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発明の名称 被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−138108(P2001−138108A)
公開日 平成13年5月22日(2001.5.22)
出願番号 特願平11−317529
出願日 平成11年11月8日(1999.11.8)
代理人
発明者 島 順彦
要約 目的
本発明は、耐熱鋳鋼の切削加工に用いる被覆超硬合金製インサートの被覆層の密着性及び長寿命を達成するために母材の耐熱亀裂性、耐凝着性を改良し、安定した切削加工を実現することを目的とする。

構成
耐熱鋳鋼を被覆超硬合金製インサートを用いて切削加工する方法であって、該インサートの超硬合金母材はWCを主成分とし、Coを主体とする鉄族元素:5〜13重量%、およびTi、Ta、Nb、Zrの炭化物、窒化物、炭窒化物の合計:0〜30重量%を含有し、かつ、WCの粒度分布の巾が1.5μm以上を有し、該被覆はTiの窒化物、炭窒化物、炭化物、Alの酸化物の内の1種または2種以上の硬質皮膜を化学蒸着法により被覆した被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法。
特許請求の範囲
【請求項1】 Cを0.2重量%以上、Niを8重量%以上、Crを15重量%以上及び耐熱性向上成分として、Crを除く4a、5a、6a族元素から選ばれた1種もしくは2種以上を含む耐熱鋳鋼を被覆超硬合金製インサートを用いて切削加工する方法であって、該インサートの超硬合金母材はWCを主成分とし、Coを主体とする鉄族元素:5〜13重量%、およびTi、Ta、Nb、Zrの炭化物、窒化物、炭窒化物の合計:0〜30重量%を含有し、かつ、WCの粒度分布の巾が1.5μm以上を有し、該被覆はTiの窒化物、炭窒化物、炭化物、Alの酸化物の内の1種または2種以上の硬質皮膜を化学蒸着法により被覆したことを特徴とする被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法。
【請求項2】 請求項1記載の被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法において、該超硬合金母材のCoを主体とする結合相の格子定数を0.3560nm以上、0.3575nm以下としたことを特徴とする被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法。
【請求項3】 請求項1及び2記載の被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法において、硬質皮膜の総膜厚を2μm以上、7μm以下としたことを特徴とする被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法。
【請求項4】 請求項1乃至3記載の被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法において、硬質皮膜は膜厚が各層1.5μm以下のTiの窒化物、炭窒化物、炭化物、Alの酸化物の2種以上を積層したことを特徴とする被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被覆超硬合金製インサートを用いて、耐熱鋳鋼を高能率かつ工具の寿命を低下することなく切削加工を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】元来、耐熱鋳鋼はその必要性から高温における機械的強度に優れている。高温強度の優れる被削材は切削加工において工具刃先への過度な負担となり、切削温度の上昇をもたらす。耐熱鋳鋼の切削における工具材料としては、熱伝導性の優れるWC−Co系を母材とした超硬合金を用い、耐摩耗性、および耐チッピング性を考慮し、物理蒸着法による硬質皮膜を用いる事が一般的である。また、切削温度が高いため、場合によっては工具に塑性変形が発生ので、比較的Co含有量の少ない超硬合金が好んで用いられている。最近では、特に排気ガス規制という環境上の問題から、自動車部品において、更に耐熱性を向上すべく従来の耐熱鋳鋼より合金成分としてのNi、Crの含有量の高い物、およびそれに加えて4a、5a、6a族元素成分を添加する事例がある。この場合、被削性は更に悪化すると共に、切削工具に熱亀裂、加工物の凝着が発生し易くなり、全くといっていいほど満足のいく切削寿命が得られていない。
【0003】
【解決しようとする課題】本発明は、耐熱性を向上すべく様々な元素が添加された耐熱鋳鋼の切削加工において、被覆超硬合金製インサートを用いた場合の被覆層の密着性を改良すること、及び長寿命を達成するために母材の耐熱亀裂性、及び耐凝着性を改良することにより、安定した切削加工を実現することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】そのため、本願発明では、Cを0.2重量%以上、Niを8重量%以上、Crを15重量%以上及び耐熱性向上成分として、Crを除く4a、5a、6a族元素から選ばれた1種もしくは2種以上を含む耐熱鋳鋼を被覆超硬合金製インサートを用いて切削加工する方法であって、該インサートの超硬合金母材はWCを主成分とし、Coを主体とする鉄族元素:5〜13重量%、およびTi、Ta、Nb、Zrの炭化物、窒化物、炭窒化物の合計:0〜30重量%を含有し、かつ、WCの粒度分布の巾が1.5μm以上を有し、該被覆はTiの窒化物、炭窒化物、炭化物、Alの酸化物の内の1種または2種以上の硬質皮膜を化学蒸着法により被覆したことを特徴とする被覆超硬合金製インサートを用いた耐熱鋳鋼の切削加工方法である。先ず、該インサートの超硬合金母材は、切削加工時に発生する現象を詳しく観察した結果、比較的切削速度が早い場合は、被覆超硬合金製インサートに熱亀裂が多く発生し、これが寿命を短くする原因であること、また、切削速度が遅い場合には、被削材の凝着が多く、これが寿命を短くする原因であることが確認された。従って、切削速度が早い場合には耐熱亀裂性を向上させるために、熱亀裂の伝播を抑制することが効果的であることを見出した。これは、比較的粗いWC粒を混在させることにより実現できたが、粗いWC粒のみでは、母材の硬度も低く、耐摩耗性が劣化するとともに、結合相であるCoの平均自由行程が長くなることから、切削温度が上がると工具刃先に塑性変形が発生する傾向がある。好ましくは、粗粒のWCと共に細粒のWCを混在させることにより安定した切削加工が行えることを確認した。従って、WCの粒径に対しては1.5μm以上の粒度分布を有することが好ましい。
【0005】次に、化学蒸着法を用いることにより、母材と被覆層の間の相互拡散などの効果により、密着性そのものが改善されたことによる。中でも、Tiの窒化物の場合は母材との密着性が特に優れる事を確認するに至った。また、Tiの炭窒化物、及び炭化物の場合は、密着性はTiの窒化物に比べると若干劣るが、物理蒸着法による同組成の被覆層よりは優れる。更にTiの炭窒化物、および炭化物は、耐摩耗性においてTiの窒化物より優れる事が確認された。Alの酸化物の場合は、特に、被削材の凝着が少なくなり、加工の安定性が更に向上するとともに、被削材の切削工具刃先への凝着、脱落に伴う被覆層の剥離を完全に抑制できることを確認した。従って、これらの効果を複合化させること、また、仮に被覆層の剥離が発生するような状況においても、被覆層間の剥離に止めて、母材を露出させない目的から、これらの硬質皮膜を多層に被覆することが好ましい。
【0006】通常、超硬合金製インサート中に発生した亀裂は、WCや、Wと他の成分元素との固溶体炭化物もしくは炭窒化物といった、硬質粒子を迂回し、結合相成分であるCoなどの鉄族元素中を進展して行く。故に、亀裂の進展経路である所の結合相成分を、固溶強化などの手法により本質的に強化することも、耐熱亀裂性の向上には効果がある。本発明では、結合相の主成分であるCo中にW成分を多量に固溶させた場合に耐熱亀裂性、及び場合によっては発生する母材の塑性変形を抑制する効果があることを見出した。好ましくは、結合相の主成分であるCoの格子定数が0.3560nm以上、0.3575nm以下の時に抑制の効果が大きい。
【0007】以上の発明により、少なくともCを0.2重量%以上、Niを8重量%以上、Crを15重量%以上及び耐熱性向上成分とし、少なくとも4a、5a、6a族元素から選ばれた成分の1種もしくは2種以上を含む耐熱鋳鋼の切削加工に関し、被覆超硬合金製インサートを用い、安定して長寿命に切削加工を行うことを可能にした。
【0008】次に数値を限定した理由について述べる。Ti、Ta、Nb、Zrの炭化物等の量は重量%で30を越えると、母材の靭性が下がるため、0≦Ti、Ta、Nb、Zrの1種もしくは2種以上≦30とした。比較的切削速度が速い場合は、上述の様に、熱亀裂が主な寿命の支配要因となるため、この様な場合は15重量%以下であることが好ましい。また、切削速度が遅い場合は、凝着が発生し易くなるため、この場合は15重量%〜30重量%が好ましい。WCの粒度分布の巾は1.5μm以上であると、平均粒度が粗粒側では耐摩耗性および耐塑性変形性を著しく損ない、また、細粒側では、細粒自体の粒径が熱亀裂の伝播を抑制するのに十分な大きさを有さないため1.5μm以上とした。好ましくは、細粒として0.8〜1.2μm、粗粒としては3〜4μmのものが良い。
【0009】Coの含有量が5重量%以下であると母材の靭性をそこない、13重量%を越えて含有させると耐摩耗性を損ない、塑性変形が発生するため、5重量%〜13重量%とした。Coの格子定数が0.3575nm以下だと熱亀裂の進展抑制に効果がなく、0.3560nm以上だと合金中に脱炭相が発生し、超硬合金の靭性を損なう場合があるため、0.3560nmから0.3575nmとした。
【0010】尚、超硬合金の粒成長抑制剤として一般的に用いられるCr、Vなどを超硬合金成分として含む母材を用いる場合も本発明の範囲内である。
【0011】硬質皮膜の膜厚は2μm未満では耐摩耗性向上に寄与しなく、7μmを越えると、チッピングや被覆層の剥離が生じ易くなるため、2μm〜7μmとした。更に、該硬質皮膜の膜厚が各層1.5μm以下としたのは、単層の厚さが厚いと損傷が生じた場合、その厚さ分損傷を受けるため、単層の厚さを1.5μm以下とした。以下、実施例に基づき詳細に説明する。
【0012】
【実施例】以下に本発明の実施例を述べる。母材は原料粉末として、いずれも市販の粒径1.0μmと3.0μmのWC粉末、同1.5μmの(W、Ti)C粉末、同1.0μmのTaC粉末、同1.5μmのZrC粉末、同1.0μmのCo粉末を用意し、これら原料粉末を表1に示される組成となるように通常の粉末冶金法にて製作した。次に、WCの粒度分布の幅は次のようにして求めた。鏡面に研磨した母材断面を走査型電子顕微鏡で倍率2000倍で観察、115mm×85mmの写真に撮影し、各WC粒子の面積を算出する。それぞれのWC粒子面積と同じ面積の円の直径をそれぞれのWC粒子の粒径とする。このようにして得られた粒径の上位10点の平均と下位10点の平均の差をとり粒度分布の幅とした。実際の測定には市販の画像解析プログラムを用いてコンピュータにて行った。
【0013】
【表1】

【0014】次に、上記WC基超硬合金を研削加工して、ISO規格SEEN1203AF(特殊)のインサートを作製した。更に、この母材の表面に表2に示される構成の被覆層を化学蒸着法により被覆し、本発明例、比較例のインサートを製造した。
【0015】
【表2】

【0016】上記硬質被覆層を化学蒸着する条件は、以下の通りである。
TiC硬質層の化学蒸着条件(1)TiC硬質層の化学蒸着条件温度1030℃圧力13.3kPa反応ガス組成:4vol%TiCl−5vol%CH−91vol%H(2)TiCN硬質層の化学蒸着条件温度980℃圧力100torr反応ガス組成:4vol%TiCl−4vol%CH−5vol%N−87vol%H(3)TiC硬質層の化学蒸着条件温度1000℃圧力13.3kPa反応ガス組成:4vol%TiCl−8vol%N−88vol%H(4)Al硬質層の化学蒸着条件温度1030℃圧力13.3kPa反応ガス組成:3vol%AlCl−5vol%CO−92vol%H【0017】この表2に示す本発明例1〜16及び比較例17〜26について、下記の条件でフライス切削試験を実施した。
被削材:耐熱鋳鋼(15Cr−20Ni−4W)幅25mm切削速度:低速(50m/min)、高速(150m/min)
1刃あたりの送り:0.1mm切り込み:3.0mm切削油:水溶性切削油上記の切削条件で各インサートを寿命まで切削した。その時の切削距離を表2に示すとともに、インサートの切れ刃の損傷状況も合わせて示した。
【0018】本発明例では、合金a、b、c、e、fを用い、粒度分布を適正な幅に調整し、膜を被覆した本発明例1では、低速切削で25m、高速切削で20m切削できた。また、本発明例7、3、8の様に粒度分布を変化させた場合には、粗いほど高速切削時での切削距離が伸びていることが分かる。次に、化学蒸着法を用いた本発明例と、物理蒸着法を用いた比較例24、25では、本発明例では正常な摩耗であったのに対し、比較例では2例とも被覆層の剥離が生じ、その結果、短寿命となった。比較例16〜18の様に母材の成分を本発明外としたものは、母材が熱亀裂や熱による塑性変形を生じ寿命となった。また、粒度分布を狭くした比較例19では、正常な摩耗であったが、特に高速切削では摩耗量が多く、短時間で寿命となった。
【0019】更に、本発明例9と比較例20、21の様に格子定数を変化させた場合では、比較例21、格子定数が大きい場合は欠損により、また、比較例20、格子定数が小さい場合は、塑性変形を生じ短寿命であった。また、被膜の厚さは、本発明例のように3〜7μでは剥離を生ぜず、正常に推移したが、膜を厚くした比較例23では、剥離を生じた。更に、本発明例15の様に積層膜とした例では低速、高速ともに優れた寿命を示した。
【0020】
【発明の効果】本発明を適用することにより、耐熱鋳鋼の切削加工において、超硬合金の組成、粒度分布及び被覆を備えることにより、母材の耐熱亀裂性、及び耐凝着性、被覆層との密着性を改良し安定した切削加工を実現することをできた。




 

 


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