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発明の名称 硬質皮膜被覆工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−105205(P2001−105205A)
公開日 平成13年4月17日(2001.4.17)
出願番号 特願平11−288664
出願日 平成11年10月8日(1999.10.8)
代理人
発明者 久保田 和幸
要約 目的
TiAlN皮膜、TiAlSiCN皮膜の耐摩耗性ならびに密着性を犠牲にすること無く更に耐酸化性を改善し、切削加工の乾式化、高速化に対応する硬質皮膜被覆工具を提供することを目的とする。

構成
金属成分が、SiとAlで構成される金属皮膜もしくはその窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかである層と、金属成分がAlとTiで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかである層が、それぞれ一層以上交互に被覆して構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】金属成分が、SiとAlで構成される金属皮膜もしくはその窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかである層と、金属成分がAlとTiで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかである層が、それぞれ一層以上交互に被覆されていることを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
【請求項2】請求項1記載の硬質皮膜を物理蒸着法により被覆したことを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、金属材料等の切削加工に使用される硬質皮膜被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来はTiN、TiCN等を被覆した切削工具が汎用的かつ一般的であった。TiNは比較的耐酸化性に優れるため、切削時の発熱によって生じる工具のすくい面摩耗に対して、優れた耐摩耗性を示すだけでなく、基体との密着性も良好であることが特長である。また、TiCNは、TiNに比べ高硬度かつ被加工物から排出される切り粉との接触抵抗が低いため工具表面の発熱が抑制される。このことから、被削材との機械的な擦り摩耗によって工具逃げ面に生じるフランク摩耗が抑制することができる。しかしながら、金属加工の高能率化を目的とした切削速度の高速化傾向に対し、上記硬質皮膜では、十分な耐酸化性、耐摩耗性を示さなくなった。この様な背景から、皮膜の耐酸化性、耐摩耗性をより向上させる研究がなされ、その結果、特開平8−170167号に代表されるTiAlN皮膜およびTiAlSiCN皮膜が開発され切削工具に適用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】TiAlN皮膜は、その皮膜中に含有するTiとAlの成分比率またはSiやCの皮膜中の含有量により異なるものの、概略2300〜2800のビッカース硬さを有すだけではなく、耐酸化性が、前記TiN、TiCNに比べ著しく優れるため、刃先が高温に達する切削条件下においては、切削工具の性能をめざましく向上させる。また、TiAlSiCN皮膜は、TiAlN皮膜よりもさらに耐酸化性を向上させようとSiを添加させたものである。しかしながら、近年では切削速度が更に高速化する傾向に加え、従来使用されていた湿式での切削加工が環境問題上重要視されるなかで、乾式での切削加工が注目され、切削工具の使用環境はますます苛酷なものとなってきている。
【0004】本発明者等の研究によれば、大気中におけるTiAlN皮膜の酸化開始温度は、TiNの450℃に対し、Alの添加量に依存して750〜900℃に向上する。しかしながら、前述の乾式高速切削加工においては、使用する工具の刃先温度が900℃以上の高温に達するため、前記TiAlN皮膜では、十分な工具寿命が得られないのが現状である。
【0005】本発明はこうした事情に鑑みなされたものであって、従来のTiAlN皮膜、もしくはTiAlSiCN皮膜の耐摩耗性ならびに密着性を犠牲にすること無く更に耐酸化性を改善し、切削加工の乾式化、高速化に対応する硬質皮膜被覆工具を提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、硬質皮膜の耐酸化性、耐摩耗性、母材との密着性に及ぼす、様々な元素との影響および皮膜の最適な層構造について鋭意研究を重ねた結果、SiとAlからなる金属膜もしくはその窒化物、炭窒化物、酸窒化物もしくは酸炭窒化物の皮膜と、TiとAlを主成分とした窒化物、炭窒化物、酸窒化物もしくは酸炭窒化物皮膜を、それぞれ一層以上交互に被覆することで、乾式の高速切削加工において、切削工具の性能が極めて良好となることを発見し本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、金属成分SiとAlで構成される金属膜もしくは窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかであるa層と、TiとAlで構成される窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかであるb層が、それぞれ一層以上交互に被覆され、更に上記硬質皮膜は、物理蒸着法により被覆されたことが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】はじめに請求項中記載のa層に関して、その構成要件について詳しく述べる。
【0009】一般にTiAlN皮膜は、大気中で酸化テストを行う(特開平11−131216号公報)と、皮膜表面近傍のAlが最表面に向かって外向拡散し、Al2O3層を形成する。この現象によりその後の皮膜内への酸素の進入が抑制される。本発明者らの研究によれば、このことが耐酸化性向上の理由と考えられるが、この時、最表層に形成されるAl2O3層直下には、Alを含有しない非常にポーラスなTi酸化物が形成する。静的な酸化テストにおいては、最表面に形成されたAl2O3層が、酸化の進行である酸素の内向拡散に対し、酸化保護膜として機能するものの、動的な切削においては、最表面のアルミナ層は、その直下のポーラスなTi酸化物層より容易に剥離してしまい、酸化の進行に対し十分な効果を発揮しない。また、TiAlSiCN膜についても従来のTiAlN膜にSiを添加させることで耐酸化性を若干良好にさせるが、前述同様、酸化物に対する生成自由エネルギーの差から表面の酸化保護膜のAl2O3層直下にポーラスなTiの酸化物を形成してしまい、結果、切削中の皮膜剥離をもたらす。
【0010】しかしながら、SiとAlで構成される請求項記載の金属膜もしくは窒化物等は、皮膜自体の耐酸化性が、従来のTiとAlの窒化物よりも優れることを見出した。本発明者等は、各種元素の酸化物に対する自由生成エネルギーの観点から鋭意研究を重ねた結果、本発明硬質皮膜の酸化機構は、まず最表層にAl2O3層を形成し、Al2O3層直下には非常に緻密なSiO層が形成される機構をもつことを発見した。本発明者等の研究によれば、Al2O3層直下の緻密なSiO層の形成により、動的な切削における上記記載のTiとAlの窒化物等のときに見られた剥離現象がなくなり、最表層のAl2O3層が酸化の進行、いわば酸素の内向拡散に対し十分に効果を発揮することを確認した。このように、従来の皮膜に対し著しく耐酸化性が向上し切削加工中の皮膜剥離現象がなくなるSiとAlで構成される金属膜もしくは窒化物等は皮膜中のSi含有量が金属成分のみの原子%で8%越え85%以下に調整することが重要である。Si量を設定した理由については、その量が15原子%以下では、皮膜の結晶形態がウルツ鉱型となり、優れた耐酸化性は得られても、皮膜自身が軟質化するため十分に満足のいく耐摩耗性を発揮することができない。また、85原子%を越えると、非常に高硬度な皮膜が得られる反面、皮膜の残留圧縮応力が大きくなり密着性を阻害し皮膜剥離の因子となるからである。
【0011】上記a層は、静的および動的条件下において優れた耐酸化性を有すものの、皮膜自身がもつ残留圧縮応力が大きいため母材との密着性においては十分でない。そのため、基体表面直上には、密着性、耐摩耗性、耐酸化性等をバランス良く適度に有す皮膜、TiAl系窒化物等である請求項中に記載のb層を被覆することが好ましい。また、基体表面直上には、上記記載の硬質膜の他に元素周期表に記載される4a、5a、6a族の金属膜または4a、5a、6a族の金属のうち1種とAlもしくはSiとの合金膜をもちいてもよい。TiAl系窒化物等の皮膜であるb層におけるAlの役割は、皮膜の耐摩耗性および耐酸化性を向上させることである。そのため、密着性、耐摩耗性、耐酸化性をバランス良く得るためには、好ましくはb層のAl含有量を、皮膜の金属成分のみの原子%で、30%越え75%以下に調整することが重要である。b層における好ましいAlの含有量を設定した理由については、その量が30原子%を越えたときに耐酸化性が著しく向上し始めるためである。また、75原子%以下に調整する理由は、耐酸化性が向上しても、皮膜硬度が著しく低下し耐摩耗性が劣化してしまうためである。
【0012】以上のように本発明においては、基体との密着性、皮膜自体の耐摩耗性および耐酸化性をバランス良く有すb層を基体表面直上に被覆し、その上に著しく耐酸化性に優れるa層を被覆することが極めて重要であり、その結果、乾式の高速切削に対応する切削工具を得ることが可能となる。また、基体表面直上にb層を被覆した後、a層ならびにb層をそれぞれ交互に積層した多層皮膜によっても同様の効果が得られる。
【0013】また、各層は必要に応じて窒化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭窒化物のいずれかに調整でき、それらを被覆した工具についても同様の効果が得られる。
【0014】本発明の硬質皮膜被覆工具は、その被覆方法については、特に限定されるものではないが、被覆基体への熱影響、工具の疲労強度、皮膜の密着性等を考慮した場合、比較的低温で被覆でき、被覆した皮膜に圧縮応力が残留するアーク放電方式イオンプレーティング、もしくはスパッタリング等の被覆基体側にバイアス電圧を印加する物理蒸着法であることが望ましい。
【0015】以下本発明を実施例に基づいて説明する。
【0016】
【実施例1】小型アークイオンプレーティング装置を用い、金属成分の蒸発源である各種合金製ターゲット、ならびに反応ガスであるN2ガス、CH4ガス、Ar/O2混合ガスから目的の皮膜が得られるものを選択し、被覆基体温度400℃、反応ガス圧力3。0Paの条件下にて、被覆基体である外径8mmの超硬合金製6枚刃エンドミルおよび超硬合金製インサートに−150Vの電位を印加させ、全皮膜の厚みが4μmとなるように被覆を行った。
【0017】得られた硬質皮膜被覆エンドミルおよびインサートを用い、次に示す乾式の高速切削条件にて、刃先の欠けないしは摩耗等により工具が切削不能となるまで加工を行い、その時の切削長を工具寿命とした。表1に本発例および比較例に関する硬質皮膜の詳細およびその切削結果を示す。また、併せて表2に従来例の切削結果についても示す。
【0018】(エンドミル切削条件)
工具:超硬合金製6枚刃エンドミル 外径8mm切削方法:側面切削 (ダウンカット)
被削材:SKD11(HRC60)
切り込み:Ad 12mm×Rd 0。4mm切削速度:150m/min1刃送り量:0。03mm/刃切削油 :なし(エアーブロー)
【0019】(インサート切削条件)
工具:正面フライスインサート形状:SEE42TN特殊形状切削方法:センターカット方式被削材形状:巾100mm×長さ250mm被削材:SKD61(HRC45)
切り込み:2。0mm切削速度:160m/min1刃送り量:0。15mm/刃切削油:なし【0020】
【表1】

【0021】表1より、本発明例1〜21は、従来例と比べて、工具寿命が著しく向上しており、乾式高速切削加工に十分対応できることがわかる。特に、SiおよびAlで構成されるうちのSiの含有量を皮膜の金属成分のみで8原子%越え、85%以内の皮膜は優れた工具性能を示した。これは、請求項記載の皮膜構成についてバランス良く被覆するために鋭意研究を重ねた結果である。更に、例えば本発明例16の様な2層でも、本発明例11の様な積層(80層)においても、優れた切削性能を示す。a層が3。56ミクロンと厚い本発明例16では、AlSiCN膜が優れた耐摩耗性があることがわかり、酸化試験の結果とよく一致した。また0。04ミクロンの薄いa層を積層させた本発明例11では、、a層が切削中の酸化の進行を止めるバリヤー層となり、b層のみの単層膜、例えば従来例29に比較して約3倍の寿命を示した。また、本発明皮膜の成膜に使用した導入ガスについても同時に検討を行った結果、著しく優れた耐酸化性を保つためには、請求項記載の元素に対しての窒化物、酸化物、酸窒化物として被覆されることが望ましいが、工具の発熱ならびに被削材との摩擦を考慮した場合、成膜時に上記記載膜を製造する上で必要となる窒素、酸素を含むガスの他に本発明例4等のように炭素を含むガスを導入し請求項記載の元素の炭窒化物、炭酸窒化物を被覆しても十分に優れた工具性能を発揮する。更には、従来例21、TiAlSiCN膜の様にTiとSiを含有する皮膜では、切削中の酸化により酸化保護膜のAl2O3層直下にポーラスなTiの酸化物を形成し切削中の皮膜剥離が生じたため本発明例に比較しエンドミルでは1/4程度の切削長さで寿命となった。
【0022】
【発明の効果】以上の如く、本発明の硬質皮膜被覆工具は、従来の被覆工具に比べ優れた耐酸化性、耐摩耗性を有すことから、乾式高速切削加工において著しく長い工具寿命が得られ、切削加工における生産性の向上に極めて有効である。




 

 


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