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発明の名称 シャドウマスク用薄板の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−38403(P2001−38403A)
公開日 平成13年2月13日(2001.2.13)
出願番号 特願平11−214281
出願日 平成11年7月28日(1999.7.28)
代理人 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外1名)
【テーマコード(参考)】
4E002
4E016
5C027
【Fターム(参考)】
4E002 AA07 AD05 AD06 BB09 BC01 BC04 BC05 BC10 CA02 CA08 
4E016 AA02 BA02 CA09 DA11 DA19 EA02 FA16
5C027 HH03
発明者 塩谷 礼機 / 中村 憲彦 / 中乗 敬之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 仕上げ冷間圧延工程において、ダル加工されたロールを用いて薄板に冷間圧延を行う板厚0.15mm以上のシャドウマスク用薄板の製造方法において、ロールを中心線平均粗さRa:1.0μm≦Ra≦2.0μmにダル加工し、前記ダル加工された一対のロールに、ロール幅1mm当りの荷重Wa:0.025トン≦Wa≦0.45トンを付与して相互に接触させ、積算回転数を1000回転未満で、かつ仕上げ板厚、最終パスの冷間圧下率、ロールの中心線平均粗さRaおよび荷重Waに応じて予め定められる値に設定して接触回転処理を施し前記接触回転処理されたロールを用いて冷間圧延を行うことを特徴とするシャドウマスク用薄板の製造方法。
【請求項2】 仕上げ冷間圧延工程においてダル加工されたロールを用いて薄板に冷間圧延を行う板厚0.15mm未満のシャドウマスク用薄板の製造方法において、ロールを中心線平均粗さRa:1.6μm<Ra≦2.2μmにダル加工し、前記ダル加工された一対のロールにロール幅1mm当りの荷重Wa:0.025トン≦Wa≦0.45トンを付与して相互に接触させ、積算回転数を仕上げ板厚、最終パスの冷間圧下率、ロールの中心線平均粗さRaおよび荷重Waに応じて予め定められる値に設定して接触回転処理を施し、前記接触回転処理されたロールを用いて冷間圧延を行うことを特徴とするシャドウマスク用薄板の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャドウマスク用薄板の製造方法に関し、特に仕上げ冷間圧延に用いるロールに特徴のあるシャドウマスク用薄板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーテレビのブラウン管用シャドウマスクには、多数の小さな透孔がフォトエッチングによって穿孔されている。フォトエッチングによる穿孔は、シャドウマスク用薄板(以後、シャドウマスク材と呼ぶことがある)にフォトレジストを塗布し、ガラス製基準パターンを真空引きによってフォトレジストに密着させ、光をあてて基準パターンをフォトレジストに焼付け、非感光部のレジストを除去した後、エッチング液を噴射することによって行われる。
【0003】真空引き時の空気の流路は、シャドウマスク材の表面の凹凸によって形成される。この空気の流路が充分かつ均一に形成されていないと、ガラス製基準パターンの密着性が悪くなり、また密着させるための真空引きの所要時間が長くなる。ガラス製基準パターンの密着性が悪くなると、エッチングによる穿孔精度が低下する。また、この空気の流路を充分に形成するためにシャドウマスク材表面の凹凸を大きくすると、その凹凸自体によって穿孔精度が低下する。したがって、シャドウマスク材の凹凸を表す表面粗さは予め定める範囲内に収めることが重要である。
【0004】シャドウマスク材の表面粗さを調整して適正化することはエッチング後の焼なまし時における密着防止のためにも重要である。近年、カラーテレビの高品位化に伴って、色ずれの問題に対応できる低熱膨張のシャドウマスク材料が求められており、Fe−Ni系のインバー合金が注目されている。インバー合金は低炭素鋼に比べて焼なまし温度を高くする必要があるので、シャドウマスクのエッチング後の焼なまし時に密着焼付きが生じやすい。したがって、表面粗さの適正化は特に重要である。
【0005】シャドウマスク材は、表面に凹凸を形成するためにダル加工されたロール(以後、ダルロールと呼ぶことがある)を用いて、仕上げ冷間圧延される。ダルロールは、ロール表面にショットブラスト加工、液体ホーニング加工、放電加工およびレーザビーム加工などのダル加工によって微細な凹凸加工を施したロールである。シャドウマスク材の場合、このようなダルロールをそのまま用いて仕上げ冷間圧延を行っても、表面に均一に所望の形状の凹凸を転写することは困難である。特に後記かたよりRskを目標範囲内に収めることは困難である。また、圧延初期にダルロールの凸部の摩耗によって長手方向の表面粗さのバラツキが生じやすい。
【0006】この問題を解決するための先行技術として、特許第2841941号、特許第2842022号、特許第2850612号、特許第2853069号および特許第2853070号公報が開示されている。すなわちこれらの先行技術には、0.8〜1.6μmRaにダル加工した一対のロールを所定の荷重で接触させ、1000回転〜10000回転の空転動処理を施し、空転動処理した一対のロールを用いて冷間圧延するシャドウマスク材の製造方法が開示されている。
【0007】これらの先行技術では、空転動処理によって圧延初期に摩耗しやすいロールの凸部を冷間圧延前に摩滅し、ロール粗さを安定した状態にして冷間圧延を行っている。したがって、このダルロールを用いて冷間圧延されたシャドウマスク材は長手方向の表面粗さを均一にすることができ、エッチング時の穿孔精度を向上することができる。またロールの凸部が摩滅したダルロールで冷間圧延されるので、シャドウマスク材には山の多い表面が形成されやすくなり、かたよりRskを目標範囲内に収めることが可能になる。したがって、前記焼なまし温度の高いFe−Ni系インバー合金から成るシャドウマスク材料に対してもエッチング後の焼なまし時における密着焼付きを防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記先行技術には次のような問題がある。
【0009】(1)前記先行技術の初期ロール粗さは0.8〜1.6μmRaであり、ダルロールとしては粗さが小さく、さらに空転動処理によって粗さが低下するので、1パス当りの冷間圧下率が通常レベルではシャドウマスク材の表面粗さを予め定める範囲の下限値以上にすることができない。したがって、シャドウマスク材の表面粗さを確保するためには、1パス当りの冷間圧下率を大きくする必要がある。しかしながら、本発明者らの調査によると、ダル圧延において1パス当りの冷間圧下率を大きくすると、シャドウマスク材の表面に後述するゼブラ模様と呼ばれる縞状の表面欠陥が発生しやすくなる。
【0010】(2)前記(1)項の問題を回避するためには1パス当りの冷間圧下率を大きくせずに、空転動処理回数を減らして初期ロール粗さの低下を抑制すればよい。しかしながら、空転動処理回数の減少は、ロールの初期摩耗を生じさせ、シャドウマスク材の長手方向における粗さの均一性を低下させる。さらに本発明者らの調査によると、空転動処理回数の減少はシャドウマスク材の表面にゼブラ模様を発生させやすくする。
【0011】(3)これらの先行技術は、ゼブラ模様に全く着目しておらず、ロール粗さの設定および空転動処理の回転数の設定にもゼブラ模様に対する配慮が全く成されていない。したがって、これらの先行技術による条件設定では、ゼブラ模様が発生するおそれがある。
【0012】本発明の目的は、シャドウマスク用薄板の表面に縞状の表面欠陥を発生させることなく、かつシャドウマスク用薄板の表面粗さを予め定める範囲内に均一に収めることのできるシャドウマスク用薄板の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、仕上げ冷間圧延工程において、ダル加工されたロールを用いて薄板に冷間圧延を行う板厚0.15mm以上のシャドウマスク用薄板の製造方法において、ロールを中心線平均粗さRa:1.0μm≦Ra≦2.0μmにダル加工し、前記ダル加工された一対のロールに、ロール幅1mm当りの荷重Wa:0.025トン≦Wa≦0.45トンを付与して相互に接触させ、積算回転数を1000回転未満で、かつ仕上げ板厚、最終パスの冷間圧下率、ロールの中心線平均粗さRaおよび荷重Waに応じて予め定められる値に設定して接触回転処理を施し前記接触回転処理されたロールを用いて冷間圧延を行うことを特徴とするシャドウマスク用薄板の製造方法である。
【0014】本発明に従えば、板厚0.15mm以上の比較的板厚の厚いシャドウマスク材を製造するとき、一対のロールに中心線平均粗さ1.0〜2.0μmRaのダル加工が施され、ダル加工された一対のロールに適正条件で接触回転処理が施され、接触回転処理されたロールを用いて冷間圧延が行われる。また接触回転処理の積算回転数は、1000回転未満で、かつロールの粗さRa、最終パスの冷間圧下率、荷重Wa、仕上げ板厚などの要因に応じて予め定められる値に設定される。
【0015】これによって、ダル加工されたロールの凸部を接触回転処理において適正量摩滅させることができるので、ロールの粗さプロフィールを所望の形状に適正化することができる。したがって、シャドウマスク用薄板の表面粗さを予め定める目標範囲内に均一に収めることができる。また、ロールの凸部の摩滅によってダル加工されたロールとシャドウマスク材との接触界面における板幅方向の摩擦拘束力を低減することができる。後述のように、前記接触界面における板幅方向の摩擦拘束力が大きくなるほどゼブラ模様が発生しやすくなるので、前記接触界面における摩擦拘束力の低減によってゼブラ模様の発生を防止することができる。また積算回転数の下限値を、たとえば後述の式1に示す回帰式に基づいて前記各要因に応じて設定すれば、前記各要因に変動があっても積算回転数を1000回転未満で、かつ前記下限値以上の予め定める値に合理的に設定することができる。また接触回転処理の積算回転数の上限値が従来技術よりも大幅に低い1000回転未満に設定されるので、接触回転処理時間を大幅に短くすることができ、接触回転処理の能率を向上することができる。
【0016】また本発明は、仕上げ冷間圧延工程においてダル加工されたロールを用いて薄板に冷間圧延を行う板厚0.15mm未満のシャドウマスク用薄板の製造方法において、ロールを中心線平均粗さRa:1.6μm<Ra≦2.2μmにダル加工し、前記ダル加工された一対のロールにロール幅1mm当りの荷重Wa:0.025トン≦Wa≦0.45トンを付与して相互に接触させ、積算回転数を仕上げ板厚、最終パスの冷間圧下率、ロールの中心線平均粗さRaおよび荷重Waに応じて予め定められる値に設定して接触回転処理を施し、前記接触回転処理されたロールを用いて冷間圧延を行うことを特徴とするシャドウマスク用薄板の製造方法である。
【0017】本発明に従えば、板厚0.15mm未満の板厚の薄いシャドウマスク材を製造するとき、一対のロールに中心線平均粗さ1.6〜2.2μmRaのダル加工が施され、ダル加工された一対のロールに適正条件で接触回転処理が施され、接触回転処理されたロールを用いて冷間圧延が行われる。また接触回転処理の積算回転数は、ロールの粗さRa、最終パスの冷間圧下率、荷重Wa、仕上げ板厚などの要因に応じて予め定められる値に設定される。
【0018】後述のように、板厚0.15mm未満のシャドウマスク材は板厚0.15mm以上のシャドウマスク材よりもゼブラ模様が発生しやすい。したがって、板厚0.15mm未満のシャドウマスク材に係る接触回転処理の積算回転数Nは板厚0.15mm以上のシャドウマスク材に係る積算回転数よりも大きくなるように設定される。接触回転処理において、積算回転数が大きくなるとロール凸部の摩滅量が大きくなるけれども、板厚0.15mm未満のシャドウマスク材に係るロール粗さは板厚0.15mm以上のシャドウマスク材に係るロール粗さよりも大きく設定されているので、この粗さ増分量によって積算回転数Nの増大に伴うロール凸部の摩滅量の増分を相殺することができる。したがって、ロールの粗さプロフィールが、所望の形状に適正化され、板厚0.15mm未満のシャドウマスク材の表面粗さを予め定める目標範囲内に均一に収めることができる。
【0019】また積算回転数の下限値を、たとえば後述の式2に示す回帰式に基づいて前記各要因に応じて設定すれば、前記各要因に変動があっても積算回転数を前記下限値以上の予め定める値に合理的に設定することができる。これによって、前記ロール凸部の摩滅が適正量生じ、接触界面における摩擦拘束力が減少するので、ゼブラ模様の発生を防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係わるシャドウマスク用薄板は、たとえば36%ニッケル−鉄合金から成り、その仕上げ板厚は0.12〜0.25mmである。シャドウマスク材は、前述のように表面粗さを予め定める範囲内に収める必要があり、その許容範囲はたとえば表1に示すように取決められている。
【0021】
【表1】

【0022】表1中の中心線平均粗さRaは、JIS B0601に規定されている粗さの振幅に関するパラメータであり、測定長さ全体の凹凸を算術平均した数字である。中心線平均粗さRaは、前述のように真空引き時の空気の流路に関連するものである。平均山間隔Smは、ISO 468に規定されている粗さ曲線の波長に関するパラメータであり、凹凸の山間隔を算術平均した数字である。平均山間隔Smは、ガラス製基準パターンを真空引きによってフォトレジストに密着させる際の真空引き性に関連するものであり、Smが大きくなるほど真空引き性が良く、短時間で真空引きが行える。かたよりRskはISO 4287/1に規定されている振幅分布曲線の中心線に対する対称性を示すパラメータであり、粗さ曲線の高さ方向のかたよりの度合を示す。かたよりRskは、山の多い粗さプロフィールであれば正の値となり、谷の多い粗さプロフィールであれば負の値となる。かたよりRskが正の値であれば、シャドウマスク材を重合わせて高温で焼なましを行うときに板同志の接触面積が減少するので、板同志の密着焼付けが防止される。
【0023】図1は、本発明の実施の一形態であるシャドウマスク用薄板の製造方法を示すフローチャートである。ステップa1〜a2では、36%ニッケル−鉄合金の連続鋳造が行われ、連続鋳造された鋳片の疵取りが研削といしを用いて行われる。ステップa3では、熱間圧延が所定の熱間圧延条件で行われ、ステップa4では、熱間圧延コイルの表面に形成されている酸化スケールがデスケーリングされる。ステップa5では、冷間圧延が所定の冷間圧延条件で行われる。本実施の形態では、冷間圧延は12段クラスターミルによって行われる。12段クラスターミルのワークロールは平滑なスムースロールであり、その直径はたとえば100〜125mmである。冷間圧延における圧延油としては、低粘度の鉱油のストレート油が使用される。鉱油の粘度は、たとえば7cSt(40℃)である。ステップa6では、焼なましが行われ、冷間圧延によって加工硬化したシャドウマスク材が軟質化される。ステップa5〜a6は繰返して行われることもある。
【0024】ステップa7では、仕上げ冷間圧延の最終パス用ワークロールの準備が行われる。このワークロールの準備工程は、後述するように一対のワークロールにダル加工を施し、さらにこの一対のダルロールに接触回転処理を施すことによって行われる。
【0025】ステップa8では、仕上げ冷間圧延が行われる。この仕上げ冷間圧延工程は、最終パスを除いてステップa5における冷間圧延と同じミルおよびワークロールを用いて行われる。仕上げ冷間圧延の最終パスは、12段クラスターミルのワークロールを前記準備したダルロールに交換して1パスで行われる。この最終パスを以後ダル仕上げ圧延と呼ぶ。ダル仕上げ圧延によってダルロールの凹凸がシャドウマスク材に転写される。ダル仕上げ圧延時、前述のようにシャドウマスク材の表面にゼブラ模様と呼ばれる表面欠陥が発生することがある。本実施の形態では、後述のようにゼブラ模様の発生防止とシャドウマスク材の表面粗さの確保とが両立できるように前記接触回転処理条件およびダル仕上げ圧延条件が設定される。ダル仕上げ圧延の圧延条件については後述する。ダル仕上げ圧延が1パスで行われるのは、多パス通板によって前記平均山間隔Smが低下するのを回避するためである。
【0026】前記ゼブラ模様は、図2に示すようにダル状肌のシャドウマスク材の表面Dに金属光沢を有する縞状の領域Zが形成される表面欠陥であり、その表面欠陥はシャドウマスク材のような板厚の薄い材料をダル仕上げ圧延するときに発生しやすいことが経験上知られている。本発明者らは、ゼブラ模様について様々な検討を重ねた結果、次のような知見を得た。
【0027】(a)ゼブラ模様は、ダルロールとシャドウマスク材との接触界面における板幅方向の摩擦拘束力が大きいときに発生する表面欠陥であり、その発生原因は接触界面における板の幅広がりが摩擦拘束力によって不均一になることによるものと推定される。
(b)ゼブラ模様は、シャドウマスク材の板厚が薄くなるほど発生しやすくなり、特に板厚0.15mm未満において著しく発生しやすくなる。
(c)ゼブラ模様の発生を防止するには、ダル仕上げ圧延時の摩擦拘束力を低減することが有効であり、そのためには、一対のダルロールに荷重を付加しながら接触回転処理を施し、ダルロールの凸部を図3に示すように摩滅させ、このような処理をしたダルロールを用いてシャドウマスク材をダル仕上げ圧延することが有効である。
(d)接触回転処理におけるダルロールの凸部の摩滅は、同時にシャドウマスク材の表面粗さの低下をもたらす。したがって接触回転処理条件の設定に当たっては、ゼブラ模様の発生防止とシャドウマスク材の表面粗さの確保とが両立できる条件を見出す必要がある。
【0028】図4は、図1に示すダルロールの準備工程の処理手順を示すフローチャートである。ステップs1では、シャドウマスク材の仕上げ板厚tが指令される。ステップs2では、仕上げ板厚tが0.15mm以上であるか否かが判断される。この判断が肯定で、仕上げ板厚tが0.15mm以上であれば、ステップs3に進む。ステップs3では、ワークロールのダル加工が行われる。ダル加工は、Al23粒子を高い圧力でワークロールに吹付ける液体ホーニング加工によって行われる。ワークロールの表面粗さRaは、1.0μm≦Ra≦2.0μmの範囲の値に選ばれる。ワークロールの表面粗さRaの下限値を1.0μmに限定したのは、下限値未満の表面粗さではシャドウマスク材の表面粗さRaが表1に示す下限値を下回るおそれがあるからである。ワークロールの表面粗さRaの上限値を2.0μmに限定したのは、上限値を越える表面粗さでは接触回転処理の積算回転数Nを後記1000回転未満に抑制することができなくなり、接触回転処理の能率が低下するからである。
【0029】ステップs4では接触回転処理の荷重Waと最終パスの冷間圧下率rとが設定される。荷重Waは一対のダルロールのロール幅1mm当りの荷重Waで表され、0.025トン≦Wa≦0.45トンの範囲の値に選ばれる。荷重Waの上限値を0.45トンに限定したのは、接触回転処理によってダルロールの凸部の摩滅量が過大になるのを回避するためであり、荷重Waの下限値を0.025トンに限定したのはダルロールの凸部の摩滅量が過小になるのを回避するためである。荷重Waは、たとえばロール幅1mm当り0.1トンである。
【0030】最終パスの冷間圧下率rは2%≦r<15%の範囲の値に選ばれる。最終パスの冷間圧下率の下限値を2%に限定したのは、下限値未満の冷間圧下率では、シャドウマスク材の表面粗さRaが表1に示す下限値を下回るおそれがあるからであり、最終パスの冷間圧下率の上限値を15%未満に限定したのは、上限値以上の冷間圧下率ではダルロールとシャドウマスク材との接触界面における摩擦拘束力が過大になり、ゼブラ模様の発生を回避することができなくなるからである。最終パスの冷間圧下率rは、たとえば8%である。
【0031】ステップs5では、接触回転処理の積算回転数Nの設定が行われる。積算回転数NはN1≦N<1000の範囲の値に選ばれ、この範囲内の予め定める値に設定される。下限値N1は次の式1によって求められる。
N1 = (k1・Ra + k2・r − k3・Wa)/t …(1)
【0032】式1は、ワークロールの中心線平均粗さRa、最終パスの冷間圧下率r、荷重Waおよび仕上げ板厚tを要因として積算回転数Nの下限値N1を推定する回帰式であり、比Ra/t,r/t,Wa/tを変数とし、積算回転数Nの下限値N1を観測値として構成されている。式1は、最小2乗法に基づいて重回帰分析によって求められる。式1中のk1,k2,k3は回帰係数である。
【0033】式1は実操業を行う前に多数のダル仕上げ圧延実験に基づいて次のような手順で事前に予め設定される。■要因Ra,r,Wa,tの具体的な数値を前記各範囲内からランダムに選び、■前記選んだ数値Raのロール粗さを有する複数対のダルロールに数値Waの荷重を付与し、複数水準の積算回転数Nの接触回転処理を施し、■接触回転処理された複数対のダルロールを用いて数値rの冷間圧下率で、数値tの仕上げ板厚になるようにダル仕上げ圧延を1パスで行い、■このようなダル仕上げ圧延の実験結果から、ゼブラ模様の発生防止とシャドウマスク材の表面粗さの確保とが両立できる積算回転数Nの下限値を求め、■前記選んだ数値Ra,r,Wa,tの比Ra/t,r/t,Wa/tと、それに対応する前記両立可能な積算回転数Nの下限値との組合わせデータを求め、■このような組合わせデータを多数採取し、■前記採取した多数の組合わせデータを最小2乗法に基づいて重回帰分析する。
【0034】これによって、式1の変数Ra/t,r/t,Wa/tにステップs1,s3,s4で設定した値を代入すると、前記ゼブラ模様の発生防止と表面粗さとの確保とが両立可能な積算回転数Nの下限値N1を求めることができる。したがって、下限値N1未満の積算回転数では、ゼブラ模様の発生防止とシャドウマスク材の表面粗さの確保とを両立させることができない。前述のように積算回転数Nの下限値をN1に限定したのはこの理由によるものである。
【0035】また積算回転数Nの上限値を1000回転に限定したのは、実操業実績に基づくものである。すなわち前述のようにゼブラ模様は板厚0.15mm以上のシャドウマスク材で発生しにくくなるので、1000回転以上の積算回転数Nを付与しても、処理時間の増加に見合うだけのゼブラ模様低減効果が得られないからである。また板厚0.15mm以上のシャドウマスク材ではゼブラ模様が発生しにくいので、最終パスの冷間圧下率を高くすることができる。その結果、シャドウマスク材の表面粗さプロフィルの指標Ra,Sm,Rskとも増大するので、積算回転数Nは1000回転以上にする必要がない。
【0036】前記ステップs2における判断が否定であれば、すなわちシャドウマスク材の仕上げ板厚tが0.15mm未満であれば、ステップs6に進む。ステップs6では、ワークロールのダル加工がステップs3と同様の方法で行われる。ワークロールの表面粗さRaは、1.6μm<Ra≦2.2μmの範囲の値に選ばれる。ワークロールの表面粗さRaの下限値を1.6μmに限定したのは、下限値以下の表面粗さではシャドウマスク材の表面粗さRaが表1に示す下限値を下回るおそれがあるからである。ワークロールの表面粗さRaの上限値を2.2μmに限定したのは、上限値を超える表面粗さではゼブラ模様が発生しやすくなること、およびゼブラ模様の発生を防止するために必要な積算回転数が増大して接触回転処理の能率が低下するからである。
【0037】またこの下限値(Ra:1.6μm)が仕上げ板厚0.15mm以上のシャドウマスク材に係るワークロールの表面粗さの下限値(Ra:1.0μm)よりも大きく設定されているのは、次の理由によるものである。すなわち板厚0.15mm未満のシャドウマスク材では,板厚0.15mm以上のシャドウマスク材に比べ前述のようにゼブラ模様が発生しやすくなるので、接触回転処理の積算回転数Nを増大して前記接触界面の摩擦拘束力を低減する必要がある。この積算回転数Nの増大はロール凸部の摩滅量の増大を招くけれども、この摩滅量の増分量は前記粗さの増分量によって相殺される。したがって、ロール粗さの過度の低下を来すことなく、ロールの粗さプロフィールを所望の形状に適正化することができる。
【0038】ステップs7では、接触回転処理の荷重Waと最終パスの冷間圧下率rとが設定される。ロール幅1mm当りの荷重Waは、前記ステップs4の場合と同様に0.025トン≦Wa≦0.45トンの範囲の値に選ばれる。最終パスの冷間圧下率rは2%≦r<8%の範囲の値に選ばれる。最終パスの冷間圧下率rの下限値を2%に限定し、上限値を8%に限定したのはステップs4の場合と同様の理由によるものである。またこの上限値(r:8%)が仕上げ板厚0.15mm以上のシャドウマスク材における最終パスの冷間圧下率の上限値(r:15%)よりも低く設定されているのは、仕上げ板厚0.15mm未満のシャドウマスク材は仕上げ板厚0.15mm以上のシャドウマスク材よりもゼブラ模様が発生しやすいので、最終パスの冷間圧下率rを低く設定することによって前記接触界面における摩擦拘束力を低下させてゼブラ模様の発生を抑制しようとするものである。
【0039】ステップs8では、接触回転処理の積算回転数Nの設定が行われる。積算回転数Nは、N2≦Nの範囲の値に選ばれ、この範囲内の予め定める値に設定される。下限値N2は次の式2によって求められる。
N2 = (c1Ra + c2r − c3Wa)/t …(2)
【0040】式2は、式1と同様にワークロールの中心線平均粗さRa、最終パスの冷間圧下率r、荷重Waおよび仕上げ板厚tを要因として積算回転数Nの下限値N2を推定する回帰式であり、比Ra/t,r/t,Wa/tを変数とし、積算回転数Nの下限値N2を観測値として構成されている。式2は最小2乗法に基づいて重回帰分析によって求められる。式2中のc1,c2,c3は回帰係数である。式2は、式1と同様の方法で多数のダル仕上げ圧延実験に基づいて実操業を行う前に予め設定される。式2の変数Ra/t,r/t,Wa/tにステップs1,s6,s7で設定した値を代入すると、ゼブラ模様の発生防止と表面粗さの確保とが両立可能な積算回転数Nの下限値N2を求めることができる。したがって、下限値N2未満の積算回転数Nでは、ゼブラ模様の発生防止と表面粗さの確保とを両立させることができない。積算回転数Nの下限値をN2に限定したのはこの理由によるものである。また積算回転数Nの上限値は、ロールの疲労寿命によって限定される。
【0041】ステップs5またはステップs8における積算回転数Nの設定が完了するとステップs9に進む。ステップs9では接触回転処理が行われる。接触回転処理は、一対のダルロールをロール幅1mm当りの荷重Wa:0.025〜0.45トン、洗浄剤流量Fa:2000〜3000リットル/分および前述のようにして設定された積算回転数Nの条件のもとで接触回転させることによって行われる。接触回転処理中、一対のダルロールは軸線方向に相互に逆方向にオシュレーションされる。これによって、ダルロールの凸部の摩滅が均等に生じる。洗浄剤流量Faの下限値を2000リットル/分に限定したのは、ダルロールの凸部の摩滅粉が洗浄除去されないで残留するのを回避するためであり、洗浄剤流量Faの上限値を3000リットル/分に限定したのは、これ以上洗浄剤流量を増大しても、洗浄効果が飽和して洗浄効果の向上が認められないからである。本実施の形態では、洗浄剤として前記圧延油が使用される。このような一連の処理s1〜s9によってダルロールの準備工程が完了する。
【0042】前記仕上げ冷間圧延の最終パスとして行われるダル仕上げ圧延は、前記接触回転処理した一対のダルロールを用いて、前記図4のステップs4またはステップs7で設定された冷間圧下率rで、かつ前方張力Tfを40〜45kg/mm2、後方張力Tbを35〜45kg/mm2に設定して行われる。前方張力Tfおよび後方張力Tbの下限値をそれぞれ40,35kg/mm2に限定したのは、このように張力下限値を大きくすることによって圧延荷重の低減を図り、ダルロールとシャドウマスク材との接触界面における板幅方向の摩擦拘束力を低減してゼブラ模様の発生を防止するためである。前方張力Tfおよび後方張力Tbの上限値を45kg/mm2に限定したのは、シャドウマスク材の破断を回避するためである。
【0043】このように、シャドウマスク材の板厚に応じてダルロールの表面粗さRa、ロール幅1mm当りの荷重Wa、洗浄剤流量Faおよび接触回転処理の積算回転数Nを前記範囲内で適正に設定して一対のダルロールの接触回転処理が行われ、仕上げ冷間圧延工程の最終パスであるダル仕上げ圧延時に前記接触回転処理した一対のダルロールを用いて冷間圧下率r、前方張力Tfおよび後方張力Tbを前記範囲内で適正に設定して冷間圧延が行われるので、シャドウマスク材の表面にゼブラ模様を発生させることなく、かつシャドウマスク材の表面粗さRaを予め定める許容範囲内に確実に収めることができる。
【0044】また接触回転処理の積算回転数Nの下限値はRa/t,r/t,Wa/tを変数とする予め定める回帰式に基づいて設定されるので、前記各変数に変動があっても常に適正な下限値を合理的に設定することができる。したがって、積算回転数Nを前記各要因に応じて前記下限値以上の適正な値に予め定めることができる。また仕上げ板厚0.15mm以上のシャドウマスク材の積算回転数Nの上限値は操業実績に基づいて1000回転に設定されているので、積算回転数の上限値が10000回転に設定されている従来技術に比べて、大幅に積算回転数を低減することができる。したがって本実施の形態では従来技術に比べて接触回転処理時間を大幅に短縮することができ、接触回転処理の能率を向上することができる。
【0045】また前記ダルロールの接触回転処理によってダルロールの凸部が摩滅するのでダルロールの表面粗さRaを安定した状態にして冷間圧延を行うことができる。したがって、初期摩耗によるシャドウマスク材の長手方向の表面粗さRaのバラツキが防止され、シャドウマスク材の長手方向の表面粗さRaを均一化することができる。また、図3に示すように凸部が摩滅したダルロールを用いてダル仕上げ圧延が行われるので、シャドウマスク材の表面は図5に示すように前記かたよりRskが0以上の山の部分の多い粗さプロフィールになり、シャドウマスク材を重合わせて焼まなしを行うとき、シャドウマスク材が普通鋼よりも焼なまし温度の高い36%ニッケル−鉄合金から成るシャドウマスク材であっても、板同志の密着焼付けを防止することができる。またダル仕上げ圧延が1パスで行われるので、多パス圧延による前記平均山間隔Smの低下を回避することができ、平均山間隔Smを表1に示す許容範囲内に収めることができる。したがって、本発明によれば、表面品質に優れたシャドウマスク材を安定して製造することができる。
【0046】(実施例1)仕上げ板厚0.18mmの36%ニッケル−鉄合金から成るシャドウマスク材を製造した。直径120mmのハイス製ワークロールを中心線平均粗さRaで1.5μmにダル加工し、このダル加工された一対のダルロールをロール幅1mm当りの荷重:0.1トン、洗浄剤流量:2500リットル/分および積算回転数:450回転(式1によるN1=398)の条件で接触回転処理した。仕上げ冷間圧延工程において、その最終パス時に前記接触回転処理したダルロールを用いて板厚0.196mmから板厚0.18mmまでダル仕上げ圧延を行った。ダル仕上げ圧延条件は、冷間圧下率8%、前方張力42kg/mm2、後方張力38kg/mm2であった。ダル仕上げ圧延後のシャドウマスク材の表面粗さRaは表1に示す許容範囲内の0.55μmRaであり、シャドウマスク材の表面にはゼブラ模様が認められなかった。
【0047】(実施例2)仕上げ板厚0.12mmの36%ニッケル−鉄合金から成るシャドウマスク材を製造した。直径120mmのハイス製ワークロールを中心線平均粗さRaで2.0μmにダル加工し、このダル加工された一対のダルロールをロール幅1mm当りの荷重:0.1トン、洗浄剤流量:2500リットル/分および積算回転数:1300回転(式2によるN2=1194)の条件で接触回転処理した。仕上げ冷間圧延工程において、その最終パス時に前記接触回転処理したダルロールを用いて板厚0.125mmから板厚0.12mmまでダル仕上げ圧延を行った。ダル仕上げ圧延条件は、冷間圧下率4%、前方張力42kg/mm2、後方張力38kg/mm2であった。ダル仕上げ圧延後のシャドウマスク材の表面粗さRaは表1に示す許容範囲内の0.52μmRaであり、シャドウマスク材の表面にはゼブラ模様が認められなかった。
【0048】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の本発明によれば、板厚0.15mm以上のシャドウマスク材を製造するとき、仕上げ冷間圧延を行うロールにダル加工が行われ、ダル加工されたロールに接触回転処理が適正に行われるので、ロールの粗さプロフィールを所望の形状に適正化することができる。またこれによってダル加工されたロールとシャドウマスク材との接触界面における板幅方向の摩擦拘束力を低減することができる。したがって、ゼブラ模様の発生を防止することができ、シャドウマスク材の表面粗さを予め定める範囲内に均一に収めることができる。また積算回転数の下限値が式1に基づいて設定されるので、ロール粗さRa、最終パスの冷間圧下率、荷重Wa、仕上げ板厚などの要因に変動があっても、積算回転数を1000回転未満で、かつ前記下限値以上の予め定める値に合理的に設定することができる。また接触回転処理の積算回転数Nの上限値が従来技術よりも大幅に低く設定されるので、接触回転処理時間を大幅に短くすることができ、接触回転処理の能率を向上させることができる。
【0049】また請求項2記載の本発明によれば、板厚0.15mm未満の板厚の薄いシャドウマスク材を製造するとき、板厚0.15mm以上のシャドウマスク材を製造するときよりもゼブラ模様が発生しやすいので、接触回転処理の積算回転数Nが大きく設定される。積算回転数Nの増大はロール凸部の摩滅量の増大を招くけれども、板厚0.15mm未満のシャドウマスク材を製造するとき、ロールの粗さが板厚0.15mm以上のシャドウマスク材を製造するときよりも大きく設定されているので、このロール粗さの増分量によってロール凸部の摩滅量の増分を相殺することができる。したがって、ロールの粗さプロフィールが所望の形状に適正化され、板厚0.15mm未満のシャドウマスク材の表面粗さを予め定める適正範囲内に均一に収めることができる。またロール凸部の摩滅によって前記接触界面における摩擦拘束力が減少するので、ゼブラ模様の発生を防止することができる。また積算回転数の下限値が式2に基づいて設定されるので、ロールの粗さRa、最終パスの冷間圧下率、荷重Wa、仕上げ板厚などの要因に変動があっても積算回転数を前記下限値以上の予め定める値に合理的に設定することができる。




 

 


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