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発明の名称 入れ子及び金型組立体、並びに、成形方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−300941(P2001−300941A)
公開日 平成13年10月30日(2001.10.30)
出願番号 特願2000−121486(P2000−121486)
出願日 平成12年4月21日(2000.4.21)
代理人 【識別番号】100094363
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 孝久
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202 AA28 AJ02 AJ06 AJ09 AM36 CA11 CA15 CB01 CK17 CK43 
発明者 田原 久志 / 兼石 彰雅 / 前田 勉
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】熱可塑性樹脂製の成形品を成形するために用いられる金型の内部に配設され、金型に設けられたキャビティの一部を構成する入れ子であって、ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された活性金属膜と、活性金属膜上に形成された金属層から構成されていることを特徴とする入れ子。
【請求項2】活性金属膜は、Ti、Zr及びBeから成る群から選択された金属と、Ni、Cu、Ag及びFeから成る群から選択された金属との共晶組成物から成り、活性金属膜の厚さは1×10-6m乃至1×10-5mであることを特徴とする請求項1に記載の入れ子。
【請求項3】金属層は、Cr、Cr化合物、Cu、Cu化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成り、金属層の厚さは3×10-5m乃至5×10-4mであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の入れ子。
【請求項4】ジルコニアセラミックスは部分安定化ジルコニアセラミックスから構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の入れ子。
【請求項5】部分安定化ジルコニアセラミックスにおける部分安定化剤は、カルシア(CaO)、イットリア(Y23) 、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO2)及びセリア(CeO2)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項4に記載の入れ子。
【請求項6】熱可塑性樹脂製の成形品を成形するために用いられる金型の内部に配設され、金型に設けられたキャビティの一部を構成する入れ子であって、導電性ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された金属層から構成されていることを特徴とする入れ子。
【請求項7】導電性ジルコニアセラミックスの体積固有抵抗値は1×109Ω・cm以下であることを特徴とする請求項6に記載の入れ子。
【請求項8】金属層は、Cr、Cr化合物、Cu、Cu化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成り、金属層の厚さは3×10-5m乃至5×10-4mであることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の入れ子。
【請求項9】導電性ジルコニアセラミックスは部分安定化ジルコニアセラミックスから構成されていることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の入れ子。
【請求項10】部分安定化ジルコニアセラミックスにおける部分安定化剤は、カルシア(CaO)、イットリア(Y23) 、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO2)及びセリア(CeO2)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項9に記載の入れ子。
【請求項11】導電性ジルコニアセラミックスには導電性付与剤が添加されていることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の入れ子。
【請求項12】導電性付与剤は、Fe23、NiO、Co34、Cr23、TiC、WC、TaC、TiO2及びTiNから成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項11に記載の入れ子。
【請求項13】(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、(B)第1の金型部又は第2の金型部に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部と、(C)第1の金型部及び/又は第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成する入れ子、を備えた金型組立体であって、入れ子は、ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された活性金属膜と、活性金属膜上に形成された金属層から構成されていることを特徴とする金型組立体。
【請求項14】活性金属膜は、Ti、Zr及びBeから成る群から選択された金属と、Ni、Cu、Ag及びFeから成る群から選択された金属との共晶組成物から成り、活性金属膜の厚さは1×10-6m乃至1×10-5mであることを特徴とする請求項13に記載の金型組立体。
【請求項15】金属層は、Cr、Cr化合物、Cu、Cu化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成り、金属層の厚さは3×10-5m乃至5×10-4mであることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の金型組立体。
【請求項16】ジルコニアセラミックスは部分安定化ジルコニアセラミックスから構成されていることを特徴とする請求項13乃至請求項15のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項17】部分安定化ジルコニアセラミックスにおける部分安定化剤は、カルシア(CaO)、イットリア(Y23) 、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO2)及びセリア(CeO2)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項16に記載の金型組立体。
【請求項18】入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面に、活性金属膜及び金属層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と対向した第2の金型部の対向面と、第2の金型部の対向面と対向した入れ子の部分との間のクリアランスは、0.03mm以下であることを特徴とする請求項13乃至請求項17のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項19】第1若しくは第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端面を被覆する被覆プレートを更に備え、入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面に、活性金属膜及び金属層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であり、且つ、入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5mm以上であることを特徴とする請求項13乃至請求項17のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項20】第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端面の一部分を被覆する被覆プレートを更に備え、入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面に、活性金属膜及び金属層が形成されており、且つ、第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面に、活性金属膜及び金属層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と対向した第2の金型部の対向面と、第2の金型部の対向面と対向した入れ子の部分との間のクリアランスは、0.03mm以下であり、入れ子に対する第2の金型部の対向面の重なり量は0.5mm以上であり、且つ、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であり、入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5mm以上であることを特徴とする請求項13乃至請求項17のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項21】入れ子は、第1の金型部に配設された第1の入れ子と、第2の金型部に配設された第2の入れ子とから構成され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において第2の入れ子と対向する第1の入れ子の入れ子本体の部分の表面、及び、第1の入れ子と対向する第2の入れ子の入れ子本体の部分の表面には、活性金属膜及び金属層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、第2の入れ子と対向した第1の入れ子の部分と、第1の入れ子と対向した第2の入れ子の部分との間のクリアランスは、0.03mm以下であることを特徴とする請求項13乃至請求項17のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項22】(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、(B)第1の金型部又は第2の金型部に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部と、(C)第1の金型部及び/又は第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成する入れ子、を備えた金型組立体であって、入れ子は、導電性ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された金属層から構成されていることを特徴とする金型組立体。
【請求項23】導電性ジルコニアセラミックスの体積固有抵抗値は1×109Ω・cm以下であることを特徴とする請求項22に記載の金型組立体。
【請求項24】金属層は、Cr、Cr化合物、Cu、Cu化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成り、金属層の厚さは3×10-5m乃至5×10-4mであることを特徴とする請求項22又は請求項23に記載の金型組立体。
【請求項25】導電性ジルコニアセラミックスは、部分安定化ジルコニアセラミックスから構成されていることを特徴とする請求項22乃至請求項24のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項26】部分安定化ジルコニアセラミックスにおける部分安定化剤は、カルシア(CaO)、イットリア(Y23) 、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO2)及びセリア(CeO2)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項25に記載の金型組立体。
【請求項27】導電性ジルコニアセラミックスには導電性付与剤が添加されていることを特徴とする請求項22乃至請求項26のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項28】導電性付与剤は、Fe23、NiO、Co34、Cr23、TiC、WC、TaC、TiO2及びTiNから成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項27に記載の金型組立体。
【請求項29】入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面に、金属層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と対向した第2の金型部の対向面と、第2の金型部の対向面と対向した入れ子の部分との間のクリアランスは、0.03mm以下であることを特徴とする請求項22乃至請求項28のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項30】第1若しくは第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端面を被覆する被覆プレートを更に備え、入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面に、金属層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であり、且つ、入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5mm以上であることを特徴とする請求項22乃至請求項28のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項31】第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端面の一部分を被覆する被覆プレートを更に備え、入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面に、金属層が形成されており、且つ、第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面に、金属層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と対向した第2の金型部の対向面と、第2の金型部の対向面と対向した入れ子の部分との間のクリアランスは、0.03mm以下であり、入れ子に対する第2の金型部の対向面の重なり量は0.5mm以上であり、且つ、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスは0.03mm以下であり、入れ子に対する被覆プレートの重なり量は0.5mm以上であることを特徴とする請求項22乃至請求項28のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項32】入れ子は、第1の金型部に配設された第1の入れ子と、第2の金型部に配設された第2の入れ子とから構成され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において第2の入れ子と対向する第1の入れ子の入れ子本体の部分の表面、及び、第1の入れ子と対向する第2の入れ子の入れ子本体の部分の表面には、金属層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、第2の入れ子と対向した第1の入れ子の部分と、第1の入れ子と対向した第2の入れ子の部分との間のクリアランスは、0.03mm以下であることを特徴とする請求項22乃至請求項28のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項33】キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を注入するための加圧流体注入装置を更に備えていることを特徴とする請求項13乃至請求項32のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項34】金型は、キャビティの容積を可変とし得る構造を有することを特徴とする請求項13乃至請求項33のいずれか1項に記載の金型組立体。
【請求項35】(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される金型と、(B)第1の金型部又は第2の金型部に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部と、(C)第1の金型部及び/又は第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成する入れ子、を備え、入れ子は、ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された活性金属膜と、活性金属膜上に形成された金属層とから構成されている金型組立体を用いた熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法であって、第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂を導入した後、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、次いで、型開きを行い、金型から成形品を取り出すことを特徴とする熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法。
【請求項36】(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される金型と、(B)第1の金型部又は第2の金型部に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部と、(C)第1の金型部及び/又は第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成する入れ子、を備え、入れ子は、導電性ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された金属層から構成されている金型組立体を用いた熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法であって、第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂を導入した後、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、次いで、型開きを行い、金型から成形品を取り出すことを特徴とする熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型組立体、かかる金型組立体での使用に適した入れ子、並びに、かかる金型組立体を用いた熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型に部分安定化ジルコニア(部分安定化された酸化ジルコニウム,ZrO2)を含むジルコニア(ZrO2)セラミックスから成る入れ子を組み込み、成形品の表面外観等を改良する技術が、例えば、特開平8−318534号公報に開示されている。この特許公開公報に開示された第1の金型部及び第2の金型部から成る金型においては、第1の金型部に入れ子を配設し、第1の金型部と第2の金型部との型締め時に入れ子に負担をかけないように、第1の金型部に入れ子端部保護のための抑えプレートを取り付け、入れ子の破損を防止している。そして、キャビティの一部を構成する入れ子の表面(以下、入れ子のキャビティ面と呼ぶ場合がある)と抑えプレートとの間のクリアランスを0.03mm以下としている。
【0003】しかしながら、特開平8−318534号公報に開示された構造を有する金型組立体において、成形品の形状によっては、抑えプレートを金型内部に配設することができず、入れ子の配設位置や成形品形状に制約を受ける場合がある。即ち、優れた表面特性を付与すべき成形品の部分に対応した金型の部分に入れ子を取り付けることができない場合がある。例えば、成形品にアンダーカット部を設けた場合、かかるアンダーカット部を有する成形品を金型組立体から取り出すためにスライドコアを金型組立体に設ける必要がある。然るに、このような構造を有する金型組立体においては、抑えプレートを金型組立体に配設することが困難である。
【0004】このような場合には、特開平11−42650号公報に開示された技術によって対処が可能である。この特許公開公報に開示された第1の金型部及び第2の金型部から成る金型は、抑えプレートを設けず、例えば入れ子を第1の金型部に配設し、入れ子のキャビティ面と対向する第2の金型部の部分を入れ子被覆部とする構造を有し、成形品全体の外観向上を図っている。尚、入れ子のキャビティ面と入れ子被覆部との間のクリアランスを0.03mm以下としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの特許公開公報に開示された技術においては、入れ子は、セラミックスやガラスといった脆性な無機材料から作製されている。そして、特に入れ子の端部は強度的に弱い形状であることから、金型組み立て時に入れ子の端部に応力が加わると、入れ子が破損するといった問題がある。また、例えば、特開平11−42650号公報に開示された金型において、型締め時に、入れ子のキャビティ面とその対向面である入れ子被覆部との平行度が十分に高くないと、入れ子端部が入れ子被覆部と点接触し、その結果、入れ子端部が破損する危険性がある。
【0006】入れ子に使用するジルコニアセラミックスは、金属と比較すると2倍以上の硬度がある。それ故、通常の金属加工機での切削加工が困難である。また、切削を行うにしても、アルミナセラミックスよりも剛性が劣り、切削ツール先端部分が逃げ易く、切削加工が難しい。従って、入れ子を0.03mm以下のクリアランスで精度良く金型部内に装着するためには、入れ子を±0.01mm以下の精度で作製し、入れ子それ自体の加工精度を向上させるだけでなく、入れ子を装着する金型部の部分(入れ子装着部と呼ぶ)及び入れ子被覆部を入れ子の寸法に合わせて、微妙な加工・調整を行う必要がある。更には、入れ子が三次元形状で構成される場合、入れ子装着部近傍の金型部の金属加工の難度が極めて高く、超精密加工機や熟練した作業者に頼らざるを得ないといった問題がある。また、入れ子の加工精度が高くなればなるほど、入れ子の製造コストアップ、更には、金型自体のコストアップとなる。
【0007】しかも、ジルコニアセラミックスから成る入れ子を入れ子被覆部が設けられた金型部に装着する際、あるいは、入れ子を第1及び第2の金型部に装着する際、高い精度にて装着を行わないと、入れ子の破損を招く虞があるが、加工を行うための加工用機械がセラミックス用と金属用とで異なることも、入れ子の装着を困難なものとしている。
【0008】即ち、セラミックスから成る入れ子を金属用の平面切削機で切削することは困難である。それ故、作製された入れ子の高さ(あるいは厚さ)に応じて入れ子装着部を彫り込み、あるいは又、入れ子の裏面に接着剤を用いて取り付けた金属プレートの裏面を切削して、入れ子の高さ(あるいは厚さ)と入れ子装着部との間を調整する必要がある。しかしながら、これらの加工は煩雑な作業である。また、接着剤の厚さにムラがある場合には、金属プレートの裏面を切削して入れ子の高さ(あるいは厚さ)を調整する作業を数回行う必要があり、工程が増えるため、コストアップにもつながる。更には、切削の際、例えば金型パーティング面と入れ子との平行度が向上するように、精密な切削機を用いて切削しなければならない。入れ子と金型パーティング面の平行度が悪いと、最悪の場合、入れ子が破損するといった問題がある。
【0009】ジルコニアセラミックスから成る入れ子の表面に、一般的な金属加工機で加工できる程度の厚みを有する金属層が形成されていれば、入れ子装着部近傍の金型部の金属加工精度を極端に高くする必要がなくなる。即ち、ジルコニアセラミックスから成る入れ子の表面に形成された金属層を金属用の加工機械を用いて機械加工することによって、金型あるいは入れ子装着部に対する入れ子の微調整をすることが可能となる。
【0010】然るに、通常のジルコニアセラミックスは非導電性であり、入れ子の表面に金属層を形成するには、特開平11−34068号公報に開示されているように、化学的気相成長法(CVD法)や、真空蒸着法やスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、IVD法(イオン・ベーパー・デポジション法)等の物理的気相成長法(PVD法)を採用する必要がある。これらの方法によれば、一般に、入れ子の表面に20μm以下の金属層を形成することは可能である。しかしながら、これらの方法では、一般的な切削加工機で加工可能な切削代程度の厚さを有する金属層を入れ子の表面に形成することが困難である。また、金属層を形成するコストが高く、しかも、入れ子表面に対する金属層の密着力が余り高くないといった問題もある。
【0011】ジルコニアセラミックスから成る入れ子の表面にメッキ法にて厚めに金属層を形成する方法も考えられるが、上述したように、通常のジルコニアセラミックスは非導電性であるために、メッキ法にて金属層を形成することができない。また、メッキ法にて金属層を形成する場合には、入れ子の表面に、ジルコニアセラミックスに対して金属層が高い密着力を得られるように、中間膜又は中間層を設ける必要がある。
【0012】ジルコニアセラミックスから成る入れ子は、特にエッジ部の強度が弱く、通常、C面カットやR加工をエッジ部に施す。しかしながら、成形品の形状によっては、入れ子に鋭いエッジ部が必要とされる。また、型締め力の加わるパーティング面を入れ子のエッジ部から構成する必要がある場合もある。これらの場合、入れ子のエッジ部の破損が確実に防止できれば、成形品の形状の自由度を相当、向上させることができる。
【0013】従って、本発明の目的は、金型部への入れ子の装着の際の調整が比較的容易であり、しかも、金型組立体の製作費用を低減でき、入れ子の端部あるいはエッジ部の破損発生を確実に防止でき、入れ子のキャビティ面の成形品表面への転写性に優れ、長期間の成形にも耐え得る入れ子、及び、かかる入れ子を用いた金型組立体、並びに、かかる金型組立体を用いた熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するために用いられる金型の内部に配設され、金型に設けられたキャビティの一部を構成する入れ子であって、ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された活性金属膜と、活性金属膜上に形成された金属層から構成されていることを特徴とする本発明の第1の態様に係る入れ子によって達成することができる。
【0015】ここで、キャビティの一部を構成するとは、成形品の外形を規定するキャビティ面の一部を構成することを意味する。より具体的には、キャビティは、例えば、金型、後述する第1の金型部あるいは第2の金型部に形成されたキャビティを構成する面(金型部のキャビティ面)と、入れ子に形成されたキャビティの一部を構成する表面(入れ子のキャビティ面)と、場合によっては、後述する被覆プレートに形成されたキャビティを構成する面(被覆プレートのキャビティ面)とから構成されている。以下の説明においても同様である。入れ子のキャビティ面は、入れ子本体の表面から構成されている場合と、金属層から構成されている場合とがある。尚、入れ子のキャビティ面を構成する入れ子本体の表面を、入れ子本体のキャビティ構成面と呼ぶ場合がある。
【0016】上記の目的は、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するために用いられる金型の内部に配設され、金型に設けられたキャビティの一部を構成する入れ子であって、導電性ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された金属層から構成されていることを特徴とする本発明の第2の態様に係る入れ子によって達成することができる。
【0017】本発明の第1の態様に係る入れ子において、活性化金属層及び金属層を入れ子本体のどの部分の表面に形成するか、また、本発明の第2の態様に係る入れ子において、金属層を入れ子本体のどの部分の表面に形成するかは、入れ子を配設する金型部の構成や入れ子の構成、成形すべき成形品の形状等に依存する。尚、本発明の第1の態様に係る入れ子における活性化金属層と金属層との2層構成、並びに、本発明の第2の態様に係る入れ子における金属層を総称して、薄層と呼ぶ場合がある。
【0018】後述するように、入れ子が第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において第2の金型部と入れ子の一部分の表面が対向する場合には、少なくとも第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面に薄層を形成する必要がある。また、入れ子が第2の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において第1の金型部と入れ子の一部分の表面が対向する場合には、少なくとも第1の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面に薄層を形成する必要がある。尚、入れ子本体のその他の部分に薄層が形成されていてもよい。
【0019】あるいは又、第1若しくは第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端面を被覆する被覆プレートが金型組立体に更に備えられており、入れ子の端面が被覆プレートと重なり合い、入れ子が第1の金型部に配設されている場合には、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、少なくとも被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面に薄層を形成する必要がある。尚、入れ子本体のその他の部分に薄層が形成されていてもよい。
【0020】更には、第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端面の一部分を被覆する被覆プレートが金型組立体に更に備えられており、入れ子が第1の金型部に配設されている場合には、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、少なくとも被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面に薄層を形成し、しかも、少なくとも第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面に薄層を形成する必要がある。尚、入れ子本体のその他の部分に薄層が形成されていてもよい。
【0021】また、入れ子が、第1の金型部に配設された第1の入れ子と、第2の金型部に配設された第2の入れ子とから構成されている場合には、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、少なくとも第2の入れ子と対向する第1の入れ子の入れ子本体の部分の表面、及び、少なくとも第1の入れ子と対向する第2の入れ子の入れ子本体の部分の表面に薄層を形成する必要がある。尚、第1の入れ子の入れ子本体の他の部分及び/又は第2の入れ子の入れ子本体の他の部分に薄層が形成されていてもよい。
【0022】尚、以上に説明した薄層を形成すべき入れ子本体の部分の表面を、便宜上、入れ子本体の薄層形成面と呼ぶ場合がある。
【0023】上記の目的は、(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、(B)第1の金型部又は第2の金型部に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部と、(C)第1の金型部及び/又は第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成する入れ子、を備えた金型組立体であって、入れ子は、ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された活性金属膜と、活性金属膜上に形成された金属層から構成されていることを特徴とする本発明の第1の態様に係る金型組立体によって達成することができる。
【0024】更には、上記の目的は、(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される金型と、(B)第1の金型部又は第2の金型部に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部と、(C)第1の金型部及び/又は第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成する入れ子、を備え、入れ子は、ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された活性金属膜と、活性金属膜上に形成された金属層とから構成されている金型組立体を用いた熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法であって、第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂を導入した後、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、次いで、型開きを行い、金型から成形品を取り出すことを特徴とする本発明の第1の態様に係る熱可塑性樹脂から成る成形品の成形方法によって達成することができる。
【0025】本発明の第1の態様に係る入れ子若しくは金型組立体、成形方法(以下、これらを総称して本発明の第1の態様と呼ぶ場合がある)において、活性金属膜は、少なくとも入れ子本体の薄層形成面に形成されていればよく、例えば、入れ子本体の薄層形成面にのみ形成されていてもよいし、入れ子本体の全表面に形成されていてもよい。入れ子本体の少なくとも一部分の表面に活性金属膜を形成する方法として、活性金属ソルダー法を挙げることができる。活性金属ソルダー法を採用することによって、活性金属膜は、入れ子本体の表面に対して高い密着性を得ることができる。また、入れ子本体に対して金属層が高い密着力を得られるようになる。更には、活性金属膜を設けることによって、非導電性のジルコニアセラミックスから成る入れ子本体の表面に導電性を付与することができ、金属層を例えば電解メッキ法にて形成することが可能となる。ここで、活性金属ソルダー法とは、活性金属膜を構成する金属材料から成るペーストを、例えばスクリーン印刷法によって、入れ子本体の少なくとも一部分の表面(少なくとも入れ子本体の薄層形成面)に塗布し、真空中あるいは不活性ガス中で、約800゜C〜1000゜Cの高温で焼き付ける方法を指す。
【0026】本発明の第1の態様において、活性金属膜は、Ti、Zr及びBeから成る群から選択された金属(活性金属)と、Ni、Cu、Ag及びFeから成る群から選択された金属との共晶組成物から成り、活性金属膜の厚さは1×10-6m乃至1×10-5m、望ましくは、3×10-6m乃至5×10-6mであることが好ましい。共晶組成物として、より具体的には、例えば、Ti−Ni、Ti−Cu、Ti−Cu−Ag、Ti−Ni−Ag、Zr−Ni、Zr−Fe、Be−Cu、Be−Niを挙げることができる。活性金属膜の厚さを1×10-6m乃至1×10-5mとすることによって、高い導電性を有する活性金属膜を得ることができ、即ち、非導電性のジルコニアセラミックスに対して導電性を付与することができ、しかも、ジルコニアセラミックスに対する活性金属膜の密着性向上を図ることができ、更には、ジルコニアセラミックス上に活性金属膜を形成する際に活性金属膜の収縮により反りが発生するといった問題の発生を防止することができる。尚、活性金属膜を共晶組成物から構成することによって、耐熱性、機械的強度、電気的特性に優れた膜が得られると共に、低温での焼き付けが可能となる。
【0027】また、上記の目的は、(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、(B)第1の金型部又は第2の金型部に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部と、(C)第1の金型部及び/又は第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成する入れ子、を備えた金型組立体であって、入れ子は、導電性ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された金属層から構成されていることを特徴とする本発明の第2の態様に係る金型組立体によって達成することができる。
【0028】更には、上記の目的は、(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される金型と、(B)第1の金型部又は第2の金型部に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部と、(C)第1の金型部及び/又は第2の金型部に配設され、キャビティの一部を構成する入れ子、を備え、入れ子は、導電性ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体と、入れ子本体の少なくとも一部分の表面に形成された金属層から構成されている金型組立体を用いた熱可塑性樹脂製の成形品の成形方法であって、第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂導入部から溶融熱可塑性樹脂を導入した後、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、次いで、型開きを行い、金型から成形品を取り出すことを特徴とする本発明の第2の態様に係る熱可塑性樹脂から成る成形品の成形方法によって達成することができる。
【0029】本発明の第2の態様に係る入れ子若しくは金型組立体、成形方法(以下、これらを総称して本発明の第2の態様と呼ぶ場合がある)において、金属層は、少なくとも入れ子本体の薄層形成面に形成されていればよく、例えば、入れ子本体の薄層形成面にのみ形成されていてもよいし、入れ子本体の全表面に形成されていてもよい。導電性ジルコニアセラミックスの体積固有抵抗値は、1×109Ω・cm以下、好ましくは、1×104Ω・cm以下であることが望ましい。導電性ジルコニアセラミックスの体積固有抵抗値が1×109Ω・cmを越えると、ジルコニアセラミックスが絶縁体となるため、入れ子本体の薄層形成面に金属層を直接形成することが困難となる。導電性ジルコニアセラミックスの体積固有抵抗値の下限値は、1×10-4Ω・cmであることが望ましい。
【0030】本発明の第1の態様あるいは第2の態様において、ジルコニアセラミックスあるいは導電性ジルコニアセラミックスは、部分安定化ジルコニアセラミックスから構成されていることが好ましい。本発明の第1の態様においてジルコニアセラミックスを部分安定化ジルコニアセラミックスから構成する場合、あるいは又、本発明の第2の態様において導電性ジルコニアセラミックスを部分安定化ジルコニアセラミックスから構成する場合、部分安定化ジルコニアセラミックスにおける部分安定化剤は、カルシア(酸化カルシウム,CaO)、イットリア(酸化イットリウム,Y23) 、マグネシア(酸化マグネシウム,MgO)、シリカ(酸化珪素,SiO2)及びセリア(酸化セリウム,CeO2)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが好ましい。ジルコニアセラミックスあるいは導電性ジルコニアセラミックス中に含有される部分安定化剤の割合は、部分安定化剤がカルシアの場合、3mol%乃至15mol%、好ましくは6mol%乃至10mol%、イットリアの場合、1mol%乃至8mol%、好ましくは2mol%乃至5mol%、マグネシアの場合、4mol%乃至15mol%、好ましくは8mol%乃至10mol%、セリアの場合、3mol%乃至18mol%、好ましくは6mol%乃至12mol%であることが望ましい。
【0031】本発明の第2の態様において、ジルコニアセラミックスを導電性とするためには、ジルコニアセラミックスに導電性付与剤を添加すればよい。導電性付与剤として、Fe23、NiO、Co34、Cr23、TiO2、TiNの内の少なくとも1種類を挙げることができ、あるいは又、導電性付与剤として、TiC、WC、TaC等の炭化物の内の少なくとも1種類を挙げることもできる。導電性ジルコニアセラミックスにおける導電性付与剤の含有量は、10重量%以上であることが望ましい。10重量%未満では、体積固有抵抗値を1×109Ω・cm以下とすることが困難な場合がある。一方、導電性付与剤を多量に添加すれば、ジルコニアセラミックスの体積固有抵抗値は下がるが、得られた焼結体である入れ子本体の強度が損なわれてしまう。それ故、40重量%以下とすることが望ましい。
【0032】本発明の第1の態様あるいは第2の態様において、金属層を設けることによって、かかる金属層を一般的な切削加工機で加工することが可能となり、金型部(場合によっては入れ子装着部や入れ子装着用中子、被覆プレート)に対する入れ子の微調整を容易に行うことができる。しかも、高い耐擦傷性や表面硬度を得ることができる。金属層は、Cr、Cr化合物、Cu、Cu化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成り、金属層の厚さは3×10-5m乃至5×10-4m、望ましくは5×10-5m乃至2×10-4mであることが好ましい。金属層は、1層から構成してもよいし、複数層から構成してもよい。Cr化合物として、具体的には、ニッケル−クロム合金を挙げることができる。また、Cu化合物として、具体的には、銅−亜鉛合金、銅−カドミウム合金、銅−錫合金を挙げることができる。更には、Ni化合物として、具体的には、ニッケル−鉄合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−錫合金、ニッケル−リン合金(Ni−P系)、ニッケル−鉄−リン合金(Ni−Fe−P系)、ニッケル−コバルト−リン合金(Ni−Co−P系)を挙げることができる。金属層を形成する方法として、電解メッキ法、無電解メッキ法を挙げることができる。尚、金属層に高い耐擦傷性が要求される場合には、例えば、金属層をクロム(Cr)から構成することが好適である。一方、金属層に耐擦傷性は左程要求されないが、厚さが必要とされる場合には、例えば、金属層を銅(Cu)から構成することが好適である。更には、金属層に耐擦傷性も或る程度要求され、しかも、厚さも必要な場合には、例えば、金属層をニッケル(Ni)から構成することが好適である。更に、金属層に厚さが必要とされ、しかも、表面硬度が必要とされる場合には、金属層を2層構成とし、例えば、下層を銅(Cu)あるいはニッケル(Ni)から構成して所望の厚さとし、厚さの調整を行い、一方、上層を薄いクロム(Cr)から構成することが好ましい。尚、金属層の厚さを3×10-5m乃至5×10-4mとすることによって、金属層を一般的な切削加工機で容易に加工することができる。しかも、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂が金属層と接触した場合でも、溶融熱可塑性樹脂が急冷されることを防止し得る。
【0033】本発明の第2の態様において、焼結温度抑制剤を3重量%以下の範囲で導電性ジルコニアセラミックスに含有させてもよい。導電性付与剤としてFe23、NiO、Co24、Cr23、TiO2、TiNを用いる場合、焼成温度抑制剤としてCa、K、Na、Mg、Zn、Sc等の酸化物を挙げることができ、導電性付与剤としてTiC、WC、TaC等の炭化物を用いる場合、焼成温度抑制剤としてAl23、TiO2を挙げることができる。これらの焼成温度抑制剤を3重量%以下の範囲で含有させれば、焼成温度を下げて、ジルコニア及び導電性付与剤の粒成長を抑えることができるため、入れ子本体の曲げ強度や硬度といった機械的特性を高めることができる。
【0034】上記の種々の形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様(以下、総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、入れ子本体の厚さは、0.1mm乃至10mm、好ましくは、0.5mm乃至10mm、より好ましくは1mm乃至7mm、一層好ましくは2mm乃至5mmであることが望ましい。入れ子本体の厚さが0.1mm未満の場合、入れ子による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の急冷を招き、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が成形品に発生し易くなる。また、金型組立体を構成する金属若しくは合金製の金型部に入れ子を固定する際には、例えば熱硬化性接着剤を用いて入れ子を金型部に接着すればよいが、入れ子本体の厚さが0.1mm未満の場合、接着剤の膜厚が不均一になると入れ子に不均一な応力が残るために、成形品表面がうねる現象が生じたり、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の圧力によって入れ子が破損することがある。一方、入れ子本体の厚さが10mmを越える場合、入れ子による断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間を延長しないと、成形品取り出し後に成形品が変形することがある。それ故、成形サイクルの延長といった問題が発生することがある。
【0035】入れ子本体を構成するジルコニアセラミックス、導電性ジルコニアセラミックスあるいは部分安定化ジルコニアセラミックスの熱伝導率は、8.5J/(m・s・K)以下[8.5W/(m・K)以下、あるいは、2×10-2cal/(cm・s・K)以下]、具体的には、約3.5〜6J/(m・s・K)である。8.5J/(m・s・K)を越える熱伝導率を有する無機材料を用いて入れ子本体を作製した場合、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂が入れ子によって急冷されるために、入れ子を備えていない通常の炭素鋼等から作製された金型組立体を用いて成形された成形品と同程度の外観しか得られない。
【0036】成形品に鏡面性が要求される場合、入れ子のキャビティ面あるいは入れ子本体のキャビティ構成面の表面粗さRyを、0.03μm以下とすることが望ましい。表面粗さRyが0.03μmを越えると、鏡面性が不足し、成形品に要求される特性、例えば表面平滑性(写像性)を満足しない場合がある。そのためには、例えば、入れ子本体のキャビティ構成面に対して、表面粗さRyが0.03μm以下になるまで、例えばダイヤモンドラッピングを行い、更に、必要に応じて、ポリッシングを行えばよい。ラッピングは、ラッピングマシン等を用いて行うことができる。尚、ラッピングは、所望の形状に賦形された後の入れ子本体に対して行うことが望ましい。尚、表面粗さRyの測定は、JIS B0601−1994に準じた。
【0037】入れ子本体のエッジ部に発生した微細なクラックが溶融熱可塑性樹脂と接触して入れ子が破損することを防止するために、場合によっては、入れ子本体のエッジ部をダイヤモンド砥石でエッジ部を研磨して応力が集中しないようにすることが好ましい。あるいは又、場合によっては、半径0.3mm以下の曲率面やC面カットを設け、入れ子本体のエッジ部への応力集中を避けることが好ましい。
【0038】上記の種々の形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る金型組立体あるいは成形方法(以下、これらを総称して、本発明の金型組立体あるいは成形方法と呼ぶ場合がある)においては、入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面(入れ子本体の薄層形成面)に薄層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と対向した第2の金型部の対向面と、第2の金型部の対向面と対向した入れ子の部分との間のクリアランスC11を0.03mm以下(C11≦0.03mm)とすることが望ましい。
【0039】このような構成を金型組立体等の第1の構成と呼ぶ。尚、第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面(入れ子本体の薄層形成面)以外の入れ子本体の部分に薄層が形成されていてもよい。第2の金型部の対向面と対向する入れ子の部分の表面を入れ子の対向面と呼ぶ場合がある。第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子に対する第2の金型部の対向面の重なり量ΔS11を0.5mm以上とすることが好ましい。第2の金型部の対向面を、入れ子の対向面と対向する第2の金型部の面に設けられた一種の切り込み(切り欠き)や、第2の金型部のパーティング面の延在部等とすることもできる。尚、入れ子の対向面と対向する第2の金型部の面に設けられた一種の切り込み(切り欠き)を、入れ子被覆部と呼ぶ場合がある。ここで、このような構成の金型組立体における溶融熱可塑性樹脂導入部として、例えば、ダイレクトゲート構造を挙げることができる。
【0040】あるいは又、本発明の金型組立体あるいは成形方法においては、第1若しくは第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端面を被覆する被覆プレートを更に備え、入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面(入れ子本体の薄層形成面)に薄層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスC21を0.03mm以下(C21≦0.03mm)とし、且つ、入れ子に対する被覆プレートの重なり量ΔS21を0.5mm以上(ΔS21≧0.5mm)とすることが望ましい。
【0041】このような構成を金型組立体等の第2の構成と呼ぶ。尚、被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面(入れ子本体の薄層形成面)以外の入れ子本体の部分に薄層が形成されていてもよい。被覆プレートと対向する入れ子の部分の表面を入れ子の対向面と呼ぶ場合がある。ここで、このような構成の金型組立体における溶融熱可塑性樹脂導入部としては、例えば、ダイレクトゲート構造、サイドゲート構造やオーバーラップゲート構造を挙げることができる。尚、被覆プレートは、入れ子の全周囲と重なり合っている。
【0042】更には、本発明の金型組立体あるいは成形方法においては、第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端面の一部分を被覆する被覆プレートを更に備え、入れ子は第1の金型部に配設され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面(入れ子本体の薄層形成面)に薄層が形成されており、且つ、第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面(入れ子本体の薄層形成面)に薄層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、入れ子と対向した第2の金型部の対向面と、第2の金型部の対向面と対向した入れ子の部分との間のクリアランスC31は、0.03mm以下(C31≦0.03mm)であり、入れ子に対する第2の金型部の対向面の重なり量ΔS31は0.5mm以上(ΔS31≧0.5mm)であり、且つ、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスC32は0.03mm以下(C32≦0.03mm)であり、入れ子に対する被覆プレートの重なり量ΔS32は0.5mm以上(ΔS32≧0.5mm)である構成とすることもできる。
【0043】このような構成を金型組立体等の第3の構成と呼ぶ。尚、被覆プレートと対向する入れ子本体の部分の表面(入れ子本体の薄層形成面)及び第2の金型部と対向する入れ子本体の部分の表面(入れ子本体の薄層形成面)以外の入れ子本体の部分に薄層が形成されていてもよい。第2の金型部の対向面及び被覆プレートと対向する入れ子の部分の表面を入れ子の対向面と呼ぶ場合がある。ここで、このような構成の金型組立体における溶融熱可塑性樹脂導入部としては、例えば、サイドゲート構造やオーバーラップゲート構造を挙げることができる。
【0044】あるいは又、本発明の金型組立体あるいは成形方法においては、入れ子は、第1の金型部に配設された第1の入れ子と、第2の金型部に配設された第2の入れ子とから構成され、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において第2の入れ子と対向する第1の入れ子の入れ子本体の部分の表面(第1の入れ子本体の薄層形成面)、及び、第1の入れ子と対向する第2の入れ子の入れ子本体の部分の表面(第2の入れ子本体の薄層形成面)には薄層が形成されており、第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、第2の入れ子と対向した第1の入れ子の部分と、第1の入れ子と対向した第2の入れ子の部分との間のクリアランスC41は、0.03mm以下(C41≦0.03mm)である構成とすることができる。
【0045】このような構成を金型組立体等の第4の構成と呼ぶ。尚、第1の入れ子本体の薄層形成面以外の第1の入れ子の入れ子本体の部分に薄層が形成されていてもよいし、第2の入れ子本体の薄層形成面以外の第2の入れ子の入れ子本体の部分に薄層が形成されていてもよい。第2の入れ子と対向する第1の入れ子の部分の表面を第1の入れ子の対向面と呼び、第1の入れ子と対向する第2の入れ子の部分の表面を第2の入れ子の対向面と呼ぶ場合がある。第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、第2の入れ子と対向した第1の入れ子の部分と、第1の入れ子と対向した第2の入れ子の部分との重なり量ΔS41は0.5mm以上(ΔS41≧0.5mm)であることが好ましい。また、第1の入れ子と第2の入れ子との間に配設され、第1の金型部、第2の金型部、あるいは、第1及び第2の金型部に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部が設けられた被覆プレートを金型組立体は更に備えていることが望ましい。そして、第1の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスC42、及び、第2の入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスC43は0.03mm以下(C42,C43≦0.03mm)であり、第1の入れ子に対する被覆プレートの重なり量ΔS42、及び、第2の入れ子に対する被覆プレートの重なり量ΔS43は0.5mm以上(ΔS42,ΔS43≧0.5mm)であり、被覆プレートは第1及び第2の入れ子の一部分とのみ重なり合っていることが好ましい。
【0046】本発明の金型組立体等の第3の構成あるいは第4の構成においては、圧力の高い溶融熱可塑性樹脂導入部近傍における入れ子の部分に破損が生じ易いため、この部分を上述したクリアランスや重なり量にて被覆プレートによって入れ子の端面を被覆することで、破損し易いジルコニアセラミックスあるいは導電性ジルコニアセラミックスから作製された入れ子の破損を確実に防止することができる。しかも、成形品端部の外観を損なうことがなくなり、成形品端部にバリが発生しなくなる。
【0047】本発明の金型組立体等の第1の構成において、入れ子の金型組立体への配置は、特に破損及びバリ等が発生し難い場合には、接着剤で単に金型部のキャビティを構成する面(金型部のキャビティ面)に接着することによって行うことができる。この場合、型締めによる応力によって金型部のキャビティ面に入れ子が接触しないように金型部内に配置する。あるいは又、入れ子をボルトを用いて固定できる場合には、ボルトを用いて固定してもよい。
【0048】あるいは又、本発明の金型組立体等の第1の構成において、更には、本発明の金型組立体等の第2の構成〜第4の構成において、切削加工等によって所定形状に加工した後、入れ子の装着時に入れ子が金型部に設けられた入れ子装着部から落下して破損する虞がない場合、あるいは又、接着剤を用いることなく入れ子を入れ子装着部に装着可能な場合には、接着剤を用いずに入れ子を金型部に設けられた入れ子装着部に直接装着することができる。更には、エポキシ系、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の中から選択された熱硬化性接着剤を用いて、入れ子を入れ子装着部に接着してもよい。尚、入れ子装着部が設けられた入れ子装着用中子を使用し、入れ子装着用中子の入れ子装着部に入れ子を固定し、かかる入れ子装着用中子を金型部に取り付けてもよい。あるいは又、入れ子をボルトを用いて固定できる場合には、ボルトを用いて固定してもよい。
【0049】成形品に穴(貫通穴あるいは非貫通穴)を形成する必要がある場合がある。このような場合には、本発明の金型組立体あるいは成形方法において、第1若しくは第2の金型部に配置され、成形品に穴を形成するためのスライドコアが金型組立体に更に備えられた構成とすればよい。
【0050】この場合、成形品に穴を形成するためのスライドコアは、一対の対向するスライドコア部材と、キャビティの一部を構成するそれぞれのスライドコア部材の部分に取り付けられた環状部材とから構成され、該環状部材は、一端が閉塞しそして他端が開口した形状、若しくは両端が開口した形状を有する構成とすればよい。そして、環状部材を、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る入れ子と同じ構成とすればよい。尚、環状部材と対向する環状部材の少なくとも対向面に薄層を形成すればよく、環状部材の全面に薄層を形成してもよい。環状部材の厚さは、0.1mm乃至5mm、好ましくは、0.5mm乃至5mm、より好ましくは1mm乃至5mm、一層好ましくは2mm乃至5mmとすることが望ましい。環状部材の厚さが0.1mm未満の場合、環状部材による断熱効果が少なくなり、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の急冷を招き、外観不良が成形品に発生し易くなる。一方、環状部材の厚さが5mmを越える場合、環状部材による断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間を延長しないと、成形品取り出し後に成形品が変形することがある。それ故、成形サイクルの延長といった問題が発生することがある。
【0051】成形品に形成すべき穴が貫通穴である場合、一対のスライドコア部材が対向した状態において、一方のスライドコア部材に取り付けられた環状部材の端部と他方のスライドコア部材に取り付けられた環状部材の端部との間のクリアランスC51は0.03mm以下(C51≦0.03mm)であることが好ましい。また、スライドコア部材に取り付けられた環状部材と入れ子との間のクリアランスC52も0.03mm以下(C52≦0.03mm)であることが好ましい。
【0052】あるいは又、本発明の金型組立体あるいは成形方法において、成形品に穴(貫通穴あるいは非貫通穴や凹部)を形成する場合、入れ子に突起部(凸部)を設けてもよい。あるいは又、第1の金型部及び/又は第2の金型部に取り付けられ、キャビティ内を占める部分がキャビティの一部を構成するコアピン(ピン、あるいはモールドピンとも呼ばれる)が金型組立体に更に備えられていることが好ましい。尚、コアピンの断面形状は、所望の穴の断面形状に合わせて設計すればよい。また、コアピンは先端に向かって先細りとしてもよいし、コアピンの側面に段差を付けてもよい。
【0053】穴空き成形品を製造するとき、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の流れは、コアピンで分岐され、再び合流する。この過程で溶融熱可塑性樹脂は冷却され、固化しかけた樹脂が合流するために、ウエルドラインが発生し易い。ウエルドラインが発生した成形品においては、強度の低下が著しい。従って、応力の加わる成形品の部分にウエルドラインが発生しないような金型設計を行う必要があり、成形品の設計自由度が低くなるという問題がある。また、ウエルドラインが発生した成形品の外観は醜いものとなる。
【0054】コアピンは、金属、セラミックスから作製すればよいが、金属製のコアピンの場合、コアピンで分岐されそしてキャビティ内で冷却しかけた溶融熱可塑性樹脂が合流する結果、ウエルドマークが発生し、成形品の強度が低下する虞がある。このような場合には、コアピンを後述するような構成とすればよく、これによって、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂が合流する際の樹脂の冷却を抑制できるために、成形品内部にウエルドマークが発生することを効果的に防止することができ、成形品の強度低下を防ぐことができる。尚、コアピンを全てジルコニアセラミックスから構成する場合、コアピンの径(コアピンが円筒径の場合には直径、多角柱の場合には外接円の直径)が10mmを越えないことが好ましい。コアピンの径が10mmを越えると、コアピンによる断熱効果が大きくなり過ぎ、キャビティ内の樹脂の冷却時間を延長しないと、金型からの成形品取り出し後に成形品が変形することがある。それ故、成形サイクルの延長といった問題が生じる虞がある。但し、断熱性の良好な入れ子を第1及び/又は第2の金型部に配設する場合には、コアピンで分岐されそして合流する溶融熱可塑性樹脂が冷却され難いので、コアピンを金属製としても問題はない。この場合、入れ子を配設した金型部とは異なる金型部にコアピンが取り付けられている形態としてもよいし、入れ子に貫通孔を設け、コアピンをこの貫通孔を通して金型部に取り付る形態としてもよい。
【0055】ジルコニアセラミックスから成るコアピンの径が10mm以下の場合には、コアピンを、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る入れ子と同様の構成とすることが好ましい。一方、コアピンの径が10mmを越える場合には、コアピンは、(a)第1の金型部及び/又は第2の金型部に取り付けられたコアピン取付部と、(b)コアピン取付部に取り付けられ、一端が閉塞しそして他端が開口した形状、若しくは、両端が開口した形状を有する環状部材とから成り、該環状部材は、キャビティ内を占めるコアピンの部分の表面を構成し、該コアピン取付部は、該環状部材の他端から環状部材の内部に延在している構成とすることが好ましい。そして、環状部材を、本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る入れ子と同様の構成とすることが好ましい。入れ子のキャビティ面と対向するコアピンあるいは環状部材の少なくとも部分の表面に薄層を形成する必要がある。
【0056】本発明の金型組立体あるいは成形方法にあっては、キャビティ内を占めるコアピンと入れ子のキャビティ面との間のクリアランス(Cc1)、あるいは、環状部材と入れ子のキャビティ面との間のクリアランス(Cc1)を0.03mm以下(Cc1≦0.03mm)とすることが好ましい。クリアランス(Cc1)の下限は、金型組立体の昇温時に入れ子の熱膨張に起因して、入れ子のキャビティ面とコアピンや環状部材とが接触して入れ子が破損することがないような値とすればよい。尚、クリアランス(Cc1)が0.03mmを超えると、溶融熱可塑性樹脂がコアピンや環状部材と入れ子のキャビティ面との間に侵入するために、入れ子にクラックが生じたり、成形品にバリが発生する虞がある。クリアランス(Cc1)を0.03mm以下とすることで、コアピンや環状部材と入れ子のキャビティ面との間に溶融熱可塑性樹脂が侵入することを確実に防止することができ、しかも、成形品に穴を確実に形成することができる。
【0057】コアピンあるいは環状部材を本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る入れ子と同様の構成とすることによって、コアピンあるいは環状部材の表面の金属層を容易に加工することができる。しかも、コアピンで分岐され再び合流する溶融熱可塑性樹脂は余り冷却されることがないので、成形品にウエルドライン等が発生し難い。更には、キャビティ内を占めるコアピンの部分における対向面と入れ子のキャビティ面との間のクリアランスを規定することで、コアピンと入れ子が接触することが無くなり、コアピンや入れ子を長期間に亙って使用することが可能となる。しかも、コアピンあるいは環状部材を本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る入れ子と同様の構成とすることによって、コアピンや環状部材の耐久性を向上させることができる。
【0058】種々のクリアランス(C11,C21,C22,C31,C32,C41,C42,C43,C51,C52,Cc1)は0.03mm以下、好ましくは0mm以上0.025mm以下(0mm≦C11,C21,C22,C31,C32,C41,C42,C43,C51,C52,Cc1≦0.025mm)とする。クリアランス(C11,C21,C22,C31,C32,C41,C42,C43,C51,C52,Cc1)が0.03mmを越えると、溶融熱可塑性樹脂が、入れ子等と金型部の対向面や被覆プレート、スライドコア、コアピンとの間に侵入し、入れ子等にクラックが生じる場合があるし、成形品にバリが発生したり、金型部から成形品を取り出す際に入れ子等が損傷するといった問題も生じる。但し、本発明においては、入れ子等の端部に発生し易い微細なクラックが金属層によって被覆されるため、入れ子等が破損することを格段に低下させることができる。
【0059】重なり量(ΔS11,ΔS21,ΔS22,ΔS31,ΔS32,ΔS41,ΔS42,ΔS43)の値が0.5mm未満の場合、入れ子の外周部に発生した微細なクラックと溶融熱可塑性樹脂とが接触する結果、入れ子に生成したクラックが成長し、入れ子が破損する場合がある。但し、本発明においては、入れ子や環状部材等の端部に発生し易い微細なクラックが金属層によって被覆されるため、入れ子等が破損することを格段に低下させることができる。
【0060】本発明の金型組立体を用いた成形品の成形方法として、熱可塑性樹脂を成形するために一般的に用いられる射出成形法、射出圧縮成形法、多色成形法、ガスアシスト成形法、ブロー成形法を例示することができる。
【0061】本発明の金型組立体あるいは成形方法においては、キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を注入するための加圧流体注入装置を更に備えている構成とすることができる。あるいは又、金型は、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する構成とすることができ、かかる構造として、第1の金型部と第2の金型部とによって印籠構造が形成される構造や、キャビティの容積を可変とし得る、キャビティ内で可動の中子を金型組立体が更に備えている構造を挙げることができる。更には、第1若しくは第2の金型部に配置され、そしてキャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を注入するための加圧流体注入装置が更に備えられ、且つ、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する金型組立体としてもよい。
【0062】本発明の第1若しくは第2の態様に係る成形品の成形方法において、加圧流体注入装置を更に備えている構成とする場合、溶融熱可塑性樹脂導入部からのキャビティ内への溶融熱可塑性樹脂の導入開始後、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内部に加圧流体注入装置から加圧流体を注入し、以て、キャビティ内の樹脂内部に中空部を形成する方法(ガスアシスト成形法)とすることができる。
【0063】加圧流体注入装置の取り付け位置は、成形すべき成形品の形状等に依存して、射出成形装置の溶融熱可塑性樹脂射出ノズル内、金型部に配設された溶融熱可塑性樹脂導入部内(例えばゲート部内)、あるいは、金型部に配設されそしてキャビティに開口する加圧流体注入装置取付部から適宜選択すればよい。キャビティ内に導入された溶融熱可塑性樹脂内への加圧流体の注入開始の時点は、キャビティ内への溶融熱可塑性樹脂の導入中、導入完了と同時、あるいは導入完了後とすることができる。キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂内への加圧流体の注入は、キャビティ内の樹脂が冷却、固化した後も続けることが好ましい。キャビティ内へ導入する溶融熱可塑性樹脂の量は、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で完全に充填するために必要な量であってもよいし、成形品に依っては、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で完全に充填するには不十分な量とすることもできる。
【0064】使用に適した加圧流体としては、常温・常圧下でガス状あるいは液状の流体であって、溶融熱可塑性樹脂内への注入時、溶融熱可塑性樹脂と反応したり混合しないものが望ましい。具体的には、窒素ガス、炭酸ガス、空気、ヘリウムガス等、常温でガス状の物質、水等の液体、高圧下で液化したガスを使用することができるが、中でも、窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスが好ましい。尚、注入する加圧流体は、成形品の中空部に断熱圧縮による焼けが生じないような不活性な加圧流体であることが、一層好ましく、窒素ガスを用いる場合、純度90%以上のものを使用することが望ましい。更には、加圧流体として、発泡性樹脂、繊維強化樹脂材料等を使用することもできる。尚、この場合には、中空部に発泡性樹脂、繊維強化樹脂材料等が充填されるが、このような構造も、本発明においては中空部という概念に含める。
【0065】あるいは又、金型組立体をキャビティの容積を可変とし得る構造とし、成形すべき成形品の容積(VM)よりもキャビティの容積(VC)が大きくなるように、第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、該キャビティ(容積:VC)内に溶融熱可塑性樹脂を導入し、熱可塑性樹脂の導入開始前、開始と同時に、導入中に、あるいは導入完了後、キャビティの容積を成形すべき成形品の容積(容積:VM)まで減少させる方法(射出圧縮成形法)とすることもできる。尚、キャビティの容積が成形すべき成形品の容積(VM)となる時点を、溶融熱可塑性樹脂の導入中、あるいは導入完了後(導入完了と同時を含む)とすることができる。かかる金型組立体の構造として、先に説明したように、第1の金型部と第2の金型部とによって印籠構造が形成される構造や、キャビティの容積を可変とし得る、キャビティ内で可動の中子を金型組立体が更に備えている構造を挙げることができる。尚、中子の移動の制御は、例えば油圧シリンダーで行うことができる。
【0066】上記の型締め時、成形すべき成形品の容積(VM)とキャビティの容積(VC)の関係は、成形すべき成形品の厚さをt0とし、型締め時における成形品の厚さ方向のキャビティの距離をt1とし、Δt=t1−t0としたとき、0.1mm≦Δt≦6mmとなるような関係であることが好ましい。Δt<0.1mmでは、流動性の悪い溶融熱可塑性樹脂を用いて成形品を成形することが困難となる場合があり、成形品に残留する応力を小さくすることができない。一方、Δt>6mmでは、成形品中に空気が巻き込まれ、成形品の品質が劣化する虞がある。
【0067】尚、ガスアシスト成形法と射出圧縮成形法とを組み合わせることもできる。
【0068】本発明における熱可塑性樹脂として、通常使用されている熱可塑性樹脂の全てを用いることができる。具体的には、非晶性の熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性PPE樹脂;ポリアリレート樹脂を挙げることができる。また、結晶性の熱可塑性樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンエチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂を挙げることができる。
【0069】結晶性の熱可塑性樹脂は、結晶化によって密度及び融点が高くなり、成形品の硬度や弾性率が向上する。また、結晶性の熱可塑性樹脂は、水分や染料、可塑剤等が結晶組織へ入り込み難いといった特徴を有しているため、耐薬品性に優れている。通常、結晶性の熱可塑性樹脂を用いた成形品の成形においては、金型温度を結晶性の熱可塑性樹脂の荷重撓み温度よりもかなり低く設定しておき、キャビティ内に導入された溶融した結晶性の熱可塑性樹脂の冷却、固化を促進させる方法が採られている。通常の金型部は金属材料から作製されているので、熱伝導性が良く、しかも、金型温度を結晶性の熱可塑性樹脂の荷重撓み温度よりもかなり低く設定した場合、キャビティ内に導入された溶融した結晶性の熱可塑性樹脂は、金型部のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、成形品の表面には、非晶質層あるいは結晶化度の低い微細な結晶層(スキン層)が形成される。このようなスキン層が形成された成形品においては、成形品の表面に関連する物性が著しく低下するという問題が生じる。例えば結晶性の熱可塑性樹脂としてポリオキシメチレン(ポリアセタール)樹脂から成形された成形品の耐摩擦摩耗性や耐候性が著しく低下する。また、金型部のキャビティ面の成形品表面への転写性も劣化する。
【0070】本発明においては、入れ子が設けられているが故に、キャビティ内に導入された溶融した結晶性の熱可塑性樹脂が急冷されることがない。その結果、結晶性の熱可塑性樹脂を用いた場合にも、樹脂の結晶化度の低下を招くことがなく、成形品の樹脂表面の結晶化度が高く、樹脂の劣化による割れ等、樹脂表面に関連する物性の低下を防止することができる。
【0071】更には、ポリマーアロイ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることもできる。ここで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。ここで、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、液晶ポリマー、エラストマーを挙げることができる。2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/液晶ポリマーを例示することができる。また、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成るポリマーアロイ材料として、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂を例示することができる。
【0072】ポリマーアロイ材料に基づき成形された成形品においては、一般に、成形品の外観(特に、光沢性)が悪くなり、特に、成形品の厚さが変わる部分やウェルド部分において外観不良が生じ易いという問題がある。この原因は、通常の金型部は熱伝導性が良い金属材料から作製されているので、キャビティ内に導入された溶融したポリマーアロイ材料は、金型部のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、溶融したポリマーアロイ材料に固化層が形成され、転写性不良や光沢不良が生じる。本発明においては、キャビティ内に導入された溶融したポリマーアロイ材料が急冷されることがないために、成形品の光沢性が極めて向上し、鏡面性に優れた成形品を容易に得ることができる。
【0073】尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂に、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、染顔料等を添加することができるし、ガラスビーズ、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム等の無機充填材、あるいは有機充填材を添加することもできる。
【0074】本発明の成形品の成形方法においては、無機繊維を5重量%乃至80重量%含有する熱可塑性樹脂を用いることもできる。尚、成形品の強度を重視する場合には、無機繊維の平均長さを、5μm乃至5mm、好ましくは10μm乃至0.4mmとし、成形品の写像性(鏡面性)を重視する場合には、5μm乃至0.4mm、より好ましくは5μm乃至0.2mm、一層好ましくは5μm乃至0.1mmとすることが望ましい。また、これらの場合、無機繊維の平均直径を、0.01μm乃至15μm、より好ましくは0.1μm乃至13μm、一層好ましくは0.1μm乃至10μmとすることが望ましい。
【0075】従来の技術において、無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を用いて成形品を成形した場合、成形品の表面に無機繊維が析出する結果、成形品の外観が悪くなり、あるいは又、写像性(鏡面性)が劣化するという問題が生じ易い。それ故、優れた外観特性や写像性が要求される成形品に対しては、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を使用することは困難であった。尚、成形品の表面への無機繊維の析出という現象は、成形品の表面に無機繊維が浮き出ることなどで認識することができる。それ故、成形品の表面への無機繊維の析出といった問題を解決するために、従来の技術においては、熱可塑性樹脂の粘度を低下させ、溶融熱可塑性樹脂の流動性を良くすることで対応していた。しかしながら、無機繊維の含有率を増加させた場合、無機繊維が成形品の表面から析出することを防止することは難しくなる。そのため、優れた外観特性が必要とされる成形品には、優れた性能を有しているにも拘らず、無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を使用することは困難であった。無機繊維の含有率が増えると無機繊維が成形品の表面から析出する原因も、金型部の材質と関係している。通常の金型部は熱伝導性が良い金属材料から作製されているので、キャビティ内に導入された無機繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂は、金型部のキャビティ面と接触したとき、瞬時に冷却され始める。その結果、金型部のキャビティ面と接触した溶融熱可塑性樹脂に固化層が形成され、無機繊維が析出する。加えて、金型部のキャビティ面の成形品表面への転写性が不足するという問題を生じる。本発明においては、キャビティ内に導入された溶融した熱可塑性樹脂が急冷されることがないために、金型部のキャビティ面と接触した溶融熱可塑性樹脂に固化層が形成されることが無く、無機繊維が析出することを確実に防止することができる。
【0076】この場合、熱可塑性樹脂が含有する無機繊維の割合(言い換えれば、熱可塑性樹脂に添加された無機繊維の割合)は、要求される曲げ弾性率(例えば、ASTM D790に準拠して測定したときの値が3.0GPa以上)を満足し得る成形品を成形できる範囲であればよく、その上限は、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の流動性が低下するため成形が困難となり、あるいは又、優れた鏡面性を有する成形品を成形できなくなるときの値とすればよい。具体的には、結晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合には上限は概ね80重量%である。非晶性の熱可塑性樹脂を用いる場合には、結晶性の熱可塑性樹脂よりも流動性が劣るために、場合によっては上限は概ね50重量%となる。含有率が5重量%未満では成形品に要求される曲げ弾性率、弾性率や線膨張係数が得られず、また、80重量%を越えると溶融熱可塑性樹脂の流動性が低下するため成形品の成形が困難となり、あるいは又、優れた鏡面性を有する成形品を成形できなくなる虞がある。
【0077】また、無機繊維の平均長さが5μm未満であったり、平均直径が0.01μm未満では、成形品に要求される曲げ弾性率が得られない。一方、無機繊維の平均長さが5mmを越えたり、平均直径が15μmを越えると、成形品の表面が鏡面にならないといった問題が生じる。
【0078】上記の範囲の平均長さ及び平均直径を有する無機繊維を、好ましくはシランカップリング剤等を用いて表面処理した後、熱可塑性樹脂とコンパウンドして、ペレット化して成形用材料とする。このような成形用材料、及び本発明の入れ子が組み込まれた本発明の金型組立体を用いて成形品の成形を行うことで、高剛性、高弾性率、低線膨張係数、高荷重撓み温度(耐熱性)を有し、且つ、鏡面性(写像性)に優れた成形品を得ることができる。
【0079】無機繊維は、ガラス繊維、カーボン繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る群から選択された少なくとも1種の材料から構成することが好ましい。尚、熱可塑性樹脂に含有される無機繊維は1種類に限定されず、2種類以上の無機繊維を熱可塑性樹脂に含有させてもよい。
【0080】無機繊維の平均長さは、重量平均長さを意味する。無機繊維の長さの測定は、熱可塑性樹脂の樹脂成分を溶解する液体に無機繊維を含有する成形用ペレット若しくは成形品を浸漬して樹脂成分を溶解するか、ガラス繊維の場合、600゜C以上の高温で樹脂成分を燃焼させて、残留する無機繊維を顕微鏡等で観察して測定することができる。通常、無機繊維を写真撮影して人が測長するか、専用の繊維長測定装置を使用して無機繊維の長さを求める。数平均長さでは微小に破壊された繊維の影響が大き過ぎるので、重量平均長さを採用することが好ましい。重量平均長さの測定に際しては、あまりに小さく破砕された無機繊維の破片を除いて測定する。無機繊維の公称直径の2倍よりも長さが短くなると測定が難しくなるので、例えば公称直径の2倍以上の長さを有する無機繊維を測定の対象とする。
【0081】本発明においては、入れ子をジルコニアセラミックスあるいは導電性ジルコニアセラミックスから構成することによって、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の急冷を防ぐことができる結果、金型部のキャビティ面と接触した溶融熱可塑性樹脂に固化層が形成されることを回避でき、ウエルドマークやフローマーク等の外観不良が成形品に発生することを防止することができる。また、例えば無機繊維を含有した熱可塑性樹脂を使用した場合であっても、成形品の表面に無機繊維が析出することを防止することができる。
【0082】しかも、本発明の第1の態様において、活性金属膜の形成に活性金属ソルダー法を採用すれば、活性金属膜が入れ子本体の表面に対して高い密着性を得ることができるし、入れ子本体に対して金属層が高い密着力を得られるようになる。更には、本発明の第1の態様においては、活性金属膜を設けているので、入れ子本体の表面は導電性を有することになり、金属層を例えば電解メッキ法にて形成することが可能となる。一方、本発明の第2の態様においては、入れ子本体を導電性ジルコニアセラミックスから構成することによって、入れ子本体の薄層形成面に金属層を直接形成することが可能となる。しかも、本発明の第1の態様若しくは第2の態様においては、入れ子の最表面に金属層が設けられているので、入れ子の対向面等における金属層を一般的な切削加工機等で加工することが可能となるし、高い耐擦傷性や表面硬度を得ることができる。また、入れ子本体の加工時に入れ子本体の外周部に発生した微細なクラックが確実に金属層で被覆されているので、かかるクラックが溶融熱可塑性樹脂が接触しなくなるために入れ子が破損しない。
【0083】更には、溶融熱可塑性樹脂の流動性が向上するが故に、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への導入圧力を低く設定でき、成形品に残留する応力を緩和できる。その結果、成形品の品質が向上する。また、導入圧力を低減できるために、金型部の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。
【0084】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
【0085】(実施例1)実施例1の入れ子及び金型組立体は、本発明の第1の態様に係る入れ子及び金型組立体に関し、更には、本発明の金型組立体等の第1の構成に関する。図1に模式的な端面図を示す実施例1の金型組立体は、(A)第1の金型部(可動金型部)10及び第2の金型部(固定金型部)11から成り、型締め時、キャビティ14が形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、(B)第2の金型部11に配置され、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を導入するための溶融熱可塑性樹脂導入部(図面では、溶融樹脂導入部と記す)13と、(C)第1の金型部10に配設され、キャビティ14の一部を構成する入れ子15を備えた金型組立体である。尚、図1の(A)には金型組立体を型締めした状態を示し、図1の(B)には金型組立体を型開きした状態を示す。
【0086】第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ子15と対向する第2の金型部11の対向面(実施例1においてはパーティング面PL2)と、第2の金型部11の対向面と対向した入れ子15の部分(入れ子15の対向面15B)との間のクリアランスC11は、0.03mm以下(C11≦0.03mm)である。
【0087】実施例1において成形される成形品の寸法を、外形94mm×94mm×3mm(厚さ)の直方体とした。実施例1の金型組立体におけるキャビティ14の寸法を、かかる形状の成形品が成形できるような寸法とした。また、入れ子15の外形を、100mm×100mm×6mm(高さ)とし、入れ子15に凹部(94mm×94mm×3mm(深さ))を設けた。入れ子15の側壁及び底面の厚さは3mmである。凹部の表面が入れ子15のキャビティ面15Aに相当する。
【0088】実施例1において、入れ子本体115は、厚さ3.0mmの部分安定化ジルコニアセラミックスから成る。即ち、ジルコニア(ZrO2)にはイットリア(Y23)から成る部分安定化剤が含有されており、実施例1における部分安定化ジルコニアセラミックスはZrO2−Y23という組成を有する。部分安定化ジルコニアセラミックス中に含有される部分安定化剤の割合を3mol%とした。部分安定化ジルコニアセラミックスの熱伝導率は約3.8J/(m・s・K)である。第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において、第2の金型部11と対向する入れ子本体115の部分の表面(入れ子本体115の薄層形成面)には、活性金属ソルダー法に基づき活性金属膜が形成されており、活性金属膜上に金属層が形成されている。尚、活性金属膜及び金属層の2層構成を、総称して、単に、薄層16と呼び、図には1層で表示した。活性金属膜は厚さ5μmのTi−Cu−Ag共晶組成物から成り、金属層はニッケル(Ni)から成る。
【0089】入れ子本体115を、部分安定化ジルコニアをプレス成形した後、焼成して作製した。その後、入れ子本体115のキャビティ構成面に対してダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、かかる入れ子本体115のキャビティ構成面の表面粗さRyを0.02μmとした。次に、第2の金型部11のパーティング面PL2と対向する入れ子本体115の薄層形成面に、活性金属ソルダー法に基づき活性金属膜を形成した。具体的には、Ti−Cu−Ag共晶組成物から成るペーストをスクリーン印刷法等によって入れ子本体115の薄層形成面に塗布し、真空中で、約800゜Cの高温で焼き付けることによって、活性金属膜を形成した。その後、活性金属膜が形成された部分以外の入れ子本体115の部分をマスキングして、電解メッキ法にて、活性金属膜の上にニッケル(Ni)から成る金属層を活性金属膜上を形成した。尚、メッキ後の金属層の厚さを100μmとした。
【0090】一方、第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼S55Cから作製し、切削加工を行い、中子装着部を設けた。また、入れ子装着用中子10Aを炭素鋼S55Cから作製した。そして、入れ子装着用中子10Aに入れ子15をエポキシ系接着剤(図示せず)を用いて接着した後、入れ子装着用中子10Aを第1の金型部10の中子装着部に取り付けた。その後、入れ子15の対向面15Bに形成された金属層を金属加工用の平面切削機を用いて、約50μm、切削し、入れ子15の対向面15Bに形成された金属層の頂面と第1の金型部10のパーティング面PL1とを略同一レベルとした。入れ子15の対向面15Bにはニッケル(Ni)から成る金属層が形成されているので、入れ子15の対向面15Bと第1の金型部10のパーティング面PL1とを容易に略同一レベルとすることができた。
【0091】一方、第2の金型部(固定金型部)11を炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部11の中央に直径5mmのダイレクトゲート構造を有する溶融熱可塑性樹脂導入部13を設けた。
【0092】このように作製した第1の金型部(可動金型部)10と第2の金型部(固定金型部)11とを組み付けて実施例1の金型組立体を得た。第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ子15と対向する第2の金型部11の対向面(実施例1においてはパーティング面PL2)と、第2の金型部11の対向面と対向した入れ子15の部分(入れ子15の対向面15B)との間のクリアランスC11は0mm(C11=0mm)であり、両面とも接触していた。このような構造にすることで、入れ子15の対向面15Bは、キャビティ14内に導入された溶融熱可塑性樹脂と接触しなくなる。尚、入れ子本体115の表面は第2の金型部11と直接接触することがなく、入れ子本体115の端部は保護されている。
【0093】完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、入れ子15に割れ等の損傷は発生しなかった。また、薄層16にも損傷は生じなかった。
【0094】成形装置として東芝機械株式会社製、IS−80射出成形機を用い、金型組立体を100゜Cに加熱した。熱可塑性樹脂として、平均長さ200μm、平均直径13μmのガラス繊維を20重量%添加したポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、GS2020M)を用いて、射出成形を行なった。成形条件を下記の表1のとおりとした。溶融熱可塑性樹脂導入部(ダイレクトゲート部)13を介してキャビティ14へ溶融熱可塑性樹脂を導入(射出)した。そして、所定量の溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部13を介してキャビティ14内に導入(射出)した後、キャビティ14内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、30秒後に金型組立体の型開きを行い、成形品を金型組立体から取り出した。
【0095】[表1]
金型温度:100゜C樹脂温度:290゜C射出圧力:8.83×107Pa(900kgf/cm2−G)
【0096】入れ子15のキャビティ面15Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良も全く認められなかった。更には、連続して成形を10000回行ったが、入れ子15や薄層16(活性金属膜及び金属層)に損傷は発生しなかった。
【0097】(実施例2)実施例2の入れ子及び金型組立体は、本発明の第2の態様に係る入れ子及び金型組立体に関し、更には、本発明の金型組立体等の第1の構成に関する。実施例2においては、入れ子15を、部分安定化された導電性ジルコニアセラミックスから構成した。また、入れ子本体115の薄層形成面に金属層17を形成した。即ち、入れ子本体115は、具体的には、部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)セラミックスから成り、導電性付与剤として、Fe23が8重量%含有されている。また、部分安定化ジルコニアセラミックス中に含有される部分安定化剤であるY23の割合を、3mol%とした。かかる導電性ジルコニアセラミックスの熱伝導率は約3.8J/(m・s・K)であり、体積固有抵抗値は1×108Ω・cmである。金属層17は、厚さ0.5mmのニッケル(Ni)から成る。
【0098】第1の金型部10、第2の金型部11、入れ子15、金型組立体等の構成、構造を実施例1と同様とした。尚、図2の(A)に金型組立体を型締めした状態を示し、図2の(B)に金型組立体を型開きした状態を示す。実施例2においては、入れ子15の全面に電解メッキ法にて金属層17を形成した。尚、入れ子装着用中子10Aに入れ子15をエポキシ系接着剤(図示せず)を用いて接着した後、入れ子装着用中子10Aを第1の金型部10の中子装着部に取り付けた。そして、入れ子15の対向面15Bに形成された金属層17を金属加工用の平面切削機を用いて切削し、入れ子15の対向面15Bに形成された金属層17の頂面と第1の金型部10のパーティング面PL1とを略同一レベルとした。
【0099】実施例2においても、かかる入れ子15を用い、実施例1と同じ第1の金型部(可動金型部)10と第2の金型部(固定金型部)11とを組み付けて、金型組立体を得た。第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ子15と対向する第2の金型部11の対向面(実施例2においてもパーティング面PL2)と、第2の金型部11の対向面と対向した入れ子15の部分(入れ子15の対向面15B)との間のクリアランスC11は、0.02mm(C11=0.02mm)であった。このような構造にすることで、入れ子15の対向面15Bは、第2の金型部11及びキャビティ14内に導入された溶融熱可塑性樹脂と接触しなくなる。
【0100】完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、入れ子15に割れ等の損傷は発生しなかった。また、金属層17にも損傷は生じなかった。
【0101】成形装置として実施例1と同じ射出成形機を用い、金型組立体を100゜Cに加熱した。そして、実施例1と同じ熱可塑性樹脂を使用し、実施例1と同一条件にて射出成形を行なった。
【0102】入れ子15のキャビティ面15Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良も全く認められなかった。更には、連続して成形を10000回行ったが、入れ子15や金属層17に損傷は発生しなかった。
【0103】(比較例1)実施例1にて用いた金型組立体において、入れ子15をRy0.02μmまで鏡面仕上げをした炭素鋼(熱伝導率約46J/(m・s・K)、11×10-2cal/cm・sec・deg)から作製した入れ子に取り替えて成形を行った。尚、実施例1と同様の熱可塑性樹脂を使用し、実施例1と同様の成形条件にて成形を行った。
【0104】その結果、キャビティ14内での溶融熱可塑性樹脂の流動性が悪く、キャビティ14内を完全に溶融熱可塑性樹脂で充填することができなかった。そこで、射出圧力を2×107Pa(200kgf/cm2−G)増加させ、1.1×108Pa(1100kgf/cm2−G)として成形を行なった。得られた成形品には、フローマーク及びジェッテイング等の成形不良が生じていた。また、成形品表面にはガラス繊維が析出しており、実施例1にて得られた成形品と比較すると、比較例1にて得られた成形品の鏡面性は著しく劣っていた。
【0105】(比較例2)比較例2においては、実施例1の金型組立体を用いた。但し、入れ子15の対向面15Bに薄層を形成しなかった。そして、入れ子15を入れ子装着用中子10Aに接着剤を用いて接着し、入れ子装着用中子10Aを第1の金型部10に設けられた中子装着部に固定した。入れ子15の対向面15Bの頂面と、第1の金型部10のパーティング面PL1とのレベル差を、設計上、ゼロとした。然るに、実際には、入れ子15を入れ子装着用中子10Aに接着剤で接着したときの接着剤の厚さムラに起因して、入れ子15の対向面15Bの頂面は、第1の金型部10のパーティング面PL1よりも0.02mm突出した状態となっており、しかも、第2の金型部11のパーティング面PL2との平行度が悪い状態で取り付けられていた。入れ子15の対向面15Bが部分安定化ジルコニアセラミックスから構成されているため、入れ子15の対向面15Bを金属用の平面切削機では切削できず、修正することができなかった。この状態で、実施例1と同じ条件で成形を行った。成形の結果、成形品は非常に綺麗な外観を有していたが、連続して成形を100ショット行ったところ、入れ子15の対向面15Bが第2の金型部11と型締めの際に局所的に当たっていたため、その部分に割れが発生した。
【0106】(実施例3)実施例3の金型組立体も、本発明の金型組立体等の第1の構成に関する。実施例3の金型組立体が実施例2の金型組立体と相違する点は、キャビティ14及び入れ子15の形状が異なっている点にある。図3に模式的な端面図を示す実施例3の金型組立体においては、成形される成形品の寸法を、外形100mm×100mmとし、肉厚が4mm、深さ15mmの箱形とした。実施例3の金型組立体におけるキャビティ14の寸法を、かかる形状の成形品が成形できるような寸法とした。
【0107】実施例3においては、入れ子15を、形状が異なる点を除き、実施例2と同様の構成とした。また、金属層17を入れ子本体115のキャビティ構成面及び入れ子本体115の薄層形成面に形成した。入れ子本体115の厚さを3.0mmとした。入れ子装着部10Bに入れ子15をエポキシ系接着剤(図示せず)を用いて固定した。そして、入れ子15の対向面15Bに形成された金属層17を切削加工し、入れ子15の対向面15Bに形成された金属層17の頂面と第1の金型部10のパーティング面PL1とを略同一レベルとした。
【0108】このように作製した第1の金型部(可動金型部)10と第2の金型部(固定金型部)11とを組み付けて本発明の金型組立体を得た。第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ子15と対向する第2の金型部11の対向面(実施例3においてもパーティング面PL2)と、第2の金型部11の対向面と対向した入れ子15の部分(入れ子15の対向面15B)との間のクリアランスC11は、0.02mm(C11=0.02mm)であった。このような構造にすることで、入れ子15の対向面15Bは、第2の金型部11及びキャビティ14内に導入された溶融樹脂と接触しなくなる。
【0109】完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、部分安定化ジルコニアセラミックスから作製された入れ子本体115に割れ等の損傷は発生しなかった。また、金属層17にも損傷は生じなかった。
【0110】成形装置として実施例1と同じ射出成形機を用い、金型組立体を100゜Cに加熱した。そして、実施例1と同じ熱可塑性樹脂を使用し、実施例1と同一条件にて射出成形を行なった。
【0111】入れ子15のキャビティ面15Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良も全く認められなかった。更には、連続して成形を10000回行ったが、入れ子15や金属層17に損傷は発生しなかった。
【0112】尚、入れ子本体115を例えば部分安定化ジルコニアセラミックスから構成し、入れ子15の対向面15Bに対応する入れ子本体115の薄層形成面に、実施例1と同様に、活性金属膜及び金属層を形成してもよい。
【0113】(実施例4)実施例4の金型組立体も、本発明の金型組立体等の第1の構成に関する。実施例4の金型組立体が実施例1の金型組立体と相違する点は、金型組立体がキャビティの容積を可変とし得る構造(実施例4においては印籠構造)を有する点にある。即ち、金型組立体が完全に型締めされていなくともキャビティ14が形成されるように、僅かなクリアランスC11(実施例4においては0.01mm)をもって第1の金型部10に配設された入れ子15の対向面15Bと第2の金型部11の対向面(パーティング面PL2)が嵌合する構造とした(図4の(A)及び(B)参照)。図4に模式的な端面図を示す実施例4の金型組立体を構成する要素は、基本的には、実施例1の金型組立体を構成する要素と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0114】実施例4においては、成形される成形品の寸法を、底部を有する円筒形(外径50.40mm、内径44mm)とした。ZrO2−CeO2を研削加工することで、入れ子本体115を作製した。尚、部分安定化ジルコニアセラミックス中に含有される部分安定化剤であるCeO2の割合を、8mol%とした。かかる部分安定化ジルコニアセラミックスの熱伝導率は約3.8J/(m・s・K)である。入れ子本体115は段付き円筒形状をしており、段付き部の外径を50mmとし、段付き部より上の円筒形部の外径を44mmとし、入れ子装着用中子10Aと接着される面の直径を38mmとした。入れ子本体115のキャビティ構成面に対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨を行い、かかるキャビティ構成面の表面粗さRyを0.02μmとした。
【0115】次いで、第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において第2の金型部11の対向面と対向する入れ子15の対向面15Bに相当する入れ子本体115の薄層形成面にのみ、Ti−Cu−Agから成るペーストをスクリーン印刷にて塗布し、約800゜Cの真空炉で30分間、ペーストを焼き付け、厚さ5μmの活性金属膜を得た。その後、得られた入れ子本体115の活性金属膜が形成された部分以外の部分をマスキングし、電解メッキ法にて銅(Cu)から成る厚さ0.25mmの金属層を活性金属膜の上に形成した。
【0116】第2の金型部(固定金型部)11を炭素鋼HPM1から作製した。第2の金型部11の中央に直径5mmのダイレクトゲート構造を有する溶融熱可塑性樹脂導入部13を設けた。また、第1の金型部(可動金型部)10も炭素鋼HPM1から作製し、切削加工を行い、第1の金型部10に中子装着部を設けた。また、入れ子装着用中子も炭素鋼HPM1から作製した。そして、入れ子15を、エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて入れ子装着用中子10Aに接着した。次いで、入れ子装着用中子10Aを第1の金型部10に設けられた中子装着部に固定した。そして、入れ子15の対向面15Bにおける金属層を、金属加工用の旋盤加工機にて約60μmだけ切削した。その結果、第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ子15と対向した第2の金型部11の対向面(第2の金型部11のパーティング面PL2)と、第2の金型部11の対向面と対向した入れ子15の部分(入れ子15の対向面15B)との間のクリアランスC11は、0.01mmとなった。このような構造にすることで、入れ子15の対向面15Bは、第2の金型部11及びキャビティ14内に導入された溶融熱可塑性樹脂と接触しなくなる。
【0117】完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、部分安定化ジルコニアセラミックスから作製された入れ子本体115に割れ等の損傷は発生しなかった。また、活性金属膜や金属層にも損傷は生じなかった。
【0118】成形装置として東芝機械株式会社製、IS−75プレストロール射出圧縮成形機を用い、金型組立体を100゜Cに加熱した。また、熱可塑性樹脂として実施例1と同じ熱可塑性樹脂を使用した。そして、成形すべき成形品の容積(VM)よりもキャビティ14の容積(VC)が大きくなるように、第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした(図4の(A)参照)。尚、型締め時、成形すべき成形品の容積(VM)とキャビティの容積(VC)の関係は、Δtが0.5mmを満足する関係とした。
【0119】具体的には、成形においては、先ず、第1の金型部10と第2の金型部11を完全に閉じた後(図4の(B)参照)、第1の金型部10を移動させて、キャビティ14を1mm広げた(図4の(A)参照)。そして、以下の表2に例示する条件にて、図示しない射出用シリンダーから、溶融熱可塑性樹脂導入部(ダイレクトゲート部)13を介してキャビティ14へ溶融熱可塑性樹脂を導入(射出)した。そして、所定量の溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部13を介してキャビティ14内に導入(射出)した後(図5の(A)の金型組立体の模式的な端面図参照)、第1の金型部10を第2の金型部11に向かって移動させた(図5の(B)の金型組立体の模式的な端面図参照)。移動量を0.5mmとした。次いで、キャビティ14内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、30秒後に金型組立体の型開きを行い、成形品を金型組立体から取り出した。
【0120】[表2]
金型温度:100゜C樹脂温度:290゜C射出圧力:3.92×107Pa(400kgf/cm2−G)
【0121】入れ子15Aのキャビティ面15Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良も全く認められなかった。入れ子15の対向面15Bを観察すると、不均一な熱膨張の影響で金属層に、多少、第2の金型部11の対向面(パーティング面PL2)と接触した痕跡があったものの、金属層が入れ子15に対する損傷を吸収したため、入れ子15に損傷は発生していなかった。連続して成形を10000ショット行ったが、入れ子15に割れ等の損傷は発生しなかった。更には、連続して成形を10000回行ったが、入れ子15や金属層、活性金属膜に損傷は発生しなかった。
【0122】このように、成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する金型組立体を用いれば、成形品の表面を均一に圧縮することが可能となることから、成形品の表面にヒケが発生することを抑制することができる。
【0123】実施例4の変形例を図6に示す。この変形例においては、入れ子本体115は導電性ジルコニアセラミックスから構成され、入れ子本体115のキャビティ構成面及び薄層形成面(入れ子15の対向面15Bに相当する)に、銅(Cu)から成る金属層17が形成されている。尚、このような入れ子15は、実質的には、実施例2と同様にして作製することができる。
【0124】(比較例3)比較例3においては、実施例4の金型組立体を用いた。但し、入れ子15の表面に薄層を形成しなかった。そして、入れ子15を入れ子装着用中子10Aに接着剤で接着し、入れ子装着用中子10Aを第1の金型部10に設けられた中子装着部に固定した。尚、第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ子15と対向した第2の金型部11の対向面(第2の金型部11のキャビティ面)と、第2の金型部11の対向面と対向した入れ子15の部分(入れ子15の対向面15B)との間のクリアランスC11が0.01mmとなるように、入れ子15を設計、作製した。そして、実施例4と同じ条件で成形を行った。成形の結果、成形品は非常に綺麗な外観を有していたが、連続して成形を20ショット行ったところ、不均一な熱膨張の影響で入れ子15の対向面15Bの部分が急に第2の金型部11の対向面(パーティング面PL2)と接触し、その部分に割れが発生した。
【0125】(実施例5)図7の(A)に模式的な端面図を示す実施例5の金型組立体も、本発明の金型組立体等の第1の構成に関する。実施例5の金型組立体が実施例1の金型組立体と相違する点は、金型組立体に加圧流体注入装置18を備えた点にある。この加圧流体注入装置18は周知の加圧流体注入ノズルから成り、キャビティ14に開口するように第2の金型部11に配設されている。加圧流体注入装置18は、図示しない配管を介して加圧流体源(図示せず)に接続されている。
【0126】実施例5の金型組立体を構成する要素は、基本的には、実施例1の金型組立体を構成する要素と同じであるので詳細な説明は省略する。尚、第2の金型部11に、94mm×94mm×3mm(深さ)の凹部を形成し、かかる凹部によってもキャビティ14が構成される構造とした。凹部の底部(図7においては上部)に、溶融熱可塑性樹脂導入部13及び加圧流体注入装置18が配設されている。そして、実施例1と同じ熱可塑性樹脂を用い、実施例1と同様の成形条件で成形を行った。尚、実施例5においては、キャビティ14内を完全に満たすだけの溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部13からキャビティ14内に導入(射出)した後、直ちに、加圧流体注入装置18から加圧流体である窒素ガス(圧力:7×106Pa,70kgf/cm2−G)をキャビティ14内の溶融熱可塑性樹脂の内部に注入し、キャビティ14内の樹脂内部に中空部を形成した。この状態を図7の(B)に模式的に示す。キャビティ14内の樹脂が冷却、固化するまで、中空部を加圧流体で加圧した。キャビティ14内の樹脂が冷却、固化した後、中空部内の加圧流体を加圧流体注入装置18を介して大気に解放した。そして、金型組立体の型開きを行い、成形品を金型組立体から取り出した。
【0127】成形品の表面にはガラス繊維の析出もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、成形品には、フローマーク及びジェッティング等の成形不良も認められず、成形品の内部には所望の中空部が形成されていた。しかも、成形品にヒケが発生することを確実に防止でき、更には、入れ子と接触する溶融熱可塑性樹脂の冷却・固化が遅延されるので、入れ子15のキャビティ面15Aの近傍の固化し始めた樹脂の部分と内部の樹脂とが相互に混じり合うといった現象の発生を回避することができ、肉厚部近傍の成形品表面に色ムラや外観不良が発生することを防止できた。
【0128】連続して成形を10000回行ったが、入れ子15に割れ等の損傷は発生せず、活性金属膜及び金属層にも損傷は発生しなかった。
【0129】尚、入れ子本体115を例えば部分安定化された導電性ジルコニアセラミックスから構成し、入れ子15の対向面15Bに対応する入れ子本体115の薄層形成面(場合によっては、入れ子本体115のキャビティ構成面及び薄層形成面、あるいは又、入れ子本体115の全面)に、実施例2と同様に金属層を形成してもよい。
【0130】(実施例6)図8の(A)に模式的な端面図を示す実施例6の金型組立体も、本発明の金型組立体等の第1の構成に関する。実施例6の金型組立体において、入れ子15は第1の金型部(可動金型部)10に配設され、第2の金型部(固定金型部)11には、第2の金型部11の対向面に相当する入れ子被覆部11Aが設けられている。そして、第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした状態において、入れ子被覆部11Aと、入れ子被覆部11Aと対向した入れ子15の部分(入れ子15の対向面15B)との間のクリアランスC11は、0.03mm以下(C11≦0.03mm)であり、且つ、入れ子15に対する入れ子被覆部11Aの重なり量ΔS11は0.5mm以上(ΔS11≧0.5mm)である。尚、実施例6において、入れ子被覆部11Aは、入れ子15の対向面15Bと対向する第2の金型部11のパーティング面PL2に設けられた一種の切り込み(切り欠き)である。溶融熱可塑性樹脂導入部13の構造をダイレクトゲート構造とした。実施例6の金型組立体を型締めしたときの模式的な端面図を図8の(A)に示し、型開きしたときの模式的な端面図を図9の(A)に示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図を、図8の(B)及び(C)に示す。
【0131】実施例6の金型組立体におけるキャビティ14の大きさは、100mm×100mm×4mmであり、形状は直方体である。入れ子15の大きさは、102.00mm×102.00mm×3.00mmである。即ち、部分安定化ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体115の厚さを2.98mmとした。尚、入れ子本体115を研削加工にて作製し、入れ子本体115のキャビティ構成面に対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、かかるキャビティ構成面の表面粗さRyを0.02μmとした。次いで、実施例1と同様の方法で、入れ子本体115の表面(具体的には、入れ子本体115のキャビティ構成面及び薄層形成面)に、活性金属膜及び金属層(薄層16)を形成した。尚、実施例2と同様に、導電性ジルコニアセラミックスを使用し、入れ子本体115の例えばキャビティ構成面及び薄層形成面に、電解メッキ法にて金属層を形成してもよい。
【0132】第1の金型部(可動金型部)10を炭素鋼S55Cから作製した。入れ子15のための入れ子装着部10Bの内寸法が102.20mm×102.20mm、深さが3.02mmとなるように切削加工して、入れ子装着部10Bを設け(図8の(B)参照)、次いで、入れ子15をシリコン系接着剤(図示せず)を用いて入れ子装着部10B内に接着した(図8の(C)参照)。そして、実施例1と同様に、金属層の表面を切削加工して、入れ子15の対向面15Bと入れ子被覆部11Aとの間のクリアランスを調整した。
【0133】一方、第2の金型部(固定金型部)11を炭素鋼S55Cから作製した。第2の金型部(固定金型部)11の中央に直径5mmのダイレクトゲート構造を有する溶融熱可塑性樹脂導入部13を設けた。
【0134】このように作製した第1の金型部(可動金型部)10及び第2の金型部(固定金型部)11を組み付けて実施例6の金型組立体を得た。この金型組立体において、入れ子15の対向面15Bと入れ子被覆部11Aとの間のクリアランス(C11)は、0.02mm(C11=0.02mm)であった。また、入れ子15に対する入れ子被覆部11Aの重なり量(ΔS11)は1.0mm(ΔS11=1.0mm)であった。このような構造にすることで、入れ子15の対向面15Bは、第2の金型部11及びキャビティ14内に導入された溶融熱可塑性樹脂と接触しなくなる。
【0135】完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、部分安定化ジルコニアセラミックスから作製された入れ子15に割れ等の損傷は発生しなかった。また、薄層16に損傷が発生することも無かった。
【0136】実施例1と同じ成形装置、熱可塑性樹脂を用い、実施例1と同じ成形条件にて成形を行った。キャビティ14内へ溶融熱可塑性樹脂を導入(射出)した状態を図9の(B)に模式的な端面図にて示す。入れ子15のキャビティ面15Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。連続して成形を10000回行ったが、入れ子15や活性金属膜、金属層に損傷は発生しなかった。
【0137】(実施例7)図10の(A)に模式的な一部端面図を示す実施例7の金型組立体は、本発明の金型組立体等の第2の構成に関する。実施例7の金型組立体には、第1の金型部(固定金型部)10に配設され、キャビティ14の一部を構成し、入れ子15の端面を被覆する被覆プレート12が更に備えられている。入れ子15は第1の金型部10に配設されている。第1の金型部(固定金型部)10と第2の金型部(可動金型部)11とを型締めした状態において、入れ子15と被覆プレート12との間のクリアランスC21は0.03mm以下(C21≦0.03mm)であり、且つ、入れ子15に対する被覆プレート12の重なり量ΔS21は0.5mm以上(ΔS21≧0.5mm)である。尚、図10の(A)に示した金型組立体の組み立て中の模式的な端面図を、図10の(B)及び(C)に示す。
【0138】入れ子15を、実質的に、実施例1と同様の方法で作製した。即ち、部分安定化ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体115のキャビティ構成面及び薄層形成面に薄層(活性金属膜及び金属層)16を形成した。また、第1の金型部(固定金型部)10を炭素鋼S55Cから作製した。炭素鋼S55Cを切削加工して、入れ子装着部10Bを設けた。次いで、入れ子15を、2液硬化型エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて、入れ子装着部10B内に接着した(図10の(B)参照)。一方、第2の金型部(可動金型部)11を炭素鋼S55Cから作製した。
【0139】炭素鋼S55Cから被覆プレート12を作製した。被覆プレート12を切削加工した後、第1の金型部10にビス(図示せず)を用いて固定した(図10の(C)参照)。被覆プレート12はキャビティ14の一部を構成し、しかも、被覆プレート12は入れ子15の全周囲を覆っている。被覆プレート12には、サイドゲート構造の溶融熱可塑性樹脂導入部13が設けられている。尚、図10の(C)には溶融熱可塑性樹脂導入部13の図示を省略した。入れ子15と被覆プレート12との間のクリアランス(C21)が0.03mm以下となるように、また、入れ子15に対する被覆プレート12の重なり量(ΔS21)が0.5mm以上となるように、被覆プレート12及び入れ子15の対向面15Bにおける金属層を切削加工した。
【0140】あるいは又、金型組立体の模式的な一部端面図を図11の(A)に示すように、成形すべき成形品の形状に依り、曲面を有する入れ子15を用いることもできる。この場合には、第1の金型部10を炭素鋼S55Cから作製し、入れ子装着部10Bの切削加工を行い、第1の金型部10に設けられた入れ子装着部10Bの底部の曲率半径を、入れ子装着部と対向する入れ子15の裏面(キャビティ面と反対の面)の曲率半径に合わせることが好ましい。被覆プレート12は炭素鋼S55Cから作製することができる。被覆プレート12の入れ子15に対向する面の曲率半径を入れ子15のキャビティ面15Aの曲率半径と一致させることが好ましい。被覆プレート12及び入れ子15の対向面15Bを切削加工した後、第1の金型部10に固定すればよい。また、第2の金型部11は炭素鋼S55Cから作製すればよい。あるいは又、図11の(B)に模式的な一部端面図を示すように、入れ子15を装着する第1の金型部10の部分を、第1の金型部10に装着された入れ子装着用中子10Aから構成することもできる。この場合、入れ子装着用中子10Aに入れ子装着部を設ける。
【0141】更には、被覆プレート12にサイドゲート構造の溶融熱可塑性樹脂導入部13を設ける代わりに、図12に示すように、被覆プレート12には溶融熱可塑性樹脂導入部を設けずに、第2の金型部11の中央にダイレクトゲート構造を有する溶融熱可塑性樹脂導入部13を設けてもよい。
【0142】実施例7の金型組立体を用いた成形品の成形方法は、実質的には実施例1にて説明した成形品の成形方法と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0143】尚、実施例2と同様に、部分安定化された導電性ジルコニアセラミックスを使用し、入れ子本体115の例えばキャビティ構成面及び薄層形成面に、電解メッキ法にて金属層を形成してもよい。また、実施例7の金型組立体を、実施例4にて説明した金型組立体と同様に、キャビティの容積を可変とし得る構造としてもよい。更には、実施例7の金型組立体に実施例5と同様に加圧流体注入装置18を配設してもよい。
【0144】(実施例8)実施例8の金型組立体は、本発明の金型組立体等の第3の構成に関する。実施例8の金型組立体を型締めしたときの模式的な端面図を図13の(A)及び(B)に示し、型開きしたときの模式的な端面図を図15に示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図を、図14の(A)、(B)及び(C)に示す。尚、図13の(A)、図14の(A)〜(C)及び図15は、垂直面で被覆プレートを含む金型組立体の領域を切断したときの図であり、図13の(B)はかかる垂直面と平行な垂直面で被覆プレートを含まない金型組立体の領域を切断したときの図である。
【0145】実施例8の金型組立体においては、入れ子25と第2の金型部(可動金型部)21との間に配設され、第1の金型部(固定金型部)20に取り付けられ、溶融熱可塑性樹脂導入部23が設けられた被覆プレート22を更に備え、第2の金型部21には入れ子被覆部21Aが設けられており、第1の金型部20と第2の金型部21とを型締めした状態において、入れ子25と対向した第2の金型部11の対向面である入れ子被覆部21Aと、入れ子被覆部21Aと対向した入れ子25の部分(入れ子25の対向面25B)との間のクリアランスC31は0.03mm以下(C31≦0.03mm)であり、入れ子25に対する入れ子被覆部21Aの重なり量ΔS31は0.5mm以上(ΔS31≧0.5mm)であり、入れ子25と被覆プレート22との間のクリアランスC32は0.03mm以下(C32≦0.03mm)であり、入れ子25に対する被覆プレート22の重なり量ΔS32は0.5mm以上(ΔS32≧0.5mm)である。図13の(A)及び(B)に示すように、被覆プレート22は入れ子25の一部分と一部分とのみ重なり合っている。実施例8の金型組立体における溶融熱可塑性樹脂導入部23はサイドゲート構造である。尚、入れ子被覆部21Aは、入れ子25の対向面25Bと対向する第2の金型部21のパーティング面に設けられた一種の切り込み(切り欠き)である。
【0146】実施例8の金型組立体におけるキャビティ24の大きさは、100mm×100mm×4mmであり、形状は直方体である。入れ子25の大きさは、102.00mm×102.00mm×3.00mmである。尚、部分安定化ジルコニアセラミックスあるいは部分安定化された導電性ジルコニアセラミックスから成る入れ子本体125を研削加工にて作製し、入れ子本体125のキャビティ構成面に対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、キャビティ構成面の表面粗さRyを0.02μmとした。次いで、入れ子25を、実質的に、実施例2と同様にして作製した。尚、部分安定化ジルコニアセラミックスを使用し、入れ子25を、実質的に、実施例1と同様にして作製してもよい。入れ子本体215に形成された活性金属膜及び金属層、あるいは金属層を、以下、総称して薄層26と呼ぶ。
【0147】第1の金型部(固定金型部)20を炭素鋼S55Cから作製した。入れ子25のための入れ子装着部20Bの内寸法が102.20mm×102.20mm、深さが3.02mmとなるように切削加工して、入れ子装着部20Bを設け(図14の(A)参照)、次いで、入れ子25をシリコン系接着剤(図示せず)を用いて入れ子装着部20B内に接着した(図14の(B)参照)。そして、入れ子25の対向面25Bにおける薄層26の表面(具体的には、金属層の表面)を切削した。
【0148】炭素鋼にて被覆プレート22を作製し、所定位置にボルト(図示せず)にて第1の金型部20に取り付けた(図14の(C)参照)。尚、被覆プレート22には溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)23が設けられている。被覆プレート22の入れ子と対向する面22Aと、入れ子25の対向面25Bとの間のクリアランス(C32)は0.02mm(C32=0.02mm)であり、入れ子25に対する被覆プレート22の重なり量(ΔS32)は1.0mm(ΔS32=1.0mm)であった。
【0149】一方、第2の金型部(可動金型部)21を炭素鋼S55Cから作製した。
【0150】このように作製した第1の金型部(固定金型部)20及び第2の金型部(可動金型部)21を組み付けて実施例8の金型組立体を得た。この金型組立体において、入れ子25の対向面25Bと入れ子被覆部21Aとの間のクリアランス(C31)は0.02mm(C31=0.02mm)であった。また、入れ子25に対する入れ子被覆部21Aの重なり量(ΔS31)は1.0mm(ΔS31=1.0mm)であった。以上のとおり、入れ子25の対向面25Bとキャビティ24に導入された溶融熱可塑性樹脂との間には接触がない構造とした。
【0151】完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、入れ子25に割れ等の損傷は発生しなかった。
【0152】実施例1と同じ成形装置、熱可塑性樹脂を用い、実施例1と同じ成形条件にて成形を行った。入れ子25のキャビティ面25Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。連続して成形を10000回行ったが、入れ子25や薄層(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層)26に損傷は発生しなかった。
【0153】(実施例9)実施例9は、本発明の金型組立体等の第4の構成に関する。実施例9の金型組立体の模式的な端面図を、図16に示す。また、組み立て中の金型組立体の模式的な端面図を、図17〜図19に示す。尚、図16の(A)、図17の(A),(C)、図18の(A),(C)及び図19の(A)、(B)は、垂直面で被覆プレートを含む金型組立体の領域を切断したときの図であり、図16の(B)、図17の(B),(D)、及び図18の(B),(D)は、かかる垂直面と平行な垂直面で被覆プレートを含まない金型組立体の領域を切断したときの図である。
【0154】実施例9の金型組立体においては、入れ子が第1及び第2の金型部の両方に配置されている。即ち、第1の金型部(固定金型部)30に第1の入れ子35が配置されており、第2の金型部(可動金型部)40に第2の入れ子45が配置されている。また、溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)39が設けられた被覆プレート33,43が、第1の入れ子35と第2の入れ子45との間に配設され、第1の金型部30及び第2の金型部40に取り付けられている。そして、第1の金型部30と第2の金型部40とを型締めした状態において、第2の入れ子45と対向した第1の入れ子35の部分(第1の入れ子の対向面)と、第1の入れ子35と対向する第2の入れ子45の部分(第2の入れ子の対向面)との間のクリアランスC41は0.03mm(C41≦0.03mm)以下であり、第1の入れ子35の対向面と第2の入れ子45の対向面との重なり量ΔS41は0.5mm以上(ΔS41≧0.5mm)であり、第1の入れ子35と被覆プレート33との間のクリアランスC42、及び、第2の入れ子45と被覆プレート43との間のクリアランスC43は0.03mm以下(C42,C43≦0.03mm)であり、第1の入れ子35に対する被覆プレート33の重なり量ΔS42、及び、第2の入れ子45に対する被覆プレート43の重なり量ΔS43は0.5mm以上(ΔS42,ΔS43≧0.5mm)であり、被覆プレート33,43は第1及び第2の入れ子35,45の一部分とのみ重なり合っている。
【0155】実施例9の金型組立体におけるキャビティ38の大きさは100mm×100mm×3mmであり、形状は直方体である。実施例9においては、第1の入れ子35を構成する第1の入れ子本体135の厚さを3.00mmとし、第2の入れ子45を構成する第2の入れ子本体145の厚さを2.00mmとし、これらの入れ子を、実施例2と同様の部分安定化された導電性ジルコニアセラミックスから作製した。第1の入れ子本体135の大きさは、102.00mm×102.00mm×3.00mmである。研削加工にて作製された第1の入れ子本体135のキャビティ構成面に対してダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、キャビティ構成面の表面粗さRyを0.02μmとした。次いで、実施例2と同様の方法で、第1の入れ子本体135のキャビティ構成面及び薄層形成面に金属層37を形成した。尚、部分安定化ジルコニアセラミックスを用い、実施例1と同様の方法で、少なくとも第1の入れ子本体135の薄層形成面に、活性金属膜及び金属層を形成してもよい。
【0156】第1の金型部(固定金型部)30を炭素鋼S55Cから作製した。第1の入れ子35のための入れ子装着部31の内寸法が、102.20mm×102.20mm、深さが3.02mmとなるように切削加工を行い、第1の金型部30に入れ子装着部31を設けた(図17の(C)及び(D)参照)。尚、参照番号32は、第1の被覆プレート取付部である。次いで、第1の入れ子35を、シリコン系接着剤(図示せず)を用いて、入れ子装着部31内に接着した(図18の(C)及び(D)参照)。そして、第1の入れ子35の対向面35Bを構成する金属層37の切削加工を行った。
【0157】部分安定化された導電性ジルコニアをキャビティ面が凹形状になるようにプレス成形後、焼成することによって、第2の入れ子45を構成する第2の入れ子本体145を作製した。この第2の入れ子本体145には凹部が設けられている。第2の入れ子本体145の外形寸法は106.00mm×106.00mmである。また、凹部の寸法は100.00mm×100.00mmであり、凹部の底面45Bの厚さは2.00mmであり、底面からの立ち上がり部45Cの厚さ(高さ)は5.00mmである。従って、キャビティ38を形成する部分の高さ(厚さ)は3.00mmである。凹部の底面45B及び立ち上がり部45Cの内側面45A(これらの面はキャビティ構成面である)に対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行ない、これらのキャビティ構成面の表面粗さRyを0.02μmとした。更には、第2の入れ子本体145の凹部の底面45Bと立ち上がり部45Cの境界部を、半径0.1mmの曲面とした。尚、第2の金型部40に第2の被覆プレート43を取り付けるために、第2の入れ子45の立ち上がり部45Cの一部は除去された形状となっている(図18の(A)及び(B)参照)。次いで、実施例2と同様の方法で、第2の入れ子本体145のキャビティ構成面及び薄層形成面に、金属層47を形成した。尚、実施例1と同様の方法で、部分安定化ジルコニアセラミックスを用い、第2の入れ子本体145の少なくとも薄層形成面に、活性金属膜及び金属層を形成してもよい。
【0158】第2の金型部(可動金型部)40を炭素鋼S55Cから作製した。そして、第2の入れ子45のための入れ子装着部41の内寸法が、106.20mm×106.20mm、深さが5.02mmとなるように切削加工を行い、第2の金型部40に入れ子装着部41を設けた(図17の(A)及び(B)参照)。尚、参照番号42は、第2の被覆プレート取付部である。次いで、第2の入れ子45を、シリコン系接着剤(図示せず)を用いて、入れ子装着部41内に接着した(図18の(A)及び(B)参照)。そして、第2の入れ子45の対向面45Dを構成する金属層47の切削加工を行った。
【0159】炭素鋼にて第1の被覆プレート33を作製し、所定位置にボルト(図示せず)にて第1の金型部30に固定した(図19の(B)参照)。尚、第1の被覆プレート33には、溶融熱可塑性樹脂導入部の一部39Aが形成されている。また、炭素鋼にて第2の被覆プレート43を作製し、所定位置にボルト(図示せず)にて第2の金型部40に固定した(図19の(A)参照)。尚、第2の被覆プレート43には、溶融熱可塑性樹脂導入部の一部39Bが形成されている。第1の金型部と第2の金型部とを型締めした状態において、第1の被覆プレート33及び第2の被覆プレート43によって、溶融熱可塑性樹脂導入部39が構成される。
【0160】このように作製した第1の金型部(固定金型部)30と第2の金型部(可動金型部)40を組み付けて実施例9の金型組立体を得た。この金型組立体において、第1の金型部30と第2の金型部40とを型締めした状態で、第2の入れ子45と対向した第1の入れ子35の部分(第1の入れ子35の対向面35B)と、第1の入れ子35と対向した第2の入れ子45の部分(第2の入れ子45の対向面45D)との間のクリアランス(C41)は0.01mmであった。また、第1の入れ子と対向する第1の被覆プレート33の面34と、第1の入れ子35との間のクリアランス(C42)、第2の入れ子と対向する第2の被覆プレート43の面44と、第2の入れ子45との間のクリアランス(C43)は、それぞれ0.01mmであった。更には、第1の入れ子35の対向面35Bと、第2の入れ子45の対向面45Dとの重なり量(ΔS41)は1.0mmであり、第1の入れ子35に対する第1の被覆プレート33の重なり量(ΔS42)は1.0mmであった。一方、第2の入れ子45に対する第2の被覆プレート43の重なり量(ΔS43)は3.0mmであった。尚、第1及び第2の被覆プレート33,43は第1及び第2の入れ子35,45の一部分とのみ重なり合っている。
【0161】完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、第1及び第2の入れ子35,45に割れ等の損傷は発生せず、また、金属層37,47にも損傷は発生しなかった。
【0162】実施例1と同じ成形装置、熱可塑性樹脂を用い、実施例1と同じ成形条件にて成形を行った。入れ子35,45のキャビティ面35A,45Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。連続して成形を10000回行ったが、入れ子35,45や、金属層37,47に損傷は発生しなかった。
【0163】尚、実施例9においては、溶融熱可塑性樹脂導入部(ゲート部)39が設けられた被覆プレート33,43を、第1及び第2の金型部30,40に取り付けた構造としたが、被覆プレートを第1の金型部30若しくは第2の金型部40のいずれか一方に取り付ける構造とすることもできる。
【0164】(実施例10)実施例10における金型組立体は、実施例8の金型組立体の変形である。図20の(A)に模式的な端面図を示すように、実施例10の金型組立体においては、成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造を有する。実施例10においては、例えば油圧シリンダー(図示せず)で可動させることができる中子27を金型組立体のキャビティ24内に配設する。そして、成形品の成形においては、型締め時、成形すべき成形品の容積(VM)よりもキャビティ24の容積(VC)が大きくなるように、第1の金型部20と第2の金型部21とを型締めし、且つ、キャビティ内における中子27の配置位置を制御する。そして、キャビティ(容積:VC)24内に溶融した熱可塑性樹脂を導入し、熱可塑性樹脂の導入開始前、開始と同時に、導入中に、あるいは導入完了後(導入完了と同時を含む)、図示しない油圧シリンダーの作動によって中子27を移動させて、キャビティ24の容積を成形すべき成形品の容積(VM)まで減少させる。この状態を図20の(B)に模式的に示す。このように、成形品の成形時、キャビティ24の容積を可変とし得る構造を有する金型組立体を用いれば、成形品の表面を均一に圧縮することが可能となることから、成形品の表面にヒケが発生することを抑制することができる。
【0165】実施例1と同じ成形装置、熱可塑性樹脂を用い、実施例1と同じ成形条件にて成形を行った。入れ子25のキャビティ面25Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。連続して成形を10000回行ったが、実施例1あるいは実施例2と実質的に同じ方法で作製された入れ子25や、薄層(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層)26に損傷は発生しなかった。
【0166】(実施例11)実施例11における金型組立体も、実施例8の金型組立体の変形である。図21の(A)に模式的な端面図を示すように、実施例11の金型組立体においては、加圧流体注入装置28が更に備えられている。尚、図21の(A)に示す例においては、加圧流体注入装置28の取り付け位置は、金型部に配設されそしてキャビティに開口する加圧流体注入装置取付部とした。そして、キャビティ24内に導入された溶融熱可塑性樹脂内に、加圧流体注入装置28から加圧流体を注入し、以て、キャビティ24内の熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成する。尚、キャビティ24内への溶融熱可塑性樹脂の導入完了時の状態を図21の(B)に模式的に示し、溶融熱可塑性樹脂内への加圧流体の注入完了の状態を図22に模式的に示す。このように、キャビティ24内の溶融熱可塑性樹脂中に加圧流体を注入すれば、キャビティ24内の樹脂は金型部のキャビティ面及び入れ子25のキャビティ面25Aに向かって加圧される結果、成形品にヒケが発生することを確実に防止し得る。しかも、入れ子25と接触する溶融熱可塑性樹脂の冷却・固化が遅延されるので、入れ子25のキャビティ面25Aの近傍の固化し始めた樹脂の部分と内部の樹脂とが相互に混じり合うといった現象の発生を回避することができ、肉厚部近傍の成形品表面に色ムラや外観不良が発生することを防止し得る。
【0167】実施例1と同じ成形装置、熱可塑性樹脂を用い、実施例1と同じ成形条件にて成形を行った。入れ子25のキャビティ面25Aと接していた成形品の表面にはガラス繊維の析出(浮き)もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、フローマーク及びジェッティング等の成形不良もなかった。また、成形品の内部には所望の中空部が確実に形成されていた。連続して成形を10000回行ったが、実施例1あるいは実施例2と実質的に同じ方法で作製された入れ子25や、薄層(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層)26に損傷は発生しなかった。
【0168】(実施例12)実施例12は、成形品に穴を形成するために、第1の金型部及び/又は第2の金型部に取り付けられ、キャビティ内を占める部分がキャビティの一部を構成するコアピンを更に備えている金型組立体に関する。以下、種々のコアピンの形態を図面を参照して説明する。
【0169】図23の(A)及び(B)に模式的な一部断面図を示す金型組立体においては、コアピン101は、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、第2の金型部11に公知の方法で取り付けられている。図23の(A)に示す構造においては、コアピン101の先端面103と入れ子15のキャビティ面15Aとの間のクリアランスは十分大きい。これによって、成形品に非貫通穴を形成することができる。尚、コアピン101の表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。一方、図23の(B)におけるコアピン101の先端面は対向面102に相当し、先端面(対向面102)と入れ子15のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は0.03mm以下(Cc1≦0.03mm)、好ましくは0.001mm乃至0.03mm(0.001mm≦Cc1≦0.03mm)、より好ましくは0.003mm乃至0.03mm(0.003mm≦Cc1≦0.03mm)であることが望ましい。尚、コアピン101の表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。ここで、薄層16Aは、少なくとも対向面102に形成されていればよい。これによって、対向面102と入れ子15のキャビティ面15Aとの間に溶融熱可塑性樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を形成することができる。尚、図23の(A)及び(B)に示した構造においては、集中応力によるコアピンの対向面102あるいは先端面103の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、薄層を形成する前のコアピンの対向面102あるいは先端面103の外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面処理(コーナー部を45度の角度に面取りする処理)を行うことが好ましい。
【0170】あるいは又、図24の(A)に模式的な一部断面図を示すように、入れ子15には貫通孔が設けられており、金型組立体の型締め時、コアピン101の先端部104は貫通孔内へ延びる。この場合、コアピンの先端部104と入れ子15に設けられた貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上であることが好ましい。クリアランス(Cc2)が0.1mm未満の場合、熱による膨張・収縮でコアピンと入れ子が接触して、入れ子やコアピンが破損する虞がある。また、コアピン101のキャビティ14内を占める部分には段差が付けられ、入れ子15のキャビティ面15Aと対向する対向面102が設けられている。入れ子15のキャビティ面15Aと対向する対向面102との間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。このような構造にすることで、対向面102と入れ子のキャビティ面15Aとの間に溶融熱可塑性樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を正確な位置へ確実に形成することができ、しかも、コアピンの先端部104や入れ子15の損傷発生を防止することができる。尚、コアピン101の表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。ここで、薄層16Aは、少なくとも先端部104及び対向面102に形成されていればよい。
【0171】あるいは又、図24の(B)及び図25の(A)に模式的な一部断面図を示すように、コアピン111は、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、入れ子15には貫通孔が設けられており、コアピン111は、この貫通孔を通して公知の方法で第1の金型部10に取り付けられている。コアピン111の表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。これらの場合、キャビティ14内を占めるコアピン111の部分は、入れ子15のキャビティ面15Aと対向する対向面112を有し、対向面112と入れ子15のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。また、コアピン111と入れ子15に設けられた貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上であることが好ましい。
【0172】図24の(B)に示す構造においては、コアピン111の先端面113と第2の金型部11のキャビティ面11Bとの間のクリアランスは十分大きい。これによって、成形品に非貫通穴を形成することができる。一方、図25の(A)におけるコアピン111の先端面113と第2の金型部11のキャビティ面11Bとの間のクリアランス(Cc3)は、キャビティ面11Bが金属から構成されている場合、0mmとすることができる。第2の金型部11に入れ子(図示せず)を配設する場合には、かかる入れ子のキャビティ面とコアピン111の先端面113との間のクリアランス(Cc3)は0.03mm以下(Cc3≦0.03mm)、好ましくは0.001mm乃至0.03mm(0.001mm≦Cc3≦0.03mm)、より好ましくは0.003mm乃至0.03mm(0.003mm≦Cc3≦0.03mm)であることが望ましい。これによって、コアピン111の先端面113と第2の金型部11のキャビティ面(入れ子のキャビティ面)との間に溶融熱可塑性樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を形成することができる。尚、図24の(A)、(B)、図25の(A)、(B)に示した構造においては、集中応力によるコアピンの破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、薄層を形成する前のコアピンの先端面112,113の外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0173】図25の(B)に模式的な一部断面図を示す例においては、入れ子15には貫通孔が設けられており、コアピン111は貫通孔を通して第1の金型部10に公知の方法で取り付けられている。第2の金型部11には孔部11Cが設けられており、金型組立体の型締め時、コアピン111の先端部114は孔部11C内へ延びる。コアピン111の表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。コアピン111の先端部114と孔部11Cとの間のクリアランス(Cc4)は0.01乃至0.03mmであることが好ましい。このような構造にすることで、成形品に貫通穴を確実に形成することができる。
【0174】図26の(A)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピンは、第2の金型部11に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部120と、コアピン取付部120に取り付けられ、一端が閉塞しそして他端が開口した環状部材121とから成る。環状部材121はキャップ状である。環状部材121は、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、その表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。環状部材121は、キャビティ14内を占めるコアピンの部分の表面を構成する。コアピン取付部120は、環状部材121の他端から環状部材の内部に延在している。環状部材121の肉厚(断面形状が環状の場合、外径と内径の差の1/2)は、0.5乃至4mmとすることが好ましい。コアピン取付部120は金属から作製すればよい。図26の(A)に示す構造においては、環状部材121の先端面123と入れ子のキャビティ面15Aとの間のクリアランスは十分大きい。これによって、成形品に非貫通穴を形成することができる。図26の(B)に模式的な一部断面図を示す例においては、環状部材121の対向面122に相当する先端面と入れ子15のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。これによって、環状部材121の対向面122に相当する先端面と入れ子のキャビティ面15Aとの間に溶融熱可塑性樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を形成することができる。図26の(B)に示す例においては、薄層16Aは少なくとも環状部材121の対向面122に相当する先端面に形成されていればよい。尚、図26の(A)及び(B)に示した構造においては、集中応力による環状部材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、薄層を形成する前の環状部材121の外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0175】図27の(A)及び(B)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピンは、第1の金型部10に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部130と、コアピン取付部130に取り付けられ、一端が開口しそして他端が閉塞した環状部材131とから成る。環状部材131はキャップ状である。環状部材131は、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、その表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。環状部材131は、キャビティ14内を占めるコアピンの部分の表面を構成する。環状部材131の一端を構成する面は対向面132に相当し、コアピン取付部130は、入れ子15に設けられた貫通孔を貫通し、そして環状部材131の一端から環状部材の内部に延在している。環状部材131の肉厚(断面形状が環状の場合、外径と内径の差の1/2)は、0.5乃至4mmとすることが好ましい。コアピン取付部130は金属から作製すればよい。尚、コアピン取付部130と、入れ子15に設けられた貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上であることが好ましい。クリアランス(Cc2)が0.1mm未満の場合、熱による膨張・収縮でコアピンと入れ子が接触して、入れ子やコアピンが破損する虞がある。
【0176】図27の(A)に示す構造においては、環状部材131の先端面133と第2の金型部11のキャビティ面11Bとの間のクリアランスは十分大きい。これによって、成形品に非貫通穴を形成することができる。この場合、薄層16Aは、少なくとも環状部材131の一端を構成する対向面132に形成されていればよい。一方、図27の(B)における環状部材の他端の面(先端面)133と第2の金型部11のキャビティ面11Bとの間のクリアランス(Cc3)は、キャビティ面11Bが金属から構成されている場合、0mmとすることができる。第2の金型部11に入れ子(図示せず)を配設する場合には、かかる入れ子のキャビティ面と環状部材の他端の面(先端面)133との間のクリアランス(Cc3)は前述したとおりとすることが望ましい。これによって、環状部材の他端の面(先端面)133と第2の金型部11のキャビティ面11Bとの間に溶融熱可塑性樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を形成することができる。この場合、薄層16Aは、少なくとも環状部材131の一端を構成する対向面132、及び、環状部材の他端の面(先端面)133に形成されていればよい。尚、環状部材131の対向面132と入れ子のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。図27の(A)及び(B)に示した構造においては、集中応力による環状部材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、薄層を形成する前の環状部材131の外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0177】図28の(A)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピンは、第2の金型部11に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部120Aと、コアピン取付部120Aに取り付けられ、両端が開口した環状部材121Aとから成る。環状部材121Aはリング状である。環状部材121Aは、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、その表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。尚、薄層16Aは、少なくとも対向面122Aに形成されていればよい。環状部材121Aは、キャビティ14内を占めるコアピンの部分の表面を構成する。環状部材121Aの一端を構成する面は対向面122Aに相当し、コアピン取付部120Aは、環状部材121Aの他端から環状部材121Aの内部に延在している。この例においては、コアピン取付部120Aの先端面123Aは、対向面122Aの占める平面内に位置する。環状部材121Aの肉厚(断面形状が環状の場合、外径と内径の差の1/2)は、0.5乃至4mmとすることが好ましい。コアピン取付部120Aは金属から作製すればよい。尚、図28の(A)における環状部材121Aの一端の面(対向面)122Aと入れ子のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。これによって、環状部材121Aの一端の面(対向面)122Aと入れ子のキャビティ面15Aとの間に溶融熱可塑性樹脂が侵入することなく、成形品に貫通穴を形成することができる。
【0178】図28の(B)に模式的な一部断面図を示す例においては、入れ子15には貫通孔が設けられており、金型組立体の型締め時、コアピン取付部120Aの先端部124Aは環状部材121Aの一端から貫通孔内へと延びる。コアピン取付部120Aの先端部124Aと貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上である。このような構造とすることで、成形品に確実に貫通穴を形成することができる。
【0179】図29の(A)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピン取付部120Aの先端部125Aは環状部材121の内部に止まる。入れ子15には貫通孔が設けられており、第1の金型部10には貫通孔から突出した突出部10Cが設けられている。そして、突出部10Cと貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上である。金型組立体の型締め時、突出部10Cは環状部材121Aの内部に嵌合する。より具体的には、金型組立体の型締め時、突出部10Cはコアピン取付部120Aの先端部125Aと嵌合する。このような構造とすることでも、成形品に確実に貫通穴を形成することができる。また、嵌合精度を高めることができる。尚、コアピン取付部120Aの先端部125A及び突出部10Cの先端面は平滑であってもよい。金型組立体の型締め時、突出部10Cの先端部側壁と環状部材121Aの内側表面とが接触しないように、突出部10Cの先端部側壁と環状部材121Aの内側表面との間のクリアランスは0.1mm以上あることが好ましい。
【0180】図28の(A)及び(B)並びに図29の(A)に示した構造においては、集中応力による環状部材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、薄層を形成する前の環状部材121Aの外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0181】図29の(B)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピンは、第1の金型部10に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部130Aと、コアピン取付部130Aに取り付けられ、両端が開口した環状部材131Aとから成る。環状部材131Aはリング状である。環状部材131Aは、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、その表面には、薄層16A(活性金属膜及び金属層、あるいは、金属層から成る)が形成されている。尚、薄層16Aは、少なくとも対向面132A、及び、第2の金型部11と対向する面136Aに形成されていればよい。環状部材131Aは、キャビティ14内を占めるコアピンの部分の表面を構成する。環状部材131Aの一端を構成する面は対向面132Aに相当し、入れ子15には貫通孔が設けられており、コアピン取付部130Aは、貫通孔を貫通し、そして環状部材131Aの一端から環状部材の内部に延在している。この場合、コアピン取付部130Aと貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上であることが好ましい。尚、環状部材131Aの対向面132Aに相当する面と入れ子のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。更には、環状部材131Aの他端を構成する面136Aと第2の金型部11のキャビティ面11Bとの間のクリアランス(Cc3)は、キャビティ面11Bが金属から構成されている場合、0mmとすることができる。第2の金型部11に入れ子(図示せず)を配設する場合には、かかる入れ子のキャビティ面と環状部材131Aの他端を構成する面136Aとの間のクリアランス(Cc3)は前述したとおりとすることが望ましい。この例においては、コアピン取付部130Aの先端面133Aは、面136Aの占める平面内に位置するが、キャビティ面11Bが金属から構成されている場合には、コアピン取付部130Aの先端面133Aは、面136Aの占める平面から突出していてもよい。
【0182】図30の(A)に模式的な一部断面図を示す例においては、第2の金型部11には孔部11Cが設けられており、金型組立体の型締め時、コアピン取付部130Aの先端部134Aは孔部11C内へ延びる。コアピン取付部130Aの先端部134Aにおける環状部材131Aと孔部11Cとの間のクリアランス(Cc4)は0.01乃至0.03mmであることが好ましい。
【0183】図30の(B)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピン取付部130Aの先端部135Aは環状部材131Aの内部に止まり、第2の金型部11には突出部11Dが設けられており、金型組立体の型締め時、突出部11Dは環状部材131Aの内部に嵌合する形態とすることができる。より具体的には、金型組立体の型締め時、突出部11Dはコアピン取付部130Aの先端部135Aと嵌合する。このような構造とすることでも、成形品に確実に貫通穴を形成することができる。また、嵌合精度を高めることができる。尚、コアピン取付部130Aの先端部135A及び突出部11Dの先端面は平滑であってもよい。金型組立体の型締め時、突出部11Dの先端部側壁と環状部材131Aの内側表面とが接触しないように、突出部11Dの先端部側壁と環状部材131Aの内側表面との間のクリアランスは0.1mm以上あることが好ましい。
【0184】尚、図29の(B)、図30の(A)及び(B)に示した構造においては、集中応力による環状部材の破損を防止するために、ダイヤモンド砥石で、薄層を形成する前の環状部材131Aの外側コーナー部に0.2mmR以上の曲率を付与するか、又はC面処理を行うことが好ましい。
【0185】図31の(A)及び図32の(A)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピンを例えば部分安定化ジルコニアセラミックスから作製する代わりに、少なくともキャビティ14内を占めるコアピン140,150の部分の表面に、例えば部分安定化ジルコニアを溶射して成る溶射層141,151が形成されている。溶射層141,151の表面には、例えば、活性金属膜及び金属層から成る薄層16Bが形成されている。尚、コアピン140,150は金属から作製すればよい。
【0186】図31の(A)に示した構造においては、コアピン140は第2の金型部11に取り付けられており、コアピン140の先端面143と入れ子15のキャビティ面15Aとの間のクリアランスは十分大きい。図32の(A)に示した構造においては、入れ子15には貫通孔が設けられており、コアピン150はこの貫通孔を通して第1の金型部10に取り付けられており、コアピン150の先端面153と第2の金型部11のキャビティ面11Bとの間のクリアランスは十分大きい。これによって、成形品に非貫通穴を形成することができる。尚、図32の(A)に示した例においては、キャビティ14内を占めるコアピン150の部分は、入れ子15のキャビティ面15Aと対向する対向面152を有し、対向面152と入れ子15のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。
【0187】あるいは又、図31の(B)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピン140は第2の金型部11に取り付けられており、キャビティ14内を占めるコアピン140の部分は、入れ子15のキャビティ面15Aと対向する対向面142を有する。対向面142と入れ子15のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。図31の(B)に示す構造においては、成形品に貫通穴を形成することができる。
【0188】更には、図32の(B)に模式的な一部断面図を示す例においては、入れ子15には貫通孔が設けられており、コアピン150はこの貫通孔を通して第1の金型部10に取り付けられており、キャビティ14内を占めるコアピン150の部分は、入れ子15のキャビティ面15Aと対向する対向面152を有し、対向面152と入れ子15のキャビティ面15Aとの間のクリアランス(Cc1)は前述したとおりとすることが望ましい。しかも、コアピン150の先端面153と第2の金型部11のキャビティ面11Bとの間のクリアランス(Cc3)は、キャビティ面11Bが金属から構成されている場合、0mmとすることができる。第2の金型部11に入れ子(図示せず)を配設する場合には、かかる入れ子のキャビティ面とコアピン150の先端面153との間のクリアランス(Cc3)は前述したとおりとすることが望ましい。これによって、成形品に貫通穴を形成することができる。尚、図32の(A)及び(B)において、コアピン150と入れ子15に設けられた貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上であることが好ましい。
【0189】あるいは又、図33の(A)に模式的な一部断面図を示す例においては、コアピン140は第2の金型部11に取り付けられており、入れ子15には貫通孔が設けられており、金型組立体の型締め時、コアピン140の先端部144は貫通孔内へと延びる。コアピン140の先端部144と貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上である形態を挙げることができる。
【0190】一方、図33の(B)に模式的な一部断面図を示すように、入れ子15には貫通孔が設けられており、コアピン150は貫通孔を通して第1の金型部10に取り付けられている態様を挙げることができる。この場合、第2の金型部11には孔部11Cが設けられており、金型組立体の型締め時、コアピン150の先端部154は孔部11C内へ延びる。コアピン150の先端部154における溶射層151と孔部11Cとの間のクリアランス(Cc4)は0.01乃至0.03mmであることが好ましい。
【0191】図34の(A)に示す構造は、図23の(B)及び図24の(B)に示したコアピンの例を実質的に組み合わせた構造である。即ち、第1のコアピン110は、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、入れ子15には貫通孔が設けられており、第1のコアピン110は、この貫通孔を通して公知の方法で第1の金型部10に取り付けられている。また、第2のコアピン100も、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、第2の金型部11に公知の方法で取り付けられている。第1のコアピン110と第2のコアピン100の先端面は相互に嵌合し得る構造となっている。第1のコアピン110は対向面112を有する。
【0192】図34の(B)に示す構造は、図28の(A)及び図29の(B)に示したコアピンの例を組み合わせた構造である。即ち、第1のコアピンは、第1の金型部10に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部130Bと、コアピン取付部130Bに取り付けられ、両端が開口した環状部材131Bとから成る。環状部材131Bはリング状であり、その構成は、環状部材131と同様とすることができる。コアピン取付部130Bは、環状部材131Bの他端から環状部材131Bの内部に延在している。一方、第2のコアピンは、第2の金型部11に公知の方法で取り付けられたコアピン取付部120Bと、コアピン取付部120Bに取り付けられ、両端が開口した環状部材121Bとから成る。環状部材121Bはリング状であり、その構成は、環状部材121と同様とすることができる。コアピン取付部120Bは、環状部材121Bの他端から環状部材121Bの内部に延在している。これらの環状部材121B,131Bは、キャビティ14内を占めるコアピンの部分の表面を構成する。環状部材131Bの一端を構成する面は対向面132Bに相当し、入れ子15には貫通孔が設けられており、コアピン取付部130Bは、貫通孔を貫通し、そして環状部材131Bの一端から環状部材の内部に延在している。この場合、コアピン取付部130Bと貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は0.1mm以上であることが好ましい。コアピン取付部120B,130Bは相互に嵌合し得る構造となっている。環状部材121Bの一端面(先端面)と環状部材131Bの他端面(先端面)との間には、0.003乃至0.03mmのクリアランスがあることが、環状部材121Bや環状部材131Bの破損を防止する上で好ましい。
【0193】図35の(A)に示す構造は、図31の(B)及び図32の(B)に示したコアピンの例を組み合わせた構造である。即ち、入れ子15には貫通孔が設けられており、コアピンは、入れ子15に設けられた貫通孔を通して第1の金型部10に取り付けられた第1のコアピン150と、第2の金型部11に取り付けられた第2のコアピン140とから成り、金型組立体の型締め時、第1のコアピン150の先端部154と第2のコアピン140の先端部144とが嵌合する。第1のコアピン150に形成された溶射層151の先端面と第2のコアピン140に形成された溶射層141の先端面との間には、0.003乃至0.03mmのクリアランスがあることが、溶射層141,151の破損を防止する上で好ましい。
【0194】図35の(B)に示す構造は、図34の(A)に示した構造の変形であり、第1の金型部10に入れ子151が取り付けられ、第2の金型部11に入れ子152が取り付けられている。入れ子151には貫通孔が設けられており、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有する第1のコアピン110は、この貫通孔を通して公知の方法で第1の金型部10に取り付けられている。第1のコアピン110は対向面112を有する。第2のコアピン100も、実施例1あるいは実施例2における入れ子と同様の構成を有し、入れ子152には貫通孔が設けられており、第2のコアピン100は、この貫通孔を通して公知の方法で第2の金型部11に取り付けられている。第2のコアピン100は対向面102を有する。第1のコアピン110と第2のコアピン100の先端面は相互に嵌合し得る構造となっている。第1のコアピン110における対向面112と入れ子151のキャビティ面15A1との間のクリアランス(Cc1)、及び第2のコアピン100における対向面102と入れ子152のキャビティ面15A2との間のクリアランス(Cc1)は、前述したとおりとすることが望ましい。また、第1のコアピン110と入れ子151の貫通孔との間のクリアランス(Cc2)、及び第2のコアピン100と入れ子152の貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は、0.1mm以上であることが好ましい。
【0195】(実施例13)実施例13における穴空き成形品製造用の金型組立体として、図28の(B)に示したコアピンを備えた金型組立体を使用した。図36及び図37を参照して、以下、実施例13における穴空き成形品製造用の金型組立体の組み立てを説明する。尚、金型組立体の基本的な構造は、実施例7にて説明した金型組立体と同様とした。
【0196】実施例13においては、入れ子15として、中心部に直径27.00mmの貫通孔15Cが設けられた厚さ3.00mm、直径100.00mmの円盤状のZrO2−Y23から成る入れ子を用いた。入れ子15のキャビティ面15Aには薄層16(活性金属膜及び金属層から成る)が形成されている。尚、薄層16の形成は、実施例1と同様とすることができる。第1の金型部(固定金型部)10の入れ子装着部10Bの内法寸法を外径100.2mm、深さを3.02mmとし、炭素鋼S55Cを切削加工して入れ子装着部10Bを第1の金型部(固定金型部)10に形成した。そして、エポキシ系接着剤(図示せず)を用いて、第1の金型部(固定金型部)10内の入れ子装着部10Bに入れ子15を固定した(図37の(A)参照)。そして、金属層の表面を切削加工した。
【0197】入れ子15の端部を被覆するための被覆プレート12を炭素鋼S55Cから作製した。尚、内法寸法を99.00mmとした。この被覆プレート12を第1の金型部(固定金型部)10にビス(図示せず)を用いて固定した(図37の(B)参照)。入れ子15と被覆プレート12との間のクリアランス(C21)は、平均で0.01mmであった。また、入れ子15に対する被覆プレート12の重なり量(ΔS21)は0.5mmであった。
【0198】実施例13の穴空き成形品製造用の金型組立体の組み立て後の金型の型締め時の状態及び型開き時の状態を、図36の(A)及び(B)にそれぞれ示す。成形品に穴を形成するためのコアピンは、第2の金型部(可動金型部)11に公知の方法で取り付けられた金属製のコアピン取付部120Aと、コアピン取付部120Aに接着剤(図示せず)を用いて取り付けられた環状部材121Aから成る。環状部材121Aの両端は開口している。環状部材121Aは切削加工にて作製されたZrO2−Y23から成り、内径を26.00mm、外径を32.00mmとした。環状部材121Aの外側コーナー部は0.5mmRに研磨してある。環状部材121Aの表面には薄層16A(活性金属膜及び金属層から成る)が形成されている。尚、薄層16Aの形成は、実施例1と同様とすることができる。炭素鋼S55Cから作製したコアピン取付部120Aの環状部材121Aを取り付ける部分の直径を25.90mmとした。環状部材121Aの一端を構成する面は対向面122Aに相当し、コアピン取付部120Aは、環状部材121Aの他端から環状部材の内部に延在している。入れ子15のキャビティ面15Aと、環状部材121Aの対向面122Aとは面接触していない。金型の型締め時、入れ子15のキャビティ面15Aと、環状部材121Aの対向面122Aとの間のクリアランス(Cc1)は、0.01mmであった。金型の型締め時、コアピン取付部120Aの先端部124Aは環状部材121Aの一端から貫通孔15C内へと延びる。コアピン取付部120Aの先端部124Aと貫通孔15Cとの間のクリアランス(Cc2)は0.55mmであった。このような構造とすることで、入れ子15及びコアピンの破損、あるいは、成形品のバリ発生を防止することができる。
【0199】そして、実施例1と同じ熱可塑性樹脂を用い、実施例1と同様の成形条件で成形を行った。成形品の表面にはガラス繊維の析出もなく、成形品は非常に高い鏡面性を有していた。また、成形品には、フローマーク及びジェッティング等の成形不良も認められず、成形品には貫通孔が形成されていた。連続して成形を10000回行ったが、入れ子15に割れ等の損傷は発生せず、薄層16にも損傷は発生しなかった。また、環状部材121Aや薄層16Aにも損傷は発生しなかった。
【0200】尚、部分安定化された導電性ジルコニアセラミックスを用い、実施例2と同様の方法で、入れ子や環状部材を作製することもできる。
【0201】(実施例14)実施例14における穴空き成形品製造用の金型組立体として、図29の(A)に示したコアピンを備えた金型組立体を使用した。また、金型組立体の基本的な構造は、実施例7にて説明した金型組立体と同様とした。
【0202】入れ子15を部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)セラミックスから作製した。そして、入れ子本体のキャビティ構成面に対して、ダイヤモンド砥石を用いた研磨及び仕上げを行い、表面粗さRyを0.02μmとした。入れ子15の寸法を、厚さ4.00mm、外径100.00mm、内径30.00mmとした。次いで、入れ子本体に、活性金属膜及び金属層から成る薄層16を実施例1と同様の方法で形成した後、薄層の研削、研磨を行った。第1の金型部(固定金型部)10の入れ子装着部10Bの内法寸法を外径100.2mm、深さを4.02mmとし、炭素鋼S55Cから切削加工によって入れ子装着部10Bを作製した。また、入れ子装着部10Bには、コアピン取付部120Aと嵌合する円柱状の突出部10Cを設けた。次いで、入れ子15を入れ子装着部10B内にエポキシ系接着剤(図示せず)で固定した。
【0203】入れ子15の端部を抑えるための被覆プレート12を炭素鋼S55Cから作製し、内法寸法を99.00mmとした。この被覆プレート12を第1の金型部(固定金型部)10にビス(図示せず)を用いて固定した。
【0204】入れ子15と被覆プレート12との間のクリアランス(C21)は、平均で0.01mmであった。また、入れ子15に対する被覆プレート12の重なり量(ΔS21)は0.5mmであった。
【0205】第2の金型部(可動金型部)11内にコアピン取付部120Aを取り付けた。炭素鋼S55Cから作製したコアピン取付部120Aの環状部材121Aを取り付ける部分の直径を25.9mmとした。環状部材121AをZrO2−Y23から切削加工にて作製し、環状部材の外側コーナー部をダイヤモンド砥石にて0.5mmRに仕上げた後、その表面に活性金属膜及び金属層から成る薄層16Aを実施例1と同様の方法で形成した。環状部材121Aの外径を32.00mm、内径を26.00mmとした。そして、コアピン取付部120Aの環状部材を取り付ける部分に環状部材121Aを接着剤を用いて固定した。金型組立体の型締め時、入れ子15のキャビティ面15Aと、環状部材121Aの対向面122Aとの間のクリアランス(Cc1)は、0.01mmであった。突出部10Cと入れ子15に設けられた貫通孔との間のクリアランス(Cc2)は2.1mmであった。また、突出部10Cの先端部側壁と環状部材121Aの内側表面との間のクリアランスは0.1mmであった。尚、成形品は、外径99mm、内径32mm、厚さ2mmのドーナツ型である。実施例14の穴空き成形品製造用の金型組立体の組み立て後の金型の型締め時の状態及び型開き時の状態を、図38の(A)及び(B)にそれぞれ示す。
【0206】完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型温調機を用いて130゜Cまで加熱した後、40゜Cまで急冷しても、ジルコニアセラミックスから作製された入れ子15に割れ等の問題は発生しなかった。また、環状部材121Aや薄層16,16Aにも損傷は発生しなかった。
【0207】成形装置として三菱重工業(株)製、150MST射出成形機を用い、金型組立体を80゜C加熱した。成形用材料として黒色のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製:S3000)を用い、樹脂温度280゜C、射出圧力6.86×107Pa(700kgf/cm2−G)の条件でキャビティ14内に溶融熱可塑性樹脂を溶融熱可塑性樹脂導入部13から射出した後(図39参照)、20秒後に成形品を金型組立体から取り出した。
【0208】入れ子15のキャビティ面15Aと接触した成形品表面は、成形品の端部に至るまで優れた光沢を有しており、ウエルドラインは発生していなかった。成形品には、フローマーク及びジェッティング等の成形不良も認められず、成形品には貫通孔が形成されていた。10000回の成形を行っても、入れ子15や環状部材121A、薄層16,16Aに破損は認められなかった。
【0209】尚、部分安定化された導電性ジルコニアセラミックスを用い、実施例2と同様の方法で、入れ子や環状部材を作製することもできる。
【0210】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明した金型組立体の構造、入れ子の構造やその作製方法、成形品の成形方法における各種条件は例示であり、適宜変更することができる。
【0211】図40には、成形品を金型組立体から取り出すために、キャビティ24に連通したタブ形成部24Aが被覆プレート22Aに設けられている構造を例示する。尚、被覆プレート22Aは第1の金型部20に取り付けられている。尚、この場合にも、入れ子25と被覆プレート22Aとの間のクリアランスC33は0.03mm以下を満足する必要がある。この金型組立体は実施例8にて説明した金型組立体と実質的には同様の構造を有する。被覆プレート22Aは、図40の(A)の紙面垂直方向にも2カ所設けられている。尚、図40の(A)及び図41の(A)は、垂直面で被覆プレート22,29Aを含む金型組立体の領域を切断したときの図であり、図40の(B)及び図41の(B)は、かかる垂直面と平行な垂直面で被覆プレート22,29Aを含まない金型組立体の領域を切断したときの図である。金型組立体をこのような構造にすることによって、成形品にはタブ部が形成される。金型組立体の型開き後(図41の(A)及び(B)参照)、第2の金型部21に配設された突き出しピン(図示せず)をかかるタブ部に当てて成形品を押し出し、成形品を金型組立体から取り出せばよい。尚、成形品に形成されたタブ部は、後の工程で削除すればよい。
【0212】
【発明の効果】本発明においては、入れ子の表面に金属層が形成されているので、入れ子の対向面等における金属層を加工することが可能となり、金型部への入れ子の装着の際の調整が比較的容易となり、金型組立体の製作費用を低減でき、しかも、入れ子の端部あるいはエッジ部の破損発生を確実に防止でき、長期間の成形に耐えることができる。即ち、本発明の金型組立体においては、入れ子を、所定のクリアランス(C)や重なり量(ΔS)の範囲内で金型部内に容易に組み込むことが可能となり、長期的な成形を実施しても、入れ子に破損が生じることがなく、容易且つ安価に外観に優れた成形品を成形することが可能となる。
【0213】また、入れ子のキャビティ面の成形品表面への転写性に優れているばかりか、キャビティ内に充填された溶融熱可塑性樹脂の急冷を抑制することができる結果、ジェッテイングやフローマーク等の外観不良が発生することを効果的に防止することができるし、無機繊維を含有する熱可塑性樹脂を使用した場合にあっても無機繊維が成形品の表面に析出(浮き)することを確実に防止することができる。しかも、連続成形も容易であり、成形品の品質も安定しており、長期に亙り成形が可能となる。また、成形品の外観を損なうことがなくなり、成形品端部のバリ発生を防止でき、成形品の不良率低減及び成形品の均質化、高品質化を達成することができ、成形品の製造コストの低下を図ることができる。
【0214】更には、キャビティ内での溶融熱可塑性樹脂の流動性が向上するが故に、キャビティ内への溶融熱可塑性樹脂の導入圧力を低く設定できるので、成形品に残留する応力を緩和でき、成形品の品質が向上する。また、導入圧力を低減できるために、金型部の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。
【0215】本発明において、スライドコアあるいはコアピンを備えた金型組立体を用いることによって、溶融熱可塑性樹脂の急速なる冷却に起因した転写性の劣化、光沢性の劣化を防止することができ、更にはウエルドラインの発生を抑制することができる。また、容易に且つ確実に穴空き成形品を成形することができる。




 

 


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