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発明の名称 射出装置及びその制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−38782(P2001−38782A)
公開日 平成13年2月13日(2001.2.13)
出願番号 特願平11−215092
出願日 平成11年7月29日(1999.7.29)
代理人 【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠 (外1名)
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206 AP062 AP082 AR082 JA07 JD03 JL02 JM04 JN11 JP17 JP18 JQ17 JT02 
発明者 今冨 芳幸
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 (a)加熱シリンダと、(b)スクリュー本体の外周面にフライトが形成されたフライト部、及び該フライト部の前端に配設されたスクリューヘッドを備え、前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリューと、(c)該スクリューを回転させるための第1の駆動手段と、(d)前記スクリューを進退させるための第2の駆動手段と、(e)射出工程において前記第2の駆動手段を駆動して、スクリューを所定のスクリュー速度で前進させるスクリュー前進制御手段と、(f)前記射出工程において、前記第1の駆動手段を駆動して、前記フライトをスクリュー速度より低いフライト速度で見掛け上前進させるフライト速度制御手段と、(g)前記フライト速度を前記フライトのピッチに対応させて設定するフライト速度設定手段とを有することを特徴とする射出装置。
【請求項2】 前記フライト速度は、前記スクリューの前進に伴って所定の位置を通過するフライトのピッチが小さくなるほど高くされる請求項1に記載の射出装置。
【請求項3】 (a)計量工程において、第1の駆動手段を駆動してスクリューを正方向に回転させ、(b)射出工程において、第2の駆動手段を駆動してスクリューを所定のスクリュー速度で前進させ、かつ、前記第1の駆動手段を駆動してフライトを前記スクリュー速度より低いフライト速度で見掛け上前進させるとともに、(c)前記フライト速度は前記フライトのピッチに対応させて設定されることを特徴とする射出装置の制御方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出装置及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、射出成形機においては、射出装置が配設され、該射出装置の加熱シリンダ内にスクリューが回転自在に、かつ、進退自在に配設され、該スクリューを射出用モータ及び計量用モータによって回転及び進退させることができるようになっている。また、前記スクリューの外周面には、螺(ら)旋状のフライトが形成され、該フライトによって溝が形成される。そして、計量工程時に、スクリューを正方向に回転させると、ホッパから落下した樹脂は、溶融させられながら、前記溝に沿って前進させられ、スクリューヘッドの前方に蓄えられ、それに伴ってスクリューは後退させられる。また、射出工程時に、スクリューを前進させることによって、スクリューヘッドの前方に蓄えられた樹脂を射出ノズルから射出するようにしている。
【0003】そのために、前記スクリューにおいては、後方から前方にかけて順に、ホッパから落下した樹脂が供給される樹脂供給部、供給された樹脂を圧縮しながら溶融させる圧縮部、及び溶融させられた樹脂を一定量ずつ計量する計量部が形成される。なお、前記溝内の樹脂は、前記樹脂供給部においてペレット状の形状を有し、圧縮部において半溶融状態になり、計量部において完全に溶融させられて液状になる。
【0004】ところで、前記スクリューの外周面及び加熱シリンダの内周面の粗さが互いに等しいと、計量工程時にスクリューを回転させても、溝内の樹脂は、スクリューと一体的に回転させられ、前進しない。そこで、通常は、加熱シリンダの内周面がスクリューの外周面より粗くされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の射出装置においては、前記加熱シリンダの内周面がスクリューの外周面より粗くされるので、スクリューを前進させる際に、加熱シリンダの内周面の近傍の樹脂に大きな摩擦抵抗が加わってしまう。しかも、溝内の樹脂の溶融状態は、樹脂供給部、圧縮部及び計量部を移動する間に変化するので、前記樹脂に加わる摩擦抵抗が変化してしまう。
【0006】したがって、射出工程において、後方からスクリューに加えられる射出力と、スクリューヘッドの前端に加わる射出圧力とが対応せず、十分な射出圧力で樹脂を射出することができないだけでなく、前記摩擦抵抗の変化に伴って射出圧力にばらつきが生じてしまう。その結果、金型装置のキャビティ空間内の樹脂圧力、すなわち、型内圧にもばらつきが生じ、成形品の品質を低下させてしまう。
【0007】本発明は、前記従来の射出装置の問題点を解決して、射出工程において樹脂に加わる摩擦抵抗を小さくすることができるとともに、成形品の品質を向上させることができる射出装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の射出装置においては、加熱シリンダと、スクリュー本体の外周面にフライトが形成されたフライト部、及び該フライト部の前端に配設されたスクリューヘッドを備え、前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリューと、該スクリューを回転させるための第1の駆動手段と、前記スクリューを進退させるための第2の駆動手段と、射出工程において前記第2の駆動手段を駆動して、スクリューを所定のスクリュー速度で前進させるスクリュー前進制御手段と、前記射出工程において、前記第1の駆動手段を駆動して、前記フライトをスクリュー速度より低いフライト速度で見掛け上前進させるフライト速度制御手段と、前記フライト速度を前記フライトのピッチに対応させて設定するフライト速度設定手段とを有する。
【0009】本発明の他の射出装置においては、さらに、前記フライト速度は、前記スクリューの前進に伴って所定の位置を通過するフライトのピッチが小さくなるほど高くされる。
【0010】本発明の射出装置の制御方法においては、計量工程において、第1の駆動手段を駆動してスクリューを正方向に回転させ、射出工程において、第2の駆動手段を駆動してスクリューを所定のスクリュー速度で前進させ、かつ、前記第1の駆動手段を駆動してフライトを前記スクリュー速度より低いフライト速度で見掛け上前進させる。
【0011】そして、前記フライト速度は前記フライトのピッチに対応させて設定される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】図2は本発明の実施の形態における射出装置の要部拡大図、図3は本発明の実施の形態における射出装置の概念図、図4は本発明の実施の形態におけるスクリューの概略図である。
【0014】図において、11はシリンダ部材としての加熱シリンダ、12は該加熱シリンダ11内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としてのスクリュー、13は前記加熱シリンダ11の前端(図2における左端)に形成された射出ノズル、14は該射出ノズル13に形成されたノズル口、15は前記加熱シリンダ11の後端(図2における右端)の近傍の所定位置に形成された樹脂供給口、16は該樹脂供給口15に取り付けられ、樹脂を収容するホッパである。
【0015】前記スクリュー12は、フライト部21、及び該フライト部21の前端に配設されたスクリューヘッド27から成る。そして、前記フライト部21は、スクリュー本体の外周面に螺旋状に形成されたフライト23を備え、該フライト23によって螺旋状の溝24が形成される。また、フライト部21には、後方(図2における右方)から前方(図2における左方)にかけて順に、ホッパ16から落下した樹脂が供給される樹脂供給部P1、供給された樹脂を圧縮しながら溶融させる圧縮部P2、及び溶融させられた樹脂を一定量ずつ計量する計量部P3が形成される。前記溝24の底、すなわち、溝底の外径は、樹脂供給部P1において比較的小さくされ、圧縮部P2において後方から前方にかけて徐々に大きくされ、計量部P3において比較的大きくされる。したがって、加熱シリンダ11の内周面とスクリュー12の軸部の外周面との間の間隙(げき)は、前記樹脂供給部P1において比較的大きくされ、圧縮部P2において後方から前方にかけて徐々に小さくされ、計量部P3において比較的小さくされる。
【0016】計量工程時に、前記スクリュー12を正方向に回転させると、ホッパ16から落下した樹脂が樹脂供給部P1に供給され、溝24内を前進(図2における左方に移動)させられ、スクリューヘッド27の前方に蓄えられ、それに伴ってスクリュー12が後退(図2における右方に移動)させられる。なお、前記溝24内の樹脂は、前記樹脂供給部P1において図2に示されるようにペレット状の形状を有し、圧縮部P2において半溶融状態になり、計量部P3において完全に溶融させられて液状になる。
【0017】ところで、樹脂供給部P1に供給された樹脂は、圧縮部P2及び計量部P3において溶融させられて膨張する。この場合、樹脂供給部P1におけるフライト23のピッチが大きいと、多量の樹脂が溝24内に進入し、圧縮部P2及び計量部P3における膨張が困難になってしまう。
【0018】そこで、少なくとも樹脂供給部P1におけるフライト23のピッチが他の部分より小さくされ、樹脂供給部P1に供給される樹脂の量を少なくするようにしている。そして、本実施の形態においては、樹脂供給部P1から計量部P3にかけてフライト23のピッチが徐々に大きくされている。
【0019】また、射出工程時に、前記スクリュー12を前進させると、スクリューヘッド27の前方に蓄えられた樹脂は、射出ノズル13から射出され、図示されない金型装置のキャビティ空間に充填(てん)される。このとき、スクリューヘッド27の前方に蓄えられた樹脂が逆流しないように、逆流防止装置が配設される。
【0020】そのために、前記スクリューヘッド27は、前半部に円錐(すい)形のヘッド本体部25を、後半部に円柱部26を有する。そして、該円柱部26の外周に環状の逆止リング28が回動自在に配設され、前記フライト部21の前端に押金29が固定される。
【0021】また、前記逆止リング28には、円周方向における複数箇所に、軸方向に延びる穴28aが、前端に所定の角度にわたって切欠28bがそれぞれ形成される。そして、前記ヘッド本体部25に係止突起25aが形成され、該係止突起25aが前記切欠28b内に置かれる。この場合、前記逆止リング28はスクリュー12の回転に伴ってスクリューヘッド27に対して所定の角度θだけ回動させられ、それ以上の回動が規制される。
【0022】一方、前記押金29には、円周方向における複数箇所に、前記穴28aと対応させて軸方向に延びる穴29aが形成され、逆止リング28がスクリューヘッド27に対して回動させられることによって、前記穴28a、29aが選択的に連通させられる。したがって、逆止リング28は、前記スクリューヘッド27の前方とフライト部21とを連通させる連通位置、及び前記スクリューヘッド27の前方とフライト部21とを遮断する遮断位置を採る。なお、前記逆止防止装置は、逆止リング28及び押金29から成る。
【0023】ところで、前記加熱シリンダ11の後端(図3における右端)は前方射出サポート31に取り付けられ、該前方射出サポート31と所定の距離を置いて後方射出サポート32が配設される。そして、前記前方射出サポート31と後方射出サポート32との間にガイドバー33が架設され、該ガイドバー33に沿ってプレッシャプレート34が進退自在に配設される。なお、前記前方射出サポート31及び後方射出サポート32は、図示されないボルトによって図示されないスライドベースに固定される。
【0024】また、前記スクリュー12の後端にドライブシャフト35が連結され、該ドライブシャフト35は、ベアリング36、37によってプレッシャプレート34に対して回転自在に支持される。そして、第1の駆動手段として電動の計量用モータ41が配設され、該計量用モータ41とドライブシャフト35との間に、プーリ42、43及びタイミングベルト44から成る第1の回転伝動手段が配設されるので、前記計量用モータ41を駆動することによって、スクリュー12を正方向又は逆方向に回転させることができる。なお、本実施の形態においては、前記第1の駆動手段として電動の計量用モータ41を使用しているが、電動の計量用モータ41に代えて油圧のモータを使用することもできる。
【0025】また、前記プレッシャプレート34より後方(図3における右方)に、互いに螺合させられたボールねじ軸45及びボールナット46から成るボールねじ47が配設され、該ボールねじ47によって回転運動を直線運動に変換する運動方向変換手段が構成される。そして、前記ボールねじ軸45はベアリング48によって後方射出サポート32に対して回転自在に支持され、前記ボールナット46はプレート51及びロードセル52を介してプレッシャプレート34に固定される。さらに、第2の駆動手段としての射出用モータ53が配設され、該射出用モータ53とボールねじ軸45との間に、プーリ54、55及びタイミングベルト56から成る第2の回転伝動手段が配設されるので、前記射出用モータ53を駆動し、ボールねじ軸45を回転させることによってボールナット46及びプレッシャプレート34を移動させ、スクリュー12を前進(図3における左方に移動)又は後退(図3における右方に移動)させることができる。なお、本実施の形態においては、前記プレッシャプレート34を移動させる手段として射出用モータ53を使用しているが、射出用モータ53に代えて射出用シリンダを使用することもできる。
【0026】次に、射出装置の制御回路について説明する。
【0027】図1は本発明の実施の形態における射出装置の制御回路の要部ブロック図、図5は本発明の実施の形態における射出装置の制御回路の概略図、図6は本発明の実施の形態におけるスクリュー位置とゲインとの関係図、図7は本発明の実施の形態における射出装置の動作を示すタイムチャートである。なお、図6において、横軸にスクリュー位置Si を、縦軸にゲインγi を採ってある。
【0028】図において、41は計量用モータ、53は射出用モータ、62は制御装置、64は射出用サーボアンプ、65は計量用サーボアンプ、66はスクリュー速度設定手段としてのスクリュー速度設定器、67は記憶手段としてのメモリ、68はフライト速度設定手段としてのフライト速度設定器、71は射出用モータ回転数nI を検出する射出用モータ回転数検出器、72は計量用モータ回転数nM を検出する計量用モータ回転数検出器、75は計量用モータ回転数算出手段としてのゲイン設定器(−K)、76は、速度パターンPt及びゲインパターンPgを発生させ、前記速度パターンPtをスクリュー速度設定器66に、前記ゲインパターンPgを前記フライト速度設定器68に送るパターン発生器、81はスクリュー12(図3)の位置を検出するスクリュー位置検出器である。そして、前記制御装置62は、射出用モータ回転数設定器73、減算器74、78、前記ゲイン設定器75及び計量用モータ回転数設定器77から成る。
【0029】前記構成の射出装置の制御回路において、計量工程時に、計量用モータ回転数設定器77は、あらかじめ設定された計量用モータ回転数指令NM を減算器78に送る。該減算器78は、前記計量用モータ回転数指令NM 及び計量用モータ回転数nM を受け、計量用モータ回転数指令NM と計量用モータ回転数nM との偏差ΔnM を算出し、該偏差ΔnM を電流指令IM として計量用サーボアンプ65に送る。このようにして、制御装置62は計量用モータ41を駆動する。
【0030】また、射出工程時に、スクリュー速度Vsをスクリュー位置Si (i=1、2、…)に対応させて多段で変更するようになっている。そのために、前記スクリュー速度設定器66は、パターン発生器76から送られた速度パターンPtに基づいて、スクリュー位置Si に対応させてスクリュー速度指令Vsoi(i=1、2、…)を発生させ、該スクリュー速度指令Vsoiを射出用モータ回転数設定器73に送る。該射出用モータ回転数設定器73は、スクリュー速度指令Vsoiを受けると、該スクリュー速度指令Vsoiに基づいて、スクリュー位置Si に対応させて射出用モータ回転数指令NIi(i=1、2、…)を発生させ、該射出用モータ回転数指令NIiを減算器74に送るとともに、ゲイン設定器75に送る。前記減算器74は、前記射出用モータ回転数指令NIi及び射出用モータ回転数nIを受け、射出用モータ回転数指令NIiと射出用モータ回転数nI との偏差ΔnIを算出し、該偏差ΔnI を電流指令II として射出用サーボアンプ64に送る。このようにして、制御装置62は射出用モータ53を駆動する。
【0031】この場合、スクリュー12を前進させるのに伴って、スクリューヘッド27の前方に蓄えられた樹脂による反力が発生させられ、プレッシャプレート34及びドライブシャフト35を介してロードセル52が押圧される。このとき、ロードセル52の歪(ひず)みが電気信号に変換され、該電気信号に基づいて、前記スクリュー12を後方から所定の圧力で押すための射出力が算出される。ところで、前記スクリュー12の外周面及び加熱シリンダ11の内周面の粗さが互いに等しいと、計量工程時にスクリュー12を回転させても、溝24(図2)内の樹脂は、スクリュー12と一体的に回転させられ、前進しない。そこで、通常は、加熱シリンダ11の内周面がスクリュー12の外周面より粗くされる。
【0032】ところが、前記加熱シリンダ11の内周面がスクリュー12の外周面より粗くされると、スクリュー12を前進させる際に、加熱シリンダ11の内周面の近傍の樹脂に大きな摩擦抵抗が加わってしまう。しかも、溝24内の樹脂の溶融状態は、樹脂供給部P1、圧縮部P2及び計量部P3を移動する間に変化するので、前記樹脂に加わる摩擦抵抗が変化してしまう。
【0033】そこで、射出工程において、射出用モータ53を駆動してスクリュー12を前進させる際に、計量用モータ41を駆動してスクリュー12を逆方向に回転させることによって、加熱シリンダ11に対してフライト23が見掛け上前進する速度、すなわち、フライト速度Vfをスクリュー速度Vsより低くするようにしている。
【0034】また、前述されたように、樹脂供給部P1から計量部P3にかけてフライト23のピッチが徐々に大きくされるので、射出工程においてスクリュー12を前進させるのに伴って、樹脂供給口15におけるフライト23のピッチは徐々に小さくなる。そして、該ピッチが小さくなるのに伴って、樹脂に加わる摩擦抵抗が大きくなる。
【0035】そこで、フライト速度Vfをフライト23のピッチに対応させて変化させ、加熱シリンダ11上における所定の位置、例えば、樹脂供給口15を通過するフライト23のピッチが小さくなるほどフライト速度Vfを高くするようにしている。すなわち、前記スクリュー速度Vsに対するフライト速度Vfの速度比γを、γ=Vf/Vsとしたとき、速度比γは、γ<1にされる。しかも、前記速度比γはスクリュー位置Si に対応させて変化させられる。
【0036】そのために、前記フライト速度設定器68は、パターン発生器76からのゲインパターンPgを受けると、スクリュー位置Si に対応させてゲインγi (i=1、2、…)を発生させ、該ゲインγi をゲイン設定器75に送る。該ゲイン設定器75は、前記射出用モータ回転数指令NIiを受けると、該射出用モータ回転数指令NIiにゲインγi を乗算することによって、フライト速度指令としての計量用モータ回転数指令NFi(i=1、2、…)を算出して発生させ、該計量用モータ回転数指令NFiを減算器78に送る。該減算器78は、計量用モータ回転数指令NFi及び計量用モータ回転数nM を受け、計量用モータ回転数指令NFiと計量用モータ回転数nM との偏差ΔnF を算出し、該偏差ΔnF を電流指令IF として計量用サーボアンプ65に送る。なお、図6に示されるように、ゲインγiはスクリュー位置Si に比例させて変更され、スクリュー12が前進するのに伴って大きくされる。
【0037】このようにして、制御装置62は、前記フライト速度Vfをフライト23に対応させて、すなわち、スクリュー位置Si に対応させて設定し、計量用モータ41を駆動し、前記スクリュー12をスクリュー回転数Nfで回転させる。なお、メモリ67に、計量用モータ回転数指令NFiを格納し、該計量用モータ回転数指令NFiを読み出してフライト速度Vfを変更することもできる。
【0038】このように、射出工程において、フライト速度Vfがスクリュー速度Vsより低くされるので、樹脂はスクリュー12の外周面上を滑って加熱シリンダ11の内周面上で停滞することになる。しかも、フライト速度Vfはフライト23のピッチに対応させて設定される。
【0039】したがって、加熱シリンダ11の内周面の近傍の樹脂に加わる摩擦抵抗をスクリュー12の軸方向において一様に小さくすることができる。その結果、射出工程において、射出力と、スクリューヘッド27の前端に加わる射出圧力とを対応させることができ、十分な射出圧力で樹脂を射出することができる。
【0040】また、溝24内の樹脂の溶融状態が、樹脂供給部P1、圧縮部P2及び計量部P3を移動する間に変化しても、前記樹脂に加わる摩擦抵抗を一定にすることができるので、射出圧力を安定させることができる。そして、前記キャビティ空間内の型内圧を安定させることができるので、成形品の品質を向上させることができる。
【0041】また、射出工程中はスクリュー12が常に逆方向に回転させられるので、逆止リング28は常に遮断位置にバイアスが加えられた状態に置かれる。したがって、射出工程中に逆止リング28が外力を受けて連通位置に置かれることがなくなり、樹脂が逆流するのを防止することができる。その結果、樹脂の計量を安定して行うことができ、成形品の品質を向上させることができる。
【0042】そして、十分な射出圧力で樹脂を射出することができるので、射出力をその分小さくすることができる。したがって、射出装置を小型化することができるだけでなく、射出装置のコストを低くすることができる。また、摩擦抵抗が小さくなるので、樹脂が受ける剪(せん)断熱が少なくなり、樹脂焼けが発生するのを防止することができる。
【0043】次に、前記構成の射出装置の動作について説明する。
【0044】なお、図7に示される波形は、スクリュー12の回転方向を表し、正の値を採る場合、スクリュー12は正方向に回転させられ、0である場合、スクリュー12は停止させられ、負の値を採る場合、スクリュー12は逆方向に回転させられる。
【0045】まず、制御装置62の図示されない連通制御手段は、タイミングt1で前記計量用モータ41を正方向に駆動して、スクリュー12を時間τ1だけスクリュー回転数N1で正方向に回転させる。したがって、逆止リング28がスクリュー12に対して所定の角度θだけ回動させられることになり、逆止リング28は連通位置に置かれ、前記穴28a、29aが連通させられる。
【0046】続いて、タイミングt2で計量工程が開始され、制御装置62の図示されない計量制御手段は、前記計量用モータ41を電流指令IM に従って正方向に駆動することによって、スクリュー12を時間τ2だけスクリュー回転数N2で正方向に回転させるとともに、射出用モータ53を駆動してスクリュー12を後退させて、計量を行う。この間、逆止リング28は連通位置に置かれ、前記穴28a、29aが連通させられる。その結果、前記樹脂は、前記溝24に沿って前進するとともに、加熱シリンダ11によって加熱され、溶融させられ、穴28a、29aを通って前方に流れ、スクリューヘッド27の前方に蓄えられる。
【0047】そして、タイミングt3で計量工程が完了すると、制御装置62の図示されない遮断制御手段は、タイミングt4で前記計量用モータ41を逆方向に駆動することによって、スクリュー12を時間τ3だけスクリュー回転数N3で逆方向に回転させる。したがって、逆止リング28がスクリュー12に対して所定の角度θだけ回動させられることになり、逆止リング28は遮断位置に置かれ、前記穴28a、29aが遮断される。
【0048】続いて、タイミングt5で射出工程が開始され、制御装置62の図示されない射出制御手段及びスクリュー前進制御手段は、射出用モータ53を電流指令IIに従って駆動することによって、スクリュー12を所定のスクリュー速度Vsで前進させ、前記スクリューヘッド27の前方に蓄えられた樹脂を射出ノズル13から射出する。また、前記制御装置62の図示されないフライト速度制御手段は、計量用モータ41を電流指令IF に従って逆方向に駆動することによって、フライト23をフライト速度Vfで前進させる。
【0049】このとき、スクリューヘッド27の前方に蓄えられた樹脂の一部は、逆流して後方に移動しようとするが、前記穴28a、29aが遮断されているので、スクリューヘッド27の前方の樹脂がフライト部21に逆流するのを防止することができる。
【0050】したがって、射出工程時に、前記キャビティ空間に充填される樹脂の量、すなわち、充填量を安定させることができ、成形品の品質を向上させることができる。また、射出工程時のフライト部21における樹脂を安定させることができるので、計量工程時に計量を安定して行うことができ、樹脂の熱履歴を安定させることができ、さらに、樹脂の温度を安定させることができる。
【0051】そして、前記制御装置62は、スクリュー位置検出器81によって検出されたスクリュー位置Si が所定の値になると、速度制御から圧力制御に切り換え、前記射出力に基づいて保圧制御を行い、タイミングt6で射出工程が完了する。
【0052】なお、本実施の形態においては、前記スクリュー12を時間τ1だけ正方向に回転させた後、計量工程を開始するまでにわずかな時間を置くようにしているが、前記スクリュー12を時間τ1だけ正方向に回転させた後、直ちに計量工程を開始することもできる。また、計量工程が完了した後、スクリュー12を時間τ3だけ逆方向に回転させるまでにわずかな時間を置くようにしているが、計量工程が完了した後、直ちにスクリュー12を時間τ3だけ逆方向に回転させることもできる。さらに、前記スクリュー12を時間τ3だけ逆方向に回転させた後、射出工程を開始するまでにわずかな時間を置くようにしているが、前記スクリュー12を時間τ3だけ逆方向に回転させた後、直ちに射出工程を開始することもできる。また、射出工程を開始する前にサックバックを行うこともできる。
【0053】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0054】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出装置においては、加熱シリンダと、スクリュー本体の外周面にフライトが形成されたフライト部、及び該フライト部の前端に配設されたスクリューヘッドを備え、前記加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設されたスクリューと、該スクリューを回転させるための第1の駆動手段と、前記スクリューを進退させるための第2の駆動手段と、射出工程において前記第2の駆動手段を駆動して、スクリューを所定のスクリュー速度で前進させるスクリュー前進制御手段と、前記射出工程において、前記第1の駆動手段を駆動して、前記フライトをスクリュー速度より低いフライト速度で見掛け上前進させるフライト速度制御手段と、前記フライト速度を前記フライトのピッチに対応させて設定するフライト速度設定手段とを有する。
【0055】この場合、射出工程において、フライト速度がスクリュー速度より低くされるので、樹脂はスクリューの外周面上を滑って加熱シリンダの内周面上で停滞することになる。しかも、フライト速度はフライトのピッチに対応させて設定される。
【0056】したがって、加熱シリンダの内周面の近傍の樹脂に加わる摩擦抵抗をスクリューの軸方向において一様に小さくすることができるので、射出工程において、射出力と射出圧力とを対応させることができ、十分な射出圧力を発生させることができる。
【0057】また、フライトによって形成される溝内の樹脂の溶融状態が、フライト部を移動する間に変化しても、前記樹脂に加わる摩擦抵抗を一定にすることができるので、射出圧力を安定させることができる。そして、型内圧を安定させることができるので、成形品の品質を向上させることができる。
【0058】しかも、十分な射出圧力を発生させることができるので、射出力をその分小さくすることができる。したがって、射出装置を小型化することができるだけでなく、射出装置のコストを低くすることができる。また、摩擦抵抗が小さくなるので、樹脂が受ける剪断熱が少なくなり、樹脂焼けが発生するのを防止することができる。




 

 


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