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発明の名称 熱可塑性樹脂シートおよびその押出方法と製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−58345(P2001−58345A)
公開日 平成13年3月6日(2001.3.6)
出願番号 特願平11−233790
出願日 平成11年8月20日(1999.8.20)
代理人
発明者 綱島 研二 / 長田 俊一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】熱可塑性樹脂シートの長手方向に測定した厚みむらの波形をフーリエ解析したときの、0.20〜2.0(1/m)の波数におけるスペクトル強度和Pw1が、全波数帯域におけるスペクトル強度和Pwtに対する比率Pw1/Pwtが0.25以下であることを特徴とする厚み均質性に優れた熱可塑性樹脂シート。
【請求項2】熱可塑性樹脂溶融体シートを製膜するときの押出し口金のリップ間隙を、0.8mm以下とすることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの押出方法。
【請求項3】熱可塑性樹脂溶融体シートを製膜する前に押出し口金のリップ間隙を0.8mmを越える値にして溶融樹脂をブリード、あるいはフィルム通しをした後に、口金リップ間隙を0.8mm以下に狭めることを特徴とする請求項2記載の熱可塑性樹脂シートの押出方法。
【請求項4】口金リップ間隙が製膜中でも変更が容易なファースト・ギャップ口金を用いることを特徴とする請求項2または3の熱可塑性樹脂シートの押出方法。
【請求項5】溶融体樹脂シートに静電荷を印加させながら冷却媒体に密着させることを特徴とする請求項2、3または4記載の熱可塑性樹脂シートの押出方法。
【請求項6】熱可塑性樹脂に、シリコンオイル、ワックス、界面活性剤から選ばれた添加剤を300ppm以下含有せしめることを特徴とする請求項1、2、3、4および5から選ばれた熱可塑性樹脂シートの押出方法。
【請求項7】該熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィドから選ばれた樹脂であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の熱可塑性樹脂シートの押出方法。
【請求項8】請求項2、3、4、5、6または7記載の熱可塑性樹脂シートの押出方法を用いて熱可塑性樹脂シートを製造することを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂シート、およびその押出方法に関するものである。
【0002】さらに詳しくは、押出されたフィルムの厚み均質性、特に低波数側の厚みむらがほとんどない、優れた熱可塑性樹脂シートと該樹脂シートの押出方法と製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】厚みむらを改良する方法として、押出の吐出変動を防止するためにスクリュー形状の最適化やギヤーポンプの利用、さらには溶融押出膜の振動を防止するために製膜室の気圧変動を防止する方法や、溶融シートの冷却媒体への密着力を向上させるためにテープ状の電極を用いた静電荷印加法や、さらには長手方向延伸を多段階に分けて延伸する方法などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような押出・頂上キャスト法を用いて改良される熱可塑性樹脂シートの長手方向に測定した厚みむらの波形をフーリエ解析したとき、押出の吐出変動を防止するためにスクリュー形状の最適化やギヤーポンプの利用をすることにより改良される波数は0.2(1/m)未満の領域であり、また溶融押出膜の振動を防止するために製膜室の気圧変動を防止する方法や、溶融シートの冷却媒体への密着力を向上させるためにテープ状の電極を用いた静電荷印加法や、さらには長手方向延伸を多段階に分けて延伸する方法などいずれの方法を用いても、熱可塑性樹脂シートの長手方向に測定した厚みむらの波形をフーリエ解析したとき、これらの変動を防止することのより改良される波数は3〜20(1/m)の領域であった。
【0005】したがって、0.20〜2.0(1/m)の波数での厚みむらは改良できないのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂シートの長手方向に測定した厚みむらの波形をフーリエ解析したときの、0.20〜2.0(1/m)の波数におけるスペクトル強度和Pw1が、全波数帯域におけるスペクトル強度和Pwtに対する比率Pw1/Pwtが0.25以下となるように押出製膜することであり、そのためには、熱可塑性樹脂溶融体シートを製膜するときの押出し口金のリップ間隙が0.8mm未満と極端にリップ間隙を狭くして押出し製膜することにより厚み均質性の優れた熱可塑性樹脂シートの押出方法に関するものである。
【0007】また、本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法は、上述の熱可塑性樹脂シートの押出方法を用いて熱可塑性樹脂シートを製造することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0009】本発明において、熱可塑性樹脂とは、加熱によって流動性を示す樹脂であり、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、ビニルポリマー、およびそれらの混合体・変性体から選ばれた樹脂などが代表的なものである。
【0010】ポリエステル樹脂とは、分子主鎖中にエステル結合を有する高分子化合物であり、通常ジオールとジカルボン酸とからの重縮合反応により合成されることが多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるようなヒドロキシカルボン酸のように自己縮合するような化合物を利用してもよい。
【0011】ジオール化合物の代表的なものとしては、HO(CH2 )nOHで表されるエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキセングリコール、さらにジエチレンギリコール、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等で代表されるエーテル含有ジオールなどであり、それらの単独または混合体などである。ジカルボン酸化合物の代表的なものとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、及びそれらの混合体などである。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびその共重合体、ポリブチレンナフタレート(PBN)およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびその共重合体、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその共重合体、さらに低いガラス転移温度Tgを有する樹脂であるポリエチレンテレフタレート/アジペート(PET/A)、ポリエチレンテレフタレート/セバケート(PET/S)、ポレブチレンテレフタレート/イソフタレート(PBT/I)、ポリエチレンテレフタレートーポリエチレングリコール共重合体(PET−PEG)、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)、ポリプロピレングリコール(PPG)およびそれらの混合体や共重合体などが好ましい。これらの高分子化合物の繰替えし単位は100以上、好ましくは150以上あるのがよい。固有粘度としては、オルトクロルフェノール(OCP)中での測定値として0.5(dl/g)以上、好ましくは0.6(dl/g)以上であるのがよい。
【0012】また、ポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミド結合を有する高分子化合物であり、代表的なものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン7、ポリメタ/パラキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド/イソフタラミド、およびそれらの共重合体、混合体などから選ばれたポリアミド化合物である。もちろん、これらにポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル化合物を共重合したポリアミドエーテルや、ポリエステルと共重合したポリエステルアミド化合物でもよく、さらに本発明の場合、特に結晶化しにくい多元共重合体や、側鎖に多くのまたは大きな置換基を有する非晶ポリアミド樹脂などに特に優れた効果を示す。
【0013】ポリフェニレンスルフィドPPSは、架橋構造を実質的に有さない直鎖状のものが好ましい。
【0014】ポリオレフィン樹脂としては、基本的に炭素と水素とからなる高分子であり、代表的な高分子としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等である。
【0015】もちろん、これらの高分子化合物に各種の添加剤、例えばすべり材、安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤、帯電防止剤、着色剤、顔料などを併用することができる。
【0016】特に本発明の場合、溶融樹脂と金属管壁とのスティックスリップを減少させるために熱可塑性樹脂にシリコンオイル、ワックス、界面活性剤から選ばれた添加剤が300ppm以下、好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下含有させた樹脂が好ましい。
【0017】本発明は、熱可塑性樹脂溶融体シートを製膜するときの押出し口金のリップ間隙として0.8mm以下、好ましくは0.5mm程度で押出製膜する押出方法であり、このようにして得られた長手方向のフィルム厚みむら、特に厚みむらの周期を周波数解析したときに、0.20〜2.0(1/m)の波数におけるスペクトル強度和Pw1が、全波数帯域におけるスペクトル強度和Pwtに対する比率Pw1/Pwtが0.25以下、好ましくは0.15以下となるのである。
【0018】このように押出時の口金リップ間隙を狭くすることにより低周波数の厚みむら成分が改良できる理由は必ずしも明確ではないが、溶融体と口金壁面とのスティックスリップを減少させた、あるいは押出された溶融体に何らかの外乱が作用するときにドローレゾナンスと言われる外乱が共鳴した等の理由が考えられるものである。
【0019】いずれにせよ、リップ間隙を3mmから2mm、さらに1mmと狭くするにつれてこの低周波数の厚みむらは少しずつではあるものの改良傾向にあるが、このリップ間隙を0.8mm以下にすると急激に消滅することを見いだしたのである。
【0020】しかしながら、製膜前の口金プリセット段階からこのように狭い間隙の口金を用いると、ブリード時や製膜開始時などで口金リップが汚れ、その結果口金スジが発生しやすくなるために、プリセット時から0.8mm以下と狭い口金を用いることはできない。
【0021】このために熱可塑性樹脂溶融体シートを製膜する前には、押出し口金のリップ間隙としては0.8mmを越える値、好ましくは1.5mm以上、更に好ましくは2.5mm以上にして溶融樹脂をブリード、あるいはフィルム通し・製膜後に安定製膜ができた以降に口金リップ間隙を連続的に0.8mm以下に狭めるて押出する熱可塑性樹脂シートの押出製膜方法である。このためにも、口金リップ間隙が製膜中でも変更が容易なEDI社が製作しているファースト・ギャップ口金などを用いることが重要である。もちろん、これらに熱可塑性樹脂にシリコンオイル、ワックス、界面活性剤から選ばれた添加剤として300ppm以下、好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下含有させた樹脂原料を用いるのが好ましいのである。
【0022】なお、厚みむらの他の周波数の厚みむらに関しては、それぞれ適宜の個別の対策が必要である。すなわち、押出時の吐出変動による変動波数は0.2(1/m)未満の領域であり、これを防止するためにはスクリュー形状の最適化やギヤーポンプの利用などをすることにより改良できる。また溶融押出膜や延伸膜の振動による厚みむら変動波数は、3〜20(1/m)の領域であり、これを防止するために製膜室の気圧変動を防止する方法や、溶融シートの冷却媒体への密着力を向上させるためのテープ状の電極を用いた静電荷印加方法や、さらには長手方向延伸を多段階に分けて延伸する方法などにより改良できる。
【0023】静電印加法とは、特公昭37−6142号公報などで代表される溶融シートに対する冷却媒体への密着力向上手段であり、溶融シートに静電印加する電圧は、5〜35KV程度、電流値としては5〜30mA程度であり、溶融シートまでの最短距離は0〜50mm程度であり、電極形状は、ワイヤ電極、ブレード電極、箔状電極、円弧状電極、針状電極、ロール状電極など任意のものを利用することができ、電極形状も任意の複数の電極を選択できる。
【0024】また、溶融体に静電荷を付与する電極を、移動冷却媒体で行う方法もあり、この場合の電極は一つでよく、また比較的装置が簡便で、しかも操作性に優れているため、全幅以上の幅にわたって静電荷を印加できることができ、シート端部および中央部ともに密着力を向上させることができ、より好ましい方法である。
【0025】なお、移動冷却媒体の表面粗さは好ましくは0.6μm以下、より好ましくは0.2μm以下と平滑であることが密着性向上やシートの平滑性等には肝要であるが、必要によっては、サンドブラストロールやマイクロクラックロールやセラミックロールを用いることができる。
【0026】該移動冷却媒体の表面温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg−50℃以上、Tm以下、好ましくはTg−25℃以上、Tg+60℃以下の温度に保つことによりシート端部はもちろんのこと、シート中央部も冷却媒体に対する密着性が格段に向上するために熱可塑性樹脂シートのキャスト方法としては好ましい。さらに、結晶化速度の遅いPETやPENのような樹脂では、該樹脂溶融体の接地直前の媒体の表面温度が熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上融点Tm以下にするととともに、かつ剥離直前の媒体の表面温度を熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg未満にしないと、剥離が困難であったり、たとえ剥離が可能であっても剥離ムラによる厚みむらが生じるためにも必要である。
【0027】次に、本発明における熱可塑性樹脂シートの押出製膜方法について述べる。溶融押出に使用する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドなどの原料と、必要に応じて、他の化合物の添加ブレンドした原料、例えば、液晶ポリマーや他のポリエステル樹脂、イオン性高分子化合物アイオノマーや、さらに酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリンなどの無機化合物、エチレンビスステアリルアミド、シリコンオイル、ワックス等の有機化合物等を添加した原料、いったん溶融させた原料、さらには本発明のフィルムの回収原料などを混合した原料などを準備し、これを乾燥・脱水した後、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機などの溶融押出機に供給し、分子量、例えば固有粘度[η]を極力低下させないように窒素気流下、あるいは真空下で溶融押出する。
【0028】もちろん、溶融温度は、該熱可塑性樹脂の融点Tm以上であるのが普通であるが、いったん、該樹脂の融点Tm以上に溶融させた後に該融点Tm以下、該溶融結晶化温度Tmc以上に冷却する、いわゆる過冷却状態で押出を行うことにより溶融膜振動に起因する3〜20(1/m)の領域の厚みむらを減少させることができて好ましいこともある。
【0029】このように過冷却押出することにより、熱可塑性樹脂シートの中央部と端部とが実質的に同時に移動冷却媒体に着地しやすくなり、均一なキャストが可能になり、さらに該樹脂の熱分解・ゲル化を減少させる効果があるばかりか、低分子量オリゴマーの生成も少なくなるために、ドラム汚れも少なくなりキャストしやすくなるという効果もある。なお、異物を除去するために、従来から知られている適宜のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網等を用いることが好ましい。
【0030】熱可塑性樹脂溶融体シートを製膜する前の押出し口金のリップ間隙としては、好ましくは0.8mmを越える値、より好ましくは1.5mm以上、更に好ましくは2.5mm以上にして溶融樹脂をブリード、あるいはフィルム通し・製膜後に安定製膜ができた以降に口金リップ間隙を連続的に0.8mm以下に狭めて押出する熱可塑性樹脂シートの押出製膜方法である。
【0031】このためにも、口金リップ間隙が製膜中でも変更が容易なEDI社が製作しているファースト・ギャップ口金などを用いることにより長手方向のフィルム厚みむら、特に厚みむらの周期を周波数解析したときに、0.20〜2.0(1/m)の波数におけるスペクトル強度和Pw1が、全波数帯域におけるスペクトル強度和Pwtに対する比率Pw1/Pwtが0.25以下、好ましくは0.15%以下となるために狭いリップが必要である。
【0032】また、口金とキャストドラムの位置関係としては、口金先端のリップから、溶融樹脂シートの移動方向にある移動冷却媒体上に引いた接線と、該口金リップから地面に垂直に下ろした垂直線とのなす狭角θが、好ましくは75度以下、より好ましくは該狭角θが0〜50度、さらに好ましくは0〜30度になるように口金リップ先端と移動冷却媒体との位置関係を設定することが好ましい。該口金から溶融シートを押出すときのドラフト比(=口金リップ間隔/押出されたフィルム厚み)は、好ましくは3以上、より好ましくは7〜15範囲とすることにより、厚みむら変動波数としての3〜20(1/m)の領域の厚みむらの小さい、平面性の良いフィルムが得られやすい。
【0033】かくして溶融された熱可塑性樹脂シートにテープ状の電極など従来から知られている適宜の電極を用いて静電荷を注入させて、冷却媒体のドラムに密着急冷してキャストする。
【0034】更に、得られたキャストフィルムを、必要に応じて延伸するが、具体的には、例えば、縦一軸延伸、横一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの延伸方法に従って延伸を行う。延伸温度は、特に限定されないが、該樹脂のガラス転移温度Tg以上であればよく、必要に応じて任意の温度を選択することができる。一方向の延伸倍率は、2〜8倍、好ましくは3〜6倍程度がよい。延伸後、必要に応じて熱固定をしてもよい。
【0035】かくして得られた本発明にかかる熱可塑性樹脂シートは、厚み均質性、特に0.2〜2(1/m)周期の厚みむらに優れているために、厚み要求精度の高い用途、例えばフィルム・シート表面と直接接触して記録する光記録用途、磁気記録用途、感熱転写リボン用途、受容紙、光学関連用途などに特に有効なベースフィルムとなりうる。さらに従来からフィルム用途として利用されている包装用途、コンデンサー・電気絶縁などの電気用途、グラフィック用途はもちろんのこと、熱寸法安定性、成形性、形状安定性、強靭性に優れた新規なフィルム用途にも有効なものである。
【0036】
【物性の測定法】次に、本発明で使用した物性値の測定法について以下に述べる。
1.ポリエステルの固有粘度[η]:25゜Cで、o−クロルフェノールを溶媒として次式より求めた。
【0037】[η]= lm[ηsp/c]
比粘度ηspは、相対粘度ηrから1を引いたものである。cは濃度である。単位はdl/gで表わす。
2.フィルムの厚みむら:アンリツ株式会社製フィルムシックネステスタ「KG601A」および電子マイクロメータ「K306C」を用い、フィルムの縦方向に30mm幅、10m長にサンプリングしたフィルムを連続的に厚みを測定する。フィルムの搬送速度は3m/分とした。10m長での厚み最大値Tmax(μm)、最小値Tmin(μm)から、R=Tmax−Tminを求め、Rと10m長の平均厚みTave(μm)から厚みむら(%)=R/Tave×100として求めた。
3.厚みむらの周波数解析フーリエ解析(FFT解析)
上述の長手方向厚みむら測定時に、電子マイクロメータからの出力をアナログ/デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)を介して、数値化処理し、コンピュータに取り込んだ。この際、電子マイクロメータの出力電圧と、A/Dコンバータの入力電圧の適正化のため、必要に応じて、電子マイクロメータとA/Dコンバータの間にプリアンプを設けてもよい。本発明においては、電子マイクロメータの出力を、自作のプリアンプを介して、カノープス電子株式会社製A/Dコンバータ「ADX−98E」および専用トリガユニット「ADT−98E」に接続し、日本電気株式会社製パーソナルコンピュータ「PC−9801VM」にデータを取り込んだ。データの取り込みソフトウェアは自作したものを用いた。
【0038】データの取り込みは、10m長の厚みむら測定中に、0.195秒の間隔で1024点サンプリングした(3m/分で搬送測定しているため、0.195秒×1024×3m/分÷60秒/分=9.98mで、9.98mの厚みむらデータを取り込み)。もちろん、これらの機器に限定される必要はなく、同様の機能を持つ公知の機器は多数存在する。このように取り込んだデータを上述のコンピュータにおいて、自作のソフトウェアを用い、高速フーリエ変換(FFT)処理を施した。この際、流れ方向の変数に、フィルムの製膜速度と測定時の搬送速度から換算した、製膜時間(秒)を取ると、FFT処理により、周波数(Hz)に対する強度分布が得られ、また、流れ方向の変数に、フィルムの長さ(m)を取ると、FFT処理により、波数(1/m)に対する強度分布が得られる。FFT処理については、例えば、「技術者の数学1」初版(共立出版株式会社 共立全書516)などにフーリエ変換の理論について、「光工学」初版(共立出版株式会社)などにFFT処理の手法について記載があるなど公知の処理である。ここで、取り込んだデータに、以下の数1の式のようにフーリエ変換処理を施し、スペクトル強度和を求めた。
【0039】
【数1】

【0040】ここで、Xnの実数部をan 、虚数部をbn として、スペクトル強度Pwn は、下記数2の式で表される。
【0041】
【数2】

【0042】一方、nに対する波数は、測定長が10mから、n/10(1/m)であり、波数αからβまでのスペクトル強度和は、α、βに対応するnをnα、nβとして、下記数3の式のようになる。
【0043】
【数3】

【0044】そして、全スペクトル強度和は、1≦n≦(N/2−1)における和となり、全スペクトル強度和は、下記数4の式で表される。
【0045】
【数4】

【0046】4.熱的特性(Tm、Tg、Tmc)
パーキンエルマー社製DSC−II型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で、昇温速度20℃/分で昇温してゆき、ベースラインの偏起の開始する温度をTg、さらに昇温したところの発熱ピークをTccとし、結晶融解に伴う吸熱ピーク温度を融点Tmとした。Tm+20℃で1分間保持した後、冷却速度20℃/分で溶融体を冷却し、結晶化に基づく発熱ピーク温度をTmcとした。
【0047】
【実施例】以下に、本発明をより理解しやすくするために実施例・比較例を示す。
【0048】実施例1熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)(固有粘度[η]=0.65、ガラス転移温度70℃、添加剤として平均粒径0.2μmの球形シリカを0.05wt%、シリコンオイルとして東芝シリコーン製TFS433を10ppm含有)を用い、常法に従い、原料を乾燥後250mmのタンデム型溶融押出機に供給して280℃で溶融後、5μm以下の異物を除去するフィルターを通過させた後、2200mm幅のEDI社製のファーストギャップ機能を有したTダイ口金(リップ間隙2.5mmにプリセット)からLD間として50mm下にあるキャストドラム上にシート状に成形し、テープ状の電極から静電荷を印加(8kv、5mA)させながら23℃に保たれた1800mm直径のドラム(ドラム表面は最大粗さRt=0.1μmに鏡面化されたクロムメッキロール)である冷却媒体上に50m/minの速度で密着・冷却した。このときに使用した口金リップから、フィルムの進行方向にあるキャストドラム上に引いた接線と、地面への垂直線とのなす狭角として、30度になるような位置(リップ〜ドラム間LD間距離20mm)に口金をキャストドラムに対して配置した。
【0049】かくして得られたキャストシートは、厚み100μmであり、該キャストシートをロール式長手方向延伸機で延伸温度95℃で4.5倍延伸し、いったんTg以下に冷却し、続いて該長手方向延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンタに導き、延伸温度100℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に4.1倍延伸後、220℃で定長熱固定、および150℃で幅方向に3%のリラックス熱固定し、エッジ端部をカットして、厚さ5μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを製膜した。
【0050】このように、いったん二軸延伸製膜させた後に、口金のリップ間隙を2.5mmから徐々に狭めて行き、0.6mmになるまで様子を見ながら製膜を続けながら間隙を縮小させた。このようにして0.6mmという狭い間隙で押出製膜しても口金スジは長時間の製膜でも発生しなかった。もちろん、万が一、口金スジが発生した場合には、口金リップ間隙をいったん広くして掃除治具である銅板が入り得る1.5mm程度以上に広げて口金掃除をすれば良く、掃除完了後はまた口金間隙を元の0.6mmまで狭めれば良い。
【0051】かくして得られた二軸配向フィルムの厚みむらとしては長手方向、幅方向とも2%以下と小さいものであり、しかも、その厚みむらの周波数解析をしても押出時の流動振動に起因すると考えられている0.2〜2(1/m)の振動は0.1以下と実質上皆無であり、厚み均質性に非常に優れていた。また、平面性にも優れており、さらにクレーターなどの表面欠点のない厚さ5μmの二軸配向フィルムであった。
【0052】比較例1実施例1で口金間隙を二軸延伸製膜後に、2.5mmから徐々に狭めることはせずにそのまま2.5mmの間隙で製膜を続けて二軸配向フィルムを製膜する以外は実施例1と同様にして厚さ5μmの二軸配向フィルムを得たした。
【0053】このようにして得られたフィルムの厚みむらは長手方向12%、幅方向10%と厚みむらの悪いフィルムであった。その厚みむらを周波数解析すると押出時の流動振動に起因すると考えられている0.2〜2(1/m)の振動が0.4と非常に大きな値となっていることがわかった。
【0054】
【発明の効果】熱可塑性樹脂シートの長手方向に測定した厚みむらの波形をフーリエ解析したときの、押出時の原因と考えられている0.20〜2.0(1/m)の波数におけるスペクトル強度和Pw1が、全波数帯域におけるスペクトル強度和Pwtに対する比率Pw1/Pwtが0.25以下という優れた押出シートを得ることができる。
【0055】このようにして得られたフィルムは、その用途として、感熱転写リボン用ベースフィルムや感熱孔版印刷原紙などの厚み均質性に厳しい分野において、感度向上や転写効率向上を達成できるなどの優れた効果を発揮し得るものである。




 

 


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