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発明の名称 被覆超硬エンドミル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−198723(P2001−198723A)
公開日 平成13年7月24日(2001.7.24)
出願番号 特願2000−7945(P2000−7945)
出願日 平成12年1月17日(2000.1.17)
代理人
発明者 石川 剛史
要約 目的
本発明は、高硬度材の乾式高速切削で長い工具寿命を達成するため、切粉が赤熱し工具に凝着する、高温のためエンドミル刃先部が微少に塑性変形を防ぎ工具寿命を延す超硬エンドミルを提供する。

構成
AlとTiを主成分とし、C、N、O、Bの一種以上から構成される皮膜とCrを主成分とし、C、N、O、Bの一種以上から構成される皮膜を少なくとも2層以上被覆した超硬エンドミルにおいて、その母材である超硬合金のCoの含有量が5重量%から12重量%、保磁力が15kA/m以上であり、Coの(111)面から算出される格子定数が3.565Å以上で構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】AlとTiを主成分とし、C、N、O、Bの一種以上から構成される皮膜とCrを主成分とし、C、N、O、Bの一種以上から構成される皮膜を少なくとも2層以上被覆した超硬エンドミルにおいて、その母材である超硬合金のCoの含有量が5重量%から12重量%、保磁力が15kA/m以上であり、Coの(111)面から算出される格子定数が3.565Å以上であることを特徴とする被覆超硬エンドミル。
【請求項2】請求項1記載の被覆超硬エンドミルにおいて、前記AlとTiを主成分とし、C、N、O、Bの一種以上から構成される皮膜のTiの一部をZr、Cr、Si、Nb、W、Yの一種または二種以上で置き換えたことを特徴とする被覆超硬エンドミル。
【請求項3】請求項1及び2記載の被覆超硬エンドミルにおいて、前記Crを主成分とし、C、N、O、Bの一種以上から構成される皮膜のCrの一部をV、Si、Tiの一種または二種以上で置き換えたことを特徴とする被覆超硬エンドミル。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乾式高速切削において、耐溶着性及び耐塑性変形性に優れた被覆超硬エンドミルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年切削加工は高速化の傾向にあり、切削温度も極めて高くなっている。従って、従来一般的であったTiN、TiCN等の被覆では、耐酸化性が十分でなく、それを解決するために、耐酸化性の優れるTiAlN系皮膜が用いられるようになってきた。TiAlN系Ti系皮膜より耐酸化性は優れるものである。さらに最近では、特開平8−132310号公報、特開平11−156992号公報のように、潤滑性膜を加えた工具が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は高硬度材の高速切削を詳細に実施した結果、高硬度材の乾式高速切削においては、長い工具寿命を達成するために、新に二つの現象に対する対策が必要であることを確認した。一つは切粉が赤熱し、工具に凝着することが確認されこれに対する解決策。もう一つは、高温のため、エンドミル刃先部が微少に塑性変形し、これに伴い摩耗が進行することが確認されこれに対する解決策である。この二つの現象が工具寿命を低下せしめるとともに、加工面の仕上げ面粗さを劣化させる要因となっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、AlとTiを主成分とし、C、N、O、Bの一種以上から構成される皮膜とCrを主成分とし、C、N、O、Bの一種以上から構成される皮膜を少なくとも2層以上被覆した超硬エンドミルにおいて、その母材である超硬合金のCoの含有量が5重量%から12重量%、保磁力が15kA/m以上であり、Coの(111)面から算出される格子定数が3.565Å以上であることを特徴とするものである。すなわち、本発明では、皮膜の改良においては、一般にTiAlN系は鋼との摩擦係数が0.8前後と高いため、皮膜に潤滑性を持たせるために鋼との摩擦係数の低いCrN系皮膜との複合多層化により、0.4程度まで低減することを確認した。CrN系は耐凝着性には優れるものの軟らかく耐摩耗性には劣るため、耐摩耗性に優れるTiAlN系皮膜との多層構造とするほうがより好ましいがTiAlN系との2層構造でも十分である。また、皮膜のみの耐凝着生の改善では、切削寿命が2割程度しか向上するにすぎなかった。さらに詳細に検討を重ねた結果凝着は、母材そのもの発生している事実を突き止めるに至った。つまり、切削初期において、母材は皮膜で保護されているため、皮膜の耐凝着性の改善により効果が確認されるわけであるが、切削中期以降は母材が露呈し、皮膜のみの効果ではその凝着防止に対する寄与が少ない訳である。
【0005】
【作用】母材で発生する凝着は、超硬合金中のCoと鋼の間で発生する。鋼と超硬合金を高温で拡散接着しその接合強度を測定した結果、接合強度は超硬合金のCoのミーンフリーパス、つまりWC粒子の平均粒子間距離に強く依存することが確認された。WC粒子間距離が大きい場合、つまりWC粒子間のCoの厚さが厚い場合接合強度は著しく高くなる傾向にあった。従って母材での凝着を抑制するためには、WC粒子間のCoの厚さをある数値以下にすると凝着が改善できることを見出した。WC粒子間のCoの厚さは超硬合金の保磁力と相関があり、WC粒子間のCoの厚さが薄くなるにともない保磁力は増加する。従って、超硬合金の保磁力をある数値以上にする必要があるわけである。接合強度はある保磁力以上で著しく減少し、結果母材での凝着を著しく抑制するものである。
【0006】次に耐塑性変形性はCoの格子定数を規定することにより解決される。塑性変形は超硬合金の中の金属相であるCoですべりが発生することにより生ずる。塑性変形が発生すると切れ味が悪くなり凝着が加速されることも実験により明らかとなった。Coに固溶するW、Ti、Taと言った重金属成分を増やしCo金属相を固溶強化することにより、耐塑性変形性は改善される。これら成分の固溶量の増加にともないCoの格子定数は増加する。固溶量を増加させる手法としては、合金のカーボン量を低い側で制御するか、もしくは焼結後急冷却するかにより達成される。
【0007】上述のように、TiAlN系皮膜とCrN系皮膜の複合化、及び母材のWC粒子間距離の調整、並びにCoを固溶強化し耐塑性変形性を抑制するという3点の同時改良により、皮膜のみの改良では2割程度の寿命向上にすぎなかったが、寿命は6割以上改善されるとともに、仕上げ面粗さも極めて優れる結果となった。さらに耐酸化性を高める目的でTiAlNを主成分とする層のTiの一部をCr、Zr、Nb、Si等の成分に置換することが有効で、さらに寿命の向上が可能となる。これら成分はTiAlN結晶の主に粒界の格子欠陥に偏析し、粒界を緻密化し酸素の拡散を抑制するものである。
【0008】次に、CrN系皮膜にVを添加することにより、切削中皮膜表面に潤滑性の優れるVの酸化物が形成されCrN系の潤滑性を飛躍的に高めることが可能となった。一方CrN系皮膜は潤滑性を有するものの、硬度が低く耐摩耗性の観点からはあまり好ましいものではない。この欠点を克服するためには、Si、もしくはTiの添加が有効である。Si、Ti添加によりCrN系皮膜の硬度は向上し、結果潤滑性を保ちながら、耐摩耗性を付与でき、さらに切削寿命を向上せしめることが可能である。さらに、潤滑性改善のVと硬度向上のTi、Siの一種を複合添加することがより好ましい。
【0009】次に数値限定した理由について説明する。Co含有量は5重量%未満であると超硬合金の靭性が低下し、チッピングが発生し易くなり、13重量%を超えると鋼との凝着が顕著となるため5重量%以上13重量%以下とした。Coの格子定数は3.565Å未満であると、Coの固溶強化が十分でなく切削中に塑性変形の発生、それに伴う凝着の発生が生じ好ましくないため、3.565Å以上とした。保磁力は15kA/m未満であると凝着が発生し易くなるため15kA/m以上とした。さらに好ましい範囲は5〜8重量%のCo含有超硬に対しては15kA/m以上、8〜11重量%のCo含有超硬に対しては20kA/m以上、11〜13重量%のCo含有超硬に対しては、25kA/m以上である。
【0010】
【実施例】以下実施例に従い本発明を説明する。アークイオンプレーティング法により、表1に示す本発明例及び比較例を作成した。皮膜の組成は蒸発源であるカソードの金属ターゲットの組成を調整することにより調整した。炉の片側にTiAl系ターゲット、反対側にCr系ターゲットを設置し交互に放電せさることにより多層化を行った。被覆条件は基体に印可するバイアス電圧は150V、反応圧力は1Paで一定とし、皮膜厚さは全ての例において総厚3000nmとした。超硬合金は市販の平均粒径0.5μ、0.8μ、1.5μのCrをドーピングしたWC粉末、及び同1μのCo粉末をアルコール中、アトライターで10時間混合した後、乾燥させ、丸棒をラバープレスし、1350℃〜1400℃1時間真空焼結することにより作成した。WC粒径及び焼結温度により合金の保磁力を調整した。また本発明例の合金においては、焼結後窒素ガスを封入することにより、急冷却を行い、目的とするCoの格子定数を得た。比較例においては炉冷した。
【0011】
【表1】

【0012】表1に示した本発明例及び比較例において、以下の切削条件で切削評価を実施した。その結果を表2に示す。本条件においてはエンドミルが赤変し折損するまで切削を実施し、折損までの切削長を寿命とした。また面粗さは切削1m後に測定し比較した。
切削条件1被削材:SKD11(HRC62)
工具:φ8mm、6枚刃エンドミル切削速度:200m/min切りこみ:8mmx0.4mm送り:0.03mm/刃乾式切削【0013】
【表2】

【0014】表2から明らかなように、本発明例1〜9では、WC粒径とCo量を調整し、の格子常数とした例で、WC粒径が小さいほど、寿命が延びる傾向にある。更に、本発明例10〜14では、試料番号4の超硬合金を用いて、膜質を酸素を含有するTiAlNo−CrVN膜を用いて、20%前後の寿命延長が計れた。次にCrVNに酸素及び/又は他元素を添加した本発明例15〜20では、更なる効果が確認された。また、同様に、本発明例21〜27のTiAlN膜中に他元素を添加した場合にも、添加した元素によりその作用が特徴付けられた。最後に、本発明例28〜31は、2層から600層まで層を重ねた場合であり、全膜厚は同じであり、層を重ねるごとに耐摩耗性は改善された。また、本発明例の面粗さは1.4ミクロン以下で、また、イレギュラーなカッターマークもなく良好な結果が得られた。本発明例においては、凝着、塑性変形の発生が少なく長寿命である。特に塑性変形が発生し易い高硬度材高速条件下ではさらに比較例との差が顕著であることも明らかである。
【0015】比較例では、Co量が少ない比較例32、Co量が多い比較例33、34では、初期欠損、摩耗により寿命となった。格子常数を3.565未満とした比較例35〜37では、切削初期は良いが、母材が露出すると急速に摩耗が進行し、寿命となった。更に、比較例37の母材を用いて、様々な膜質、膜の構成を試験した比較例38〜46では、若干の効果はあるものの、膜が作用する切削初期は良いが、母材が露出すると急速に摩耗が進行し、寿命となった。
【0016】更に、表1に示した本発明例及び比較例において、ボールエンドミルを製作し、以下の条件において、50m切削あとの外周刃の最大摩耗を測定し比較した。また、仕上げ面粗さは50m切削後、切削方向において測定し比較した。その結果も表2に併記する。
切削条件2被削材:S50C(HRC35)
工具:φ10mm、ボールエンドミル切削速度:314m/min切りこみ:0.3mm、ピック0.3mm送り:0.5mm/刃乾式切削【0017】表2より、本発明例は、ボールエンドミルに特有な回転中心付近の切削のみを継続して行う条件であり、回転中心付近の損傷、特に凝着の影響を観察すると、50m切削後でも、摩耗が165ミクロン以下と小さく、また凝着等も少なく、面粗さも2.4ミクロン以下が安定して得られている。比較例においては、摩耗量も大きいが、それ以上に面粗さが大きな数値となっている。これは、母材が露出するしてくる50m切削後では、母材に切屑の一部が凝着をおこし、切削面がむしれるような状態となっている為である。また、本発明により高硬度材の高速切削において、被削材の凝着の防止、並びに刃先に発生する塑性変形の抑制により、極めて長い間の切削が可能となった。また、炭素鋼の切削においても同様の結果となった。これは限定された超硬合金と限定された皮膜の相乗効果によることは言うまでもないことである。また本発明例は凝着が発生し易いその他の被削材においても同様な効果が確認された。
【0018】
【発明の効果】本発明を適用することにより、乾式高速切削で長い工具寿命が得られた。特に、凝着と耐塑性変形性を必須とする高硬度材において優れるとともに、凝着が発生し易いその他の被削材においても同様である。




 

 


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