Warning: copy(.htaccess): failed to open stream: Permission denied in /home/jp321/public_html/header.php on line 8
被覆工具 - 日立ツール株式会社
米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> 日立ツール株式会社

発明の名称 被覆工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−1202(P2001−1202A)
公開日 平成13年1月9日(2001.1.9)
出願番号 特願2000−120221(P2000−120221)
出願日 平成12年4月21日(2000.4.21)
代理人
発明者 島 順彦
要約 目的
刃先の温度が高い場合の切削寿命を改善する。

構成
基体表面にTiもしくはTiとAlの窒化物、炭窒化物、窒硼化物、炭窒硼化物等のいずれか一種以上の皮膜をイオンプレーティング法で被覆した被覆工具において、基体に間欠パルスバイアスを印加して皮膜を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】 基体表面にTiもしくはTiとAlとN、C、B、Oより選ばれる一種以上の化合物よりなる皮膜をイオンプレーティング法で少なくとも一種以上被覆した被覆工具において、該皮膜は該基体に間欠パルスバイアスを印加して形成したことを特徴とする被覆工具。
【請求項2】 請求項1記載の被覆工具において、該皮膜のTiの一部または全部を1〜30原子%の範囲でSi、Cr、Zr、Hf、Nd、Nb、Yの一種以上で置換したことを特徴とする被覆工具。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は乾式切削や高硬度鋼の高速切削など、切削温度が極めて高くなる切削において優れた耐摩耗性を発揮する被覆工具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、Alを含有させたTiAlN系の皮膜が耐酸化性に優れるため従来のTiN、TiCN系に代わり普及しつつある。Alの添加効果に基づく応用例として、特公平4−53642、特公平5−67705等がある。しかしながら、これらの事例はAlを添加することにより皮膜そのものの耐酸化性が幾分改善がされたにすぎず、現状では特殊な高速高能率切削、高硬度鋼切削、乾式切削において十分に満足のいく工具寿命を得るには至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のような切削においては、刃先の切削温度が著しく高くなり、本発明者らの詳細な観察の結果、Alを添加したといえども皮膜の酸化が発生し、酸化皮膜の摩滅、剥離により摩耗が進行することが明らかになった。従ってさらに皮膜の耐酸化性を改善しなければ、上述のような切削条件下では、十分に満足のいく切削寿命は達成されない。
【0004】
【課題を解決するための手段】酸化は皮膜の結晶粒子そのものの酸化と結晶粒子の粒界での酸素拡散により進行する。結晶粒界は格子欠陥が多数あり、ここでの酸素の拡散速度は結晶内部での酸素拡散速度の数十倍となり、皮膜の酸化は結晶粒界の欠陥密度に比例して速くなる。従って皮膜の結晶粒界の格子欠陥をなくせば、理論的には酸化速度は十数分の一となることになる。このような格子欠陥は結晶粒界だけでなく、結晶粒内にも多数存在し、皮膜密度を理論値より低いものとするものである。従って皮膜の密度を向上すれば、確実に皮膜の耐酸化性は向上すると考えられる。
【0005】一方、現状の物理蒸着法によるコーティングはイオンプレーティングと呼ばれるようにエレクトロンビーム法(ホロカソード法)、スパッタリング法、マグネトロンスパッタリンぐ法、カソードアーク法いずれにおいても、被覆物にマイナスのバイアスを印加し、イオン化した金属イオンや窒素イオンを電気的に加速し物質を堆積させるものである。いずれも共通して被覆物に印加するバイアスには直流の電圧を使用するものである。高圧の直流電圧を連続的に印加すると被覆物の温度が上昇するため、直流電圧は現状では20V〜200Vであるのが一般的である。このような印加電圧範囲では被覆物表面に堆積するイオンは表面移動に十分なエネルギーがなく表面上の移動可能距離が限定され格子欠陥をうめることに限界が存在する。結晶粒界の格子欠陥密度は皮膜の密度を支配すると思われる。通常のマイナスのバイアスを印加した場合のコーティング皮膜の密度は実際のところ、組成から計算される理論値に対し、60%〜70%程度である。
【0006】イオンエネルギーを高めるためには基体に印可するバイアスをたかめれば可能であるが、単純にバイアスを高めるとそれに伴い残留圧縮応力が増大し皮膜密着性が劣化してしまう。種々検討した結果、被覆物に印加するバイアスをパルス化しより高バイアスでの被覆を可能にすれば皮膜結晶粒内の欠陥や結晶粒界の欠陥を大幅に減少させることが可能であるという知見を得るに至った。つまりバイアス電圧を間欠的に付与することにより、被覆物の温度上昇を抑制しながら、表面に堆積するイオンのエネルギーを格段に高め、表面での移動可能距離を高めることにより、イオンが格子欠陥をうめる位置までの移動を可能にすることに成功した。即ち本発明者は、この結晶内部及び結晶粒界の格子欠陥を低減し皮膜密度を向上せしめるには被覆物に印加するバイアスを間欠的パルス化することにより可能であり、そのようにした被覆工具は刃先温度が高温となる場合での耐酸化性に優れるばかりでなく、刃先温度が比較的低い場合でも耐剥離性、耐チッピング性に優れ、よりいっそう優れた切削性能と、より広い適用範囲を示すことを見いだし本発明に至った。
【0007】本発明は、基体表面にTiもしくはTiとAlの窒化物、炭窒化物、窒硼化物、炭窒硼化物等のいずれか一種以上の皮膜をイオンプレーティング法で被覆した被覆工具において、該皮膜は該基体に間欠パルスバイアスを印加して形成したことを特徴とする被覆工具、または、該皮膜のTiの一部または全部を1〜30原子%の範囲でSi、Cr、Zr、Hf、Nd、Nb、Yの一種以上で置換したことを特徴とする被覆工具である。
【0008】
【作用】印加電圧を400Vとし、電圧印加50%、無印加(0V)50%の比率で一秒間に20kHzの周波数で電圧を印加すると、被覆物の温度上昇なくイオンエネルギーを向上させることが可能となる。イオンエネルギーの向上によりイオン、原子の移動距離が長くなり粒内欠陥、粒界欠陥まで原子が移動可能となり、皮膜内の欠陥を大幅に低減し、皮膜の密度を大幅に向上することが可能となる。このように、皮膜内の欠陥を少なめ、皮膜密度を向上させることにより酸素の拡散速度は大幅に低下し、皮膜の耐酸化性を大幅に高める結果となり切削温度が上昇する高速切削、高硬度鋼切削で極めて長い切削寿命を達成することが可能となる。また皮膜結晶内部に存在する格子欠陥は、格子歪を発生し皮膜に残留する圧縮応力を増加せしめる。圧縮応力が増加すると皮膜の密着性が劣化し剥離を生じやすくなり安定した切削ができず、皮膜の微少剥離に起因するチッピング等が発生し易くなる。バイアスのパルス化は残留圧縮応力の低減にも大きく寄与する。
【0009】さらに、TiAl系の皮膜にSi、Yといった第三成分を添加することにより、皮膜の耐酸化性が向上しさらに切削特性を向上させることが可能である。これら第三成分はTiAl系皮膜の結晶粒界に偏析し、粒界の格子欠陥をさらにうめ、粒界での酸素の拡散をさらに抑制することにより皮膜の耐酸化性を向上せしめる。このような効果をもたらす成分としてSi、Cr、Zr、Hf、Y、Nb、Ndが確認された。またTiAl系化合物層の間にTi系の化合物層を介在させることにより、より一層の残留圧縮応力の低減が可能であることを確認した。これはTi系化合物層はヤング率が低いためにTiAl系皮膜に残留する応力を吸収緩和することによると考えられる。
【0010】皮膜の密度測定はここでは超音スペクトロマイクロスコピーを用いた。測定方法は周波数域40MHz〜140MHzの超音波センサーを用い、入射角を種々変更し、超音波反射率の測定を行った。各周波数における反射率の位相曲線における最急峻となる位置をレーリー臨界角とみなして、各周波数における臨界角を決定し、スネルの法則よりレーリー波速度を決定する。各周波数とレーリ波速度の分散曲線から逆解析を用いて、皮膜の弾性特性を算出する。具体的には計算される分散曲線と実験より求めた分散曲線との残差の自乗和を最小にする最適化法により求めた。
【0011】
【実施例】実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1市販の平均粒径0.2ミクロンから1.5ミクロンのWC粉末と同1ミクロンのCo粉末を用いCo含有量が7wt%になるようアトライターでアルコール中6時間調合、混合しφ10mmの本発明ボールエンドミルを製作した。これらエンドミルをTi(50)Al(50)のターゲットを用いアークイオンプレーティング法により、コーティング膜厚 2ミクロンの条件下でTiAlNをコーティングし表1に示す本発明エンドミル、比較エンドミルを製作した。尚、コーティング工程の前処理として行うイオンボンバード処理においてもコーティング工程と同様のバイアスを基体に印加した。
【0012】
【表1】

【0013】表1より明らかなように、バイアスをパルス化した本発明例はいずれも密度が高く、酸化皮膜の形成量も極めて少ない。また全般に皮膜に残留する圧縮応力も低いことも明らかである。表1中、皮膜組成はTi0.5Al0.5Nで一定とし、理論密度は計算で求めた4.61g/cm3としそれに対する比率を表わした。酸化皮膜は大気中、900℃で1hr保持した場合に形成される酸化皮膜の厚さを測定して併記した。これらボールエンドミルを用い直径100mm深さ5mmのポケット加工をSKD61硬さHrC50に対して行った。切削条件は主軸回転数 10000rpm(切削速度 314m/分)、テーブル送り 2000mm/min(0.1mm/刃)、切り込み×ピッチ 0.2×0.5mm、切削油なし、オーバーハング 30mmとした。加工は等高線加工とし、加工ポケット数に対する摩耗量と加工面粗さを測定した。その結果を表2に示す。
【0014】
【表2】

【0015】表2中、摩耗量はボールエンドミルの先端において刃先の後退量を測定した。単位はmmである。面粗さは送り方向において測定し、Rmax値を採用した。寿命は刃先の後退量が0.03以上となるか、チッピングが発生するまでの穴加工数とした。表2より明らかなようにパルスバイアスを採用した本発明例は摩耗進行量が少なく安定した切削、仕上げ面がえられていることが明らかである。尚この場合ボールエンドミルの先端部は常に被削材と接触し高温となり皮膜が酸化により摩滅して刃先が後退するものである。
【0016】尚、ボールエンドミルと同様な加工ができるコーナーR付きのエンドミルにおいても結果は同様な傾向を示した。
【0017】実施例 2実施例1と同様に表3に示す各種3元系の皮膜を2ミクロンコーティングし実施例1と同一切削にて同様な評価をした。その結果を表3に併記する。ここで本発明例は全てパルスバイアスを用い、その条件は300V付与率80%とした。一方比較例はDCバイアスを採用しそのバイアスは100Vとした。反応圧力は3Paとした。
【0018】
【表3】

【0019】表3より明らかなように3元系にした本発明エンドミルはより優れた性能を発揮することが明らかである。これは前述のような耐酸化性の向上に伴う皮膜自体の耐摩耗性の向上に起因するものと考えられる。また置換量が1%未満では添加効果が認められず本発明例1とほとんど同じ結果であることも確認される。また、添加量が30%を越えると皮膜が脆くなり初期にチッピングが発生したり、皮膜硬さが劣化し、著しく耐摩耗性を損なう結果も確認される。
【0020】実施例3表4に示す各種多層膜を印加バイアス500V パルス付与率50%にて試作しDCバイアス品との応力及び密着性の比較を行った。応力はX腺により算出し、密着力はスクラッチテスターを用い皮膜が剥離する臨界の荷重を求めた。また900℃大気中で一時間保持した時に形成される酸化膜の厚さを調査した。その結果を表4に併記する。
【0021】
【表4】

【0022】表4から明らかなように、TiAl系皮膜とTi系皮膜を多層化することにより、より一層の残留応力低減が可能であり、またDCバイアスに比べ格段に密着性に優れることが明らかである。また耐酸化性も極めて優れることも明らかである。
【発明の効果】本発明による被覆エンドミルは上述のように刃先が特に高温となる乾式切削等において著しく工具特性を向上させるものである。また、刃先の温度が低い場合においても皮膜の残留応力が小さいこと、等により耐チッピング性、耐剥離性などの著しい改善があり、よって本発明品は幅広い用途に適用して優れた性能を示し、生産性を大いに改善しうるものである。実施例のボールエンドミルに限らず、その他の工具においてもその効果は同様であることは言うまでもない。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013