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発明の名称 耐摩耗皮膜被覆工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−328008(P2001−328008A)
公開日 平成13年11月27日(2001.11.27)
出願番号 特願2000−151939(P2000−151939)
出願日 平成12年5月23日(2000.5.23)
代理人
発明者 石川 剛史
要約 目的
切削加工の乾式化、高速化に対応するため、耐酸化性及び耐摩耗性に優れた硬質皮膜と、被削材との凝着性及び溶着性が少なく、しかも他層との密着性に優れた耐凝着性層とを複合化した耐摩耗皮膜被覆工具を提供する。

構成
基体表面に硬質皮膜を被覆してなる耐摩耗皮膜被覆工具において、該皮膜は(CrSi1−a)(N1−x)、但し、0.5≦a<1、0.5≦x≦1、で示される化学組成からなるA層と、(TiAl)Nで示される化学組成からなるB層を交互に夫々1層以上被覆して構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】 工具基体に硬質皮膜を被覆してなる耐摩耗皮膜被覆工具において、該硬質皮膜は(CrSi1−a)(N1−x)、但し0.5≦a<1、0.5≦x≦1で示される化学組成からなるA層と、Ti及びAlの窒化物より構成されるB層を交互に夫々1層以上被覆してなることを特徴とする耐摩耗皮膜被覆工具。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は金属材料等の切削加工に使用される硬質皮膜被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属加工の高能率化を目的とした調質鋼の直切削においては、特開昭62−56565号、特開平2−194159号に代表されるTiAlN皮膜もしくは特開平8−134629号に代表されるTiAlN系の高硬度超多層膜などが開発され切削工具に適用されている。TiAlN皮膜は、TiN、TiCNに比べ耐酸化性が優れるため、刃先が高温に達する調質鋼の切削においては、切削工具の性能を著しく向上させるものである。
【0003】しかしながら、近年では更なる加工の高能率、高精度化の要求を満たす為の切削速度の高速化に加え、環境問題及び加工コスト低減の観点から乾式での切削加工が重要視されている。こうような切削環境下においては、切削工具表面に被覆される耐摩耗皮膜と被削材との凝着および溶着現象が切削性能に大きな影響を及ぼす。すなわち、従来までのTiN、TiCNおよびTiAlN等の耐アブレッシブ摩耗性を追求した高硬度皮膜は、著しい凝着現象を伴う切削環境下においては被削材との凝着および溶着現象等に起因した摩擦抵抗の増加により、十分な切削寿命が得られないばかりでなく、切削加工面がむしれ現象により、加工精度を劣化させたりなどの問題がある。
【0004】このような問題を解決する為に、特表平11−502775号公報に示される二硫化モリブデンや、特開平7−164211号公報に示される炭化タングステンおよびダイヤモンドライクカーボンからなる潤滑性皮膜を硬質皮膜の表面に積層した切削工具が開発されているが、いずれも硬質皮膜との密着性が悪く、皮膜そのものが非常に脆い為、切削時に剥離または破壊などにより上記切削環境下においては十分対応できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした事情に鑑み、切削加工の乾式化、高速化に対応可能な、即ち、耐酸化性及び耐摩耗性に優れた硬質皮膜(B層)と、被削材との凝着性及び溶着性が少なく、しかもB層との密着性に優れた耐凝着性層(A層)とを複合化した耐摩耗皮膜被覆工具を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、硬質皮膜の耐摩耗性、様々な被削材と摩擦抵抗の低減に及ぼす影響および皮膜の層構造について詳細な検討を行った結果、皮膜の一部に耐凝着性及び耐溶着性に優れた層を介在させた耐摩耗皮膜被覆工具において、該皮膜は、耐凝着性及び耐溶着性を付与する(CrSi1−a)(N1−x)、但し、0.5≦a<1.0、0.5≦x≦1.0で示される化学組成からなるA層と、耐酸化性及び耐摩耗性を付与するTi及びAlの窒化物より構成されるB層を交互に夫々1層以上被覆した耐摩耗皮膜被覆工具とする事により、乾式高速切削加工において切削工具の性能が極めて良好となることを見出し本発明に到達した。ここに、A層においてCrとSi対NとBの原子比率は必ずしも1対1である必要はないし、B層においても同様にTiとAl対Nの原子比率は必ずしも1対1である必要はない。また、A層は硬質皮膜の最上層に有ることが好ましいが、必ずしも最上層でなくとも、その効果は十分に発揮するものである。更に上記耐摩耗皮膜は、物理蒸着法により被覆されることが望ましい。
【0007】
【作用】はじめにA層の作用について詳しく述べる。
(CrSi1−a)(N1−x)、但し、0.5≦a<1.0、0.5≦x≦1.0、で示される化学組成からなるCrとSiより構成される窒硼化物は、大気中における摩擦係数が従来のTiAl窒化物皮膜の0.8に比べ、0.3と極めて低摩擦を示すだけではなく、その他の硬質皮膜との密着性が極めて優れることを見出した。
【0008】前記乾式高速切削過程においては、凝着や溶着現象等により被削材の一部が硬質皮膜表面の微視的な凹凸部に強固に固着し、この凝着物および溶着物等とともに、皮膜は剥離または剥離に起因した刃先の欠損を生じる。A層を複合化することによる摩擦係数の低下は、凝着や溶着現象そのものを低減させる効果を有する。この摩擦係数の低下は、Crそのものの有する効果によるものであるが、これにSiを添加する事により高温での使用環境下において、更に摩擦係数の低下がもたらされる。これは、Siが比較的低い温度で工具表面にSi酸化物を形成し、この酸化物が更に摩擦係数の低減に寄与することによるものである。
【0009】またA層は、皮膜そのものの弾性係数がTiAl窒化物皮膜の620GPaに比べ、400〜500GPaと著しく低い値を示す。つまり、耐凝着性改善皮膜の弾性係数が従来のTiAl系窒化物よりも高い場合、残留圧縮応力が増大し、硬質皮膜内部の強度よりも皮膜界面の強度が弱くなる為、容易に硬質皮膜の剥離もしくは剥離に起因した刃先の欠損が発生し、A層の働きが低下し切削工具の性能を低下させる。一方、硬質皮膜の弾性係数が低い場合はA層の残留圧縮応力が低くB層との密着性が優れるとともに、硬度も低く、微視的な硬質皮膜表面の凹凸部に固着した凝着物および溶着物等は、この凹凸部の硬質皮膜が摩滅する為、A層の剥離もしくは工具の欠損が発生しないことを確認した。
【0010】さらにSi添加の効果はCr窒硼化物の欠点である耐クラック性の改善及びCrN皮膜そのものよりも多少硬度を高め耐摩耗性の向上に寄与する。またSiの酸化物の形成により、酸素および被削材成分Feの皮膜内部への拡散を抑制するため皮膜の耐酸化性を向上させ、より高速での切削を可能にする。
【0011】硼素の添加は窒素と同時に添加することによりA層内部にBN相が介在され、このBN相が潤滑性をより一層向上せしめ、溶着をさらに発生し難くする効果を有する。
【0012】本発明の硬質皮膜を構成するA層の金属元素の組成は、(CrSi1−a)において、aの値が0.5≦a<1.0という式を満足させることが必要である。aの値が0.5未満の場合、Crそのものの効果による低摩擦を得る為に十分ではなく、乾式高速切削における性能が十分ではない。
【0013】また、上記A層に係る窒硼化物の場合、N1−xで0.5≦x≦1.0を満足することが必要であり、xの値が0.5未満の場合は、皮膜の硬度が著しく上昇し、皮膜の密着性が劣化するため十分な切削性能を示さない。
【0014】次にB層の作用について述べる。上記A層は、静的および動的条件下において優れた密着性、低摩擦を有すものの、調質材の切削加工には、単一皮膜では十分な切削性能を示さない。そこで、優れた耐酸化性並びに耐摩耗性を有したB層を併用する必要がある。このB層の成分は、Ti、Al、Nより構成されるものである。
【0015】以上のように本発明においては、皮膜自体の耐酸化性と耐摩耗性をバランス良く有するB層と、高密着、低摩擦に優れるA層を交互に、それぞれ2層以上積層する事により、乾式の高速切削に対応する切削工具を得ることが可能となる。
【0016】本発明の硬質皮膜被覆工具は、その被覆方法については、特に限定されるものではないが、被覆母材への熱影響、工具の疲労強度、皮膜の密着性等を考慮した場合、比較的低温で被覆でき、被覆した皮膜に圧縮応力が残留するアーク放電方式イオンプレーティング、もしくはスパッタリング等の被覆基体側にバイアス電圧を印加する物理蒸着法であることが望ましい。
【0017】
【実施例】以下本発明を実施例に基づいて説明する。アークイオンプレーティング装置を用い、金属成分の蒸発源である各種合金製ターゲット、ならびに反応ガスであるNガスから目的の皮膜が得られるものを選択し、被覆基体温度400℃、反応ガス圧力3.0Paの条件下にて、被覆基体である外径10mmの超硬合金製2枚刃エンドミル、R5mmの超硬合金製2枚刃ボールエンドミルおよび超硬合金製インサートに−150Vの電位を印加し、全皮膜の厚みが4μmとなるように成膜した。また硼素は蒸発源であるターゲットに必要量添加した。成膜順序は先ずB層を、次にA層を成膜し、必要に応じてこれを繰り返した。各試料のA層、B層の組成、総層数(A層数+B層数)を表1に示す。同様に膜の組成や構成を変化させた比較例を表1に併記する。
【0018】
【表1】

【0019】得られた硬質皮膜被覆エンドミルおよび硬質皮膜被覆インサートを用い切削試験を行った。工具寿命は刃先の欠けないしは摩耗等により工具が切削不能となった時の切削長とした。切削諸元を次に示す。
【0020】2枚刃超硬エンドミルの切削条件は、側面切削ダウンカット、被削材S50C(硬さ220HB)、切り込みAd10mm×Rd1mm、切削速度250m/min、送り0.06mm/tooth、エアーブロー使用、とした。
【0021】2枚刃超硬ボールエンドミルの切削条件は、直線ダウンカット、被削材S50C(硬さ220HB)、切り込みAd0.2mm×Pick Feed0.2mm、回転数10000min−1送り4000mm/min、エアーブロー使用、とした。
【0022】インサート切削条件は、工具形状SEE42TN、巾100mm×長さ250mmの面取り加工、被削材SKD61(硬さ45HRC)、切り込み2.0mm、切削速度150m/min、送り0.15mm/rev、乾式切削とした。表1及び表2に試験結果を併記する。
【0023】比較例12、13はSiの量が多すぎる場合の比較例であり、耐凝着及び溶着性が十分ではなく工具寿命が短い。比較例14、15は、A層およびB層への硼素添加量が多すぎる場合の比較例であり、皮膜密着性が十分でなく工具寿命が短い。比較例16はA層の単一皮膜であり、耐摩耗性が得られず寿命が短い。比較例17は、B層の単一皮膜であり、凝着が激しく、異常摩耗を誘発し寿命が短い。比較例18、19、20、21、22は、A層に他成分皮膜を用いた場合の比較例であり、いずれも凝着および溶着等により、早期に皮膜の異常摩耗が発生し寿命が短い。比較例23、24、25、26、27、28は、従来までの硬質皮膜における切削性能を示すが、何れも本発明例に比較して著しく劣る結果となった。
【0024】これらに対し本発明例は、切削時の摩擦に対する抵抗を著しく低減し、かつ硬質皮膜との密着性に優れ、また、密着力、硬さと靭性のバランスを考慮したB層を併用しているので、凝着や溶着現象に起因した異常摩耗が進行することもなく、総合して工具寿命が著しく向上する。従って、本発明は乾式高速切削加工に十分対応するものである。
【0025】
【発明の効果】以上の如く、本発明の硬質皮膜被覆工具は、従来の被覆工具に比べ優れた密着性、低摩擦を有すことから、乾式高速切削加工において格段に長い工具寿命が得られ、切削加工における生産性の向上に極めて有効である。




 

 


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