米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> 東レ株式会社

発明の名称 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−62911(P2001−62911A)
公開日 平成13年3月13日(2001.3.13)
出願番号 特願平11−242744
出願日 平成11年8月30日(1999.8.30)
代理人 【識別番号】100091384
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
【テーマコード(参考)】
4F205
4F207
4F210
【Fターム(参考)】
4F205 AA03 AA24 AA29 AE01 AG01 AM10 GB02 GC02 GF01 GF23 
4F207 AA03 AA24 AA29 AE01 AG01 AM10 KA01 KA17 KM20
4F210 AA03 AA24 AA29 AE01 AG01 AM10 QA02 QA03 QC05 QC06 QD10 QG01 QG18 QW06
発明者 長田 俊一 / 綱島 研二 / 園田 和衛
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 走行するフィルムが接触する回転体にプラズマを照射することにより、回転体に付着した有機物を除去することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項2】 常温・常圧下でプラズマを照射することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項3】 空気中でプラズマを照射することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項4】 プラズマを照射する電極がトーチ型電極であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項5】 回転体の表面材質が金属あるいはセラミックであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項6】 回転体に付着した有機物が、分子量2000以下の有機物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項7】 熱可塑性樹脂フィルムがポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルのいずれかよりなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項8】 プラズマを照射する電極を回転体の面長方向に移動させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項9】 二軸延伸することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものである。更に詳しくは、傷の少ない品質に優れた、かつ非常に生産性に優れた熱可塑性樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムの利用分野では、傷や異物や変性ポリマー等の欠点のないフィルムが求められている。特に、液晶ディスプレイ用反射板、タッチパネル、反射フィルム等の光学用途ではフィルム欠点のない高い品質のフィルムが強く求められている。異物や変性ポリマーなどのフィルム内部に存在する欠点を低減するための技術についても盛んな研究開発が行われているが、フィルム表面に存在する傷による欠点の頻度が高いことから、その低減方法がいつくか考案されている。
【0003】本発明者らは、このような熱可塑性樹脂フィルムの製造工程における傷の発生が、熱可塑性樹脂フィルムが接触する回転体が経時で汚れることに起因していることを、鋭意努力の結果、見出した。この汚れの原因は、有機物、とくに熱可塑性樹脂に含まれるオリゴマーが主要因であり、これを除去・低減することが傷のない熱可塑性樹脂フィルムの製造につながると考え、本発明に至った。
【0004】一方、熱可塑性樹脂フィルムを製造する際、熱可塑性樹脂に含まれるオリゴマーが樹脂内部からブリードアウトするために製造工程の汚れの原因となり、ひどい場合にはオリゴマー汚れ箇所の清掃のために製造を一旦中止しなければならず、生産性を著しく阻害するという問題がある。このような熱可塑性樹脂フィルムの製造過程におけるオリゴマー汚れの問題に対し、特開平11−80520号公報には、特定の化合物を添加することにより熱可塑性樹脂内部からのオリゴマーのブリードアウトを低減しようという試みが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特定の化合物の添加によるオリゴマーのブリードアウト抑制では、オリゴマー汚れを完全にはなくすことができないとともに、添加した化合物のために熱可塑性樹脂フィルムの品質が変わるという問題がある。
【0006】そこで、本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解消し、傷のない品質、生産性ともに優れた熱可塑性樹脂シートを得ることができる製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、走行するフィルムが接触する回転体にプラズマを照射することにより、回転体に付着した有機物を除去することを特徴とする方法からなる。
【0008】すなわち、熱可塑性樹脂フィルムの製造工程におけるフィルム表面傷の発生および有機物汚れによる生産性低下の問題に対し、本発明においては、走行するフィルムが接触する回転体にプラズマを照射することにより、回転体に付着した有機物を除去できることを見出し、これにより上記課題を解決できることを見出したのである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。熱可塑性樹脂フィルムの製造工程においては、一般に熱可塑性樹脂が成形加工されながらフィルムとなり、フィルムが走行することにより連続的に生産が行われる。その際、フィルムは加熱、冷却、延伸、フィルム把持、張力制御等の種々の目的のために、回転体に接触する。ここでいう回転体とは、いわゆるドラムやロール等の円筒状形状のものであり、フィルムの走行速度に関係して、回転するものを言う。
【0010】このようにフィルムが回転体に接触する際、回転体表面に異物、ゴミ、有機物等の付着物が存在していると、回転体表面に突起が生じたようになり、この突起がフィルムに転写し傷の原因となる。このような傷の発生を抑えるためには、回転体への付着が生じないようにすることが有効である。回転体への付着物の主成分は、熱可塑性樹脂中に含まれるオリゴマー、可塑剤、減粘剤、品質改良材等の有機物であり、これらはフィルム表面から析出してくるため、走行フィルムが回転体に接触する度に回転体表面に付着し、回転体は経時で汚れて付着物が堆積することとなり、突起となって傷が発生する。またこのように回転体表面に付着物が堆積することにより、回転体とフィルムとの密着力が低下し、フィルムが回転体上ですべり、そのすべりによる擦り傷等も発生しやすくなる。さらには、このような有機物による汚れが悪化すると、フィルムの製造自体が困難になるため、従来の方法では熱可塑性樹脂フィルムの製造を一旦停止して清掃しなければならず、生産性の低下を招く結果となる。
【0011】本発明における、走行するフィルムが接触する回転体にプラズマを照射する方法とは、すなわち、有機物によって汚れつつある回転体にプラズマを照射することにより、有機物を分解・除去し、有機物が付着していない状態の回転体とし、傷の発生や回転体の有機物による汚れを問題とならない程度に抑える方法のことを指す。このような方法により、回転体に付着する有機物を分解・除去できるとともに、フィルムが走行している状態にて、すなわち熱可塑性樹脂フィルムの製造を一旦停止することなく、有機物による汚れを除去できるために、本発明の方法は、フィルムの傷の発生を抑制できるばかりか生産性の低下を招かない方法であり、フィルムの品質向上および生産性向上の面で非常に優れている。
【0012】本発明における有機物としては、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、発泡核剤以外に、熱可塑性樹脂の低分子量物、例えば、熱可塑性樹脂の製造原料の未反応物、製造時に発生した副生成物、2量体・3量体・4量体あるいはそれ以上のオリゴマー、さらには分子量の低い熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの中でも特に、分子量が2000以下の有機物は、比較的揮発性が高いために、熱可塑性樹脂の加熱、結晶化、減圧等によって、フィルム表面に析出しやすく、回転体への付着が生じやすい。さらに、樹脂によって異なるものの、特に、オリゴマーは熱可塑性樹脂中に0.5%〜10%程度存在するため、回転体の経時汚れの大きな原因である。これらのオリゴマーとしては、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートを例に挙げれば、環状3量体、環状4量体、環状5量体、テレフタル酸、モノ2−ヒドロキシエチルテレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチルテレフタレート)、モノメチルテレフタレート、ジメチルテレフタレート、メチル2−ヒドロキシエチルテレフタレート等が挙げられる。このような有機物、特にオリゴマーは、フィルムから回転体に転写されるため、回転体表面には経時でこれら有機物が堆積することとなるが、有機物による汚れがひどくなる前に、本発明の方法を用いることにより、フィルム表面の傷の発生を抑制できる。
【0013】本発明で言うプラズマとは、部分的または全体的にイオン化された気体を意味しており、これはしばしば「物質の第4の状態」とも呼ばれている。以下に記述されるプラズマは主に部分的にイオン化されたもので、イオン、電子、そして中性種から成る。この物質状態は高温、または強い直流(DC)、または無線周波(RF:radio frequency)電場によって作り出される。本発明におけるプラズマの発生方法としては、暗放電やコロナなどのような低電力の低輝度プラズマ、グロー放電プラズマ等の中輝度プラズマ、アークまたはプラズマトーチなどの高輝度プラズマなどいずれでもよい。その選択は、回転体の速度、有機物による汚れ速さの度合い、回転体の材質等によって行われることが好ましく、中輝度プラズマや高輝度プラズマを用いることが好ましい。
【0014】従来のプラズマ発生装置は、低温下、減圧下等の条件下や、Ar等の電離しやすい気体中でしかプラズマは安定しなかった。しかし、本発明では、常温・常圧下でプラズマが発生するものであることが好ましい。常温・常圧とは、熱可塑性樹脂の製造過程での通常の温度・圧力のことを意味し、具体的には温度としては0℃〜400℃、圧力としては600mmHg〜900mmHgのことを言う。なぜなら、低温下あるいは減圧下にてプラズマを発生させるような装置においては、熱可塑性樹脂の製造工程の大幅な改造が必要となり設備が大型化するため、実用性に乏しいからである。本発明におけるプラズマ発生装置としてより好ましくは、空気中でプラズマを発生できるものであると良い。ここで言う空気中とは、窒素濃度が40%以上のものを指し、必要に応じて酸素やアルゴンやヘリウム等を供給しても構わない。さらに好ましくは、常温・常圧下・空気中でプラズマを発生させると良い。このようなプラズマ発生装置を用いることにより、従来の熱可塑性樹脂製造装置の改造をすることはほとんど必要なく、プラズマ発生装置の取り付けのみで十分な効果が得られる。このような常温、常圧下、空気中でプラズマを安定して発生する装置としては、特に限定しないが、アーク放電タイプで電源の電圧周波数が1kHz〜50kHzであるものが好ましい。
【0015】本発明におけるプラズマ発生の電極形状としては、トーチ型電極であることが好ましい。トーチ型の電極の場合、電極を移動させることにより、回転体のような3次元的な構造を有する物体にも均一にプラズマを照射しやすいとともに、複雑な形状に合わせてもプラズマを照射することができる。
【0016】このような本発明のプラズマ照射では、回転体の回転速度、プラズマの照射距離、プラズマ発生電極の移動速度を調整することにより、回転体に付着した有機物の除去と回転体表面材質のプラズマによるダメージを軽減することが可能になるため、より好ましくは、プラズマを照射する電極が回転体の面長方向に移動するとよい。
【0017】本発明で言う回転体とは、具体的には、キャスティングドラム、キャスティングロール、カレンダリングドラム、カレンダリングロール、チルロール、渡りロール(工程間のガイドロール)、ニップロール、予熱、延伸、加熱等のためのロールやサクションロール等のことであり、熱可塑性樹脂の製造において使用される円筒状の回転するものを意味する。回転体の表面材質としては、鉄やSUS等の金属、ハードクロムメッキ、アモルファスクロムメッキ等の金属メッキ、セラミック等の無機物、シリコン、ゴム、テフロン、塩化ビニル等の有機物のいずれであってもよいが、金属、金属メッキ、セラミックであることが好ましい。回転体の表面材質が有機物の場合、プラズマの照射能力が強すぎると、回転体表面材質がダメージを受け、回転体の表面形態に影響を及ぼすため、注意が必要となる。一方、金属、金属メッキ、セラミック等の表面材質の場合、プラズマ照射による回転体表面材質自体の顕著なダメージは少なく、より好ましく用いることができる。
【0018】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、特にこれに限定するものではない。まず、熱可塑性樹脂の原料をペレットなどの形態で用意し、必要に応じて、事前乾燥を熱風中、あるいは真空下で行い、押出機に供給する。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、溶融状態でフィルター、ギヤポンプ等を連結することで樹脂の押出量の均一性を向上でき、厚みむらの低減に効果をあげることができる。
【0019】本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、および共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合したものなどのポリエステル樹脂、その他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などを用いることができる。特に、本発明においては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルを用いた場合にその効果が高く、好ましい。中でも、ポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルは、フィルムの表面傷が製品として大きな問題となりやすい液晶ディスプレイ用反射板やタッチパネル、反射フィルム等の光学用途で利用されるため、応用・適用効果が高い。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。また、これらの樹脂の中に、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、発泡核剤などが添加されていてもよい。
【0020】本発明で言うポリエステルとは、ジカルボン酸とジオールとから縮重合により得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などで代表されるものであり、また、ジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物などで代表されるものである。具体的には例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。特に好ましいのは、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレートである。もちろん、これらのポリエステルとしては、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物などのジオール成分、ダイマー酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分が挙げられる。
【0021】押出機よりダイに送られた樹脂は、ダイで目的の形状に成形された後吐出される。ここでダイとしては、特に限定されないが、例えば、澤田慶司著「プラスチックの押出成型とその応用」(株式会社誠文堂新光社)に説明されているような、内部に円筒状の溝(マニホルド)を有するマニホルドダイ(Tダイともいう)、魚の尾のような形状をしたフィッシュテールダイ、その中間の形状をしたコートハンガーダイのいずれでもよい。フラットダイは、通常、溶融樹脂を幅方向に広げるダイホッパと呼ばれる部分と、樹脂を幅方向に広げた後、目的の形状に成形する最終部分であり、一定のスリット間隙を有する平行部分であるランド部と呼ばれる部分から構成される。樹脂はこのランド部を通過した直後に大気に解放され、回転する冷却体上に押し出される。
【0022】ダイスリットから吐出されたシート状の溶融樹脂は、例えばキャスティングドラム、チルロール、カレンダリングロール等の回転する冷却体により冷却固化され、フィルム状に成形される。この際、シート状の溶融樹脂に直流高電圧を印加して静電気力によりドラム上に密着させ急冷固化する方法や、エアナイフ等の空気の静圧により冷却体にシート状の溶融樹脂を密着させ急冷固化させる方法、あるいは2本以上の冷却体にて溶融樹脂をはさみ物理的に溶融シートを密着させつつ急冷固化する方法が好ましく用いられる。静電気力による印加方法として、公知の技術であるワイヤー状電極、複数本のワイヤー状電極、テープ状電極、針状電極、ナイフ状電極等を用いることが好ましい。
【0023】この際、溶融シートの冷却体への密着力が弱い場合には、溶融シートから析出した有機物が冷却体表面に付着するようになり、冷却体表面の汚れを生じ傷の原因となる。本発明の方法を用いれば、冷却体に付着した有機物を除去できるため、好ましく用いられる。
【0024】このようにして得られた熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて、一軸延伸あるいは二軸延伸されてもよい。本発明において二軸延伸するとは、縦方向および/または横方向に延伸し、二軸方向に延伸して分子配向を与えることをいう。また、加えて再び縦および/または横に延伸をかけて、さらに強度な配向を付与してもよい。
【0025】また、本発明における縦延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対にて多段階で行ってもよい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍程度である。特に、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍程度である。このような方式の縦延伸では、走行するフィルムが接触するロール状の回転体が、フィルムの加熱、延伸、ニップ、冷却等の目的のために複数本配列されており、それぞれの箇所でロール表面に有機物が付着しやすく、非常に汚れやすい。従って、本発明の縦延伸ロールへの適用は、非常に効果的であり、フィルム表面の傷の発生を大幅に抑えることができ好ましい。
【0026】また、本発明における横延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なるが、通常2〜10倍程度である。こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行い、均一に徐冷後室温まで冷やして巻き取るとよい。
【0027】本発明においては、同時二軸延伸してもよい。より好ましくは、テンター法を用いた同時二軸延伸を行い、クリップの駆動をリニアモーターで行うことが好ましい。リニアモーター駆動の同時二軸テンターは、生産性が向上するばかりか、長手方向および幅方向に自由にリラックスを施せるため、熱収縮率の低いフィルムを容易に得ることができる。特に同時二軸延伸フィルムでは、逐次二軸延伸フィルムと比較して、フィルムの端部厚みを極端に薄くしても延伸可能である点、逆に従来の端部の厚いフィルムではテンター法にて同時に二軸に延伸しようとすると端部の結晶化が起きやすく延伸が困難な点から、上述の方法を用いることがより好ましい。本発明では、リニアモーター駆動の同時二軸延伸機で延伸されることがより好ましいが、同時二軸延伸機で必ずしも同時に二軸に延伸する必要はなく、縦方向または横方向に延伸した後、横方向または縦方向に延伸しても構わない。
【0028】このようにして二軸延伸されたフィルムは、必要に応じて再び縦方向におよび/または横方向に延伸され、さらに熱処理されたりし、より強度な配向を付与してもよい。再び縦方向に延伸する方法としては、通常、1段目の縦延伸と同様、複数本配列したロール群のロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対にて多段階で行ってもよい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、1〜10倍程度である。特に、ポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、1〜5倍程度である。このように再び縦延伸をする際には、延伸が進むにつれ熱可塑性樹脂の結晶化度が向上するために、樹脂中に溶解していた有機物が析出されやすくなり、フィルム表面に存在する有機物の量が非常に多くなることから、より一層フィルムが接触する再縦延伸の回転体には有機物が付着しやすくなり、汚れやすい。従って、本発明の方法を、再縦延伸のロール状の回転体に用いることは、フィルム表面の傷発生防止およびロールの汚れ防止に非常に効果的であり好ましい。
【0029】また、最終的にフィルムを巻き取る際のロール状の回転体が複数本配列されているワインダーにおいても、本発明の方法を用いることが好ましい。通常、ワインダーにて巻き取られるフィルムは、巻き取られる直前に高温にて熱処理されることが多く、フィルム表面には熱可塑性樹脂中に溶解していた有機物が多量に析出しており、フィルムが接触するワインダーのロールもまた非常に汚れやすい。このため、本発明のワインダーのロールへの適用効果は大きく、好ましい。
【0030】〔物性値の評価法〕
(1)フィルム厚みフィルムの厚みは、アンリツ製電子マイクロ厚み計K351Cで測定した。フィルム長手方向の任意の点から10点を測定し、その平均値を用いた。
【0031】(2)フィルム欠点実際に製膜を行い、24時間後の製品フィルムを、それぞれ透過光にてフィルムを観察する。このとき、最終的にできあがった製品フィルムの中央部を165cm幅で20m長採り、目視で確認できた表面傷の個数を計測した。表面傷の個数が、それぞれ10個以上で使用に耐えられない場合を「×」、3〜9個でかなり表面は悪化しているが使用可能な場合を「△」、1〜2個とほとんど傷がなく表面性が良好な場合を「○」、傷がまったく認められない場合を「◎」として評価した。
【0032】(3)汚れ状態各工程の回転体表面のオリゴマー汚れは、製膜開始前に回転体を十分に清掃し、製膜開始後24時間後の汚れ状態をそれぞれ目視で観察し、製膜前と変わらずきれいなものを「◎」、一見してほとんど汚れが見られないものを「○」、ごく薄く汚れ(白く濁った程度)が確認できるが使用を続けて問題ないものを「△」、汚れがかなり厚く付着し、掃除または交換が必要なものを「×」と評価した。
【0033】(4)固有粘度ポリエステルをo−クロロフェノールに溶解し、25℃において次式により求めた。
[η]=ln[ηsp/c]
比粘度ηspは、相対粘度ηrから1を引いたものである。cは、濃度である。単位はdl/gで表す。
【0034】(5)相対粘度相対粘度は、JIS−K6810に準拠して測定した。
【0035】(6)MI(メルトインデックス)
メルトインデックス(230℃)は、JIS−K7210(B法)に準拠して測定した。
【0036】(7)付着物分析製膜開始24時間後の各工程の回転体表面付着物をスパチュラにて採取し、採取したサンプル(10mg)をジメチルホルムアミド溶液(DMF)10mLに溶解した後、メタノールで50mLにフィルアップした。得られた溶液を用いて、液体クロマトグラフ法(HPLC法)によって、環状三量体等の環状オリゴマー、およびテレフタル酸、モノ2−ヒドロキシエチルテレフタレート、ビス2−ヒドロキシエチルテレフタレート等の線状オリゴマー量を定量分析した。分析条件は以下のとおりである。
HPLCの分析装置:(株)島津製作所 ポンプ(LC−6A)
:(株)島津製作所 システムコントローラー(SCL− 6A)
:(株)島津製作所 紫外検出器(SPD−6AV)
カラム :ガスクロ工業製 INTERSIL ODS−3 4.
6×250 mm 移動相 :アセトニトリル/0.085%リン酸=17/83 ( 線状オリゴマー)
アセトニトリル/水=75/25(環状オリゴマー)
流速 :1.5ml/分 波長 :240nm(線状オリゴマー)
242nm(環状オリゴマー)
導入量 :5μL(線状オリゴマー)
10μL カラム温度 :45℃定量化には、あらかじめ濃度の分かっている各オリゴマーの標品を用いて検量線を作成し、HPLCクロマトグラムのピーク面積より定量化を行った。得られたHPLC分析結果から、付着物の主成分を読みとった。
【0037】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1熱可塑性樹脂として、コロイダルシリカを0.02wt%含む、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた。このポリエチレンテレフタレートのペレットを180℃で3時間真空乾燥した後、押出機に供給した。押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターパックを介して、成形用ダイに供給した。ダイスリットから押し出された溶融シートは、ワイヤー状(材質タングステン、径150μm)の電極を用いて静電印加することにより、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化せしめた。得られたキャストフィルムは、その後、110℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に5.8倍延伸後、テンターに導き、120℃の熱風で予熱後、横方向に4.0倍延伸し、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。回転体へのプラズマの照射には、AGRODYN社製プラズマトリートシステム(周波数18kHz、電圧2.3kV〜−6.8kV、電極形状トーチ型)を用い、キャスティングドラム、縦延伸予熱ロール、縦延伸冷却ロール、およびワインダー渡りロールに設置した。各ロールの表面材質は、HCrメッキであり、縦延伸予熱ロールについては、セラミックのものも含まれていた。プラズマ照射距離(プラズマ電極下端−回転体表面距離)は1.2mmとし、プラズマ電極は各回転体の面長方向にトラバース(移動速度0.5m/min.)するようにし、フィルムが存在していない回転体表面にプラズマ電極をトラバースしながら定期的(1回/10分間)に照射した。得られた延伸フィルムの厚みは4.5μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。回転体には、ほとんど有機物が付着しておらず、有機物の採取はできなかった。
【0038】実施例2実施例1と同様の装置、同様の条件で、但しプラズマ発生装置をキャスティングドラム、縦延伸予熱ロールおよび縦延伸冷却ロールに設置した。得られた延伸フィルムの厚みは4.5μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。回転体には、ほとんど有機物が付着しておらず、有機物の採取はできなかった。
【0039】実施例3実施例1と同様の装置、同様の条件で、但しプラズマ発生装置を縦延伸予熱ロールおよび縦延伸冷却ロールに設置した。得られた延伸フィルムの厚みは4.5μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。回転体には、ほとんど有機物が付着しておらず、有機物の採取はできなかった。
【0040】比較例1実施例1と同様の装置、同様の条件で、但しプラズマ発生装置は取り付けず、回転体へのプラズマの照射は行わなかった。得られた延伸フィルムの厚みは4.5μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。回転体表面に付着した付着物を分析した結果、テレフタル酸・モノ2−ヒドロキシエチルテレフタレート・環状3量体が主成分であった。
【0041】実施例4実施例1と同様の装置、同様の条件で、但し、100℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.3倍延伸後、テンターに導き、110℃の熱風で予熱後、横方向に3.5倍延伸し、そのまま、テンター内で235℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。回転体へのプラズマの照射には、AGRODYN社製プラズマトリートシステム(周波数18kHz、電圧2.3kV〜−6.8kV、電極形状トーチ型)を用い、キャスティングドラム、縦延伸予熱ロール、縦延伸冷却ロール、およびワインダー渡りロールに設置した。各ロールの表面材質は、HCrメッキであり、縦延伸予熱ロールについては、セラミックのものも含まれていた。プラズマ照射距離(プラズマ電極下端−回転体表面距離)は1.2mmとし、プラズマ電極は各回転体の面長方向にトラバース(移動速度1m/min.)するようにし、フィルムが存在していない回転体表面にプラズマ電極をトラバースしながら定期的(1回/10分間)に照射した。得られた延伸フィルムの厚みは100μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。回転体には、ほとんど有機物が付着しておらず、有機物の採取はできなかった。
【0042】比較例2実施例4と同様の装置、同様の条件で、但しプラズマ発生装置は取り付けず、回転体へのプラズマの照射は行わなかった。得られた延伸フィルムの厚みは100μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。回転体表面に付着した付着物を分析した結果、テレフタル酸・モノ2−ヒドロキシエチルテレフタレート・環状3量体が主成分であった。
【0043】実施例5熱可塑性樹脂として、相対粘度3.4のナイロン6を用いた。このナイロン6のペレットを押出機に供給した。押出機にて270℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターパックを介して、成形用ダイに供給した。ダイスリットから押し出された溶融シートは、エアーナイフを用いて、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化せしめた。得られたキャストフィルムは、その後、同時二軸テンターに導き、70℃の熱風で予熱後、縦方向および横方向にそれぞれ3.0倍延伸し、そのまま、テンター内で190℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。回転体へのプラズマの照射には、AGRODYN社製プラズマトリートシステム(周波数18kHz、電圧2.3kV〜−6.8kV、電極形状トーチ型)を用い、キャスティングドラムおよびワインダー渡りロールに設置した。各ロールの表面材質は、HCrメッキであり、縦延伸予熱ロールについては、セラミックのものも含まれていた。プラズマ照射距離(プラズマ電極下端−回転体表面距離)は1.2mmとし、プラズマ電極は各回転体の面長方向にトラバース(移動速度0.5m/min.)するようにし、フィルムが存在していない回転体表面にプラズマ電極をトラバースしながら定期的(1回/10分間)に照射した。得られた延伸フィルムの厚みは12μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。回転体には、ほとんど有機物が付着しておらず、有機物の採取はできなかった。
【0044】比較例3実施例5と同様の装置、同様の条件で、但しプラズマ発生装置は取り付けず、回転体へのプラズマの照射は行わなかった。得られた延伸フィルムの厚みは12μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。
【0045】実施例6熱可塑性樹脂として、メルトインデックス3.0のポリプロピレンを用いた。このポリプロピレンのペレットを押出機に供給し、押出機にて260℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルターパックを介して、成型用ダイに供給した。ダイスリットから押し出された溶融シートは、エアナイフを用いて、表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化せしめた。得られたキャストフィルムは、その後、135℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に6.0倍延伸後、テンターに導き、165℃の熱風で予熱後、横方向に10.0倍延伸し、そのまま、テンター内で165℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。回転体へのプラズマの照射には、AGRODYN社製プラズマトリートシステム(周波数18kHz、電圧2.3kV〜−6.8kV、電極形状トーチ型)を用い、キャスティングドラム、縦延伸予熱ロール、縦延伸冷却ロール、およびワインダー渡りロールに設置した。各ロールの表面材質は、HCrメッでキあり、縦延伸予熱ロールについては、セラミックのものも含まれていた。プラズマ照射距離(プラズマ電極下端−回転体表面距離)は1.2mmとし、プラズマ電極は各回転体の面長方向にトラバース(移動速度0.5m/min.)するようにし、フィルムが存在していない回転体表面にプラズマ電極をトラバースしながら定期的(1回/10分間)に照射した。得られた延伸フィルムの厚みは12μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。回転体には、ほとんど有機物が付着しておらず、有機物の採取はできなかった。
【0046】比較例4実施例6と同様の装置、同様の条件で、但しプラズマ発生装置は取り付けず、回転体へのプラズマの照射は行わなかった。得られた延伸フィルムの厚みは12μmであった。得られた結果を表1、表2に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂フィルムの製膜工程で発生するフィルム表面傷の発生を低減できるとともに、回転体に付着した汚れ清掃のための製膜中断回数を激減でき、生産性を向上することができる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013