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発明の名称 耐酸化性が優れたニッケル粉とその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−152202(P2001−152202A)
公開日 平成13年6月5日(2001.6.5)
出願番号 特願平11−331014
出願日 平成11年11月22日(1999.11.22)
代理人 【識別番号】100046719
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良輝
【テーマコード(参考)】
4K018
5E001
【Fターム(参考)】
4K018 AA07 BA04 BC28 BD10 KA39 
5E001 AB03 AC09 AH00 AH01 AH08 AJ01
発明者 高橋 洋孝 / 村上 慎悟
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 カールフィッシャー法において400℃で遊離する水分と、105℃で20時間保持による重量減少により定量される付着水分との差で表される水酸化物水分が、0.3%〜1.7%の間にあることを特徴とする耐酸化性が優れたニッケル粉。
【請求項2】 表面がニッケル水酸化物で被覆されているニッケル粉であって、カールフィッシャー法において400℃で遊離する水分と、105℃で20時間保持による重量減少により定量される付着水分との差で表される水酸化物水分が、0.1%〜1.7%の間にあることを特徴とする耐酸化性が優れたニッケル粉。
【請求項3】 ニッケル粉を水で湿潤させた後、150℃以下の温度で乾燥させることを特徴とするニッケル粉の製造方法。
【請求項4】 ニッケル粉を温度70〜150℃、湿度80%以上に保持した後、温度80〜150℃、湿度40〜70%で乾燥処理することを特徴とするニッケル粉の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層セラミックコンデンサー(以下単に「MLCC」という)の内部電極材料として好適なニッケル粉に関するものであり、詳細にはその表面が水酸化ニッケル皮膜により被覆された耐酸化性が優れたニッケル粉とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、電子機器の小型化に伴い電子部品の小型化が急速に進行している。このような状況においてMLCCが小型・高容量のコンデンサーとして大量に使用されている。従来、MLCCの内部電極材料にはパラジウム、白金などの貴金属粉末が主として使用されていた。しかし、コンデンサーの高容量化のために積層数が増加し、これに伴い前述のような貴金属粉末を使用したのではコストが高くなってしまうために、近年コスト低減のために内部電極材料としてニッケル粉末が多用されている。
【0003】内部電極材料として使用されるニッケル粉はバインダー中に分散させてペーストとし、このペーストを基板上に印刷塗布し、多層積み重ねて圧着し、酸化性雰囲気下において300℃〜400℃の温度の下で有機バインダー成分を除去し(以下「酸化脱バイ工程」という)、その後還元雰囲気中で約1300℃で焼成して電極を形成させ、コンデンサーとしての特性を発揮させる。このような製造工程において脱バインダーが不十分であると、焼結不良によるコンデンサーの静電容量低下や、電極溶融などの不具合が発生するため前記酸化脱バイ工程は極めて重要である。
【0004】そして脱バインダーを完全に行うためには酸化脱バイ工程時の温度をより高くすることが有効であるが、高温による酸化脱バイ工程を実施すると、ニッケル粉が酸化してしまうという重大な問題があった。ニッケル粉は酸化するとそれ自体の密度が低下し、ひいてはニッケル塗膜の密度を低下させるため、結果として焼結時のニッケル皮膜の収縮量が大きくなって電極の途切れなどを引き起こし易くなる。また酸化したニッケル粉が後工程の還元焼成工程において再度還元された場合には、直径0.1μm以下のニッケル超微粒子が多数発生し、焼結温度や速度が著しく変化するためクラックなどの構造欠陥を招き易かった。
【0005】しかし、その一方でMLCCは高容量化に伴い積層数が増大しているため、酸化脱バイ工程における温度はむしろ高くせざるを得ず、脱バイ工程の温度を下げて、長時間かけて脱バイ工程を実施する方法もあるが生産性の著しい低下を招くため現実には困難であった。このような問題を解決するため、表面を他元素で被覆するなどの方法も検討されているが、他元素の混入による副作用が懸念され、したがって焼成後に残留する不純物を含まずに、酸化脱バイ工程の温度領域における酸化が少ないニッケル粉が強く要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はMLCCの製造工程、とりわけ酸化脱バイ工程において酸化し難いニッケル粉とその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明らは、特に酸化脱バイ工程における酸化し難いニッケル粉について鋭意研究した結果、ニッケル粉の粒子表面に水酸化ニッケルの皮膜を形成すると、酸化脱バイ工程時のニッケル粉の酸化を効果的に防止し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明の第1の実施態様に係るニッケル粉は、カールフィッシャー法において400℃で遊離する水分と、105℃で20時間保持による重量減少により定量される付着水分との差で表される水酸化物水分が0.3%〜1.7%の間にあることを特徴とするものである。
【0009】また本発明の第2の実施態様に係るニッケル粉は、表面がニッケル水酸化物で被覆されているニッケル粉であって、カールフィッシャー法において400℃で遊離する水分と、105℃で20時間保持による重量減少により定量される付着水分との差で表される水酸化物水分が0.1%〜1.7%の間にあることを特徴とするものである。
【0010】さらに本発明の第4の実施態様に係るニッケル粉の製造方法は、ニッケル粉を一定時間水で湿潤させた後、あるいは水に浸漬させた後、150℃以下の温度で乾燥させることを特徴とするものである。
【0011】さらにまた本発明の第3の実施態様に係るニッケル粉の製造方法は、ニッケル粉を温度70〜150℃、湿度80%以上に保持した後、温度80〜150℃、湿度40〜70%で、好ましくは24時間乾燥処理することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らはニッケル粉の表面を被覆するに皮膜に着目し、水あるいは水蒸気の存在下で形成された表面皮膜は耐酸化性が高いこと、およびかかる条件において形成される表面皮膜はニッケルの水酸化物皮膜であることを見出し本発明を完成させた。
【0013】ニッケル粉表面に付着した水分は105℃程度でその殆どが蒸発除去される。また式Ni(OH)で示される水酸化ニッケルに代表される水酸化物の分解により発生する水分は、およそ200℃以上で400℃以下で分離生成するため、表面水酸化物の量は400℃で加熱し、揮発させた遊離水分をカールフィッシャー試薬中に回収する方法で評価が可能である。この場合、単なる付着水と水酸化物由来の水分を分離定量するために、温度105℃で20時間乾燥させた時の減量率(以下「付着水分」という)を前記した400℃加熱時に遊離する水分から差し引いた値とすることが必要である。上記のようにして定量した水酸化物由来の水分を以下「水酸化物水分」といい、以下の数式1により表される。
【0014】
【式1】水酸化物水分=(400℃加熱カールフィッシャー法による定量水分)−(付着水分)
【0015】耐酸化性を向上させるためには、水酸化物水分は0.1%以上、好ましくは0.3%以上とする必要がある。これより少ないと水酸化物皮膜による耐酸化性向上の効果が少なく、また1.7%を超えるとMLCC製造工程における還元焼成時の体積変化が大きくなるとともに、水酸化物あるいはその熱分解によって生成した酸化物が還元して、微粒のニッケル粒子を生成し、これが皮膜の焼結特性を著しく変化させる場合があるため水酸化物水分の上限は1.7%である。以上の範囲とすることによってMLCCに好適な耐酸化性を有するニッケル粉が得られるが、より好ましくは水酸化物水分が、0.3%〜1.3%の範囲で良好な結果が得られる。
【0016】かかる水酸化物の皮膜を、効率よく形成するためには以下の2通りの方法がある。すなわち第1の方法は、一度乾燥粉末の状態で得られたニッケル粉を水で湿潤させるか、あるいは水に浸漬した後、150℃以下の温度で乾燥させる方法である。乾燥温度が150℃を超えると、水酸化物の皮膜が分解して酸化物の生成が開始されるので、150℃以下の温度で乾燥させることが必要である。乾燥温度は低いほど好ましいが、60℃以下では生産性が著しく低下するために好ましくない。この方法は・浸漬・ろ過・乾燥・解砕などの工程が増えるのみならず、乾燥速度によって水酸化物水量が変動したり、乾燥時にニッケル粉が凝集し、後のペースト分散性が低下するといった問題があるが、ニッケル粉の表面に水酸化物の皮膜を形成してニッケル粉の酸化を抑制する効果は発揮できる。
【0017】第2の方法は、恒温恒湿器を用いて、水蒸気量を制御しながら酸化処理を進める方法であり、この方法によれば、得られるニッケル粉の水酸化物量は安定し、また処理によるニッケル粉の凝集が全く起こらない点で極めて有利である。
【0018】この第2の方法による処理の詳細を以下に述べる。この方法は大きく2つの工程に分けられ、第1工程はニッケル粉表面を水蒸気に接触させる工程であり、第2工程はそれを乾燥する工程である。水酸化物皮膜の形成はどちらの工程においても進行するが、乾燥工程の条件によって得られるニッケル粉の水酸化物水分の量が変動することから、乾燥工程において形成されるものの割合の方が多いと考えられる。水蒸気接触工程の条件としては、温度70℃以上、湿度80%以上とする必要がある。これら条件を下回ると、水酸化物皮膜の形成が十分に行われない。また温度が150℃を超えると生成した水酸化物の分解反応が始まるので、150℃以下とする必要がある。通常は設備的な制約を考えると100℃以下で行うことが実用的かつ経済的であり好ましい。
【0019】その後の乾燥工程の条件としては所望する水酸化物皮膜量に対応して調整しなければならないが、温度80〜150℃、湿度40〜70%の範囲で、好ましくは24時間程度乾燥処理すれば良く、適宜調整すればよい。高温で低湿度で乾燥時間を短くしたものは、得られるニッケル粉の水酸化物水分が少なくなる。この場合にも温度が150℃を超えると、水酸化物の分解反応が開始されるため、150℃以下の温度で乾燥させることが必要であり、100℃以下で乾燥させることが、実用的である。一方温度80℃未満で乾燥させると湿度が40〜70%の範囲でも乾燥に長時間を要することに加えて、付着水分量が安定しなくなるので好ましくない。なお湿度を40〜70%の範囲とした理由は、湿度が40%未満であると水酸化物水分量が所望の量に達しなくなることがあり、70%を超えると乾燥に長時間を要する上に、水酸化物水分量が必要以上に多くなり易いためである。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例と比較例を説明する。
(実施例1)酸素含有量0.5%、水酸化物水分0.2%のニッケル粉(商品名:SNP−YH1、住友金属鉱山(株)製)を恒温恒湿器で85℃、湿度95%の条件下において24時間保持した。その後湿度50%を保ち85℃で24時間乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量し、示差熱分析装置(商品名:TGD7000、真空理工(株)製)で空気気流中5℃/分の昇温速度で400℃まで昇温し、400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に示す。
【0021】(実施例2)実施例1と同じ試料を用い、恒温恒湿器で85℃、湿度95%の条件下において24時間保持した。この後湿度70%を保ち85℃で24時間乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量した後、実施例1と同様にして400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に併せて示す。
【0022】(実施例3)実施例1と同じ試料を用い、恒温恒湿器で85℃、湿度100%の条件下において24時間保持した。この後湿度50%を保ち85℃で24時間乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量した後、実施例1と同様にして400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に併せて示す。
【0023】(実施例4)実施例1と同じ試料を用い、恒温恒湿器で85℃、湿度95%の条件下において24時間保持した。この後湿度40%を保ち100℃で24時間乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量した後、実施例1と同様にして400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に併せて示す。
【0024】(実施例5)実施例1と同じ試料を用い、恒温恒湿器で85℃、湿度80%の条件下において24時間保持した。この後湿度50%を保ち85℃で24時間乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量した後、実施例1と同様にして400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に併せて示す。
【0025】(実施例6)実施例1と同じ試料を用い、恒温恒湿器で70℃、湿度80%の条件下において24時間保持した。この後湿度50%を保ち85℃で24時間乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量した後、実施例1と同様にして400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に併せて示す。
【0026】(実施例7)60%水加ヒドラジン(日本ヒドラジン工業(株)製)20重量部を水80重量部と混合し、これを70℃に加温した後、実施例1で使用したニッケル粉を10重量加え、表面の酸化皮膜を除去した。これを通常の方法でろ過、水洗した後100℃で真空乾燥し、酸素含有量0.2%、水酸化物水分0.05%のニッケル粉を得た。これを恒温恒湿器で85℃、湿度80%の条件下において24時間保持した。この後湿度50%を保ち85℃で24時間乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量した後、実施例1と同様にして400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に併せて示す。
【0027】(実施例8)実施例1と同一のニッケル粉100重量部に水20重量部を含浸させ、湿度50%で温度85℃で乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量した後、実施例1と同様にして400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に併せて示す。
【0028】(実施例9)実施例1と同一のニッケル粉100gを水1000ccに浸漬した後、通常の方法でろ過した。この試料を静置式大気乾燥機を用い、湿度は成行きで温度85℃で24時間乾燥させた。得られたニッケル粉の水酸化物水分と酸素含有量を定量した後、実施例1と同様にして400℃に至るまでの酸化重量増加率を求め、その結果を表1に併せて示す。
【0029】(比較例1)実施例1で使用したニッケル粉の水酸化物水分と400℃に至るまでの酸化増量率を測定し、その結果を表1に併せて示す。実施例1〜6に比べて耐酸化性は大幅に劣る。
【0030】(比較例2)実施例7で酸化皮膜を除去して得たニッケル粉について、水酸化物水分と400℃に至るまでの酸化増量率を測定し、その結果を表1に併せて示す。
【0031】(比較例3)実施例1で使用したニッケル粉を電気加熱式ドライイングオーブンを用いて空気中200℃で24時間処理した。得られたニッケル粉の酸素含有量と水酸化物水分および400℃に至るまでの酸化増量率を測定し、その結果を表1に併せて示す。
【0032】
【表1】

【0033】表1から分かる通り本発明の実施例では比較例に比べて耐酸化性が優れており、また比較例によると、得られたニッケル粉の酸素含有量は同程度でも本発明に比べて水酸化物水分が低い場合には、耐酸化性にも劣るニッケル粉であった(実施例2、3と比較例3参照)。また本発明の皮膜生成方法によれば、酸素含有量が低くても水酸化物水分を同程度(0.2%)に確保できれば、それぞれの耐酸化性は同程度となった(実施例7と比較例1参照)。
【0034】
【発明の効果】以上述べた通り本発明によれば、耐酸化性に優れ、MLCC用に適したニッケル粉を得ることが可能となる。




 

 


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