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発明の名称 耐疵付き性に優れた印刷塗装金属板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−300418(P2001−300418A)
公開日 平成13年10月30日(2001.10.30)
出願番号 特願2000−122838(P2000−122838)
出願日 平成12年4月24日(2000.4.24)
代理人 【識別番号】100092392
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 亘
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4D075 AE03 CA02 DA06 DB02 DC02 DC18 EA02 EA43 EC03 EC47 EC53 
4F100 AA20B AA20H AB01A AB04 AK41 AT00A BA02 CA07B CA07H CA13B CA13H CA23B CA23H CC01B EH46 EJ41 EJ69 GB08 GB51 GB81 HB31 HB31B JK09 JK14 JN01B JN21B YY00B
4J038 HA446 JB35 JB36 KA07 KA08 KA20 MA14 NA01 NA03 NA11 PB05 PC02
発明者 鈴木 成寿 / 佐藤 正樹 / 兒島 薫
要約 目的
シリカを分散させた透明又は半透明のクリア上塗り塗膜4に昇華性染料を染着させることにより、鮮映度が高く、耐疵付き性及び耐摩耗性に優れた印刷塗装金属板を得る。

構成
この印刷塗装金属板は、平均粒径0.5〜8μmのシリカを塗料不揮発成分基準で1〜10質量%分散させた膜厚5〜40μm,60度光沢値10〜75のクリア上塗り塗膜が表層に設けられ、該上塗り塗膜に昇華性染料が浸透して印刷模様が付与されている。クリア上塗り塗膜には、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合することが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】 平均粒径0.5〜8μmのシリカを塗料不揮発成分基準で1〜10質量%分散させた膜厚5〜40μm,60度光沢値10〜75のクリア上塗り塗膜が表層に設けられ、該上塗り塗膜に昇華性染料が浸透して印刷模様が付与されている耐疵付き性に優れた印刷塗装金属板。
【請求項2】 クリア上塗り塗膜がトリアジン系紫外線吸収剤及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含んでいる請求項1記載の印刷塗装金属板。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルカラー広告看板,装飾用内装材,エレベータ扉材,装飾用床材,家電機器用外板,什器用外板等に使用され、各種印刷模様が付けられる耐疵付き性及び耐摩耗性に優れた印刷塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】昇華性染料を使用して印刷塗装金属板を製造する場合、オフセット,シルク,グラビア,転写等の印刷法で昇華性染料を塗装金属板のトップクリア層に印刷した後、昇華性染料をクリア塗膜に浸透させる加熱処理を施している。昇華性染料を用いた模様印刷には、硬化性合成樹脂の塗膜に転写シートを接触させて加熱する方法(特開昭51−24313号公報),昇華性染料を用いた転写印刷で塗装金属板上に印刷層を形成した後、表面にトップ塗膜を形成し、次いで塗膜の内側から昇華性染料をトップ塗膜に浸透させる加熱処理を施す方法(特開昭54−104907号公報),プライマ塗膜及び有色トップ塗膜を形成したプリペイント金属板の塗膜に昇華性インクを浸透させる方法(特開平7−31931号公報),金属板表面に設けられている不透明樹脂層の内部に昇華型着色剤を浸透させる方法(特開平7−102733号公報)等が知られている。
【0003】ところが,通常のクリア塗膜は,平滑で光沢度及び鮮映度に優れているものの、疵が目立ちやすく、耐疵付き性及び耐摩耗性が不充分である。そのため、床材やテーブルの天板等のように疵付きが著しい部位に適用することは困難であり、取扱いに注意を要することも欠点である。塗膜の耐疵付き性及び耐摩耗性は、無機骨材の添加によって改善される。この種の塗料としては、繊維状ガラスを5〜70質量%添加して耐摩耗性,耐スクラッチ性を改善した粉体塗料(特開昭48−66640号公報),150メッシュのフルイを通過する厚さ3μm以下のガラスフレークを0.3〜50%配合して耐摩耗性,耐スクラッチ性を改善したプレコート鋼板用塗料(特開昭51−8128号公報)、塗膜中の展色剤の固形分100重量部に対して平均粒径3〜30μmの無機骨材を5〜60重量部配合したアクリル樹脂系塗料(特開平8−183926号公報)等が知られている。しかし、何れの塗膜も透明性が乏しいため,下地金属又は下塗り塗膜の意匠性を十分に活かしきれていない。
【0004】耐疵付き性及び耐摩耗性は,電子線硬化型アクリル樹脂系塗料にみられるように電子線の照射によっても改善される(特公昭55−5422号公報,特公昭56−8070号公報,特開平1−229622号公報,特開平2−242863号公報)。電子線照射された塗膜は、鉛筆硬度で9H以上の硬さになるため、耐摩耗性,耐疵付き性,耐汚染性に優れた塗膜に改質される。しかし、塗膜の加工性が低く、高価な塗料を必要とし、塗膜硬化用に電子線照射設備を必要とするため、製造コストが高くなる。電子線照射で硬化された塗膜が熱硬化型塗膜に比較して耐候性に劣ることも欠点である。
【0005】フルカラー印刷金属板は、昇華性染料の使用以外に、フィルム貼りによる簡便な小ロット後加工でも製造されている。しかし、得られたフルカラー印刷金属板は、フィルム端面が剥がれ易いことから長期使用には難点がある。フィルムの硬度を上げると耐疵付き性は改善されるが、金属板に貼り付ける作業が難しくなる。また、フルカラー印刷金属板は、フィルムの質感に依存した表面外観を呈し、メタリック感を現出することが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】昇華性染料を用いて発現された印刷模様は、昇華性染料の隠蔽性が低いため着色濃度に限界がある。また、転写時の熱で昇華性染料が過度に移動して下塗り塗膜まで浸透し、或いは一部の昇華性染料が転写シート側に戻ってしまう現象が生じる。その結果、特に文字等を印刷した場合、メリハリに欠ける印象の印刷模様が付与され易くなる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、シリカを配合したクリア上塗り塗膜を形成することにより、下地金属又は下塗り塗膜の意匠性を十分に活用し、昇華性染料の着色濃度が高く、フルカラー印刷が可能で、しかも耐疵付き性及び耐摩耗性が改善された印刷塗装金属板を提供することを目的とする。
【0008】本発明の印刷塗装金属板は、その目的を達成するため、平均粒径0.5〜8μmのシリカを塗料不揮発成分基準で1〜10質量%分散させた膜厚5〜40μm,60度光沢値10〜75のクリア上塗り塗膜が表層に設けられ、該上塗り塗膜に昇華性染料が浸透して印刷模様が付与されていることを特徴とする。クリア上塗り塗膜には、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合することが好ましい。
【0009】
【作用】本発明者等は、昇華性染料で印刷模様を付与するときに発生しがちな昇華性染料の過剰移動について種々調査・研究した。昇華性染料で捺染した転写シートを塗装金属板に重ねて加熱処理すると、昇華した染料が下塗り塗膜まで過度に移動し、或いは一部の染料が転写シート側に戻ってしまう。昇華性染料の過剰移動は、本発明者等による研究結果から、塗膜にシリカを分散させることにより抑制されることを見出した。塗膜中のシリカは、昇華性染料の過剰移動を抑えるだけでなく、塗膜の内部及び表面に微細な空隙を形成する。空隙の形成によって塗膜表面方向に比較して膜厚方向に昇華性染料が浸透しやすくなり、着色濃度が高くなる。その結果、鮮映度が高く、強い印象を与える印刷模様が発現される。
【0010】
【実施の形態】本発明に従った印刷塗装金属板は、たとえば図1に示すように下地金属板1の表面に必要に応じてベースコート層2及びプライマ層3を設け、表層にクリア上塗り塗膜4を形成している。表層にクリア上塗り塗膜4がある限り、ベースコート層2を介してクリア上塗り塗膜4を設けた塗装金属板(a),ベースコート層2及びプライマ層3を介してクリア上塗り塗膜4を設けた塗装金属板(b),下地金属板1にクリア上塗り塗膜4を直接形成した塗装金属板(c)の何れであってもよい。ベースコート層2は、白色に限らず、クリア塗膜を含めた他の色調を呈するものも使用できる。クリア上塗り塗膜4の色調は、下地金属板1の金属光沢又はベースコート層2やプライマ層3の意匠性が十分に発現されるように可能な限り透明度の高いものが好ましい。
【0011】下地金属板1は、特に材質が制約されるものではなく、冷延鋼板,各種めっき鋼板,ステンレス鋼板,銅板,アルミニウム板等、多様な金属板が使用される。金属本来の意匠感を発現させる上では、ステンレス鋼板,アルミニウム板,銅板等のように金属光沢のある金属板が好ましい。下地金属板1には、下塗り塗料又は上塗り塗料の塗布に先立って金属板の種類や表面状態に応じて機械的研磨,酸洗やリン酸塩処理,クロメート処理等の化成処理を施し、塗膜密着性を高めることができる。前処理された下地金属板1の上に、常法に従ってベースコート層2及びプライマ層3が形成される。
【0012】下地金属板1,ベースコート層2又はプライマ層3の上に、膜厚5〜40μmのクリア上塗り塗膜4が形成される。クリア上塗り塗膜4の膜厚が5μm未満では十分な耐摩耗性が得られない。逆に40μmを超える厚膜では,焼付け時に塗膜に残留している溶剤が急激に気化し、「ワキ」と称されるピンホール状の塗膜欠陥が発生する虞がある。また、クリア上塗り塗膜4が厚くなり過ぎると、透明感が損なわれ、下地金属板1の金属光沢或いはベースコート層2,プライマ層3等の下塗り塗膜の意匠性を十分に発現できなくなる。
【0013】クリア上塗り塗膜4の膜厚は、意匠性及び耐摩耗性のバランスから10〜25μmの範囲に設定することが好ましい。使用による大きな減耗量が予想される床材等の用途では、減耗を考慮して更に下塗り塗膜としてのクリア塗膜を形成することも可能である。クリア上塗り塗膜4にメラミン,尿素,イソシアネート等の硬化剤を添加すると、塗膜硬度が高くなる。
【0014】クリア上塗り塗膜4には、平均粒径0.5〜8μmのシリカが分散される。平均粒径0.5μm以上のシリカを添加することにより、クリア上塗り塗膜4が鉛筆硬度でF以上となり、十分な耐疵付き性、耐摩耗性が確保されると共に、昇華性染料の着色濃度が向上する。しかし、平均粒度が8μmを超えるシリカをクリア上塗り塗膜4に分散させると、塗装金属板の折曲げ加工時に塗膜が割れやすく、磨耗による塗膜の脱落も生じやすくなる。粒径の大きなシリカは、クリア上塗り塗膜4に対する昇華性染料の浸透を妨げ、着色濃度を低下させる傾向を示す。
【0015】シリカは、1〜10質量%の割合でクリア上塗り塗膜4に配合される。シリカの配合量が1質量%未満では、十分な耐疵付き性が得られず、光沢値が75を超え、疵が目立ちやすい表面状態になる。逆に10質量%を超えるシリカの配合量では、光沢値が10を下回り塗膜の透明性が損なわれる。その結果、下地金属板1の金属光沢或いはベースコート層2,プライマ層3等の下塗り塗膜の意匠性を十分に発現できなくなる。また、過剰量のシリカを配合すると、塗装金属板の折曲げ加工時に塗膜が割れやすくなる。クリア上塗り塗膜4の光沢値は、下地金属板1の金属光沢を活用する場合には40〜60の範囲に、ベースコート層2やプライマ層3の下塗り塗膜を形成した場合には疵が目立ちにくい10〜30の範囲に調整することが好ましい。昇華性染料の着色濃度向上に及ぼすシリカの影響は、1質量%以上の配合量で顕著になり、10質量%以上ではシリカの配合量に拘らず濃度がほぼ一定になる。
【0016】クリア上塗り塗膜4の形成に使用される塗料としては、転写シートから移行してくる昇華性染料を受容して良く染まる樹脂である限り、特に樹脂が制約されるものではない。また、印刷模様転写時の加熱温度150〜200℃で著しく軟化することがない熱硬化型樹脂の使用が好ましい。耐熱性の良好な樹脂は、熱転写で印刷模様を付けた後に印刷塗装金属板の表面光沢低下を効果的に抑制する。
【0017】具体的には、ポリビニルアルコール,ポリビニルブチラール,ポリビニルアセタール,ポリ酢酸ビニル,ポリ塩化ビニル,ポリビニルピロリドン,ポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート,ポリブチル(メタ)アクリレート,ポリアクリルアミド,ポリアクリロニトリル等のアクリレート系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等や、これら樹脂の共重合体又は混合物がクリア上塗り塗膜4用の染着性樹脂塗料として使用される。なかでも、ポリエステル樹脂は、昇華性染料に対する染着性に優れ、得られる印刷意匠の保存安定性も良好であることから、染着性樹脂塗料の一成分として含有させることが好ましい。
【0018】クリア上塗り塗膜4に紫外線吸収剤を添加すると、太陽光線,紫外線等の透過による密着性の低下や変色が抑制される。上塗り塗膜4に含まれる紫外線吸収剤としては、耐熱性,耐昇華性及び溶解性に優れていることが要求される。なかでも、空気雰囲気中、昇温速度5℃/分の加熱条件下で300℃における重量減少が10質量%以下の耐熱性を呈することが好ましい。要求特性を満足する紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系,トリアジン系等がある。好ましくは、トリアジン系単独又はトリアジン系とベンゾトリアゾール系とを混合してクリア上塗り塗膜4用塗料に添加される。また、ヒンダートアミン系光安定剤を0〜3.0質量%の割合で配合することもできる。
【0019】ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤には、オクチル‐3‐[3‐t‐ブチル‐5‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)‐4‐ヒドロキシフェニル]プロピネート(チバガイギー社製 TINUVIN 384),2‐[2‐ヒドロキシ‐3,5‐ビス(α,α'ジメチルベンジル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール(チバガイギー社製 TINUVIN 900),メチル‐3‐[3‐t‐ブチル‐5‐(2H‐ベンゾトリアゾール‐2‐イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピネートとポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物(チバガイギー社製 TINUVIN 1130),2‐[2'‐ヒドロキシ‐3'‐(3",4",5",6"‐テトラヒドロフタルイミドメチル)‐5'‐メチルフェニル]‐ベンゾトリアゾール(共同薬品株式会社製 Viosorb 590)等が挙げられる。
【0020】トリアジン系紫外線吸収剤には、たとえば2‐[4‐[(2‐ヒドロキシ‐3‐ジデシルオキシプロピル)‐オキシ]‐2‐ヒドロキシフェニル]‐4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジンと2‐[4‐[(2‐ヒドロキシ‐3‐トリデシルオキシプロピル)‐オキシ]‐2‐ヒドロキシフェニル]‐4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル‐1,3,5‐トリアジンの混合物(チバガイギー社製 TINUVIN 400)等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独でも、2種以上混合しても使用できる。紫外線吸収剤の配合量は、塗料の不揮発成分に対して1〜18質量%に調整することが好ましい。18質量%を超える配合量では、塗膜の耐汚染性、加工性、塗膜外観等が劣化する傾向を示す。また、紫外線吸収剤による塗膜の着色も観察されるようになる。
【0021】クリア上塗り塗膜4の耐光性を更に向上させるため、必要に応じてヒンダートアミン系光安定剤を塗料不揮発成分に対して3.0質量%以下の割合で配合させることが好ましい。ヒンダートアミン系光安定剤としては、次の物質が挙げられる。ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)セバケート(三共株式会社製SANOL LS770),ビス(1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)セバケート(三共株式会社製 SANOL LS765),1‐[2‐[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロビオニルオキシ]エチル]‐4‐[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロビオニルオキシ]‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン(三共株式会社製 SANOL LS2626),4−ベンゾイルオキシ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン(三共株式会社製 SANOL LS744),8‐アセチル‐3‐ドデシル‐7,7,9,9‐テトラメチル‐1,3,8‐トリアザスピロ[4,5]デカン‐2,4‐ジオン(三共株式会社製 SANOL LS440),2‐(3,5‐ジーt‐ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)(チバガイギー社製 TINUVIN 144),コハク酸ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)エステル(チバガイギー社製 TINUVIN 780FF),コハク酸ジメチルと1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジンの重縮合物(チバガイギー社製 TINUVIN 622LD),ポリ[[6‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)アミノ‐1,3,5‐トリアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]](チバガイギー社製 CHIMASSORB 944LD),N,N'‐ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4‐ビス[N‐ブチル‐N‐(1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)アミノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリアジンの重縮合物(チバガイギー社製 CHIMASSORB 119FL),ビス(1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)セバケート(チバガイギー社製 TINUVIN 292),ビス(1‐オクタオキシ‐2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)セバケート(チバガイギー社製TINUVIN 123),HA‐70G(三共株式会社製),アデカスタブ LA‐52,アデカスタブ LA‐57,アデカスタブ LA‐62,アデカスタブ LA‐63,アデカスタブ LA‐67,アデカスタブ LA‐68,アデカスタブ LA‐82,アデカスタブ LA‐87(旭電化工業株式会社製)
【0022】これらの光安定剤は、単独でも、或いは2種以上を混合しても使用できる。光安定剤を3.0質量%より多量に配合しても耐光性を向上させる効果が飽和して増量に見合った改善がみられず、却って塗装外観が劣化する傾向が見られる。光安定剤は、好ましくは0.5〜1.5質量%の範囲で配合される。透明又は半透明の上塗り塗膜4は、ベースコート層2を介して(図1a)、ベースコート層2及びプライマー層3を介して(図1b)、或いは下地金属板1に直接(図1c)形成することができる。何れの場合も、下地金属板1やベースコート層2の色調が地模様となり、下地素材の風合いを活かした独特の深み感をもつ印刷塗装金属板が得られる。
【0023】クリア上塗り塗膜4を形成した後、表層のクリア上塗り塗膜4に転写シートを接触させた状態で加熱処理する。加熱処理によって転写シートに含まれている昇華性染料が昇華し、図1に示すようにクリア上塗り塗膜4の厚み方向に昇華性染料が浸透する。その結果、厚み方向にほぼ均一に染着された昇華性染料染着層5がクリア上塗り塗膜4に形成され、立体感に富む印刷模様が得られる。転写シートは、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷により作製できる。小ロット印刷用には、製版工程を必要としないコンピューターグラフィックスを用いた電子写真法、静電記録法、インクジェット法、感熱転写法等も採用可能である。
【0024】昇華性染料は、加熱された際に昇華,揮発等の現象によって転移し得る染料をいう。なお、本明細書では、液層からの揮発をも包含する意味で「昇華」を使用している。昇華性染料としては、たとえばキノフタロン誘導体,アントラキノン誘導体,アゾ系色素等の分散染料が好適に用いられる。また、従来から昇華熱転写,昇華転写捺染等で使用されている昇華性染料は、特に制約なくクリア上塗り塗膜4の印刷に使用される。
【0025】使用可能な昇華性染料のなかでイエロー系染料としては、Kayacet Yellow AG、Kayaset Yellow TDN(以上、日本化薬株式会社製),RTY 52,Dianix Yellow5R−E、Dianix Yellow F3G−E,Dianix Brilliant Yellow 5G−E(以上、三菱化学株式会社製),ブラスト Yellow 8040,DY108(以上、有本化学株式会社製),Sumikaron Yellow EFG,Sumikaron Yellow E−4GL(以上、住友化学株式会社製),FORON Brilliant Yellow SGGLPI(Sand社製),PS イエローGG(以上、三井東圧染料株式会社製)等がある。
【0026】マゼンタ系の昇華性染料には、Kayaset Red 026,Kayaset Red 130,KayasetRed B(以上、日本化薬株式会社製),Oil Red DR−99,Oil Red DK−99(以上、有本化学株式会社製),Diacelliton Pink B(以上、三菱化学株式会社製),Sumikaron Red E−FBL(以上、住友化学株式会社製),Latyl Red B(以上、DuPont社製),Sudan Red 7B(以上、BASF社製),Resolin Red FB、Ceres Red7B(以上、Bayer社製)等がある。
【0027】シアン系の昇華性染料には、Kayalon Fast Blue FG、Kayalon Blue FR,Kayacet Blue 136,Kayacet Blue 906(以上、日本化薬株式会社製)、Oil Blue 63以上、有本化学株式会社製),HSB9,RTB 31(以上、三菱化学株式会社製),Disperse Blue ♯1(以上、住友化学株式会社製),MS Blue 50(以上、三井東圧染料株式会社製),Ceres Blue GN(以上、Bayer社製),Duranol Brilliant Blue 2G(以上、ICI社製)等がある。
【0028】各色用の昇華性染料は、単独で又は2種以上を混合して使用される。黒色の色調は、イエロー,マゼンタ,シアン用の昇華性染料を適宜混合することによって得られる。イエロー,マゼンタ,シアン以外の色調をもつ昇華性染料としては、昇華温度が60℃以上の染料が使用される。昇華性染料の選択に際しては、昇華温度の高い染料ほど分子量が多いため、優れた耐光性,耐熱性がクリア上塗り塗膜4に付与される。
【0029】この方法によるとき、必要な印刷模様を必要なときに簡便に付与できるため、多様なニーズに対応して各種の模様を付与した意匠鋼板の小ロット生産が可能になる。しかも、所定の印刷模様を付けた意匠鋼板をストックしておく必要がないため、在庫負担が軽減される。また、クリア上塗り塗膜4と下地金属板1との間に昇華性染料5が単独で存在することがないので、従来のラミネート鋼板にみられたような層間剥離も発生しない。
【0030】
【実施例1】クリア上塗り塗膜4を下地金属板1に直接形成した印刷塗装金属板の製造(本発明例1〜6、比較例1〜4,7〜12:図1c)板厚0.5mmのSUS304HLステンレス鋼板を脱脂,表面調整処理して塗布型クロメート処理を施した後、乾燥膜厚が12μmとなる塗布量でクリア上塗り塗料を塗布した。クリア上塗り塗料としては,塗料不揮発成分基準で平均粒径0.3〜12μmのシリカを0.5〜15質量%,トリアジン系紫外線吸収剤(チバガイギー株式会社製 TINUVIN400)を3質量%添加したポリエステル系塗料を使用した。塗布された塗料を板温230℃で1分間焼き付けることにより,半透明のクリア上塗り塗膜4を形成した。
【0031】ベースコート層2を介してクリア上塗り塗膜4を形成した印刷塗装金属板の製造(本発明例7〜12,比較例5〜8:図1a)板厚0.5mmの溶融Znめっき鋼板を脱脂,表面調整処理し、塗布型クロメート処理を施した後、乾燥膜厚が15μmとなる塗布量で白色ポリエステル系樹脂塗料を塗布し、板温220℃で1分間焼き付けることにより白色のベースコート層2を形成した。次いで、塗料不揮発成分基準で平均粒径0.3〜12μmのシリカを0.5〜15質量%,トリアジン系紫外線吸収剤(チバガイギー株式会社製 TINUVIN400)を3質量%配合した半透明のポリエステル系上塗り塗料を乾燥膜厚が12μmとなる塗布量でベースコート層2上に塗布し、板温230℃で1品間焼き付けることによりクリア上塗り塗膜4を形成した。得られた各塗装鋼板の下地金属板1の種類及び表層として形成されたクリア上塗り塗膜4のシリカ配合例を表1に示す。
【0032】

【0033】転 写 印 刷転写シートとして、昇華性染料(新日鐵化学株式会社製 昇華性捺染用トナー)を用い、静電プロッタ方式の画像プリントシステム(株式会社Exis製 Juana)で静電記録紙に柄模様を出力させることにより作製した。各塗装鋼板のクリア上塗り塗膜4に転写シートを重ね合わせ、温度160℃,圧力0.5kg/cm2で転写シートをクリア上塗り塗膜4に240秒間加熱圧着した。圧着完了後,下地金属板1から転写シートを剥離した。
【0034】印刷塗装金属板の性能試験得られた各印刷塗装金属板の塗膜密着性,塗膜硬度,加工性,耐摩耗性,反射濃度,光沢度及び塗膜の透明感を調査した。塗膜密着性試験では、JIS G3320に準拠して塗膜面に碁盤目を入れ6mm押し出す碁盤目エリクセン試験を行い、粘着テープの貼付け・剥離によって塗膜の剥離状況を調査した。粘着テープ剥離後に剥離が生じなかったものを評点5,僅かに剥離が生じたものを評点4,著しい剥離が発生したものを評点3,全面剥離に近い剥離が生じたものを評点2,塗膜が全面剥離したものを評点1として5段階評価した。塗膜硬度試験では、JIS K 5400‐6‐8.4に準拠して三菱ユニ(三菱鉛筆株式会社製)を用いて塗膜を疵付け、疵がつかない限界の鉛筆硬度で塗膜硬度を評価した。
【0035】加工性試験では,20度の室内で0〜6t(試験片と同じ厚さの板を1枚挟んだ場合が1t)の180度折曲げ加工を施した後、塗膜表面を観察した。0〜2tで塗膜にクラックが検出されなかったものを◎,3〜4tで塗膜にクラックが発生したものを○,5tでクラックが発生したものを△,6tでクラックが発生したものを×として加工性を評価した。通常、○以上の評価点であれば、プレコート鋼板用として実用に供し得る。磨耗試験では、径120mmの試験片の中央に直径6mmの穴をあけ、試験片の重量を測定した後でテーバー試験機に取り付けた。試験片を200回回転させた後、重量を測定した。試験前後の重量差から磨耗減量を求め、次式に従ってテーバー指数を算出した。
テーバー指数=磨耗減量(mg)×1000/回転数(200)
【0036】反射濃度は、反射濃度計(Macbeth社製 ColorChecker SERIES1200)を用い、シアンの反射濃度を測定した。光沢度は、鏡面反射率測定装置を用い、光源からの光の入射角度を60度,反射角度を60度に設定したときの反射率を測定した。塗膜の透明感は,シリカ配合による白濁の程度をみるためシアン印刷部の白色度(L値)を測定し、次式で算出される明度差ΔLで評価した。
ΔL=L1−L01:各印刷塗装金属板のL値L2:シリカ無添加のクリア上塗り塗膜4のL値【0037】表2の調査結果にみられるように、本発明例の印刷塗装金属板は、何れも塗膜密着性,鉛筆硬度,加工性,耐摩耗性,反射濃度、光沢度及び透明感の全てにおいて十分満足できる特性を呈した。また、シリカ配合量の増加に伴って塗膜硬度が上昇する反面、耐摩耗性及び透明感が低下する傾向にあった。これに対し、比較例の印刷塗装金属板では、塗膜密着性,鉛筆硬度,加工性,耐摩耗性,反射濃度、光沢度及び透明感の何れか一つ又は複数が劣っていた。すなわち、シリカ配合量が少ない試験番号1及び5では、光沢度が高すぎて疵が目立ちやすく、反射濃度も不充分であった。逆にシリカ配合量が多い試験番号2及び6は、透明感に劣り、加工性も十分でなかった。また、粒径の小さなシリカを配合した試験番号3及び7は塗膜硬度が不足し、粒径の大きなシリカを配合した試験番号4及び8は塗膜が不透明で耐摩耗性も劣っていた。
【0038】

【0039】
【実施例2】ベースコート層2を介しクリア上塗り塗膜4を形成した印刷塗装金属板の製造(本発明例13〜21,比較例9〜12:図1a)板厚0.5mmの溶融Znめっき鋼板を脱脂・表面調整処理し、塗布型クロメート処理を施した後、乾燥膜厚が15μmとなる塗布量で白色ポリエステル系樹脂塗料を塗布し、板温220℃で1分間焼き付けることにより白色のベースコート層2を形成した。次いで、乾燥膜厚が12μmとなる塗布量でポリエステル系上塗り塗料を塗布し、板温230℃で1分間焼き付けることにより半透明のクリア上塗り塗膜4を形成した。
【0040】本発明例13〜21及び比較例9では、塗料不揮発成分基準で平均粒径2.5μmのシリカを5.0質量%、トリアジン系紫外線吸収剤(チバガイギー社製TINUVIN400)及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバガイギー社製TINUVIN384)を0〜6質量%,ヒンダートアミン系光安定剤(チバガイギー社製 TINUVIN123)を1.5質量%添加した半透明のポリエステル系塗料を上塗り塗料として使用した。比較例10〜12では、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤に代えてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(共同薬品株式会社製 Viosorb130)を塗料不揮発成分基準で1〜6質量%配合する以外は同様なポリエステル系塗料を用いてクリア上塗り塗膜4を形成した。
【0041】使用した各紫外線吸収剤を空気雰囲気中、昇温速度5℃/分で加熱して熱重量を分析し、300℃での重量減少率を求めた。重量減少率は、トリアジン系紫外線吸収剤で3.5質量%,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤で5質量%,ベンゾフェノン系紫外線吸収剤で33質量%であり、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の優れた耐光性,耐熱性が確認された。
【0042】転 写 印 刷下地金属板1の上に形成されたクリア上塗り塗膜4に実施例1と同じ転写シートを重ね合わせ、温度160℃,圧力0.5/cm2で240秒間加熱圧着した。圧着完了後、下地金属板1から転写シートを剥離した。
【0043】印刷塗装金属板の性能試験製造された各印刷塗装金属板から試験片を切り出し、耐光性試験に供した。耐光性試験では、63℃に設定したサンシャインカーボンアークウェザーメーター中、60分照射中に12分間清水噴霧する条件下で試験片を240時間放置した。試験後の試験片についてシアンの色調を測定し、未照射試験片との色差ΔEを求めた。また、実施例1と同じ方法で、試験後の試験片について塗膜密着性及び加工性を調査した。調査結果を表3(本発明例)及び表4(比較例)に対比して示す。
【0044】本発明に従った印刷塗装金属板では、耐光性,塗膜密着性,加工性の何れにおいても十分満足できる特性を呈していた。なかでも、トリアジン系紫外線吸収剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を1:1の比率で混合添加した試験番号19〜21では、それぞれを単独で配合した試験番号13〜18に比較して耐光性が向上していた。これに対し、紫外線吸収財務添加の試験番号9では、耐光性,塗膜密着性,加工性の全てに劣っていた。また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤を添加した試験番号10〜12では、十分な耐光性が得られなかった。
【0045】

【0046】

【0047】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の印刷塗装金属板は、昇華性染料の過剰浸透を制御するシリカ粒子を透明又は半透明の上塗り塗膜に分散させることにより、下地金属又は下塗り塗膜の意匠性を十分に活用でき、鮮映な印刷模様が付与され、且つ耐疵付き性及び耐摩耗性が改善される。しかも、昇華性染料を用いた転写印刷を採用していることから、小ロット多品種生産が可能なことと相俟って、多様なニーズに対して種々の模様を付与した印刷塗装金属板が製造される。このようにして得られた印刷塗装金属板は、優れた特性を活用し、フルカラー広告看板,外装材,内装材,表装材,家電機器用外板,厨房機器用材料等、広範な用途に使用される。




 

 


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