約1質量%以下で、単位格子寸法が約24.5Åのものが適している。安定化Yゼオライトは、Si/Alの原子比が約3〜7あるいはそれ以上のYゼオライトを意味する。
【0017】ZSM−5は、米国特許第3,894,106号、同第3,894,107号、同第3,928,483号、英国特許第1,402,981号、特公昭55−67522号に記載された合成法により得られるものが好ましく使用される。
【0018】本発明における複合酸化物担体の他方の構成成分であるアルミナは、γ−アルミナ、χ−アルミナ、η−アルミナのいずれか1種又はこれらの混合体が好適である。また、アルミナ含有物は、アルミナの他に担体物質を配合することにより得られる組成物で、例えば、シリカ,マグネシア,酸化カルシウム,ジルコニア,チタニア,ボリア等の1種又は2種以上をアルミナに配合することができる。
【0019】上記複合酸化物担体は、アルミナ又はアルミナ含有物のゲルと、ゼオライトとを混合させて調製する。このアルミナゲルは、例えば、硫酸アルミニウム,硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩をアンモニウムのような塩基で中和し、あるいはアルミン酸ナトリウムのようなアルミン酸塩を酸性アルミニウム塩又は酸で中和し、生成したゲルを洗浄し、加熱熟成して調製することができる。アルミナゲルの調製法の具体的な一態様は、次の通りである。酸性アルミニウム水溶液(好ましくはその濃度が約0.3〜2モルの範囲)及びアルミン酸アルカリ溶液に、水酸化アルカリ溶液等を添加し、pH約6.0〜11.0、好ましくは約8.0〜10.5の範囲でヒドロゲル又はヒドロゾルを生成させるか、あるいはアンモニア水、硝酸又は酢酸を適宜添加し、pHを調整しながら、この懸濁液を約50〜90℃に加熱して少なくとも2時間保持する。次いで、沈澱をロ別し、酢酸アンモニウム及び水で洗浄して不純物イオンを除去する。
【0020】次に、H型ゼオライトを、例えば上記のようにして調製したアルミナゲル又はアルミナ含有物ゲルと混合する。このときの混合割合は、アルミナ又はアルミナ含有物が80〜99.5質量%で、ゼオライトが0.5〜20質量%である。ゼオライト部が少なすぎ、アルミナ部が多すぎると、充分な効果が得られず、逆にゼオライト部が多すぎ、アルミナ部が少なすぎると、過分解によりコーキングが生起し、コークが堆積して、脱硫活性点を消失させる。混合は、物理的な方法で行い、得られた混合ゲルを水分調整し、その後押し出し成型機により成型後、乾燥し、約400〜700℃で、約1〜5時間焼成してゼオライト−アルミナ複合酸化物担体を得る。
【0021】本発明の第1工程は、上記のようにして得られるゼオライトとアルミナ又はアルミナ含有物との復合酸化物(以下、ゼオライト−アルミナ複合酸化物と記す)担体に、Co、Niの少なくとも一方の特定量を担持させる工程である。この担持方法は、次のような通常の方法により行うことができる。担持に使用できるCo,Ni化合物は、硝酸塩,硫酸塩,塩化物,酢酸塩等であり、これらの化合物を水、酸等の溶媒に溶解した溶液を、ゼオライト−アルミナ担体に含浸し担持させる含浸法により担持する。Co、Niの少なくとも一方の担持量は、酸化物換算で担体に対し0.1〜2質量%である。少なすぎると、より以上の水素化活性を望めず、多すぎると過分解が生起したり、ゼオライト−アルミナ担体の表面積を低下させることとなり、好ましくない。
【0022】Co、Niの少なくとも一方を担持したゼオライト−アルミナ担体の比表面積、細孔容積、及び平均細孔直径は、特に制限されないが、軽油に対する水素化脱硫活性の高い触媒にするためには、比表面積(BET法)が200〜400m/g、好ましくは300〜350m/g、細孔容積(水銀圧入法)が0.5〜0.8ml/g、好ましくは0.55〜0.7ml/g、平均細孔径が55〜90Å、好ましくは60〜80Åが適している。
【0023】比表面積が200m/g未満では、活性金属の分散性が悪くなるため、低脱硫活性の触媒となり、400m/gより大きいと、細孔直径が極端に小さくなるため、触媒の細孔直径も小さくなる。触媒の細孔直径が小さいと、硫黄化合物の触媒細孔内への拡散が不十分となり、脱硫活性が低下する。
【0024】細孔容積が0.5ml/g未満では、通常の含浸法で触媒を調製する場合、細孔容積内に入り込む溶媒が少量となる。溶媒が少量であると、活性金属化合物の溶解性が悪くなり、金属の分散性が低下し、低活性の触媒となる。活性金属化合物の溶解性を上げるためには、硝酸等の酸を多量に加える方法があるが、余り加えすぎると担体の低表面積化が起こり、脱硫性能低下の主原因となる。細孔容積が0.8ml/gより大きいと、比表面積が極端に小さくなって、活性金属の分散性が悪くなり、脱硫活性の低い触媒となる。
【0025】細孔直径が55Å未満では、活性金属を担持した触媒の細孔直径も小さくなる。触媒の細孔直径が小さいと、硫黄化合物の触媒細孔内への拡散が不十分となり、脱硫活性が低下する。細孔直径が90Åより大きいと、比表面積が小さくなる。比表面積が小さいと、活性金属の分散性が悪くなり、脱硫活性の低い触媒となる。
【0026】本発明の第2工程は、上記の第1工程で得られるCo、Niの少なくとも一方を担持したゼオライト−アルミナ担体に、Co、Niの少なくとも一方の残量とMo及びPの特定量とを担持させる工程である。これらの水素化脱硫活性成分の担持方法は、下記するような通常の方法により行うことができる。Co、Ni、Mo、P成分のうち、Co,Ni化合物としては、炭酸塩,酢酸塩,硝酸塩,硫酸塩,塩化物が挙げられ、好ましくは炭酸塩、酢酸塩、より好ましくは炭酸塩である。Mo化合物としては、三酸化モリブデン、モリブドリン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸等が挙げられ、好ましくはモリブドリン酸、三酸化モリブデンである。Pは、上記の活性成分の化合物として、モリブドリン酸等のPを含む化合物を使用する場合には、これらの化合物に由来するものであってもよいし、P化合物以外の化合物を使用する場合や、P化合物に由来するPのみでは不足する場合には、この化合物と共に他のP源を使用する。他のP源としては、種々のリン酸が挙げられ、具体的には、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、ポリリン酸等が挙げられ、特にオルトリン酸が好ましい。
【0027】これらの活性成分のうち、Co、Niの少なくとも一方の全量(第1工程での担持量と第2工程での担持量との合量)は、酸化物換算で、触媒に対し、3〜8質量%、好ましくは3.5〜7質量%とする。Co、Niの少なくとも一方が3質量%未満では、Co、Niに帰属する活性点が十分に得られず、8質量%を超えると、Co、Ni化合物の凝集によって活性金属の分散性が悪くなるばかりか、不活性な前駆体であるCo、NiO種(触媒硫化後や水素化処理中はCo、Ni種として存在する)や、担体の格子内に取り込まれたCoスピネル、Niスピネル種を生成するため、触媒活性の向上がみられない上、逆に触媒活性が低下する。
【0028】Moの含有量は、酸化物換算で、触媒に対し、12〜22質量%、好ましくは18〜21質量%とする。Moが12質量%未満では、Moに起因する効果を発現させるには不十分であり、22質量%を超えると、Moの凝集によって活性金属の分散性が悪くなるばかりか、効率的に分散する活性金属含有量の限度を超えたり、触媒表面積が大幅に低下する等により、触媒活性の向上がみられない。
【0029】Pの含有量は、酸化物換算で、触媒に対し、0.8〜5質量%、好ましくは1〜4質量%とする。Pは、触媒の酸性質を向上させる作用をなす。触媒が好適な酸性質の値を示す場合には、活性成分の分散性が向上し、担体上の酸点の量が最適値を示して、硫黄化合物の吸着を促進し、硫黄化合物の水素化脱硫活性を向上させる。なお、Pが多すぎると、触媒の表面積や細孔容積の減少が起こり、脱硫活性が低下する。Pが0.8質量%未満では、P成分を含有させる技術的意義が発現せず、軽油留分中の硫黄分を効率的に除去することができず、5質量%を超えても、この効果は飽和し、不経済となる。
【0030】Co、Ni、Mo、P各成分の上記した含有量において、活性金属であるCo、Ni、Moの最適質量比は、〔CoO+NiO〕/〔CoO+NiO+MoO〕の値で、0.12〜0.33であり、活性金属であるMoと触媒の酸性質向上成分であるPの最適質量比は、〔P〕/〔MoO〕の値で、0.05〜0.25である。Co、NiとMoの質量比が上記の値で0.12未満では、脱硫の活性点と考えられるCo−Mo−S相、Ni−Mo−S相が十分に生成できず、脱硫活性が向上しない。0.33より大きいと、活性に関与しない無駄なCo、Ni種(Co、Ni種や、担体の格子内に取り込まれたCo、Niスピネル種)が生成し、触媒活性が低下する。MoとPの質量比が上記の値で0.05未満では、CoとMoの渾然一体化が図れず、最終的に脱硫の活性点であるCo−Mo−S相、Ni−Mo−S相が得られ難く、活性の低い触媒となる。0.25より大きいと、触媒の表面積及び細孔容積の減少を招き、触媒の活性が低下するのみならず、酸量が増えることとなり、炭素析出を招いて活性劣化を引き起こし易くなる。
【0031】加えて、本発明の触媒は、CoO、NiO、MoO、P、ゼオライト、アルミナ、アルミナ含有物以外の金属含有量が1質量%以下であることが好ましい。これら以外の金属が1質量%より多く含有されていると、活性点が被毒され、脱硫活性の低い触媒となる。
【0032】本発明の第2工程は、Co、Niの少なくとも一方を担持したゼオライト−アルミナ担体に、水、酸等の溶媒に上記各成分の化合物を溶解した溶液を含浸して担持させる含浸法により行うのが一般的である。このとき、Co、Ni、Mo、Pの各成分を担体に含浸させる方法は、これら各成分を同時に含浸させる一段含浸法が好ましい。一段含浸法は、脱硫活性点数、酸性質、細孔等の触媒の特性の面、あるいは操作性の面から、有利と考えられるからである。すなわち、一段含浸法によれば、Co、NiとMoが渾然一体化して担体に取り込まれることとなるため、第1工程で既に担持されているCo、Niの少なくとも一方との相乗作用により、最終的に脱硫の活性点であるCo−Mo−S相、Ni−Mo−S相を大幅に増加させることができる。このとき、P成分が含浸溶液に存在していると、Co、NiとMoの渾然一体化が促進される。
【0033】これに対し、Co、NiとMoを二段含浸させる方法では、Co、NiとMoは十分に渾然一体化せず、第1工程で既に担持されているCo、Niの少なくとも一方との相乗作用があっても、最終的に脱硫の活性点であるCo−Mo−S相、Ni−Mo−S相の形成が困難になると考えられる。例えば、Co、Niは、前述した不活性な前駆体であるCo、NiO種や、担体の格子内に取り込まれた活性に関与しないCo、Niスピネル種となることがある。
【0034】Co、NiとMoを担体に担持させる具体的方法は、次の通りである。Co、Ni、Mo、Pの各化合物(Mo化合物にPが含まれている場合はP化合物を加えないか、適当量のP化合物を添加する)を含む溶液を調製する。調製時、これらの化合物の溶解を促進するために、加温(30〜100℃)や、酸(硝酸、有機酸《クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸等》)の添加を行ってもよい。調製した溶液を、担体に、均一になるよう徐々に添加して含浸する。含浸時間は1分〜5時間、好ましくは5分〜3時間、温度は5〜100℃、好ましくは10〜80℃、雰囲気は特に限定しないが、大気中、窒素中、真空中が適している。
【0035】含浸担持後、常温〜80℃、窒素気流中、空気気流中、あるいは真空中で、水分をある程度(LOI《Loss on ignition》50%以下となるように)除去し、乾燥炉、空気気流中、80〜150℃で、10分〜10時間乾燥する。次いで、焼成炉、空気気流中、300〜700℃で、10分〜10時間焼成を行う。
【0036】以上のようにして調製される本発明の触媒は、軽油留分に対する水素化活性及び脱硫活性を高めるために、その比表面積、細孔容積及び平均細孔径が、以下の値に制限される。比表面積(BET法)は、180〜300m/g、好ましくは200〜280m/gとする。180m/g未満では、活性金属の分散性が悪くなって低脱硫活性の触媒となり、300m/gより大きいと、細孔直径が極端に小さくなるため、触媒の細孔直径も小さくなって、水素化処理の際、硫黄化合物の触媒細孔内への拡散が不十分となり、脱硫活性が低下する。
【0037】細孔容積(水銀圧入法)は、0.4〜0.7ml/g、好ましくは0.45〜0.6ml/gとする。0.4ml/g未満では、水素化処理の際、硫黄化合物の触媒細孔内での拡散が不十分となって脱硫活性が不十分となり、0.7ml/gより大きいと、触媒の比表面積が極端に小さくなって、活性金属の分散性が低下し、低脱硫活性の触媒となる。
【0038】平均細孔直径は、70〜100Å、好ましくは75〜90Åとする。70Å未満では、反応物質が細孔内に拡散し難くなるため、脱硫反応が効率的に進行せず、100Åより大きいと、細孔内の拡散性は良いものの、細孔内表面積が減少するため、触媒の有効比表面積が減少し、活性が低くなる。
【0039】また、上記の細孔条件を満たす細孔の有効数を多くするために、触媒の細孔径分布、即ち平均細孔径±15Åの細孔径を有する細孔の割合は、70%以上、好ましくは80%以上とする。しかも、細孔分布は、モノモーダルであることが好ましい。触媒の細孔径分布がシャープなものでないと、活性に関与しない細孔が増大し、脱硫活性が減少する。
【0040】触媒形状は、特に限定されず、通常、この種の触媒に用いられている種々の形状、例えば、円柱状、四葉型等を採用することができ、好ましくは拡散の観点から四つ葉型である。触媒の大きさは、通常、直径1〜2mm、長さ2〜5mmが好ましい。触媒の機械的強度は、側面破壊強度(SCS《Side crush strength》)で2lbs/mm以上が好ましい。SCSが、2lbs/mm未満では、反応装置に充填した触媒が破壊され、反応装置内で差圧が発生し、水素化処理運転の続行が不可能となる。触媒の最密充填かさ密度(CBD:Compacted Bulk Density)は、0.6〜1.2が好ましい。
【0041】触媒中の活性金属の分布状態は、触媒中で活性金属が均一に分布しているユニフォーム型が好ましい。
【0042】本発明の軽油の水素化処理方法は、上記のようにして製造される触媒を用い、水素分圧3〜8MPa、300〜420℃、及び液空間速度0.3〜5hr−1の条件で、硫黄化合物を含む軽油留分と接触させる方法である。本発明の方法によれば、軽油留分中の難脱硫性硫黄化合物までも減少することができる。
【0043】本発明の水素化処理方法を商業規模で行うには、本発明の方法で得られる触媒の固定床、移動床、あるいは流動床式の触媒層を反応装置内に形成し、この反応装置内に原料油を導入し、上記の条件で水素化反応を行えばよい。最も一般的には、固定床式触媒層を反応装置内に形成し、原料油を反応装置の上部に導入し、固定床を上から下に通過させ、反応装置の下部から生成物を流出させるものか、反対に原料油を反応装置の下部に導入し、固定床を下から上に通過させ、反応装置の上部から生成物を流出させるものである。
【0044】本発明の水素化処理方法は、本発明の方法で得られる触媒を、単独の反応装置に充填して行う一段の水素化処理方法であってもよいし、幾つかの反応装置に充填して行う多段連続水素化処理方法であってもよい。
【0045】なお、本発明の方法で得られる触媒は、使用前に(すなわち、上記の水素化処理方法を行うのに先立って)、上記の反応装置中で硫化処理して活性化する。この硫化処理は、200〜400℃、好ましくは250〜350℃、常圧あるいはそれ以上の水素分圧の水素雰囲気下で、硫黄化合物を含む石油蒸留物、それにジメチルジスルファイドや二硫化炭素等の硫化剤を加えたもの、あるいは硫化水素を用い、30分〜100時間行う。
【0046】
【実施例】〔触媒の製造例〕
実施例1SiO/Alモル比6のSHYゼオライト粉末(平均粒子径3.5μm、粒子径6μm以下のものがゼオライト全粒子の87%)と、アルミナ水和物を混練し、押出成形後、600℃で2時間焼成して、直径1/16インチの柱状成型物のゼオライト−アルミナ(ゼオライト/アルミナ質量比=7/93、細孔容積0.65ml/g、比表面積382m/g、平均細孔直径62Å)を得た。
【0047】一方、イオン交換水21.7gに、硝酸コバルト・6水和物1.17gを溶解させた含浸用の溶液を調製した。
【0048】上記ゼオライト−アルミナ29.7gをナス型フラスコ中に投入し、そこへ上記の含浸液の全量をピペットで添加し、約25℃で1時間浸漬した。この後、窒素気流中で風乾し、マッフル炉中120℃で約1時間乾燥させ、500℃で4時間焼成し、Co担持ゼオライト−アルミナ担体(比表面積334m/g、細孔容積0.65ml/g、細孔直径68Å)を得た。
【0049】一方、イオン交換水11.58gに、炭酸コバルト2.21gと、モリブドリン酸7.61gと、リン酸0.78gを溶解させた含浸用の溶液を調製した。
【0050】ナス型フラスコ中に、上記のCo担持ゼオライト−アルミナ担体20.0gを投入し、そこへ上記の含浸用溶液の全量をピペットで添加し、約25℃で1時間浸漬した。この後、窒素気流中で風乾し、マッフル炉中120℃で約1時間乾燥させ、500℃で4時間焼成し、触媒Aを得た。
【0051】実施例2実施例1で得たゼオライト−アルミナ29.7gに、イオン交換水21.7gに硝酸ニッケル・6水和物1.17gを溶解させた含浸用の溶液をピペットで添加し、実施例1と同様にして浸漬、風乾、乾燥、焼成を行い、Ni担持ゼオライト−アルミナ担体(比表面積332m/g、細孔容積0.66ml/g、細孔直径69Å)を得た。ナス型フラスコ中に、このNi担持ゼオライト−アルミナ担体20.0gを投入し、実施例1で調製したCo、Mo、P含浸溶液の全量を実施例1と同様にして添加浸漬後、実施例1と同様にして風乾、乾燥、焼成を行い、触媒Bを得た。
【0052】実施例3実施例1で得たゼオライト−アルミナ29.7gに、イオン交換水21.7gに硝酸ニッケル・6水和物0.58gを溶解させた含浸用の溶液をピペットで添加し、実施例1と同様にして浸漬、風乾、乾燥、焼成を行い、Ni担持ゼオライト−アルミナ担体(比表面積342m/g、細孔容積0.65ml/g、細孔直径66Å)を得た。ナス型フラスコ中に、このNi担持ゼオライト−アルミナ担体20.0gを投入し、実施例1で調製したCo、Mo、P含浸溶液の全量を実施例1と同様にして添加浸漬後、実施例1と同様にして風乾、乾燥、焼成を行い、触媒Cを得た。
【0053】実施例4実施例1で得たゼオライト−アルミナ29.7gに、イオン交換水21.7gに硝酸ニッケル・6水和物1.76gを溶解させた含浸用の溶液をピペットで添加し、実施例1と同様にして浸漬、風乾、乾燥、焼成を行い、Ni担持ゼオライト−アルミナ担体(比表面積331m/g、細孔容積0.63ml/g、細孔直径68Å)を得た。ナス型フラスコ中に、このNi担持ゼオライト−アルミナ担体20.0gを投入し、実施例1で調製したCo、Mo、P含浸溶液の全量を実施例1と同様にして添加浸漬後、実施例1と同様にして風乾、乾燥、焼成を行い、触媒Dを得た。
【0054】比較例1実施例1で得たゼオライト−アルミナ29.7gに、イオン交換水21.7gに硝酸ニッケル・6水和物4.82gを溶解させた含浸用の溶液をピペットで添加し、実施例1と同様にして浸漬、風乾、乾燥、焼成を行い、Ni担持ゼオライト−アルミナ担体(比表面積311m/g、細孔容積0.59ml/g、細孔直径70Å)を得た。ナス型フラスコ中に、このNi担持ゼオライト−アルミナ担体20.0gを投入し、実施例1で調製したCo、Mo、P含浸溶液の全量を実施例1と同様にして添加浸漬後、実施例1と同様にして風乾、乾燥、焼成を行い、触媒aを得た。
【0055】比較例2ナス型フラスコ中に、実施例1で得たゼオライト−アルミナ20.0gを投入し、実施例1で調製したCo、Mo、P含浸溶液の全量を実施例1と同様にして添加浸漬後、実施例1と同様にして風乾、乾燥、焼成を行い、触媒bを得た。
【0056】比較例3ナス型フラスコ中に、アルミナ(比表面積358m/g、細孔容積0.54ml/g、細孔直径53A)20.0gを投入し、実施例1で調製したCo、Mo、P含浸溶液の全量を実施例1と同様にして添加浸漬後、実施例1と同様にして風乾、乾燥、焼成を行い、触媒cを得た。
【0057】以上の実施例及び比較例で製造した触媒の元素分析値と物性値を表1に示す。表1中の略語は、次の通りを意味する。
SA :比表面積PV :細孔容積MPD:平均細孔直径PSD:細孔分布CBD:細密充填嵩密度【0058】
【表1】

【0059】〔直留軽油の水素化脱硫例〕
実施例5、比較例4上記の実施例及び比較例で調製した触媒A〜D、a〜cを用い、以下の要領にて、下記性状の直留軽油の水素化処理を行った。先ず、触媒を高圧流通式反応装置に充填して固定床式触媒層を形成し、下記の条件で前処理した。次に、反応温度に加熱した原料油と水素含有ガスとの混合流体を、反応装置の上部より導入して、下記の条件で水素化反応を進行させ、生成油とガスの混合流体を、反応装置の下部より流出させ、気液分離器で生成油を分離した。
【0060】触媒の前処理条件:圧力 ;常圧雰囲気;硫化水素(5%)/水素ガス流通下温度 ;150℃にて0.5hr維持、次いで350℃にて1hr維持のステップ昇温【0061】水素化反応条件:反応温度 ;340℃圧力(水素分圧);4.9MPa液空間速度 ;1.5hr−1水素/オイル比 ;560m/m【0062】原料油の性状:油種 ;中東系直留軽油比重(15/4℃);0.8567蒸留性状 ;初留点が203.0℃、50%点が315.5℃、90%点が371.0℃、終点が389.0℃硫黄成分 ;1.364質量%4,6−DMDBT;312ppm窒素成分 ;150ppm動粘度(@30℃);6.608cSt流動点 ;5.0℃くもり点 ;6.0℃セタン指数 ;57.1セイボルトカラー ;−10ASTM色 ;0.5アニリン点 ;74.3【0063】反応結果については、以下の方法で解析した。340℃で反応装置を運転し、6日経過した時点で生成油を採取し、その性状を分析した。
〔1〕脱硫率(HDS)(%):原料中の硫黄分を脱硫反応によって硫化水素に転換することにより、原料油から消失した硫黄分の割合を脱硫率と定義し、原料油及び生成油の硫黄分析値から以下の式により算出した。
〔2〕脱硫反応速度定数(Ks):生成油の硫黄分(Sp)の減少量に対して、1.5次の反応次数を得る反応速度式の定数を脱硫反応速度定数(Ks)とする。なお、反応速度定数が高い程、触媒活性が優れていることを示している。これらの結果は、表2の通りであった。
【0064】
【数1】
脱硫率(%)=〔(100−Sp)/Sf〕×100脱硫反応速度定数=〔1/√(Sp)−1/√(Sf)〕×(LHSV)
式中、Sf:原料油中の硫黄分(質量%)
Sp:反応生成油中の硫黄分(質量%)
LHSV:液空間速度(hr−1)
比活性(%)=各脱硫反応速度定数/比較触媒cの脱硫反応速度定数×100【0065】
【表2】

【0066】従来の脱硫領域(硫黄分0.2〜0.05質量%)であれば、既存の触媒(比較触媒a〜y)でも容易に脱硫することができるが、超深度脱硫領域(硫黄分350質量ppm以下)では、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン等の難脱硫性硫黄化合物の存在により、桁違いに脱硫が困難となる。これに対し、表2から判るように、本発明の触媒A〜Dを用いれば、350質量ppm以下の超深度脱硫領域を容易にクリアーできることがわかる。これは、本発明の触媒が、従来の軽油水素化処理の場合とほぼ同じ水素分圧や反応温度等の条件下で、深度脱硫領域での軽油の脱硫反応に対して、極めて優れた活性を有することを示している。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)高い脱硫活性を有する触媒を製造することができるため、この触媒を使用して、軽油中の硫黄分の含有率を大幅に低減させることができる。
(2)硫黄含有量の少ない軽油基材を、低コストで供給することができる。
(3)反応条件を従来の水素化処理の際の反応条件とほぼ同じとすることがきるため、従来の装置を大幅改造することなく転用できる。




 

 


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