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発明の名称 金属若しくは合金粉末の改質方法とこの改質方法により得られた金属若しくは合金粉末およびこの金属若しくは合金粉末を用いた電子材料若しくは部品
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−59107(P2001−59107A)
公開日 平成13年3月6日(2001.3.6)
出願番号 特願平11−236936
出願日 平成11年8月24日(1999.8.24)
代理人 【識別番号】100095223
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 章三
【テーマコード(参考)】
4K017
【Fターム(参考)】
4K017 AA04 BA02 BA03 BA05 BB02 DA01 DA08 EH01 EH03 EH16 EH18 EJ01 FB03 FB05 FB07 FB09 
発明者 車 声雷 / 安田 拓夫
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】湿式沈澱若しくは還元法により得られた粉末材料を熱処理してその結晶性を改質する金属若しくは合金粉末の改質方法において、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料に対し0.1〜20重量%の割合でカーボン粉末を均一に混合した後、不活性雰囲気若しくは還元性ガスを含む不活性雰囲気下において200℃以上かつ上記金属若しくは合金の融点より少なくとも100℃低い温度条件で熱処理することを特徴とする金属若しくは合金粉末の改質方法。
【請求項2】湿式沈澱若しくは還元法により得られた粉末材料を熱処理してその結晶性を改質する金属若しくは合金粉末の改質方法において、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料に対しC、Hの二元素若しくはC、H、Oの三元素より成りかつカーボン数が8以上の一種若しくは二種以上の有機物を0.1〜10重量%の割合で均一に混合した後、不活性雰囲気若しくは還元性ガスを含む不活性雰囲気下において200℃以上かつ上記金属若しくは合金の融点より少なくとも100℃低い温度条件で熱処理することを特徴とする金属若しくは合金粉末の改質方法。
【請求項3】湿式沈澱若しくは還元法により得られた粉末材料を熱処理してその結晶性を改質する金属若しくは合金粉末の改質方法において、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料と、C、Hの二元素若しくはC、H、Oの三元素より成りかつカーボン数が8以上の一種若しくは二種以上の有機物を含有する溶液若しくはスラリーを液滴化し、かつ、不活性ガスキャリア若しくは還元性ガスを含む不活性ガスキャリアにより上記液滴を300℃以上1500℃以下に加熱された空間内を通過させて熱処理することを特徴とする金属若しくは合金粉末の改質方法。
【請求項4】結晶子径が30nm以上、カーボン含有量が1.5重量%以下、酸素含有量が5.0重量%以下、かつ、平均粒径が0.05〜10μmであることを特徴とする請求項1、2または3記載の改質方法により得られた金属若しくは合金粉末。
【請求項5】Pd、Pt、Au、Ag、Ni、Cuから選ばれた一種若しくは二種以上の金属元素を含み、かつ、金属元素の総含有量が85重量%以上であることを特徴とする請求項4記載の金属若しくは合金粉末。
【請求項6】金属若しくは合金粉末を用いた電子材料若しくは電子部品が、請求項4または5記載の金属若しくは合金粉末を適用した導電ペースト、あるいは、厚膜若しくは積層電子部品であることを特徴とする電子材料若しくは電子部品。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属若しくは合金粉末の改質方法とこの方法により得られた金属若しくは合金粉末およびこの金属若しくは合金粉末を用いた電子材料若しくは電子部品に係り、特に、その結晶性が改善されて導電ペースト、積層セラミックコンデンサの内部電極並びに外部電極等に好適に用いられる金属若しくは合金粉末の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エレクトロニクス分野において電子回路やコンデンサ、ICパッケージ等の部品を製造する場合、導電ペーストが利用されている。この導電ペーストは、金属若しくは合金粉末を添加剤と共に有機ビヒクル中に均一に混合分散させてペースト状にしたもので、この印刷皮膜を乾燥後、必要に応じて焼成することにより導体膜が形成される。以下、積層セラミックコンデンサ(以下、MLCCと略称する)の製造過程を例に上げ上記導体膜の形成方法を説明する。
【0003】まず、誘電体粉末と有機バインダーを含む誘電体シート(一般に、誘電体グリーンシートと称される)表面に上記導電ペーストをスクリーン印刷し、かつ、この印刷皮膜(内部電極用皮膜)を乾燥させる。次に、この印刷皮膜が形成された誘電体シートを所定の枚数重ね合せると共に、これ等を熱圧着した後、この熱圧着体を目的の大きさに切断する。続いて、上記誘電体シート内の有機バインダーや上記印刷皮膜(内部電極用皮膜)内の有機ビヒクル等のバーンアウト(完全燃焼)と内部電極並びに誘電体の焼結を目的として約1300℃程度の条件で上記熱圧着体を焼成する。
【0004】次に、この様にして得られた複数の誘電体層と内部電極が交互に積層されかつ焼結された積層体(コンデンサ本体)の両端を磨き、その一端側では奇数番目の内部電極群の端面を、また、他端側では偶数番目の内部電極群の端面をそれぞれ露出させた後、その磨かれた両端面にMLCCと外部のデバイスを結合させるための一対の外部電極を取付けて上記積層セラミックコンデンサ(MLCC)が完成される。
【0005】ところで、上記導電ペーストに適用される金属若しくは合金粉末として、Pd、Au、Ag、Pt等の貴金属、Ni、Cu、Al等の卑金属、これらの合金等が利用されている。特に、上記積層セラミックコンデンサ(MLCC)に適用される金属若しくは合金粉末には、一般に球状で均一な粒度分布、高い分散性、高い結晶性、耐酸化性等が要求され、金属若しくは合金粉末のこれ等特性が導電ペーストの特性に影響するだけでなく、形成される導体膜やMLCCの特性にも大きな影響を及ぼすことが知られている。
【0006】そして、これ等金属若しくは合金粉末は、従来、アトマイズ法、酸化物粉末還元法(乾式還元法)、湿式沈澱若しくは還元法、気相反応法、噴霧熱分解法、蒸発凝集法、電解法等により製造されている。また、エレクトロ分野に利用される金属若しくは合金粉末としては、粒径の微細なものが適していることから、主に、乾式還元法、湿式沈澱若しくは還元法、気相反応法、噴霧熱分解法等で製造された粉末が用いられ、また、コスト面から湿式沈澱若しくは還元法により製造された粉末が特に用いられている。
【0007】但し、湿式沈澱若しくは還元法により製造された粉末には以下のような欠点がありその改善が求められていた。
【0008】すなわち、上記湿式沈澱若しくは還元法は、例えば、塩化ニッケル等金属塩を含む溶液にヒドラジン等の還元剤を添加し、ニッケル等の金属粉末を沈澱させて製造する方法(特公昭58−35242号公報、特開平5−43921号公報、特開平5−51610号公報、特開平6−336601号公報等参照)であるが、この製造法では、反応温度や溶解度の関係で結晶性のよい金属若しくは合金粒子を効率よく製造することが難しい問題があった。例えば、湿式沈澱若しくは還元法で合成されたNi、Ag、Pd金属粒子と、Ag−Pd合金粒子の結晶子径はいずれも10〜20nmであり、酸化温度と焼結温度が低い。そして、ミクロトームでこれ等粒子を輪切りにし透過型電子顕微鏡により粒子内部を観察すると、いずれの粒子も10〜20nmの微結晶の凝集体からなっていることが確認される。
【0009】そして、このような微結晶の凝集体から成る粒子は大きな表面積を持ち、表面活性も極めて高いことから、保存、処理または運搬中に酸化され易く、水やガスをも吸着し易いことが知られている。このため、酸素含有量が高く、焼成中の酸化量と体積変化が大きい。これは、積層セラミックコンデンサ(MLCC)等積層部品の製造工程において、デラミネーション(Delamination;積層構造の剥離現象)やクラック等の構造欠陥が起こり易い特性を有していることを示しており好ましくない。例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の同時焼成(Co-firing)プロセスにおいて、内部電極用導電ペーストのフィラーとなるPd粒子の結晶性が悪い場合、■その触媒作用によりバインダーが急激に燃焼や分解を引起こす。■Pd粒子の酸化速度が速く、大きな体積膨張が急激に発生する。■粒子の焼結時に急激な収縮が発生する。そして、これら現象に起因して内部電極と誘電体層の膨張と収縮挙動が各々異なるため上記内部電極と誘電体層間に引っ張り応力や圧縮応力が発生し、積層体に上述したデラミネーションやクラック等の構造欠陥が誘発され、歩留まり、信頼性が低下する問題が生ずる。また、Ni、Cu等卑金属粉末を用いた場合も基本的に同様の問題が存在する。
【0010】このため、湿式沈澱若しくは還元法により製造された粉末(粒子)について、その結晶性、化学的安定性と耐酸化特性を改善することが要請されており、近年、湿式沈澱若しくは還元法により製造された粉末材料に対し熱処理してその結晶性を改質する(すなわち結晶子径を大きくする)方法が試みられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、熱処理による結晶化にはある程度の原子拡散速度が必要になることから、金属の結晶子が成長し始める温度では粒子間の焼結もかなり進行する。
【0012】このため、原理的には金属粒子の融合が不可避とされ、上記熱処理の結果、金属粒子が焼結によって結合して強固な凝集体になってしまい、かつ、粉砕しても巨大粒子がかなり残留してしまうことから、上述した導電ペースト用の金属若しくは合金粉末に適用することが困難となる問題点があった。
【0013】尚、金属粒子を熱処理するために粒子表面を酸化物で被覆する方法が知られており、湿式沈澱若しくは還元法により製造された粒子表面を酸化物で被覆した後、熱処理する方法が考えられる。
【0014】しかし、このような熱処理を行った場合、上記酸化物が除去され難いため、このような金属粉を用いた電子部品で悪い影響が出ることが多い。例えば、金属粉成形体や金属ペーストの焼成過程において酸化物が粒子の焼結を阻害することが知られている。また、MLCCの場合に、内部電極用導電ペーストの金属粒子に含まれる酸化物が焼成過程で誘電体と反応し、その誘電特性の劣化につながる別な問題を引起こす恐れもある。
【0015】本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、上述した問題点を有しない金属若しくは合金粉末の改質方法とこの改質方法により得られた金属若しくは合金粉末およびこの金属若しくは合金粉末を用いた電子材料若しくは部品を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、このような課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を継続したところ以下のような技術的発見をするに至った。
【0017】すなわち、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金の粉末材料に対しC含有の有機物を混合して金属若しくは合金粒子の接触をカーボンにより分断したところ、高温の熱処理にも拘わらず粒子間の融合が防止できることを発見した。
【0018】また、熱処理後に金属若しくは合金粒子表面にカーボンが残留していてもカーボン自身が導電性を有していることから、このようにして得られた金属若しくは合金粒子を常温固化型の導電ペーストに適用した場合、導体膜への影響が極めて少なく、また、高温焼成型の導電ペーストに適用した場合でも、残留カーボンが脱バインダー等を目的とした焼成処理により樹脂と共に除かれるためMLCC等電子部品に悪影響を及ぼすことも極めて少ないことが確認された。
【0019】更に、上記カーボンの作用は湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金粒子を対象にした場合に限らず、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金の酸化物あるいは水酸化物等を対象とした場合の還元による金属若しくは合金の合成や、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属塩等を対象とした場合の熱分解と還元による金属若しくは合金の合成にも有効であることが確認された。
【0020】本発明はこのような技術的発見と確認に基づき完成されたものである。
【0021】すなわち、請求項1に係る発明は、湿式沈澱若しくは還元法により得られた粉末材料を熱処理してその結晶性を改質する金属若しくは合金粉末の改質方法を前提とし、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料に対し0.1〜20重量%の割合でカーボン粉末を均一に混合した後、不活性雰囲気若しくは還元性ガスを含む不活性雰囲気下において200℃以上かつ上記金属若しくは合金の融点より少なくとも100℃低い温度条件で熱処理することを特徴とし、請求項2に係る発明は、湿式沈澱若しくは還元法により得られた粉末材料を熱処理してその結晶性を改質する金属若しくは合金粉末の改質方法を前提とし、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料に対しC、Hの二元素若しくはC、H、Oの三元素より成りかつカーボン数が8以上の一種若しくは二種以上の有機物を0.1〜10重量%の割合で均一に混合した後、不活性雰囲気若しくは還元性ガスを含む不活性雰囲気下において200℃以上かつ上記金属若しくは合金の融点より少なくとも100℃低い温度条件で熱処理することを特徴とし、また、請求項3に係る発明は、湿式沈澱若しくは還元法により得られた粉末材料を熱処理してその結晶性を改質する金属若しくは合金粉末の改質方法を前提とし、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料と、C、Hの二元素若しくはC、H、Oの三元素より成りかつカーボン数が8以上の一種若しくは二種以上の有機物を含有する溶液若しくはスラリーを液滴化し、かつ、不活性ガスキャリア若しくは還元性ガスを含む不活性ガスキャリアにより上記液滴を300℃以上1500℃以下に加熱された空間内を通過させて熱処理することを特徴とするものである。
【0022】次に、請求項4に係る発明は、請求項1、2または3記載の改質方法により得られた金属若しくは合金粉末を前提とし、結晶子径が30nm以上、カーボン含有量が1.5重量%以下、酸素含有量が5.0重量%以下、かつ、平均粒径が0.05〜10μmであることを特徴とし、請求項5に係る発明は、請求項4記載の金属若しくは合金粉末を前提とし、Pd、Pt、Au、Ag、Ni、Cuから選ばれた一種若しくは二種以上の金属元素を含み、かつ、金属元素の総含有量が85重量%以上であることを特徴とし、また、請求項6に係る発明は、金属若しくは合金粉末を用いた電子材料若しくは電子部品が、請求項4または5記載の金属若しくは合金粉末を適用した導電ペースト、あるいは、厚膜若しくは積層電子部品であることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】本発明は、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料に対し少量のカーボンを導入して上記粒子(粉末)表面をコートし、コートされたカーボンの作用により熱処理中における粒子の焼結を抑制しながら上記粒子の結晶性を改質することを特徴とするものである(請求項1〜3)。また、本発明の改質方法においてはカーボンを適用していることから、酸化物で上記粒子を被覆しながら熱処理する方法に較べて熱処理後におけるカーボンの残留が少なく、かつ、少量のカーボンが残留したとしても上述したようにMLCC等電子部品に悪影響を及ぼすことがきわめて少ない。
【0025】そして、本発明において直接カーボン粉末を用いる場合(請求項1)、カーボンブラック等粒径の小さいカーボン超微粒子を適用することが望ましい。これは、ほかのカーボン粉末に較べて少量で金属若しくは合金等の粒子(粉末)表面をコートでき、十分な焼結抑制効果が期待できるからである。すなわち、カーボンブラック等のカーボン超微粒子は比表面積が大きく、表面活性が高いので、機械的に混合する等単純な工程だけで上記粒子(粉末)表面をきれいにコートすることができる。そして、このカーボン粉末の混合割合は、処理対象である金属若しくは合金等粉末材料の種類、粒径や処理温度などにもよるが、0.1〜20重量%の範囲に設定することを要する(請求項1)。0.1重量%未満であると熱処理中における粒子の焼結を抑制することができず、また、20重量%を超えると残留カーボンが無視できなくなりかつ20重量%未満の場合に較べて焼結の抑制作用もほとんど変わらないからである。
【0026】また、カーボン粉末以外のものを用いる場合(請求項2〜3)、金属若しくは合金等の粒子(粉末)表面をコートする元物質として、カーボン数が8以上の有機物を適用することを要する。カーボン数が8未満の有機物は沸点が低いため熱処理中に蒸発してなくなり易く、カーボンで粒子(粉末)表面をコートできない場合があるからである。これに対し、カーボン数が8以上の有機物を適用した場合、不活性雰囲気若しくは還元ガスを含む不活性雰囲気下において熱処理することにより粒子(粉末)表面をカーボン若しくはタール状のものでコートすることが可能となる。
【0027】また、上記有機物の種類についてはC、Hの二元素若しくはC、H、Oの三元素からなるものなら任意であるが、樹脂、ワックス、表面活性剤、石油、脂肪酸、炭化水素、澱粉、糖類などの適用が好ましい。これ等有機物は安価で取扱いが容易であり、有害ガスの発生がなく、かつ、上記金属若しくは合金等の粉末材料と反応しないからである。また、必要に応じて二種以上の有機物を混ぜて適用してもよい。
【0028】そして、このようにして導入されたカーボンは、単体の炭素だけではなく、一部有機物が不完全に分解して生成するタール状のものも含まれていると考えられる。このタール状のものが粒子(粉末)表面をコートすることからより高温での熱処理や還元処理が可能となる。また、上記有機物の混合割合は、0.1〜10重量%の範囲に設定することを要する(請求項2)。0.1重量%未満であると熱処理中における粒子の焼結を抑制することができず、また、10重量%を超えると残留カーボンが無視できなくなるからである。
【0029】次に、カーボンを介在させた状態で上記金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料を熱処理するが、酸素分圧が高い雰囲気下で熱処理した場合、金属若しくは合金等が酸化される恐れがあり、かつ、C、Hの二元素若しくはC、H、Oの三元素からなる有機物がカーボンに分解されずに燃焼してしまう恐れがあるため、上記酸素分圧が20KPa以下となる不活性雰囲気若しくは還元性ガスを含む不活性雰囲気下において熱処理することを要し(請求項1〜2)、また、上記粉末材料が含まれる液滴を加熱空間内に導くキャリアとして不活性ガスキャリア若しくは還元性ガスを含む不活性ガスキャリアを適用することを要する(請求項3)。不活性雰囲気を構成する不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等のガスが例示され、また、還元性ガスとしては、水素、アンモニア、一酸化炭素等のガスが例示される。また、還元性ガスを使用する場合、金属若しくは合金の酸化や有機物の燃焼を防止でき、かつ、金属若しくは合金の酸化物若しくは水酸化物や塩類を金属に還元できる最低量で使用することが望ましい。
【0030】次に、カーボンを介在させた状態で上記金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料を熱処理する際の温度条件は、200℃以上かつ上記金属若しくは合金の融点より少なくとも100℃低い温度に設定することを要する(請求項1〜2)。上記熱処理温度が200℃未満の場合、金属若しくは合金粒子の結晶化が十分に進行せずかつ上記酸化物若しくは水酸化物または金属塩の還元反応が十分に進行しないことがあり、他方、上記熱処理温度が高すぎる場合(特に金属若しくは合金の融点に近い温度の場合)、金属の焼結による粒子の融合が激しくなるからである。
【0031】また、上記粉末材料を含む液滴が導入される加熱空間の温度についても、300℃未満の場合、液滴の乾燥や金属若しくは合金粒子の結晶化が十分に進行せずかつ上記酸化物若しくは水酸化物または金属塩の還元反応が十分に進行しないことがあり、他方、1500℃を超えた場合、金属の焼結による粒子の融合が激しくなる問題を生ずるため、300℃以上1500℃以下に設定することを要する(請求項3)。
【0032】次に、本発明の改質方法により得られた金属若しくは合金粉末(粒子)を、例えば、導電ペースト、積層セラミック電子部品、特に積層セラミックコンデンサの内部電極と外部電極用等に適用する場合、この金属若しくは合金粉末(粒子)は、その結晶子径が30nm以上、カーボン含有量が1.5重量%以下、酸素含有量が5.0重量%以下、かつ、平均粒径が0.05〜10μmであることが望ましい(請求項4)。このような特性を有する金属若しくは合金粉末(粒子)は酸化され難くかつ焼結温度が高いからである。すなわち、結晶子径が30nm以上(熱処理前の結晶子径は上述したように10〜20nm程度である)とその結晶性が良好なため、焼結処理の際に酸化され難くかつ焼結温度が高い特性を有している。尚、金属若しくは合金粉末(粒子)内のカーボン含有量が1.5重量%を超えると焼成中にカーボンの燃焼によりガスが生じ、また、酸素含有量が5.0重量%を超えると焼成中に酸化物が生成されかつこれが還元されることにより収縮が生ずることから電子部品に悪影響を及ぼすことがある。また、金属若しくは合金粉末(粒子)の平均粒径が0.05μm未満であると、酸化、凝集され易く、かつ、焼結速度も速すぎる弊害があり、10μmを超えた場合、大き過ぎて厚さ数μmの導体膜の形成が困難となる弊害を有する。
【0033】また、本発明の改質方法により得られた金属若しくは合金粉末(粒子)を、例えば、導電ペースト、積層セラミック電子部品、特に、積層セラミックコンデンサの内部電極と外部電極用等に適用する場合、この金属若しくは合金粉末(粒子)は、Pd、Pt、Au、Ag、Ni、Cuから選ばれた一種若しくは二種以上の金属元素を含み、かつ、金属元素の総含有量が85重量%以上であることが望ましい(請求項5)。尚、金属若しくは合金粉末(粒子)の他の成分としては、上述したカーボンと酸素に加えて金属酸化物等が含まれる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0035】尚、この実施例において粉末をペースト化したときの指標として、「粒子の真密度」、「酸化開始温度」、「焼結開始温度」および「乾燥膜密度」を観察している。
【0036】そして、「粒子の真密度」は粉末(粒子)の結晶性が良いほど密度が大きくなるため結晶性の評価指標となる。「酸化開始温度」と「焼結開始温度」は、粉末(粒子)の結晶性が良いほど高温側に出る値である。また、「乾燥膜密度」は「粒子の真密度」に左右される値で、粉末(粒子)の結晶性が良ければ膜密度も高くなる。そして、この「乾燥膜密度」が高いと焼結収縮が小さく膜の途切れが防止される。
【0037】[改質対象]この実施例において改質対象とした金属粉末(粒子)は、湿式沈澱若しくは還元法で求めたNi粒子を用いた。
【0038】尚、このNi粒子の結晶子径は15nm(X線回折半値幅法で測定。以下同様)、平均粒径は0.4〜0.6μm(レーザー回折法で測定)であり、かつ、化学分析の結果、酸素含有量は1.3重量%、カーボン含有量は0.07重量%で、また、「粒子の真密度」は8.1g/cm3と小さかった。
【0039】また、この粉末は、空気中300℃以下より酸化され、還元性雰囲気中での「焼結開始温度」は600℃前後であった。
【0040】また、この粒子を超ミクロトームで薄片化して透過型電子顕微鏡(TEM)で内部構造を観察した結果、粒子は無数の超微粒子の集合体からなっていた。この粒子をペースト化し、厚膜形成評価を行った結果、「乾燥膜密度」が4.7g/cm3であった。
【0041】[実施例1]改質対象である上記Ni粉末(粒子)に対し、12重量%のカーボンブラック粉末を均一に混合した後、雰囲気制御のできる電気炉を用いて2体積%の水素ガスが含まれた窒素雰囲気中で800℃で1時間熱処理を行い、かつ、その後水洗処理にてカーボンを分離した。
【0042】改質されたNi粉末(粒子)の酸素含有量は0.1重量%、カーボン含有量は1.4重量%であった。また、この熱処理(改質処理)によってNi粉末(粒子)の結晶子径は15nmから186nmに増大し、「粒子の真密度」も8.1g/cm3から8.8g/cm3に上がっていた。
【0043】また、このNi粉末(粒子)の「酸化開始温度」は改質対象である上記Ni粉末(粒子)より90℃高く、「焼結開始温度」も改質対象であるNi粉末(粒子)より250℃高い850℃となっていた。
【0044】この粒子を超ミクロトームで薄片化して透過型電子顕微鏡(TEM)で内部構造を観察した結果、粒子には数個の粒界しか認められない結晶性の良い緻密な構造となっていた。また、残留カーボンが粒子表面のみに存在していることも確認された。
【0045】そして、この粒子をペースト化し、厚膜形成評価を行った結果、乾燥膜の表面粗さは改質対象である上記Ni粉末(粒子)の場合とほとんど変わらないが、上記「乾燥膜密度」が5.0g/cm3に増大し、焼成後の被覆率の増大が確認された。
【0046】[実施例2]改質対象である上記Ni粉末(粒子)に対し3重量%のワックスを混入し、雰囲気制御のできる電気炉を用いて1体積%の水素ガスが含まれた窒素雰囲気中で600℃で1時間熱処理を行った。
【0047】改質されたNi粉末(粒子)の酸素含有量は0.08重量%、カーボン含有量は0.7重量%であった。また、この熱処理(改質処理)によってNi粉末(粒子)の結晶子径は15nmから99nmに増大し、「粒子の真密度」も8.1g/cm3から8.6g/cm3に上がっていた。
【0048】また、このNi粉末(粒子)の「酸化開始温度」は改質対象である上記Ni粉末(粒子)と略同じであったが、空気中300℃または400℃で保持した場合の酸化量が改質対象である上記Ni粉末(粒子)の約1/8となった。また、「焼結開始温度」は改質対象であるNi粉末(粒子)より200℃高い800℃となっていた。
【0049】この粒子を超ミクロトームで薄片化して透過型電子顕微鏡(TEM)で内部構造を観察した結果、粒子内には数個の粒界しか認められない結晶性の良い緻密な構造となっていた。
【0050】そして、この粒子をペースト化し、厚膜形成評価を行った結果、乾燥膜の表面粗さは改質対象である上記Ni粉末(粒子)の場合とほとんど変わらないが、上記「乾燥膜密度」が4.9g/cm3に増大し、焼成後の被覆率の増大が確認された。
【0051】[実施例3]雰囲気制御のできる電気炉を用いて純粋な窒素雰囲気中で実施例2と同様の条件で熱処理を行った。
【0052】改質されたNi粉末(粒子)の酸素含有量は0.1重量%で酸化が認められず、カーボン含有量は0.6重量%であった。また、この熱処理(改質処理)によってNi粉末(粒子)の結晶子径は15nmから97nmに増大し、「粒子の真密度」も8.1g/cm3から8.6g/cm3に上がっていた。
【0053】また、このNi粉末(粒子)の「酸化開始温度」は改質対象である上記Ni粉末(粒子)と略同じであったが、空気中300℃または400℃で保持した場合の酸化量が改質対象である上記Ni粉末(粒子)の約1/9となった。また、「焼結開始温度」は改質対象であるNi粉末(粒子)より200℃高い800℃となっていた。
【0054】そして、この粒子をペースト化し、厚膜形成評価を行った結果、乾燥膜の表面粗さは改質対象である上記Ni粉末(粒子)の場合とほとんど変わらないが、上記「乾燥膜密度」が4.9g/cm3に増大し、焼成後の被覆率の増大が確認された。
【0055】[実施例4]実施例2のワックスに代えて同量のメチルセルロース樹脂を水に溶かし、改質対象である上記Ni粉末(粒子)と混合してスラリーとした。
【0056】次に、噴霧乾燥装置を用いてこのスラリーを窒素キャリアガスにより液滴化し、800℃に設定された乾燥室を通過させて熱処理を行った。
【0057】改質されたNi粉末(粒子)の酸素含有量は0.2重量%、カーボン含有量は1.1重量%であった。また、この熱処理(改質処理)によってNi粉末(粒子)の結晶子径は15nmから96nmに増大し、「粒子の真密度」も8.1g/cm3から8.6g/cm3に上がっていた。
【0058】また、このNi粉末(粒子)の「酸化開始温度」は改質対象である上記Ni粉末(粒子)と略同じであったが、空気中300℃または400℃で保持した場合の酸化量が改質対象である上記Ni粉末(粒子)の約1/6となった。また、「焼結開始温度」は改質対象であるNi粉末(粒子)より200℃高い800℃となっていた。
【0059】そして、この粒子をペースト化し、厚膜形成評価を行った結果、乾燥膜の表面粗さは改質対象である上記Ni粉末(粒子)の場合とほとんど変わらないが、上記「乾燥膜密度」が4.9g/cm3に増大し、焼成後の被覆率の増大が確認された。
【0060】
【発明の効果】請求項1〜2記載の発明に係る金属若しくは合金粉末の改質方法によれば、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末(粒子)材料に対し、カーボン粉末あるいはC、Hの二元素若しくはC、H、Oの三元素より成りかつカーボン数が8以上の一種若しくは二種以上の有機物を混合し、これ等粉末(粒子)材料表面をカーボンでコートしながら不活性雰囲気若しくは還元性ガスを含む不活性雰囲気下で熱処理するため、熱処理中における粒子の焼結(すなわち粒子間の融合)を抑制しながら上記粒子の結晶性を改質することができる効果を有する。
【0061】また、請求項3記載の発明に係る金属若しくは合金粉末の改質方法によれば、湿式沈澱若しくは還元法により得られた金属若しくは合金、その酸化物若しくは水酸化物、または金属塩から選ばれた一種または二種以上の粉末材料と、C、Hの二元素若しくはC、H、Oの三元素より成りかつカーボン数が8以上の一種若しくは二種以上の有機物を含有する溶液若しくはスラリーを液滴化し、かつ、不活性ガスキャリア若しくは還元性ガスを含む不活性ガスキャリアにより上記液滴を300℃以上1500℃以下に加熱された空間内を通過させて熱処理しているため、同様に、熱処理中における粒子の焼結(すなわち粒子間の融合)を抑制しながらその結晶性を改質することができる効果を有する。
【0062】更に、請求項1〜3に係るこれら改質方法では、粒子表面をコートする材料としてカーボンが適用されていることから、酸化物で上記粒子を被覆する方法に較べて熱処理後におけるカーボンの残留が少なく、また、少量のカーボンが残留したとしてもカーボン自身が導電性を有し、かつ、電子部品の製造過程において脱バインダーなどを目的とした焼成処理により除去され易いため電子部品に悪影響を及ぼすことが少ない効果を有する。
【0063】次に、請求項4記載の発明に係る金属若しくは合金粉末によれば、結晶子径が30nm以上、カーボン含有量が1.5重量%以下、酸素含有量が5.0重量%以下、かつ、平均粒径が0.05〜10μmであり、また、請求項5記載の発明に係る金属若しくは合金粉末によれば、Pd、Pt、Au、Ag、Ni、Cuから選ばれた一種若しくは二種以上の金属元素を含み、かつ、金属元素の総含有量が85重量%以上であることから、導電ペースト、積層セラミック電子部品、特に、積層セラミックコンデンサの内部電極と外部電極用等に好適に利用できる効果を有する。
【0064】また、請求項6記載の発明に係る電子材料若しくは電子部品によれば、請求項4または5記載の金属若しくは合金粉末を適用した導電ペースト、あるいは、厚膜若しくは積層電子部品であることから、これ等電子材料若しくは電子部品における品質の改善が図れる効果を有している。




 

 


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