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発明の名称 鋳込み成形型、およびこれを用いたセラミックス焼結体の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−73005(P2001−73005A)
公開日 平成13年3月21日(2001.3.21)
出願番号 特願平11−245370
出願日 平成11年8月31日(1999.8.31)
代理人 【識別番号】100084087
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨田 朝雄
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018 AA06 AA08 AA33 CA02 CA14 CA19 CA33 CA34 
発明者 高塚 裕二 / 阿部 能之 / 高梨 昌二 / 栗原 好治
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 スラリーを鋳込む鋳込み口と鋳込み成形型内の圧力を制御する圧力制御手段とを備え、多孔質体からなる鋳込み成形型において、該多孔質体は、複数の鋳込み対応部の相互間が気密性であり、該圧力制御手段は、該複数の鋳込み対応部の各々に備えられていることを特徴とする鋳込み成形型。
【請求項2】 スラリーを鋳込む鋳込み口と鋳込み成形型内の圧力を制御する圧力制御手段とを備え、多孔質体からなる鋳込み成形型において、該多孔質体は、鋳込み奥対応部と鋳込み中央対応部との間が気密性であり、該圧力制御手段は、該鋳込み奥対応部および該鋳込み中央対応部に備えられていることを特徴とする鋳込み成形型。
【請求項3】 多孔質体は、複数の金属多孔質体を接合した金属接合体および該金属接合体上にプラスチック多孔質体層を形成した表面層からなる請求項1または2に記載の鋳込み成形型。
【請求項4】 金属多孔質体は焼結体である請求項3に記載の鋳込み成形型。
【請求項5】 金属多孔質体は、材質がステンレス、チタンもしくはチタン基合金、またはニッケルもしくはニッケル基合金である請求項3または4に記載の鋳込み成形型。
【請求項6】 金属多孔質体は、相対密度が60〜85%である請求項3〜5のいずれかに記載の鋳込み成形型。
【請求項7】 金属多孔質体は、平均空孔径が50μm以上である請求項3〜6のいずれかに記載の鋳込み成形型。
【請求項8】 表面層は、平均空孔径が1〜20μmである請求項3に記載の鋳込み成形型。
【請求項9】 表面層は、厚さが5〜15mmである請求項3または8に記載の鋳込み成形型。
【請求項10】 表面層は、厚さが7〜10mmである請求項3、8または9に記載の鋳込み成形型。
【請求項11】 セラミックス粉末を含むスラリーを鋳込み成形型に圧力を掛けて注入・成形した後、得られた成形体を焼結するセラミックス焼結体の製造方法において、鋳込み成形型に注入・成形する際、請求項1に記載の鋳込み成形型を用い、一部の鋳込み対応部内を他の鋳込み対応部内より減圧することを特徴とする該製造方法。
【請求項12】 セラミックス粉末を含むスラリーを鋳込み成形型に圧力を掛けて注入・成形した後、得られた成形体を焼結するセラミックス焼結体の製造方法において、鋳込み成形型に注入・成形する際、請求項2〜10のいずれかに記載の鋳込み成形型を用い、鋳込み奥対応部内を鋳込み中央対応部内より減圧することを特徴とする該製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳込み成形型、および該成形型を用いて得たセラミックス成形体を焼結して、セラミックス焼結体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス焼結体は、例えば、(1)太陽電池や液晶表示素子などに用いられる透明導電膜、(2)半導体メモリのキャパシタやコンデンサ、PDPの放電電極の保護膜などに用いられる高・強誘電体膜などをスパッタリング法で製造する際のターゲットに用いられる。
【0003】このセラミックス焼結体は、次の製造法で製造されている。すなわち、原料であるセラミックス粉末をボールミルや媒体攪拌ミルで粉砕・混合し、得られた混合粉をスプレードライヤーなどによって造粒する。その後、(1)(a)金型成形、(b)冷間静水圧プレス(CIP)などで造粒粉を成形し、この成形体を焼結炉で焼結する、いわゆる常圧焼結法や、(2)ホットプレスなどで造粒粉を加圧・焼結する加圧焼結法によって製造されている。
【0004】ところで、近年、太陽電池や液晶表示素子の大型化、半導体のSiウェハーの大口径化に伴ってスパッタリングターゲットも大型化した。具体的には、700mm角の酸化錫添加酸化インジウム(ITO)ターゲット、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)ターゲット、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)ターゲットや、直径350mm(円板状)のストロンチウム添加チタン酸バリウムターゲットなどが開発されている。
【0005】最近では、800mm角程度の大型ターゲットが要求され、特に太陽電池や液晶表示素子などが一層大型化する傾向にあり、1m以上の長さをもつターゲットが要求されるようになっている。
【0006】しかるに、上記のような大型ターゲットとなるセラミックス焼結体を製造するには、上記金型成形法、冷間静水圧プレス(CIP)法および加圧焼結法は、次の理由で適当でない。
【0007】(1)800mm角の大型ターゲットを金型成形法で製造するには、500kgf/cm2 の面圧が必要で、このためには能力3200トンの金型プレスが必要となってしまう。
【0008】(2)冷間静水圧プレス(CIP)法でも大型の装置が必要である。
【0009】(3)加圧焼結法は用いる焼結装置が高価となる。
【0010】このため、上記方法を用いて製造した小型焼結体を複数張り合わせたターゲット(分割ターゲット)が使用されていた。しかし、この分割ターゲットでは次の問題があった。
【0011】(1)スパッタリングで生じるゴミが分割部に溜まり、スパッタ膜表面に再付着して、ピンホール発生の原因となる。
【0012】(2)分割部周囲にノジュールと呼ばれる黒色異物が発生して、成膜速度を低下させる。また、スパッタ膜の光透過率の低下、電気抵抗の増加や、異常放電を起こしてピンホールが発生する。
【0013】このような問題を解決するものとして、圧力鋳込み成形法が知られている(特公平6−659号公報、特開平9−188564号公報参照)。圧力鋳込み成形法は、原料セラミックス粉末、バインダー、分散剤、および分散媒体を含むスラリーを鋳込み成形型に圧力を掛けて注入・成形する方法である。この鋳込み成形型は、上記スラリーを鋳込む鋳込み口と鋳込み成形型内の圧力を制御する圧力制御手段とを備え、石膏や多孔質プラスチックからなる(特公昭56−14451号公報参照)。なお、鋳込み後にスラリー中の媒体を吸引して取り除いたり、成形体を成形型から取り出す(脱型)ために空気を導入して成形体と成形型との間に空気圧をかけたりするが、上記圧力制御手段はこれら流体の動きを調整する。このような圧力鋳込み成形法で得た成形体を焼結することにより、セラミックス焼結体を製造する。
【0014】ただし、上記圧力鋳込み成形法で石膏型を用いると、(1)成型体表面にCaが染み出して該表面を汚染する、(2)大きな焼結体の脱型が難しいという問題があり、多孔質プラスチックの鋳込み成形型を用いるのが一般的である。この圧力鋳込み成形法を用いることで、前記金型成形法や冷間静水圧プレス(CIP)法のような成形法よりも大型かつ高密度のターゲットが製造できるようになった。
【0015】しかしながら、圧力鋳込み成形法を用いて製造したセラミックス焼結体は、スパッタリングによって前述したノジュールが発生しやすいという問題点があった。この傾向は焼結体の長さと厚さとの比が大きくなると顕著であり、1m以上の長さをもつ焼結体の製造にとって重大な支障になっていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、スパッタリングによってノジュールが発生しにくいセラミックス焼結体を製造することが可能な鋳込み成形型、および該成形型を用いて該焼結体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、ノジュールが発生しやすい焼結体は中心部分に空洞や密度の低い部分が発生していることが多いことを見出し、本発明に到達した。
【0018】すなわち、上記目的を達成するための本発明の第1の鋳込み成形型(第1発明)は、スラリーを鋳込む鋳込み口と鋳込み成形型内の圧力を制御する圧力制御手段とを備え、多孔質体からなる鋳込み成形型において、該多孔質体は、複数の鋳込み対応部の相互間が気密性であり、該圧力制御手段は、該複数の鋳込み対応部の各々に備えられていることを特徴とする。ここで、鋳込み対応部とは、鋳込み成形型内の鋳込み部を形成する多孔質体を意味する。
【0019】また、本発明の第2の鋳込み成形型(第2発明)は、スラリーを鋳込む鋳込み口と鋳込み成形型内の圧力を制御する圧力制御手段とを備え、多孔質体からなる鋳込み成形型において、該多孔質体は、鋳込み奥対応部と鋳込み中央対応部との間が気密性であり、該圧力制御手段は、該鋳込み奥対応部および該鋳込み中央対応部に備えられていることを特徴とする。ここで、鋳込み奥対応部とは、鋳込み対応部の鋳込み方向先端部(鋳込み口の反対側端部)を意味し、鋳込み中央対応部とは、鋳込み対応部の中央部を意味する。
【0020】第1発明および第2発明の鋳込み成形型において、多孔質体は、複数の金属多孔質体を接合した金属接合体、および該金属接合体上にプラスチック多孔質体層を形成した表面層からなるのが好ましい。金属多孔質体は、焼結体などであり、材質がステンレス、チタンおよびチタン基合金、並びにニッケルおよびニッケル基合金が好ましい。また、真密度に対する相対密度(以下、単に「相対密度」という)が60〜85%であるのが好ましく、平均空孔径が50μm以上であるのが好ましい。表面層は、平均空孔径が1〜20μmであるのが好ましい。また、厚さが5〜15mmであるのが好ましく、7〜10mmであるのがより好ましい。
【0021】上記目的を達成するための本発明の第3のセラミックス焼結体の製造方法(第3発明)は、セラミックス粉末を含むスラリーを鋳込み成形型に圧力を掛けて注入・成形した後、得られた成形体を焼結するセラミックス焼結体の製造方法において、鋳込み成形型に注入・成形する際、第1発明の鋳込み成形型を用い、一部の鋳込み対応部内を他の鋳込み対応部内より減圧することを特徴とする。
【0022】また、本発明の第4のセラミックス焼結体の製造方法(第4発明)は、セラミックス粉末を含むスラリーを鋳込み成形型に圧力を掛けて注入・成形した後、得られた成形体を焼結する方法において、鋳込み成形型に注入・成形する際、第2発明の鋳込み成形型を用い、鋳込み奥対応部内を鋳込み中央対応部内より減圧することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下において、第2発明の鋳込み成形型、および第4発明のセラミックス焼結体の製造方法について説明するが、第1発明(鋳込み成形型)および第3発明(セラミックス焼結体の製造方法)についてはこの説明から明らかである。
【0024】図5は、本発明の一例である鋳込み成形型に鋳込んだセラミックス粉末を含むスラリーが該成形型内で経時的に着肉する概念的な状態を垂直断面で切断した正面図である。また、図6は比較例の鋳込み成形型に鋳込んだ場合の図5と同様の正面図である。
【0025】図5の鋳込み成形型は、上型10aと下型10b(符号中aは上型を、bは下型を示す)とを組み合わせた合わせ型であり、多孔質体11a、11bよりなる。多孔質体11a、11bにおける鋳込み奥対応部11a1、11b1(鋳込み口は左方にあり図示しない)と、鋳込み中央対応部11a2、11b2との間は、気密接合部12a、12bにより気密性となっている。そのため、鋳込み奥対応部11a1、11b1および鋳込み中央対応部11a2、11b2に備えた圧力制御手段(図示せず)により、鋳込み奥対応部11a1、11b1内の圧力が、鋳込み中央対応部11a2、11b2内の圧力とは無関係に制御可能である。
【0026】図6の鋳込み成形型は、上型40aと下型40bとを組み合わせた合わせ型であり、多孔質体41a、41bよりなる。多孔質体41a、41bにおける鋳込み奥対応部41a1、41b1(鋳込み口は左方にあり図示しない)と鋳込み中央対応部41a2、41b2との間は、通気性である。
【0027】セラミックス粉末を含むスラリーを図5の鋳込み成形型に圧力を掛けて注入・成形する際に該成形型の鋳込み奥対応部11a1、11b1を鋳込み中央対応部11a2、11b2より減圧することにより、次の作用効果が奏される。
【0028】すなわち、鋳込み奥対応部11a1、11b1と同様に減圧される鋳込み奥部(鋳込み口の反対側)は、鋳込み中央対応部11a2、11b2と同様の圧力の鋳込み中央部よりスラリーの供給速度が速くなるので、着肉速度も鋳込み中央部より速くなる。そのため、鋳込み中央部にスラリーが供給しやすくなり、上下方向の着肉速度に対する左右方向の着肉速度の割合が極めて大きくなる。図5、図6はこの様子を概念的に示す。ここで、鋳込み開始から時間t1経過後の着肉面の位置を図5でF1、図6でf1で示す。同様に、時間t2(>t1)経過後の位置を図5でF2、図6でf2で示し、時間t3(>t2)経過後の位置を図5でF3、図6でf3で示す。
【0029】従って、第2発明の鋳込み成形型により、中心部分に空洞や密度の低い部分が発生しにくい成形体、ひいてはスパッタリングによってノジュールが発生しにくい大型の焼結体を製造することができる。
【0030】第2発明の鋳込み成形型の多孔質体は、基材、および該基材上に形成された表面層からなり、該基材が複数の金属多孔質体の接合体であり、該表面層がプラスチック多孔質体であるものが、(1)1m以上の長さをもつ、(2)寸法精度が良い、(3)高密度である、(4)表面が不純物で汚染されない、(5)傷のつきにくい焼結体を製造する観点から好ましい。
【0031】上記好ましい第2発明の鋳込み成形型において、基材の材質は、鋳込み成形に用いるスラリーは酸性を示すことがあるので、このようなスラリーに対して腐食しにくいステンレス、チタンおよびチタン基合金、並びにニッケルおよびニッケル基合金が好ましい。
【0032】鋳込み後に吸引して取り除くスラリー中の媒体や、成形体を取り出すために成形体と鋳込み成形型との間に圧力をかける空気などの流体が動きやすいように、基材は多孔質体である。基材である金属多孔質体は、相対密度が60〜85%であるのが好ましく、また、平均空孔径が50μm以上であるのが好ましい。相対密度が60%未満では、鋳込み成形型の圧縮強度などの強度や靱性などが不足して、寸法精度の良い高密度の焼結体を製造することができない。一方、相対密度が85%を超える多孔質体や、平均空孔径が50μm以下の多孔質体では、該多孔質体の上記作用が希薄になる。なお、このような金属多孔質体は、金属フィルター製品として市販されてもいる。
【0033】比較的小型の焼結体を作成した後、公知の溶接法でこの焼結体を複数つなぎ合わせることにより、成形体の内寸法が1.2m以上になる大きさの基材を容易に作製することができる。複数つなぎ合わせても、つなぎ合わせる前の個々の焼結体の圧縮強度などの強度や靱性は活かされ、鋳込み成形用型材としての特性は失われない。
【0034】プラスチック多孔質体は、公知のものが使用でき、例えばフェノール樹脂系の多孔質プラスチックを用いることができる。プラスチック多孔質体の平均空孔径は、1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。平均空孔径が1μm未満では、鋳込み後の媒体や空気などの流体の通り道が塞がって該流体の吸引や取り出しが困難になる。一方、20μmを超えると、スラリー中の原料セラミックス粉末が空孔中に浸入して、成形体に傷が生じやすくなったり成形体の脱型性が低下する。
【0035】プラスチック多孔質体表面層は、厚さが5〜15mmであるのが好ましく、7〜10mmであるのがより好ましい。厚さが15mmを超えると、上記流体の通り道が塞がりやすくなる。また、鋳込み成形型の寸法精度を所望のものにするために該成形型の後加工を行うが、厚さが5mm未満では、該後加工によってプラスチック多孔質体表面層が一部消失してしまうおそれがある。
【0036】第4発明のセラミックス焼結体の製造方法は、公知の圧力鋳込み成形法で得た成形体を焼結する方法において、成形体を得る際、上記のように説明した第2発明の鋳込み成形型を用い、該成形型の鋳込み奥対応部内を鋳込み中央対応部内より減圧することを特徴とするものであり、その詳細は上記第2発明の説明から明らかである。
【0037】
【実施例】[実施例1]図1は、実施例1の鋳込み成形型の上型の中央部を垂直断面で切断した正面図である。図2は実施例1の鋳込み成形型の下型の図1と同様の正面図、図3は図1の上型の基材の平面図、および図4は図2の下型の基材の平面図である。なお、図1および図2は、図3および図4を拡大した図であるが、縦方向と横方向とで縮尺が違う。
【0038】粒子が球状で粒径が100〜500μmのSUS316粉末にPOM系バインダーを2重量%入れ、0.5トン/cm2 の圧力でプレス成形を行って、成形体を36個作成した。
【0039】次に、真空度0.13〜1.3Pa、焼結温度1000〜1200℃、焼結時間1時間の焼結条件で、これらの成形体を焼結した。得られた焼結体21、22はいずれも、平均空孔径が80μm、相対密度が75%の多孔質であった。焼結体21、22の大きさおよび個数は次の通りである。
【0040】(1)焼結体21:200mm×200mm×80mm、14個(2)焼結体22:200mm×200mm×70mm、22個これらの焼結体を溶接により図3のようにつなぎ合わせて鋳込み成形型の上型基材20aとし、同様の溶接により図4のようにつなぎ合わせて鋳込み成形型の下型基材20bとした。ただし、基材20a、20bの連接する12個の焼結体と連接する6個の焼結体とが接合する面は、樹脂を塗布して気密接合部23a、23bとした。気密接合部23a、23bにより、鋳込み奥対応部24a1、24b1と鋳込み中央対応部24a2、24b2との間は気密性となり、鋳込み奥対応部24a1、24b1と鋳込み中央対応部24a2、24b2との内部圧力状態は互いに独立となる。
【0041】上記上型基材20aおよび下型基材20bの内側表面上にフェノール樹脂系の多孔質プラスチックを塗布して厚み10mmの表面層30a、30bを形成した。表面層30a、30bの平均空孔径は1〜10μm程度であった。
【0042】表面層30a、30bを形成した上型および下型の内面を表面加工して、780mm×180mm×10mmの成形体が得られるようにした。さらに、脱型しやすくするため、上型と下型とを合わせた鋳込み成形型の鋳込み部を形成する4側面(10個の焼結体21の面)を垂直方向に対して4度傾くように面削加工を行った。
【0043】鋳込み成形型内部の加圧および減圧を可能にするため、上型および下型の外面に露出している焼結体個々のつなぎ目をエポキシ系樹脂で目張りするとともに、空気導入・型内排気を兼用できる管(図示せず)を取り付けた。この管は、鋳込み奥対応部24a1、24b1、および鋳込み中央対応部24a2、24b2の各々に1個宛で計4個取り付けた。
【0044】スラリーを導入するため、鋳込み部の左側端部の中心に1個の鋳込み口(図示せず)を設けた。
【0045】このようにして作製した高圧鋳込み成形型を大型のプレスに固定して、ITO焼結体の製造試験を行った。
【0046】酸化インジウム粉末(4520g)、酸化錫(502g)、ポリカルボン酸系分散剤(固形分40重量%)、アクリルエマルジョン系バインダー(251g、固形分40重量%)、水を調合して高速媒体攪拌ミルで混合粉砕し、濃度80重量%のスラリーを作成した。
【0047】得られたスラリーを真空脱泡した後、上記高圧鋳込み成形型を用い、鋳込み圧力を20kg/cm2 にし、鋳込み奥対応部24a1、24b1内を100Paまで減圧した状態で鋳込み成形を行った。
【0048】鋳込み成形完了後、上記図示しない管により鋳込み成形型に0.2kg/cm2 の空気圧をかけて上型を上昇させ、鋳込み成形型から成形体を取り出した。
【0049】この成形体を乾燥した後、寸法と重量を測定して成型体の寸法精度と相対密度を算出した。寸法は780mm×180mm×10mm、寸法精度は±0.1mm、相対密度は51%であった。
【0050】この成形体を600℃で脱バインダー処理した後、焼結温度1500℃、焼結時間15時間の焼結条件で焼結してITO焼結体を得た。この焼結体の相対密度を測定し、断面のSEM観察を行った。その結果、相対密度は99.4%であった。また、SEM観察では、焼結体に空孔がほとんど見られなかった。
【0051】次に、上記焼結体から直径125mm、厚み7mmの円形ターゲットを作成して、芝浦電気製スパッタリング装置CFS52−Fでスパッタリング試験を長時間行った。スパッタ条件は、ガス圧:0.6Pa、酸素分圧:2%、スパッタ電流:1.2Aであった。その結果、用いたターゲットはエロージョンの厚みが6mmまでノジュールの発生量が少なく、スパッタ膜の比抵抗は5×10-4Ω・cm程度で安定していた。
【0052】[比較例1]作成した濃度80重量%のスラリーを真空脱泡した後、上記高圧鋳込み成形型を用い、鋳込み圧力を20kg/cm2 にし、鋳込み奥対応部24a1、24b1内を減圧することなく鋳込み成形を行った。このこと以外は実施例1と全く同様に試験した。その結果は次の通りであった。
【0053】(1)成形体の寸法は780mm×180mm×10mmで、寸法精度は±0.1mm、相対密度は50.5%であった。
【0054】(2)焼結体の相対密度は、99.2%であった。
【0055】(3)焼結体断面のSEM観察では、焼結体表面から厚み方向にほぼ3.5mmの位置に空孔が散在して見られ、これらが部分的に線のように繋がっていた。
(4)スパッタリング試験で用いたターゲットは、エロージョンの厚みが3mmを超えるとノジュールが増加し、スパッタ膜の比抵抗は5×10-4Ω・cm程度から9×10-4Ω・cmまで増加した。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の鋳込み成形型、およびこれを用いたセラミックス焼結体の製造方法によれば、密度の均一なITO、GZO、AZOなどのセラミックス焼結体、従ってスパッタリングによってノジュールが発生しにくい大型のセラミックス焼結体を製造することができる。




 

 


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