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発明の名称 真空対応型スライド装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−219326(P2001−219326A)
公開日 平成13年8月14日(2001.8.14)
出願番号 特願2000−31821(P2000−31821)
出願日 平成12年2月9日(2000.2.9)
代理人
発明者 中川 啓志
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】相対する壁に貫通穴を有する真空チャンバーと、該真空チャンバーの各貫通穴に挿通された第1ガイド軸と、上記真空チャンバー内で、上記第1ガイド軸に設置されたテーブルと、上記真空チャンバー外に突出した第1ガイド軸の両端に各々遊嵌され、静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する第1軸受部と、軸線が上記第1軸受部の軸線と直交するように第1軸受部に接合された第2軸受部と、該第2軸受部に遊嵌され、静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する第2ガイド軸と、前記貫通穴を囲むように真空チャンバーの外側壁面に形成され、軸受面内周部に環状の吸引溝を備えた第3軸受部と、前記第1軸受部に取着され、上記第3軸受部との隙間に静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する受圧部とからなり、前記真空チャンバー内に設置したテーブルをX−Y方向に移動可能に構成したことを特徴とする真空対応型スライド装置。
【請求項2】前記第3軸受部と前記受圧部との隙間を1〜7μmとすることを特徴とする請求項1に記載の真空対応型スライド装置。
【請求項3】前記第3軸受及び受圧部における軸受面の面粗度を算術平均粗さ値(Ra)0.2μm以下とすることを特徴とする請求項2に記載の真空対応型スライド装置。
【請求項4】前記第1軸受部、第1ガイド軸、第2軸受部、第2ガイド軸、第3軸受部、受圧部をそれぞれセラミックスにより形成したことを特徴とする請求項1に記載の真空対応型スライド装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空チャンバー内に設置したテーブルをX−Y方向へ移動させることができる真空対応型スライド装置に関するものであり、例えば、半導体リソグラフィ用の露光装置、電子ビームを用いた走査型描画装置やEUV露光装置、あるいは走査電子顕微鏡等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイスの高密度化に対応して電子ビームを半導体ウエハに直接描画する電子ビーム描画装置が開発されている(例えば、“電子ビーム描画装置”、SEAJ Journal,24-32,1995年12月)。
【0003】図7は従来の真空対応型スライド装置の一例を示す縦断面図であり、真空チャンバー61内に設置されたテーブル機構を構成するYテーブル51及びXテーブル52は、転がり軸受や滑り軸受等のガイド部材53,54によってそれぞれX方向及びY方向に案内されるようになっている。また、Xテーブル52には、ボールネジ56が取着され、磁場によって電子ビーム(不図示)の進路に悪影響を与えることがないよう、真空チャンバー61外に設置されたモータ58に連結されており、モータ58の駆動によりXテーブル52をX方向に移動させるとともに、Yテーブル51には、ボールネジ56に対して垂直に配置されたボールネジ55が取り付けられ、Xテーブル52と同様に真空チャンバー61外に設置された不図示のモータに連結されており、この不図示のモータの駆動によりYテーブル51をY方向に移動させるようになっており、Yテーブル51上に置かれた半導体ウエハ等の試料をX−Y方向へ移動させることができるようになっていた。
【0004】なお、ボールネジ56が真空チャンバー61を貫通する部分には、真空チャンバー61内の真空度を保つため、磁性流体を用いた回転磁気シール60が用いられており、ボールネジ55が真空チャンバー61を貫通する部分にも同様の回転磁気シールが用いられていた。
【0005】また、図8は従来の真空対応型スライド装置の他の例を示す縦断面図で、真空チャンバー61内におけるテーブル機構を駆動させる駆動機構が異なる以外は図5と同様の構造をしたもので、Xテーブル52には、直動ロッド63が取着され、真空チャンバー61外に設置されたスライド手段71に連結されており、このスライド手段71をモータ65によりスライドさせることでXテーブル52をX方向に移動させるとともに、Yテーブル51には、直動ロッド63に対して垂直に配置された直動ロッド62が取着され、真空チャンバー61外に設置された不図示のスライド手段とモータ65に連結され、モータによりスライド手段をスライドさせることでYテーブル51をY方向に移動させるようになっていた。なお、直動ロッド63が真空チャンバー61を貫通する部分には、真空チャンバー61内の真空度を保つため、可繞性の隔壁70が用いられており、直動ロッド62が真空チャンバー61を貫通する部分にも可繞性の隔壁が用いられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図7及び図8に示す従来の真空対応スライド装置では、Xテーブル51及びYテーブル52を案内するガイド部材53,54に転がり軸受や滑り軸受が用いられているために摺動抵抗が大きく、高精度化が困難であり、また、各テーブル51,52の移動に伴って発生する振動や発塵により、Yテーブル51上に搭載した試料の各種処理精度に悪影響を与えるといった課題があった。
【0007】しかも、高速化及び高加速度化による摩耗量の増加によりテーブル機構の短寿命が顕著であるとともに、転がり軸受や滑り軸受には給油が必要であり、真空チャンバー61内の環境を汚染する恐れもあった。
【0008】また、図7における真空対応型スライド装置では、回転磁気シール60での磁場の発生にも注意する必要があり、図8における真空対応型スライド装置では、可繞性の隔壁70が伸縮することによる収縮抵抗によって各テーブル51,52の移動精度が悪化したり、収縮した隔壁70が直動ロッド63と干渉して摩耗粉を発生させたり、真空チャンバー61内の真空引き時に隔壁70が引っ張られ、各テーブル51,52の設置調整が難しいといった課題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、テーブル機構の高速度化、高加速度化、長寿命化が可能であり、高精度が長期間にわたって維持することができ、真空チャンバー内の真空環境を保ってクリーンな環境を維持することができるとともに、非磁性、低振動、低発熱、低発塵といった描画精度や露光精度に重要な要件を満足する真空対応型スライド装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、相対する壁に貫通穴を有する真空チャンバーと、該真空チャンバーの各貫通穴に挿通された第1ガイド軸と、上記真空チャンバー内で、上記第1ガイド軸に設置されたテーブルと、上記真空チャンバー外に突出した第1ガイド軸の両端に各々遊嵌され、静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する第1軸受部と、軸線が上記第1軸受部の軸線と直交するように第1軸受部に接合された第2軸受部と、該第2軸受部に遊嵌され、静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する第2ガイド軸と、前記貫通穴を囲むように真空チャンバーの外側壁面に形成され、軸受面内周部に環状の吸引溝を備えた第3軸受部と、前記第1軸受部に取着され、前記第3軸受部との隙間に静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する受圧部とから真空対応型スライド装置を構成し、前記真空チャンバー内に設置したテーブルをX−Y方向に移動可能としたことを特徴とする。
【0011】この真空対応型スライド装置において、第3軸受部と受圧部との隙間は1〜7μmとすることが好ましく、また、第3軸受及び受圧部における軸受面の面粗度は算術平均粗さ値(Ra)で0.2μm以下とすることが良い。
【0012】また、静圧流体軸受の軸受剛性を高め、テーブルの位置決め精度を高めるとともに、スライド装置を軽量化する観点から、静圧流体軸受を構成する第1軸受部と第1ガイド軸、第2軸受部と第2ガイド軸、及び第3軸受部と受圧部をそれぞれ高剛性で平滑面が得易いセラミックスにより形成することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について説明する。
【0014】図1は本発明の真空対応型スライド装置の一例を示す一部を破断した斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1の要部を拡大した斜視図である。
【0015】この真空対応型スライド装置は、ベース盤10上に気密に接合してなる真空チャンバー11の相対する壁に、同一形状で長尺状をした貫通穴12をそれぞれ有し、各貫通穴12を横切るように第1ガイド軸3を挿通させてあり、真空チャンバー11内で、上記第1ガイド軸3上にはテーブル2を取着してある。第1ガイド軸3の両端は、真空チャンバー11外に配置した第1軸受部4,4に遊嵌し、第1軸受部4と第1ガイド軸3との隙間に形成する静圧流体層によって静圧支持してあり、第1ガイド軸3を不図示の駆動手段にて移動させることにより、テーブル2を真空チャンバー11内でX方向へ滑らかに移動させることができるようになっている。
【0016】また、各第1軸受部4,4の下部には、軸線が第1軸受部4の軸線と直交するように配置した第2軸受部5,5をそれぞれ接合するとともに、各第2軸受部5,5にそれぞれ第2ガイド軸6,6を遊嵌し、第2軸受部5,5と第2ガイド軸6,6との隙間に形成する静圧流体層によって静圧支持してあり、第2軸受部5,5をアクチュエータとしてのエアーシリンダ7,7によって第2ガイド軸6,6に沿ってそれぞれ移動させることにより、テーブル2を真空チャンバー11内でY方向へ滑らかに移動させることができるようになっている。なお、第2ガイド軸6,6はベース盤10上に固定してある。
【0017】さらに、真空チャンバー11の貫通穴12を有する外壁面には、図3に示すように、貫通穴12を取り囲むように第3軸受部8,8を設けてあり、第3軸受部8,8の軸受面中央には、貫通穴12とほぼ同一寸法の開口部26を有するとともに、軸受面外側部には、圧縮流体の噴射孔を有する「田」字状をしたエアーパッド21を一列に配置し、かつ軸受面内周部には、開口部26を取り囲むように二重の環状をした吸引溝24,25を形成してあり、エアーパッド21に近い第1吸引溝24は、噴射孔より噴出された圧縮流体を効率良く回収するため、その溝幅を第2吸引溝25より大きくしてある。そして、第1軸受部4,4の第3軸受部8,8と対向する端面には、真空チャンバー11の外壁面11aと同等又はより長い幅を有する平板状の受圧部9,9を一体的に取着してあり、上記第3軸受部8,8の噴射孔より受圧部9,9に向かって圧縮流体を噴出させ、第3軸受部8,8の軸受面8aと受圧部9の軸受面9aとの隙間(不図示)に静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成するとともに、噴射孔より噴出された圧縮流体を、第3軸受部8,8の軸受面内周部に形成した二重の吸引溝24,25より強制的に回収することにより、真空チャンバー11内の真空度を害さないようにしてある。なお、27は第1吸引溝24で回収した圧縮流体を排出するためのホース、28は第2吸引溝25で回収した圧縮流体を排出するためのホースである。
【0018】次に、この真空対応型スライド装置の駆動原理について説明する。
【0019】まず、エアーシリンダ7,7のピストンロッド7a,7aを伸長させ、これらピストンロッド7a,7aの端部に連結した第2軸受部5,5を第2ガイド軸6,6に沿ってY方向へ移動させると、第1ガイド軸3を真空チャンバー11の貫通穴12に沿って移動させることができるため、第1ガイド軸3に備えるテーブル2を真空チャンバー11内でY方向へ移動させることができる。この時、第2軸受部5,5は、第2ガイド軸6,6上に静圧支持されるとともに、第3軸受部8,8と受圧部9,9とは静圧流体軸受を構成しているため、第1ガイド軸3のY方向への移動に際し、摺動抵抗が皆無で、振動や発塵がなく、テーブル2をY方向に滑らかに移動させることができる。しかも、エアーシリンダ7,7におけるピストンロッド7a,7aの伸縮速度を速くすることで、テーブル2の高速度化、高加速度化を実現することができる。
【0020】さらに、第3軸受部8,8の噴射孔から噴出された圧縮流体は、その軸受面内周部に設けた二重の吸引溝24,25より強制的に回収するようにしてあることから、第3軸受部8,8と受圧部9,9との隙間の圧縮流体が真空チャンバー11内に漏れ、真空度を害することがない。
【0021】また、不図示の駆動手段により第1ガイド軸3をX方向に移動させれば、テーブル2をX方向に移動させることができ、この第1ガイド軸3もまた第1軸受部4,4によって静圧支持されていることから、第1ガイド軸3の移動に際し、摺動抵抗が皆無で、振動や発塵がなく、テーブル2をX方向に滑らかに移動させることができ、また、第1ガイド軸3をX方向に移動させる駆動手段として、例えばエアーシリンダを用いれば、テーブル2の高速度化、高加速度化を実現することができる。
【0022】そして、第2軸受部5,5と第1ガイド軸3とを同時に移動させれば、テーブル2をX―Y方向へ同時に移動させることができ、位置決めに要する時間を短縮することができる。
【0023】また、この真空対応型スライド装置によれば、テーブル2が一つで済み、真空チャンバー11の高さを抑えることができるため、スライド装置を小型化できるとともに、第1軸受部4,4及び第2軸受部5,5は真空チャンバー11外にあるため、圧縮流体の回収機構が不要であり、従来周知の静圧流体軸受を用いて簡単に製作することができる。
【0024】ところで、第3軸受部8,8と受圧部9,9との隙間に供給される圧縮流体を真空チャンバー11内に漏らさないようにするには、エアーパッド21間及びエアーパッド21と第1吸引溝24との間にそれぞれ排気溝22,23を設けるとともに、第3軸受部8の軸受面8aに形成する二重の吸引溝24,25のうち、エアーパッド21に近い第1吸引溝24の溝幅Lを、第2吸引溝25の溝幅Mの2倍以上とするとともに、第1吸引溝24と第2吸引溝25との間隔Nを、第1吸引溝24の溝幅Lと同等あるいはそれ以上長くすることが好ましい。
【0025】即ち、エアーパッド21間及びエアーパッド21と第1吸引溝24との間にそれぞれ形成する排気溝22,23は、噴射孔より供給された圧縮流体を外部に放出し、大気圧まで減圧させることができるため、このあとの吸引溝24,25での回収効率を高めることができるとともに、到達真空時間を短縮でき、さらに吸引溝24,25から回収する流体量を少なくできるため、圧縮流体の回収ポンプとして小型のものを用いることができる。
【0026】また、第1吸引溝24の溝幅Lが、第2吸引溝25の溝幅Mの2倍未満であると、第1吸引溝24にて回収できる流体量が少なく、また、第1吸引溝24と第2吸引溝25との間隔Nが、第2吸引溝25の溝幅Mより小さいと、両者間の間隔が短かすぎるため、第1吸引溝24を通過する流体量が多く、第2吸引溝25に流れ込む流対量が増大し、二重の吸引溝24,25による圧縮流体の回収効率が低下するからである。
【0027】ただし、第1吸引溝24の溝幅Lは、溝加工時に影響を与えず、軸受面8aの仕上げ精度に悪影響を与えないようにする必要があり、これらを考慮すると溝幅Lは2mm〜40mm、好ましくは4mm〜25mmの範囲が良く、また、溝深さは0.5mm〜40mm、好ましくは4mm〜25mmの範囲で形成することが好ましい。
【0028】また、第3軸受部8の軸受面8aと受圧部9の軸受面9aとの最大隙間は、1〜7μmの範囲で設けることが好ましい。これは、組み立て時において、第3軸受部8の軸受面8aと受圧部9の軸受面9aとの平行度を1μm未満とすることが難しく、最大隙間を1μm未満とすると、第3軸受部8と受圧部9とが接触する恐れがあるからであり、逆に最大隙間が7μmを超えると、第3軸受部8と受圧部9との隙間に供給される圧縮流体が多くなりすぎるため、二重の吸引溝24,25では回収効率が低下し、真空チャンバー11内の真空度を10-6torr以上の高真空度に保つたことが難しくなるからである。
【0029】また、第3軸受部8の軸受面8a及び受圧部9の軸受面9aにおける面粗度が悪すぎると、各軸受面8a,9aに気体分子が付着し易く、吸引溝24,25での圧縮流体の回収効率が悪くなるため、できるだけ平滑に仕上げることが良く、真空チャンバー11内を10-7torr以上の高真空度に保つためには、各軸受面8a,9aにおける面粗度を算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以下とすれば良い。
【0030】さらに、真空チャンバー11内の真空度が高真空状態になると、真空チャンバー11の外壁面11aが凹状に変形するため、このような場合、第3軸受部8の軸受面8aを予め中高形状とするか、あるいは対向する受圧部9の軸受面9aを予め中高形状としておけば良い。
【0031】なお、図4に示すように、少なくともエアーパッド21に近い第1吸引溝24の内壁面を、軸受面8aに対して開口部から内周部へ広がるように傾斜させても良く、このように第1吸引溝24の内壁面を傾斜させることで、第3軸受部8の噴射孔より噴出された圧縮流体をさらに効率良く回収することができる。
【0032】ただし、傾斜角度αは、軸受面8aに対して40〜65度の範囲とすることが良い。なぜなら、軸受面8aに対する角度αが65度を超えると、圧縮流体の回収効率が内壁面を傾斜させていない時と何ら変わらないからであり、逆に軸受面8aに対する傾斜角度αが40度未満であると、これ以上傾斜させても圧縮流体の回収効率を高めることができず、軸受面8aを大きくしなければならないことから第3軸受部8が大型化し、好ましくない。なお、望ましい傾斜角度αとしては、軸受面8aに対して40度〜45度とすることが良い。
【0033】以上、本実施形態では、第3軸受部8の軸受面外側部にのみエアパッド21を配置した例を示したが、軸受面外周部全体にエアパッド21を形成し、環状の吸引溝24,25を囲むように構成すれば、更に軸受剛性を高めることができる。また、エアーパッド21の形状も「田」字状をしたものだけに限らず、「T」字状をしたものや、多孔質体をはめ込んだものでも構わない。さらに、エアーパッド21から供給された圧縮流体を回収する吸引溝の数は、第3軸受部8の寸法及び回収する流体量を考慮して決定すれば良く、必要に応じて3重、4重の吸引溝を形成しても構わない。
【0034】ところで、静圧流体軸受を構成する第1軸受部と第1ガイド軸、第2軸受部と第2ガイド軸、第3軸受部と受圧部はそれぞれセラミックスにより形成することが好ましく、セラミックスにより形成することで、各静圧流体軸受を構成する軸受面を平坦化、平滑化することができるため、その隙間をほぼ一定に保つことができ、軸受剛性を高め、テーブル2の位置決め精度を向上させることができるとともに、スライド装置を軽量化することができ、特にアルミナ、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、サイアロンを主体とするセラミックスを好適に用いることができる。
【0035】ここで、図1乃至図3に示す本発明の真空対応型スライド装置における要部である第3軸受部8と受圧部9との隙間Pを異ならせた時の影響について調べる実験を行った。
【0036】第3軸受部8及び平板9は共にアルミナ純度が99.5%であるアルミナセラミックスにより形成し、第3軸受部8及び平板9の各軸受面8a,9aは表面粗度を算術平均粗さ(Ra)で0.2μmとした。また、第3軸受部8に形成する第1吸引溝24の溝幅Lは8mm、溝深さは8mmとし、第2吸引溝25の溝幅Mは4mm、溝深さは4mmとした。そして、噴射孔より第3軸受部8と受圧部9との隙間Pに0.3MPaの圧縮流体を噴出させ、第1吸引溝24及び第2吸引溝25より回収した時の真空チャンバー11内における真空度を熱陰極式デジタル真空計(測定圧力:3×10-8〜4×10-1Pa)で測定した。
【0037】この結果、図5のように、第3軸受部8と受圧部9との最大隙間Pを1〜7μmの範囲で設定することにより、真空チャンバー11内の真空度を10-7torrまで高めることができ、より高真空度を達成できることが判る。
【0038】次に、第3軸受部8と受圧部9との隙間を2〜3μmとし、第3軸受部8及び受圧部9の各軸受面8a,9aにおける面粗度を異ならせた時の影響について同様の条件にて実験した。
【0039】この結果、図6のように、第3軸受部8及び受圧部9の各軸受面8a,9aにおける面粗度を小さくすることにより、真空チャンバー11内の真空度を高められることが判る。そして、算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以下とすることにより真空チャンバー11内の真空度を10-7torrまで高めることができ、特に優れていた。
【0040】これらの結果、真空チャンバー11内の真空度を10-7torr以上とするには、第3軸受部8及び平板9の最大間隔を1〜7μmとするとともに、第3軸受部8及び平板9の各軸受面8a,9aにおける表面粗度を算術平均粗さ(Ra)で0.2μmとすれば良いことが判る。
【0041】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係る発明によれば、相対する壁に貫通穴を有する真空チャンバーと、該真空チャンバーの各貫通穴に挿通された第1ガイド軸と、上記真空チャンバー内で、上記第1ガイド軸に設置されたテーブルと、上記真空チャンバー外に突出した第1ガイド軸の両端に各々遊嵌され、静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する第1軸受部と、軸線が上記第1軸受部の軸線と直交するように第1軸受部に接合された第2軸受部と、該第2軸受部に遊嵌され、静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する第2ガイド軸と、前記貫通穴を囲むように真空チャンバーの外側壁面に形成され、軸受面内周部に環状の吸引溝を備えた第3軸受部と、前記第1軸受部に取着され、上記第3軸受部との隙間に静圧流体層を形成して静圧流体軸受を構成する受圧部とから真空対応型スライド装置を構成し、前記真空チャンバー内に設置したテーブルをX−Y方向に移動可能としたことから、テーブルの駆動部における摺動抵抗が皆無であり、これまでにない高速度化、高加速度化が可能であるとともに、テーブルの駆動途中及び位置決め時において、極めて高い位置精度を実現することができ、更には駆動部の摩耗がないため、長寿命である。
【0042】また、潤滑油等が不要であるため、真空チャンバー内の真空環境を保ち、クリーンな環境を維持できるとともに、非磁性、低振動、低発熱、低発塵であることから、半導体リソグラフィ用の露光装置、電子ビームを用いた走査型描画装置やEUV露光装置、あるいは走査電子顕微鏡等として好適に用いることができる。
【0043】また、請求項2,3に係る発明によれば、第3軸受部と受圧部の隙間を1〜7μmとし、また、互いの面粗度を算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以下とすることにより、真空チャンバー内の真空度を1×10-5Pa以上の高真空に対応したものとすることができる。
【0044】さらに、請求項4に係る発明によれば、静圧流体軸受を構成する第1軸受部と第1ガイド軸、第2軸受部と第2ガイド軸、及び第3軸受部と受圧部とをそれぞれセラミックスにより形成したことから、静圧流体軸受の軸受剛性を高め、テーブルの位置決め精度を高めることができるとともに、スライド装置を軽量化することができる。




 

 


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